JP2004174441A - 破砕装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自走式破砕機は、固定ジョー35およびスイングジョー36が設けられたジョークラッシャ30と、このジョークラッシャ30の下方に配置されてスイングジョー36側に破砕物を排出する排出コンベア50とを備え、スイングジョー下部36Aは、固定ジョー下部35Aより高く形成されている。これにより、ジョークラッシャ30から排出される破砕物量が多くなっても、ジョークラッシャ30の出口隙間と排出コンベア50上面との間は、高い排出空間となるため、ジョークラッシャ30の下方に堆積した破砕物がスイングジョー36下面に引っかかることなく、排出コンベア50によって順次円滑に排出されるので、破砕および排出を円滑にできる。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原材料を破砕するジョークラッシャを備えた破砕装置に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、固定ジョー、およびこの固定ジョーに対して近接離間するようにスイングするスイングジョーが設けられたジョークラッシャと、このジョークラッシャの下方に配置された排出コンベアとを備えた自走式や定置式の破砕装置が知られている。この破砕装置では、固定ジョーとスイングジョーとの間が上方に向けて拡開するとともに、固定ジョー下部とスイングジョー下部とは、略平行とされている(例えば、特許文献1参照)。
この破砕装置によれば、拡開した各ジョー間に原材料を投入すると、この原材料は、各ジョー間で破砕されながら下方に向かい、狭くなった各ジョー間の出口隙間から排出されて下方に落下し、排出コンベア等の排出装置によってスイングジョー側に搬送される。このとき、排出装置の搬送速度は、ジョークラッシャから落下する破砕物を十分に運搬できる速度に設定されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−296118号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ジョークラッシャから落下する破砕物量が多くなると、破砕物は、排出装置上に堆積した状態で順次搬送されることになるため、落下する量によっては、排出がおぼつかず、短時間で大きな山状に堆積してしまう。その結果、スイングジョー下部と排出装置上面との間で破砕物が詰まってしまい、円滑な破砕および排出が困難になる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、破砕および排出を円滑にできる破砕装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用効果】
本発明の請求項1に記載の破砕装置は、固定ジョーおよびスイングジョーが設けられたジョークラッシャと、このジョークラッシャの下方に配置されて前記スイングジョー側に破砕物を排出する排出装置とを備え、前記スイングジョー下部は、固定ジョー下部より高く形成されていることを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、ジョークラッシャから排出される破砕物量が多くなっても、ジョークラッシャの出口隙間と排出装置上面との間は、高い排出空間となるため、ジョークラッシャの下方に堆積した破砕物がスイングジョー下面に引っかかることなく、排出装置によって順次円滑に排出されるので、破砕および排出を円滑にできる。
さらに、高い排出空間を確保できるため、ジョークラッシャを高く配置する必要がなく、全高を低くできるので、積込性、輸送性を向上できる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の破砕装置では、前記スイングジョーに係止されたトグルプレートは、アップスラストタイプであることを特徴とする。
【0009】
スイングジョーに係止されたトグルプレートがダウンスラストタイプである場合、スイングジョーは、固定ジョーに対して下方からずり上げる動作、つまり下方から上方に向かって原材料を押し付ける動作をする。したがって、特に軟質の原材料が投入されると、スイングジョーによって押し付けられた原材料が固定ジョー表面に付着し、ジョークラッシャの出口隙間が詰まる可能性があった。しかし、本発明では、スイングジョーのトグルプレートをアップスラストタイプとしたので、スイングジョーは、固定ジョー表面に対して上方から下方に向かって原材料を押し付ける動作をするから、固定ジョー表面に押し付けられた原材料は、下方に押されて落下し易くなり、ジョークラッシャの出口隙間が詰まることがない。
【0010】
【発明の実施の形態】
〔全体構成の概略説明〕
