JP2006247238A - 疼痛緩和装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 狭い部位等に対する局部的な冷却も容易にして冷却部位に対する汎用性を高める。また、大幅なコストの削減を実現し、かつ設置スペースなどの確保を不要にするとともに、加えて、使用の容易化と使い勝手を高める。
【解決手段】 所定の人体部位Hsを冷却して疼痛を緩和する疼痛緩和装置1を構成するに際して、人体部位Hsに対して面接触により当接可能に形成し、かつ直接又は間接的に手で持つことができるとともに、少なくとも一部を蓄冷材料Mにより形成した一又は二以上の冷却ピース2…と、一又は二以上の冷却ピース2…を予め設定した冷却温度Tsに冷却する冷却装置3とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 所定の人体部位Hsを冷却して疼痛を緩和する疼痛緩和装置1を構成するに際して、人体部位Hsに対して面接触により当接可能に形成し、かつ直接又は間接的に手で持つことができるとともに、少なくとも一部を蓄冷材料Mにより形成した一又は二以上の冷却ピース2…と、一又は二以上の冷却ピース2…を予め設定した冷却温度Tsに冷却する冷却装置3とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、所定の人体部位を冷却して患部或いは注射等による医療処置時の疼痛を緩和する疼痛緩和装置に関する。
従来、人体部位を冷却することにより患部或いは注射等による医療処置時の疼痛が抑制されることは知られている。例えば、疼痛の緩和効果として、皮膚温度を18〔℃〕以下に冷却すれば、局所麻酔剤(リドカイン)の2時間貼付と同程度の緩和効果が得られることが「臨床看護 2002年 voL.28」により報告されている。
一方、このような疼痛緩和を目的とした疼痛緩和装置(疼痛緩和器)も特開2000−342617号公報で開示されている。同公報に開示される疼痛緩和器は、ペルチェ素子の温熱又は冷熱が伝達される受熱板によって疼痛患部を加温又は冷却して刺激を与える疼痛緩和器であって、ペルチェ素子を内蔵し、受熱板を露出させたプローブと、ペルチェ素子に流す直流電流を向きを所定の時間間隔で反転させることにより加温と冷却とを所定の時間間隔で交互に繰り返すリズムモード運転を実行する制御部とを備えたものであり、特に、長時間注射針を刺した状態にある場合の疼痛を和らげるのに効果的な刺激を与えるようにしたものである。
臨床看護 2002年 voL.28 特開2000−342617号
臨床看護 2002年 voL.28
しかし、上述した従来における疼痛緩和器(疼痛緩和装置)は、次のような問題点があった。
第一に、ペルチェ素子やファン等の冷却機能部全体をプローブに内蔵するため、プローブの小型化や形状的な設計自由度が制限されてしまう。したがって、例えば、指と指間等の狭い部位を局部的に冷却することが困難になるなど、冷却部位に対する汎用性に劣るとともに、十分な医療処置を行えない虞れがある。
第二に、基本的に、一人に一台の装置を使用しなければならないため、一時的に被使用者が集中した場合には対応できない不具合を生じるとともに、他方、この不具合を解消するには、装置の数量を増やす必要があり、この場合、コストアップや設置スペースの確保などの負担が無視できなくなる。
第三に、プローブと治療器本体をコード線により接続する必要があるため、これに伴う不具合、例えば、邪魔なコード線が引回されるとともに、プローブをバンドにより腕や膝等に固定する必要があるなど、使用が面倒となり、使い勝手(利便性)に劣る。結局、注射等のように短時間に多数の医療処置を行う用途には不向となる。
第四に、プローブにはペルチェ素子の放熱側を冷却するファンが必須となる。したがって、使用中にプローブ自身から温風が放出されることになり、被使用者に対して不快感を与える虞れがある。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した疼痛緩和装置の提供を目的とするものである。
