JP2017164193A - 嚥下障害用器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】利便性に優れ、安全に患者の口腔内の所定部位を刺激することができる嚥下障害用器具を提供する。
【解決手段】患者の口腔内に挿入される口腔内挿入部21は、前記口腔内の所定部位に少なくとも一部が当接する口腔内当接部25を有する。本体部22は、ユーザによって把持される把持部31、及び、把持部31と口腔内挿入部21とを連結するとともに口腔内挿入部21と一体に設けられた連結部30、を有する。ペルチェ素子26は、口腔内当接部25に対して接して設けられ、電気エネルギーが供給されて通電されることで駆動される。口腔内当接部25は、ペルチェ素子26が駆動されることで加温されて前記所定部位を加温する加温部25として作動するように構成されており、又は、加温部25を有している。
【選択図】図4
【解決手段】患者の口腔内に挿入される口腔内挿入部21は、前記口腔内の所定部位に少なくとも一部が当接する口腔内当接部25を有する。本体部22は、ユーザによって把持される把持部31、及び、把持部31と口腔内挿入部21とを連結するとともに口腔内挿入部21と一体に設けられた連結部30、を有する。ペルチェ素子26は、口腔内当接部25に対して接して設けられ、電気エネルギーが供給されて通電されることで駆動される。口腔内当接部25は、ペルチェ素子26が駆動されることで加温されて前記所定部位を加温する加温部25として作動するように構成されており、又は、加温部25を有している。
【選択図】図4
Description
本発明は、嚥下障害を有する患者の口腔内の所定部位を刺激することにより患者の嚥下機能を向上させる訓練を行うための嚥下障害用器具に関する。
従来より、嚥下障害を有する患者の口腔内の所定部位を刺激することにより患者の嚥下機能を向上させる訓練を行うための嚥下障害用器具が知られている。このような嚥下障害用器具として、例えば非特許文献1には、患者の口腔内の所定部位を冷却して刺激することにより患者の嚥下機能を向上させる手法であるアイスマッサージを行う際に用いられるアイスマッサージ棒が開示されている。非特許文献1においては、カット綿と割り箸とを用いてアイスマッサージ棒を自作することが開示されている。また、特許文献1には、患者の口腔内の所定部位を冷却して刺激する嚥下障害用器具として、保冷剤を利用したものが開示されている。
藤島一郎編著、「よくわかる嚥下障害 改訂第3版」、永井書店発行、p.184−185、P.214−215
ところで、上述した非特許文献1のように、カット綿と割り箸とを用いてアイスマッサージ棒(嚥下障害用器具)を自作する場合、衛生上の観点から使い捨てされるため、ユーザによる器具の作製労力が大きくなってしまう。また、当該器具を使用するための事前準備(器具の作製、及び冷凍庫での器具の冷却等)が必要になり、外出先で使用する場合には当該器具を持ち運ぶためのクーラーボックス又はポータブル冷蔵庫等が必要となる。更に、カット綿と割り箸とを用いたアイスマッサージ棒は、カット綿が口腔内で外れ、誤飲されるおそれがある。
この点につき、上述した特許文献1に開示される器具によれば、保冷剤の部分を冷却すれば繰り返し使用することが可能である。しかしながら、上述した非特許文献1に開示される器具(アイスマッサージ棒)の場合と同様、当該器具を使用するための事前準備、及びそれらの持ち運びのために、多大な労力が必要となってしまう。
また、特許文献1及び非特許文献1に開示された器具は、患者の口腔内の所定部位を冷却して刺激する器具として構成されている。しかし、患者の口腔内の所定部位を刺激する方法としては、冷却する方法以外にも、安全に患者の口腔内の所定部位を刺激できる方法がある。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、利便性に優れ、安全に患者の口腔内の所定部位を刺激することができる嚥下障害用器具を提供することである。
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係る嚥下障害用器具は、患者の口腔内に挿入される部分として設けられ、前記口腔内の所定部位に少なくとも一部が当接する口腔内当接部を有する口腔内挿入部と、ユーザによって把持される部分として設けられた把持部、及び、前記把持部と前記口腔内挿入部とを連結する部分として設けられて前記口腔内挿入部と一体に設けられた連結部、を有する本体部と、前記口腔内当接部に対して接して設けられ、又は、前記口腔内当接部に接する熱伝導部に対して接して設けられたペルチェ素子と、を備えている。そして、前記ペルチェ素子は、電気エネルギーが供給されて通電されることで駆動され、前記口腔内当接部は、前記ペルチェ素子が駆動されることで加温されて前記所定部位を加温する加温部として作動するように構成されており、又は、前記加温部を有している。
この構成によると、口腔内挿入部が患者の口腔内に挿入されて口腔内の所定部位に口腔内当接部が当接した状態でペルチェ素子に通電が行われ、又は、ペルチェ素子に通電が行われた状態で口腔内挿入部が口腔内に挿入されて口腔内当接部が所定部位に当接される。そして、口腔内当接部は、ペルチェ素子が通電されて駆動されることで加温部として作動するように構成されている。又は、口腔内当接部は、加温部を有している。ペルチェ素子によって加温される加温部が口腔内の所定部位に当接すると、加温部によってその所定部位が加温される。これにより、患者の口腔内の所定部位が刺激され、患者の嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。尚、ここで、「加温する」とは、熱を加えて温めることをいう。
更に、本体部の把持部と、口腔内当接部を含む口腔内挿入部とは、本体部の連結部によって一体的に連結されている。このため、従来のアイスマッサージ棒のような器具とは異なり、カット綿が口腔内で割り箸から外れて誤飲されてしまうような危険性が回避される。よって、上記の構成によると、安全に患者の口腔内の所定部位を刺激することができる嚥下障害用器具を実現できる。
そして、上記の構成によると、ペルチェ素子を駆動させて加温部を作動させ、患者の口腔内の所定部位を加温することで、患者の口腔内の所定部位を刺激することができる。このため、従来用いられていたアイスマッサージ棒を自作するような手間がそもそも生じず、ユーザによる器具の作製労力をなくすことができる。また、保冷剤を用いた器具の場合に必要な事前準備(冷凍庫での器具の冷却等)、及びそれを運ぶための多大な労力(クーラーボックス等を用いた持ち運び)も、そもそも不要となる。よって、上記の構成によると、利便性に優れた嚥下障害用器具を実現できる。
従って、上記の構成によると、利便性に優れ、安全に患者の口腔内の所定部位を刺激することができる嚥下障害用器具を提供することができる。
(2)前記ペルチェ素子は、前記口腔内当接部が前記所定部位に当接している状態において、前記患者の口腔内に配置される位置に設けられていてもよい。
この構成によると、口腔内当接部が口腔内の所定部位に当接している状態において、ペルチェ素子も口腔内に配置されるため、口腔内当接部とペルチェ素子との距離を短くすることができる。このため、ペルチェ素子と口腔内当接部との間の熱伝導をより迅速に効率よく行うことができる。これにより、加温部を加温するための加温性能をより向上させることができる。
(3)前記口腔内当接部は、前記加温部として作動するように構成されていることに加え、前記ペルチェ素子が駆動されることで冷却されて前記所定部位を冷却する冷却部としても作動するように構成されていてもよい。又は、前記口腔内当接部は、前記加温部を有しているとともに前記冷却部も有していてもよい。
この構成によると、口腔内当接部は、加温部として作動するように構成されていることに加え、冷却部としても作動するように構成されている。又は、口腔内当接部は、加温部を有しているとともに冷却部もを有している。ペルチェ素子によって冷却される冷却部が口腔内の所定部位に当接すると、冷却部によってその所定部位が冷却される。これにより、患者の口腔内の所定部位が刺激され、患者の嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。従って、上記の構成によると、患者の口腔内の所定部位を加温して刺激することに加え、患者の口腔内の所定部位を冷却して刺激することもできる。これにより、患者の所定部位に多様な刺激を与えることができる。
(4)前記口腔内当接部は、前記加温部として作動するように構成されていることに加え、前記冷却部としても作動するように構成されている。そして、前記嚥下障害用器具は、前記ペルチェ素子に通電する電流の方向を切り替える通電方向切替部、を更に備え、前記通電方向切替部によって前記ペルチェ素子に通電する電流の方向が切り替えられることで、前記冷却部として作動する前記口腔内当接部が前記加温部として作動するように切り替えられ、又は、前記加温部として作動する前記口腔内当接部が前記冷却部として作動するように切り替えられるように構成されていてもよい。
この構成によると、通電方向切替部によってペルチェ素子に通電される電流の方向が切り替えられることで、冷却部が加温部に切り替えられ、又は加温部が冷却部に切り替えられる。よって、ペルチェ素子に通電する電流の方向を切り替える簡素な構造で、口腔内当接部を冷却部として作動させることができるとともに加温部としても作動させることができる。また、ユーザは、患者の口腔内の所定部位に口腔内当接部における同一の部分を接触させたままの状態で、所定部位を冷却する状態と加温する状態との間で容易に状態の切り替えを行うことができる。
(5)前記嚥下障害用器具は、前記ペルチェ素子に通電する電流の方向を所定の時間周期ごとに切り替えるように前記通電方向切替部を制御する温冷切替制御部、を更に備えていてもよい。
この構成によると、温冷切替制御部によって、ペルチェ素子に通電する電流の方向が所定の時間周期ごとに切り替えられる。このため、ユーザは、患者の口腔内の所定部位に口腔内当接部における同一の部分を接触させたままの状態で、自動的に、所定部位を冷却する状態と加温する状態との間で状態の切り替えを行うことができる。
(6)前記口腔内当接部は、前記加温部を有しているとともに前記冷却部も有しており、前記加温部及び前記冷却部は、前記加温部が前記所定部位に当接するときに前記冷却部が前記所定部位に当接せず、前記冷却部が前記所定部位に当接するときに前記加温部が前記所定部位に当接しない位置に設けられていてもよい。
この構成によると、口腔内当接部は、加温部を有しているとともに冷却部も有している。そして、加温部と冷却部とは、口腔内の所定部位に対して同時に当接せず、互いに独立して当接するように、異なる位置に設けられている。このため、ユーザは、口腔内の所定部位を冷却したい場合は冷却部を所定部位に当接させ、口腔内の所定部位を加温したい場合は加温部を所定部位に当接させることができる。よって、ユーザは、患者の口腔内の所定部位に対して口腔内当接部における異なる部分を接触させるだけで、所定部位を冷却する状態と加温する状態との間で容易に状態の切り替えを行うことができる。
(7)前記口腔内当接部の表面には、凹凸形状が設けられていてもよい。
この構成によると、患者の口腔内の所定部位を加温して刺激することに加え、更に、患者の口腔内の所定部位を口腔内当接部の表面の凹凸形状によって刺激することもできる。これにより、患者の所定部位に多様な刺激を与えることができる。
(8)前記嚥下障害用器具は、前記ペルチェ素子に電気エネルギーを供給する回路に設けられ、前記ペルチェ素子に通電するオン状態と前記ペルチェ素子の通電を遮断するオフ状態とのいずれかの状態に切り替えられるオンオフ切替スイッチと、前記オンオフ切替スイッチが前記オン状態に切り替えられてから一定の時間が経過すると、前記オンオフ切替スイッチを前記オフ状態に切り替える通電制御部と、を更に備えていてもよい。
この構成によると、ペルチェ素子が駆動されてから一定の時間が経過すると、通電制御部によってオンオフ切替スイッチがオフ状態に切り替えられることにより、ペルチェ素子の駆動が自動的に停止される。これにより、オンオフ切替スイッチの切り忘れによる無駄な電力の消費が防止されるため、省エネルギー性能に優れた嚥下障害用器具を提供できる。また、患者の口腔内を長時間連続して過度に加温してしまうことを防止できる。更に、口腔内当接部が加温部に加えて冷却部も有している構成の場合であれば、患者の口腔内を長時間連続して過度に加温して又は冷却してしまうことを防止できる。
(9)前記連結部は、前記把持部に対して着脱可能に構成されていてもよい。
この構成によると、例えば患者毎に、口腔内当接部と一体に設けられた連結部を取り替えることができる。また、口腔内当接部と一体に設けられた連結部を把持部から取り外した状態で洗浄することができる。また、上記の構成によれば、口腔内当接部又は連結部が破損等した場合であっても、口腔内当接部及び連結部のみを交換して、嚥下障害用器具を使用することができる。よって、上記の構成によると、更に利便性に優れた嚥下障害用器具を提供できる。
(10)前記口腔内当接部は、着脱可能に設けられた表面カバーを有していてもよい。
この構成によると、患者毎に口腔内挿入部における口腔内当接部の表面カバーを取り替えて嚥下障害用器具を使用することができる。このため、複数の患者に対して嚥下障害用器具が使用される場合であっても、表面カバーを取り換えるという簡単な作業を行うだけで、衛生的な使用状態を容易に実現することができる。
本発明によると、利便性に優れ、安全に患者の口腔内の所定部位を刺激することができる嚥下障害用器具を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、嚥下障害を有する患者の口腔内の所定部位を刺激することにより患者の嚥下機能を向上させる訓練を行うための嚥下障害用器具に対して広く適用することができる。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る嚥下障害用器具1を模式的に示す正面図である。図2は、嚥下障害用器具1を側方から視た図であって、嚥下障害用器具1の先端側の部分を拡大して示す図である。図3は、嚥下障害用器具1の使用形態の一例を示す図であって、患者Pの顔を外形で模式的に示す図である。図4は、図1のA−A線矢視位置における断面図の一例である。図5は、図2のB−B線矢視位置における断面図であって、ペルチェ素子26及び断熱部27のみを示す図である。図6は、嚥下障害用器具1の電気回路図を模式的に示す図である。
