JP6440493B2 - 刺激付与装置 - Google Patents

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Description

本発明は、使用者の皮膚、特に、いわゆる目元部分の皮膚、に対し所定のリラクセーション効果を与える刺激付与装置に関する。
なお、本発明で刺激付与の対象として特に例示する「眼の周囲」の皮膚とは、眼の左右側方や上下を取り囲む皮膚部位にとどまらず、眼を閉じた状態で眼を覆って眼の前方に位置する、上下まぶた部分の皮膚も含むものとして取り扱う。
使用者の顔等の肌(皮膚)に対し所定の美容・美肌に係る刺激や、リラクゼーション効果に繋がる刺激を付与する装置は、家庭で用いられる簡易な単機能、低出力のものから、業務用として用いられる多機能、高出力のものまで、様々な種類のものが利用されている。こうした装置のうち、家庭等で用いられる簡易なものとしては、皮膚を冷したり加熱したりするもの、皮膚に対し吸引を行うもの、皮膚にスチームやミストを当てるもの、皮膚に光を照射するもの、皮膚に超音波による振動を伝えるもの、皮膚に微弱電流を流してイオン導入(イオントフォレーシス)を行うもの、あるいは、皮膚に微弱電流を流して微細な汚れを除去(クレンジング)するものなどが一般的に使用されている。
特に、近年、使用者の眼前に保持した器具でスチーム(ミスト)を発生させ、そのスチームが眼の周りの皮膚に当たるようにして、スチームの保有する熱で皮膚をゆっくり温めながら、皮膚の乾燥を抑え、潤いを与えるものが知られている。こうした従来の装置の一例として、特開2011−244922号公報に開示されるものがある。
特開2011−244922号公報
従来の刺激を付与する装置は前記特許文献に示される構成となっており、スチーム(ミスト)として蒸発させる水を発熱体等の加熱手段で加熱し、スチームを発生させる機構を有する他、別途ヒータ等で温められ、直接皮膚に接して温熱を付与する伝熱部分を有している。
使用の際には、通常、装置の皮膚への当接部分を対象となる眼の周りの皮膚に当てた上で、皮膚に対しスチームを発生させたり、ちょうど眼の下の皮膚に接するように位置する伝熱部分を温めるなどして、皮膚に温熱の刺激を与える操作を使用者が行うこととなる。
ミストによる温熱付与と皮膚接触部分からの直接的な温熱付与は同時に実行させることができ、特にミストを発生させた場合、皮膚に湿りを与え乾燥を防止しつつ温熱を付与できるものの、ミストを介し間接的に熱が伝わる範囲については、直接熱を伝える伝熱部分と比べて使用者が温熱を感じるまで時間がかかり、温熱の付与においてミスト部分と直接熱を伝える伝熱部分との差異が大きく、違和感を生じさせやすいという課題を有していた。
また、皮膚への直接的な温熱付与の実行いかんに関わりなく、眼の下側部分には伝熱部分が接していることから、ミストを発生させる場合に、この部分の皮膚にはミストが到達しにくく、この眼の下側の皮膚に湿りを与える効果が弱くなるという課題を有していた。
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、使用者の眼の周囲の皮膚に対し、湿潤状態を維持しながら、伝熱部の温度変化による刺激が最短経路で加わる状態が得られ、機能に対応した必要最小限の構成で、使用者の皮膚に適切なリラクセーション効果を最大限与えられるようにする刺激付与装置を提供することを目的とする。
本発明の開示に係る刺激付与装置は、使用者の顔における眼及び眼の周辺の皮膚を被覆して配置され、所定の刺激を使用者の少なくとも眼の周辺の皮膚に付与する刺激付与装置において、顔に面する側が顔の眼周囲部分の表面形状にほぼ沿った曲面形状とされ、眼及び眼周囲部分の正面側に位置する装置本体部と、当該装置本体部の眼に対向する部位に設けられる熱伝導性材料製の伝熱部と、当該伝熱部に対し熱伝導可能に接触して装置本体部に内蔵され、使用者の操作に基づいて温度調整される熱源部と、所定の保湿用液を保持可能な多孔質材製で薄いシート状又は板状に形成され、前記保湿用液を保持した状態で前記伝熱部近傍に着脱可能として配設される液保持体とを備え、前記伝熱部が、液保持体を伝熱部近傍に配設した状態では、眼の周囲の皮膚に対し、前記液保持体を介して近接し、前記熱源部が温度調整されると、熱源部と伝熱部との間での熱伝導に伴って伝熱部が所定温度に変化し、当該伝熱部の温度変化により、伝熱部と皮膚との間でも熱伝導を生じて、当該熱伝導に伴う刺激を皮膚に付与可能とするものである。
このように本発明の開示によれば、装置本体部の顔に面する側に設けた伝熱部近傍に液保持体を配設し、熱源部で生じさせた温度変化を伝熱部に伝え、さらに液保持体及びこれに保持される保湿用液を介して、伝熱部と皮膚との間で熱伝導を生じさせ、温度変化に基づく刺激を眼の周囲の皮膚に付与することにより、伝熱部から皮膚へ、又は皮膚から伝熱部へ熱が伝わる状況で、伝熱部と皮膚との間に介在する液保持体に保持された保湿用液が、眼の周囲に湿分の十分に存在する環境を維持することとなり、眼の周囲の皮膚の乾燥を防ぎながら熱源部の温度変化に基づく刺激を皮膚に与えられ、皮膚への美容面での影響を避けつつ、皮膚、さらにその奥の眼や眼の周りの筋肉等への刺激によるリラクセーション効果を適切に発揮させられる。
また、本発明の開示に係る刺激付与装置は必要に応じて、前記装置本体部の伝熱部周辺位置に配設される保持用部材を備え、前記液保持体が、前記保持用部材と装置本体部及び/又は伝熱部との間に着脱可能に挟持されて、前記伝熱部近傍への配設状態とされるものである。
このように本発明の開示によれば、装置本体部の伝熱部周囲位置に保持用部材を配設し、保持用部材を用いて液保持体を挟持して伝熱部近傍に配設することにより、液保持体を挟持して伝熱部に対し外れにくい状態で保持することができ、伝熱部に対し液保持体を配置する作業がより容易に行え、使用者の使い勝手を向上させられると共に、伝熱部と皮膚との間に液保持体を確実に位置させられ、皮膚周囲に保湿用液を存在させて皮膚の乾燥を防ぐ状態を確保できる。
また、本発明の開示に係る刺激付与装置は必要に応じて、前記伝熱部が、装置本体部で左右の眼及び眼の周囲所定範囲の皮膚にそれぞれ対向する配置として左右に二つ配設され、前記保持用部材が、少なくとも一部を左右の伝熱部間に収まる形状とされ、装置本体部の顔に面する側における中央部で装置本体部に係合して装置本体部に対し着脱可能に配設され、前記液保持体が、左右の伝熱部をそれぞれ覆う大きさとして配置され、少なくとも中央部分を保持用部材と装置本体部との間に挟持されて各伝熱部の表面に沿って保持されるものである。