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図5は、本実施形態に係る自走式破砕機(破砕装置)1を示す正面図、背面図、右側面図、左側面図、および平面図である。なお、本実施形態では説明の便宜上、図3中の右側を前方側、左側を後方側とする。
【0011】
自走式破砕機1は、ビルの解体現場等に配置されてコンクリート塊やアスファルト塊の破砕に供される場合もあるが、本実施形態では専ら、鉱山や砕石場に配置され、大きな岩石や自然石を所定粒径に粗破砕するために用いられる。このため、全長、全幅、全高の各寸法が大きく、大型の自走式破砕機に属する。
【0012】
このような自走式破砕機1は、一対の下部走行体11を備えた本体部ユニット10と、本体部ユニット10上の後方側に搭載されて原材料が供給される供給部ユニット20と、供給部ユニット20の前方側に搭載されたジョークラッシャ30と、ジョークラッシャ30のさらに前方側に搭載されたパワーユニット40と、本体部ユニット10の下方で一対のクローラ18間から前方斜め上方に向かって延出した排出コンベア(排出装置)50とで構成されている。
【0013】
本体部ユニット10は、前後方向に連続して設けられた左右の側方フレーム12を、複数の連結フレーム13(図2)で連結したメインフレーム(トラックフレーム)14を備え、各側方フレーム12の下部側に前記下部走行体11が取り付けられている。下部走行体11は、前部の油圧モータ15で駆動されるスプロケット16および後部のアイドラー17にクローラ18を巻回させた構成である。
【0014】
供給部ユニット20は、後方に迫り出した左右の側方フレーム21を、開口部22Aを有する略四角形の連結フレーム22で連結した後部フレーム23を備えている。後部フレーム23の上部には、複数のコイルスプリングを介してグリズリフィーダ24が載置され、このグリズリフィーダ24が振動装置25で駆動される。グリズリフィーダ24の上部には、その周囲の三方を囲うようにホッパ26が設けられ、上方に向かって拡開したこのホッパ26内に原材料が投入される。また、グリズリフィーダ24の下部には、グリズリで選別されて落下する原材料を下方の排出コンベア50に導く排出シュート27が設けられている。なお、本実施形態のホッパ26では、左右のウィング部28は本体部分に対して折り畳み可能に設けられ、支持バー29の上端を外すことで下方に折り畳まれる。これにより、供給部ユニット20の全高が低くなり、トレーラでの輸送制限をクリアできるようになっている。
【0015】
ジョークラッシャ30は、図6に示すように、左右の側壁プレート31を、複数のリブで補強された背壁プレート32およびクロスメンバ33で連結したクラッシャフレーム34を備え、背壁プレート32の内側には固定ジョー35が取り付けられ、固定ジョー35の前方側には歯面が略鉛直に迫り立ったスイングジョー36が配置されている。スイングジョー36は、その上部側が側壁プレート31間に回転可能に架設されたメインシャフト37の偏心部に吊設されているとともに、下部側が破砕時の反力を受ける反力受リンク機構60で支持されており、また、テンションリンク機構70により常時反力受リンク機構60側に付勢されている。
また、スイングジョー下部36Aは、固定ジョー下部36Bより高く形成されている。すなわち、図7に示すように、スイングジョー下部36Aと排出コンベア50との間の隙間h1は、固定ジョー下部35Bと排出コンベア50の受面との間の隙間h2よりも大きくなっている。これにより、排出コンベア50の進行方向、つまり自走式破砕機1の前方側に向かって拡開した高い空間が形成されている。
【0016】
ここで、反力受リンク機構60は、一端がスイングジョー36の背面部分に係止されたトグルプレート61と、トグルプレート61の他端側を支持しかつ固定リンクピン63を中心に回動するトグルリンク64と、下端がトグルリンク64に軸支されたベアロックシリンダ65とで概ね構成され、このベアロックシリンダ65がクロスメンバ33側に回動自在に軸支(トラニオン構造)されている。そして、このベアロックシリンダ65のロッド66を進退させることで、各ジョー35,36の下端間の出口隙間Wを調節できるようになっている。つまり、反力受リンク機構60は、ベアロックシリンダ65の駆動によってトグルリンク64およびトグルプレート61を介してスイングジョー36を固定ジョー35に近接離間させる出口隙間調整用リンク機構62となっている。
【0017】
また、テンションリンク機構70は、反力受リンク機構60の略中央に配置されており、一端がスイングジョー36側に軸支されたテンションリンク71と、前記固定リンクピン63に回動自在に軸支されたテンションレバー72と、一端がテンションレバー72に軸支されたテンションロッド73と、このテンションロッド73を所定方向に付勢するテンションスプリング74とで概ね構成され、これらテンションロッド73およびテンションスプリング74が前記トグルリンク64に取り付けられている。