図1は、本発明の第1実施形態に係る嚥下障害用器具1を模式的に示す正面図である。図2は、嚥下障害用器具1を側方から視た図であって、嚥下障害用器具1の先端側の部分を拡大して示す図である。図3は、嚥下障害用器具1の使用形態の一例を示す図であって、患者Pの顔を外形で模式的に示す図である。図4は、図1のA−A線矢視位置における断面図の一例である。図5は、図2のB−B線矢視位置における断面図であって、ペルチェ素子26及び断熱部27のみを示す図である。図6は、嚥下障害用器具1の電気回路図を模式的に示す図である。
図1乃至図5に示す嚥下障害用器具1は、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。嚥下障害用器具1を用いて行われる嚥下機能向上のための訓練では、ユーザは、図3に例示するように、嚥下障害用器具1における先端側に設けられた口腔内挿入部21の口腔内当接部25を患者Pの口腔内の所定部位に当接させる。そして、口腔内当接部25によって患者Pの口腔内の所定部位を押したり軽くなでたりするマッサージ行為が行われる。このようなマッサージ行為が行われることにより、患者Pの嚥下反射が誘発される。尚、口腔内当接部25が当接する患者Pの口腔内の所定部位としては、例えば、口蓋弓P1、舌根部P2、等が挙げられる。また、嚥下障害用器具1のユーザは、患者P自身であってもよく、患者P以外の第三者であってもよい。
図1乃至図5に示すように、嚥下障害用器具1は、口腔内挿入部21、本体部22、電気回路23、制御部24、等を備えて構成されている。
口腔内挿入部21は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。また、口腔内挿入部21は、嚥下障害用器具1において、本体部22とは反対側の端部である先端側の部分として設けられている。口腔内挿入部21は、患者Pに対して前述のマッサージ行為が行われる際に、患者Pの口腔内に挿入される。そして、口腔内挿入部21は、口腔内当接部25、ペルチェ素子26、断熱部27、等を備えて構成されている。
口腔内当接部25は、口腔内挿入部21が患者Pの口腔内に挿入された際に、患者Pの口腔内の所定部位(例えば、口蓋弓P1、舌根部P2、等)に少なくとも一部が当接する部分として、設けられている(図3を参照)。口腔内当接部25は、例えば、全体的な形状が、略半球状の部分を含む形状、或いは、略半球状の形状の一部を成すような形状に形成されている。口腔内当接部25は、例えば、熱伝導性が高く且つ生体親和性の高いステンレス等の金属材料、或いは、熱伝導性が高く且つ生体親和性の高いセラミック材料、で形成されている。口腔内当接部25は、後述するペルチェ素子26によって、冷却され、或いは、加温される。詳細は後述するが、ペルチェ素子26によって口腔内当接部25が冷却されることと加温されることとは、排他的に行われ、同時には行われない。尚、ここで、「加温する」とは、熱を加えて温めることをいう。
口腔内当接部25には、略半球状の表面として形成された半球面25aと、半球面25aとは反対側の面として設けられて平坦な面として形成された平坦面25bとが、設けられている。そして、口腔内挿入部21が患者Pの口腔内に挿入された際には、口腔内当接部25は、半球面25aの一部が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するように、口腔内に配置される。
また、口腔内当接部25は、嚥下障害用器具1の先端側の部分において、後述するペルチェ素子26の第1の面26aに対して平坦面25bにおいて接した状態で、配置されている(図4を参照)。ペルチェ素子26の第1の面26aは、口腔内当接部25の平坦面25bに対して、密着している。尚、ペルチェ素子26の第1の面26aは、ペルチェ素子26が駆動された際には、ペルチェ素子26の吸熱部又は発熱部として作動する。
ペルチェ素子26の第1の面26aが吸熱部として作動しているときは、口腔内当接部25は、ペルチェ素子26によって、平坦面25bから抜熱され、冷却される。そして、口腔内当接部25は、ペルチェ素子26によって冷却されると、半球面25aにて当接している患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)を冷却する冷却部として作動することになる。
一方、ペルチェ素子26の第1の面26aが発熱部として作動しているときは、口腔内当接部25は、ペルチェ素子26によって、平坦面25bから加温される。そして、口腔内当接部25は、ペルチェ素子26によって加温されると、半球面25aにて当接している患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)を加温する加温部として作動することになる。
上記のように、口腔内当接部25は、ペルチェ素子26が駆動されることで加温されて患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温する加温部として作動するように構成されていることに加え、ペルチェ素子26が駆動されることで冷却されて上記の所定部位(P1、P2、等)を冷却する冷却部としても作動するように構成されている。尚、以下の説明においては、口腔内当接部25がペルチェ素子26によって冷却されている状態においては、口腔内当接部25を冷却部25とも称する。また、口腔内当接部25がペルチェ素子26によって加温されている状態においては、口腔内当接部25を加温部25とも称する。
口腔内当接部25は、上述の通り、冷却部25又は加温部25として排他的に作動する。そして、口腔内当接部25は、冷却部25として作動している状態で患者Pの口腔内における所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)に接触することにより、当該所定部位(P1、P2、等)を冷却する。一方、口腔内当接部25は、加温部25として作動している状態で患者Pの口腔内における所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)に接触することにより、当該所定部位(P1、P2、等)を加温する。尚、上記の説明においては、口腔内当接部25によって冷却され又は加温される所定部位として口蓋弓P1及び舌根部P2を例に挙げたが、これに限られなくてもよい。口腔内当接部25によって冷却され又は加温される所定部位として、口腔内の軟口蓋、咽頭後壁、K−point、等も挙げられる。
ペルチェ素子26は、嚥下障害用器具1において、先端側の部分に設けられ、前述の通り、口腔内当接部25に対して接して設けられている。そして、ペルチェ素子26は、嚥下障害用器具1において、口腔内当接部25が患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)に当接している状態で、患者Pの口腔内に配置される位置に、設けられている。
ペルチェ素子26は、所定の厚みを有する板状に形成された素子であって、後述する本体部22に収納されたバッテリ29から電気エネルギーが供給されて通電されることで駆動される。ペルチェ素子26には、厚み方向における両側のそれぞれに設けられる面であって、互いに略平行に広がる平坦な第1の面26aと第2の面26bとが、設けられている。尚、本実施形態では、第1及び第2の面(26a、26b)の外形が矩形に形成され、矩形の板状に形成されたペルチェ素子26の形態を例示している。また、本実施形態では、1枚の板状の素子によって構成されたペルチェ素子26の形態を例示している。
ペルチェ素子26が通電されて駆動された状態では、第1の面26aと第2の面26bとのうちの一方の面の温度が下降し、温度が下降した一方の面が吸熱部として作動する。そして、第1の面26aと第2の面26bとのうちの他方の面の温度が上昇し、温度が上昇した他方の面が発熱部として作動する。即ち、ペルチェ素子26に所定の方向に電流が流れると、例えば、第1の面26aが吸熱部として作動し、第2の面26bが発熱部として作動する。一方、ペルチェ素子26に上記の所定の方向と逆の方向に電流が流れると、第1の面26aが発熱部として作動し、第2の面26bが吸熱部として作動する。尚、ペルチェ素子26における第1の面26a及び第2の面26bは、平坦な形状でなくてもよく、その他の形状であってもよい。
ペルチェ素子26の第2の面26bは、後述する本体部22における連結部30の端部30aと密着した状態で配置されている。ペルチェ素子26の第2の面26bが発熱部として作動しているときは、第2の面26bから連結部30の端部30aに伝導した熱は、端部30aを含む連結部30から外部へと放出される。即ち、第2の面26bが発熱部として作動しているときのペルチェ素子26からの熱は、連結部30から放熱される。
尚、口腔内挿入部21には、ペルチェ素子26の第1及び第2の面(26a、26b)の温度を検知する温度センサが設けられていてもよい。更に、口腔内挿入部21には、上記の温度センサによる検知結果に基づいて作動し、ペルチェ素子26への通電を遮断可能な回路が設けられていてもよい。例えば、上記の温度センサにて検知された第1及び第2の面(26a、26b)の温度が所定の温度範囲から外れた場合に、ペルチェ素子26への通電を遮断する回路が、口腔内挿入部21に設けられていてもよい。
断熱部27は、口腔内当接部25と連結部30の端部30aとの間に設けられて両者を断熱するための部分として設けられている。断熱部27は、図4及び図5に示すように、ペルチェ素子26の側面の外周を覆うように設けられている。即ち、断熱部27は、ペルチェ素子26における第1の面26a及び第2の面26bの間の外周を覆うように設けられている。そして、断熱部27は、熱伝導性が口腔内当接部25よりも低い材料によって構成されている。例えば、断熱部27は、熱伝導性が低いセラミック材料、熱伝導性が低い樹脂材料、熱伝導性が口腔内当接部25よりも低い金属、等によって構成されている。
尚、口腔内当接部25、ペルチェ素子26、断熱部27、及び連結部30の端部30aは、図示が省略された接着材料等によって固定されて一体に設けられている。これにより、連結部30は、口腔内当接部25、ペルチェ素子26、及び断熱部27を備える口腔内挿入部21と一体に設けられている。
本体部22は、把持部31、連結部30、等を備えて構成されている。また、本体部22には、オンオフ切替スイッチ32、冷却スイッチ33、加温スイッチ34、周期動作スイッチ35、等が設けられている。また、本体部22には、電気回路23、制御部24、バッテリ収容部36、等が内蔵されている。
把持部31は、介護スタッフ或いは患者P等のユーザが嚥下障害用器具1を使用して患者Pに対して前述のマッサージ行為を行う際に、ユーザによって把持される部分として設けられている。把持部31は、例えば、長手方向を有する細長い略円筒状の部分として形成されている。
把持部31における一端側の部分には、オンオフ切替スイッチ32、冷却スイッチ33、加温スイッチ34、周期動作スイッチ35が設けられている。ここで、把持部31における一端側の部分は、把持部31における連結部30が一体に設けられた端部側の部分である。オンオフ切替スイッチ32、冷却スイッチ33、加温スイッチ34、周期動作スイッチ35の各スイッチにおけるユーザによって操作される部分は、把持部31の外部に露出している。また、把持部31における他端側の部分には、バッテリ29を収容するバッテリ収容部36が内蔵されている。
尚、把持部31における各スイッチ(32、33、34、35)が設けられる位置は、把持部31における一端側の部分でなくてもよく、把持部31における他端側の部分であってもよい。また、把持部31におけるバッテリ収容部36が内蔵される位置は、把持部31における他端側の部分でなくてもよく、把持部31における一端側の部分であってもよい。
オンオフ切替スイッチ32は、ペルチェ素子26に電気エネルギーを供給する回路である後述の電気回路23に設けられている。そして、オンオフ切替スイッチ32は、ペルチェ素子26に通電するオン状態とペルチェ素子26の通電を遮断するオフ状態とのいずれかの状態に切り替えられるスイッチとして構成されている。尚、図6では、オンオフ切替スイッチ32が、オフ状態の場合を例示している。
また、オンオフ切替スイッチ32は、把持部31の外部に露出した部分であってユーザによって操作される操作部分を有している。そして、オンオフ切替スイッチ32の操作部分には、「ON」と表示された部分と、「OFF」と表示された部分とが、設けられている。オンオフ切替スイッチ32がオフ状態のときに、「ON」と表示されている部分の押圧操作がユーザによって行われると、オンオフ切替スイッチ32は、オン状態に切り替えられる。一方、オンオフ切替スイッチ32がオン状態のときに、「OFF」と表示されている部分の押圧操作がユーザによって行われると、オンオフ切替スイッチ32は、オフ状態に切り替えられる。
尚、嚥下障害用器具1においては、詳しくは後述するが、オンオフ切替スイッチ32は、オフ状態からオン状態に切り替えられてから一定の時間が経過すると、制御部24の制御に基づいて、オフ状態に切り替えられるように構成されている。上記の一定の時間は、例えば、一例として、15秒から2分程度の時間に設定される。尚、本実施形態では、図示が省略されているが、オンオフ切替スイッチ32に、オン状態に切り替えられているときに点灯するLED等の点灯ランプが設けられていてもよい。この場合、ユーザは、オンオフ切替スイッチ32がオン状態に切り替えられていることを視覚的に容易に識別することができる。
冷却スイッチ33は、口腔内当接部25を冷却部25として作動させる際にユーザによって操作されるスイッチとして構成されている。冷却スイッチ33は、把持部31の外部に露出した部分であってユーザによって操作される操作部分を有している。冷却スイッチ33の操作部分には、「冷却」と表示された部分が設けられている。そして、冷却スイッチ33の操作部分の押圧操作がユーザによって行われると、後述する制御部24に対して、口腔内当接部25を冷却部25として作動させるための指令信号が入力される。この指令信号が制御部24に入力されると、制御部24で生成される制御信号に基づいて、後述するように、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25として作動させる状態へと、切り替えられる。