このように本発明の開示によれば、左右の眼に対応させてそれぞれ配設される二つの伝熱部に対し、保持用部材を伝熱部間に配置可能な形状とし、保持用部材が装置本体部中央部に係合されると、液保持体を装置本体部との間に挟持し、液保持体を伝熱部近傍に位置させることにより、液保持体を装置本体部の少なくとも中央部と保持用部材間に挟持して簡略に支持しつつ、液保持体を伝熱部表面に密着した状態に確実に保持でき、伝熱部と液保持体及びこれに保持される保湿用液との間の熱伝導を無理なく生じさせられ、皮膚に温度変化に基づく刺激を効率よく付与できる。また、保持用部材は装置本体部の中央部と係合して適切に液保持体を保持でき、液保持体の配置に係る装置本体部及び保持用部材の構造を簡略化してコストダウンが図れる。加えて、液保持体を、その一部のみ保持用部材と装置本体部との間に挟み込むようにして伝熱部表面に位置させられることで、配設後の液保持体への保湿用液導入も容易に行え、使い勝手の点でも優れる。
さらに、保持用部材を着脱可能とすれば、液保持体を用いずに伝熱部を皮膚に当接させ、伝熱部から直接熱を伝える際に、保持用部材を取り付けて併用する場合と保持用部材を取り外して併用しない場合とを適宜選択でき、保持用部材の着脱で伝熱部と皮膚との接触位置関係を調整でき、装着感向上も図れる。
また、本発明の開示に係る刺激付与装置は必要に応じて、前記伝熱部が、装置本体部で左右の眼及び眼の周囲所定範囲の皮膚にそれぞれ対向する配置として左右に二つ配設され、前記保持用部材が、外力を加えると弾性変形可能な素材で形成され、前記装置本体部の顔に面する曲面形状部分に沿う形状とされ、装置本体部の顔に面する側における所定箇所で装置本体部に係合して装置本体部に対し着脱可能に配設され、前記液保持体が、左右の伝熱部をそれぞれ覆う大きさとして配置され、少なくとも端部を保持用部材と装置本体部との間に挟持されて各伝熱部の表面に沿って保持されるものである。
このように本発明の開示によれば、左右の眼に対応させてそれぞれ配設される二つの伝熱部に対し、保持用部材を装置本体部の顔に面する曲面形状部分に沿う形状とし、保持用部材が装置本体部所定箇所に係合されると、液保持体を装置本体部側に弾性力で押し付けつつ挟持し、液保持体を伝熱部近傍に位置させることにより、液保持体を装置本体部と保持用部材間に挟持して簡略に支持しつつ、液保持体を伝熱部表面に密着した状態に確実に保持でき、伝熱部と液保持体及びこれに保持される保湿用液との間の熱伝導を無理なく生じさせられ、皮膚に温度変化に基づく刺激を効率よく付与できる。また、保持用部材は装置本体部の曲面形状部分に沿って嵌り込む状態となって、一部のみの係合でも装置本体部から外れにくく、適切に液保持体を保持でき、液保持体の配置に係る装置本体部及び保持用部材の構造を簡略化してコストダウンが図れると共に、係脱位置を必要最小限として、使用者の取扱いやすさを向上させられる。さらに、保持用部材を着脱可能とすれば、液保持体を用いずに伝熱部を皮膚に当接させ、伝熱部から直接熱を伝える際に、保持用部材を取り付けて併用する場合と保持用部材を取り外して併用しない場合とを適宜選択でき、保持用部材の着脱で伝熱部と皮膚との接触位置関係を調整でき、装着感向上も図れる。
また、本発明の開示に係る刺激付与装置は必要に応じて、前記熱源部が、使用者の操作に基づいて、少なくとも伝熱部との接触部分の温度を上下させて、伝熱部を温める状態と、伝熱部を冷やす状態とを選択切替可能とされ、前記熱源部が伝熱部を温める状態で、伝熱部から皮膚への熱移動を生じさせて皮膚を温め、前記熱源部が伝熱部を冷やす状態で、皮膚から伝熱部への熱移動を生じさせて皮膚を冷やすものである。
このように本発明の開示によれば、熱源部が伝熱部との接触部分の温度を上げて伝熱部を温め、伝熱部が液保持体及びこれに保持される保湿用液を介して皮膚へ向けて熱を移動させる状態と、熱源部が伝熱部との接触部分の温度を下げて伝熱部を冷やし、伝熱部が液保持体及び保湿用液を介して皮膚から伝熱部へ熱を移動させる状態とを適宜切替えられ、皮膚の加温や冷却を可能とすることにより、加温の場合には、伝熱部が温まった液保持体や保湿用液を通じて熱を移動させて皮膚を温め、血行を促進する等の効果を与えることができる。逆に、冷却の場合には、伝熱部が冷えた液保持体や保湿用液を通じて熱を移動させて皮膚を冷やし、温熱の場合とは異なる刺激を皮膚に与えられ、冷却による鎮静や緊張緩和等の作用に基づき、皮膚をリラックスさせる効果が期待できる。
また、本発明の開示に係る刺激付与装置は必要に応じて、前記熱源部が、熱源部他部分での吸熱に伴って得られる熱を、伝熱部との接触部分での発熱により伝熱部に伝える伝熱部側発熱状態と、熱源部他部分での発熱に伴って排出する熱を、伝熱部との接触部分での吸熱により伝熱部から奪う伝熱部側吸熱状態とを切替可能とされ、熱源部が、前記伝熱部側発熱状態を所定時間継続して伝熱部を温め、伝熱部から皮膚への熱移動を生じさせた後、前記伝熱部側吸熱状態に移行して伝熱部を冷やし、皮膚から伝熱部への熱移動を生じさせる、一連の調整過程を少なくとも含むように温度調整されるものである。
このように本発明の開示によれば、熱源部の伝熱部との接触部分における発熱と吸熱とを切替可能とし、熱源部が伝熱部側発熱状態となって伝熱部を温め、温度変化した伝熱部から液保持体及びこれに保持される保湿用液を介して皮膚に熱を伝え、皮膚を温めた後に、熱源部を伝熱部側吸熱状態として伝熱部を冷やし、温度変化した伝熱部へ液保持体及び保湿用液を介して皮膚から熱を移動させ、皮膚を冷やすようにして、皮膚に温と冷の刺激を続けて付与することにより、液保持体を皮膚に接触させ、保湿用液が皮膚に液体又は気体の状態で接触可能な状態を保ち、皮膚の湿り状態を維持したまま、加温に伴う刺激と、それに続いて前と異なる冷却に伴う刺激を皮膚に与えるなど、大きな温度変化を皮膚に生じさせられ、加温による皮膚の血行促進等の効果を確保しつつ、冷却による皮膚の緊張緩和等の効果をより一層強化でき、眼や眼の周りの皮膚のリラックス状態への移行を促せることとなる。
また、熱源部は、伝熱部との接触部分が発熱状態の場合に他部分では吸熱状態にあり、逆に伝熱部との接触部分が吸熱状態であれば他部分では発熱状態となるものであり、伝熱部全体で見ると相殺可能な正負の温度変化を各々生じさせる熱源機構を有して、伝熱部側発熱状態から伝熱部側吸熱状態へ移行する際など、以前の状態を終了して異なる温度変化状態に切り替わる場合に、自然に伝熱部全体で温度差を小さくしようとする変化を生じることから、前の温度状態が維持されにくく、速やかに温度を変化させられ、皮膚への温度変化に基づく刺激を迅速に付与でき、刺激による効果を高められる。