本発明は、上述した課題を解決するため、所定の人体部位Hsを冷却して疼痛を緩和する疼痛緩和装置1を構成するに際して、人体部位Hsに対して面接触により当接可能に形成し、かつ直接又は間接的に手で持つことができるとともに、少なくとも一部を蓄冷材料Mにより形成した一又は二以上の冷却ピース2…と、一又は二以上の冷却ピース2…を予め設定した冷却温度Tsに冷却する冷却装置3とを備えることを特徴とする。
この場合、発明の好適な態様により、冷却ピース2…は、少なくとも人体部位Hsに対して面接触により当接する部分を金属製ブロックMm(Mms)により形成することができる。また、冷却装置3は、冷却ピース2…の一又は二以上を載置可能な冷却プレート11と、この冷却プレート11を冷却するサーモモジュール12と、冷却プレート11を冷却温度Tsに制御する温度制御手段13とを備えて構成できる。一方、疼痛緩和装置1には、冷却ピース2…から人体部位Hsに対して雑菌が付着するのを防止する滅菌手段14を備えることができ、この滅菌手段14としては、例えば、所定部位Hsと冷却ピース2間に介在させる滅菌シート14s或いは滅菌処理した冷却ピース2を収容する滅菌袋14c等を用いることができる。さらに、冷却装置3には、冷却ピース2…に対して霜が付着するのを防止する霜付防止手段15を設けることができる。
このような構成を有する本発明に係る疼痛緩和装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 冷却ピース2…と冷却装置3の組合わせにより構成するため、冷却ピース2は、基本的に一部を蓄冷材料Mにより形成すれば足りる。したがって、冷却ピース2の小型化や形状的な設計自由度は制限なく実現可能となり、狭い部位等に対する局部的な冷却も容易となるなど、冷却部位に対する汎用性を高めることができるとともに、十分な医療処置が可能となる。しかも、従来のように、冷却ピース側から温風が放出されるなどの不具合は生じないため、被使用者に対して不快感を与える虞れは全くない。
(2) 一台の冷却装置3により多数の冷却ピース2…を冷却できるため、一時的に被使用者が集中した場合においても柔軟かつ臨機応変に対応することができる。即ち、一台の疼痛緩和装置1により多人数に対応できるため、大幅なコストの削減を実現できるとともに、設置スペースや保管スペースの確保が不要となる。しかも、冷却ピース2…は再利用が可能なため、ランニングコストの低減にも寄与できる。
(3) 冷却ピース2…と冷却装置3は完全に別体となるため、冷却ピース2を人体部位Hs上に単に載置するのみで使用可能になるなど、使用が容易となり、使い勝手(利便性)に優れる。したがって、特に注射等のように短時間に多数の医療処置を行う用途に最適となる。
(4) 好適な態様により、冷却ピース2…における少なくとも人体部位Hsに対して面接触により当接する部分を金属製ブロックMm(Mms)により形成すれば、特殊な材料を用いることなく、容易に冷却ピース2…を得ることができる。
(5) 好適な態様により、冷却装置3を、冷却ピース2…を載置可能な冷却プレート11と、この冷却プレート11を冷却するサーモモジュール12と、冷却プレート11を冷却温度Tsに制御する温度制御手段13を備えて構成すれば、最適な疼痛緩和装置1を容易かつ確実に実施することができる。
(6) 好適な態様により、疼痛緩和装置1に、冷却ピース2…から人体部位Hsに対して雑菌が付着するのを防止する滅菌手段14、特に、所定部位Hsと冷却ピース2間に介在させる滅菌シート14sを用いれば、冷却ピース2側に滅菌手段14を設ける必要がなく、容易かつ低コストに実施できる。
(7) 好適な態様により、疼痛緩和装置1に、冷却ピース2…から人体部位Hsに対して雑菌が付着するのを防止する滅菌手段14、特に、滅菌した冷却ピース2を収容する滅菌袋14cを用いれば、滅菌シート等を介在させることなく、直接人体部位Hsに冷却ピース2を当接でき、より冷却効果を高めることができる。
(8) 好適な態様により、冷却装置3に、冷却ピース2…に対して霜が付着するのを防止する霜付防止手段15を設ければ、冷却ピース2…に霜(水分)が付着する不具合を回避することができる。