また、冷却スイッチ33には、その操作部分が押圧操作された際に点灯するLED等の点灯ランプ37が設けられている。冷却スイッチ33の操作部分が押圧操作されると、制御部24で生成される制御信号に基づいて、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25として作動させるとともに点灯ランプ37を点灯させる状態へと、切り替えられる。ユーザは、点灯ランプ37が点灯していることを確認することで、口腔内当接部25が冷却部25として作動していることを視覚的に容易に識別することができる。尚、本実施形態では、ユーザによる押圧操作が行われる冷却スイッチ33の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。冷却スイッチ33の形態の替わりに、ユーザによるスライド操作が行われるスライド式のスイッチ等、一般的なスイッチとして構成された冷却スイッチの形態が実施されてもよい。更に、誤操作防止のための複数段階の操作が必要なスイッチとして構成された冷却スイッチの形態が実施されてもよい。
加温スイッチ34は、口腔内当接部25を加温部25として作動させる際にユーザによって操作されるスイッチとして構成されている。加温スイッチ34は、把持部31の外部に露出した部分であってユーザによって操作される操作部分を有している。加温スイッチ34の操作部分には、「加温」と表示された部分が設けられている。そして、加温スイッチ34の操作部分の押圧操作がユーザによって行われると、後述する制御部24に対して、口腔内当接部25を加温部25として作動させるための指令信号が入力される。この指令信号が制御部24に入力されると、制御部24で生成される制御信号に基づいて、後述するように、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を加温部25として作動させる状態へと、切り替えられる。
また、加温スイッチ34には、その操作部分が押圧操作された際に点灯するLED等の点灯ランプ38が設けられている。加温スイッチ34の操作部分が押圧操作されると、制御部24で生成される制御信号に基づいて、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を加温部25として作動させるとともに点灯ランプ38を点灯させる状態へと、切り替えられる。ユーザは、点灯ランプ38が点灯していることを確認することで、口腔内当接部25が加温部25として作動していることを視覚的に容易に識別することができる。尚、本実施形態では、ユーザによる押圧操作が行われる加温スイッチ34の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。加温スイッチ34の形態の替わりに、ユーザによるスライド操作が行われるスライド式のスイッチ等、一般的なスイッチとして構成された加温スイッチの形態が実施されてもよい。更に、誤操作防止のための複数段階の操作が必要なスイッチとして構成された加温スイッチの形態が実施されてもよい。
周期動作スイッチ35は、口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させる際にユーザによって操作されるスイッチとして構成されている。周期動作スイッチ35は、把持部31の外部に露出した部分であってユーザによって操作される操作部分を有している。周期動作スイッチ35の操作部分には、「周期」と表示された部分が設けられている。そして、周期動作スイッチ35の操作部分の押圧操作がユーザによって行われると、後述する制御部24に対して、口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させるための指令信号が入力される。この指令信号が制御部24に入力されると、制御部24で繰り返し生成される制御信号に基づいて、後述するように、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させるように、切り替えられる。
また、周期動作スイッチ35には、その操作部分が押圧操作された際に点灯するLED等の点灯ランプ39が設けられている。周期動作スイッチ35の操作部分が押圧操作されると、制御部24で生成される制御信号に基づいて、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させるとともに点灯ランプ39を点灯させる状態へと、切り替えられる。ユーザは、点灯ランプ39が点灯していることを確認することで、口腔内当接部25が冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動していることを視覚的に容易に識別することができる。尚、本実施形態では、ユーザによる押圧操作が行われる周期動作スイッチ35の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。周期動作スイッチ35の形態の替わりに、ユーザによるスライド操作が行われるスライド式のスイッチ等、一般的なスイッチとして構成された周期動作スイッチの形態が実施されてもよい。更に、誤操作防止のための複数段階の操作が必要なスイッチとして構成された周期動作スイッチの形態が実施されてもよい。
バッテリ収容部36は、ペルチェ素子26に電気エネルギーを供給するためのバッテリ29を収容する筐体状の容器として設けられており、把持部31に内蔵されている。把持部31には、バッテリ収容部36を外部に対して開放可能な開口(図示省略)が設けられており、その開口には、着脱自在に構成された蓋(図示省略)が取り付けられている。バッテリ29がバッテリ収容部36に嵌め込まれて収容される際、或いは、交換等のためにバッテリ29がバッテリ収容部36から取り出される際には、上記の蓋が把持部31から一旦取り外される。そして、バッテリ29がバッテリ収容部36に収容され、或いは、バッテリ29がバッテリ収容部36から取り出された後、上記の蓋が把持部31に取り付けられる。
また、バッテリ収容部36には、バッテリ収容部36に収容されたバッテリ29の正極29a及び負極29bのそれぞれに当接する一対の端子(40a、40b)が設けられている。例えば、端子40aがバッテリ29の正極29aに当接し、端子40bがバッテリ29の負極29bに当接する(図6を参照)。一対の端子(40a、40b)は、後述する電気回路23の一部を構成している。そして、一対の端子(40a、40b)は、ペルチェ素子26を駆動するための電気エネルギーがバッテリ29から供給される部分となる。即ち、本実施形態では、一対の端子(40a、40b)が、ペルチェ素子26を駆動するための電気エネルギーが供給される電気エネルギー被供給部を構成している。
尚、バッテリ29から供給される電気エネルギーは、ペルチェ素子26以外の要素であって嚥下障害用器具1における電気エネルギーで駆動される全ての要素に対しても供給される。具体的には、バッテリ29から供給される電気エネルギーは、制御部24、点灯ランプ(37、38、39)、等に対しても供給される。
連結部30は、把持部31と口腔内挿入部21とを連結する部分として設けられて口腔内挿入部21に一体に設けられている。連結部30は、例えば、把持部31よりも細い略棒状に形成され、把持部31と同一直線上に沿って並んで延びるように形成されている。連結部30における一方の端部30aは、前述の通り、口腔内挿入部21と一体に設けられている(図1及び図2を参照)。そして、連結部30における他方の端部30bは、機械的な結合或いは接着等の手段によって、把持部31に一体に設けられている(図1を参照)。このように、把持部31と口腔内挿入部21とは、連結部30によって連結されている。尚、連結部30は、把持部31と略同じ太さとなるように形成されていてもよい。
電気回路23は、図6に示すように、ペルチェ素子26とバッテリ29とを電気的に接続し、ペルチェ素子26に電気エネルギーを供給する回路として設けられている。そして、電気回路23は、オンオフ切替スイッチ32、一対の端子(40a、40b)、通電方向切替部41、導電線43a、導電線43b、導電線44、導電線45、導電線46、ペルチェ素子26に電気的に接続された導電線42a及び導電線42b、等を備えて構成されている。
導電線42a及び導電線42bは、ペルチェ素子26と通電方向切替部41とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。導電線42aには、オンオフ切替スイッチ32が設けられている。
導電線43aは、通電方向切替部41と端子40aとを電気的に接続している。導電線43bは、通電方向切替部41と端子40bとを電気的に接続している。これにより、導電線43a及び導電線43bは、バッテリ収容部36に収容されたバッテリ29と通電方向切替部41とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。
導電線44は、通電方向切替部41と点灯ランプ37とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。導電線45は、通電方向切替部41と点灯ランプ38とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。導電線46は、通電方向切替部41と点灯ランプ39とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。
通電方向切替部41は、ペルチェ素子26に通電する電流の方向を切り替えるリレー回路として設けられている。通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態で、冷却スイッチ33、加温スイッチ34、及び周期動作スイッチ35のいずれかがユーザによって操作されることに伴って制御部24で生成される制御信号に基づいて、作動する。
通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態で、冷却スイッチ33が操作されることで制御部24で生成された制御信号が入力されると、導電線43aと導電線42aとを電気的に接続し、導電線43bと導電線42bとを電気的に接続する。これにより、ペルチェ素子26の通電が行われ、ペルチェ素子26の第1の面26aを吸熱部として作動させるように、ペルチェ素子26において所定の方向に電流が流れる。そして、ペルチェ素子26に所定の方向に電流が流れて第1の面26aが吸熱部として作動することで、口腔内当接部25が冷却部25として作動する。即ち、冷却スイッチ33が操作されると、制御部24からの制御信号によって通電方向切替部41が作動し、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25として作動させる状態へと、切り替えられる。
そして、通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態で、冷却スイッチ33が操作されることで制御部24で生成された制御信号が入力されると、導電線(43a、43b)と導電線44とを電気的に接続する。これにより、点灯ランプ37が通電され、点灯ランプ37が点灯する。
また、通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態で、加温スイッチ33が操作されることで制御部24で生成された制御信号が入力されると、導電線43aと導電線42bとを電気的に接続し、導電線43bと導電線42aとを電気的に接続する。これにより、ペルチェ素子26の通電が行われ、ペルチェ素子26の第1の面26aを発熱部として作動させるように、ペルチェ素子26において前述の所定の方向とは逆の方向に電流が流れる。そして、ペルチェ素子26に前述の所定の方向とは逆の方向に電流が流れて第1の面26aが発熱部として作動することで、口腔内当接部25が加温部25として作動する。即ち、加温スイッチ34が操作されると、制御部24からの制御信号によって通電方向切替部41が作動し、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を加温部25として作動させる状態へと、切り替えられる。
そして、通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態で、加温スイッチ34が操作されることで制御部24で生成された制御信号が入力されると、導電線(43a、43b)と導電線45とを電気的に接続する。これにより、点灯ランプ38が通電され、点灯ランプ38が点灯する。
また、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態で、周期動作スイッチ35が操作されると、制御部24では、通電方向切替部41の作動状態を切り替える第1の制御信号と第2の制御信号とが所定の時間周期ごとに交互に生成される。そして、制御部24で交互に生成される第1の制御信号及び第2の制御信号は、通電方向切替部41に入力される。
通電方向切替部41は、第1の制御信号が入力されると、導電線43aと導電線42aとを電気的に接続するとともに、導電線43bと導電線42bとを電気的に接続し、更に、導電線(43a、43b)と導電線46とを電気的に接続する。これにより、ペルチェ素子26において第1の面26aを吸熱部として作動させるように所定の方向に電流が流れ、口腔内当接部25が冷却部25として作動し、更に、点灯ランプ39が点灯する。
一方、通電方向切替部41は、第2の制御信号が入力されると、導電線43aと導電線42bとを電気的に接続するとともに、導電線43bと導電線42aとを電気的に接続し、更に、導電線(43a、43b)と導電線46とを電気的に接続する。これにより、ペルチェ素子26において第1の面26aを発熱部として作動させるように上記の所定の方向とは逆の方向に電流が流れ、口腔内当接部25が加温部25として作動し、更に、点灯ランプ39が点灯する。
