JP2006245094A - 薄膜圧電体素子の製造方法および薄膜圧電体素子の転写方法 - Google Patents

薄膜圧電体素子の製造方法および薄膜圧電体素子の転写方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い圧電性と信頼性を有し、かつ安価な薄膜圧電体素子の製造方法および転写方法を提供する。
【解決手段】透光性を有する成膜用基板1の一方の面上に、犠牲層薄膜2、第1金属薄膜3、圧電体薄膜4および第2金属薄膜5を有する積層膜を形成する工程と、この積層膜を加工して、犠牲層薄膜2上に第1金属薄膜3、圧電体薄膜4および第2金属薄膜5からなる圧電体素子パターンを形成する工程と、圧電体素子パターンを包含する照射面積を有するレーザー光を成膜用基板1の他方の面側から犠牲層薄膜2へ照射し、犠牲層薄膜2の部位で剥離反応を発生させて圧電体素子パターンを成膜用基板1の上から剥離させる工程とを有する方法からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜圧電体素子の製造方法および薄膜圧電体素子の転写方法に関する。
近年、各種電子機器の小型化、薄型化に伴い、それに用いられる電子部品の小型化、薄型化への要求が高まっている。その要請に応える手段として、従来セラミック焼結体で作製されていた電子部品を薄膜電子部品に置換する提案がなされている。
圧電体アクチュエータ部品もその1つであり、体積が大きくなる焼結体で作製する圧電体素子の代わりに、薄膜方式で作製された薄膜圧電体素子を利用することが考えられている。一例を挙げれば、ハードディスクの磁気ヘッドの微細位置制御のために、薄膜圧電体素子を用いる提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
薄膜圧電体素子を用いる圧電体アクチュエータにより、部品の占める体積が減少し、その結果機器の小型化を実現できるという直接的な効果ばかりでなく、アクチュエータとしての重量が軽くなることにより、位置制御時における共振周波数が高まり、より高い周波数での制御が可能となるという利点も有している。
薄膜圧電体素子の製造においては、素子を構成する薄膜を成膜するための成膜用基板を最終的には除去する工程が必要となることがある。その手段としては、成膜用基板をエッチングにより除去する手法が一般的である(例えば、特許文献2参照)。
成膜用基板を除去することにより、除去した領域については圧電体の伸縮を妨げるものが減るため、圧電性をより一層効率的に利用することが可能となることによる。しかしながら、成膜用基板をエッチング除去すると、当然、その基板を再度利用することは不可能である。圧電体薄膜として必要な膜質を得るために高価な成膜用基板を使用せざるを得ない場合が多く、かつ製造ごとに新しい成膜用基板を必要とする。このため、作製される薄膜圧電体素子は成膜用基板のコストを含む結果、高価なものとなる。
成膜用基板をエッチング等により除去せずに、成膜用基板と薄膜とを分離する技術として、分離したい薄膜形状と同一の断面形状を有するレーザー光を照射する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
図23および図24を用いて、この方法について説明する。図23において、透光性を有する成膜用基板1上に有機物質からなる犠牲層薄膜2と被転写層14がこの順に形成されており、成膜用基板1の裏面からレーザー光7を照射する。すると、犠牲層薄膜2がレーザー光7を吸収して高圧状態となる。その結果、図24に示すように、レーザー光7が照射された領域では被転写層14が射出され、あらかじめ近傍に配置しておいた転写用基板12との衝突の衝撃により接合されて転写される。このようにして、被転写層14のうち必要な部分だけを転写用基板12に転写することが可能となる。
また、薄膜圧電体素子を対象としたレーザー剥離技術も提案されている(例えば、特許文献4参照)。図25を用いて、この方法について説明する。
まず、透光性を有する成膜用基板1の上に、犠牲層薄膜2、第1金属薄膜3、圧電体薄膜4および振動板16を形成する。続いて、樹脂6により振動板16を転写用基板12に固定する。この状態で透光性を有する成膜用基板1の裏面からレーザー光7を照射することにより、犠牲層薄膜2の面において剥離反応を生じさせる。これにより、透光性を有する成膜用基板1と犠牲層薄膜2の上に形成されている第1金属薄膜3、圧電体薄膜4および振動板16とを分離する。
