JP2006246863A - 食材のエージング方法、エージング容器及び食品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 食材を短期間かつ安定した品質を保ってエージングする方法、そのための装置及びエージングした食材を用いた食品の製造方法を提供する。
【解決手段】 炭を熱源として間接加熱を行って食材をエージングする食材のエージング方法であって、(a)熱源を配置したエージング容器内に直接加熱されないようにエージング処理する食材を配置する食材の配置工程、(b)前記エージング容器内の内部温度を60〜70℃に保持しながら20分間又はそれ以上放置してエージングするエージング工程を含む。
【選択図】 図1
【解決手段】 炭を熱源として間接加熱を行って食材をエージングする食材のエージング方法であって、(a)熱源を配置したエージング容器内に直接加熱されないようにエージング処理する食材を配置する食材の配置工程、(b)前記エージング容器内の内部温度を60〜70℃に保持しながら20分間又はそれ以上放置してエージングするエージング工程を含む。
【選択図】 図1
Description
本発明は、食材のエージング方法、エージング容器及び食品の製造方法に関する。より詳しく述べると、本発明は、備長炭等の炭素を用いて食材を短期間にエージングする方法、そのための装置及びエージングした食材を用いた食品の製造方法に関する。
一般に、肉類、魚類等の旨味成分を引き出すために、エージング処理(熟成)を行っている。非特許文献1によると「食肉のおいしさには三種類、すなわち「軟らかさ」「旨味」「風味」がある。これらを決定するものに、脂肪の味があるし、肉そのものも重要だし、骨や筋も重要である。そして、それらがいくら良くても、熟成されていなければ、なんの意味もなさない。
「さっきまでぴちぴちしていた魚」ならおいしいが、「さっき屠殺したばかりの牛肉」を食べたらどうなるか、硬くてとてもではないが食べられない。屠殺直後の牛肉というのは、死後硬直といって、筋肉の鎖がしっかりと張っているために、とても硬いのである。
そのため、例えば牛肉の熟成はスーパーマーケットであれな10〜21日間が適当である。牛肉は、屠殺直後には「死後硬直」で硬い状態だが、約1週間位で死後硬直がとけて、熟成が始まる。これは温度が0℃の状態だが、その後熟成は徐々に進み、10日目位に食べ頃になってくる。この時点で熟成の70〜80%程度が出来上がっていると言われるが、正確に測定をする方法は今のところ無いようである。しかし、食べ頃になってきているのは、試食をすることによって確認できる。
その後も熟成は進んでいき、大体屠殺後3週間ぐらいでほぼ終了する。この後さらに置いておくとどうなるかと言うと、熟成は止らずに、さらに少しずつ進んでいく。しかし、これ以上置いておくと、肉の表面が変色していくし、肉そのものもだんだん黒くなっていく。
その後も熟成は進んでいき、大体屠殺後3週間ぐらいでほぼ終了する。この後さらに置いておくとどうなるかと言うと、熟成は止らずに、さらに少しずつ進んでいく。しかし、これ以上置いておくと、肉の表面が変色していくし、肉そのものもだんだん黒くなっていく。
熟成は進んでいくのだから、肉はさらに軟らかく、旨味も出てくるので、高級なレストランなどでは、「6週間熟成」などを行っているところもある。
このように熟成した牛肉を使ったステーキは、それこそ箸で切れるほど軟らかいものになっている。しかし、歩留りが悪くなっていくのと、それだけ寝かせるためには、冷蔵庫とか、金利もかかるので、コストも高くなる。
このように熟成した牛肉を使ったステーキは、それこそ箸で切れるほど軟らかいものになっている。しかし、歩留りが悪くなっていくのと、それだけ寝かせるためには、冷蔵庫とか、金利もかかるので、コストも高くなる。
また、豚肉と鶏肉の熟成期間は、牛肉以外の他の肉も同じメカニズムだが、期間が異なる。豚肉は一般的には3日間位、であると言われており、非常にクリーンな状態で3週間熟成を行っている場合もある。また、鶏肉は12〜24時間が良いとされている。もも肉をしっとりとジューシーにするために熟成をする方式がここ数年の間に行われてきているが、好評のようである。24時間より先はどうなるかというと、クリーンな状態で管理していれば、熟成の良い状態がある程度長続きする。しかし、店舗の管理も含めてサニテーションが良くないと鮮度劣化が早くなってしまい、味が急速に落ちてしまうことになる。鶏肉の場合は特にバクテリアの影響を受けるので、サプライヤー、ロジスティクス、店舗と、すべての管理を完璧にしないと熟成の効果が出ないし、逆に鮮度劣化させることになってしまうので注意が必要である。
また、熟成は、バクテリア対策と、温度管理が重要である。食肉を冷蔵庫の中に置いておくということは、とくに牛肉は長期間置いておくので、バクテリア対策をしっかりしておかなければならない。
熟成のスタートの時点で、バクテリアが肉にたくさんついていたら、熟成どころか「腐敗」していってしまう。熟成がそろそろ終わって、軟らかくなってきたかな、とのぞいて見たら、腐っていた、などとなってしまう。そのためにも、と畜処理をしっかりしないといけない。
これから熟成の開発を進めるのならば、まず、と畜処理でしっかり枝肉を洗い、同時にと畜処理場を徹底的にきれいにすることが重要である。まず「クレンリネス」からである。温度管理についても、0℃の安定したところで、しかもエアフィルターを付けた、クリーンな環境の冷蔵庫が必要である。
http://www.foodesign.net/aging.htm (平成17年3月5日検索)。
このように、食材の旨味を引き出すために熟成を行う際にには、適切な温度管理、時間管理及び微生物管理の下、長期間保存する必要が生じる。
そのため、歩留まりが悪くなるばかりか、保存する保存庫の温度誤差などにより、安定して一定の品質を保つことが困難となる。
そのため、歩留まりが悪くなるばかりか、保存する保存庫の温度誤差などにより、安定して一定の品質を保つことが困難となる。
さらに、近年、魚類を初めとする各種食材においては保存安定性のためにポリリン酸塩らのリン酸塩で処理されている場合があり、このような場合単に熟成しても期待通りの旨味成分が十分に引き出すことが不可能である。
そこで、本発明の課題は、食材を短期間かつ安定した品質を保ってエージングする方法、そのための装置及びエージングした食材を用いた食品の製造方法を提供することである。