周期動作スイッチ35が操作されると、第1の制御信号及び第2の制御信号は、制御部24にて所定の時間周期ごとに交互に繰り返し生成され、通電方向切替部41に入力される。このため、一旦、周期動作スイッチ35が操作されると、制御部24から繰り返し入力される制御信号によって通電方向切替部41が継続的に作動し、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させるように、切り替えられる。
上記のように、嚥下障害用器具1は、通電方向切替部41によってペルチェ素子26に通電する電流の方向が切り替えられることで、冷却部25として作動する口腔内当接部25が加温部25として作動するように切り替えられ、又は、加温部25として作動する口腔内当接部25が冷却部25として作動するように切り替えられるように構成されている。
制御部24は、通電方向切替部41及びオンオフ切替スイッチ32の作動を制御する回路或いはハードウェア・プロセッサ等を備えて構成されている。制御部24は、冷却スイッチ33が操作されて口腔内当接部25を冷却部25として作動させるための指令信号が入力されると、口腔内当接部25を冷却部25として作動させるための制御信号を生成して通電方向切替部41に入力する。また、制御部24は、加温スイッチ34が操作されて口腔内当接部25を加温部25として作動させるための指令信号が入力されると、口腔内当接部25を加温部25として作動させるための制御信号を生成して通電方向切替部41に入力する。また、制御部24は、周期動作スイッチ35が操作されて口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させるための指令信号が入力されると、口腔内当接部25を冷却部25として作動させるための第1の制御信号、及び口腔内当接部25を加温部25として作動させるための第2の制御信号を、所定の時間周期ごとに交互に繰り返し生成して通電方向切替部41に入力する。
また、制御部24は、温冷切替制御部47、通電制御部48、タイマー49を備えている。温冷切替制御部47は、周期動作スイッチ35が操作されると、前述の第1の制御信号及び第2の制御信号を所定の時間周期ごとに交互に繰り返し生成し、通電方向切替部41に入力する。これにより、温冷切替制御部47は、ペルチェ素子26に通電する電流の方向を所定の時間周期ごとに切り替えるように通電方向切替部41を制御する。尚、温冷切替制御部47は、タイマー49で計測される時間に基づいて、上記の所定の時間周期を検知し、第1の制御信号及び第2の制御信号を所定の時間周期ごとに交互に繰り返し通電方向切替部41に入力する。
通電制御部48は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられてから一定の時間が経過すると、オンオフ切替スイッチ32をオフ状態に切り替えるように構成されている。通電制御部48は、オンオフ切替スイッチ32が操作されてオン状態に切り替えられると、オン状態に切り替えられたことを通知する信号をオンオフ切替スイッチ32から受信する。そして、通電制御部48は、タイマー49で計測される時間に基づいて、上記の信号を受信してからの時間が一定の時間(例えば、15秒から2分程度の予め定められた時間)に達するか否かを監視する。通電制御部48は、一定の時間に達したことを検知すると、オンオフ切替スイッチ32に対して、オン状態をオフ状態に切り替える指令信号を送信する。オンオフ切替スイッチ32は、上記の指令信号を通電制御部48から受信すると、オフ状態へと切り替わる。
嚥下障害用器具1が使用されるときは、ユーザは、まず、オンオフ切替スイッチ32をオフ状態からオン状態に切り替えるように操作する。そして、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却して刺激するマッサージ行為を行いたい場合は、ユーザは、冷却スイッチ33を押圧操作する。これにより、口腔内当接部25が冷却部25として作動し、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却して刺激する所望のマッサージ行為を行うことができる。
また、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温して刺激するマッサージ行為を行いたい場合は、ユーザは、オンオフ切替スイッチ32をオン状態に切り替えた上で加温スイッチ34を押圧操作する。これにより、口腔内当接部25が加温部25として作動し、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温して刺激する所望のマッサージ行為を行うことができる。
また、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を交互に冷却したり加温したりして刺激するマッサージ行為を行いたい場合は、ユーザは、オンオフ切替スイッチ32をオン状態に切り替えた上で周期動作スイッチ35を押圧操作する。これにより、口腔内当接部25が冷却部25又は加温部25として交互に作動し、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を交互に冷却したり加温したりして刺激する所望のマッサージ行為を行うことができる。
本実施形態によると、口腔内挿入部21が患者Pの口腔内に挿入されて口腔内の所定部位(P1、P2、等)に口腔内当接部25が当接した状態でペルチェ素子26に通電が行われ、又は、ペルチェ素子26に通電が行われた状態で口腔内挿入部21が口腔内に挿入されて口腔内当接部25が所定部位(P1、P2、等)に当接される。そして、口腔内当接部25は、ペルチェ素子26が通電されて駆動されることで加温部25として作動するように構成されている。ペルチェ素子26によって加温される加温部25が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接すると、加温部25によってその所定部位(P1、P2、等)が加温される。これにより、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)が刺激され、患者Pの嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。
更に、本体部22の把持部31と、口腔内当接部25を含む口腔内挿入部21とは、本体部22の連結部30によって一体的に連結されている。このため、従来のアイスマッサージ棒のような器具とは異なり、カット綿が口腔内で割り箸から外れて誤飲されてしまうような危険性が回避される。よって、本実施形態によると、安全に患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することができる嚥下障害用器具1を実現できる。
そして、本実施形態によると、ペルチェ素子26を駆動させて加温部25を作動させ、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温することで、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することができる。このため、従来用いられていたアイスマッサージ棒を自作するような手間がそもそも生じず、ユーザによる器具の作製労力をなくすことができる。また、保冷剤を用いた器具の場合に必要な事前準備(冷凍庫での器具の冷却等)、及びそれを運ぶための多大な労力(クーラーボックス等を用いた持ち運び)も、そもそも不要となる。よって、本実施形態によると、利便性に優れた嚥下障害用器具1を実現できる。
従って、本実施形態によると、利便性に優れ、安全に患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することができる嚥下障害用器具1を提供することができる。
また、本実施形態によると、口腔内当接部25が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接している状態において、ペルチェ素子26も口腔内に配置されるため、口腔内当接部25とペルチェ素子26との距離を短くすることができる。このため、ペルチェ素子26と口腔内当接部25との間の熱伝導をより迅速に効率よく行うことができる。これにより、加温部25を加温するための加温性能をより向上させることができる。
また、本実施形態によると、口腔内当接部25は、加温部25として作動するように構成されていることに加え、冷却部25としても作動するように構成されている。ペルチェ素子26によって冷却される冷却部25が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接すると、冷却部25によってその所定部位(P1、P2、等)が冷却される。これにより、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)が刺激され、患者Pの嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。従って、本実施形態によると、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温して刺激することに加え、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却して刺激することもできる。これにより、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に多様な刺激を与えることができる。
また、本実施形態によると、通電方向切替部41によってペルチェ素子26に通電される電流の方向が切り替えられることで、冷却部25が加温部25に切り替えられ、又は加温部25が冷却部25に切り替えられる。よって、ペルチェ素子26に通電する電流の方向を切り替える簡素な構造で、口腔内当接部25を冷却部25として作動させることができるとともに加温部25としても作動させることができる。また、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に口腔内当接部25における同一の部分を接触させたままの状態で、所定部位(P1、P2、等)を冷却する状態と加温する状態との間で容易に状態の切り替えを行うことができる。
また、本実施形態によると、温冷切替制御部47によって、ペルチェ素子26に通電する電流の方向が所定の時間周期ごとに切り替えられる。このため、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に口腔内当接部25における同一の部分を接触させたままの状態で、自動的に、所定部位(P1、P2、等)を冷却する状態と加温する状態との間で状態の切り替えを行うことができる。
また、本実施形態によると、ペルチェ素子26が駆動されてから一定の時間が経過すると、通電制御部48によってオンオフ切替スイッチ32がオフ状態に切り替えられることにより、ペルチェ素子26の駆動が自動的に停止される。これにより、オンオフ切替スイッチ32の切り忘れによる無駄な電力の消費が防止されるため、省エネルギー性能に優れた嚥下障害用器具1を提供できる。また、患者Pの口腔内を長時間連続して過度に冷却又は加温してしまうことを防止できる。
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態に係る嚥下障害用器具2を模式的に示す正面図である。図8は、嚥下障害用器具2の電気回路図を模式的に示す図である。
図7は、本発明の第2実施形態に係る嚥下障害用器具2を模式的に示す正面図である。図8は、嚥下障害用器具2の電気回路図を模式的に示す図である。
図7及び図8に示す嚥下障害用器具2は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具2は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具2は、ペルチェ素子26を駆動するための電気エネルギーが供給される構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態と同様の符号を付すことで、又は第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
嚥下障害用器具2は、バッテリ収容部を備えておらず、外部の交流電源から電気エネルギーが供給されてペルチェ素子26が駆動されるように構成されている。具体的には、嚥下障害用器具2は、第1実施形態の嚥下障害用器具1の電気回路23とは異なる構成を有する電気回路50を備えて構成されている。そして、嚥下障害用器具2の電気回路50は、プラグ51、ケーブル52、整流回路53、導電線54a、導電線54b、オンオフ切替スイッチ32、通電方向切替部41、導電線44、導電線45、導電線46、ペルチェ素子26に電気的に接続された導電線42a及び導電線42b、等を備えて構成されている。
プラグ51は、外部の交流電源におけるプラグ受け(プラグの差し込み口、コンセント、ソケット、等)に差し込まれ、外部の交流電源に対して電気的に接続される。プラグ51は、ペルチェ素子26を駆動するための電気エネルギーが外部の交流電源から供給される部分となる。即ち、本実施形態では、プラグ51が、ペルチェ素子26を駆動するための電気エネルギーが供給される電気エネルギー被供給部を構成している。
尚、外部の交流電源から供給される電気エネルギーは、ペルチェ素子26以外の要素であって嚥下障害用器具2における電気エネルギーで駆動される全ての要素に対しても供給される。具体的には、外部の交流電源から供給される電気エネルギーは、制御部24、点灯ランプ(37、38、39)、等に対しても供給される。
ケーブル52は、プラグ51と整流回路53とを接続している。ケーブル52には、導電線52a及び導電線52bが設けられている。導電線52a及び導電線52bは、プラグ51と整流回路53とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。導電線54a及び導電線54bは、通電方向切替部41と整流回路53とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。