本発明の第1の実施形態に係る刺激付与装置の斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る刺激付与装置の平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る刺激付与装置のブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る刺激付与装置の液保持体不使用状態説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る刺激付与装置における皮膚への伝熱部接触を伴う使用状態説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る刺激付与装置における液保持体の配設状態説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る刺激付与装置の液保持体使用状態説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る刺激付与装置における皮膚への液保持体接触を伴う使用状態説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る刺激付与装置における加温モードでの伝熱部温度の変化状態説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る刺激付与装置における冷却モードでの伝熱部温度の変化状態説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る刺激付与装置における加温及び冷却モードでの伝熱部温度の変化状態説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る刺激付与装置における第1の他例の液保持体支持状態説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る刺激付与装置における第2の他例の液保持体支持状態説明図である。
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る刺激付与装置を前記図1ないし図11に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る刺激付与装置1は、使用者の顔における眼及び眼周囲部の正面側に装着され、眼及び眼周囲部の皮膚を被覆して配置される装置本体部10と、この装置本体部10の眼に対向する部位に設けられる熱伝導性材料製の伝熱部20と、この伝熱部20に対し熱伝導可能に接触して装置本体部10に内蔵される熱源部30と、伝熱部近傍に着脱可能として配設される多孔質材製の液保持体40と、装置本体部10の伝熱部周辺位置に着脱可能として配設される保持用部材としてのスペーサ50とを備える構成である。
前記装置本体部10は、左右一体のゴーグル状に使用者の左右の眼及び眼の周囲を前方から覆う形状として形成され、顔に面する側が顔の眼周囲部分の表面形状にほぼ沿って湾曲した曲面形状とされてなり、左右端部から後頭部側へ回して設けられるバンド部11の締め付け力で使用者の眼前に装着保持されるか、又は、使用者が仰向けに寝た姿勢で眼前に載置保持される構成である。
この装置本体部10は、プラスチック等からなる硬質の筐体を有しており、その顔に面する側の中央には、鼻の形状に合わせて凹部が設けられ、顔面へのフィット性を高めた形状とされる。この装置本体部10の内部には、前記熱源部30の他、制御部12等の電気回路や電源としての電池13が配設される。なお、この装置本体部10には、バイブレータ等の振動源を内蔵して、眼の正面側に装着して温度変化に基づく刺激付与に使用する際に、同時に別の刺激として皮膚70に振動を付加可能とすることもできる。
また、装置本体部10における上面側には、使用者の入力操作を受けて熱源部30の作動のON、OFFや作動の種類、強弱等を切換える操作部14が配設される。この操作部14としては、電源のON、OFFを切替える電源スイッチ14aと、伝熱部20の温度変化など装置作動状態を切替えるモード切替スイッチ14bと、伝熱部20が温度変化する度合いの調整を行うための温度調整スイッチ14cとが配設される。
この装置本体部10については、熱源部30における温度変化の影響が、熱伝導により装置本体部の表面に直接及ぶことのないように、筐体は熱を伝えにくい素材製とするのが好ましい。
そして、装置本体部10における使用者の左右の眼及びその周囲の皮膚に対向する部位には、伝熱部20がそれぞれ配設されると共に、この伝熱部20の周囲には、枠状のスペーサ50が着脱可能とされる(図2、図4、図6参照)。
前記伝熱部20は、金属等の良熱伝導性を有する材質からなり、中央部分に眼を閉じた状態での上下まぶたとの接触圧力を弱くしてこれらとの強い当たりを防ぐための凹部21を設けられる一方で、眼の周りの皮膚70に面接触可能な緩やかな曲面を組み合わせた略板形状とされ、装置本体部10における眼とその周りの皮膚に対向する左右所定範囲の部位にそれぞれ配設される構成である。二つの伝熱部20は、装置本体部10内で熱源部30と熱伝導可能に接触して配設されており、熱源部30の伝熱部寄り部分が発熱状態の場合は熱源部30に温められて温度が上昇し、逆に吸熱状態の場合は熱源部30に冷やされて温度が低下する仕組みである。
この伝熱部20を用いて眼の周囲の皮膚を温めたり冷やしたりする場合には、あらかじめ伝熱部20の近傍に水等の保湿用液を保持した液保持体40を配設(図6参照)した上で、使用者が本装置を眼前に保持された状態とし、伝熱部20を眼の周囲の皮膚に対し液保持体40を介して近接させる。なお、液保持体40を配設せずに本装置を用いて、伝熱部20を直接、眼の周辺の皮膚70に接触させるようにすることもできる(図4、図5参照)。
そして、制御部12の制御により熱源部30を作動させ、熱源部30がその伝熱部寄り部分を発熱又は吸熱状態へ移行させて、熱源部の温度が変化、調整されると、熱源部30と伝熱部20との間で熱伝導が生じ、この熱伝導に伴って伝熱部20も温度変化する。この伝熱部20の温度変化により、伝熱部20と皮膚との間でも熱伝導を生じて、この熱伝導に伴う刺激を皮膚に付与可能とする仕組みである。皮膚では、伝熱部20の温度変化を、液保持体40及び保湿用液の温度の変化として、あるいはそのまま伝熱部20の温度変化として、直接、皮膚で感じる状態となる。