なお、このような薄膜を剥離させるためのレーザー光7の照射方法としては、照射領域をずらしながら、重複領域を設けつつ複数回照射していく方法が知られている(例えば、特許文献5参照)。
図26および図27を用いて、この方法について説明する。図26は、成膜用基板1の面に圧電体素子パターン10が形成されている状態を示す上面図である。この圧電体素子パターン10に対して、破線で囲われた面積を有するレーザー光7が照射される。すると、図27で示されるように、圧電体素子パターン10の一部15で剥離が発生する。続いて、位置をずらして再度レーザー光7を照射する。この照射を複数回繰り返すことにより、圧電体素子パターン10の全体がレーザー光7の照射を受けて剥離する。
特開2002−279742号公報 特開2002−134807号公報 米国特許第4987006号明細書 特開2003−17780号公報 特開平10−125929号公報(実施例1参照)
特許文献2に記載されているようなエッチングによる成膜用基板の除去技術を用いると、成膜用基板の再利用ができないため材料コストが増大するという課題がある。
また、特許文献3等のように、成膜用基板をエッチング除去せずにレーザー光を用いて剥離させる場合についても、下記に示す課題がある。
例えば、特許文献3の方法のように、被転写層を転写したい形状に選択的にレーザー光を照射し、射出された被転写層が転写用基板に衝撃で接合して転写する方法では、レーザー光が照射される部分と照射されない部分の境界で圧電体薄膜が断裂されるため、この際にクラックが生じる。また、断裂や、衝突を十分に行うためには強いエネルギー密度のレーザー光が必要であるが、これは圧電体薄膜の変質を引き起こす。特に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)に代表される鉛系の圧電体薄膜では、鉛(Pb)成分の蒸発が発生して圧電特性が低下することが生じやすい。
さらに、例えば特許文献4の方法のように、成膜用基板から転写用基板に薄膜圧電体素子を転写させる方法では、成膜用基板と転写用基板の2つの基板に挟まれた領域における転写のためには、高エネルギー密度のレーザー光が必要である。これは、2つの基板に挟まれた領域では、犠牲層薄膜部分がレーザー光を吸収しても膨張が妨げられるためであると推測される。よって、全体を剥離させるためには高いエネルギー密度のレーザー光の照射が必要であり、このために圧電体薄膜の変質が生じやすい。さらに、2つの基板に挟まれた領域とそうでない領域とが混在する場合には、2つの領域の境界部分にクラックが発生しやすい。これは、2つの領域で剥離のしやすさが異なるため、剥離するタイミングに差異が生じ、これにより圧電体薄膜を断裂させる力が加わるものと推測される。
また、例えば特許文献5の方法のように、レーザー光照射にあたって、重複照射領域を設けながら、レーザー光の照射を繰り返すことによりパターン全体の照射を行う方法では、重複して照射される部分の圧電性の変質や、入射させるレーザー光のビーム形状の境界部分でのクラックが生じやすい。これは、重複照射による圧電体へのダメージの累積や、パターン中で剥離した部分と未剥離の部分が混在することになるため、その境界部分に力が集中し、断裂が生じやすいことによるものと推測される。
本発明は、これら従来の課題を解決するもので、高圧電性を有し、信頼性の高い薄膜圧電体素子を、安価に製造することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、透光性を有する成膜用基板の一方の面上に、犠牲層薄膜、第1金属薄膜、圧電体薄膜および第2金属薄膜を有する積層膜を形成する工程と、この積層膜を加工して、犠牲層薄膜上に第1金属薄膜、圧電体薄膜および第2金属薄膜からなる圧電体素子パターンを形成する工程と、圧電体素子パターンを包含する照射面積を有するレーザー光を成膜用基板の他方の面側から犠牲層薄膜へ照射し、犠牲層薄膜の部位で剥離反応を発生させて圧電体素子パターンを成膜用基板の上から剥離させる工程とを有する方法からなる。
