JP2017176711A - 嚥下障害用器具 - Google Patents

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一知 小木戸
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Abstract

【課題】利便性に優れ、安全に患者の口腔内の所定部位を刺激することができる嚥下障害用器具を提供する。【解決手段】患者の口腔内に挿入される口腔内挿入部21は、前記口腔内の所定部位に少なくとも一部が当接する口腔内当接部25を有する。本体部22は、ユーザによって把持される把持部31、及び、把持部31と口腔内挿入部21とを連結するとともに口腔内挿入部21と一体に設けられた連結部30、を有する。保水部28は、外部から供給された水を保持する。保水部28は、口腔内当接部25が前記所定部位に当接した状態で、保持した水を口腔内当接部25の表面から外部にこぼれ出させる又はしみ出させることが可能なように構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、嚥下障害を有する患者の口腔内の所定部位を刺激することにより患者の嚥下機能を向上させる訓練を行うための嚥下障害用器具に関する。
従来より、嚥下障害を有する患者の口腔内の所定部位を刺激することにより患者の嚥下機能を向上させる訓練を行うための嚥下障害用器具が知られている。このような嚥下障害用器具として、例えば非特許文献1には、患者の口腔内の所定部位を冷却して刺激することにより患者の嚥下機能を向上させる手法であるアイスマッサージを行う際に用いられるアイスマッサージ棒が開示されている。非特許文献1においては、カット綿と割り箸とを用いてアイスマッサージ棒を自作することが開示されている。また、特許文献1には、患者の口腔内の所定部位を冷却して刺激する嚥下障害用器具として、保冷剤を利用したものが開示されている。
特開2007−181503号公報
藤島一郎編著、「よくわかる嚥下障害 改訂第3版」、永井書店発行、p.184−185、P.214−215
ところで、上述した非特許文献1のように、カット綿と割り箸とを用いてアイスマッサージ棒(嚥下障害用器具)を自作する場合、衛生上の観点から使い捨てされるため、ユーザによる器具の作製労力が大きくなってしまう。また、当該器具を使用するための事前準備(器具の作製、及び冷凍庫での器具の冷却等)が必要になり、外出先で使用する場合には当該器具を持ち運ぶためのクーラーボックス又はポータブル冷蔵庫等が必要となる。更に、カット綿と割り箸とを用いたアイスマッサージ棒は、カット綿が口腔内で外れ、誤飲されるおそれがある。
この点につき、上述した特許文献1に開示される器具によれば、保冷剤の部分を冷却すれば繰り返し使用することが可能である。しかしながら、上述した非特許文献1に開示される器具(アイスマッサージ棒)の場合と同様、当該器具を使用するための事前準備、及びそれらの持ち運びのために、多大な労力が必要となってしまう。
また、特許文献1及び非特許文献1に開示された器具は、患者の口腔内の所定部位を冷却して刺激する器具として構成されている。しかし、患者の口腔内の所定部位を刺激する方法としては、冷却する方法以外にも、安全に患者の口腔内の所定部位を刺激できる方法がある。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、利便性に優れ、安全に患者の口腔内の所定部位を刺激することができる嚥下障害用器具を提供することである。
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係る嚥下障害用器具は、患者の口腔内に挿入される部分として設けられ、前記口腔内の所定部位に少なくとも一部が当接する口腔内当接部を有する口腔内挿入部と、ユーザによって把持される部分として設けられた把持部、及び、前記把持部と前記口腔内挿入部とを連結する部分として設けられて前記口腔内挿入部と一体に設けられた連結部、を有する本体部と、外部から供給された水を保持するように構成された保水部と、を備えている。そして、前記保水部は、前記口腔内当接部が前記所定部位に当接した状態で、保持した水を前記口腔内当接部の表面から外部にこぼれ出させる又はしみ出させることが可能なように構成されている。
上記の構成を有する嚥下障害用器具を使用するユーザは、口腔内挿入部を患者の口腔内に挿入して口腔内の所定部位に口腔内当接部を当接させ、患者の口腔内の所定部位を口腔内当接部で押したり軽くなでたりするマッサージを行うことができる。そして、上記の構成によると、ユーザは、外部から供給した水を保水部に保持させた状態で、嚥下障害用器具を使用して上記のマッサージを行うことができる。更に、上記の構成によると、ユーザは、上記のマッサージを行う際、口腔内当接部を患者の口腔内の所定部位に当接させた状態で、保水部に保持した水を口腔内当接部の表面から患者の口腔内の所定部位に向かってこぼれ出させる又はしみ出させることができる。このため、患者の口腔内の所定部位が、上記のマッサージ行為の最中に口腔内当接部の表面からこぼれ出た又はしみ出た水によって刺激されることになる。これにより、患者の嚥下反射が誘発され、患者の嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。
更に、本体部の把持部と、口腔内当接部を含む口腔内挿入部とは、本体部の連結部によって一体的に連結されている。このため、従来のアイスマッサージ棒のような器具とは異なり、カット綿が口腔内で割り箸から外れて誤飲されてしまうような危険性が回避される。よって、上記の構成によると、安全に患者の口腔内の所定部位を刺激することができる嚥下障害用器具を実現できる。
そして、上記の構成によると、保水部に保持した水を口腔内当接部の表面から患者の口腔内の所定部位に向かってこぼれ出させる又はしみ出させることで、患者の口腔内の所定部位を刺激することができる。このため、従来用いられていたアイスマッサージ棒を自作するような手間がそもそも生じず、ユーザによる器具の作製労力をなくすことができる。また、保冷剤を用いた器具の場合に必要な事前準備(冷凍庫での器具の冷却等)、及びそれを運ぶための多大な労力(クーラーボックス等を用いた持ち運び)も、そもそも不要となる。よって、上記の構成によると、利便性に優れた嚥下障害用器具を実現できる。
従って、上記の構成によると、利便性に優れ、安全に患者の口腔内の所定部位を刺激することができる嚥下障害用器具を提供することができる。
(2)前記保水部は、前記口腔内挿入部に設けられ、前記口腔内当接部の表面から水が内側に入り込むことで又は前記口腔内当接部の表面から水がしみ込むことで、入り込んだ又はしみ込んだ水を保持するように構成されていてもよい。
この構成によると、保水部は、口腔内当接部の表面から水が入り込む又はしみ込むことによる簡素な構成で水を保持するように構成されている。更に、その簡素な構成のため、口腔内当接部が患者の口腔内の所定部位に当接した状態で、口腔内当接部の表面から容易に水をこぼれ出させる又はしみ出させることができる。よって、上記の構成によると、患者の口腔内の所定部位のマッサージ行為の最中に口腔内当接部の表面からこぼれ出させた又はしみ出させた水によって患者の口腔内の所定部位を容易に刺激することができる構成を、簡素な構成で実現することができる。
(3)前記保水部は、前記口腔内当接部の表面から内側に向かって凹んだ凹み穴として設けられ、前記口腔内当接部の表面から前記凹み穴に水が入り込むことで、入り込んだ水を保持するように構成されていてもよい。
この構成によると、保水部は、凹み穴として設けられた簡素な構成で水を保持するように構成されている。更に、その簡素な構成のため、口腔内当接部が患者の口腔内の所定部位に当接した状態で、凹み穴から容易に水をこぼれ出させることができる。よって、上記の構成によると、患者の口腔内の所定部位のマッサージ行為の最中に口腔内当接部の表面からこぼれ出させた水によって患者の口腔内の所定部位を容易に刺激することができる構成を、より簡素な構成で実現することができる。
(4)前記保水部は、前記口腔内当接部の表面から内側に向かって凹んだ溝として設けられ、前記口腔内当接部の表面から前記溝に水が入り込むことで、入り込んだ水を保持するように構成されていてもよい。
この構成によると、保水部は、溝として設けられた簡素な構成で水を保持するように構成されている。更に、その簡素な構成のため、口腔内当接部が患者の口腔内の所定部位に当接した状態で、溝から容易に水をこぼれ出させることができる。よって、上記の構成によると、患者の口腔内の所定部位のマッサージ行為の最中に口腔内当接部の表面からこぼれ出させた水によって患者の口腔内の所定部位を容易に刺激することができる構成を、より簡素な構成で実現することができる。
(5)前記保水部は、前記口腔内当接部として構成されたスポンジとして設けられ、又は、前記口腔内当接部を含んで構成されたスポンジとして設けられ、前記口腔内当接部の表面から水がしみ込むことで、しみ込んだ水を保持するように構成されていてもよい。
この構成によると、保水部は、口腔内当接部として構成されたスポンジとして又は口腔内当接部を含むスポンジとして設けられており、簡素な構成で水を保持するように構成されている。また、その簡素な構成のため、口腔内当接部が患者の口腔内の所定部位に当接した状態で、スポンジにしみ込んでいた水をスポンジから容易にしみ出させることができる。よって、患者の口腔内の所定部位のマッサージ行為の最中に口腔内当接部の表面からしみ出させた水によって患者の口腔内の所定部位を容易に刺激することができる構成を、より簡素な構成で実現することができる。
(6)前記嚥下障害用器具は、前記口腔内当接部に対して接して設けられ、又は、前記口腔内当接部に接する熱伝導部に対して接して設けられたペルチェ素子、を更に備え、前記ペルチェ素子は、電気エネルギーが供給されて通電されることで駆動され、前記口腔内当接部は、前記ペルチェ素子が駆動されることで冷却されて前記所定部位を冷却する冷却部として作動するように構成され、又は、前記冷却部を有していてもよい。
この構成によると、口腔内挿入部が患者の口腔内に挿入されて口腔内の所定部位に口腔内当接部が当接した状態でペルチェ素子に通電が行われ、又は、ペルチェ素子に通電が行われた状態で口腔内挿入部が口腔内に挿入されて口腔内当接部が所定部位に当接される。そして、口腔内当接部は、ペルチェ素子が通電されて駆動されることで冷却部として作動するように構成されている。又は、口腔内当接部は、冷却部を有している。ペルチェ素子によって冷却される冷却部が口腔内の所定部位に当接すると、冷却部によってその所定部位が冷却される。これにより、患者の口腔内の所定部位が刺激され、患者の嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。
従って、上記の構成によると、口腔内当接部の表面からこぼれ出させた又はしみ出させた水によって患者の口腔内の所定部位を刺激することに加え、患者の口腔内の所定部位を冷却して刺激することもできる。これにより、患者の所定部位に多様な刺激を与えることができる。
(7)前記ペルチェ素子は、前記口腔内当接部が前記所定部位に当接している状態において、前記患者の口腔内に配置される位置に設けられていてもよい。
この構成によると、口腔内当接部が口腔内の所定部位に当接している状態において、ペルチェ素子も口腔内に配置されるため、冷却部として作動する口腔内当接部又は口腔内当接部の冷却部とペルチェ素子との距離を短くすることができる。このため、ペルチェ素子からの熱伝導をより迅速に効率よく行うことができる。これにより、冷却部を冷却するための冷却性能をより向上させることができる。
(8)前記口腔内当接部は、前記冷却部として作動するように構成されていることに加え、前記ペルチェ素子が駆動されることで加温されて前記所定部位を加温する加温部としても作動するように構成されていてもよい。又は、前記口腔内当接部は、前記冷却部を有しているとともに前記加温部も有していてもよい。
この構成によると、口腔内当接部は、冷却部として作動するように構成されていることに加え、加温部としても作動するように構成されている。又は、口腔内当接部は、冷却部を有しているとともに加温部もを有している。ペルチェ素子によって加温される加温部が口腔内の所定部位に当接すると、加温部によってその所定部位が加温される。これにより、患者の口腔内の所定部位が刺激され、患者の嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。従って、上記の構成によると、口腔内当接部の表面からこぼれ出させた又はしみ出させた水によって患者の口腔内の所定部位を刺激することに加え、患者の口腔内の所定部位を冷却して刺激でき、更に、患者の口腔内の所定部位を加温して刺激することもできる。これにより、患者の所定部位に更に多様な刺激を与えることができる。尚、ここで、「加温する」とは、熱を加えて温めることをいう。
(9)前記口腔内当接部は、前記冷却部として作動するように構成されていることに加え、前記加温部としても作動するように構成されていてもよい。そして、前記嚥下障害用器具は、前記ペルチェ素子に通電する電流の方向を切り替える通電方向切替部、を更に備え、前記通電方向切替部によって前記ペルチェ素子に通電する電流の方向が切り替えられることで、前記冷却部として作動する前記口腔内当接部が前記加温部として作動するように切り替えられ、又は、前記加温部として作動する前記口腔内当接部が前記冷却部として作動するように切り替えられるように構成されていてもよい。
この構成によると、通電方向切替部によってペルチェ素子に通電される電流の方向が切り替えられることで、冷却部が加温部に切り替えられ、又は加温部が冷却部に切り替えられる。よって、ペルチェ素子に通電する電流の方向を切り替える簡素な構造で、口腔内当接部を冷却部として作動させることができるとともに加温部としても作動させることができる。また、ユーザは、患者の口腔内の所定部位に口腔内当接部における同一の部分を接触させたままの状態で、所定部位を冷却する状態と加温する状態との間で容易に状態の切り替えを行うことができる。
(10)前記口腔内当接部は、前記冷却部を有しているとともに前記加温部も有しており、前記冷却部及び前記加温部は、前記冷却部が前記所定部位に当接するときに前記加温部が前記所定部位に当接せず、前記加温部が前記所定部位に当接するときに前記冷却部が前記所定部位に当接しない位置に設けられていてもよい。
この構成によると、口腔内当接部は、冷却部を有しているとともに加温部も有している。そして、冷却部と加温部とは、口腔内の所定部位に対して同時に当接せず、互いに独立して当接するように、異なる位置に設けられている。このため、ユーザは、口腔内の所定部位を冷却したい場合は冷却部を所定部位に当接させ、口腔内の所定部位を加温したい場合は加温部を所定部位に当接させることができる。よって、ユーザは、患者の口腔内の所定部位に対して口腔内当接部における異なる部分を接触させるだけで、所定部位を冷却する状態と加温する状態との間で容易に状態の切り替えを行うことができる。