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る疼痛緩和装置1の構成について、図1〜図4を参照して具体的に説明する。
疼痛緩和装置1は、図1に示すように、基本的な構成として、一又は二以上の冷却ピース2…と、この冷却ピース2…を冷却する冷却装置3を備える。
冷却ピース2は、人体部位Hsに対して面接触により当接可能に形成し、かつ手で直接又は間接的に持つことができるとともに、少なくとも一部を蓄冷材料Mにより形成する。例示の冷却ピース2は、図2に示すように、人体部位Hsに対して面接触により当接する部分を金属製ブロックMmにより形成した。具体的には、蓄冷性の良好な銅材を用いて一定の厚さを有する円盤状に一体に形成し、かつ表面にはニッケルメッキ処理を施した。金属製ブロックMmの大きさは任意であるが、直径5〜50〔mm〕、厚さ(高さ)1〜50〔mm〕を目安とすることができる。このような金属製ブロックMmにより形成すれば、特殊な材料を用いることなく、容易に冷却ピース2…を得ることができる。
また、金属製ブロックMmの一方の端面(上面)には、ネジ穴部21を形成し、このネジ穴部21に、グリップ22の一端に設けたネジ部22nを螺着する。なお、グリップ22は、断熱性のあるプラスチック等により一体形成する。これにより、金属製ブロックMmにおけるグリップ22を設けない他方の端面(下面)が人体部位Hsに対して面接触により当接可能な部分となる。図2中、23は金属製ブロックMmの周面に貼着した温度により色が変わるシート状の簡易温度計を示す。
冷却ピース2は、このような単純構成を有するため、任意の形状(形態)により実施できる 図3には、先端を細くした金属製ブロックMmsを用いた冷却ピース2を示す。なお、24は、金属製ブロックMmsの上端外周面を保持するプラスチック等により一体形成したグリップを示す。このように、冷却ピース2は、任意の形状(形態)により容易に製作できるため、冷却ピース2の小型化や形状的な設計自由度は制限なく実現可能となり、例えば、狭い部位等に対する局部的な冷却も容易となる。
一方、冷却装置3は、一又は二以上の冷却ピース2…を予め設定した冷却温度Tsに冷却する機能を備える。冷却装置3の外観を図1に示す。冷却装置3は、キャビネット31を備え、このキャビネット31の上面一部にやや窪んだ凹部によるピース収容部31iを設ける。ピース収容部31iの底面は、冷却プレート11の上面11uを露出させて構成する。これにより、冷却プレート11の上面11uには、一又は二以上、望ましくは十以上の冷却ピース2…を載置することができる。また、キャビネット31の上面には、ピース収容部31iの上方を覆う開閉カバー32を付設する。開閉カバー32は、後端がヒンジ部により回動自在に支持され、図1に示すように、前端を上方へ変位させてピース収容部31iを開くことができる。この場合、開閉カバー32の内面には、ピース収容部31iに収容した冷却ピース2…の上端を押付けるクッション材等を取付け、開閉カバー32を閉じた際に、冷却ピース2…と冷却プレート11間の密着性を高めることも可能である。なお、開閉カバー32を閉じた際は、ピース収容部31iの上方空間がほぼ密閉され、ピース収容部31iに対する霜付きが防止される。さらに、キャビネット31の前面には、メッシュ孔により形成した空気取込口33を設けるとともに、操作パネル34を配設する。この操作パネル34には、設定した冷却温度やリアルタイムで検出される現在温度等を表示する表示部34dを設けるとともに、冷却温度Ts等を設定する複数の操作キーを有する操作部34kを設ける。
他方、図4には、冷却装置3の内部に備える冷却系Cc及び制御系Csのブロック系統図を示す。冷却系Ccには、上述した冷却プレート11を含む。冷却プレート11は、一定の厚さを有する銅板により形成し、この冷却プレート11の下面には、この冷却プレート11を冷却するサーモモジュール12の上面を取付ける。サーモモジュール12は複数のペルチュ素子12p…により構成し、サーモモジュール12の下面には放熱器(ヒートシンク)35を取付ける。また、放熱器35に隣接してこの放熱器35を空冷する送風ファン36を配設する。この場合、送風ファン36はモータによりファンが回転し、上述した空気取込口33から外気が取込まれるとともに、放熱器35を通過して熱交換された風は、キャビネット31の後面から外部に排出される。なお、37は、放熱器35の下方に配したドレンパンを示す。さらに、38は電源ユニットであり、送風ファン36には交流出力が供給されるとともに、サーモモジュール12における各ペルチュ素子12p…には直流出力が供給される。