このような方法とすることにより、レーザー光の照射面積を加工対象となる圧電体素子パターンが完全に包含される大きさとして照射するので、圧電体薄膜は全面が均一なレーザー光照射を受けるため、亀裂が生じない。このため、信頼性のよい薄膜圧電体素子を製造することができる。
また、本発明の薄膜圧電体素子の製造方法は、透光性を有する成膜用基板の一方の面上に、犠牲層薄膜、第1金属薄膜、圧電体薄膜および第2金属薄膜を有する積層膜を形成する工程と、この積層膜を加工して、犠牲層薄膜上に第1金属薄膜、圧電体薄膜および第2金属薄膜からなる圧電体素子パターンを形成する工程と、圧電体素子パターンを包含する照射面積を有するレーザー光を成膜用基板の他方の面側から犠牲層薄膜へ照射し、犠牲層薄膜の部位で剥離反応を発生させて圧電体素子パターンを成膜用基板の上から剥離させるときに、剥離面の温度が高温の状態で、かつ圧電体素子パターンの全面が基板の拘束を受けない状態にして圧電体素子パターンを成膜用基板から剥離する工程とを有する方法からなる。
この方法により、レーザー照射の直後においては、圧電体薄膜のどの部位も、成膜用基板だけでなく、それ以外の基板の拘束をも受けない状態として剥離させることができるので、低いエネルギー密度のレーザー光によって圧電体素子パターンの全体を同時に確実に剥離できる。このため、圧電体薄膜が変質して圧電性が劣化したり、クラックが生じて信頼性が低下したりすることを防止することができる。
さらに、上記方法において、レーザー光の照射は1ショットのみであってもよい。このように、1つの圧電体素子パターンに対しては、1ショットのみのレーザー光の照射で剥離をさせることにより、圧電体薄膜はレーザー光の重複照射を受けないので、変質あるいは亀裂が入ることを防ぐことができる。
上記方法において、犠牲層薄膜が無機物質により形成されていてもよい。さらに、第2金属薄膜が、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)および銀(Ag)の各元素から選択された少なくとも1種をその成分として含有してもよい。また、圧電体薄膜の結晶が分極軸方向に優先配向していることが望ましい。この場合に、圧電体薄膜がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする正方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有し、(001)配向していてもよい。さらに、成膜用基板は結晶面が(001)である単結晶マグネシア(MgO)基板であることが望ましい。
また、第1金属薄膜が、(001)に結晶配向した白金(Pt)であってもよい。さらに、圧電体薄膜の厚みが1μmより大きく10μm未満であり、第1金属薄膜および第2金属薄膜の厚みが10nmより大きく500nm未満であることが望ましい。
また、上記方法において、積層膜を加工して圧電体素子パターンを形成するときに、圧電体素子パターンの外周領域は成膜用基板が露出した状態としてもよい。あるいは、積層膜を加工して圧電体素子パターンを形成するときに、圧電体素子パターンの外周領域は犠牲層薄膜が露出した状態としてもよい。
さらに、上記方法において、薄膜圧電体素子がアクチュエータであってもよい。あるいは、薄膜圧電体素子が振動センサーであってもよい。
また、本発明の薄膜圧電体素子の転写方法は、透光性を有する成膜用基板の一方の面上に犠牲層薄膜、第1金属薄膜、圧電体薄膜および第2金属薄膜を有する積層膜を形成する工程と、この積層膜を加工して犠牲層薄膜上に第1金属薄膜、圧電体薄膜および第2金属薄膜からなる圧電体素子パターンを形成する工程と、圧電体素子パターンが形成された面を転写用基板の面とギャップを有した状態で対向させる工程と、圧電体素子パターンを包含する照射面積を有するレーザー光を成膜用基板の他方の面側から照射して犠牲層薄膜の部位で剥離反応を発生させて圧電体素子パターンを成膜用基板の上から剥離させ、圧電体素子パターンの全面が成膜用基板に拘束されない状態とした後、剥離反応によるエネルギーにより圧電体素子パターンが転写基板と衝突し接合される転写工程とを有する方法からなる。