本発明によると、利便性に優れ、安全に患者の口腔内の所定部位を刺激することができる嚥下障害用器具を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る嚥下障害用器具を模式的に示す正面図である。 図1に示す嚥下障害用器具を側方から視た図であって、嚥下障害用器具の先端側の部分を拡大して示す図である。 図1に示す嚥下障害用器具の使用形態の一例を示す図であって、患者の顔を外形で模式的に示す図である。 図1のA−A線矢視位置における断面図の一例である。 図2のB−B線矢視位置における断面図であって、ペルチェ素子及び断熱部のみを示す図である。 図1に示す嚥下障害用器具の電気回路図を模式的に示す図である。 図1に示す嚥下障害用器具の先端側の部分の一部の断面を切欠き状態で拡大して示す図であって、嚥下障害用器具の保水部に水が保持された状態を模式的に示す図である。 本発明の第2実施形態に係る嚥下障害用器具を模式的に示す正面図である。 図8のC−C線矢視位置における断面図である。 本発明の第3実施形態に係る嚥下障害用器具を模式的に示す正面図である。 図10に示す嚥下障害用器具をその先端側から視た図であって、嚥下障害用器具の先端側の部分のみを拡大して示す図である。 本発明の第4実施形態に係る嚥下障害用器具を模式的に示す正面図である。 図12に示す嚥下障害用器具の先端側の部分を拡大して示す図である。 本発明の第5実施形態に係る嚥下障害用器具を模式的に示す正面図である。 本発明の第6実施形態に係る嚥下障害用器具を模式的に示す正面図である。 図15に示す嚥下障害用器具を側方から視た図であって、嚥下障害用器具の先端側の部分を拡大して示す図である。 図15のD−D線矢視位置における断面図の一例である。 図15に示す嚥下障害用器具の電気回路図を模式的に示す図である。 本発明の第7実施形態に係る嚥下障害用器具における先端側の部分を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、嚥下障害を有する患者の口腔内の所定部位を刺激することにより患者の嚥下機能を向上させる訓練を行うための嚥下障害用器具に対して広く適用することができる。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る嚥下障害用器具1を模式的に示す正面図である。図2は、嚥下障害用器具1を側方から視た図であって、嚥下障害用器具1の先端側の部分を拡大して示す図である。図3は、嚥下障害用器具1の使用形態の一例を示す図であって、患者Pの顔を外形で模式的に示す図である。図4は、図1のA−A線矢視位置における断面図の一例である。図5は、図2のB−B線矢視位置における断面図であって、ペルチェ素子26及び断熱部27のみを示す図である。図6は、嚥下障害用器具1の電気回路図を模式的に示す図である。
図1乃至図5に示す嚥下障害用器具1は、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。嚥下障害用器具1を用いて行われる嚥下機能向上のための訓練では、ユーザは、まず、嚥下障害用器具1の先端側の部分に、後述のように、水を保持させる。次いで、ユーザは、図3に例示するように、嚥下障害用器具1における先端側に設けられた口腔内挿入部21の口腔内当接部25を患者Pの口腔内の所定部位に当接させる。そして、口腔内当接部25によって患者Pの口腔内の所定部位を押したり軽くなでたりするマッサージ行為が行われる。このようなマッサージ行為が行われることにより、患者Pの嚥下反射が誘発される。尚、口腔内当接部25が当接する患者Pの口腔内の所定部位としては、例えば、口蓋弓P1、舌根部P2、等が挙げられる。また、嚥下障害用器具1のユーザは、患者P自身であってもよく、患者P以外の第三者であってもよい。
図1乃至図5に示すように、嚥下障害用器具1は、口腔内挿入部21、本体部22、電気回路23、制御部24、保水部28、凹部81、等を備えて構成されている。
口腔内挿入部21は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。また、口腔内挿入部21は、嚥下障害用器具1において、本体部22とは反対側の端部である先端側の部分として設けられている。口腔内挿入部21は、患者Pに対して前述のマッサージ行為が行われる際に、患者Pの口腔内に挿入される。そして、口腔内挿入部21は、口腔内当接部25、ペルチェ素子26、断熱部27、等を備えて構成されている。
口腔内当接部25は、口腔内挿入部21が患者Pの口腔内に挿入された際に、患者Pの口腔内の所定部位(例えば、口蓋弓P1、舌根部P2、等)に少なくとも一部が当接する部分として、設けられている(図3を参照)。口腔内当接部25は、例えば、全体的な形状が、略半球状の部分を含む形状、或いは、略半球状の形状の一部を成すような形状に形成されている。口腔内当接部25は、例えば、熱伝導性が高く且つ生体親和性の高いステンレス等の金属材料、或いは、熱伝導性が高く且つ生体親和性の高いセラミック材料、で形成されている。口腔内当接部25は、後述するペルチェ素子26によって、冷却され、或いは、加温される。詳細は後述するが、ペルチェ素子26によって口腔内当接部25が冷却されることと加温されることとは、排他的に行われ、同時には行われない。尚、ここで、「加温する」とは、熱を加えて温めることをいう。
口腔内当接部25には、略半球状の表面として形成された半球状面25aと、半球状面25aとは反対側の面として設けられて平坦な面として形成された平坦面25bとが、設けられている。そして、口腔内挿入部21が患者Pの口腔内に挿入された際には、口腔内当接部25は、半球状面25aの一部が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するように、口腔内に配置される。また、口腔内当接部25には、半球状面25a側において、後述する保水部28が設けられている。尚、上記の説明においては、口腔内当接部25が当接する所定部位として口蓋弓P1及び舌根部P2を例に挙げたが、これに限られなくてもよい。口腔内当接部25が当接する所定部位として、口腔内の軟口蓋、咽頭後壁、K−point、等も挙げられる。
また、口腔内当接部25は、嚥下障害用器具1の先端側の部分において、後述するペルチェ素子26の第1の面26aに対して平坦面25bにおいて接した状態で、配置されている(図4を参照)。ペルチェ素子26の第1の面26aは、口腔内当接部25の平坦面25bに対して、密着している。尚、ペルチェ素子26の第1の面26aは、ペルチェ素子26が駆動された際には、ペルチェ素子26の吸熱部又は発熱部として作動する。
ペルチェ素子26の第1の面26aが吸熱部として作動しているときは、口腔内当接部25は、ペルチェ素子26によって、平坦面25bから抜熱され、冷却される。そして、口腔内当接部25は、ペルチェ素子26によって冷却されると、半球状面25aにて当接している患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)を冷却する冷却部として作動することになる。
一方、ペルチェ素子26の第1の面26aが発熱部として作動しているときは、口腔内当接部25は、ペルチェ素子26によって、平坦面25bから加温される。そして、口腔内当接部25は、ペルチェ素子26によって加温されると、半球状面25aにて当接している患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)を加温する加温部として作動することになる。
上記のように、口腔内当接部25は、ペルチェ素子26が駆動されることで冷却されて患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却する冷却部として作動するように構成されていることに加え、ペルチェ素子26が駆動されることで加温されて上記の所定部位(P1、P2、等)を加温する加温部としても作動するように構成されている。尚、以下の説明においては、口腔内当接部25がペルチェ素子26によって冷却されている状態においては、口腔内当接部25を冷却部25とも称する。また、口腔内当接部25がペルチェ素子26によって加温されている状態においては、口腔内当接部25を加温部25とも称する。
口腔内当接部25は、上述の通り、冷却部25又は加温部25として排他的に作動する。そして、口腔内当接部25は、冷却部25として作動している状態で患者Pの口腔内における所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)に接触することにより、当該所定部位(P1、P2、等)を冷却する。一方、口腔内当接部25は、加温部25として作動している状態で患者Pの口腔内における所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)に接触することにより、当該所定部位(P1、P2、等)を加温する。尚、上記の説明においては、口腔内当接部25によって冷却され又は加温される所定部位として口蓋弓P1及び舌根部P2を例に挙げたが、これに限られなくてもよい。口腔内当接部25によって冷却され又は加温される所定部位として、口腔内の軟口蓋、咽頭後壁、K−point、等も挙げられる。
ペルチェ素子26は、嚥下障害用器具1において、先端側の部分に設けられ、前述の通り、口腔内当接部25に対して接して設けられている。そして、ペルチェ素子26は、嚥下障害用器具1において、口腔内当接部25が患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)に当接している状態で、患者Pの口腔内に配置される位置に、設けられている。
ペルチェ素子26は、所定の厚みを有する板状に形成された素子であって、後述する本体部22に収納されたバッテリ29から電気エネルギーが供給されて通電されることで駆動される。ペルチェ素子26には、厚み方向における両側のそれぞれに設けられる面であって、互いに略平行に広がる平坦な第1の面26aと第2の面26bとが、設けられている。尚、本実施形態では、第1及び第2の面(26a、26b)の外形が矩形に形成され、矩形の板状に形成されたペルチェ素子26の形態を例示している。また、本実施形態では、1枚の板状の素子によって構成されたペルチェ素子26の形態を例示している。
ペルチェ素子26が通電されて駆動された状態では、第1の面26aと第2の面26bとのうちの一方の面の温度が下降し、温度が下降した一方の面が吸熱部として作動する。そして、第1の面26aと第2の面26bとのうちの他方の面の温度が上昇し、温度が上昇した他方の面が発熱部として作動する。即ち、ペルチェ素子26に所定の方向に電流が流れると、例えば、第1の面26aが吸熱部として作動し、第2の面26bが発熱部として作動する。一方、ペルチェ素子26に上記の所定の方向と逆の方向に電流が流れると、第1の面26aが発熱部として作動し、第2の面26bが吸熱部として作動する。尚、ペルチェ素子26における第1の面26a及び第2の面26bは、平坦な形状でなくてもよく、その他の形状であってもよい。
ペルチェ素子26の第2の面26bは、後述する本体部22における連結部30の端部30aと密着した状態で配置されている。ペルチェ素子26の第2の面26bが発熱部として作動しているときは、第2の面26bから連結部30の端部30aに伝導した熱は、端部30aを含む連結部30から外部へと放出される。即ち、第2の面26bが発熱部として作動しているときのペルチェ素子26からの熱は、連結部30から放熱される。
尚、口腔内挿入部21には、ペルチェ素子26の第1及び第2の面(26a、26b)の温度を検知する温度センサが設けられていてもよい。更に、口腔内挿入部21には、上記の温度センサによる検知結果に基づいて作動し、ペルチェ素子26への通電を遮断可能な回路が設けられていてもよい。例えば、上記の温度センサにて検知された第1及び第2の面(26a、26b)の温度が所定の温度範囲から外れた場合に、ペルチェ素子26への通電を遮断する回路が、口腔内挿入部21に設けられていてもよい。
断熱部27は、口腔内当接部25と連結部30の端部30aとの間に設けられて、両者を断熱するための部分として設けられている。断熱部27は、図4及び図5に示すように、ペルチェ素子26の側面の外周を覆うように設けられている。即ち、断熱部27は、ペルチェ素子26における第1の面26a及び第2の面26bの間の外周を覆うように設けられている。そして、断熱部27は、熱伝導性が口腔内当接部25よりも低い材料によって構成されている。例えば、断熱部27は、熱伝導性が低いセラミック材料、熱伝導性が低い樹脂材料、熱伝導性が口腔内当接部25よりも低い金属、等によって構成されている。
尚、口腔内当接部25、ペルチェ素子26、断熱部27、及び連結部30の端部30aは、図示が省略された接着材料等によって固定されて一体に設けられている。これにより、連結部30は、口腔内当接部25、ペルチェ素子26、及び断熱部27を備える口腔内挿入部21と一体に設けられている。
本体部22は、把持部31、連結部30、等を備えて構成されている。また、本体部22には、オンオフ切替スイッチ32、冷却スイッチ33、加温スイッチ34、周期動作スイッチ35、等が設けられている。また、本体部22には、電気回路23、制御部24、バッテリ収容部36、等が内蔵されている。
把持部31は、介護スタッフ或いは患者P等のユーザが嚥下障害用器具1を使用して患者Pに対して前述のマッサージ行為を行う際に、ユーザによって把持される部分として設けられている。把持部31は、例えば、長手方向を有する細長い略円筒状の部分として形成されている。
把持部31における一端側の部分には、オンオフ切替スイッチ32、冷却スイッチ33、加温スイッチ34、周期動作スイッチ35が設けられている。ここで、把持部31における一端側の部分は、把持部31における連結部30が一体に設けられた端部側の部分である。オンオフ切替スイッチ32、冷却スイッチ33、加温スイッチ34、周期動作スイッチ35の各スイッチにおけるユーザによって操作される部分は、把持部31の外部に露出している。また、把持部31における他端側の部分には、バッテリ29を収容するバッテリ収容部36が内蔵されている。
尚、把持部31における各スイッチ(32、33、34、35)が設けられる位置は、把持部31における一端側の部分でなくてもよく、把持部31における他端側の部分であってもよい。また、把持部31におけるバッテリ収容部36が内蔵される位置は、把持部31における他端側の部分でなくてもよく、把持部31における一端側の部分であってもよい。
オンオフ切替スイッチ32は、ペルチェ素子26に電気エネルギーを供給する回路である後述の電気回路23に設けられている。そして、オンオフ切替スイッチ32は、ペルチェ素子26に通電するオン状態とペルチェ素子26の通電を遮断するオフ状態とのいずれかの状態に切り替えられるスイッチとして構成されている。尚、図6では、オンオフ切替スイッチ32が、オフ状態の場合を例示している。
また、オンオフ切替スイッチ32は、把持部31の外部に露出した部分であってユーザによって操作される操作部分を有している。そして、オンオフ切替スイッチ32の操作部分には、「ON」と表示された部分と、「OFF」と表示された部分とが、設けられている。オンオフ切替スイッチ32がオフ状態のときに、「ON」と表示されている部分の押圧操作がユーザによって行われると、オンオフ切替スイッチ32は、オン状態に切り替えられる。一方、オンオフ切替スイッチ32がオン状態のときに、「OFF」と表示されている部分の押圧操作がユーザによって行われると、オンオフ切替スイッチ32は、オフ状態に切り替えられる。
尚、嚥下障害用器具1においては、詳しくは後述するが、オンオフ切替スイッチ32は、オフ状態からオン状態に切り替えられてから一定の時間が経過すると、制御部24の制御に基づいて、オフ状態に切り替えられるように構成されている。上記の一定の時間は、例えば、一例として、15秒から2分程度の時間に設定される。尚、本実施形態では、図示が省略されているが、オンオフ切替スイッチ32に、オン状態に切り替えられているときに点灯するLED等の点灯ランプが設けられていてもよい。この場合、ユーザは、オンオフ切替スイッチ32がオン状態に切り替えられていることを視覚的に容易に識別することができる。
冷却スイッチ33は、口腔内当接部25を冷却部25として作動させる際にユーザによって操作されるスイッチとして構成されている。冷却スイッチ33は、把持部31の外部に露出した部分であってユーザによって操作される操作部分を有している。冷却スイッチ33の操作部分には、「冷却」と表示された部分が設けられている。そして、冷却スイッチ33の操作部分の押圧操作がユーザによって行われると、後述する制御部24に対して、口腔内当接部25を冷却部25として作動させるための指令信号が入力される。この指令信号が制御部24に入力されると、制御部24で生成される制御信号に基づいて、後述するように、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25として作動させる状態へと、切り替えられる。
また、冷却スイッチ33には、その操作部分が押圧操作された際に点灯するLED等の点灯ランプ37が設けられている。冷却スイッチ33の操作部分が押圧操作されると、制御部24で生成される制御信号に基づいて、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25として作動させるとともに点灯ランプ37を点灯させる状態へと、切り替えられる。ユーザは、点灯ランプ37が点灯していることを確認することで、口腔内当接部25が冷却部25として作動していることを視覚的に容易に識別することができる。尚、本実施形態では、ユーザによる押圧操作が行われる冷却スイッチ33の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。冷却スイッチ33の形態の替わりに、ユーザによるスライド操作が行われるスライド式のスイッチ等、一般的なスイッチとして構成された冷却スイッチの形態が実施されてもよい。更に、誤操作防止のための複数段階の操作が必要なスイッチとして構成された冷却スイッチの形態が実施されてもよい。