整流回路53は、外部の交流電源からプラグ51及び導電線(52a、52b)へと流れた交流電流を整流して直流電流に変換する整流器を備えた回路として構成されている。整流回路53にて交流電流から整流されて直流電流に変換された電流は、導電線(54a、54b)、通電方向切替部41、導電線(42a、42b)を介して、ペルチェ素子26へと流れる。
通電方向切替部41は、第1実施形態の嚥下障害用器具1の通電方向切替部41と同様に構成されている。通電方向切替部41は、整流回路53で整流されて直流電流に変換された電流であってペルチェ素子26に通電する電流の方向を切り替えるリレー回路として設けられている。
通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられるとともに、冷却スイッチ33が押圧操作され、制御部24からの制御信号が入力されると、導電線54aと導電線42aとを電気的に接続し、導電線54bと導電線42bとを電気的に接続する。これにより、口腔内当接部25が冷却部25として作動する。また、また、通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオン状態に切り替えられて冷却スイッチ33が押圧操作され、制御部24からの制御信号が入力されると、導電線(54a、54b)と導電線44とを電気的に接続する。これにより、点灯ランプ37が通電され、点灯ランプ37が点灯する。
また、通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられるとともに、加温スイッチ34が押圧操作され、制御部24からの制御信号が入力されると、導電線54aと導電線42bとを電気的に接続し、導電線54bと導電線42aとを電気的に接続する。これにより、口腔内当接部25が加温部25として作動する。また、通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオン状態に切り替えられて加温スイッチ34が押圧操作され、制御部24からの制御信号が入力されると、導電線(54a、54b)と導電線45とを電気的に接続する。これにより、点灯ランプ38が通電され、点灯ランプ38が点灯する。
また、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられ、周期動作スイッチ35が押圧操作されると、制御部24からの第1の制御信号及び第2の制御信号が、所定の時間周期ごとに通電方向切替部41に交互に繰り返し入力される。そして、通電方向切替部41は、第1の制御信号が入力されると、導電線54aと導電線42aとを電気的に接続するとともに、導電線54bと導電線42bとを電気的に接続し、更に、導電線(54a、54b)と導電線46とを電気的に接続する。これにより、口腔内当接部25が冷却部25として作動し、更に、点灯ランプ39が点灯する。一方、通電方向切替部41は、第2の制御信号が入力されると、導電線54aと導電線42bとを電気的に接続するとともに、導電線54bと導電線42aとを電気的に接続し、更に、導電線(54a、54b)と導電線46とを電気的に接続する。これにより、口腔内当接部25が加温部25として作動し、更に、点灯ランプ39が点灯する。このように、周期動作スイッチ35が操作されると、制御部24から繰り返し入力される制御信号によって通電方向切替部41が継続的に作動し、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させるように、切り替えられる。
上述した第2実施形態によると、第1実施形態と同様に、利便性に優れ、安全に患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することができる嚥下障害用器具2を提供することができる。また、嚥下障害用器具2によると、外部の交流電源から電気エネルギーが供給されてペルチェ素子26が駆動される。このため、バッテリー切れの問題が生じることなく、器具を使用することができる。尚、第2実施形態では、外部の交流電源から電気エネルギーが供給されてペルチェ素子が駆動される形態として、バッテリ収容部が備えられていない形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、外部の交流電源から供給された電気エネルギーが充電されるバッテリを収容するバッテリ収容部が設けられる形態が実施されてもよい。この場合、外部の交流電源からの電気エネルギーは、交流電流を整流する整流回路を経て、バッテリ収容部に収容されたバッテリに充電される。そして、バッテリから供給される電気エネルギーによってペルチェ素子が駆動される。
[第3実施形態]
図9は、本発明の第3実施形態に係る嚥下障害用器具3の口腔内挿入部55におけるペルチェ素子56及び断熱部57を示す断面図であって、ペルチェ素子56及び断熱部57のみを示す図である。図9に示す嚥下障害用器具3は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具3は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具3は、口腔内挿入部55におけるペルチェ素子56及び断熱部57の形状において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成のみを説明する。また、以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成について、第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る嚥下障害用器具3の口腔内挿入部55におけるペルチェ素子56及び断熱部57を示す断面図であって、ペルチェ素子56及び断熱部57のみを示す図である。図9に示す嚥下障害用器具3は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具3は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具3は、口腔内挿入部55におけるペルチェ素子56及び断熱部57の形状において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成のみを説明する。また、以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成について、第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
図9は、第1実施形態の説明における図5の断面図で示した口腔内挿入部21の断面の位置に対応する位置での口腔内挿入部55の断面図を示している。嚥下障害用器具3の口腔内挿入部55は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。また、口腔内挿入部55は、嚥下障害用器具3において、第1実施形態と同様に構成される本体部22(図示省略)とは反対側の端部である先端側の部分として設けられている。口腔内挿入部55は、患者Pに対してその口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激するマッサージ行為が行われる際に、患者Pの口腔内に挿入される。そして、口腔内挿入部55は、ペルチェ素子56、断熱部57、第1実施形態と同様に構成される口腔内当接部25(図示省略)、等を備えて構成されている。
ペルチェ素子56は、第1実施形態のペルチェ素子26と同様に構成されているが、形状が異なっている。第1実施形態のペルチェ素子26は、矩形の板状の素子として設けられていたが、ペルチェ素子56は、矩形の板状の素子ではなく、円盤状の素子として設けられている。
断熱部57は、口腔内当接部25と連結部30の端部30aとの間に設けられて両者を断熱するための部分として設けられている。断熱部57は、熱伝導性が口腔内当接部25よりも低い材料によって構成され、例えば、熱伝導性が低いセラミック材料、熱伝導性が低い樹脂材料、熱伝導性が口腔内当接部25よりも低い金属、等によって構成されている。そして、断熱部57の形状は、円環状に設けられており、断熱部57は、ペルチェ素子56の側面の外周を覆うように設けられている。
上述したような、円盤状に形成されたペルチェ素子56及び円環状に形成された断熱部57を有する口腔内挿入部55が設けられた嚥下障害用器具3が実施されてもよい。
[第4実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態に係る嚥下障害用器具4における口腔内挿入部58付近を拡大して示す断面図である。
図10は、本発明の第4実施形態に係る嚥下障害用器具4における口腔内挿入部58付近を拡大して示す断面図である。
図10に示す嚥下障害用器具4は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具4は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具4は、ペルチェ素子59の構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態と同様の符号を付すことで、又は第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
ペルチェ素子59は、第1実施形態のペルチェ素子26と同様に、口腔内当接部25に接して設けられ、本体部22(図示省略)に収納されたバッテリ29(図示省略)から電気エネルギーが供給されて通電されることで駆動される。ただし、ペルチェ素子59は、1枚の板状の素子として設けられた第1実施形態のペルチェ素子26とは異なり、複数枚の板状の素子(60、61)を備えて構成されている。即ち、ペルチェ素子59は、第1素子60及び第2素子61の2枚の板状の素子を備えて構成されている。尚、第4実施形態では、2枚の板状の素子を備えて構成されたペルチェ素子59の形態を例示しているが、この通りでなくてもよく、3枚以上の板状の素子を備えて構成されたペルチェ素子を含む嚥下障害用器具が実施されてもよい。
第1素子60及び第2素子61は、いずれも、所定の厚みを有する板状に形成された素子として設けられており、それぞれが、第1実施形態のペルチェ素子26と同様の構成を備えている。第1素子60は、口腔内当接部25に密着して接して配置され、第2素子61は、連結部30の端部30aに密着して接して配置されている。より具体的には、第1素子60の第1の面60aは、口腔内当接部25の平坦面25bに密着して接している。第1素子60の第2の面60bと、第2素子61の第1の面61aとは、互いに密着して接している。第2素子61の第2の面61aは、連結部30の端部30aに密着して接している。
嚥下障害用器具4においては、ペルチェ素子59は、第1素子60の第1の面60aが吸熱部として作動するとともに第1素子60の第2の面60bが発熱部として作動するときは、第2素子61の第1の面61aが吸熱部として作動するとともに第2素子61の第2の面60bが発熱部として作動するように構成されている。一方、第1素子60の第1の面60aが発熱部として作動するとともに第1素子60の第2の面60bが吸熱部として作動するときは、第2素子61の第1の面61aが発熱部として作動するとともに第2素子61の第2の面60bが吸熱部として作動するように構成されている。
上述したような、複数枚の板状の素子(60、61)を備えて構成されたペルチェ素子59を有する嚥下障害用器具4が実施されてもよい。
[第5実施形態]
図11は、本発明の第5実施形態に係る嚥下障害用器具5を模式的に示す正面図である。図11に示す嚥下障害用器具5は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具5は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具5は、本体部62の構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
図11は、本発明の第5実施形態に係る嚥下障害用器具5を模式的に示す正面図である。図11に示す嚥下障害用器具5は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具5は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具5は、本体部62の構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態と同様の符号を付すことで、又は第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
嚥下障害用器具5の本体部62は、第1実施形態の嚥下障害用器具1の本体部22と同様に構成されている。しかし、嚥下障害用器具5の本体部62は、連結部30が、把持部31に対して着脱可能に構成されている点において、第1実施形態の本体部22と異なっている。
本体部62の連結部30における端部30bには、係合部(図示省略)が設けられている。一方、本体部62の把持部31には、上記の係合部に対して着脱自在に係合する被係合部(図示省略)が設けられている。そして、ユーザは、本体部62の連結部30の係合部と本体部62の把持部31の被係合部とが係合するように、一体に設けられた口腔内挿入部21及び連結部30を把持部31側へ近接させることで、把持部31に対して口腔内挿入部21及び連結部30を装着することができる。一方、ユーザは、把持部31に対して装着されている状態の口腔内挿入部21及び連結部30を把持部31から離間させることで、把持部31から口腔内挿入部21及び連結部30を取り外すことができる。
尚、本体部62の連結部30の端部30b、及び、本体部62の把持部31における一方側の端部31aであってバッテリ収容部36側と反対側の端部31aには、それぞれに、互いに嵌合して電気的に接続されるコネクタ(図示省略)が設けられている。本体部62の把持部31に対して口腔内挿入部21及び連結部30を装着すると、端部30bに設けられたコネクタと端部31aに設けられたコネクタとが、嵌合して電気的に接続される。これにより、本体部62の連結部30側に設けられた電気回路部分と、本体部62の把持部31側に設けられた電気回路部分とが、電気的に接続される。