また、本発明の薄膜圧電体素子の転写方法は、透光性を有する成膜用基板の一方の面上に犠牲層薄膜、第1金属薄膜、圧電体薄膜および第2金属薄膜を有する積層膜を形成する工程と、この積層膜を加工して犠牲層薄膜上に第1金属薄膜、圧電体薄膜および第2金属薄膜からなる圧電体素子パターンを形成する工程と、圧電体素子パターンが形成された面を転写用基板の面と密着させ、圧電体素子パターンを包含する照射面積を有するレーザー光を成膜用基板の他方の面側から犠牲層薄膜へ照射し、犠牲層薄膜の部位で剥離反応を発生させるとともに、圧電体素子パターンを成膜用基板から転写基板へ転写する転写工程を有する方法からなる。
さらにこの場合に、レーザー光の照射が1ショットであってもよい。また、レーザー光の照射の前に圧電体素子パターンの第2金属薄膜面上に接着剤を塗布しておいてもよい。接着剤を塗布しておくことにより、より確実に転写することができる。この場合に、接着剤が導電性を有してもよい。このような導電性を有する材料を用いれば、転写後の薄膜圧電体素子と転写基板の電極とを容易に接続することができる。
さらに、転写用基板の圧電体素子パターンに接する側の面の少なくとも一部が導電性を有し、圧電体素子パターンが転写されたときに第2金属薄膜と電気的に接続するようにしてもよい。このようにすることにより、転写後の薄膜圧電体素子と転写基板の電極とを容易に接続することができる。
また、上記方法において、圧電体薄膜の結晶が分極軸方向に優先配向していることが望ましい。これにより、薄膜圧電体素子をアクチュエータとして用いる場合により大きな変位を得ることができる。
さらに、圧電体薄膜がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする正方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有し、(001)配向していることが望ましい。また、成膜用基板は、結晶面が(001)である単結晶マグネシア(MgO)基板であってもよい。また、第1金属薄膜が(001)に結晶配向した白金(Pt)であることが望ましい。さらに、第2金属薄膜が白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)および銀(Ag)の各元素から選択された少なくとも1種をその成分として含有することが望ましい。これにより、より大きな変位を有する薄膜圧電体素子を容易に実現できる。
また、上記方法において、圧電体薄膜の厚さが1μmより大きく10μm未満であり、第1金属薄膜および第2金属薄膜の厚みが10nmより大きく500nm未満であることが望ましい。これにより、薄膜圧電体素子の特性が良好で、かつ製造工程の簡易化が可能となる。
また、上記方法において、積層膜を加工して圧電体素子パターンを形成するときに、圧電体素子パターンの外周領域は成膜用基板が露出した状態とするようにしてもよい。あるいは、積層膜を加工して圧電体素子パターンを形成するときに、圧電体素子パターンの外周領域は犠牲層薄膜が露出した状態としてもよい。これにより、レーザー光を照射して剥離するときに、圧電体素子パターンに損傷を与えずに確実に剥離することができる。
さらに、上記方法において、薄膜圧電体素子がアクチュエータであってもよい。あるいは、薄膜圧電体素子が振動センサーであってもよい。
さらに、上記製造方法により作製されたアクチュエータによりヘッドの位置制御がされるハードディスクドライブであってもよい。あるいは、上記転写方法により作製されたアクチュエータによりヘッドの位置制御がされるハードディスクドライブであってもよい。
本発明の薄膜圧電体素子の製造方法および転写方法によれば、高い圧電性を有し、信頼性の高い薄膜圧電体素子を、安価に製造し、またそれを使用する装置に組み込むことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同じ要素については同じ符号を付しており、説明を省略する場合がある。また、以下の図面においては、パターン形状は模式的に示しており、各々の薄膜の厚みや形状は理解しやすくするように記載している。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の製造方法におけるレーザー光の照射工程を模式的に示す断面図である。図1において、透光性を有する成膜用基板1には、犠牲層薄膜2、第1金属薄膜3、圧電体薄膜4、第2金属薄膜5および樹脂6からなる積層構成が形成され、これらはフォトリソグラフィープロセスとエッチングプロセスを経て圧電体素子パターン10が形成されている。なお、本実施の形態では、圧電体素子パターン10は、第1金属薄膜3、圧電体薄膜4および第2金属薄膜5からなり、犠牲層薄膜2および樹脂6も同じ形状に加工されている。