加温スイッチ34は、口腔内当接部25を加温部25として作動させる際にユーザによって操作されるスイッチとして構成されている。加温スイッチ34は、把持部31の外部に露出した部分であってユーザによって操作される操作部分を有している。加温スイッチ34の操作部分には、「加温」と表示された部分が設けられている。そして、加温スイッチ34の操作部分の押圧操作がユーザによって行われると、後述する制御部24に対して、口腔内当接部25を加温部25として作動させるための指令信号が入力される。この指令信号が制御部24に入力されると、制御部24で生成される制御信号に基づいて、後述するように、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を加温部25として作動させる状態へと、切り替えられる。
また、加温スイッチ34には、その操作部分が押圧操作された際に点灯するLED等の点灯ランプ38が設けられている。加温スイッチ34の操作部分が押圧操作されると、制御部24で生成される制御信号に基づいて、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を加温部25として作動させるとともに点灯ランプ38を点灯させる状態へと、切り替えられる。ユーザは、点灯ランプ38が点灯していることを確認することで、口腔内当接部25が加温部25として作動していることを視覚的に容易に識別することができる。尚、本実施形態では、ユーザによる押圧操作が行われる加温スイッチ34の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。加温スイッチ34の形態の替わりに、ユーザによるスライド操作が行われるスライド式のスイッチ等、一般的なスイッチとして構成された加温スイッチの形態が実施されてもよい。更に、誤操作防止のための複数段階の操作が必要なスイッチとして構成された加温スイッチの形態が実施されてもよい。
周期動作スイッチ35は、口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させる際にユーザによって操作されるスイッチとして構成されている。周期動作スイッチ35は、把持部31の外部に露出した部分であってユーザによって操作される操作部分を有している。周期動作スイッチ35の操作部分には、「周期」と表示された部分が設けられている。そして、周期動作スイッチ35の操作部分の押圧操作がユーザによって行われると、後述する制御部24に対して、口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させるための指令信号が入力される。この指令信号が制御部24に入力されると、制御部24で繰り返し生成される制御信号に基づいて、後述するように、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させるように、切り替えられる。
また、周期動作スイッチ35には、その操作部分が押圧操作された際に点灯するLED等の点灯ランプ39が設けられている。周期動作スイッチ35の操作部分が押圧操作されると、制御部24で生成される制御信号に基づいて、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させるとともに点灯ランプ39を点灯させる状態へと、切り替えられる。ユーザは、点灯ランプ39が点灯していることを確認することで、口腔内当接部25が冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動していることを視覚的に容易に識別することができる。尚、本実施形態では、ユーザによる押圧操作が行われる周期動作スイッチ35の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。周期動作スイッチ35の形態の替わりに、ユーザによるスライド操作が行われるスライド式のスイッチ等、一般的なスイッチとして構成された周期動作スイッチの形態が実施されてもよい。更に、誤操作防止のための複数段階の操作が必要なスイッチとして構成された周期動作スイッチの形態が実施されてもよい。
バッテリ収容部36は、ペルチェ素子26に電気エネルギーを供給するためのバッテリ29を収容する筐体状の容器として設けられており、把持部31に内蔵されている。把持部31には、バッテリ収容部36を外部に対して開放可能な開口(図示省略)が設けられており、その開口には、着脱自在に構成された蓋(図示省略)が取り付けられている。バッテリ29がバッテリ収容部36に嵌め込まれて収容される際、或いは、交換等のためにバッテリ29がバッテリ収容部36から取り出される際には、上記の蓋が把持部31から一旦取り外される。そして、バッテリ29がバッテリ収容部36に収容され、或いは、バッテリ29がバッテリ収容部36から取り出された後、上記の蓋が把持部31に取り付けられる。
また、バッテリ収容部36には、バッテリ収容部36に収容されたバッテリ29の正極29a及び負極29bのそれぞれに当接する一対の端子(40a、40b)が設けられている。例えば、端子40aがバッテリ29の正極29aに当接し、端子40bがバッテリ29の負極29bに当接する(図6を参照)。一対の端子(40a、40b)は、後述する電気回路23の一部を構成している。そして、一対の端子(40a、40b)は、ペルチェ素子26を駆動するための電気エネルギーがバッテリ29から供給される部分となる。即ち、本実施形態では、一対の端子(40a、40b)が、ペルチェ素子26を駆動するための電気エネルギーが供給される電気エネルギー被供給部を構成している。
尚、バッテリ29から供給される電気エネルギーは、ペルチェ素子26以外の要素であって嚥下障害用器具1における電気エネルギーで駆動される全ての要素に対しても供給される。具体的には、バッテリ29から供給される電気エネルギーは、制御部24、点灯ランプ(37、38、39)、等に対しても供給される。
連結部30は、把持部31と口腔内挿入部21とを連結する部分として設けられて口腔内挿入部21に一体に設けられている。連結部30は、例えば、把持部31よりも細い略棒状に形成され、把持部31と同一直線上に沿って並んで延びるように形成されている。連結部30における一方の端部30aは、前述の通り、口腔内挿入部21と一体に設けられている(図1及び図2を参照)。そして、連結部30における他方の端部30bは、機械的な結合或いは接着等の手段によって、把持部31に一体に設けられている(図1を参照)。このように、把持部31と口腔内挿入部21とは、連結部30によって連結されている。尚、連結部30は、把持部31と略同じ太さとなるように形成されていてもよい。
電気回路23は、図6に示すように、ペルチェ素子26とバッテリ29とを電気的に接続し、ペルチェ素子26に電気エネルギーを供給する回路として設けられている。そして、電気回路23は、オンオフ切替スイッチ32、一対の端子(40a、40b)、通電方向切替部41、導電線43a、導電線43b、導電線44、導電線45、導電線46、ペルチェ素子26に電気的に接続された導電線42a及び導電線42b、等を備えて構成されている。
導電線42a及び導電線42bは、ペルチェ素子26と通電方向切替部41とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。導電線42aには、オンオフ切替スイッチ32が設けられている。
導電線43aは、通電方向切替部41と端子40aとを電気的に接続している。導電線43bは、通電方向切替部41と端子40bとを電気的に接続している。これにより、導電線43a及び導電線43bは、バッテリ収容部36に収容されたバッテリ29と通電方向切替部41とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。
導電線44は、通電方向切替部41と点灯ランプ37とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。導電線45は、通電方向切替部41と点灯ランプ38とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。導電線46は、通電方向切替部41と点灯ランプ39とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。
通電方向切替部41は、ペルチェ素子26に通電する電流の方向を切り替えるリレー回路として設けられている。通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態で、冷却スイッチ33、加温スイッチ34、及び周期動作スイッチ35のいずれかがユーザによって操作されることに伴って制御部24で生成される制御信号に基づいて、作動する。
通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態で、冷却スイッチ33が操作されることで制御部24で生成された制御信号が入力されると、導電線43aと導電線42aとを電気的に接続し、導電線43bと導電線42bとを電気的に接続する。これにより、ペルチェ素子26の通電が行われ、ペルチェ素子26の第1の面26aを吸熱部として作動させるように、ペルチェ素子26において所定の方向に電流が流れる。そして、ペルチェ素子26に所定の方向に電流が流れて第1の面26aが吸熱部として作動することで、口腔内当接部25が冷却部25として作動する。即ち、冷却スイッチ33が操作されると、制御部24からの制御信号によって通電方向切替部41が作動し、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25として作動させる状態へと、切り替えられる。
そして、通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態で、冷却スイッチ33が操作されることで制御部24で生成された制御信号が入力されると、導電線(43a、43b)と導電線44とを電気的に接続する。これにより、点灯ランプ37が通電され、点灯ランプ37が点灯する。
また、通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態で、加温スイッチ33が操作されることで制御部24で生成された制御信号が入力されると、導電線43aと導電線42bとを電気的に接続し、導電線43bと導電線42aとを電気的に接続する。これにより、ペルチェ素子26の通電が行われ、ペルチェ素子26の第1の面26aを発熱部として作動させるように、ペルチェ素子26において前述の所定の方向とは逆の方向に電流が流れる。そして、ペルチェ素子26に前述の所定の方向とは逆の方向に電流が流れて第1の面26aが発熱部として作動することで、口腔内当接部25が加温部25として作動する。即ち、加温スイッチ34が操作されると、制御部24からの制御信号によって通電方向切替部41が作動し、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を加温部25として作動させる状態へと、切り替えられる。
そして、通電方向切替部41は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態で、加温スイッチ34が操作されることで制御部24で生成された制御信号が入力されると、導電線(43a、43b)と導電線45とを電気的に接続する。これにより、点灯ランプ38が通電され、点灯ランプ38が点灯する。
また、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられた状態で、周期動作スイッチ35が操作されると、制御部24では、通電方向切替部41の作動状態を切り替える第1の制御信号と第2の制御信号とが所定の時間周期ごとに交互に生成される。そして、制御部24で交互に生成される第1の制御信号及び第2の制御信号は、通電方向切替部41に入力される。
通電方向切替部41は、第1の制御信号が入力されると、導電線43aと導電線42aとを電気的に接続するとともに、導電線43bと導電線42bとを電気的に接続し、更に、導電線(43a、43b)と導電線46とを電気的に接続する。これにより、ペルチェ素子26において第1の面26aを吸熱部として作動させるように所定の方向に電流が流れ、口腔内当接部25が冷却部25として作動し、更に、点灯ランプ39が点灯する。
一方、通電方向切替部41は、第2の制御信号が入力されると、導電線43aと導電線42bとを電気的に接続するとともに、導電線43bと導電線42aとを電気的に接続し、更に、導電線(43a、43b)と導電線46とを電気的に接続する。これにより、ペルチェ素子26において第1の面26aを発熱部として作動させるように上記の所定の方向とは逆の方向に電流が流れ、口腔内当接部25が加温部25として作動し、更に、点灯ランプ39が点灯する。
周期動作スイッチ35が操作されると、第1の制御信号及び第2の制御信号は、制御部24にて所定の時間周期ごとに交互に繰り返し生成され、通電方向切替部41に入力される。このため、一旦、周期動作スイッチ35が操作されると、制御部24から繰り返し入力される制御信号によって通電方向切替部41が継続的に作動し、電気回路23の状態が、口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させるように、切り替えられる。
上記のように、嚥下障害用器具1は、通電方向切替部41によってペルチェ素子26に通電する電流の方向が切り替えられることで、冷却部25として作動する口腔内当接部25が加温部25として作動するように切り替えられ、又は、加温部25として作動する口腔内当接部25が冷却部25として作動するように切り替えられるように構成されている。
制御部24は、通電方向切替部41及びオンオフ切替スイッチ32の作動を制御する回路或いはハードウェア・プロセッサ等を備えて構成されている。制御部24は、冷却スイッチ33が操作されて口腔内当接部25を冷却部25として作動させるための指令信号が入力されると、口腔内当接部25を冷却部25として作動させるための制御信号を生成して通電方向切替部41に入力する。また、制御部24は、加温スイッチ34が操作されて口腔内当接部25を加温部25として作動させるための指令信号が入力されると、口腔内当接部25を加温部25として作動させるための制御信号を生成して通電方向切替部41に入力する。また、制御部24は、周期動作スイッチ35が操作されて口腔内当接部25を冷却部25又は加温部25として所定の時間周期ごとに交互に作動させるための指令信号が入力されると、口腔内当接部25を冷却部25として作動させるための第1の制御信号、及び口腔内当接部25を加温部25として作動させるための第2の制御信号を、所定の時間周期ごとに交互に繰り返し生成して通電方向切替部41に入力する。
また、制御部24は、温冷切替制御部47、通電制御部48、タイマー49を備えている。温冷切替制御部47は、周期動作スイッチ35が操作されると、前述の第1の制御信号及び第2の制御信号を所定の時間周期ごとに交互に繰り返し生成し、通電方向切替部41に入力する。これにより、温冷切替制御部47は、ペルチェ素子26に通電する電流の方向を所定の時間周期ごとに切り替えるように通電方向切替部41を制御する。尚、温冷切替制御部47は、タイマー49で計測される時間に基づいて、上記の所定の時間周期を検知し、第1の制御信号及び第2の制御信号を所定の時間周期ごとに交互に繰り返し通電方向切替部41に入力する。