【0018】
このようなジョークラッシャ30では、メインシャフト37の一端に設けられたプーリ38をVベルトを介して油圧モータ39で駆動すると、メインシャフト37の回転によりスイングジョー36が揺動リンクとして機能し、固定ジョー35との間で原材料を破砕する。この際、本実施形態のジョークラッシャ30は、スイングジョー36が固定ジョー35の歯面に対して上方から下方に削ぎ取るようにスイングするよう、反力受リンク機構60がアップスラストタイプになっている。
【0019】
パワーユニット40は、左右の側方フレーム41を複数の連結フレーム(不図示)で連結したベースフレーム42を備えている。ベースフレーム42上には、適宜な載置用のブラケットやクロスメンバを介してエンジン、油圧ポンプ、燃料タンク43、および作動油タンク44等が載置されている。また、油圧ポンプからの油圧を下部走行体11の油圧モータや、グリズリフィーダ24の振動装置25、ジョークラッシャ30の油圧モータ39、および排出コンベア50駆動用の油圧モータ等に分配するコントロールバルブが、当該ベースフレーム42で囲まれた収容空間内に収容されている。
【0020】
排出コンベア50は、図7にも示すように、後部が排出シュート27下端の排出口よりも後方に位置し、ここから排出される未破砕の原材料と、ジョークラッシャ30の出口から落下した破砕物とを前方に排出し、高所から落下させて堆積等させる。なお、原材料として鉄筋や金属片等の異物が含まれる場合には、排出コンベア50の前部側に磁選機を取り付け、この異物を取り除くことも可能である。また、排出コンベア50からの破砕物を地上に堆積させるのではなく、二次コンベアや三次コンベア等を用いて遠隔地まで搬送することもある。
【0021】
〔ジョークラッシャの詳細説明〕
以下に、ジョークラッシャ30の詳細について説明する。
図6において、ジョークラッシャ30は、前述のように背壁プレート32に固定された固定ジョー35と、この固定ジョー35に対向して設けられたスイングジョー36とを備えている。スイングジョー36の背面には、スイングジョー36の反力を受ける反力受リンク機構60と、スイングジョー36を反力受リンク機構60側に所定の付勢力で付勢するテンションリンク機構70とを備えている。
【0022】
反力受リンク機構60は、前述のようにトグルプレート61と、トグルリンク64と、ベアロックシリンダ65とを備えたリンク機構となっている。
トグルプレート61は、図8および図9に示されるように、スイングジョー36背面のほぼ全幅にわたって当接される板状部材で、反力受リンク機構60がアップスラストタイプとなるように、スイングジョー36に対して斜め下方から上方に向けて当接されている。このトグルプレート61の一端は、スイングジョー36背面に設けられた当接部361に当接されている。また、トグルプレート61の他端は、トグルリンク64に設けられた当接部641に当接されている。これにより、トグルプレート61は、スイングジョー36およびトグルリンク64間に挟持されている。ここで、当接部361,641には、半径R(図8中の矢印)の断面略円弧凹状の凹状部362,642が形成されており、トグルプレート61は、凹状部362,642の円弧中心をそれぞれの揺動中心Sとして揺動可能となっている。また、トグルプレート61の幅方向中央には、トグルリンク64に近い側に切欠部611が形成されている。
【0023】
トグルリンク64は、側壁プレート31近傍の内側に二つ設けられ、これらのトグルリンク64の間に一体的に架設された連結部643によって連結されている。この連結部643には、テンションスプリング74が取り付けられる取付部644が一体的に形成されている。これらのトグルリンク64は、それぞれ固定リンクピン63に軸支されており、この固定リンクピン63は、側壁プレート31の内側で同一軸上に二つ設けられ、それぞれの離間した一端が側壁プレート31に、また近接した他端がクロスメンバ33から下方に突出した取付プレート331に固定されている。
トグルリンク64には、前述の当接部641がそれぞれ取り付けられており、切欠部611両側のトグルプレート61端部がそれぞれ当接されている。
【0024】
ベアロックシリンダ65は、二つのトグルリンク64の前方側にそれぞれ設けられ、図6に示されるように、前述のロッド66と、このロッド66を進退させるためのシリンダ本体67とを備えている。このベアロックシリンダ65は、ロッド66がシリンダ本体67の下方側になるように立設され、ロッド66の下端がトグルリンク64の前方側の端部に軸支されている。また、シリンダ本体67において、ロッド66が進退する側の端部近傍、つまり下端側(ヘッド側)は、トラニオン構造の支持部68によって回動可能に支持されている。この支持部68は、シリンダ本体67両側から突出して一体的に形成された支持軸681と、この支持軸681を回動可能に支持する軸受部(不図示)とを備えており、支持軸681の一端が側壁プレート31に、他端がクロスメンバ33から突出して設けられた取付プレート332に軸支されることで、ベアロックシリンダ65は側壁プレート31に近接した位置に配置されている。