本発明の別の課題は、冷凍食材又は冷凍食品の組織を破壊せず解凍する方法を提供することである。
本発明の別の課題は、冷凍食材又は冷凍食品の組織を破壊せず解凍する方法を提供することである。
前記課題を解決する本発明は、下記の通りである。
(1) 炭、好ましくは備長炭を熱源として間接加熱を行って食材をエージングする食材のエージング方法であって、
(a) 熱源を配置したエージング容器内に直接加熱されないようにエージング処理する食材を配置する食材の配置工程、
(b) 前記エージング容器内の内部温度を60〜70℃に保持しながら20分間又はそれ放置してエージングするエージング工程
を含むことを含むことを特徴とする食材のエージング方法。
(1) 炭、好ましくは備長炭を熱源として間接加熱を行って食材をエージングする食材のエージング方法であって、
(a) 熱源を配置したエージング容器内に直接加熱されないようにエージング処理する食材を配置する食材の配置工程、
(b) 前記エージング容器内の内部温度を60〜70℃に保持しながら20分間又はそれ放置してエージングするエージング工程
を含むことを含むことを特徴とする食材のエージング方法。
(2) 工程(a)に先立って、前記食材を水1Lに対して、塩化カリウム10〜70g、醤油水1Lに対して300cc〜1000cc、黒砂糖、蜂蜜またはこれらの混合物から構成された糖分であって、水1Lに対して20〜60g及び有効量のpH調整成分を含むするエージング用組成物に浸漬する予備処理工程を含むことを特徴とする(1)に記載の食材のエージング方法。
(3) 前記食材が冷凍食材であって、解凍とエージングとを同時に行うことを特徴とする(1)又は(2)に記載の食材のエージング方法。
(4) 工程(b)に続いて緩慢解凍、急速解凍を実施することを特徴とする請求項3に記載の食材のエージング方法。
(5) 前記エージング容器に備長炭と食材とを互いに離間させて配置した後、前記エージング容器を密封した状態で前記エージング容器を備長炭から有機化合物が放出される温度に所定時間加熱作動して備長炭から放出される有機化合物により食材の過酸化物を還元するようにしてエージングを行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の食材のエージング方法。
(6) 前記エージング容器を、備長炭と、前期備長炭を炭素化合物の放出温度以上で且つ燃焼未満の温度に加熱して炭素化合物を放出させる加熱手段とを備え、炭素化合物の還元作用により臭気を消臭しその他酸化物を還元するように構成したことを特徴とする(1)から(4)4のいずれか1項に記載の食材のエージング方法。
(7) 前記エージング容器が上下に開口する金属製支持枠の一対の対壁に、所定数の金属製第一帯板を水平方向に所定間隔へだてて支持すると共に、該金属製第一帯板より所定高さ下位に、かつ、金属製第一帯板の列に対して千鳥状に金属製第二帯板を支持し、各金属製第一帯板の両側に備長炭を支持するためのリブを設け、ガス加熱による金属製第二帯板の輻射により金属製第一帯板を加熱し、該金属製第一帯板の輻射により、備長炭を着火するようにした炭火焼器であって、前記金属製第一帯板及び各金属製第二帯板が耐熱性金属から構成され、前記金属製第一帯板同士の間隔及び金属製第二帯板同士の間隔が、それぞれ隣接する金属製第一帯板間に対峙する前記備長炭の対峙部が燃焼する空気量に対応して決定され、さらに、前記金属製第一帯板上面から各リブの上端までの高さ及びリブを含めた金属製第一帯板の上面の面積が、着火時において、備長炭の隣接する金属製第一帯板間のみを赤熱燃焼させ、且つ、備長炭の他部が炭素化合物を放出するほぼ黒色状態に燃焼させるように設定されたことを特徴とする(1)から(4)4のいずれか1項に記載の食材のエージング方法。
(8) (1)から(7)のいずれか1項に記載の食材のエージング方法により食材をエージングし、エージングした食材をさらに加工して食品とすることを特徴とする食品の製造方法。
(9) 前記食品がスモーク製品であり、エージングに引き続いて前記エージング容器内でエージングした食材をスモークすることを特徴とする(8)に記載の食品の製造方法。
(10) (1)から(7)のいずれか1項に記載の食材のエージング方法を実施するエージング装置であって、エージング容器と、前記容器の内壁に備長炭を支持する支持部を設けるとともに、前記エージング容器の本ヒータとは別に前記支持部に支持された備長炭を有機化合物の放出温度に加熱する炭加熱ヒータを設けたことを特徴とするエージング装置。
(11) (1)から(7)のいずれか1項に記載の食材のエージング方法を実施するエージング容装置であって、エージング容器と、前記エージング容器内に備長炭と、該備長炭を炭素化合物の放出温度以上で且つ燃焼未満の温度に加熱して炭素化合物を放出させる加熱手段とを備え、炭素化合物の還元作用により臭気を消臭しその他酸化物を還元するように構成したことを特徴とするエージング装置。。
(12) (1)から(7)のいずれか1項に記載の食材のエージング方法を実施するエージング装置であって、
上下に開口する金属製支持枠の一対の対壁に、所定数の金属製第一帯板を水平方向に所定間隔へだてて支持すると共に、該金属製第一帯板より所定高さ下位に、かつ、金属製第一帯板の列に対して千鳥状に金属製第二帯板を支持し、各金属製第一帯板の両側に備長炭を支持するためのリブを設け、ガス加熱による金属製第二帯板の輻射により金属製第一帯板を加熱し、該金属製第一帯板の輻射により、備長炭を着火するようにした炭火焼器であって、前記金属製第一帯板及び各金属製第二帯板が耐熱性金属から構成され、前記金属製第一帯板同士の間隔及び金属製第二帯板同士の間隔が、それぞれ隣接する金属製第一帯板間に対峙する前記備長炭の対峙部が燃焼する空気量に対応して決定され、さらに、前記金属製第一帯板上面から各リブの上端までの高さ及びリブを含めた金属製第一帯板の上面の面積が、着火時において、備長炭の隣接する金属製第一帯板間のみを赤熱燃焼させ、且つ、備長炭の他部が炭素化合物を放出するほぼ黒色状態に燃焼させるように設定されたことを特徴とするエージング装置。
(13) 炭を熱源として間接加熱を行って冷凍食材又は冷凍食品を解凍する冷凍食材又は冷凍食品の解凍方法であって、