前記熱源部30は、通電により吸熱及び発熱するデバイスであり、金属等からなる伝熱部20に対し熱伝導可能に接触して装置本体部10に内蔵される構成である。具体的には、熱源部30自体は、公知のペルチェ素子を用いたものであり、詳細な説明を省略する。
この熱源部30は、装置本体部10内で制御部12と電気的に接続されており、使用者の操作に基づく制御で通電状態を調整され、発熱及び吸熱状態となる各部位の温度を調整される。
熱源部30は、通電により温度を変化させる一方の面を、伝熱部20と接触させている。この伝熱部20と接する面側を、制御部12による制御の下、発熱状態又は吸熱状態として、伝熱部20を温める、又は冷やす仕組みである。
より詳細には、熱源部30は、伝熱部20の中心に近い部位で伝熱部20と接しており、この伝熱部の熱源部30と接する部位は、伝熱部20における使用者の眼正面にちょうど位置する部位の裏側に位置することから(図5、図8参照)、伝熱部20を通じての熱源部30と眼の周囲の皮膚70との間の熱移動を効率よくスムーズに行わせることができ、伝熱部20による皮膚への液保持体40を介しての、又は伝熱部20から直接の加温又は冷却を、いずれも迅速に実行させられる。
ペルチェ素子である熱源部30は、通電により継続して発熱状態及び吸熱状態となっていることで、伝熱部20と液保持体40又は皮膚との間で熱の移動が進行する場合でも、制御部12の調整による以外の熱源部側の温度変化はほとんどなく、伝熱部20や液保持体40の温度を維持でき、皮膚の加温や冷却に従来から簡易的に用いられてきた蒸しタオルやおしぼりのように、周囲雰囲気との間の熱移動により温度を維持できずに加温や冷却の効果が下がるような変化を生じず、使用者に温かさや冷たさの変化を感じさせない。
加えて、熱源部30はペルチェ素子であることから、伝熱部の温度モード変更のために発熱状態と吸熱状態とを切り替えると、通電方向(極性)が切替わり、それまで発熱状態にあった箇所が吸熱状態に、また、それまで吸熱状態にあった箇所が発熱状態に変化し、速やかに温度を変化させるため、以前の温度状態が継続することはなく、発熱や吸熱に伴う温度調整で制御目標温度に達するまでの時間、すなわち、温度変化に要する時間を極めて短くすることができる(図11参照)。
さらに、ペルチェ素子である熱源部30は、通電開始時の温度変化が速やかであることに加え、伝熱部の加温又は冷却を終える際も、通電を終了すると、通電に伴う発熱や吸熱で生じた各部の温度差を素子全体で自然に解消して平衡状態になろうとするため、通電時の温度状態が継続しにくく、従来のヒータ等の熱源を用いる場合(図9の「比較例温度」参照)に比べ温度変化が迅速となっており、通電終了後は各部位で温度を変化させて、速やかに周囲雰囲気の温度に近付くことから、使用者に加温又は冷却が終了したことを明確に認識させられ、装置の取り扱いを容易にすることができる(図9、図10参照)。
具体的には、図9に示すように、本実施形態の伝熱部20の温度(図9の「伝熱部温度」参照)は、熱源部30の発熱による伝熱部20の加熱開始直後から速やかに上昇して、目標温度(約38℃)近傍に達し、その後は当該温度を維持する。そして、熱源部の発熱停止時点(加熱開始から10分経過時点)以降は、急速に温度を低下させることが可能となっている。一方、比較例として従来のヒータを熱源として用いた場合(図9の「比較例温度」参照)は、目標温度(約40℃)近傍に達するのにより時間がかかっている上、熱源の発熱停止時点(加熱開始から12分経過時点)以降の、温度低下の度合いも緩やかなものとなっている。
なお、熱源部30をなすペルチェ素子は、吸熱により伝熱部20を冷却する場合、伝熱部20から遠い反対側を逆の発熱状態とし、この発熱側の温度を上昇させるため、適切な放熱で過剰な温度上昇を抑えられるように、ヒートシンク15等の放熱用の機構を併設している。
前記液保持体40は、例えばティシュペーパー、コットンパフ等のシート状の多孔質体であり、多孔質に基づく各部の空隙部分に保湿用液(例えば、水)を保持可能な構成である。この液保持体40は、伝熱部20近傍に配設され、装置本体部10を眼及び眼周囲部の正面側に位置させて装置を装着使用する状態で、伝熱部20と眼との間に位置して眼の周囲の皮膚に接触する。
この液保持体40は、伝熱部20表面に添う配置とされ、伝熱部20の温度変化が伝わるようになっており、保湿用液を吸収放出可能に各部に保持する液保持体40と伝熱部20との間で熱伝導が生じることで、液保持体40と保湿用液も温度を変化させる。例えば、伝熱部20の温度が上昇し、液保持体40と保湿用液を加熱する場合、熱伝導により液保持体及び保湿用液の温度も上昇し、昇温した液保持体及び保湿用液と、液保持体の接する皮膚との間でも熱伝導が生じ、皮膚に温熱が伝わることとなる。
この液保持体40としては、皮膚に接する表面が過度に違和感を感じさせない柔軟性を有するものであれば、全体としては可撓性を有さない板状の多孔質体を用いることもできる。
前記スペーサ50は、外力を加えると弾性変形可能な硬質の合成樹脂材で形成され、装置本体部10の顔に面する側の凹状の曲面形状部分に沿うと共に左右の伝熱部20をそれぞれ枠状に取り囲む形状とされ、装置本体部10に対し着脱可能に配設される構成である。
このスペーサ50は、装置本体部10の顔に面する側の、左右の伝熱部に挟まれた中央部、すなわち、使用者の鼻の前方に位置する部位で装置本体部10に係合して、着脱可能に取り付けられる。スペーサ50を装置本体部10に着脱可能に係合させる機構としては、例えば、スペーサ50の中央部と装置本体部10の中央部にそれぞれ設けられた磁石同士あるいは磁石と磁性材との吸引力による接合の機構を採用することができる。また、液保持体が左右の伝熱部ごとに分かれた形状とされ、スペーサ50の中央部と装置本体部10の中央部とが直接接触可能となる場合には、スナップフィット型の嵌合機構も採用することができる。
伝熱部近傍に液保持体40を位置させた状態で、スペーサ50を装置本体部10に取り付け、伝熱部周囲に位置させると、液保持体40がスペーサ50と装置本体部10との間に挟持され、液保持体40を伝熱部近傍に固定保持できる仕組みである。