通電制御部48は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられてから一定の時間が経過すると、オンオフ切替スイッチ32をオフ状態に切り替えるように構成されている。通電制御部48は、オンオフ切替スイッチ32が操作されてオン状態に切り替えられると、オン状態に切り替えられたことを通知する信号をオンオフ切替スイッチ32から受信する。そして、通電制御部48は、タイマー49で計測される時間に基づいて、上記の信号を受信してからの時間が一定の時間(例えば、15秒から2分程度の予め定められた時間)に達するか否かを監視する。通電制御部48は、一定の時間に達したことを検知すると、オンオフ切替スイッチ32に対して、オン状態をオフ状態に切り替える指令信号を送信する。オンオフ切替スイッチ32は、上記の指令信号を通電制御部48から受信すると、オフ状態へと切り替わる。
保水部28は、口腔内挿入部21に設けられている。より具体的には、保水部28は、口腔内当接部25の半球状面25a側に設けられている。そして、保水部28は、口腔内当接部25の表面の半球状面25aから内側に向かって凹んだ凹み穴として設けられ、複数設けられている。複数の凹み穴として設けられた複数の保水部28のそれぞれは、外部から供給された水を保持するように構成されている。即ち、各凹み穴として設けられた各保水部28は、口腔内当接部25の表面から水が内側に入り込むことで、入り込んだ水を保持するように構成されている。また、保水部28を構成する凹み穴は、口腔内当接部25の半球状面25aの略全体に亘って、分散して配置されている。
ユーザは、保水部28に水を保持させる場合は、口腔内当接部25の表面の半球状面25aの略全体を水で濡らす。例えば、ユーザは、口腔内当接部25の半球状面25aの略全体に対して、水をかけることで、又は、水を垂らすことで、口腔内当接部25の半球状面25aの略全体を水で濡らす。或いは、ユーザは、口腔内当接部25の半球状面25aの略全体を水に浸すことで、口腔内当接部25の半球状面25aの略全体を水で濡らす。口腔内当接部25の半球状面25aの略全体が水で濡れると、複数の凹み穴として設けられた複数の保水部28のそれぞれに水が入り込み、各保水部28が濡れることになる。そして、各保水部28において、入り込んだ水が、表面張力の作用、及び凹み穴として設けられた保水部28の凹んだ形状の作用によって、保持される。
図7は、嚥下障害用器具1の先端側の部分の一部の断面を切欠き状態で拡大して示す図であって、複数の保水部28に水100が保持された状態を模式的に示す図である。図7の模式図に示すように、複数の保水部28を構成する複数の凹み穴のそれぞれに入り込んだ水100は、各保水部28において、保持される。
また、凹み穴として設けられた保水部28は、口腔内当接部25の表面から外部に向けて開口している。このため、保水部28は、口腔内当接部25が患者Pの所定部位(P1、P2、等)に当接した状態で、保持した水を口腔内当接部25の表面から外部にこぼれ出させることが可能なように構成されている。
ユーザは、口腔内当接部25の半球状面25aの略全体を水で濡らして複数の保水部28に水を保持させると、口腔内当接部25を半球状面25a側で患者Pの所定部位(P1、P2、等)に当接させ、前述のマッサージ行為を行う。このとき、複数の保水部28のそれぞれに保持された水は、上記のマッサージ中にユーザによって嚥下障害用器具1が繰り返し動かされて口腔内当接部25が繰り返し動くことに伴って、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に向かってこぼれ出ることになる。或いは、保水部28に保持された水は、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に接触し、表面張力の作用により、患者Pの所定部位(P1、P2、等)を濡らしながらこぼれ出ることになる。
凹部81は、連結部30の端部30aに設けられている。そして、凹部81は、連結部30の端部30aの表面の半球状の面から内側に向かって凹んだ窪みとして設けられ、1つ設けられている。凹部81は、保水部28を構成する凹み穴よりも大きな窪みとして形成されている。即ち、凹部81を構成する窪みは、保水部28を構成する凹み穴よりも、外部に対して開口している部分の面積と開口から最も奥側までの寸法である深さとが、ともに、より大きく設定されている。
凹部81は、外部から供給された水を保持するように構成されている。即ち、窪みとして設けられた凹部81は、連結部30の端部30aの表面から水が内側に入り込むことで、入り込んだ水を保持するように構成されている。尚、凹部81は、保水部28に比して、大きな凹み穴として設けられているため、さじに水を溜める状態と同じような状態で、水を保持することができるように構成されている。
ユーザは、凹部81に水を保持させる場合は、連結部30の端部30aの表面に対して、水をかける、又は、水を垂らす。或いは、ユーザは、連結部30の端部30aの表面を水に浸し、凹部81で水をすくう。これにより、窪みとして設けられた凹部81に水が入り込む。そして、凹部81において、入り込んだ水が、その窪みの内側に溜められ、保持される。
また、窪みとして設けられた凹部81は、連結部30の端部30aの表面から外部に向けて開口している。このため、凹部81は、口腔内挿入部21が患者Pの口腔内に挿入された状態で、保持した水を凹部81から外部にこぼれ出させることが可能なように構成されている。
ユーザは、凹部81に水を垂らす等することで凹部81に水を保持させると、口腔内挿入部21を患者Pの口腔内に挿入し、口腔内挿入部21を動かす等することで、凹部81から水をこぼれ出させる。これにより、凹部81に保持されていた水が、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に向かってこぼれ出ることになる。
以上説明した嚥下障害用器具1が使用されるときは、ユーザは、まず、口腔内当接部25の半球状面25aの略全体を水で濡らして保水部28に水を保持させる。そして、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激するマッサージ行為のみを行いたい場合は、ユーザは、オンオフ切替スイッチ32をオフ状態のままで、口腔内当接部25を上記の所定部位(P1、P2、等)に当接させる。そして、ユーザは、保水部28から水をこぼれ出させながら、口腔内当接部25によって患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を押したり軽くなでたりするマッサージ行為を行う。また、ユーザは、上記の使用形態に加え、凹部81を用いた形態で嚥下障害用器具1を使用することもできる。この場合、ユーザは、凹部81に水を保持させた状態で口腔内挿入部21を患者Pの口腔内に挿入し、凹部81から患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に向かって水をこぼれ出させる。これにより、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激することができる。
また、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激するとともに冷却して刺激するマッサージ行為を行いたい場合も、ユーザは、口腔内当接部25の半球状面25aの略全体を水で濡らして保水部28に水を保持させる。次いで、ユーザは、オンオフ切替スイッチ32をオフ状態からオン状態に切り替えるように操作し、更に、冷却スイッチ33を押圧操作する。これにより、口腔内当接部25が冷却部25として作動する。そして、ユーザは、口腔内当接部25を患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接させ、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激するとともに冷却して刺激する所望のマッサージ行為を行うことができる。
また、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激するとともに加温して刺激するマッサージ行為を行いたい場合も、ユーザは、口腔内当接部25の半球状面25aの略全体を水で濡らして保水部28に水を保持させる。次いで、ユーザは、オンオフ切替スイッチ32をオフ状態からオン状態に切り替えるように操作し、更に、加温スイッチ34を押圧操作する。これにより、口腔内当接部25が加温部25として作動する。そして、ユーザは、口腔内当接部25を患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接させ、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激するとともに加温して刺激する所望のマッサージ行為を行うことができる。
また、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激するとともに交互に冷却したり加温したりして刺激するマッサージ行為を行いたい場合も、ユーザは、口腔内当接部25の半球状面25aの略全体を水で濡らして保水部28に水を保持させる。次いで、ユーザは、オンオフ切替スイッチ32をオフ状態からオン状態に切り替えるように操作し、更に、周期動作スイッチ35を押圧操作する。これにより、口腔内当接部25が冷却部25又は加温部25として交互に作動する。そして、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激するとともに交互に冷却したり加温したりして刺激する所望のマッサージ行為を行うことができる。
本実施形態によると、ユーザは、口腔内挿入部21を患者Pの口腔内に挿入して口腔内の所定部位(P1、P2、等)に口腔内当接部25を当接させ、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を口腔内当接部25で押したり軽くなでたりするマッサージを行うことができる。そして、本実施形態によると、ユーザは、外部から供給した水を保水部28に保持させた状態で、嚥下障害用器具1を使用して上記のマッサージを行うことができる。更に、本実施形態によると、ユーザは、上記のマッサージを行う際、口腔内当接部25を患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接させた状態で、保水部28に保持した水を口腔内当接部25の表面から患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に向かってこぼれ出させることができる。このため、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)が、上記のマッサージ行為の最中に口腔内当接部25の表面からこぼれ出た水によって刺激されることになる。これにより、患者Pの嚥下反射が誘発され、患者Pの嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。
更に、本体部22の把持部31と、口腔内当接部25を含む口腔内挿入部21とは、本体部22の連結部30によって一体的に連結されている。このため、従来のアイスマッサージ棒のような器具とは異なり、カット綿が口腔内で割り箸から外れて誤飲されてしまうような危険性が回避される。よって、本実施形態によると、安全に患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することができる嚥下障害用器具1を実現できる。
そして、本実施形態によると、保水部28に保持した水を口腔内当接部25の表面から患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に向かってこぼれ出させることで、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することができる。このため、従来用いられていたアイスマッサージ棒を自作するような手間がそもそも生じず、ユーザによる器具の作製労力をなくすことができる。また、保冷剤を用いた器具の場合に必要な事前準備(冷凍庫での器具の冷却等)、及びそれを運ぶための多大な労力(クーラーボックス等を用いた持ち運び)も、そもそも不要となる。よって、本実施形態によると、利便性に優れた嚥下障害用器具1を実現できる。
従って、本実施形態によると、利便性に優れ、安全に患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することができる嚥下障害用器具1を提供することができる。
また、本実施形態によると、保水部28は、口腔内当接部25の表面から水が入り込む凹み穴として設けられた簡素な構成で水を保持するように構成されている。更に、その簡素な構成のため、口腔内当接部25が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接した状態で、口腔内当接部25の表面の凹み穴から容易に水をこぼれ出させることができる。よって、本実施形態によると、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)のマッサージ行為の最中に口腔内当接部25の表面からこぼれ出させた水によって患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を容易に刺激することができる構成を、簡素な構成で実現することができる。
また、本実施形態によると、口腔内挿入部21が患者Pの口腔内に挿入されて口腔内の所定部位(P1、P2、等)に口腔内当接部25が当接した状態でペルチェ素子26に通電が行われ、又は、ペルチェ素子26に通電が行われた状態で口腔内挿入部21が口腔内に挿入されて口腔内当接部25が所定部位(P1、P2、等)に当接される。そして、口腔内当接部25は、ペルチェ素子26が通電されて駆動されることで冷却部25として作動するように構成されている。ペルチェ素子26によって冷却される冷却部25が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接すると、冷却部25によってその所定部位(P1、P2、等)が冷却される。これにより、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)が刺激され、患者Pの嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。
従って、本実施形態によると、口腔内当接部25の表面からこぼれ出させた水によって患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することに加え、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却して刺激することもできる。これにより、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に多様な刺激を与えることができる。
また、本実施形態によると、口腔内当接部25が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接している状態において、ペルチェ素子26も口腔内に配置されるため、冷却部25として作動する口腔内当接部25とペルチェ素子26との距離を短くすることができる。このため、ペルチェ素子26からの熱伝導をより迅速に効率よく行うことができる。これにより、冷却部25を冷却するための冷却性能をより向上させることができる。
また、本実施形態によると、口腔内当接部25は、冷却部25として作動するように構成されていることに加え、加温部25としても作動するように構成されている。ペルチェ素子26によって加温される加温部25が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接すると、加温部25によってその所定部位(P1、P2、等)が加温される。これにより、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)が刺激され、患者Pの嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。従って、本実施形態によると、口腔内当接部25の表面からこぼれ出させた水によって患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することに加え、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却して刺激でき、更に、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温して刺激することもできる。これにより、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に更に多様な刺激を与えることができる。