(a) 熱源を配置した密封容器内に直接加熱されないように解凍処理する食材又は冷凍食品を配置する食材の配置工程、
(b) 前記密封容器内の内部温度を60〜70℃に保持しながら20分間又はそれ放置して解凍処理する解凍工程、
を含むことを含むことを特徴とする冷凍食材又は冷凍食品の解凍方法。
上下に開口する金属製支持枠の一対の対壁に、所定数の金属製第一帯板を水平方向に所定間隔へだてて支持すると共に、該金属製第一帯板より所定高さ下位に、かつ、金属製第一帯板の列に対して千鳥状に金属製第二帯板を支持し、各金属製第一帯板の両側に備長炭を支持するためのリブを設け、ガス加熱による金属製第二帯板の輻射により金属製第一帯板を加熱し、該金属製第一帯板の輻射により、備長炭を着火するようにした炭火焼器であって、前記金属製第一帯板及び各金属製第二帯板が耐熱性金属から構成され、前記金属製第一帯板同士の間隔及び金属製第二帯板同士の間隔が、それぞれ隣接する金属製第一帯板間に対峙する前記備長炭の対峙部が燃焼する空気量に対応して決定され、さらに、前記金属製第一帯板上面から各リブの上端までの高さ及びリブを含めた金属製第一帯板の上面の面積が、着火時において、備長炭の隣接する金属製第一帯板間のみを赤熱燃焼させ、且つ、備長炭の他部が炭素化合物を放出するほぼ黒色状態に燃焼させるように設定されたことを特徴とするエージング装置。
(13) 炭を熱源として間接加熱を行って冷凍食材又は冷凍食品を解凍する冷凍食材又は冷凍食品の解凍方法であって、
(a) 熱源を配置した密封容器内に直接加熱されないように解凍処理する食材又は冷凍食品を配置する食材の配置工程、
(b) 前記密封容器内の内部温度を60〜70℃に保持しながら20分間又はそれ放置して解凍処理する解凍工程、
を含むことを含むことを特徴とする冷凍食材又は冷凍食品の解凍方法。
本発明によると、従来温度管理されたエージング庫内で長期間かけて行っていたエージングが非常に短期間で行うことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(エージング方法)
本発明のエージング方法は、炭を熱源として間接加熱を行って食材をエージングする食材のエージング方法であって、
(a) 熱源を配置したエージング容器内に直接加熱されないようにエージング処理する食材を配置する食材の配置工程、(b) 前記エージング容器内の内部温度を60〜70℃に保持しながら20分間又はそれ放置してエージングするエージング工程から主として構成されている。
(エージング方法)
本発明のエージング方法は、炭を熱源として間接加熱を行って食材をエージングする食材のエージング方法であって、
(a) 熱源を配置したエージング容器内に直接加熱されないようにエージング処理する食材を配置する食材の配置工程、(b) 前記エージング容器内の内部温度を60〜70℃に保持しながら20分間又はそれ放置してエージングするエージング工程から主として構成されている。
(対象)
本発明において、エージングの対象となる食材は、従来所定温度で所定期間保存することによって旨味成分が増加するものであれば特に限定されず、獣肉類(例えば、牛肉、豚肉、猪・・・)、鶏肉類(例えば、鶏、鴨、・・・)、各種魚類、甲殻類等の水産物、各種野菜、果物等の青果物が挙げられる。
特に、獣肉類、鶏肉類、魚類(以下、肉類)は、生食、加熱調理に関わらず本発明のエージング方法を好適に実施できる。
本発明において、エージングの対象となる食材は、従来所定温度で所定期間保存することによって旨味成分が増加するものであれば特に限定されず、獣肉類(例えば、牛肉、豚肉、猪・・・)、鶏肉類(例えば、鶏、鴨、・・・)、各種魚類、甲殻類等の水産物、各種野菜、果物等の青果物が挙げられる。
特に、獣肉類、鶏肉類、魚類(以下、肉類)は、生食、加熱調理に関わらず本発明のエージング方法を好適に実施できる。
すなわち、一般に屠殺直後の肉類というのは、死後硬直により、筋肉の鎖がしっかりと張っているために、とても硬く、その後、肉類に含まれる酵素等の作用により徐々にエージングが進行する。
これに対して、本発明のエージング方法では、炭を熱源とししてエージング容器(密閉容器)内で、容器内温度が60℃〜70℃となるようにして20分以上、好ましくは20分〜30分間配置するだけで、硬直による硬い肉が柔らかくなり、しかも旨味成分が十分に引き出されている。
どのような理由でこのような環境下で20分程度というきわめて短時間でエージングが進行するのかは不明であるが、恐らく炭から熱とともに放出する還元成分、ミネラル類等が肉類のタンパク質そのもの及びエージングを進行するための酵素に対して好影響を与えることによるものであると推測される。このことは、本発明者による繰り返しの実験の結果確認されたものである。
なお、本発明のエージング方法に用いる熱源としての炭、好ましくは備長炭による間接加熱、エージング容器については、後述するエージング容器の実施の形態において詳細に説明するので省略する。
さらに、本発明において、所望に応じて食材をエージング処理するのに先立って、前記食材を水1Lに対して、塩化カリウム10〜70g、醤油水1Lに対して300cc〜1000cc、黒砂糖、蜂蜜またはこれらの混合物から構成された糖分であって、水1Lに対して20〜60g及び有効量のpH調整成分を含むエージング用組成物に浸漬してもよい。
すなわち、使用する食材がポリ燐酸塩類で処理されている場合、具体的には魚肉練製品または食肉練製品の変色防止、変質防止、保水性、結着性の増大、香辛料、調味料の分散効果および浸透性の向上等に「ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、無水ピロリン酸ナトリウム(無水)、メタリン酸カリウムおよびピロリン酸カリウムの混合物が使用されている場合、本発明のエージング方法をそのまま適用しても十分に旨味を引き出すことができない場合がある。この場合、前記食材を水1Lに対して、塩化カリウム10〜70g、醤油水1Lに対して300cc〜1000cc、黒砂糖、蜂蜜またはこれらの混合物から構成された糖分であって、水1Lに対して20〜60g及び有効量のpH調整成分を含むエージング用組成物に浸漬することによってこのような食材を十分にエージングすることが可能となる。
本発明におけるエージング用組成物(以下、本発明の組成物と言う)は、下記の通りである。