上述した第5実施形態によると、例えば患者毎に、口腔内当接部25と一体に設けられた連結部30を取り替えることができる。また、口腔内当接部25と一体に設けられた連結部30を把持部31から取り外した状態で洗浄することができる。また、上記の実施形態によると、口腔内当接部25又は連結部30が破損等した場合であっても、口腔内当接部25及び連結部30のみを交換して、嚥下障害用器具5を使用することができる。よって、上記の実施形態によれば、更に利便性に優れた嚥下障害用器具5を提供できる。
[第6実施形態]
図12は、本発明の第6実施形態に係る嚥下障害用器具6を模式的に示す正面図である。図12に示す嚥下障害用器具6は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具6は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具6は、口腔内挿入部63における口腔内当接部64の構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
図12は、本発明の第6実施形態に係る嚥下障害用器具6を模式的に示す正面図である。図12に示す嚥下障害用器具6は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具6は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具6は、口腔内挿入部63における口腔内当接部64の構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態と同様の符号を付すことで、又は第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
嚥下障害用器具6は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に構成されている。しかし、嚥下障害用器具6の口腔内挿入部63の口腔内当接部64は、着脱可能に設けられた表面カバー65を有している点において、第1実施形態の口腔内挿入部21の口腔内当接部25と異なっている。
口腔内挿入部63は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。そして、口腔内挿入部63は、口腔内当接部64、ペルチェ素子26、断熱部27、等を備えて構成されている。口腔内当接部64は、第1実施形態の口腔内当接部25と同様に構成される冷温部28と、表面カバー65と、を有している。即ち、口腔内当接部64は、第1実施形態の口腔内当接部25と同様の構成に加えて、更に表面カバー65も備えて構成されている。
表面カバー65は、口腔内当接部64において着脱可能に設けられ、細長い袋状に形成されたディスポーザブルカバーとして設けられている。表面カバー65は、冷温部28、断熱部27、及び、連結部30に対して装着される。そして、表面カバー65は、冷温部28、断熱部27、及び、連結部30の少なくとも一部、を覆う細長い袋状に形成されている。細長い袋状に形成された表面カバー65の一端は、開口するように形成されている。そして、表面カバー65が、冷温部28、断熱部27、及び、連結部30に装着される際には、表面カバー65の開口から表面カバー65の内側に、冷温部28、断熱部27、及び、連結部30の少なくとも一部が挿入される。
嚥下障害用器具6が使用される際には、表面カバー65が装着された状態の口腔内当接部64は、表面カバー65において、患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)に当接する。
尚、図12では、冷温部28、断熱部27、及び、連結部30の少なくとも一部、を覆う細長い袋状に形成された表面カバー65の形状を例示したが、この通りでなくてもよい。例えば一例として、冷温部28、断熱部27、連結部30、把持部31の少なくとも一部、を覆う細長い袋状に形成された表面カバーの形態が実施されてもよい。
上述した第6実施形態によると、患者毎に口腔内挿入部63の表面カバー65を取り替えて嚥下障害用器具6を使用することができる。このため、複数の患者に対して嚥下障害用器具6が使用される場合であっても、表面カバー65を取り換えるという簡単な作業を行うだけで、衛生的な使用状態を容易に実現することができる。
[第7実施形態]
図13は、本発明の第7実施形態に係る嚥下障害用器具7における口腔内挿入部66付近を拡大して示す断面図である。
図13は、本発明の第7実施形態に係る嚥下障害用器具7における口腔内挿入部66付近を拡大して示す断面図である。
図13に示す嚥下障害用器具7は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具7は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具7は、口腔内挿入部66の構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態と同様の符号を付すことで、又は第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
口腔内挿入部66は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。そして、口腔内挿入部66は、口腔内当接部25、ペルチェ素子67、等を備えて構成されている。ペルチェ素子67は、第1実施形態のペルチェ素子26と略同様に構成されている。そして、ペルチェ素子67の第1の面67aは、口腔内当接部25の平坦面25bに対して密着しており、吸熱部又は発熱部として作動する。ペルチェ素子67の第2の面67bは、連結部30の端部30aに対して密着しており、吸熱部又は発熱部として作動する。第1の面67a及び第2の面67bの一方が吸熱部として作動するときに、他方が発熱部として作動する。
しかし、口腔内挿入部66においては、ペルチェ素子67の側面の外周は、外部に対して露出した状態で配置されている。即ち、口腔内挿入部66は、第1実施形態の口腔内挿入部21とは異なり、口腔内当接部25と連結部30の端部30aとの間において、断熱部が設けられていない。
上述したように、断熱部が省略されており、口腔内当接部25と連結部30の端部30aとの間において、ペルチェ素子67の周囲が外部に対して露出した状態の嚥下障害用器具7が実施されてもよい。
[第8実施形態]
図14は、本発明の第8実施形態に係る嚥下障害用器具8を模式的に示す正面図である。図15は、嚥下障害用器具8を側方から視た図であって、嚥下障害用器具8の先端側の部分を拡大して示す図である。図16は、図14のC−C線矢視位置における断面図の一例である。図17は、嚥下障害用器具8の電気回路図を模式的に示す図である。
図14は、本発明の第8実施形態に係る嚥下障害用器具8を模式的に示す正面図である。図15は、嚥下障害用器具8を側方から視た図であって、嚥下障害用器具8の先端側の部分を拡大して示す図である。図16は、図14のC−C線矢視位置における断面図の一例である。図17は、嚥下障害用器具8の電気回路図を模式的に示す図である。
図14乃至図17に示す嚥下障害用器具8は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具8は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具8は、口腔内挿入部68の構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
また、嚥下障害用器具8は、口腔内挿入部68の構成が第1実施形態と異なることに伴い、第1実施形態の嚥下障害用器具1に設けられている要素のうちの一部が設けられていない点においても、第1実施形態とは異なっている。具体的には、嚥下障害用器具8は、第1実施形態の嚥下障害用器具1とは異なり、通電方向切替部41、冷却スイッチ33、加温スイッチ34、周期動作スイッチ35、各点灯ランプ(37、38、39)が設けられていない。このため、嚥下障害用器具8は、第1実施形態の嚥下障害用器具1の電気回路23とは異なる構成の電気回路76を備えている。また、嚥下障害用器具8の制御部69は、第1実施形態の嚥下障害用器具1の制御部24とは異なり、温冷切替制御部47が設けられていない。
尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態と同様の符号を付すことで、又は第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
口腔内挿入部68は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。口腔内挿入部68は、患者Pに対して、患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)を押したり軽くなでたりするマッサージ行為が行われる際に、患者Pの口腔内に挿入される。そして、口腔内挿入部68は、口腔内当接部70、ペルチェ素子71、断熱部(72、73)、等を備えて構成されている。
口腔内当接部70は、第1実施形態の口腔内当接部25と同様に、口腔内挿入部68が患者Pの口腔内に挿入された際に、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に少なくとも一部が当接する部分として、設けられている。しかし、口腔内当接部70は、第1実施形態の口腔内当接部25とは異なり、加温部75を有しているとともに冷却部74も有している。
冷却部74及び加温部75は、いずれも、全体的な形状が、例えば、略半球状の部分を含む形状、或いは、略半球状の形状の一部を成すような形状に形成されている。そして、冷却部74及び加温部75のそれぞれは、例えば、熱伝導性が高く且つ生体親和性の高いステンレス等の金属材料、或いは、熱伝導性が高く且つ生体親和性の高いセラミック材料、で形成されている。
冷却部74と加温部75とは、口腔内挿入部68において、所定の厚みを有する板状に形成されたペルチェ素子71の両側にそれぞれ配置されている。即ち、口腔内挿入部68において、冷却部74と加温部75との間にペルチェ素子71が配置されている。また、冷却部74及び加温部75は、ペルチェ素子71を挟んだ状態で、ペルチェ素子71に密着して配置されている。
また、冷却部74と加温部75との間にペルチェ素子71が挟まれているため、冷却部74と加温部75とは、互いに離間して配置されている。そして、冷却部74と加温部75とは、ペルチェ素子71の両側に別れて配置され、ペルチェ素子71を中心として互いに反対側に配置されている。このため、冷却部74及び加温部75は、冷却部74が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するときに加温部75が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)であって冷却部74が当接する所定部位(P1、P2、等)に当接しない位置に設けられている。更に、冷却部74及び加温部75は、加温部75が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するときに冷却部74が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)であって加温部75が当接する所定部位(P1、P2、等)に当接しない位置に設けられている。
冷却部74は、ペルチェ素子71が通電されて駆動されることでペルチェ素子71によって冷却されて患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却する部分として設けられている。一方、加温部75は、ペルチェ素子71が通電されて駆動されることでペルチェ素子71によって加温されて患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温する部分として設けられている。
冷却部74には、略半球状の表面として形成された半球面74aと、半球面74aとは反対側の面として設けられて平坦な面として形成された平坦面74bとが、設けられている。そして、口腔内挿入部68が患者Pの口腔内に挿入されて冷却部74が所定部位(P1、P2、等)に当接する際には、冷却部74は、半球面74aの一部が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するように、口腔内に配置される。
また、冷却部74は、嚥下障害用器具8の先端側の部分において、ペルチェ素子71の第1の面71aに対して平坦面74bにおいて接した状態で、配置されている(図16を参照)。ペルチェ素子71の第1の面71aは、冷却部74の平坦面74bに対して、密着している。尚、ペルチェ素子71の第1の面71aは、ペルチェ素子71が駆動された際には、ペルチェ素子71の吸熱部として作動する。
ペルチェ素子71が駆動されて第1の面71aが吸熱部として作動すると、冷却部74は、ペルチェ素子71によって、平坦面74bから抜熱され、冷却される。そして、冷却部74は、ペルチェ素子71によって冷却されると、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に半球面74aにて当接しているときは、その所定部位(P1、P2、等)を冷却する。
加温部75には、略半球状の表面として形成された半球面75aと、半球面75aとは反対側の面として設けられて平坦な面として形成された平坦面75bとが、設けられている。そして、口腔内挿入部68が患者Pの口腔内に挿入されて加温部75が所定部位(P1、P2、等)に当接する際には、加温部75は、半球面75aの一部が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するように、口腔内に配置される。
また、加温部75は、嚥下障害用器具8の先端側の部分において、ペルチェ素子71の第2の面71bに対して平坦面75bにおいて接した状態で、配置されている(図16を参照)。ペルチェ素子71の第2の面71bは、加温部75の平坦面75bに対して、密着している。尚、ペルチェ素子71の第2の面71bは、ペルチェ素子71が駆動された際には、ペルチェ素子71の発熱部として作動する。