この装置本体部10への取付け状態で、スペーサ50は、弾性変形して装置本体部10の顔に面する側の湾曲した曲面形状に沿って液保持体40を挟持しつつ、弾性力で装置本体部10の凹状の曲面部分に適度に嵌り込む状態となり、装置本体部10の中央部のみへの係合で装置本体部10からは容易に外れにくく、適切に液保持体40を保持することができる。なお、スペーサ50の中央部と装置本体部10の中央部とを係合させる機構が比較的強力で、それのみで液保持体を確実に挟持可能な場合には、スペーサを装置本体部に嵌り込むような弾性変形が起きない形状としてもかまわない。
液保持体40を用いない場合には、スペーサ50を装置本体部10に取り付けるか否かを適宜選択でき、装置本体部10をスペーサ50が外された状態で使用することもできる。液保持体40を用いない場合、伝熱部20が眼の周囲の皮膚70に直接接触して、伝熱部20と皮膚との間で直接熱伝導が生じるが、これに際し、スペーサ50は装置本体部10と眼の周囲の皮膚との位置関係を調整することを目的として使用されることとなる。スペーサ50は、顔面形状の個人差により、スペーサ50を取り付けた方が伝熱部20と皮膚とを適切に接触させられる場合や、逆にスペーサ50を取り付けない方が伝熱部20と皮膚とを適切に接触させられる場合にそれぞれ対応して、装置本体部10に対し着脱されることとなる。
液保持体40を用いない場合、装置本体部10を眼及び眼周囲部の正面側に位置させると、伝熱部20は、眼の周辺部分の皮膚に伝熱可能に直接接触するが、伝熱部20の眼に対向する部位には前方へ凹んだ凹部21が設けられていることから、伝熱部20が閉じた上下まぶたの皮膚に軽く接するか、伝熱部20とまぶたとの間にわずかに隙間が生じて、まぶたの皮膚と伝熱部20が直接接触しない状態(図5参照)となる。
こうした液保持体40を介在させず伝熱部20を眼の周囲の皮膚に直接接触させて用いる場合で、スペーサ50を装置本体部10に取り付けなくても、伝熱部20と皮膚とを適切に接触させられるのであれば、装置本体部10をスペーサ50が取り外された状態のまま取り扱うこともでき、スペーサを外した分、軽量で取扱い性に優れ、持ち運びも容易である。
液保持体40を用いない場合に、伝熱部20は眼の周囲の皮膚に広く接触する構成としているが、これに限られるものではなく、伝熱部20は、眼の周辺部分のうち少なくとも眼より下側の部分の皮膚にのみ直接接触する構成とすることもでき、いわゆる目もとで特に目立つ眼の下側部分の皮膚を少なくとも対象とすれば、皮膚への加温や冷却による美容効果を期待できる。
スペーサ50の装置本体部10への取付けに際しては、保湿用液を染み込ませ保持させた液保持体40を、伝熱部20表面に沿うようにして伝熱部20近傍に位置させ、液保持体40をスペーサ50と装置本体部10との間に挟み込むようにしつつ、スペーサ50を取り付けることとなる。液保持体40の配置に係る装置本体部10及びスペーサ50の構造は簡略であり、液保持体40を簡略な支持状態で伝熱部近傍に位置させて伝熱部20からの熱で温度変化させられ、コストを抑えられる。また、液保持体40の伝熱部近傍への配設や液保持体40への保湿用液導入は容易に行え、使用者にとって取扱いやすく、使い勝手に優れる。
前記制御部12は、装置本体部10に内蔵され、使用者の操作部14への入力操作を受けて、熱源部30への通電による伝熱部20における温度変化を、それぞれ制御するものである。
制御部12は、伝熱部から皮膚への温度の伝わり方や伝熱部の温度の異なる複数の作動モードを設定しており、本実施形態においては、液保持体40及び保湿用液を介して熱伝導を生じさせる場合は、加温のみのモード、冷却のみのモード、並びに、加温の後、冷却を行うモードを、それぞれ実行制御可能となっている。
加温のみのモードでは、制御部12は熱源部30を伝熱部側において発熱状態となるよう通電制御する。また、冷却のみのモードでは、制御部12は熱源部30を伝熱部側において吸熱状態となるよう通電制御する。一方、加温の後、冷却を行うモードでは、制御部12は熱源部30を所定時間発熱状態とした後、通電状態を切替えて、伝熱部側で吸熱状態となるよう制御し、伝熱部20の温度を低下させる。
これら各モードの切替えは、操作部14のモード切替スイッチ14bに対する使用者の入力操作に基づいて行われる。刺激付与装置1の電源投入直後、使用者が最初にモード切替スイッチ14bを操作すると、制御部12は複数のモードのいずれかを実行可能な状態となる。
また、制御部12は、各モードに対応して熱源部30に通電する場合に、この通電による熱源部30の発熱又は吸熱に伴って伝熱部20が温度変化する度合いの調整を、操作部14に設けた温度調整スイッチ14cに対する使用者の入力操作に基づいて行うようにしてもよい。
この制御部12は、そのハードウェア構成として、CPUやメモリ、入出力インターフェース等を備えるコンピュータとなっており、メモリ等に格納されるプログラムにより、コンピュータを制御手段として動作させる仕組みである。この制御部12をなすコンピュータは、通常は、CPUやメモリ、ROM等を一体的に形成されたマイクロコンピュータとされて実装される。
次に、本実施形態に係る刺激付与装置の作動状態について説明する。前提として、使用者が刺激付与装置1を使用する姿勢に合わせて、必要に応じ装置保持用の部品が用いられるものとする。すなわち、使用者が顔を上に向けた姿勢となって装置を顔の上に載せて使用する場合以外の、装置単独では使用者の眼前への保持が困難な場合には、バンド部11が併用され、バンド部11の締付け力で装置を保持するものとする。
そして、液保持体40と保湿用液を介して皮膚の加温又は冷却を行う場合には、使用者はあらかじめ液保持体40に保湿用液を十分に保持させた状態としてから、液保持体40を伝熱部表面に位置させ、スペーサ50を装置本体部10に取り付け、液保持体40をスペーサ50と装置本体部10で挟持して、液保持体40を伝熱部表面に保持した状態とする(図6、図7参照)。
使用者は、最初に、液保持体40とスペーサ50を取り付けた装置本体部10を眼の正面側に位置させて装着し、眼と眼の周囲の皮膚の前方に液保持体40が位置し、皮膚に液保持体40が接した状態とする(図8参照)。それから、使用者は操作部14を操作して加温のみ行うモード、冷却のみ行うモード、あるいは、加温と冷却の組合せのモードのいずれかを選択する。
加温のみ行うモードが選択された場合、選択操作後、それに応じて制御部12は熱源部30を作動させて、伝熱部20寄り部分を発熱状態に移行させる。
熱源部30が発熱によりその温度を上昇させるように変化すると、熱源部30と伝熱部20との間で熱伝導が生じ、伝熱部20の温度も上昇する(図9参照)。この伝熱部20の温度変化により、伝熱部20と液保持体40及びこれに保持される保湿用液との間でも熱伝導が生じて、液保持体40と保湿用液も温度を上昇させる。