(塩化カリウム)
本発明の組成物の第一成分として水1Lに対して10〜70gの塩化カリウム(KCl)を添加する。どのような理由が明らかではないが、恐らく前記量の塩化カリウムを添加することによって、この範囲での塩化カリウムの使用がリン酸塩によりミネラルバランスが変化した食材のミネラルバランスを改善する効果があるものと考えられる。
無機塩として、塩化カリウムを選択すると、他の食品に使用されている塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等では考えられない著しいリン酸塩の除去効果を実験的に見出した。また、水1Lに対する塩化カリウムの量を10〜70gと規定するのは、本発明者等の繰り返しの実験の結果選択した範囲である。
本発明の組成物の第一成分として水1Lに対して10〜70gの塩化カリウム(KCl)を添加する。どのような理由が明らかではないが、恐らく前記量の塩化カリウムを添加することによって、この範囲での塩化カリウムの使用がリン酸塩によりミネラルバランスが変化した食材のミネラルバランスを改善する効果があるものと考えられる。
無機塩として、塩化カリウムを選択すると、他の食品に使用されている塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等では考えられない著しいリン酸塩の除去効果を実験的に見出した。また、水1Lに対する塩化カリウムの量を10〜70gと規定するのは、本発明者等の繰り返しの実験の結果選択した範囲である。
なお、食材そのものに塩化ナトリウムが存在する場合、本発明の組成物中に塩化ナトリウムを含む場合、あるいは味付けにより塩化ナトリウムを添加する場合(例えば、食塩、醤油、味噌等として塩化ナトリウムが存在する場合)には、塩化カリウムの量は、塩化ナトリウム100gに対して30〜50gであることが好ましい。この量についても、本発明者により実験的に見出されたものである。
(レシチン)
本発明の組成物の第二成分として有効量のレシチンを添加する。本発明の組成物へのレシチンの添加は、リン酸塩の適用により変性した表面の改質が主たる目的である。レシチンの添加量については、処理しようとする食材の性質によって適宜選択されるが、本発明においては、醤油をレシチン源とした。醤油以外、味噌等の大豆発酵物、卵黄、レシチン粉末(大豆レシチン粉末、水添レシチン等)をレシチン源とすることも可能である。
本発明の組成物の第二成分として有効量のレシチンを添加する。本発明の組成物へのレシチンの添加は、リン酸塩の適用により変性した表面の改質が主たる目的である。レシチンの添加量については、処理しようとする食材の性質によって適宜選択されるが、本発明においては、醤油をレシチン源とした。醤油以外、味噌等の大豆発酵物、卵黄、レシチン粉末(大豆レシチン粉末、水添レシチン等)をレシチン源とすることも可能である。
(糖分)
本発明の第三成分として、糖分を水1L当たり、20〜60gを添加する。特に、蜂蜜、黒糖等の糖分源には、ミネラル分が豊富に含まれているいるのでこれらのミネラルの食材表面上への適用によって、リン酸塩処理によりミネラルバランスが崩れた食材のミネラルバランスを回復することができるので好ましい。なお、蜂蜜と黒糖を併用する場合には、これらの量は前記範囲内で適宜変更することが可能である。
本発明の第三成分として、糖分を水1L当たり、20〜60gを添加する。特に、蜂蜜、黒糖等の糖分源には、ミネラル分が豊富に含まれているいるのでこれらのミネラルの食材表面上への適用によって、リン酸塩処理によりミネラルバランスが崩れた食材のミネラルバランスを回復することができるので好ましい。なお、蜂蜜と黒糖を併用する場合には、これらの量は前記範囲内で適宜変更することが可能である。
(pH調整成分)
本発明の組成物における第四成分として有効量のpH調整成分を本発明の組成物に添加する。前記の通り、リン酸塩は、水溶液とした場合に弱アルカリ性を呈するので、本発明の組成物に使用される用語「有効量のpH調整成分」とは、処理しようとするリン酸塩が適用された食材のpHを部分的にあるいは完全に中和する量、好ましくは完全に中和する量を意味する。本発明の組成物における第四成分として使用可能なpH調整成分は、食用に使用可能な酸成分であれば特に限定されるものではなく、酢酸、乳酸、クエン酸等の酸類、特に入手の容易性から各種酢を使用することが好ましい。
本発明の組成物における第四成分として有効量のpH調整成分を本発明の組成物に添加する。前記の通り、リン酸塩は、水溶液とした場合に弱アルカリ性を呈するので、本発明の組成物に使用される用語「有効量のpH調整成分」とは、処理しようとするリン酸塩が適用された食材のpHを部分的にあるいは完全に中和する量、好ましくは完全に中和する量を意味する。本発明の組成物における第四成分として使用可能なpH調整成分は、食用に使用可能な酸成分であれば特に限定されるものではなく、酢酸、乳酸、クエン酸等の酸類、特に入手の容易性から各種酢を使用することが好ましい。
本発明の組成物を、水で1〜10%、好ましくは3〜8容量%に希釈して、処理用の希釈水溶液を調製する。このようにして調製された希釈水溶液中に、対象となる食材の種類、食材の形状、食材中に含まれているリン酸塩の濃度等に応じて定められた所定時間(例えば、数分)、常温で浸漬する。このように本発明の組成物の希釈液に燐酸塩で処理された食材を浸漬することによって、食材中に含まれるリン酸塩を除去することが可能となる。例えば、処理する食材が薄切りの肉である場合、浸漬時間は数秒から数分であり、一方、処理する食材がステーキ等の厚切りの肉である場合、浸漬時間は、10〜30分程度である。
(解凍方法)
また、本発明のエージング方法を冷凍食材、例えば冷凍された魚肉、冷凍された獣肉、冷凍野菜、冷凍厚焼き玉子等冷凍食品等に適用すると、解凍に伴って水分とともに旨味成分が流出することなく(又は旨味成分の流出を最小限に抑えて)冷凍食材又は冷凍食品を解凍できることが判った。
すなわち、本発明は、炭を熱源として間接加熱を行って冷凍食材又は冷凍食品を解凍する冷凍食材又は冷凍食品の解凍方法であって、(a)熱源を配置した密封容器内に直接加熱されないように解凍処理する食材又は冷凍食品を配置する食材の配置工程、(b)前記密封容器内の内部温度を60〜70℃に保持しながら20分間又はそれ以上放置して解凍処理する解凍工程を含む冷凍食材又は冷凍食品の解凍方法も本発明の範囲内である。