制御系Csには、各種制御を司るコントローラ39を備える。コントローラ39には電源ユニット38から直流出力が供給されるとともに、コントローラ39の出力ポートから出力する制御出力は電源ユニット38に付与される。また、冷却プレート11には、冷却プレート11の温度(現在温度)Tdを検出する温度センサ40を付設(埋設)し、温度センサ40の検出信号は、コントローラ39の入力ポートに付与される。さらに、コントローラ39には、前述した表示部34d及び操作部34kを接続する。これにより、冷却プレート11の現在温度Tdが予め設定された冷却温度Tsとなるように制御される温度制御手段13が構成される。このような温度制御手段13を構成することにより、最適な疼痛緩和装置1を容易かつ確実に実施することができる。
図6〜図9に、このような疼痛緩和装置1に用いる冷却ピース2の試験結果を示す。図6(a)及び図7(a)は、冷却ピース2を一定温度に冷却し、被験者の皮膚に押当てる時間を変えたときの皮膚表面の到達温度及び冷却ピース2を皮膚から離したときの皮膚表面温度の変化特性を示すとともに、図6(b)及び図7(b)は、押当てる時間を変えた場合の耐冷可能な被験者の割合を示す。なお、試験に使用した冷却ピース2は、銅材により直径30〔mm〕,厚さ10〔mm〕の大きさに形成した。
図6(a)は、−10〔℃〕に冷却した冷却ピース2を、被験者の膝に対して3〔秒〕間,6〔秒〕間及び9〔秒〕間にわたって当てた後に離間し、この後の皮膚表面温度を測定するとともに、図6(b)は、このときの耐冷可能な人数の割合を示している。また、図7(a)は、−15〔℃〕に冷却した冷却ピース2を、被験者の膝に対して3〔秒〕間,6〔秒〕間及び9〔秒〕間にわたって当てた後に離間し、この後の皮膚表面温度を測定するとともに、図7(b)は、このときの耐冷可能な人数の割合を示している。特に、図7(b)では、−15〔℃〕の冷却ピースを9〔秒〕間当てた場合、12〔人〕中、3〔人〕(25〔%〕)は、低温による痛みを感じるなど、我慢できないことを示している。それ以外の条件下では、全員我慢できた。
図8及び図9は、冷却ピースを押当てる時間を変えた場合に、皮膚を針状治具で押圧刺激した際に被験者がどの程度の押圧力で疼痛を訴えるかの試験結果を示す。この場合の冷却ピース2も、上記同様、銅材により直径30〔mm〕,厚さ10〔mm〕の大きさに形成したものを使用した。
図8は、−10〔℃〕に冷却した冷却ピース2を、被験者の膝に対して3〔秒〕間,6〔秒〕間及び9〔秒〕間にわたって当てた後に離間し、この後、先端が60〔°〕の円錐状の針状治具を押当て、疼痛を訴えたときの押圧力を測定するとともに、常温で疼痛を訴えたときの押圧力との百分率を示している。さらに、図9は、−15〔℃〕に冷却した冷却ピース2を、被験者の膝に対して3〔秒〕間,6〔秒〕間及び9〔秒〕間にわたって当てた後に離間し、この後、先端が60〔°〕の円錐状の針状治具を押当て、疼痛を訴えたときの押圧力を測定するとともに、常温で疼痛を訴えたときの押圧力との百分率を示している。図8及び図9から明らかなように、いずれの場合も疼痛緩和効果があることを示している。特に、−15〔℃〕の冷却ピースを9〔秒〕当てた際の疼痛緩和効果が大きくなっている。
このような図6〜図9に示す試験結果から、冷却ピース2の冷却温度は、−15〔℃〕よりも高くなるように選定するとともに、人体部位Hsに対して当てる時間は、概ね10〔秒〕以内が良好と思われる。この場合、冷却温度をあまり高くしたり或いは当てている時間をあまり短くする場合には、本来の疼痛緩和効果が得られなくなるため、基本的な冷却ピース2の冷却温度は、−15〜−5〔℃〕の範囲に選定するとともに、有効冷却時間は3〜10秒を目安とすることができる。なお、図7(b)に示すように、−15〔℃〕の冷却ピース2を9〔秒〕間当てた場合でも、12〔人〕中、9〔人〕は耐え得ることなどを考慮すれば、冷却温度は状況に応じて−20〜0〔℃〕の範囲まで許容され得るものと思われる。