また、本実施形態によると、通電方向切替部41によってペルチェ素子26に通電される電流の方向が切り替えられることで、冷却部25が加温部25に切り替えられ、又は加温部25が冷却部25に切り替えられる。よって、ペルチェ素子26に通電する電流の方向を切り替える簡素な構造で、口腔内当接部25を冷却部25として作動させることができるとともに加温部25としても作動させることができる。また、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に口腔内当接部25における同一の部分を接触させたままの状態で、所定部位(P1、P2、等)を冷却する状態と加温する状態との間で容易に状態の切り替えを行うことができる。
尚、上記の実施形態では、凹み穴として構成された保水部が複数設けられた形態を例にとって説明したが、この例に限られなくてもよい。例えば、凹み穴として構成された保水部が1つのみ設けられた形態が実施されてもよい。また、上記の実施形態では、凹部81が設けられた形態を例にとって説明したが、凹部81は設けられていなくてもよい。
[第2実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態に係る嚥下障害用器具2を模式的に示す正面図である。図9は、図8のC−C線矢視位置における断面図である。
図8及び図9に示す嚥下障害用器具2は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具2は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具2は、口腔内挿入部50の構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
また、嚥下障害用器具2は、口腔内挿入部50の構成が第1実施形態と異なることに伴い、第1実施形態の嚥下障害用器具1に設けられている要素のうちの一部が設けられていない点においても、第1実施形態とは異なっている。具体的には、嚥下障害用器具2は、第1実施形態の嚥下障害用器具1とは異なり、電気回路23、制御部24、バッテリ収容部36、冷却スイッチ33、加温スイッチ34、周期動作スイッチ35、各点灯ランプ(37、38、39)が設けられていない。また、嚥下障害用器具2は、電気回路23が設けられていないため、オンオフ切替スイッチ32及び通電方向切替部41も設けられていない。
尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態と同様の符号を付すことで、又は第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
口腔内挿入部50は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。口腔内挿入部50は、患者Pに対して、患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)を押したり軽くなでたりするマッサージ行為が行われる際に、患者Pの口腔内に挿入される。そして、口腔内挿入部50は、保水部52が設けられた口腔内当接部51を備えて構成されている。尚、口腔内挿入部50は、第1実施形態の口腔内挿入部21とは異なり、ペルチェ素子及び断熱部は設けられていない。
口腔内当接部51は、第1実施形態の口腔内当接部25と同様に、口腔内挿入部50が患者Pの口腔内に挿入された際に、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に少なくとも一部が当接する部分として、設けられている。しかし、口腔内当接部51は、第1実施形態の口腔内当接部25とは異なり、冷却部として作動するようには構成されておらず、また、加温部として作動するようにも構成されていない。
口腔内当接部51は、嚥下障害用器具2の先端側の端部として設けられ、全体的な形状が、略半球状の形状に形成されている。口腔内当接部51は、例えば、生体親和性の高いステンレス等の金属材料、或いは、生体親和性の高いセラミック材料、で形成されている。口腔内当接部51には、略半球状の表面として形成された半球状面51aが、設けられている。そして、口腔内挿入部50が患者Pの口腔内に挿入された際には、口腔内当接部51は、半球状面51aの一部が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するように、口腔内に配置される。尚、口腔内挿入部50は、口腔内当接部51が設けられている側と反対側において、連結部30の端部に対して一体に設けられている。
保水部52は、口腔内挿入部50において、口腔内当接部51に設けられ、第1実施形態の保水部28と同様の構造を有して構成されている。より具体的には、保水部52は、口腔内当接部51の半球状面51a側に設けられ、口腔内当接部51の表面の半球状面51aから内側に向かって凹んだ凹み穴として設けられている。また、保水部52は、第1実施形態の保水部28と同様に、複数設けられている。複数の凹み穴として設けられた複数の保水部52のそれぞれは、第1実施形態の保水部28と同様に、外部から供給された水を保持するように構成されている。即ち、各凹み穴として設けられた各保水部52は、口腔内当接部51の表面から水が内側に入り込むことで、入り込んだ水を保持するように構成されている。また、保水部52を構成する凹み穴は、口腔内当接部51の半球状面51aの略全体に亘って、分散して配置されている。
ユーザは、保水部52に水を保持させる場合は、第1実施形態の保水部28の場合と同様に、口腔内当接部51の表面の半球状面51aの略全体を水で濡らす。口腔内当接部51の半球状面51aの略全体が水で濡れると、複数の凹み穴として設けられた複数の保水部52のそれぞれに水が入り込み、各保水部52が濡れることになる。そして、各保水部52において、入り込んだ水が、表面張力の作用、及び保水部52の凹んだ形状の作用によって、保持される。
また、凹み穴として設けられた保水部52は、第1実施形態の保水部28と同様に、口腔内当接部51の表面から外部に向けて開口している。このため、保水部52は、口腔内当接部51が患者Pの所定部位(P1、P2、等)に当接した状態で、保持した水を口腔内当接部51の表面から外部にこぼれ出させることが可能なように構成されている。
ユーザは、口腔内当接部51の半球状面51aの略全体を水で濡らして複数の保水部52に水を保持させると、口腔内当接部51を半球状面51a側で患者Pの所定部位(P1、P2、等)に当接させ、前述のマッサージ行為を行う。このとき、複数の保水部52のそれぞれに保持された水は、上記のマッサージ中にユーザによって嚥下障害用器具2が繰り返し動かされて口腔内当接部51が繰り返し動くことに伴って、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に向かってこぼれ出ることになる。或いは、保水部52に保持された水は、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に接触し、表面張力の作用により、患者Pの所定部位(P1、P2、等)を濡らしながらこぼれ出ることになる。
上述した第2実施形態によると、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)が、前述のマッサージ行為の最中に口腔内当接部51の表面からこぼれ出た水によって刺激されることになる。これにより、患者Pの嚥下反射が誘発され、患者Pの嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。よって、上述した第2実施形態によると、第1実施形態と同様に、利便性に優れ、安全に患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することができる嚥下障害用器具2を提供することができる。
[第3実施形態]
図10は、本発明の第3実施形態に係る嚥下障害用器具3を模式的に示す正面図である。図11は、嚥下障害用器具3をその先端側から視た図であって、嚥下障害用器具3の先端側の部分のみを拡大して示す図である。
図10及び図11に示す嚥下障害用器具3は、第1実施形態の嚥下障害用器具1及び第2実施形態の嚥下障害用器具2と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具3は、第2実施形態の嚥下障害用器具2と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具3は、口腔内挿入部53の口腔内当接部54に設けられた保水部55の構成において、第2実施形態の嚥下障害用器具2と異なっている。
尚、以下の説明においては、第2実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態又は第2実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態或いは第2実施形態と同様の符号を付すことで、又は、第1実施形態或いは第2実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
口腔内挿入部53は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。口腔内挿入部53は、患者Pに対して、患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)を押したり軽くなでたりするマッサージ行為が行われる際に、患者Pの口腔内に挿入される。そして、口腔内挿入部53は、保水部55が設けられた口腔内当接部54を備えて構成されている。尚、口腔内挿入部53は、第2実施形態の口腔内挿入部50と同様に、ペルチェ素子及び断熱部は設けられていない。
口腔内当接部54は、第2実施形態の口腔内当接部51と同様に、口腔内挿入部53が患者Pの口腔内に挿入された際に、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に少なくとも一部が当接する部分として、設けられている。そして、口腔内当接部54は、嚥下障害用器具3の先端側の端部として設けられ、全体的な形状が、略半球状の形状に形成されている。口腔内当接部54は、例えば、生体親和性の高いステンレス等の金属材料、或いは、生体親和性の高いセラミック材料、で形成されている。
また、口腔内当接部54には、略半球状の表面として形成された半球状面54aが、設けられている。そして、口腔内挿入部53が患者Pの口腔内に挿入された際には、口腔内当接部54は、半球状面54aの一部が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するように、口腔内に配置される。尚、口腔内挿入部53は、口腔内当接部54が設けられている側と反対側において、連結部30の端部に対して一体に設けられている。
保水部55は、口腔内挿入部53に設けられている。より具体的には、保水部55は、口腔内当接部54の半球状面54a側に設けられている。そして、保水部55は、口腔内当接部54の表面の半球状面54aから内側に向かって凹んだ溝として設けられ、複数設けられている。複数本の溝として設けられた複数の保水部55のそれぞれは、外部から供給された水を保持するように構成されている。即ち、各溝として設けられた各保水部55は、口腔内当接部54の表面から水が各溝の内側に入り込むことで、入り込んだ水を保持するように構成されている。
また、複数の保水部55を構成する複数本の溝は、半球状の口腔内当接部54の頭頂部分である半球状面54aの中央部分から、半球状面54aに沿って、略均等角度間隔で、半球状面54aの中央部分と反対側に向かって、延びるように、配置されている。このため、嚥下障害用器具3の先端側から視た状態では、複数の保水部55を構成する複数本の溝は、半球状面54aに沿って、放射状に延びるように、配置されている。
ユーザは、保水部55に水を保持させる場合は、第1実施形態の保水部28及び第2実施形態の保水部52の場合と同様に、口腔内当接部54の表面の半球状面54aの略全体を水で濡らす。口腔内当接部54の半球状面54aの略全体が水で濡れると、複数本の溝として設けられた複数の保水部55のそれぞれに水が入り込み、各保水部55が濡れることになる。そして、各保水部55において、入り込んだ水が、表面張力の作用、及び溝の凹んだ形状の作用によって、保持される。
また、溝として設けられた保水部55は、第1実施形態の保水部28及び第2実施形態の保水部52と同様に、口腔内当接部54の表面から外部に向けて開口している。このため、保水部55は、口腔内当接部54が患者Pの所定部位(P1、P2、等)に当接した状態で、保持した水を口腔内当接部54の表面から外部にこぼれ出させることが可能なように構成されている。
ユーザは、口腔内当接部54の半球状面54aの略全体を水で濡らして複数の保水部55に水を保持させると、口腔内当接部54を半球状面54a側で患者Pの所定部位(P1、P2、等)に当接させ、前述のマッサージ行為を行う。このとき、複数の保水部55のそれぞれに保持された水は、上記のマッサージ中にユーザによって嚥下障害用器具3が繰り返し動かされて口腔内当接部54が繰り返し動くことに伴って、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に向かってこぼれ出ることになる。或いは、保水部55に保持された水は、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に接触し、表面張力の作用により、患者Pの所定部位(P1、P2、等)を濡らしながらこぼれ出ることになる。
上述した第3実施形態によると、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)が、前述のマッサージ行為の最中に口腔内当接部54の表面からこぼれ出た水によって刺激されることになる。これにより、患者Pの嚥下反射が誘発され、患者Pの嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。よって、上述した第3実施形態によると、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、利便性に優れ、安全に患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することができる嚥下障害用器具3を提供することができる。
また、第3実施形態によると、保水部55は、口腔内当接部54の表面から水が入り込む溝として設けられた簡素な構成で水を保持するように構成されている。更に、その簡素な構成のため、口腔内当接部54が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接した状態で、口腔内当接部54の表面の溝から容易に水をこぼれ出させることができる。よって、第3実施形態によると、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)のマッサージ行為の最中に口腔内当接部54の表面からこぼれ出させた水によって患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を容易に刺激することができる構成を、簡素な構成で実現することができる。
尚、上記の第3実施形態では、溝として構成された保水部が複数設けられた形態を例にとって説明したが、この例に限られなくてもよい。例えば、溝として構成された保水部が1つのみ設けられた形態が実施されてもよい。即ち、保水部を構成する溝が1本のみ設けられた形態が実施されてもよい。
[第4実施形態]
図12は、本発明の第4実施形態に係る嚥下障害用器具4を模式的に示す正面図である。図13は、嚥下障害用器具4の先端側の部分を拡大して示す図である。