最終的には、この圧電体素子パターン10が成膜用基板1から分離されて、薄膜圧電体素子として用いられる。なお、実際に薄膜圧電体素子として機能する構成部分は、第1金属薄膜3と第2金属薄膜5およびこれらに挟まれた圧電体薄膜4である。すなわち、第1金属薄膜3と第2金属薄膜5との間に電圧を印加すれば、圧電体薄膜4が伸縮してアクチュエータとして利用することができる。また、電圧を印加する代わりに電圧計を接続すれば、振動状態を検出するためのセンサーとして使用することができる。実際に用いられる薄膜圧電体素子としては、そのパターン形状や外部との電気的接続のための構成は様々であるが、これらについては従来技術により作製することができるので説明を省略する。
上述した圧電体素子パターン10の方向に、透光性を有する成膜用基板1を透過してレーザー光7が入射される。すると、圧電体素子パターン10が設けられている領域はレーザー光7が犠牲層薄膜2に吸収されるため、レーザー光7が透過しない遮光領域8が生じる。また、その周囲には、レーザー光7が透過する透過領域9が生じる。
図2は、レーザー光7を照射したときの状態を圧電体素子パターン10側から見た模式的平面図である。図2において、成膜用基板1の上には圧電体素子パターン10が形成されている。この圧電体素子パターン10よりも大きい照射面積であって、圧電体素子パターン10を確実に包含するレーザー光7が、それぞれの圧電体素子パターン10に対して1ショット照射される。例えば、図2においては、圧電体素子パターン10が6個の場合を示しているが、この場合、それぞれの圧電体素子パターン10には1ショットの照射を行う。したがって、最終的には6個の薄膜圧電体素子が製造される。
なお、図3に示すように、複数(図3では2個)の圧電体素子パターン10を包含する照射面積のレーザー光7を1ショットだけ照射してもよい。
このように、圧電体素子パターン10を包含する照射面積を有するレーザー光を1ショット照射すれば、圧電体素子パターン10の下部領域を含む犠牲層薄膜2で剥離反応が生じる。このため、圧電体素子パターン10の全面が均一に剥離するので、圧電体薄膜4に対して応力や断裂させるような外力が加わらない。この結果、特性劣化を生じさせずに分離させることができる。以下、薄膜圧電体素子の製造方法および転写方法においても同様である。
図4は、レーザー光7を照射した直後の状態の断面の様子を模式的に示す図である。犠牲層薄膜2がレーザー光7を吸収した結果、犠牲層薄膜2の内部で剥離反応が発生し、圧電体素子パターン10が透光性を有する成膜用基板1から分離する。この場合、樹脂6は適度な弾性をもって圧電体素子パターン10を保持するため、剥離するとき、あるいはその後の作業において圧電体薄膜4等にクラックが発生することを防止できる。図4の状態になると、薄膜圧電体素子は成膜用基板1から完全に分離しているので、後の作業中にクラックが生じるのを防止したい場合、この樹脂6を設けることは特に有用である。分離された成膜用基板1は、必要に応じて研磨や洗浄などを行うことにより再利用することができる。
ここで、各部の望ましい材質について説明する。
透光性を有する成膜用基板1としては、マグネシア基板、サファイア基板またはガラス基板等を用いることが好ましい。
犠牲層薄膜2としては、有機物質ではなく無機物質であることが望ましい。なぜなら、圧電体薄膜4は、通常、高温工程を経なければ十分な圧電特性を得ることができないものが多く、犠牲層薄膜2が有機物質である場合、この高温工程に耐えることができないからである。例えば、代表的な圧電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の場合、500℃程度以上の工程を経なければ、その結晶構造をペロブスカイト構造とすることができず、薄膜圧電体素子に必要な圧電効果を得ることができない。したがって、犠牲層薄膜2は500℃程度の温度で融解、蒸発してしまうような物質は好ましくない。