次に、本実施形態に係る疼痛緩和装置1の動作及び使用方法について、図1〜図4を参照しつつ図5に示すフローチャートに従って説明する。
実施形態は、被使用者における疼痛を緩和する所定の人体部位Hsとして膝を例示し、この膝に注射(穿刺)する場合を想定する。まず、冷却装置3において、冷却ピース2…を冷却する冷却温度Tsを設定する(ステップS1)。この場合、冷却温度Tsとしては、前述したように、−15〜−5〔℃〕の範囲が望ましく、状況に応じて−20〜0〔℃〕の範囲まで許容される。冷却温度Tsの設定に際しては、操作部34kから入力することができる。
また、図1に示すように、必要数量の冷却ピース2…を冷却プレート11の上に並べて載置し、開閉カバー32を閉じて冷却を開始する。この際、温度センサ40により冷却プレート11の現在温度Tdが検出され、コントローラ39に付与される。コントローラ39では、検出された現在温度Tdが設定された冷却温度Tsとなるように温度に対するフィードバック制御が行われる(ステップS2)。この場合、コントローラ39の制御出力により各ペルチェ素子12p…の直流出力が可変制御される。そして、冷却プレート11の現在温度Tdが設定された冷却温度Tsに達したなら保冷モードに移行し、現在温度Tdは冷却温度Tsに維持(保持)される(ステップS3)。
一方、冷却ピース2…を使用する際には、図1に示すように、滅菌処理されている滅菌シート14sを準備する(ステップS4,S5)。この場合、滅菌シート14sは、熱伝導性の良好なアルミニウム箔等を利用し、冷却ピース2…を上から収容可能なカップ状に形成する。滅菌シート14sは、冷却ピース2…から人体部位Hsに対して雑菌が付着するのを防止する滅菌手段14を構成する。特に、このような滅菌シート14sを用いることにより、冷却ピース2側に滅菌手段14を設ける必要がなく、容易かつ低コストに実施できる利点がある。
そして、被使用者における冷却を行う人体部位(膝:患部)Hsをイソジン等の消毒溶液により消毒を行う(ステップS6)。次いで、図1に示すように、開閉カバー32を上方へ開き、冷却ピース2をピース収容部31iから取り出す(ステップS7)。取り出した冷却ピース2は、図1に示すように、滅菌シート14sにセットし(ステップS8)、この後、冷却ピース2がセットされた滅菌シート14sを人体部位Hsの皮膚面上に押当てて時間(有効冷却時間:設定時間)を監視する(ステップS9)。この場合、時間の監視は、特にタイマ等により厳密に計時する必要はなく、前述の試験結果から概ね3〜10秒を目安とすれば足りる。
一方、設定時間となる有効冷却時間が経過したなら冷却ピース2と滅菌シート14sを人体部位Hsから除去し、速やかに(有効時間内に)注射(医療処置)を行う(ステップS10)。この場合、冷却ピース2を人体部位Hsから除去した時から数秒以内に行うことが望ましい。この後、さらに、次の被使用者がいる場合には、ステップS5からステップS9を同様に繰り返せばよい(ステップS11)。なお、滅菌シート14sを例示したが、後述するように、滅菌袋から取出した冷却ピース2を、消毒した皮膚に直接押当ててもよいし、また、平坦状の滅菌シート14sを消毒した皮膚の上に保持した状態で冷却ピース2を押当ててもよい。
次に、本発明に係る疼痛緩和装置1の変更実施形態について、図10及び図11を参照して説明する。
図10は、冷却ピース2を手で間接的に持つことができるようにしたものである。図1に示した実施形態では、冷却ピース2を手で直接持つことができるが、図10は、保持具51を利用して間接的に持つことができるようにした。したがって、この場合、冷却ピース2に図2に示すようなグリップ22を取付けることなく、円盤状に一体に形成した金属製ブロックMmのみをそのまま冷却ピース2として使用することができる。即ち、図10に示すように、滅菌手段14として、冷却ピース2を収容する滅菌袋14cを用いた場合、予め滅菌処理した冷却ピース2を滅菌袋14cに収容して密閉し、かつこの状態で冷却を行うとともに、使用する時点で滅菌袋14cを開封して取り出す必要がある。したがって、冷却ピース2は、滅菌袋14cへの収容性を考慮してシンプルな形状にする必要があるとともに、滅菌袋14cから取り出した後は、冷却ピース2を人体部位Hsまで運ぶ必要がある。この際、冷却ピース2に対して雑菌が付着するのを防止する保持具51の利用が有効となる。なお、14cpは、滅菌袋14cの開封片を示している。