この場合、本発明の解凍方法を20分を越えて解凍終了まで行うことも可能であるが、約20分処理後、通常の解凍方法(常温放置、温置)により解凍を行っても同様の効果を奏する。
また、本発明のエージング方法を冷凍食材、例えば冷凍された魚肉、冷凍された獣肉、冷凍野菜、冷凍厚焼き玉子等冷凍食品等に適用すると、解凍に伴って水分とともに旨味成分が流出することなく(又は旨味成分の流出を最小限に抑えて)冷凍食材又は冷凍食品を解凍できることが判った。
すなわち、本発明は、炭を熱源として間接加熱を行って冷凍食材又は冷凍食品を解凍する冷凍食材又は冷凍食品の解凍方法であって、(a)熱源を配置した密封容器内に直接加熱されないように解凍処理する食材又は冷凍食品を配置する食材の配置工程、(b)前記密封容器内の内部温度を60〜70℃に保持しながら20分間又はそれ以上放置して解凍処理する解凍工程を含む冷凍食材又は冷凍食品の解凍方法も本発明の範囲内である。
この場合、本発明の解凍方法を20分を越えて解凍終了まで行うことも可能であるが、約20分処理後、通常の解凍方法(常温放置、温置)により解凍を行っても同様の効果を奏する。
本発明のエージング方法又は解凍方法に続いて常法に従って食材を調理して所定の食品を製造することも可能である。従って、本発明は、本発明のエージング方法又は解凍方法を含む食品の製造方法まで拡張される。
特に、スモーク類(スモークチキン、スモークサーモン、スモークビーフ、スモークポーク等)の製造においては、同一の装置において温度条件を最適化することによって連続的に製造できるので好ましい。しかしながら、本発明はこのような連続的な食品の製造に限定されるものではない。
特に、スモーク類(スモークチキン、スモークサーモン、スモークビーフ、スモークポーク等)の製造においては、同一の装置において温度条件を最適化することによって連続的に製造できるので好ましい。しかしながら、本発明はこのような連続的な食品の製造に限定されるものではない。
(エージング装置)
本発明のエージング装置(以下、単に装置と言う)は、エージングする食材を配置する密閉容器(エージング容器)と食材を所定の方法で間接するための熱源とから主として構成されている。
以下、本発明のエージング装置の実施の形態を説明する。
本発明のエージング装置(以下、単に装置と言う)は、エージングする食材を配置する密閉容器(エージング容器)と食材を所定の方法で間接するための熱源とから主として構成されている。
以下、本発明のエージング装置の実施の形態を説明する。
(第一実施形態)
この装置は、本願出願人が先に出願した特開2002−272390号公報に記載の装置を本発明に応用したものであり、炭(備長炭)と食材とを互いに離間させて配置した後、前記エージング容器を密封した状態で前記エージング容器を(備長)炭から有機化合物が放出される温度に所定時間加熱作動して(備長)炭から放出される有機化合物により食材の過酸化物を還元するようにしてエージングを行う装置である。
図1に示すとおり、装置1の内壁1a,1bに備長炭C,Cを支持するとともに、装置1内に食材を入れ装置1を密閉した状態で備長炭C,Cを所定時間、有機化合物の放出温度に加熱し、装置1内に充満させた有機化合物により食材中の過酸化物を還元する。
装置1の内壁1a,1b,1c,1dは耐熱性及び耐食性のためステンレス金属等の耐熱性、耐食性金属で形成されており、内壁1a,1b,1c,1dの表面は輻射熱を全体に反射させるための鏡面となっている。
この装置は、本願出願人が先に出願した特開2002−272390号公報に記載の装置を本発明に応用したものであり、炭(備長炭)と食材とを互いに離間させて配置した後、前記エージング容器を密封した状態で前記エージング容器を(備長)炭から有機化合物が放出される温度に所定時間加熱作動して(備長)炭から放出される有機化合物により食材の過酸化物を還元するようにしてエージングを行う装置である。
図1に示すとおり、装置1の内壁1a,1bに備長炭C,Cを支持するとともに、装置1内に食材を入れ装置1を密閉した状態で備長炭C,Cを所定時間、有機化合物の放出温度に加熱し、装置1内に充満させた有機化合物により食材中の過酸化物を還元する。
装置1の内壁1a,1b,1c,1dは耐熱性及び耐食性のためステンレス金属等の耐熱性、耐食性金属で形成されており、内壁1a,1b,1c,1dの表面は輻射熱を全体に反射させるための鏡面となっている。
装置1内の高さ方向略中位には食材を載置するための棚8が設置され、装置1内の上部中央に食材を上方から加熱すべく本ヒータ9が配置され、装置1内の下方に食材を下方から加熱すべく出入口2の手前側と奥側とに本ヒータ10,10が配置される。また、装置1の左右の内壁1a,1bには棚8よりも上位に網籠状の支持部12,12が支持され、各支持部12の支持面に備長炭C,Cが載置される。各支持部12,12は少なくとも内壁1a,1bとの接触部が断熱材15で構成されていて、内壁1a,1bに対する熱伝達を防止する。支持部12,12の側方には備長炭Cを輻射熱により加熱すべく炭加熱ヒータとして予熱ヒータ13,13が近接させて並設され、前記本ヒータ10,10間には食材から垂れた油等を貯留すべく受け皿14が設置される。
装置1の下部にはヒータ18を内蔵した蒸気生成部19が形成されており、蒸気生成部19に水供給通路20と蒸気供給通路21とが連通される。
蒸気供給通路21は下部の内壁1dに開口し、前記水供給通路20は装置1の上部に設置された水タンク7と連通しており、水供給通路20には開閉弁として電磁弁22が設置される。
また、装置1の内壁1aには装置1内の温度を検出すべく赤外線センサ等の熱センサ17が取り付けられる。なお、本ヒータ9,10,10は断熱材より成る支持部材Sにより上部の内壁1c、下部の内壁1dに支持され、予熱ヒータ13,13も同様に断熱材により内壁1cに支持される。また、前記棚8は耐熱性及び耐食性の金属線材、例えばステンレス線材で網又は格子状に形成される。
予熱ヒータ13,13の作動時間は備長炭C,Cから一定量の有機化合物(炭素化合物を含んだ有機化合物)が放出されるまでとする。なお、備長炭C,Cは取り扱いやすさ及び消耗までの時間を考慮して約100g程度のものを用いるとよいが、中には爆ぜが発生するものがある。よって、予め、加熱して見て爆ぜの生じないものを用いる。