このようなベアロックシリンダ65では、ロッド66あるいはロッド66端部のピストンがシリンダ本体67との間で締まり嵌めとなっており、通常両者がロックされている。ロッド66を通してこの締まり嵌めの部分に油圧を導入すると、シリンダ本体67の周壁が外側に膨出し、これにより両者の抵抗が低減してロックが解除され、ロッド66をシリンダ本体67に対して進退可能となる。従って、ロッド66をシリンダ本体67内部の任意の位置でロックできるようになっている。
【0025】
このような反力受リンク機構60によれば、原材料の破砕時に生じる反力は、トグルプレート61を介してトグルリンク64の固定リンクピン63と、ベアロックシリンダ65の支持部68で受けることとなる。また、前述したように、ベアロックシリンダ65のピストンおよびシリンダ本体67間に油圧を導入してロックを解除し、この状態でロッド66を進退させれば、トグルリンク64およびトグルプレート61を介してスイングジョー36が移動して固定ジョー35に対して近接離間する。つまり、この反力受リンク機構60は、出口隙間調整用リンク機構62としての役割も果たしている。
【0026】
テンションリンク機構70は、図8および図9に示されるように、二つのトグルリンク64の間で、スイングジョー36の幅方向略中央に設けられている。このテンションリンク機構70は、前述のように、テンションリンク71と、テンションレバー72と、テンションロッド73と、テンションスプリング74とを備えたリンク機構となっている。
【0027】
テンションリンク71は、略L字形であって、一端がスイングジョー36に設けられた取付部363の回動中心軸711に軸支され、他端がテンションレバー72の回動中心軸712に軸支され、これらの回動中心軸711,712を中心に揺動可能である。またテンションリンク71端部のテンションレバー72に近い側は、トグルプレート61の切欠部611内側に配置され、トグルプレート61と干渉しないようになっている。
ここで、回動中心軸711,712は、トグルプレート61の揺動中心S近傍に設けられており、テンションリンク71がトグルプレート61の揺動動作に近似した揺動動作を行う。
【0028】
テンションレバー72は、固定リンクピン63に回動自在に支持される軸部721と、この軸部721を中心に回動するレバー部722とを備えている。軸部721は円筒形に形成されており、両側の固定リンクピン63に近接した端部間に支持されている。また、レバー部722は、軸部721の下方側に垂直に一対設けられており、レバー部722下端側の後方側には前述のテンションリンク71が、前方側にはテンションロッド73の端部が取り付けられている。
【0029】
テンションロッド73は、トグルリンク64の取付部644を貫通して、テンションレバー72の取付部分から前方斜め上方に向かって配置されいる。テンションロッド73は、テンションスプリング74に挿通されており、このテンションスプリング74は、先端がテンションロッド73に螺合された当接部731に当接され、基端が取付部644に固定された当接部732に当接され、テンションロッド73をトグルリンク64に対して所定の付勢力(引っ張り力)で付勢している。つまり、テンションスプリング74は、テンションロッド73、テンションレバー72、およびテンションリンク71を介してスイングジョー36をトグルリンク64側に付勢している。この付勢力により、トグルプレート61はスイングジョー36およびトグルリンク64の間で確実に保持される。
【0030】
〔ジョークラッシャの動作〕
以下に、ジョークラッシャ30の動作について説明する。
まず、油圧モータ39の駆動によってプーリ38をVベルトを介して回転させて、メインシャフト37を回転させると、メインシャフト37の偏心部分に軸支されたスイングジョー36が揺動する。この時、スイングジョー36下部側は、アップスラストタイプの反力受リンク機構60によって支持されているので、トグルプレート61がトグルリンク64側の揺動中心Sを中心として揺動することにより、スイングジョー36が固定ジョーに対して近接離間するように揺動する。この揺動運動により、スイングジョー36および固定ジョー35は、これらの間に投入された原材料を破砕して、破砕物を下端間の出口隙間Wから排出する。
【0031】