この保持具51は、図10に示すように、二本のレバー部材52,53の中間部を支軸部54により回動自在に結合し、一方側を手で握ることができる柄部52g,53gとして形成するとともに、他方側における一方のレバー部材52の先端面にマグネット55を固定し、かつ他方のレバー部材53の先端部位に押出部材56を支持して構成したものである。この場合、押出部材56は、U形に形成し、中間位置がレバー部材53の先端部位に回動自在に支持されるとともに、両端側は、マグネット55の両側に位置する一対の押出ピン部56p…となる。そして、各押出ピン部56p…は、レバー部材52の先端部位に回動自在に設けた軸受部57…により支持される。また、各押出ピン部56p…における各軸受部57…の前後位置には、大径に形成したストッパ部58f…,58r…を設けるとともに、柄部52gと53g間にはスプリング59を介在させる。これにより、各押出ピン部56p…の変位範囲が規制されるとともに、各押出ピン部56p…はマグネット55に対して引込方向に付勢される。
よって、このような保持具51は、柄部52g,53gを強く握らなければ、図10に実線で示すように、冷却ピース2をマグネット55に吸着して運ぶことができる。一方、柄部52g,53gを強く握れば、図10に仮想線で示すように、押出ピン部56p…がマグネット55の前方まで押出される。この結果、冷却ピース2も押出されることによりマグネット55から離間し、人体部位Hs上に載置することができる。したがって、この場合には、滅菌シート14s等を介在させることなく、直接人体部位Hsに冷却ピース2を当接でき、より冷却効果を高めることができる利点がある。なお、保持具51の保持手段としてマグネット55を例示したが、電磁石,真空吸着,機械的挟持手段等の各種保持手段を適用できる。
図11は、冷却装置3に、冷却ピース2…に対して霜(結露)が付着するのを防止する霜付防止手段15を設けたものである。即ち、冷却装置3における冷却ピース2…を収容するピース収容部31iを密閉空間に構成するとともに、この密閉空間にドライエア供給装置61からドライエア(低露点圧縮空気等)Adを供給できるように構成した。なお、ドライエアAdの代わりに窒素ガス等の不活性ガスの利用も可能である。これにより、冷却ピース2…はドライエアAdの環境下に置かれ、冷却ピース2…に霜(水分)が付着する不具合が回避される。なお、図11中、62は冷却プレート11に設けたドレン孔、63はピース収容部31iの周りを囲む側面壁部、63cは側面壁部63の上端開口を覆う開閉カバーを示す。その他、図4と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
よって、このような本実施形態に係る疼痛緩和装置1によれば、冷却ピース2…と冷却装置3の組合わせにより構成するため、冷却ピース2は、基本的に一部を蓄冷材料Mにより形成すれば足りる。したがって、冷却ピース2の小型化や形状的な設計自由度は制限なく実現可能となり、狭い部位等に対する局部的な冷却も容易となるなど、冷却部位に対する汎用性を高めることができるとともに、十分な医療処置が可能となる。しかも、従来のように、冷却ピース側から温風が放出されるなどの不具合は生じないため、被使用者に対して不快感を与える虞れは全くない。また、一台の冷却装置3により多数の冷却ピース2…を冷却できるため、一時的に被使用者が集中した場合においても柔軟かつ臨機応変に対応することができる。即ち、一台の疼痛緩和装置1により多人数に対応できるため、大幅なコストの削減を実現できるとともに、設置スペースや保管スペースの確保が不要となる。さらに、冷却ピース2…は再利用が可能なため、ランニングコストの低減にも寄与できる。加えて、冷却ピース2…と冷却装置3は完全に別体となるため、冷却ピース2を人体部位Hs上に単に載置するのみで使用可能になるなど、使用が容易となり、使い勝手(利便性)に優れる。したがって、特に注射等のように短時間に多数の医療処置を行う用途に最適となる。