予熱ヒータ13,13から輻射された波長の長い赤外線が備長炭C,Cに照射されると、備長炭C,Cから放出された有機化合物がオーブン1に充満され、食材は炭素化合物を含む有機化合物によって全面が覆われる。このため、炭素化合物の上昇流中に食材を配置して食材を焼き上げる従来の調理器と比較すると有機化合物の消費量が減少し、備長炭C,Cの消費量が減少する。
前記予熱ヒータ13,13の加熱により食材表面の過酸化物の還元を終了し、本発明のエージングが終了すると、次に、本ヒータ9,10,10を加熱作動し、食材の焼き上げ(加工)を開始する。本ヒータ9,10,10から照射された輻射熱は直接、又は内壁1a,1b,1c,1dの反射によって食材を加熱し、同時に、備長炭C,Cを加熱する。備長炭C,Cは予熱ヒータ13,13によって既に有機化合物の放出温度に加熱されているので有機化合物の放出は継続される。このため、食材の中から出てくる過酸化脂質などの過酸化物及び加熱によって生じた過酸化物までが還元される。また、備長炭C,Cは、内壁1a,1b,1c,1dによって反射された輻射熱を吸収して遠赤外線を放出するので食材は内部から加熱されることになる。よって食材は嫌な臭いなく且つ美味しく調理される。食材から垂れた油は下方の受け皿14に直接溜まるので、本ヒータ10,10との直接接触による煙の発生は生じない。
また、制御装置には温度変化率の制御のほか、装置1内の最大温度を制御するように構成してもよい。すなわち、熱センサ17の検出値を演算して装置1内の実際の温度と温度上昇率とを検知し、装置1の温度が300℃を超えようとするとき、又は超える虞があるときは、本ヒータ9,10,10の抵抗値を小さく制御する。このようにすると装置1内の温度が備長炭C,Cに燃焼が生じない300℃に保持されるので、信頼性が向上する。
また、備長炭C,Cの温度を監視すべく第1赤外線センサ26,26を設け、第1赤外線センサ26,26の検出値に対応して装置1内の温度が300℃以内となるよう本ヒータ9,10,10の抵抗値を制御してもよい。斯かる構成とすれば、備長炭C,Cの温度が直接検出されるので、備長炭C,Cの着火及び燃焼を防止でき、安全性を向上することができる。そのため、安定して本発明のエージング処理を行うことが可能である。さらに、食材の温度を検出すべく第2赤外線センサ27,27を設け、第2赤外線センサ27,27の検出値に基づいて食材表面の焼き上げ状態を検知して本ヒータ9,10,10の抵抗値を制御してもよい。斯かる構成とすれば、食材温度を常に監視してエージング処理を行うことが可能であるとともに、後処理(食材の加工)の際に、例えば焼き魚を製造する場合に表面に焦げが少ないとき、本ヒータ9,10,10の抵抗値を上げて焼き魚の表面に焦げを作ることができる。
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態は、本願出願人が先に出願した特開2001−280642号公報に記載の装置を本発明に応用したものであり、前記エージング容器を、備長炭と、前期備長炭を炭素化合物の放出温度以上で且つ燃焼未満の温度に加熱して炭素化合物を放出させる加熱手段とを備え、炭素化合物の還元作用により臭気を消臭しその他酸化物を還元するように構成したエージング装置1である。
本発明の第二実施形態は、本願出願人が先に出願した特開2001−280642号公報に記載の装置を本発明に応用したものであり、前記エージング容器を、備長炭と、前期備長炭を炭素化合物の放出温度以上で且つ燃焼未満の温度に加熱して炭素化合物を放出させる加熱手段とを備え、炭素化合物の還元作用により臭気を消臭しその他酸化物を還元するように構成したエージング装置1である。
炭素化合物は、400℃強で放出され、赤熱燃焼が開始される温度では放出されない。また、常温から赤熱した燃焼が生じる手前までの温度(400℃)の範囲内では、単位時間当たりの放出量は、温度の上昇に比例して増大する。このため、加熱能力の高い電熱器104を用い、炭素化合物の単位時間あたりの放出量を増大することによって還元スピードを改善することが想定されるが、好ましくは、他の手段の補助により、低温側に設定し、エネルギー消費量を減少させ、安全性の向上を図るのが望ましい。
そこで、本実施の形態では、コイルと、交番電流を供給する電源とから成る振動手段106を設置し、この振動手段6による電界の磁気的振動を加えて備長炭105の放出を補助することによって、前記電熱器4の低温側への温度設定を可能としている。
そして、前記電熱器104または容器1内の上部または備長炭105上に、温度センサ(図示せず)を載置し、温度センサとコントローラ(図示せず)により、備長炭105の温度を目標温度、すなわち、炭素化合物の放出温度に保持している。なお、この場合、目標温度は、電磁振動手段106の有無に対応して設定される。
このように構成しても第一実施形態と同様の効果を奏する。
このように構成しても第一実施形態と同様の効果を奏する。
(第三実施形態)
この装置は、本願出願人が先に出願した特開2002−272390号公報に記載の装置を熱源として本発明に応用したものである。図3において、(a)はガスレンジに対する炭火焼器101の設置状態を示し、(b)はガス火による加熱状態を示す。
この装置は、本願出願人が先に出願した特開2002−272390号公報に記載の装置を熱源として本発明に応用したものである。図3において、(a)はガスレンジに対する炭火焼器101の設置状態を示し、(b)はガス火による加熱状態を示す。
図3(a)に示すように、ガスレンジGに炭火焼器201を設置し、ガス火により下段の焼皿としての金属製第二帯板6を加熱する。加熱により温度が約400°C付近となると、金属製第二帯板206の輻射が開始される。金属製第二帯板206の輻射熱によって、金属製第一帯板205が加熱され、輻射温度を超えると、これより備長炭207,207,…へ向けて遠赤外線が輻射される。
そして、約20分弱の時間で、備長炭207,207,…が中心部から加熱され、備長炭207,207,…全体が上述した設定温度(400〜600℃)となる。このとき、隣接する金属製第一帯板205,205間と対面する備長炭207,207,…の安定燃焼部7aは、常に、新鮮な空気に接触していて赤熱し、備長炭207,207,…の他部は、赤熱せずに、ほぼ黒食の状態(暗がりでわずかな赤光が視認される状態)で燃焼して、炭素化合物を放出する。