ペルチェ素子71が駆動されて第2の面71bが発熱部として作動すると、加温部75は、ペルチェ素子71によって、平坦面75bから加温される。そして、加温部75は、ペルチェ素子71によって加温されると、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に半球面75aにて当接しているときは、その所定部位(P1、P2、等)を加温する。
口腔内当接部70は、上述の通り、いずれか一方が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に対して排他的に当接する冷却部74及び加温部75を有している。そして、口腔内当接部70は、冷却部74が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に接触することにより、当該所定部位(P1、P2、等)を冷却する。一方、口腔内当接部70は、加温部75が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に接触することにより、当該所定部位(P1、P2、等)を加温する。尚、上記の説明においては、口腔内当接部70によって冷却され又は加温される所定部位として口蓋弓P1及び舌根部P2を例に挙げたが、これに限られなくもよい。口腔内当接部70によって冷却され又は加温される所定部位として、口腔内の軟口蓋、咽頭後壁、K−point、等も挙げられる。
ペルチェ素子71は、嚥下障害用器具8において、先端側の部分に設けられ、前述の通り、口腔内当接部70の冷却部74及び加温部75の間に挟まれた状態で冷却部74及び加温部75に対して接して設けられている。そして、ペルチェ素子71は、嚥下障害用器具8において、口腔内当接部70の冷却部74又は加温部75が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接している状態で、患者Pの口腔内に配置される位置に、設けられている。
ペルチェ素子71は、所定の厚みを有する板状に形成された素子であって、本体部22に収納されたバッテリ29から電気エネルギーが供給されて通電されることで駆動される。ペルチェ素子71には、厚み方向における両側のそれぞれに設けられる面であって、互いに略平行に広がる平坦な第1の面71aと第2の面71bとが、設けられている。第1及び第2の面(71a、71b)の外形は、例えば、矩形に形成され、ペルチェ素子71は、矩形の板状に形成されている。また、ペルチェ素子71は、例えば、1枚の板状の素子によって構成されている。
ペルチェ素子71が通電されて駆動された状態では、第1の面71aの温度が下降し、第2の面71bの温度が上昇する。これにより、第1の面71aが吸熱部として作動し、第2の面71bが発熱部として作動する。尚、ペルチェ素子71における第1の面71a及び第2の面71bは、平坦な形状でなくてもよく、その他の形状であってもよい。
断熱部72は、冷却部74と加温部75との間に設けられて両者を断熱するための部分として設けられている。そして、断熱部72は、ペルチェ素子71における第1の面71a及び第2の面71bの間の外周を外部に対して覆うように設けられている。
断熱部73は、冷却部74と、連結部30の端部30aと、の間に設けられている。そして、断熱部73は、冷却部74と連結部30の端部30aとを断熱するための部分として設けられている。一方、加温部75と連結部30の端部30aとの間には、断熱部が設けられておらず、加温部75と連結部30の端部30aとは接している。よって、冷却部74と連結部30とが、断熱部73によって断熱され、加温部75と連結部30とは、互いに熱伝導可能に配置されている。
また、断熱部72及び断熱部73は、熱伝導性が冷却部74及び加温部75よりも低い材料によって構成されている。例えば、断熱部72及び断熱部73は、熱伝導性が低いセラミック材料、熱伝導性が低い樹脂材料、熱伝導性が冷却部74及び加温部75よりも低い金属、等によって構成されている。
尚、冷却部74、加温部75、ペルチェ素子71、断熱部72、断熱部73、及び連結部30の端部30aは、図示が省略された接着材料等によって固定されて一体に設けられている。これにより、連結部30は、冷却部74及び加温部75を有する口腔内当接部70、ペルチェ素子71、断熱部72、及び断熱部73を備える口腔内挿入部68と一体に設けられている。
また、嚥下障害用器具8は、第1実施形態の電気回路23とは構成が異なる電気回路76と、第1実施形態の制御部24とは構成が異なる制御部69とを備えている。尚、電気回路76及び制御部69は、本体部22に内蔵されている。
電気回路76は、図17に示すように、ペルチェ素子71とバッテリ29とを電気的に接続し、ペルチェ素子71に電気エネルギーを供給する回路として設けられている。そして、電気回路76は、オンオフ切替スイッチ32、一対の端子(40a、40b)、導電線77a及び導電線77b、等を備えて構成されている。
導電線77a及び導電線77bは、ペルチェ素子71と一対の端子(40a、40b)とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。導電線77aは、ペルチェ素子71と端子40aとを電気的に接続している。導電線77bは、ペルチェ素子71と端子40bとを電気的に接続している。これにより、導電線77a及び導電線77bは、バッテリ収容部36に収容されたバッテリ29とペルチェ素子71とを電気的に接続する。また、導電線77aには、オンオフ切替スイッチ32が設けられている。
制御部69は、第1実施形態と同様に構成された通電制御部48及びタイマー49を備えている。即ち、制御部69には、第1実施形態の温冷切替制御部47に相当する構成は設けられていない。制御部69に通電制御部48及びタイマー49が備えられているため、嚥下障害用器具8は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられてから一定の時間が経過すると、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態に切り替えられるように構成されている。
嚥下障害用器具8が使用されるときは、ユーザは、まず、オンオフ切替スイッチ32をオフ状態からオン状態に切り替えるように操作する。そして、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却して刺激するマッサージ行為を行いたい場合は、ユーザは、冷却部74を患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接させる。これにより、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却して刺激する所望のマッサージ行為を行うことができる。
また、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温して刺激するマッサージ行為を行いたい場合は、ユーザは、オンオフ切替スイッチ32をオン状態に切り替えた上で、加温部75を患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接させる。これにより、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温して刺激する所望のマッサージ行為を行うことができる。
上述した第8実施形態によると、第1実施形態と同様に、利便性に優れ、安全に患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することができる嚥下障害用器具8を提供することができる。
また、第8実施形態によると、口腔内当接部70は、加温部75を有しているとともに冷却部74も有している。そして、冷却部74と加温部75とは、口腔内の所定部位(P1、P2、等)に対して同時に当接せず、互いに独立して当接するように、口腔内挿入部68における異なる位置に設けられている。このため、ユーザは、口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却したい場合は冷却部74を所定部位(P1、P2、等)に当接させ、口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温したい場合は加温部75を所定部位(P1、P2、等)に当接させることができる。よって、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に対して口腔内当接部70における異なる部分を接触させるだけで、所定部位(P1、P2、等)を冷却する状態と加温する状態との間で容易に状態の切り替えを行うことができる。
[第9実施形態]
図18は、本発明の第9実施形態に係る嚥下障害用器具9を模式的に示す正面図である。図19は、嚥下障害用器具9を側方から視た図であって、嚥下障害用器具9の先端側の部分を拡大して示す図である。図20は、図18のD−D線矢視位置における断面図の一例である。
図18は、本発明の第9実施形態に係る嚥下障害用器具9を模式的に示す正面図である。図19は、嚥下障害用器具9を側方から視た図であって、嚥下障害用器具9の先端側の部分を拡大して示す図である。図20は、図18のD−D線矢視位置における断面図の一例である。
図18乃至図20に示す嚥下障害用器具9は、第1実施形態の嚥下障害用器具1及び第8実施形態の嚥下障害用器具8と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具9は、第8実施形態の嚥下障害用器具8と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具9は、口腔内挿入部78の口腔内当接部79の表面形状に関する構成において、第8実施形態の嚥下障害用器具8と異なっている。
尚、以下の説明においては、第8実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態又は第8実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態或いは第8実施形態と同様の符号を付すことで、又は、第1実施形態或いは第8実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
口腔内挿入部78は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。口腔内挿入部78は、患者Pに対して、患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)を押したり軽くなでたりするマッサージ行為が行われる際に、患者Pの口腔内に挿入される。そして、口腔内挿入部78は、口腔内当接部79、ペルチェ素子71、断熱部(72、73)、等を備えて構成されている。
口腔内当接部79は、第8実施形態の口腔内当接部70と同様に構成され、第8実施形態の冷却部74と同様に構成される冷却部80と、第8実施形態の加温部75と同様に構成される加温部81と、を有している。但し、冷却部80及び加温部81は、それらの表面形状に関する構成において、第8実施形態の冷却部74及び加温部75と異なっている。
冷却部80には、半球状面80a、平坦面80b、半球状面80aに形成された複数の凹み穴80c、が設けられている。半球状面80aは、冷却部80の表面であって略半球状の表面として形成されているが、複数の小さな凹み穴80cが設けられている。各凹み穴80cは、例えば、冷却部80の内側に向かって略半球状に凹んだ小径の穴として形成されている。上記のように、冷却部80の表面の半球状面80aには、複数の凹み穴80cが設けられていることで、凹凸形状が設けられている。尚、平坦面80bは、半球状面80aとは反対側の面として設けられて平坦な面として形成されている。平坦面80bは、第8実施形態の平坦面74bと同様に構成されている。
口腔内挿入部68が患者Pの口腔内に挿入されて冷却部80が所定部位(P1、P2、等)に当接する際には、冷却部80は、半球状面80aの一部が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するように、口腔内に配置される。このとき、半球状面80aに設けられた複数の凹み穴80cのうちの少なくとも1つの凹み穴80cの縁部分も、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接する。
加温部81には、半球状面81a、平坦面81b、半球状面81aに形成された複数の凹み穴81c、が設けられている。半球状面81aは、加温部81の表面であって略半球状の表面として形成されているが、複数の小さな凹み穴81cが設けられている。各凹み穴81cは、例えば、加温部81の内側に向かって略半球状に凹んだ小径の穴として形成されている。上記のように、加温部81の表面の半球状面81aには、複数の凹み穴81cが設けられていることで、凹凸形状が設けられている。尚、平坦面81bは、半球状面81aとは反対側の面として設けられて平坦な面として形成されている。平坦面81bは、第8実施形態の平坦面75bと同様に構成されている。
口腔内挿入部68が患者Pの口腔内に挿入されて加温部81が所定部位(P1、P2、等)に当接する際には、加温部81は、半球状面81aの一部が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するように、口腔内に配置される。このとき、半球状面81aに設けられた複数の凹み穴81cのうちの少なくとも1つの凹み穴81cの縁部分も、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接する。
上記のように、口腔内当接部79においては、冷却部80の表面に複数の凹み穴80cによる凹凸形状が設けられ、加温部81の表面に複数の凹み穴81cによる凹凸形状が設けられている。即ち、口腔内当接部79の表面には、凹凸形状が設けられている。