図12及び図13に示す嚥下障害用器具4は、第1実施形態の嚥下障害用器具1及び第2実施形態の嚥下障害用器具2と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具4は、第2実施形態の嚥下障害用器具2と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具4は、口腔内挿入部56の構成と、本体部22の連結部57の構成とにおいて、第2実施形態の嚥下障害用器具2と異なっている。
尚、以下の説明においては、第2実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態又は第2実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態或いは第2実施形態と同様の符号を付すことで、又は、第1実施形態或いは第2実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
口腔内挿入部56は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。口腔内挿入部56は、患者Pに対して、患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)を押したり軽くなでたりするマッサージ行為が行われる際に、患者Pの口腔内に挿入される。そして、口腔内挿入部56は、口腔内当接部59を含んで構成された保水部58、及び球状部61、を備えて構成されている。尚、口腔内挿入部56は、第2実施形態の口腔内挿入部50と同様に、ペルチェ素子及び断熱部は設けられていない。
保水部58は、口腔内当接部59を含んで構成されたスポンジとして設けられている。より具体的には、保水部58は、一体のスポンジとして形成された口腔内当接部59及び筒状部60を備えて構成されている。スポンジとして構成された保水部58は、例えば、樹脂材料で形成され、軟らかく伸縮自在な多孔質体として設けられている。そして、スポンジとして設けられた保水部58は、口腔内当接部59の表面から水がしみ込むことで、しみ込んだ水を保持するように構成されている。
保水部58を構成するスポンジの一部として設けられた口腔内当接部59は、口腔内挿入部56が患者Pの口腔内に挿入された際に、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に少なくとも一部が当接する部分として、設けられている。そして、口腔内当接部59は、嚥下障害用器具3の先端側の端部として設けられ、全体的な形状が、略球殻状の形状の一部を成すような形状に形成されている。よって、口腔内当接部59の外周面は、球面状の外周面として構成され、口腔内当接部59の内周面は、球面状の内周面として構成されている。口腔内当接部59の内周面によって、口腔内当接部59の内側には、球状の内部空間が区画される。
保水部58を構成するスポンジの一部として設けられた筒状部60は、円筒状の部分として設けられ、口腔内当接部59と一体に形成されている。筒状部60の内周面によって区画される筒状部60の内部空間は、口腔内当接部59の球面状の内周面によって区画される口腔内当接部59の内部空間と連通している。
球状部61は、後述する連結部57の軸部62の端部に一体に形成された球状の部分として設けられている。球状部61は、例えば、生体親和性の高いステンレス等の金属材料、或いは、生体親和性の高いセラミック材料、で形成されている。球状部61は、口腔内当接部59の内側に嵌め込まれ、口腔内当接部59の球面状の内周面によって区画される口腔内当接部59の内部空間に配置される。
連結部57は、把持部31と口腔内挿入部21とを連結する部分として設けられ、軸部62、及び固定具63を備えて構成されている。軸部62は、例えば、把持部31よりも細い略棒状に形成され、把持部31と同一直線上に沿って並んで延びるように形成されている。軸部62における一方の端部62aは、口腔内挿入部56の球状部61と一体に形成されている。軸部62における他方の端部62bは、機械的な結合或いは接着等の手段によって、又は、把持部31と一体に形成されることで、把持部31と一体に設けられている。尚、軸部62における球状部61と一体に形成された端部62aは、保水部58の筒状部60に嵌め込まれ、筒状部60の内周面によって区画される筒状部60の内部空間に配置される。
固定具63は、軸部62に対して固定されるとともに、軸部62に対して保水部58を固定し、連結部57に保水部58を一体に固定するための要素として設けられている。固定具63は、例えば、樹脂材料、或いは、金属材料で形成されている。そして、固定具63は、固定リング部63a、バネ部63b、突起部63cを備えて構成されている。固定リング部63a、バネ部63b、突起部63cは、一体に形成されている。
固定リング部63aは、例えば、一部に切り欠き部分が設けられた円環状又は円筒状の部分として設けられている。そして、連結部57の軸部62において周方向に延びるように設けられた溝に対して嵌め込まれている。固定リング部63aは、軸部62の溝に嵌め込まれていることで、軸部62に対して固定されている。
バネ部63bは、一対で設けられている。一対のバネ部(63b、63b)のそれぞれは、固定リング部63aから片持ち状に延びる板バネ部分として設けられている。各バネ部63bは、撓んだ際に生じるバネ力により、軸部62の端部62aの外周に配置された保水部59の筒状部60を軸部62の外周に保持するように構成されている。尚、バネ部63bが一対で設けられた形態に限られなくてもよい。バネ部63bが、1つ又は3つ以上設けられた形態が実施されてもよい。
突起部63cは、一対で設けられている。一対の突起部(63c、63c)のそれぞれは、一対のバネ部(63b、63b)のそれぞれにおける固定リング部63a側と反対側の端部に一体に設けられている。即ち、各突起部63cは、固定リング部63aから片持ち状に延びる各バネ部63bの先端側の端部に一体に設けられている。そして、各突起部63cは、その先端部が、軸部62の端部62aの外周に配置された保水部59の筒状部60に対して食い込んで係合することにより、保水部59の筒状部60を軸部62の外周に固定するように構成されている。尚、突起部63cが一対で設けられた形態に限られなくてもよい。突起部63cが、1つ又は3つ以上設けられた形態が実施されてもよい。
上述したように、固定具63は、固定リング部63aにて、軸部62に対して固定される。さらに、固定部63は、バネ部63b及び突起部63cにて、保水部58の筒状部60を保持し、固定リング部63aを介して、筒状部60を軸部62に対して固定する。これにより、固定具63は、連結部57に保水部58を一体に固定するように構成されている。
上記の通り、固定具63は、連結部57に口腔内挿入部56の保水部58を一体に固定するように構成されている。そして、連結部57の軸部62の端部62aは、口腔内挿入部56の球状部61と一体に形成されている。このため、把持部31と口腔内挿入部56とを連結する連結部57は、口腔内挿入部56と一体に設けられている。
ユーザは、保水部58に水を保持させる場合は、口腔内当接部59の表面の略全体を水で濡らす。例えば、ユーザは、口腔内当接部59の表面の略全体に対して、水をかけることで、又は、水を垂らすことで、口腔内当接部59の表面の略全体を水で濡らす。或いは、ユーザは、口腔内当接部59の表面の略全体を水に浸すことで、口腔内当接部59の表面の略全体を水で濡らす。口腔内当接部59の表面の略全体が水で濡れると、保水部58を構成するスポンジに対して、表面張力の作用に起因して生じる毛細管現象により、水がしみ込むことになる。そして、スポンジにしみ込んだ水は、スポンジに保持される。
また、保水部58は、スポンジとして構成されているため、保水部58に外部からの圧力が作用すると、保水部58(スポンジ)に保持されていた水が、保水部58(スポンジ)の表面からしみ出すことになる。このため、保水部58は、口腔内当接部59が患者Pの所定部位(P1、P2、等)に当接した状態で、保持した水を口腔内当接部59の表面から外部にしみ出させることが可能なように構成されている。
ユーザは、口腔内当接部59の表面の略全体を水で濡らして保水部58に水を保持させると、口腔内当接部59を患者Pの所定部位(P1、P2、等)に当接させ、前述のマッサージ行為を行う。このとき、保水部58に保持された水は、上記のマッサージ中にユーザによって嚥下障害用器4が繰り返し動かされて口腔内当接部59が繰り返し動き、口腔内当接部59が繰り返し変形することに伴って、口腔内当接部59の表面から、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に向かってしみ出すことになる。或いは、保水部28に保持された水は、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に接触し、表面張力の作用により、患者Pの所定部位(P1、P2、等)を濡らしながらしみ出すことになる。
上述した第4実施形態によると、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)が、前述のマッサージ行為の最中に口腔内当接部59の表面からしみ出た水によって刺激されることになる。これにより、患者Pの嚥下反射が誘発され、患者Pの嚥下機能を向上させるための訓練が行われることになる。よって、上述した第4実施形態によると、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、利便性に優れ、安全に患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することができる嚥下障害用器具4を提供することができる。
また、第4実施形態によると、保水部58は、口腔内当接部59を含むスポンジとして設けられており、簡素な構成で水を保持するように構成されている。また、その簡素な構成のため、口腔内当接部59が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接した状態で、スポンジにしみ込んでいた水をスポンジから容易にしみ出させることができる。よって、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)のマッサージ行為の最中に口腔内当接部59の表面からしみ出させた水によって患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を容易に刺激することができる構成を、より簡素な構成で実現することができる。
尚、上述した第4実施形態では、スポンジとして設けられた保水部が、口腔内当接部を含んで構成された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。スポンジとして設けられた保水部が、口腔内当接部として構成された形態が実施されてもよい。
[第5実施形態]
図14は、本発明の第5実施形態に係る嚥下障害用器具5を模式的に示す正面図である。図14に示す嚥下障害用器具5は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具5は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具5は、本体部64の構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態と同様の符号を付すことで、又は第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
嚥下障害用器具5の本体部64は、第1実施形態の嚥下障害用器具1の本体部22と同様に構成されている。しかし、嚥下障害用器具5の本体部64は、連結部30が、把持部31に対して着脱可能に構成されている点において、第1実施形態の本体部22と異なっている。
本体部64の連結部30における端部30bには、係合部(図示省略)が設けられている。一方、本体部64の把持部31には、上記の係合部に対して着脱自在に係合する被係合部(図示省略)が設けられている。そして、ユーザは、本体部64の連結部30の係合部と本体部64の把持部31の被係合部とが係合するように、一体に設けられた口腔内挿入部21及び連結部30を把持部31側へ近接させることで、把持部31に対して口腔内挿入部21及び連結部30を装着することができる。一方、ユーザは、把持部31に対して装着されている状態の口腔内挿入部21及び連結部30を把持部31から離間させることで、把持部31から口腔内挿入部21及び連結部30を取り外すことができる。
尚、本体部64の連結部30の端部30b、及び、本体部64の把持部31における一方側の端部31aであってバッテリ収容部36側と反対側の端部31aには、それぞれに、互いに嵌合して電気的に接続されるコネクタ(図示省略)が設けられている。本体部64の把持部31に対して口腔内挿入部21及び連結部30を装着すると、端部30bに設けられたコネクタと端部31aに設けられたコネクタとが、嵌合して電気的に接続される。これにより、本体部64の連結部30側に設けられた電気回路部分と、本体部64の把持部31側に設けられた電気回路部分とが、電気的に接続される。
上述した第5実施形態によると、例えば患者毎に、口腔内当接部25と一体に設けられた連結部30を取り替えることができる。また、口腔内当接部25と一体に設けられた連結部30を、制御部24、バッテリ収容部36、及び各スイッチ(32、33、34、35)が設けられた把持部31から取り外した状態で、洗浄することができる。また、上記の第5実施形態によると、口腔内当接部25又は連結部30が破損等した場合であっても、口腔内当接部25及び連結部30のみを交換して、嚥下障害用器具5を使用することができる。よって、上記の第5実施形態によれば、更に利便性に優れた嚥下障害用器具5を提供できる。
[第6実施形態]
図15は、本発明の第6実施形態に係る嚥下障害用器具6を模式的に示す正面図である。図16は、嚥下障害用器具6を側方から視た図であって、嚥下障害用器具6の先端側の部分を拡大して示す図である。図17は、図15のD−D線矢視位置における断面図の一例である。図18は、嚥下障害用器具6の電気回路図を模式的に示す図である。
図15乃至図18に示す嚥下障害用器具6は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具6は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具6は、口腔内挿入部65の構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
また、嚥下障害用器具6は、口腔内挿入部65の構成が第1実施形態と異なることに伴い、第1実施形態の嚥下障害用器具1に設けられている要素のうちの一部が設けられていない点においても、第1実施形態とは異なっている。具体的には、嚥下障害用器具6は、第1実施形態の嚥下障害用器具1とは異なり、通電方向切替部41、冷却スイッチ33、加温スイッチ34、周期動作スイッチ35、各点灯ランプ(37、38、39)が設けられていない。このため、嚥下障害用器具6は、第1実施形態の嚥下障害用器具1の電気回路23とは異なる構成の電気回路66を備えている。また、嚥下障害用器具6の制御部67は、第1実施形態の嚥下障害用器具1の制御部24とは異なり、温冷切替制御部47が設けられていない。
尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態と同様の符号を付すことで、又は第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
口腔内挿入部65は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。口腔内挿入部65は、患者Pに対して、患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)を押したり軽くなでたりするマッサージ行為が行われる際に、患者Pの口腔内に挿入される。そして、口腔内挿入部65は、口腔内当接部68、ペルチェ素子69、断熱部(70、71)、等を備えて構成されている。また、口腔内挿入部65には、保水部(72、73)が設けられている。