この状態となったとき、着火を完了として、ガス火を止める。
着火後、自燃時は、図4(a)に示すように、各備長炭7の安定燃焼部207aが自燃して、備長炭207全体の温度を昇温しようとするが、各備長炭207は、金属製第一帯板を介して金属製の支持枠と接しており、また、支持枠は、金属製第二帯板と接触している。このため、リブ及び金属製第一帯板より外気に直接、伝達される放熱量と、支持枠及び金属製第二帯板を介して外気に伝達される放熱量により、各備長炭7の安定燃焼部207aは燃焼を保持していても、他部へと拡張されることはない。
この後、時間の経過とともに、赤熱した安定燃焼部7aが消耗し、図4(b)に示すように、備長炭107の安定燃焼部107a,107a間が金属製第一帯板のリブの上面ならびに金属製第一帯板の上面に接地されると、放熱量はピークに達し、備長炭107,107,…の火力は約400℃強に安定する。
上述したように、この400°C強の温度は、備長炭107から食材に対して適度な熱線を照射する温度であり、また、炭素化合物、たとえば、HC,COを放出する温度であり、しかも、離間配置された食材をエージングする温度である。
このような備長炭を熱源として、容器内の温度が60℃〜70℃になるように設定して、本発明のエージング方法を実施することが可能である。
すなわち、図3及び図4に示す備長炭から構成された熱源から食材を所定距離離間して配置することによって本発明のエージング方法を好適に実施することが可能となる。
すなわち、図3及び図4に示す備長炭から構成された熱源から食材を所定距離離間して配置することによって本発明のエージング方法を好適に実施することが可能となる。
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳しく説明する。
(実施例1)
食材としてA:牛肉((約2kg)、B:豚肉(約2kg)、C:鶏肉(約1kg)を第一から第三実施形態に記載の装置を、従来のスモーク装置に配置に熱源から60cm上に配置して装置内温度を約70℃に保ちながら20分間放置した。
これらの肉類を加熱調理して未処理の肉類と比較して、100人対して、1:柔らかくなった(○)、変わらない(△)、固くなった(×)、2:旨味が増加した(○)、変わらない(△)、旨味が減少した(×)の三点評価を行った所、1、2とも全員が○の評価を行った。
このことより、本発明のエージング方法により肉質を柔らかくしなおかつ肉の旨味を引き出すというエージング効果を非常に短期間で行うことができることが判る。
(実施例1)
食材としてA:牛肉((約2kg)、B:豚肉(約2kg)、C:鶏肉(約1kg)を第一から第三実施形態に記載の装置を、従来のスモーク装置に配置に熱源から60cm上に配置して装置内温度を約70℃に保ちながら20分間放置した。
これらの肉類を加熱調理して未処理の肉類と比較して、100人対して、1:柔らかくなった(○)、変わらない(△)、固くなった(×)、2:旨味が増加した(○)、変わらない(△)、旨味が減少した(×)の三点評価を行った所、1、2とも全員が○の評価を行った。
このことより、本発明のエージング方法により肉質を柔らかくしなおかつ肉の旨味を引き出すというエージング効果を非常に短期間で行うことができることが判る。
(実施例2)
水1Lに対して、塩化カリウム30g、醤油水500cc、及び黒砂糖蜂蜜同量の混合物30g、少量の酢から構成された組成物水溶液に10分浸漬した肉類を使用した以外実施例と同様の実験を行った。その結果、実施例1と同様の結果が得られた。実施例2において、100人のパネラー全員が実施例1のものよりもさらに旨味が増加したと評価した。
水1Lに対して、塩化カリウム30g、醤油水500cc、及び黒砂糖蜂蜜同量の混合物30g、少量の酢から構成された組成物水溶液に10分浸漬した肉類を使用した以外実施例と同様の実験を行った。その結果、実施例1と同様の結果が得られた。実施例2において、100人のパネラー全員が実施例1のものよりもさらに旨味が増加したと評価した。
(実施例3)
食材として冷凍マグロ(冊状:約1kg)を実施例1と同様に処理を行った。この冷凍マグロを20分間処理後、常温で放置して流出物の状況を調べた。その結果、通常の常温放置で見られるような赤色の流出物の流出が殆ど見られなかった。
さらに、常温で放置して解凍した比較用の冷凍マグロと比較して、100人対して、旨味が増加した(○)、変わらない(△)、旨味が減少した(×)の三点評価を行った所、全員が○の評価を行った。
このことから、本発明のエージング方法は、エージングと同時に食材組織を破壊せず冷凍食品の解凍を行うことができることが判る。
食材として冷凍マグロ(冊状:約1kg)を実施例1と同様に処理を行った。この冷凍マグロを20分間処理後、常温で放置して流出物の状況を調べた。その結果、通常の常温放置で見られるような赤色の流出物の流出が殆ど見られなかった。
さらに、常温で放置して解凍した比較用の冷凍マグロと比較して、100人対して、旨味が増加した(○)、変わらない(△)、旨味が減少した(×)の三点評価を行った所、全員が○の評価を行った。
このことから、本発明のエージング方法は、エージングと同時に食材組織を破壊せず冷凍食品の解凍を行うことができることが判る。
C、105、207 備長炭
1 装置
9、10 本ヒータ
1 装置
9、10 本ヒータ
Claims (13)
- 炭を熱源として間接加熱を行って食材をエージングする食材のエージング方法であって、
(a) 熱源を配置したエージング容器内に直接加熱されないようにエージング処理する食材を配置する食材の配置工程、
(b) 前記エージング容器内の内部温度を60〜70℃に保持しながら20分間又はそれ以上放置してエージングするエージング工程
を含むことを含むことを特徴とする食材のエージング方法。 - 工程(a)に先立って、前記食材を水1Lに対して、塩化カリウム10〜70g、醤油水1Lに対して300cc〜1000cc、黒砂糖、蜂蜜またはこれらの混合物から構成された糖分であって、水1Lに対して20〜60g及び有効量のpH調整成分を含むするエージング用組成物に浸漬する予備処理工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の食材のエージング方法。