ジョークラッシャ30から排出された破砕物は、排出コンベア50の受面50A上に落下し、順次排出される。ところで、破砕物の落下量が多い場合、図7中二点鎖線で示すように、排出コンベア50の受面上に破砕物が山状に堆積しながら排出される。この場合、堆積した破砕物は、排出コンベア50により、前方側(図7中白矢印で示す方向)に移動しようとするが、排出コンベア50の排出方向に向かって拡開した高い空間が形成されているため、堆積物の頂部がスイングジョー下部36Aに引っかかることがなく、円滑に排出できる。
【0032】
そして、スイングジョー36が原材料を破砕する際に受ける反力は、トグルプレート61を介してトグルリンク64の固定リンクピン63と、ベアロックシリンダ65の支持部68で受ける。また、スイングジョー36が受ける反力が過大である場合には、ベアロックシリンダ65の締まり嵌めの部分が摺動することにより、トグルリンク64やベアロックシリンダ65の損傷を防止する。
【0033】
一方、破砕された破砕物の粒度を変更する際には、出口隙間調整用リンク機構62を操作する。ベアロックシリンダ65のピストンおよびシリンダ本体67間に油圧を導入してシリンダ本体67をわずかに膨張させて両者の抵抗を低減し、締まり嵌めによるロックを解除する。この状態で、シリンダ本体67のヘッド側またはボトム側に油圧を導入してロッド66を進退させると、これに伴ってトグルリンク64が固定リンクピン63を中心に回動する。するとトグルプレート61が移動して、スイングジョー36が固定ジョー35に対して近接離間するので、これによりスイングジョー36および固定ジョー35の下端間の出口隙間Wを調整して、破砕物の粒度を変更する。
【0034】
なおこの際、テンションリンク機構70においては、スイングジョー36の近接離間に伴って、テンションリンク71も移動してテンションレバー72が回動する。この時、テンションリンク71の各揺動中心はトグルプレート61の各揺動中心Sの近傍にあり、また、テンションレバー72およびトグルリンク64の回動中心が共通の固定リンクピン63となっているので、テンションリンク71の移動軌跡は、トグルプレート61の移動軌跡に近似する。従って、テンションレバー72はトグルリンク64の回動角度とほぼ同じ角度回動し、この結果、テンションレバー72に取り付けられたテンションロッド73の当接部731と、トグルリンク64の取付部644に固定された当接部732との相対位置がほとんど変化せず、出口隙間Wを変化させてもテンションスプリング74の付勢力はほぼ一定となる。
【0035】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1) スイングジョー36に係止されるトグルプレート61をアップスラストタイプとしたので、スイングジョー36は、固定ジョー35表面に対して上方から下方に向かって原材料を押し付ける動作をする。よって、軟質の原材料が投入されても、スイングジョー36によって押し付けられた原材料が固定ジョー35表面に付着しにくくなる。すなわち、固定ジョー35表面に押し付けられた原材料は、下方に押されて落下し易くなり、ジョークラッシャ30の出口隙間Wが詰まることがない。
【0036】
(2) スイングジョー下部36Aを固定ジョー下部35Aより高く形成したので、ジョークラッシャ30から排出される破砕物量が多くなっても、ジョークラッシャ30の出口隙間Wと排出コンベア50の受面50Aとの間は、高さ寸法W1を有する高い排出空間となるため、ジョークラッシャ30の下方に堆積した破砕物がスイングジョー36下面に引っかかることなく、排出コンベア50によって順次円滑に排出されるので、破砕および排出を円滑にできる。
さらに、高い排出空間を確保できるため、ジョークラッシャ30を高く配置する必要がなく、全高を低くできるので、積込性、輸送性を向上できる。
【0037】
(3) テンションリンク機構70が、テンションリンク71、テンションレバー72、テンションロッド73およびテンションスプリングを備えたリンクを構成しているため、テンションレバー72においてテンションリンク71およびテンションロッド73の配置角度を変更でき、高さ方向の配置の自由度を向上させることができる。従って、テンションロッド73を前方に向かって斜め上方に配置でき、従来とは異なりテンションロッド73やテンションスプリング74がスイングジョー36下方の排出コンベア50側に突出せず、破砕物を良好に排出できる。
また、反対にアップスラストタイプの反力受リンク機構60を備えたジョークラッシャ30でも、全高を高くすることなくテンションリンク機構70を配置でき、このジョークラッシャ30を自走式破砕機1に搭載しても車高制限を確実にクリアできる。
【0038】
(4) テンションスプリング74が、当接部731,732によってテンションロッド73の先端およびトグルリンク64の取付部644間で保持されることにより、出口隙間を調整するためにトグルリンク64が回動してスイングジョー36が移動すると、当接部732も移動する。この時テンションリンク71およびテンションレバー72を介してテンションロッド73も共に移動するので、テンションスプリング74の付勢力がほとんど変化しない。従って、出口隙間調整の際にテンションスプリング74の付勢力を設定し直す必要がなく、出口隙間調整を簡単かつ短時間に行える。