口腔内当接部68は、第1実施形態の口腔内当接部25と同様に、口腔内挿入部65が患者Pの口腔内に挿入された際に、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に少なくとも一部が当接する部分として、設けられている。しかし、口腔内当接部68は、第1実施形態の口腔内当接部25とは異なり、冷却部74を有しているとともに加温部75も有している。
冷却部74及び加温部75は、いずれも、全体的な形状が、例えば、略半球状の部分を含む形状、或いは、略半球状の形状の一部を成すような形状に形成されている。そして、冷却部74及び加温部75のそれぞれは、例えば、熱伝導性が高く且つ生体親和性の高いステンレス等の金属材料、或いは、熱伝導性が高く且つ生体親和性の高いセラミック材料、で形成されている。
冷却部74と加温部75とは、口腔内挿入部65において、所定の厚みを有する板状に形成されたペルチェ素子69の両側にそれぞれ配置されている。即ち、口腔内挿入部65において、冷却部74と加温部75との間にペルチェ素子69が配置されている。また、冷却部74及び加温部75は、ペルチェ素子69を挟んだ状態で、ペルチェ素子69に密着して配置されている。
また、冷却部74と加温部75との間にペルチェ素子69が挟まれているため、冷却部74と加温部75とは、互いに離間して配置されている。そして、冷却部74と加温部75とは、ペルチェ素子69の両側に別れて配置され、ペルチェ素子69を中心として互いに反対側に配置されている。このため、冷却部74及び加温部75は、冷却部74が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するときに加温部75が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)であって冷却部74が当接する所定部位(P1、P2、等)に当接しない位置に設けられている。更に、冷却部74及び加温部75は、加温部75が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するときに冷却部74が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)であって加温部75が当接する所定部位(P1、P2、等)に当接しない位置に設けられている。
冷却部74は、ペルチェ素子69が通電されて駆動されることでペルチェ素子69によって冷却されて患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却する部分として設けられている。一方、加温部75は、ペルチェ素子69が通電されて駆動されることでペルチェ素子69によって加温されて患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温する部分として設けられている。
冷却部74には、略半球状の表面として形成された半球状面74aと、半球状面74aとは反対側の面として設けられて平坦な面として形成された平坦面74bとが、設けられている。そして、口腔内挿入部65が患者Pの口腔内に挿入されて冷却部74が所定部位(P1、P2、等)に当接する際には、冷却部74は、半球状面74aの一部が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するように、口腔内に配置される。
また、冷却部74は、嚥下障害用器具6の先端側の部分において、ペルチェ素子69の第1の面69aに対して平坦面74bにおいて接した状態で、配置されている(図17を参照)。ペルチェ素子69の第1の面69aは、冷却部74の平坦面74bに対して、密着している。尚、ペルチェ素子69の第1の面69aは、ペルチェ素子69が駆動された際には、ペルチェ素子69の吸熱部として作動する。
ペルチェ素子69が駆動されて第1の面69aが吸熱部として作動すると、冷却部74は、ペルチェ素子69によって、平坦面74bから抜熱され、冷却される。そして、冷却部74は、ペルチェ素子69によって冷却されると、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に半球状面74aにて当接しているときは、その所定部位(P1、P2、等)を冷却する。
加温部75には、略半球状の表面として形成された半球状面75aと、半球状面75aとは反対側の面として設けられて平坦な面として形成された平坦面75bとが、設けられている。そして、口腔内挿入部65が患者Pの口腔内に挿入されて加温部75が所定部位(P1、P2、等)に当接する際には、加温部75は、半球状面75aの一部が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するように、口腔内に配置される。
また、加温部75は、嚥下障害用器具6の先端側の部分において、ペルチェ素子69の第2の面69bに対して平坦面75bにおいて接した状態で、配置されている(図17を参照)。ペルチェ素子69の第2の面69bは、加温部75の平坦面75bに対して、密着している。尚、ペルチェ素子69の第2の面69bは、ペルチェ素子69が駆動された際には、ペルチェ素子69の発熱部として作動する。
ペルチェ素子69が駆動されて第2の面69bが発熱部として作動すると、加温部75は、ペルチェ素子69によって、平坦面75bから加温される。そして、加温部75は、ペルチェ素子69によって加温されると、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に半球状面75aにて当接しているときは、その所定部位(P1、P2、等)を加温する。
口腔内当接部68は、上述の通り、いずれか一方が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に対して排他的に当接する冷却部74及び加温部75を有している。そして、口腔内当接部68は、冷却部74が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に接触することにより、当該所定部位(P1、P2、等)を冷却する。一方、口腔内当接部68は、加温部75が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に接触することにより、当該所定部位(P1、P2、等)を加温する。尚、上記の説明においては、口腔内当接部68によって冷却され又は加温される所定部位として口蓋弓P1及び舌根部P2を例に挙げたが、これに限られなくもよい。口腔内当接部68によって冷却され又は加温される所定部位として、口腔内の軟口蓋、咽頭後壁、K−point、等も挙げられる。
ペルチェ素子69は、嚥下障害用器具6において、先端側の部分に設けられ、前述の通り、口腔内当接部68の冷却部74及び加温部75の間に挟まれた状態で冷却部74及び加温部75に対して接して設けられている。そして、ペルチェ素子69は、嚥下障害用器具6において、口腔内当接部68の冷却部74又は加温部75が患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接している状態で、患者Pの口腔内に配置される位置に、設けられている。
ペルチェ素子69は、所定の厚みを有する板状に形成された素子であって、本体部22に収納されたバッテリ29から電気エネルギーが供給されて通電されることで駆動される。ペルチェ素子69には、厚み方向における両側のそれぞれに設けられる面であって、互いに略平行に広がる平坦な第1の面69aと第2の面69bとが、設けられている。第1及び第2の面(69a、69b)の外形は、例えば、矩形に形成され、ペルチェ素子69は、矩形の板状に形成されている。また、ペルチェ素子69は、例えば、1枚の板状の素子によって構成されている。
ペルチェ素子69が通電されて駆動された状態では、第1の面69aの温度が下降し、第2の面69bの温度が上昇する。これにより、第1の面69aが吸熱部として作動し、第2の面69bが発熱部として作動する。尚、ペルチェ素子69における第1の面69a及び第2の面69bは、平坦な形状でなくてもよく、その他の形状であってもよい。
断熱部70は、冷却部74と加温部75との間に設けられて両者を断熱するための部分として設けられている。そして、断熱部70は、ペルチェ素子69における第1の面69a及び第2の面69bの間の外周を外部に対して覆うように設けられている。
断熱部71は、冷却部74と、連結部30の端部30aと、の間に設けられている。そして、断熱部71は、冷却部74と連結部30の端部30aとを断熱するための部分として設けられている。一方、加温部75と連結部30の端部30aとの間には、断熱部が設けられておらず、加温部75と連結部30の端部30aとは接している。よって、冷却部74と連結部30とは、断熱部71によって断熱され、加温部75と連結部30とは、互いに熱伝導可能に配置されている。
また、断熱部70及び断熱部71は、熱伝導性が冷却部74及び加温部75よりも低い材料によって構成されている。例えば、断熱部70及び断熱部71は、熱伝導性が低いセラミック材料、熱伝導性が低い樹脂材料、熱伝導性が冷却部74及び加温部75よりも低い金属、等によって構成されている。
尚、冷却部74、加温部75、ペルチェ素子69、断熱部70、断熱部71、及び連結部30の端部30aは、図示が省略された接着材料等によって固定されて一体に設けられている。これにより、連結部30は、冷却部74及び加温部75を有する口腔内当接部68、ペルチェ素子69、断熱部70、及び断熱部71を備える口腔内挿入部65と一体に設けられている。
また、嚥下障害用器具6は、第1実施形態の電気回路23とは構成が異なる電気回路66と、第1実施形態の制御部24とは構成が異なる制御部67とを備えている。尚、電気回路66及び制御部67は、本体部22に内蔵されている。
電気回路66は、図18に示すように、ペルチェ素子69とバッテリ29とを電気的に接続し、ペルチェ素子69に電気エネルギーを供給する回路として設けられている。そして、電気回路66は、オンオフ切替スイッチ32、一対の端子(40a、40b)、導電線76a及び導電線76b、等を備えて構成されている。
導電線76a及び導電線76bは、ペルチェ素子69と一対の端子(40a、40b)とを電気的に接続する回路を構成する導電線として設けられている。導電線76aは、ペルチェ素子69と端子40aとを電気的に接続している。導電線76bは、ペルチェ素子69と端子40bとを電気的に接続している。これにより、導電線76a及び導電線76bは、バッテリ収容部36に収容されたバッテリ29とペルチェ素子69とを電気的に接続する。また、導電線76aには、オンオフ切替スイッチ32が設けられている。
制御部67は、第1実施形態と同様に構成された通電制御部48及びタイマー49を備えている。即ち、制御部67には、第1実施形態の温冷切替制御部47に相当する構成は設けられていない。制御部67に通電制御部48及びタイマー49が備えられているため、嚥下障害用器具6は、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態からオン状態に切り替えられてから一定の時間が経過すると、オンオフ切替スイッチ32がオフ状態に切り替えられるように構成されている。
保水部72は、口腔内挿入部65の口腔内当接部68における冷却部74に設けられている。より具体的には、保水部72は、冷却部74の表面の半球状面74a側に設けられている。そして、保水部72は、冷却部74の表面の半球状面74aから内側に向かって凹んだ凹み穴として設けられている。また、保水部72は、複数設けられている。複数の凹み穴として設けられた複数の保水部72のそれぞれは、外部から供給された水を保持するように構成されている。即ち、各凹み穴として設けられた各保水部72は、冷却部74の表面から水が内側に入り込むことで、入り込んだ水を保持するように構成されている。また、保水部72を構成する凹み穴は、冷却部74の半球状面74aの略全体に亘って、分散して配置されている。
保水部73は、口腔内挿入部65の口腔内当接部68における加温部75に設けられている。より具体的には、保水部73は、加温部75の表面の半球状面75a側に設けられている。そして、保水部73は、加温部75の表面の半球状面75aから内側に向かって凹んだ凹み穴として設けられている。また、保水部73は、複数設けられている。複数の凹み穴として設けられた複数の保水部73のそれぞれは、外部から供給された水を保持するように構成されている。即ち、各凹み穴として設けられた各保水部73は、加温部75の表面から水が内側に入り込むことで、入り込んだ水を保持するように構成されている。また、保水部73を構成する凹み穴は、加温部75の半球状面75aの略全体に亘って、分散して配置されている。
ユーザは、保水部72又は保水部73に水を保持させる場合は、冷却部74の表面の半球状面74a又は加温部75の表面の半球状面75aの略全体を水で濡らす。冷却部74の半球状面74a又は加温部75の半球状面75aの略全体が水で濡れると、複数の凹み穴として設けられた複数の保水部72のそれぞれに又は複数の保水部73のそれぞれに水が入り込み、各保水部72又は各保水部73が濡れることになる。そして、各保水部72又は各保水部73において、入り込んだ水が、表面張力の作用、及び保水部72又は保水部73の凹んだ形状の作用によって、保持される。
また、凹み穴として設けられた保水部72又は保水部73は、口腔内当接部68の冷却部74又は加温部75の表面から外部に向けて開口している。このため、保水部72又は保水部73は、冷却部74又は加温部75が患者Pの所定部位(P1、P2、等)に当接した状態で、保持した水を口腔内当接部68の冷却部74又は加温部75の表面から外部にこぼれ出させることが可能なように構成されている。
ユーザは、冷却部74の半球状面74a又は加温部75の半球状面75aの略全体を水で濡らして複数の保水部72又は保水部73に水を保持させると、口腔内当接部68を半球状面74a側又は半球状面75a側で患者Pの所定部位(P1、P2、等)に当接させ、前述のマッサージ行為を行う。このとき、複数の保水部72のそれぞれに又は複数の保水部73のそれぞれに保持された水は、上記のマッサージ中にユーザによって嚥下障害用器具6が繰り返し動かされて口腔内当接部68が繰り返し動くことに伴って、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に向かってこぼれ出ることになる。或いは、保水部72又は保水部73に保持された水は、患者Pの所定部位(P1、P2、等)に接触し、表面張力の作用により、患者Pの所定部位(P1、P2、等)を濡らしながらこぼれ出ることになる。
以上説明した嚥下障害用器具6が使用されるときは、ユーザは、まず、冷却部74の半球状面74a又は加温部75の半球状面75aの略全体を水で濡らして保水部72又は保水部73に水を保持させる。そして、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激するマッサージ行為のみを行いたい場合は、ユーザは、オンオフ切替スイッチ32をオフ状態のままで、冷却部74又は加温部75を上記の所定部位(P1、P2、等)に当接させる。そして、ユーザは、保水部72又は保水部73から水をこぼれ出させながら、冷却部74又は加温部75によって患者Pの口腔内の所定部位を押したり軽くなでたりするマッサージ行為を行う。
また、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激するとともに冷却して刺激するマッサージ行為を行いたい場合は、ユーザは、冷却部74の半球状面74aの略全体を水で濡らして保水部72に水を保持させる。次いで、ユーザは、オンオフ切替スイッチ32をオフ状態からオン状態に切り替えるように操作し、冷却部74を患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接させる。これにより、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激するとともに冷却して刺激する所望のマッサージ行為を行うことができる。