- 前記食材が冷凍食材であって、解凍とエージングとを同時に行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食材のエージング方法。
- 工程(b)に続いて緩慢解凍、急速解凍を実施することを特徴とする請求項3に記載の食材のエージング方法。
- 前記エージング容器に備長炭と食材とを互いに離間させて配置した後、前記エージング容器を密封した状態で前記エージング容器を備長炭から有機化合物が放出される温度に所定時間加熱作動して備長炭から放出される有機化合物により食材の過酸化物を還元するようにしてエージングを行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の食材のエージング方法。
- 前記エージング容器を、
備長炭と、前期備長炭を炭素化合物の放出温度以上で且つ燃焼未満の温度に加熱して炭素化合物を放出させる加熱手段とを備え、炭素化合物の還元作用により臭気を消臭しその他酸化物を還元するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の食材のエージング方法。 - 前記エージング容器が上下に開口する金属製支持枠の一対の対壁に、所定数の金属製第一帯板を水平方向に所定間隔へだてて支持すると共に、該金属製第一帯板より所定高さ下位に、かつ、金属製第一帯板の列に対して千鳥状に金属製第二帯板を支持し、各金属製第一帯板の両側に備長炭を支持するためのリブを設け、ガス加熱による金属製第二帯板の輻射により金属製第一帯板を加熱し、該金属製第一帯板の輻射により、備長炭を着火するようにした炭火焼器であって、前記金属製第一帯板及び各金属製第二帯板が耐熱性金属から構成され、前記金属製第一帯板同士の間隔及び金属製第二帯板同士の間隔が、それぞれ隣接する金属製第一帯板間に対峙する前記備長炭の対峙部が燃焼する空気量に対応して決定され、さらに、前記金属製第一帯板上面から各リブの上端までの高さ及びリブを含めた金属製第一帯板の上面の面積が、着火時において、備長炭の隣接する金属製第一帯板間のみを赤熱燃焼させ、且つ、備長炭の他部が炭素化合物を放出するほぼ黒色状態に燃焼させるように設定されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の食材のエージング方法。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の食材のエージング方法により食材をエージングし、
エージングした食材をさらに加工して食品とすることを特徴とする食品の製造方法。 - 前記食品がスモーク製品であり、エージングに引き続いて前記エージング容器内でエージングした食材をスモークすることを特徴とする請求項8に記載の食品の製造方法。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の食材のエージング方法を実施するエージング装置であって、エージング容器と、前記容器の内壁に備長炭を支持する支持部を設けるとともに、前記エージング容器の本ヒータとは別に前記支持部に支持された備長炭を有機化合物の放出温度に加熱する炭加熱ヒータを設けたことを特徴とするエージング装置。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の食材のエージング方法を実施するエージング装置であって、エージング容器と、前記エージング容器内に備長炭と、該備長炭を炭素化合物の放出温度以上で且つ燃焼未満の温度に加熱して炭素化合物を放出させる加熱手段とを備え、炭素化合物の還元作用により臭気を消臭しその他酸化物を還元するように構成したことを特徴とするエージング装置。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の食材のエージング方法を実施するエージング装置であって、
上下に開口する金属製支持枠の一対の対壁に、所定数の金属製第一帯板を水平方向に所定間隔へだてて支持すると共に、該金属製第一帯板より所定高さ下位に、かつ、金属製第一帯板の列に対して千鳥状に金属製第二帯板を支持し、各金属製第一帯板の両側に備長炭を支持するためのリブを設け、ガス加熱による金属製第二帯板の輻射により金属製第一帯板を加熱し、該金属製第一帯板の輻射により、備長炭を着火するようにした炭火焼器であって、前記金属製第一帯板及び各金属製第二帯板が耐熱性金属から構成され、前記金属製第一帯板同士の間隔及び金属製第二帯板同士の間隔が、それぞれ隣接する金属製第一帯板間に対峙する前記備長炭の対峙部が燃焼する空気量に対応して決定され、さらに、前記金属製第一帯板上面から各リブの上端までの高さ及びリブを含めた金属製第一帯板の上面の面積が、着火時において、備長炭の隣接する金属製第一帯板間のみを赤熱燃焼させ、且つ、備長炭の他部が炭素化合物を放出するほぼ黒色状態に燃焼させるように設定されたことを特徴とするエージング装置。 - 炭を熱源として間接加熱を行って冷凍食材又は冷凍食品を解凍する冷凍食材又は冷凍食品の解凍方法であって、
(a) 熱源を配置した密封容器内に直接加熱されないように解凍処理する食材又は冷凍食品を配置する食材の配置工程、
(b) 前記密封容器内の内部温度を60〜70℃に保持しながら20分間又はそれ放置して解凍処理する解凍工程
を含むことを含むことを特徴とする冷凍食材又は冷凍食品の解凍方法。
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JPWO2018198867A1 (ja) * | 2017-04-28 | 2020-03-12 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 煙発生装置および容器 |
-
2005
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JP7223926B2 (ja) | 2017-04-28 | 2023-02-17 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 煙発生装置および容器 |
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