【0039】
(5) スイングジョー36の揺動時にトグルプレート61はトグルリンク64側の揺動中心Sを中心に揺動する。この時テンションリンク71の揺動中心となる回動中心軸711,712が、トグルプレート61両側の揺動中心S近傍に配置されているので、トグルプレート61の揺動動作とテンションリンク71の揺動動作が近似する。つまりテンションリンク71はテンションレバー72側の回動中心軸712近傍を中心として揺動し、テンションレバー72の位置がほとんど変化しない。従って、スイングジョー36の揺動中にもテンションスプリング74がほとんど伸縮せず、安定した付勢力を得ることができる。
【0040】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態の自走式破砕機1は、クローラ式の下部走行体11を備えていたが、クローラ式に限らず車輪式であってもよい。
また、本発明のジョークラッシャ30は、自走式破砕機1に搭載されていたが、これに限らず、設置型として用いてもよい。
【0041】
その他、本体部ユニット10、供給部ユニット20、クラッシャ30、パワーユニット40、排出コンベア50の構成は、本発明の目的を達成できる範囲で任意に変更可能であり、前記実施形態に限定されない。
【0042】
さらに、本発明を実施するための構成、方法等は、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態に対し、形状、数量、その他詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記の構成は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態での自走式破砕機を示す正面図。
【図2】前記自走式破砕機を示す背面図。
【図3】前記自走式破砕機を示す右側面図。
【図4】前記自走式破砕機を示す左側面図。
【図5】前記自走式破砕機を示す平面図。
【図6】前記自走式破砕機のジョークラッシャを示す断面図。
【図7】前記自走式破砕機のジョークラッシャおよび排出装置を示す断面図。
【図8】前記ジョークラッシャのトグルプレート保持機構を示す拡大断面図。
【図9】前記トグルプレート保持機構を示す平断面図。
【符号の説明】
1…自走式破砕機(破砕装置)、30…ジョークラッシャ、35…固定ジョー、35A…固定ジョー下部、36…スイングジョー、36A…スイングジョー下部、50…排出コンベア(排出装置)、61…トグルプレート。
Claims (2)
- 破砕装置(1)において、
固定ジョー(35)およびスイングジョー(36)が設けられたジョークラッシャ(30)と、
このジョークラッシャ(30)の下方に配置されて前記スイングジョー(36)側に破砕物を排出する排出装置(50)とを備え、
前記スイングジョー下部(36A)は、固定ジョー下部(35A)より高く形成されている
ことを特徴とする破砕装置(1)。 - 請求項1に記載の破砕装置(1)において、
前記スイングジョー(36)に係止されたトグルプレート(61)は、アップスラストタイプである
ことを特徴とする破砕装置(1)。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002346416A JP2004174441A (ja) | 2002-11-28 | 2002-11-28 | 破砕装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002346416A JP2004174441A (ja) | 2002-11-28 | 2002-11-28 | 破砕装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106552814A (zh) * | 2016-11-22 | 2017-04-05 | 成都秉德科技有限公司 | 一种高效环保的垃圾粉碎压缩处理装置 |
CN114515617A (zh) * | 2022-01-20 | 2022-05-20 | 枣庄鑫金山智能装备有限公司 | 一种可筛选多级粉碎破碎机 |
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2002
- 2002-11-28 JP JP2002346416A patent/JP2004174441A/ja active Pending
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