以上、最良の実施形態(変更実施形態)について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、冷却ピース2…は、銅材を用いた金属製ブロックMm(Mms)を用いた場合を例示したが、アルミニウム等の他の金属材料をはじめ、金属材料以外の任意の蓄冷材料を用いることができる。また、サーモモジュール12としてペルチェ素子12p…を用いた場合を例示したが、冷却装置3に内蔵するため、冷凍サイクルやスターリング冷凍等の他の冷却手段を用いることもできる。さらに、冷却方法として冷却プレート11により直接冷却する方法を示したが、冷却ボックス内に冷却空気等を供給する方法、冷却水槽(不凍液水槽)等を利用する方法等も適用可能である。一方、滅菌手段14は、蒸気滅菌,EOガス滅菌,滅菌薬の塗布等、他の任意の公知手段の利用を排除するものではないとともに、霜付防止手段15も、ピース収容部31iに除湿剤(シリカゲル等)を収容するなど、他の任意の公知手段の利用を排除するものではない。また、疼痛緩和装置1の用途としては、皮下注射,筋肉注射,膝間接穿刺等の医療処置(治療)、感覚神経の麻痺を利用して注射針を刺すなどの医療処置、疼痛のある患部を冷却する医療処置(治療)など、疼痛を緩和することを目的とした各種用途や人体部位に利用することができる。なお、ペルチェ素子12p…は、通電極性を反転させることにより冷熱作用を反転、即ち、冷却プレート11を加熱することができる。この場合、冷却ピース2を利用して人体部位Hsを加熱することも可能となり、本発明における冷却とは、用途によって加熱も含む概念である。
1 疼痛緩和装置
2… 冷却ピース
3 冷却装置
11 冷却プレート
12 サーモモジュール
13 温度制御手段
14 滅菌手段
14s 滅菌シート
14c 滅菌袋
15 霜付防止手段
Hs 人体部位
M 蓄冷材料
Mm 金属製ブロック
Mms 金属製ブロック
2… 冷却ピース
3 冷却装置
11 冷却プレート
12 サーモモジュール
13 温度制御手段
14 滅菌手段
14s 滅菌シート
14c 滅菌袋
15 霜付防止手段
Hs 人体部位
M 蓄冷材料
Mm 金属製ブロック
Mms 金属製ブロック
Claims (7)
- 所定の人体部位を冷却して疼痛を緩和する疼痛緩和装置において、前記人体部位に対して面接触により当接可能に形成し、かつ直接又は間接的に手で持つことができるとともに、少なくとも一部を蓄熱材料により形成した一又は二以上の冷却ピースと、一又は二以上の前記冷却ピースを予め設定した冷却温度に冷却する冷却装置とを備えることを特徴とする疼痛緩和装置。
- 前記冷却ピースは、少なくとも前記人体部位に対して面接触により当接する部分を金属製ブロックにより形成することを特徴とする請求項1記載の疼痛緩和装置。
- 前記冷却装置は、前記冷却ピースの一又は二以上を載置可能な冷却プレートと、この冷却プレートを冷却するサーモモジュールと、前記冷却プレートを前記冷却温度に制御する温度制御手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の疼痛緩和装置。
- 前記冷却ピースから前記人体部位に対して雑菌が付着するのを防止する滅菌手段を備えることを特徴とする請求項1記載の疼痛緩和装置。
- 前記滅菌手段には、前記所定部位と前記冷却ピース間に介在させる滅菌シートを用いることを特徴とする請求項4記載の疼痛緩和装置。
- 前記滅菌手段には、滅菌処理した前記冷却ピースを収容する滅菌袋を用いることを特徴とする請求項4記載の疼痛緩和装置。
- 前記冷却装置は、前記冷却ピースに対して霜が付着するのを防止する霜付防止手段を備えることを特徴とする請求項1記載の疼痛緩和装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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