こうして昇温した液保持体40及び保湿用液が眼の周囲の皮膚に接触しているため、液保持体40及び保湿用液と皮膚との間でも熱伝導が生じ、皮膚、さらにその奥の眼や眼の周りの筋肉等に温熱の刺激が付与される状態となる。皮膚の直近には保湿用液が存在していることにより、皮膚周辺は湿潤状態が維持されており、皮膚の乾燥を防ぐ状態を維持したまま、眼の周囲の皮膚を温めることができ、温熱効果で血行を促進して疲労回復等に寄与することとなる。仮に、伝熱部20の凹部21と使用者の眼との位置関係により、凹部21のある部位の液保持体40と閉じた上下まぶたとの間にわずかに隙間が生じている場合(図8参照)でも、伝熱部20で温められた皮膚周囲の湿った雰囲気を通じても熱が伝わり、上下まぶたの皮膚にも温刺激が付与されることとなる。
使用者が、冷却のみ行う作動モードを選択操作していた場合には、選択操作後、それに応じて制御部12は熱源部30を作動させて、伝熱部寄り部分を吸熱状態に移行させる。
熱源部30が吸熱によりその温度を低下させるように変化すると、熱源部30と伝熱部20との間で熱伝導が生じ、伝熱部20の温度も低下する(図10参照)。この伝熱部20の温度変化により、伝熱部20と液保持体40及びこれに保持される保湿用液との間でも熱伝導が生じて、液保持体40と保湿用液も温度を低下させる。
こうして温度を下げた液保持体40及び保湿用液が眼の周囲の皮膚に接触しているため、加温の場合同様、液保持体40及び保湿用液と皮膚との間でも熱伝導が生じ、皮膚は液保持体40及び保湿用液に熱を奪われる状態となり、皮膚、さらにその奥の眼や眼の周りの筋肉等に冷却の刺激が付与される。
皮膚の直近には保湿用液が存在することにより、皮膚周辺は湿潤状態が維持されており、皮膚の乾燥を防ぐ状態を維持したまま、眼の周囲の皮膚を冷やすことができ、冷却による皮膚の引き締め、あるいは沈静や緊張緩和といった作用を皮膚に与えて、皮膚の活性化が図れることとなる。
使用者が、加温の後に冷却を行う作動モードを選択操作していた場合には、前記加温のみ行うモードと同様に、伝熱部20の温度上昇に伴って液保持体40や保湿用液も温度を上昇させ、皮膚を温める状態から、制御部12による制御に基づき、熱源部30が新たに吸熱状態に移行し、熱源部30はその伝熱部寄り部分の温度を急激に低下させるように変化する。そして、熱源部30と伝熱部20との間での熱伝導により、伝熱部20の温度も急激に低下する(図11参照)。
伝熱部20の温度が変化すると、伝熱部20とこれに接する液保持体40及びその中の保湿用液との間でも熱伝導が生じ、液保持体40と保湿用液の温度も低下する。こうした温度の低下した液保持体40や保湿用液が皮膚に接することで、前記冷却のみ行う作動モードと同様、皮膚は液保持体40及び保湿用液との間の熱伝導で熱を奪われて冷却される。
こうして、皮膚周囲の保湿用液で皮膚の乾燥を防ぎつつ、眼の周囲の皮膚に温熱の刺激を与え、血行促進を図った後、速やかに皮膚を冷却する状態に移行し、加温状態からの移行でより顕著となった冷却の刺激による引き締め等の作用を皮膚、さらにその奥の眼や眼の周りの筋肉等に与えられる。
装置が作動状態となってからあらかじめ設定された所定時間(例えば、10分)が経過する、又は、使用者が操作部14で作動モードを他に切替えるか電源をOFF状態とすると、制御部12により熱源部30への通電が停止し、発熱状態又は吸熱状態が終了する。この後、使用者は眼の正面側に保持されている装置本体部10を外す。そして、使用者は、液保持体40を用いた場合は、スペーサ50をいったん取り外した上で、液保持体40を伝熱部表面から除去して伝熱部20を清浄化し、次の使用に備えるようにするのが望ましい。
一方、伝熱部20を用いて眼の周囲の皮膚への直接的な加温又は冷却を行う場合には、使用者は、液保持体40を用いず伝熱部20が皮膚に直接当接可能とした上で、あらかじめ装置本体部10に対しスペーサ50を取り付けるか取り外し、使用者の顔面形状に合わせて皮膚に伝熱部20を適切に当接させられるようにする(図4参照)。
使用者は、最初に、装置本体部10を眼の正面側に位置させて装着し、伝熱部20を眼の周囲の皮膚に密着するようにする。この場合、伝熱部20のちょうど眼に対向する部位は凹部21となっているため、伝熱部20の凹部21のある部位が閉じた上下まぶたの皮膚に軽く接するか、伝熱部20と上下まぶたの皮膚との間にわずかに隙間が生じた状態(図5参照)となり、眼の違和感を特に生じさせない仕組みである。装着後、使用者は操作部14を操作して、直接の加温、冷却、あるいは、加温と冷却の組合せ、のいずれかのモードを選択する。
操作部14で加温のみ行うモードが選択操作された場合、制御部12は熱源部30を作動させてその伝熱部寄り部分を発熱状態に移行させる。熱源部30が発熱によりその温度を変化、調整されると、熱源部30と伝熱部20との間で熱伝導が生じ、この熱伝導に伴って伝熱部20も温度変化し、昇温する(図9参照)。伝熱部20の温度上昇により、伝熱部20とこれに接する眼の周囲の皮膚との間でも熱伝導を生じ、この熱伝導に伴い、皮膚、さらにその奥の眼や眼の周りの筋肉等が温熱の刺激を付与される状態となる。前記液保持体40を用いた場合同様、仮に、伝熱部20の凹部21のある部位と閉じた上下まぶたとの間にわずかに隙間が生じている状況でも、伝熱部20で温められた皮膚周囲の雰囲気を通じても熱が伝わり、上下まぶたの皮膚にも刺激が付与される。
また、使用者が操作部14を操作して冷却のみ行うモードを選択した場合、制御部12は熱源部30を吸熱状態とし、熱源部30がその伝熱部寄り部分の温度を低下させると、熱源部30と伝熱部20との間で熱伝導が生じ、この熱伝導に伴って伝熱部20も温度を低下させる(図10参照)。伝熱部20の温度低下により、伝熱部20と眼の周囲の皮膚との間でも熱伝導を生じ、この熱伝導に伴い、皮膚70は伝熱部20に熱を奪われ、冷却の刺激を付与される状態となる。
前記加温のみ行うモードと冷却のみ行うモードのいずれの場合も、伝熱部20と皮膚70が直接接触することから、液保持体40を介在させる状態より効率よく伝熱部20と皮膚との間の熱伝導が生じ、皮膚70、さらにその奥の眼や眼の周りの筋肉等に対し速やかに温刺激又は冷刺激を付与でき、使用者の操作から刺激付与まで時間がかかることでリラックス感を損なうようなこともなく、温刺激又は冷刺激に伴う特有のリラクセーション効果が得られることとなる。