また、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激するとともに加温して刺激するマッサージ行為を行いたい場合は、ユーザは、加温部75の半球状面75aの略全体を水で濡らして保水部73に水を保持させる。次いで、ユーザは、オンオフ切替スイッチ32をオフ状態からオン状態に切り替えるように操作し、加温部75を患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接させる。これにより、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を水で刺激するとともに加温して刺激する所望のマッサージ行為を行うことができる。
上述した第6実施形態によると、第1実施形態と同様に、利便性に優れ、安全に患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を刺激することができる嚥下障害用器具6を提供することができる。
また、第6実施形態によると、口腔内当接部68は、冷却部74を有しているとともに加温部75も有している。そして、冷却部74と加温部75とは、口腔内の所定部位(P1、P2、等)に対して同時に当接せず、互いに独立して当接するように、口腔内挿入部65における異なる位置に設けられている。このため、ユーザは、口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却したい場合は冷却部74を所定部位(P1、P2、等)に当接させ、口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温したい場合は加温部75を所定部位(P1、P2、等)に当接させることができる。よって、ユーザは、患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)に対して口腔内当接部68における異なる部分を接触させるだけで、所定部位(P1、P2、等)を冷却する状態と加温する状態との間で容易に状態の切り替えを行うことができる。
[第7実施形態]
図19は、本発明の第7実施形態に係る嚥下障害用器具7における先端側の部分を示す断面図である。
図19に示す嚥下障害用器具7は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様に、嚥下障害を有する患者の嚥下機能を向上させるための訓練で用いられる器具である。そして、嚥下障害用器具7は、第1実施形態の嚥下障害用器具1と同様の構成要素を備えて構成されている。但し、嚥下障害用器具7は、口腔内挿入部77の構成において、第1実施形態の嚥下障害用器具1と異なっている。
尚、以下の説明においては、第1実施形態の構成と異なる構成を説明し、第1実施形態の構成と同様の構成については、図面において第1実施形態と同様の符号を付すことで、又は第1実施形態の説明と同様の符号を引用することで、説明を省略する。
口腔内挿入部77は、患者Pの口腔内に挿入される部分として設けられている。そして、口腔内挿入部77は、保水部80が設けられた口腔内当接部78、熱伝導部79、ペルチェ素子26、断熱部27、等を備えて構成されている。
口腔内当接部78は、口腔内挿入部77が患者Pの口腔内に挿入された際に、患者Pの口腔内の所定部位(口蓋弓P1、舌根部P2、等)に少なくとも一部が当接する部分として、設けられている。口腔内当接部78は、例えば、全体的な形状が、略半球殻状の部分を含む形状、又は、略半球殻状の形状の一部を成すような形状に形成されている。口腔内当接部78は、例えば、熱伝導性が高く且つ生体親和性の高いステンレス等の金属材料、或いは、熱伝導性が高く且つ生体親和性の高いセラミック材料、で形成されている。口腔内当接部78は、熱伝導部79を介して、ペルチェ素子26によって、冷却され、或いは、加温される。熱伝導部79を介してペルチェ素子26によって口腔内当接部78が冷却されることと加温されることとは、排他的に行われ、同時には行われない。
口腔内当接部78には、略半球状の外表面として形成された外周面78aと、外周面78aとは反対側の面として設けられて略半球状に凹む内側の面として形成された内周面78bとが、設けられている。そして、口腔内挿入部77が患者Pの口腔内に挿入された際には、口腔内当接部78は、外周面78aの一部が口腔内の所定部位(P1、P2、等)に当接するように、口腔内に配置される。口腔内当接部78の内周面78bは、熱伝導部79に対して接した状態で、配置されている。
熱伝導部79は、ペルチェ素子26と口腔内当接部78との間に配置され、ペルチェ素子26と口腔内当接部78とに接触し、ペルチェ素子26と口腔内当接部78との間における熱伝導を可能にする固体の媒体として設けられている。
熱伝導部79は、例えば、全体的な形状が、略半球状の部分を含む形状、或いは、略半球状の形状の一部を成すような形状に形成されている。熱伝導部79は、例えば、熱伝導性が高いステンレス等の金属材料、或いは、熱伝導性が高いセラミック材料、で形成されている。熱伝導部79は、ペルチェ素子26によって、冷却され、或いは、加温される。そして、熱伝導部79は、ペルチェ素子26によって冷却されたときには、口腔内当接部78を冷却し、ペルチェ素子26によって加温されたときには、口腔内当接部78を加温する。
熱伝導部79には、略半球状の表面として形成された半球面79aと、半球面79aとは反対側の面として設けられて平坦な面として形成された平坦面79bとが、設けられている。半球面79aは、口腔内当接部78の内周面78bに接した状態で配置され、内周面78bに密着している。また、熱伝導部79は、嚥下障害用器具6の先端側の部分において、ペルチェ素子26の第1の面26aに対して平坦面79bにおいて接した状態で、配置されている。ペルチェ素子26の第1の面26aは、熱伝導部79の平坦面79bに対して、密着している。
上記のように、嚥下障害用器具6の口腔内挿入部78においては、ペルチェ素子26は、口腔内当接部78に接する熱伝導部79に対して接して設けられている。
ペルチェ素子26の第1の面26aが吸熱部として作動しているときは、口腔内当接部78は、ペルチェ素子26によって平坦面79bから抜熱された熱伝導部79によって内周面78bから抜熱され、冷却される。そして、口腔内当接部78は、熱伝導部79を介してペルチェ素子26によって冷却されると、外周面78aにて当接している患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却する冷却部として作動することになる。
一方、ペルチェ素子26の第1の面26aが発熱部として作動しているときは、口腔内当接部78は、ペルチェ素子26によって平坦面79bから加温された熱伝導部79によって内周面78bから加温される。そして、口腔内当接部78は、熱伝導部79を介してペルチェ素子26によって加温されると、外周面78aにて当接している患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を加温する加温部として作動することになる。
上記のように、口腔内当接部78は、ペルチェ素子26が駆動されることで熱伝導部79を介して冷却されて患者Pの口腔内の所定部位(P1、P2、等)を冷却する冷却部として作動するように構成されていることに加え、ペルチェ素子26が駆動されることで熱伝導部79を介して加温されて上記の所定部位(P1、P2、等)を加温する加温部としても作動するように構成されている。
保水部80は、口腔内挿入部77において、口腔内当接部78に設けられ、第1実施形態の保水部28と同様の構造を有して構成されている。より具体的には、保水部80は、口腔内当接部78の外周面78a側に設けられ、口腔内当接部78の表面の外周面78aから内側に向かって凹んだ凹み穴として設けられている。また、保水部80は、第1実施形態の保水部28と同様に、複数設けられている。複数の凹み穴として設けられた複数の保水部80のそれぞれは、第1実施形態の保水部28と同様に、外部から供給された水を保持するように構成されている。即ち、各凹み穴として設けられた各保水部80は、口腔内当接部78の表面から水が内側に入り込むことで、入り込んだ水を保持するように構成されている。また、保水部80を構成する凹み穴は、口腔内当接部78の外周面78aaの略全体に亘って、分散して配置されている。
上述したように、ペルチェ素子26と口腔内当接部78とに接する熱伝導部79が設けられた形態が実施されてもよい。即ち、ペルチェ素子26と口腔内当接部78との間における熱伝導を可能にする固体の媒体としての熱伝導部79が設けられた形態の嚥下障害用器具7が実施されてもよい。
尚、上述の実施形態では、口腔内当接部が、略半球殻状の部分を含む形状、又は、略半球殻状の形状の一部を成すような形状に形成され、熱伝導部が、略半球状の部分を含む形状、或いは、略半球状の形状の一部を成すような形状に形成された形態を例示したが、この通りでなくてもよい。口腔内当接部及び熱伝導部の形状は、上述の実施形態で例示した形状に限らず、種々変更して実施されてもよい。口腔内当接部及び熱伝導部の形状は、ペルチェ素子と口腔内当接部との間の熱伝導が可能な形状であればよい。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の第1乃至第7実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。例えば、次のように変更してもよい。
(1)口腔内当接部の表面から水が内側に入り込み、その入り込んだ水を保持する保水部の形態として、凹み穴、又は、溝の形態を例示したが、この例に限られなくてもよい。例えば、口腔内当接部の内側に水を保持するための空間が形成されており、口腔内当接部の表面からその空間まで口腔内当接部を貫通して形成された貫通穴が設けられた形態の保水部を備えた嚥下障害用器具が実施されてもよい。また、口腔内当接部の表面に丸い突起が複数設けられ、複数の突起の間で水が保持される形態の保水部を備えた嚥下障害用器具が実施されてもよい。
(2)水ポンプ及び水誘導管を有する保水部が設けられた嚥下障害用器具が実施されてもよい。この場合、水ポンプは、例えば、本体部に設けられ、外部から供給された水を貯えて保持するように構成され、ユーザの押圧操作によって弾性変形して保持した水を吐出するように構成される。水誘導管は、例えば、水ポンプから吐出された水を口腔内当接部の表面まで誘導し、口腔内当接部の表面からこぼれ出させるように構成される。
(3)ペルチェ素子が、口腔内当接部が患者の口腔内の所定部位に当接している状態において、患者の口腔外に配置される位置に設けられた形態の嚥下障害用器具が、実施されてもよい。また、ペルチェ素子は、1枚の板状の素子のみを有する形態に限らず、複数枚の板状の素子を備えた形態であってもよい。また、ペルチェ素子の形状は、種々変更されて実施されてもよい。
(4)ペルチェ素子に対して電気エネルギーを供給する形態として、本体部に収容されたバッテリから供給される形態を例示したが、この例に限られなくてもよい。例えば、外部の交流電源から電気エネルギーが供給され、整流器で整流された電流がペルチェ素子に通電され、ペルチェ素子が駆動される形態が実施されてもよい。
(5)口腔内当接部が、加温部としてのみ作動するように構成された形態、或いは、冷却部としてのみ作動するように構成された形態が、実施されてもよい。また、口腔内当接部が、加温部を有しているが冷却部を有していない形態、或いは、口腔内当接部が、冷却部を有しているが加温部を有していない形態が、実施されてもよい。
本発明は、嚥下障害を有する患者の口腔内の所定部位を刺激することにより患者の嚥下機能を向上させる訓練を行うための嚥下障害用器具として、広く適用することができる。
1、2、3、4、5、6、7 嚥下障害用器具
21、50、53、56、65、77 口腔内挿入部
22、64 本体部
25、51、54、59、68、78 口腔内当接部
28、52、55、58、72、73、80 保水部
30、57 連結部
31 把持部

Claims (10)

  1. 患者の口腔内に挿入される部分として設けられ、前記口腔内の所定部位に少なくとも一部が当接する口腔内当接部を有する口腔内挿入部と、
    ユーザによって把持される部分として設けられた把持部、及び、前記把持部と前記口腔内挿入部とを連結する部分として設けられて前記口腔内挿入部と一体に設けられた連結部、を有する本体部と、
    外部から供給された水を保持するように構成された保水部と、
    を備え、
    前記保水部は、前記口腔内当接部が前記所定部位に当接した状態で、保持した水を前記口腔内当接部の表面から外部にこぼれ出させる又はしみ出させることが可能なように構成されていることを特徴とする、嚥下障害用器具。
  2. 請求項1に記載の嚥下障害用器具であって、
    前記保水部は、前記口腔内挿入部に設けられ、前記口腔内当接部の表面から水が内側に入り込むことで又は前記口腔内当接部の表面から水がしみ込むことで、入り込んだ又はしみ込んだ水を保持するように構成されていることを特徴とする、嚥下障害用器具。
  3. 請求項2に記載の嚥下障害用器具であって、
    前記保水部は、前記口腔内当接部の表面から内側に向かって凹んだ凹み穴として設けられ、前記口腔内当接部の表面から前記凹み穴に水が入り込むことで、入り込んだ水を保持することを特徴とする、嚥下障害用器具。
  4. 請求項2に記載の嚥下障害用器具であって、
    前記保水部は、前記口腔内当接部の表面から内側に向かって凹んだ溝として設けられ、前記口腔内当接部の表面から前記溝に水が入り込むことで、入り込んだ水を保持することを特徴とする、嚥下障害用器具。
  5. 請求項2に記載の嚥下障害用器具であって、
    前記保水部は、
    前記口腔内当接部として構成されたスポンジとして設けられ、又は、前記口腔内当接部を含んで構成されたスポンジとして設けられ、
    前記口腔内当接部の表面から水がしみ込むことで、しみ込んだ水を保持するように構成されていることを特徴とする、嚥下障害用器具。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の嚥下障害用器具であって、
    前記口腔内当接部に対して接して設けられ、又は、前記口腔内当接部に接する熱伝導部に対して接して設けられたペルチェ素子、を更に備え、
    前記ペルチェ素子は、電気エネルギーが供給されて通電されることで駆動され、
    前記口腔内当接部は、前記ペルチェ素子が駆動されることで冷却されて前記所定部位を冷却する冷却部として作動するように構成されており、又は、前記冷却部を有していることを特徴とする、嚥下障害用器具。
  7. 請求項6に記載の嚥下障害用器具であって、
    前記ペルチェ素子は、前記口腔内当接部が前記所定部位に当接している状態において、前記患者の口腔内に配置される位置に設けられていることを特徴とする、嚥下障害用器具。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の嚥下障害用器具であって、
    前記口腔内当接部は、
    前記冷却部として作動するように構成されていることに加え、前記ペルチェ素子が駆動されることで加温されて前記所定部位を加温する加温部としても作動するように構成されており、又は、
    前記冷却部を有しているとともに前記加温部も有していることを特徴とする、嚥下障害用器具。
  9. 請求項8に記載の嚥下障害用器具であって、
    前記口腔内当接部は、前記冷却部として作動するように構成されていることに加え、前記加温部としても作動するように構成されており、
    当該嚥下障害用器具は、
    前記ペルチェ素子に通電する電流の方向を切り替える通電方向切替部、を更に備え、
    前記通電方向切替部によって前記ペルチェ素子に通電する電流の方向が切り替えられることで、前記冷却部として作動する前記口腔内当接部が前記加温部として作動するように切り替えられ、又は、前記加温部として作動する前記口腔内当接部が前記冷却部として作動するように切り替えられるように構成されていることを特徴とする、嚥下障害用器具。
  10. 請求項8に記載の嚥下障害用器具であって、
    前記口腔内当接部は、前記冷却部を有しているとともに前記加温部も有しており、
    前記冷却部及び前記加温部は、前記冷却部が前記所定部位に当接するときに前記加温部が前記所定部位に当接せず、前記加温部が前記所定部位に当接するときに前記冷却部が前記所定部位に当接しない位置に設けられていることを特徴とする、嚥下障害用器具。
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