上述した第9実施形態によると、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温して刺激することに加え、更に、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を口腔内当接部79の表面の凹凸形状によって刺激することもできる。これにより、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に多様な刺激を与えることができる。
尚、上述の実施形態では、口腔内当接部の表面に凹凸形状が設けられた形態として、口腔内当接部の表面に複数の凹み穴が設けられた形態を例示したが、この通りでなくてもよい。口腔内当接部の表面に凹凸形状が設けられた形態として、複数の凹み穴以外の凹凸形状、例えば、複数の溝が設けられた形態、或いは、複数の凸部が設けられた形態が実施されてもよい。
[第10実施形態]
図21は、本発明の第10実施形態に係る嚥下障害用器具10における先端側の部分を示す断面図である。
図21は、本発明の第10実施形態に係る嚥下障害用器具10における先端側の部分を示す断面図である。
図21に示す嚥下障害用器具10は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具10は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具10は、口腔内挿入部82の構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態と同様の符号を付すことで、又は第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
口腔内挿入部82は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。そして、口腔内挿入部82は、口腔内当接部83、熱伝導部84、ペルチェ素子26、断熱部27、等を備えて構成されている。
口腔内当接部83は、口腔内挿入部82が患者Pの口腔内に挿入された際に、患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)に少なくとも一部が当接する部分として、設けられている。口腔内当接部83は、例えば、全体的な形状が、略半球殻状の部分を含む形状、又は、略半球殻状の形状の一部を成すような形状に形成されている。口腔内当接部83は、例えば、熱伝導性が高く且つ生体親和性の高いステンレス等の金属材料、或いは、熱伝導性が高く且つ生体親和性の高いセラミック材料、で形成されている。口腔内当接部83は、熱伝導部84を介して、ペルチェ素子26によって、冷却され、或いは、加温される。熱伝導部84を介してペルチェ素子26によって口腔内当接部83が冷却されることと加温されることとは、排他的に行われ、同時には行われない。
口腔内当接部83には、略半球状の外表面として形成された外周面83aと、外周面83aとは反対側の面として設けられて略半球状に凹む内側の面として形成された内周面83bとが、設けられている。そして、口腔内挿入部82が患者Pの口腔内に挿入された際には、口腔内当接部83は、外周面83aの一部が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するように、口腔内に配置される。口腔内当接部83の内周面83bは、熱伝導部84に対して接した状態で、配置されている。
熱伝導部84は、ペルチェ素子26と口腔内当接部83との間に配置され、ペルチェ素子26と口腔内当接部83とに接触し、ペルチェ素子26と口腔内当接部83との間における熱伝導を可能にする固体の媒体として設けられている。
熱伝導部84は、例えば、全体的な形状が、略半球状の部分を含む形状、或いは、略半球状の形状の一部を成すような形状に形成されている。熱伝導部84は、例えば、熱伝導性が高いステンレス等の金属材料、或いは、熱伝導性が高いセラミック材料、で形成されている。熱伝導部84は、ペルチェ素子26によって、冷却され、或いは、加温される。そして、熱伝導部84は、ペルチェ素子26によって冷却されたときには、口腔内当接部83を冷却し、ペルチェ素子26によって加温されたときには、口腔内当接部83を加温する。
熱伝導部84には、略半球状の表面として形成された半球面84aと、半球面84aとは反対側の面として設けられて平坦な面として形成された平坦面84bとが、設けられている。半球面84aは、口腔内当接部83の内周面83bに接した状態で配置され、内周面83bに密着している。また、熱伝導部84は、嚥下障害用器具10の先端側の部分において、ペルチェ素子26の第1の面26aに対して平坦面84bにおいて接した状態で、配置されている。ペルチェ素子26の第1の面26aは、熱伝導部84の平坦面84bに対して、密着している。
上記のように、嚥下障害用器具10の口腔内挿入部82においては、ペルチェ素子26は、口腔内当接部83に接する熱伝導部84に対して接して設けられている。
ペルチェ素子26の第1の面26aが吸熱部として作動しているときは、口腔内当接部83は、ペルチェ素子26によって平坦面84bから抜熱された熱伝導部84によって内周面83bから抜熱され、冷却される。そして、口腔内当接部83は、熱伝導部84を介してペルチェ素子26によって冷却されると、外周面83aにて当接している患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却する冷却部として作動することになる。
一方、ペルチェ素子26の第1の面26aが発熱部として作動しているときは、口腔内当接部83は、ペルチェ素子26によって平坦面84bから加温された熱伝導部84によって内周面83bから加温される。そして、口腔内当接部83は、熱伝導部84を介してペルチェ素子26によって加温されると、外周面83aにて当接している患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温する加温部として作動することになる。
上記のように、口腔内当接部83は、ペルチェ素子26が駆動されることで熱伝導部84を介して加温されて患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温する加温部として作動するように構成されていることに加え、ペルチェ素子26が駆動されることで熱伝導部84を介して冷却されて上記の所定部位(P1、P2、等)を冷却する冷却部としても作動するように構成されている。
上述したように、ペルチェ素子26と口腔内当接部83とに接する熱伝導部84が設けられた形態が実施されてもよい。即ち、ペルチェ素子26と口腔内当接部83との間における熱伝導を可能にする固体の媒体としての熱伝導部84が設けられた形態の嚥下障害用器具10が実施されてもよい。
尚、上述の実施形態では、口腔内当接部が、略半球殻状の部分を含む形状、又は、略半球殻状の形状の一部を成すような形状に形成され、熱伝導部が、略半球状の部分を含む形状、或いは、略半球状の形状の一部を成すような形状に形成された形態を例示したが、この通りでなくてもよい。口腔内当接部及び熱伝導部の形状は、上述の実施形態で例示した形状に限らず、種々変更して実施されてもよい。口腔内当接部及び熱伝導部の形状は、ペルチェ素子と口腔内当接部との間の熱伝導が可能な形状であればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の第1乃至第10実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施されてもよい。例えば、ペルチェ素子が、口腔内当接部が患者の口腔内の所定部位に当接している状態において、患者の口腔外に配置される位置に設けられた形態の嚥下障害用器具が、実施されてもよい。また、口腔内当接部が、加温部としてのみ作動するように構成され、冷却部として作動するように構成されていない形態の嚥下障害用器具が、実施されてもよい。或いは、加温部を有しているが冷却部を有していない口腔内当接部が設けられた形態の嚥下障害用器具が、実施されてもよい。
本発明は、嚥下障害を有する患者の口腔内の所定部位を刺激することにより患者の嚥下機能を向上させる訓練を行うための嚥下障害用器具として、広く適用することができる。
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10 嚥下障害用器具
21、55、58、63、66、68、78、82 口腔内挿入部
22 本体部
25、64、70、79、83 口腔内当接部
26、56、59、67、71 ペルチェ素子
30 連結部
31 把持部
21、55、58、63、66、68、78、82 口腔内挿入部
22 本体部
25、64、70、79、83 口腔内当接部
26、56、59、67、71 ペルチェ素子
30 連結部
31 把持部
Claims (10)
- 患者の口腔内に挿入される部分として設けられ、前記口腔内の所定部位に少なくとも一部が当接する口腔内当接部を有する口腔内挿入部と、
ユーザによって把持される部分として設けられた把持部、及び、前記把持部と前記口腔内挿入部とを連結する部分として設けられて前記口腔内挿入部と一体に設けられた連結部、を有する本体部と、
前記口腔内当接部に対して接して設けられ、又は、前記口腔内当接部に接する熱伝導部に対して接して設けられたペルチェ素子と、
を備え、
前記ペルチェ素子は、電気エネルギーが供給されて通電されることで駆動され、
前記口腔内当接部は、前記ペルチェ素子が駆動されることで加温されて前記所定部位を加温する加温部として作動するように構成されており、又は、前記加温部を有していることを特徴とする、嚥下障害用器具。 - 請求項1に記載の嚥下障害用器具であって、
前記ペルチェ素子は、前記口腔内当接部が前記所定部位に当接している状態において、前記患者の口腔内に配置される位置に設けられていることを特徴とする、嚥下障害用器具。 - 請求項1又は請求項2に記載の嚥下障害用器具であって、
前記口腔内当接部は、
前記加温部として作動するように構成されていることに加え、前記ペルチェ素子が駆動されることで冷却されて前記所定部位を冷却する冷却部としても作動するように構成されており、又は、
前記加温部を有しているとともに前記冷却部も有していることを特徴とする、嚥下障害用器具。 - 請求項3に記載の嚥下障害用器具であって、
前記口腔内当接部は、前記加温部として作動するように構成されていることに加え、前記冷却部としても作動するように構成されており、
当該嚥下障害用器具は、
前記ペルチェ素子に通電する電流の方向を切り替える通電方向切替部、を更に備え、
前記通電方向切替部によって前記ペルチェ素子に通電する電流の方向が切り替えられることで、前記冷却部として作動する前記口腔内当接部が前記加温部として作動するように切り替えられ、又は、前記加温部として作動する前記口腔内当接部が前記冷却部として作動するように切り替えられるように構成されていることを特徴とする、嚥下障害用器具。 - 請求項4に記載の嚥下障害用器具であって、
前記ペルチェ素子に通電する電流の方向を所定の時間周期ごとに切り替えるように前記通電方向切替部を制御する温冷切替制御部、を更に備えていることを特徴とする、嚥下障害用器具。 - 請求項3に記載の嚥下障害用器具であって、
前記口腔内当接部は、前記加温部を有しているとともに前記冷却部も有しており、
前記加温部及び前記冷却部は、前記加温部が前記所定部位に当接するときに前記冷却部が前記所定部位に当接せず、前記冷却部が前記所定部位に当接するときに前記加温部が前記所定部位に当接しない位置に設けられていることを特徴とする、嚥下障害用器具。 - 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の嚥下障害用器具であって、
前記口腔内当接部の表面には、凹凸形状が設けられていることを特徴とする、嚥下障害用器具。 - 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の嚥下障害用器具であって、
前記ペルチェ素子に電気エネルギーを供給する回路に設けられ、前記ペルチェ素子に通電するオン状態と前記ペルチェ素子の通電を遮断するオフ状態とのいずれかの状態に切り替えられるオンオフ切替スイッチと、
前記オンオフ切替スイッチが前記オン状態に切り替えられてから一定の時間が経過すると、前記オンオフ切替スイッチを前記オフ状態に切り替える通電制御部と、
を更に備えていることを特徴とする、嚥下障害用器具。 - 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の嚥下障害用器具であって、
前記連結部は、前記把持部に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする、嚥下障害用器具。 - 請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の嚥下障害用器具であって、
前記口腔内当接部は、着脱可能に設けられた表面カバーを有していることを特徴とする、嚥下障害用器具。
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JP2016051020A Pending JP2017164193A (ja) | 2016-03-15 | 2016-03-15 | 嚥下障害用器具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017164193A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109846708A (zh) * | 2019-02-19 | 2019-06-07 | 河南翔宇医疗设备股份有限公司 | 一种吞咽刺激设备 |
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2016
- 2016-03-15 JP JP2016051020A patent/JP2017164193A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109846708A (zh) * | 2019-02-19 | 2019-06-07 | 河南翔宇医疗设备股份有限公司 | 一种吞咽刺激设备 |
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