この他、使用者が操作部14により加温の後に冷却を行う作動モード(図11参照)を選択した場合、まず制御部12は、熱源部30の伝熱部側を所定時間発熱状態として、その温度を上昇させ、熱源部30と伝熱部20との間で熱伝導が生じるようにし、伝熱部20の温度も上昇させる。この伝熱部20の温度上昇により、伝熱部20と眼の周囲の皮膚との間でも熱伝導が生じ、皮膚が温熱の刺激を付与される状態となる。
この後、制御部12は熱源部30の伝熱部側を吸熱状態とし、その温度を低下させ、熱源部30と伝熱部20との間で熱伝導が生じるようにし、伝熱部20の温度を低下させる。この伝熱部20の温度低下により、伝熱部20と眼の周囲の皮膚との間でも熱伝導が生じ、皮膚70は伝熱部20に熱を奪われ、冷却の刺激を付与される状態となる。こうした加温と冷却が入れ替わることで、皮膚70、さらにその奥の眼や眼の周りの筋肉等に対し温冷の温度変化に基づく刺激を与えられ、これに特有のリラクセーション効果が得られる。
装置が作動状態となってからあらかじめ設定された所定時間が経過する、又は、使用者が操作部14で電源をOFF状態として皮膚の加温や冷却を中断すると、制御部により熱源部30への通電が停止し、発熱状態又は吸熱状態が終了する。この後、装置の使用を完全に終える場合、使用者は眼の正面側に保持されている装置本体部10を外す。使用の後、使用者は伝熱部20表面を清浄化し、次の使用に備えるようにするのが望ましい。
このように、本実施形態に係る刺激付与装置は、装置本体部10の顔に面する側に設けた伝熱部20近傍に液保持体40を配設し、熱源部30で生じさせた温度変化を伝熱部20に伝え、さらに液保持体40及びこれに保持される保湿用液を介して、伝熱部20と皮膚との間で熱伝導を生じさせ、温度変化に基づく刺激を眼の周囲の皮膚に付与することにより、伝熱部20から皮膚へ、又は皮膚から伝熱部20へ熱が伝わる状況で、伝熱部20と皮膚との間に介在する液保持体40に保持された保湿用液が、眼の周囲に湿分の十分に存在する環境を維持することとなり、眼の周囲の皮膚の乾燥を防ぎながら熱源部30の温度変化に基づく刺激を皮膚に与えられ、皮膚への美容面での影響を避けつつ、皮膚の刺激によるリラクセーション効果を適切に発揮させられる。
また、装置本体部10の伝熱部周囲位置にスペーサ50を配設し、スペーサ50を用いて液保持体40を挟持して伝熱部近傍に配設することにより、液保持体40を挟持して伝熱部20に対し外れにくい状態で保持することができ、伝熱部20に対し液保持体40を配置する作業がより容易に行え、使用者の使い勝手を向上させられると共に、伝熱部20と皮膚との間に液保持体40を確実に位置させられ、皮膚周囲に保湿用液を存在させて皮膚の乾燥を防ぐ状態を確保できる。
なお、本実施形態に係る刺激付与装置においては、保持用部材としてのスペーサ50を、左右の伝熱部20をそれぞれ取り囲む枠状とし、液保持体40の外縁部分や中央部分をスペーサ50と装置本体部10で挟持することで、液保持体40を伝熱部20近傍に配設する構成としているが、これに限らず、保持用部材は、装置本体部10の顔に面する側の凹状の曲面形状部分に沿いつつ、液保持体を保持できるものであれば、枠状以外の構造を採用することもできる。また、左右の伝熱部20近傍に適切に液保持体を配設した状態で保持できるものであれば、保持用部材を、左右の伝熱部間のスペースに収まる部分を少なくとも有するものとして、この保持用部材と装置本体部10の中央部との間で液保持体を挟持するのみで液保持体の保持を行う構成としてもかまわない。
また、本実施形態に係る刺激付与装置において、液保持体40は、その外縁部分や中央部分を保持用部材としてのスペーサ50と装置本体部10で挟持することで、伝熱部20近傍に配設される構成としているが、これに限らず、保持用部材を用いず、他の液保持体保持構造を採用する構成とすることもできる。特に、装置本体部を使用者の顔に装着した状態では、液保持体は伝熱部と皮膚との間にあって外れないことから、液保持体を保持する機構は、装置本体部を顔に装着するまで液保持体を伝熱部近傍にとどめて容易に動かないよう仮止めする程度のものでよく、例えば、伝熱部端部又は伝熱部近傍の装置本体部の複数箇所に小さな突起部を設け、これが液保持体の皮膚に接する部位以外の箇所に突き刺さるように液保持体を配置することで、液保持体をずれないよう係止する構造や、伝熱部端部又は伝熱部近傍の装置本体部の複数箇所に孔部を穿設し、これに液保持体の端部を挿入することで液保持体をずれないよう係止する構造とすることができる。
この他、伝熱部が、その表面から液保持体が容易にずれたりすることのない形状を有するものであれば、伝熱部表面に保持用液で十分に濡れた液保持体を貼り付け、その表面張力のみで伝熱部への貼り付き状態を保持するものとしてもかまわない。なお、伝熱部や装置本体部に液保持体を係止するための突起部や孔部を設ける構成は、スペーサ等保持用部材を使用する場合にも適用でき、保持用部材を装置本体部に取り付ける前に、突起部や孔部を利用して伝熱部近傍に液保持体を仮止めするようにすれば、保持用部材の取付けが液保持体のずれを気にせずに行え、保持用部材取付けによる液保持体配設完了までの作業性が向上し、短時間で使用可能状態に移行させられる。
また、本実施形態に係る刺激付与装置において、液保持体40を併用して眼の周りの皮膚を温めたり冷やしたりする場合には、液保持体40に水等の保湿用液を保持させて使用する構成としているが、これに限らず、液保持体40を、保湿用液を保持させないまま配設して、眼の周囲の皮膚に対し、保湿用液による湿りのない乾いた液保持体40を接触させるようにすることもできる。
この場合も、液保持体40には、前記実施形態同様、伝熱部20の温度変化が伝わるようになっており、液保持体40と伝熱部20との間で熱伝導が生じることで、液保持体40も温度を変化させ、この温度変化した液保持体と、液保持体の接する皮膚との間で熱伝導が生じて、皮膚が温熱又は冷却の刺激を付与される状態となる。ただし、液保持体40を介在させる分、伝熱部20を直接、眼の周りの皮膚70に接触させるようにして用いる場合より熱の伝わりが若干緩和された状態となる。
しかし、熱の伝わりやすい材質製の薄い液保持体40を用いるようにすれば、伝熱部20を直接皮膚70に接触させる場合に近い熱伝導特性が得られ、速やかに温度変化に基づく刺激を付与できる。また、保湿用液を使用しない場合でも液保持部材を用いるようにして、伝熱部20を直接眼の周囲の皮膚に接触させないことで、伝熱部20の汚れを防ぐことができ、特に使い捨てタイプの液保持体を用いるようにすれば、使用後の清掃等の手間を省け、装置の管理も行いやすく、確実に清潔な状態を維持して、感染症等のリスクも抑えられる。なお、こうした保湿用液を使用しない使い方の場合、多孔質の液保持体の代わりに、液保持性がないか極めて低い材質製で、伝熱部と皮膚との直接接触を防ぐ、より伝熱性に優れたシート体を用いるようにしてもよく、皮膚に触れた感触が柔らかく違和感を生じさせないものであれば問題なく使用できる。
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係る刺激付与装置においては、保持用部材としてのスペーサ50を装置本体部10の顔に面する側の中央部に係合させて着脱可能に取付けることで、液保持体40を伝熱部近傍に保持配設する構成としているが、これに限らず、スペーサと装置本体部で液保持体41を挟持して、液保持体41を伝熱部20に添わせる配置で保持できるものであれば、スペーサは完全に装置本体部10から分離されて、装置本体部10に対し着脱可能な構成以外の、他の取付構造とすることもでき、
例えば、図12及び図13に示すように、スペーサ55、56が装置本体部に傾動可能に蝶着あるいは軸支されて一体化され、スペーサ55、56を装置本体部に対し開閉可能として、スペーサ55、56と装置本体部間に液保持体41を挟み込んで支持する構成とすることもできる。そして、このようにスペーサを装置本体部に対し開閉可能とする構成とする場合、例えば、スペーサ55を左右二分割構造とし中心の鼻前位置で装置本体部16に蝶着又は軸支する構成(図12参照)や、スペーサ56を左右二分割構造として左右端部でそれぞれ装置本体部17に蝶着又は軸支して観音開き状に開閉する構成(図13参照)等を採用することができる。
なお、上記各例のように、液保持体41をスペーサ55、56と装置本体部との間に挟み込むようにして支持する構成においても、前記実施形態同様、液保持体41を用いない場合には、装置本体部の顔正面への装着状態で伝熱部20が皮膚に直接接触可能となり、伝熱部20による皮膚への直接的な加温又は冷却を行うことができる。
1 刺激付与装置
10 装置本体部
11 バンド部
12 制御部
13 電池
14 操作部
14a 電源スイッチ
14b モード切替スイッチ
14c 温度調整スイッチ
15 ヒートシンク
16、17 装置本体部
20 伝熱部
21 凹部
30 熱源部
40、41 液保持体
50 スペーサ
55、56 スペーサ
70 皮膚

Claims (2)

  1. 使用者の顔における眼及び眼の周辺の皮膚を被覆して配置され、所定の刺激を使用者の少なくとも眼の周辺の皮膚に付与する刺激付与装置において、
    顔に面する側が顔の眼周囲部分の表面形状にほぼ沿った曲面形状とされ、眼及び眼周囲部分の正面側に位置する装置本体部と、
    当該装置本体部の眼に対向する部位に設けられる熱伝導性材料製の伝熱部と、
    当該伝熱部に対し熱伝導可能に接触して装置本体部に内蔵され、使用者の操作に基づいて温度調整される熱源部と、
    所定の保湿用液を保持可能な多孔質材製で薄いシート状又は板状に形成され、前記保湿用液を保持した状態で前記伝熱部近傍に着脱可能として配設される液保持体と、
    前記装置本体部の伝熱部周辺位置に配設される保持用部材を備え、
    前記液保持体が、前記保持用部材と装置本体部及び/又は伝熱部との間に着脱可能に挟持されて、前記伝熱部近傍への配設状態とされ、
    前記伝熱部が、液保持体を伝熱部近傍に配設した状態では、眼の周囲の皮膚に対し、前記液保持体を介して近接し、
    前記熱源部が温度調整されると、熱源部と伝熱部との間での熱伝導に伴って伝熱部が所定温度に変化し、当該伝熱部の温度変化により、伝熱部と皮膚との間でも熱伝導を生じて、当該熱伝導に伴う刺激を皮膚に付与可能とする刺激付与装置において、
    前記伝熱部が、装置本体部で左右の眼及び眼の周囲所定範囲の皮膚にそれぞれ対向する配置として左右に二つ配設され、
    前記保持用部材が、少なくとも一部を左右の伝熱部間に収まる形状とされ、装置本体部の顔に面する側における中央部で装置本体部に係合して装置本体部に対し着脱可能に配設され、
    前記液保持体が、左右の伝熱部をそれぞれ覆う大きさとして配置され、少なくとも中央部分を保持用部材と装置本体部との間に挟持されて各伝熱部の表面に沿って保持されることを
    特徴とする刺激付与装置。
  2. 使用者の顔における眼及び眼の周辺の皮膚を被覆して配置され、所定の刺激を使用者の
    少なくとも眼の周辺の皮膚に付与する刺激付与装置において、
    顔に面する側が顔の眼周囲部分の表面形状にほぼ沿った曲面形状とされ、眼及び眼周囲部分の正面側に位置する装置本体部と、
    当該装置本体部の眼に対向する部位に設けられる熱伝導性材料製の伝熱部と、
    当該伝熱部に対し熱伝導可能に接触して装置本体部に内蔵され、使用者の操作に基づいて温度調整される熱源部と、
    所定の保湿用液を保持可能な多孔質材製で薄いシート状又は板状に形成され、前記保湿用液を保持した状態で前記伝熱部近傍に着脱可能として配設される液保持体と、
    前記装置本体部の伝熱部周辺位置に配設される保持用部材を備え、
    前記液保持体が、前記保持用部材と装置本体部及び/又は伝熱部との間に着脱可能に挟持されて、前記伝熱部近傍への配設状態とされ、
    前記伝熱部が、液保持体を伝熱部近傍に配設した状態では、眼の周囲の皮膚に対し、前記液保持体を介して近接し、
    前記熱源部が温度調整されると、熱源部と伝熱部との間での熱伝導に伴って伝熱部が所定温度に変化し、当該伝熱部の温度変化により、伝熱部と皮膚との間でも熱伝導を生じて、当該熱伝導に伴う刺激を皮膚に付与可能とする刺激付与装置において、
    前記伝熱部が、装置本体部で左右の眼及び眼の周囲所定範囲の皮膚にそれぞれ対向する配置として左右に二つ配設され、
    前記保持用部材が、外力を加えると弾性変形可能な素材で形成され、前記装置本体部の顔に面する曲面形状部分に沿う形状とされ、装置本体部の顔に面する側における所定箇所で装置本体部に係合して装置本体部に対し着脱可能に配設され、
    前記液保持体が、左右の伝熱部をそれぞれ覆う大きさとして配置され、少なくとも端部を保持用部材と装置本体部との間に挟持されて各伝熱部の表面に沿って保持されることを特徴とする刺激付与装置。
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