一方、レーザー光の照射により1000℃程度の高温になった場合は、その成分のうち少なくとも一部が蒸発、分解等の反応を発生し、剥離反応を引き起こす必要がある。本発明者の検討結果として、鉛(Pb)を含有する酸化物薄膜が望ましいことを見出した。さらに、ペロブスカイト構造を有する酸化物薄膜がより好ましいことも見出した。これは、鉛(Pb)を含有する酸化物薄膜は、圧電体薄膜4の形成に必要な温度、例えば500℃程度においては著しい変質が発生しない一方で、レーザー照射を受けて瞬間的に1000℃程度に達すると、鉛(Pb)成分の一部が蒸発し、剥離反応を生じるからである。また、ペロブスカイト構造が好ましいのは、さらにその上部に第1金属薄膜3として、例えば白金(Pt)を、圧電体薄膜4としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を形成するにあたっての格子定数の整合性が高く、結晶方位を制御した圧電体薄膜4が形成可能だからである。
第1金属薄膜3としては製造工程中に酸化されにくく、また代表的な圧電体薄膜4であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)との格子定数の整合性の点で、貴金属、特に白金(Pt)が望ましい。
圧電体薄膜4としては、高い圧電性を有する材料が望ましい。その結晶構造としては、分極方向が膜厚方向に一致するように結晶配向させることで圧電性能を高めることができる。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いる場合、結晶構造が正方晶系の場合は、分極軸が(001)方向なので、(001)配向させることが望ましい。一方、菱面体晶系の場合は、分極軸が(111)方向なので、(111)配向させることが望ましい。
正方晶系を得るためには、成膜用基板1として(001)方位の酸化マグネシウム(MgO)単結晶基板を用い、犠牲層薄膜2としては前述の鉛(Pb)系のペロブスカイト型酸化物を、第1金属薄膜3としては(100)方向に配向した白金(Pt)を使用することにより得ることができる。
菱面体晶系のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を得るためには、成膜用基板1として(111)方位の酸化マグネシウム(MgO)単結晶基板を用い、犠牲層薄膜2としては前述の鉛(Pb)系のペロブスカイト型酸化物を、第1金属薄膜3としては(111)方向に配向した白金(Pt)を使用することにより得ることができる。
第2金属薄膜5の材料は特に限定されるものではなく、白金(Pt)、金(Au)など、一般的な電極用薄膜材料から選択すればよい。
樹脂6の材質は、レーザー光の照射時の高温状態に耐えることが必要であるため、耐熱性の高いポリイミド等が望ましい。
レーザー光の波長は、上記材料に応じて選択される。成膜用基板1に対しては透光性が高く、犠牲層薄膜2に対しては効果的に吸収される波長の選択を行う。例えば、透光性を有する成膜用基板1が酸化マグネシウム(MgO)である場合、KrFレーザーやXeClレーザーの波長を用いることができる。
レーザー光のエネルギー密度は、剥離するのに十分高いエネルギーが必要であるが、高過ぎると圧電体薄膜4にダメージを与える。本発明者の検討結果では、0.4J/cm以下の強度では、剥離が不十分なことが多く、0.9J/cm以上であると圧電体薄膜4にダメージを受けることが多かった。よって0.4〜0.9J/cmの強度が望ましい。
なお、本実施の形態では、レーザー光の照射を1ショットのみとしたが、圧電体素子を包含する照射面積を有していれば複数回の照射を行ってもよい。以下、薄膜圧電体素子の製造方法および転写方法においても同様である。
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の製造方法におけるレーザー光の照射工程を模式的に示す断面図である。第1の実施の形態と相違する構成は、犠牲層薄膜2がパターニングされていない点のみである。また、本実施の形態では、樹脂も設けていない。
図6はレーザー光7の照射直後の断面図であり、第1の実施の形態との相違は、分離した薄膜圧電体素子の周囲に、犠牲層薄膜2のダスト11が発生している点である。ダスト化の原因であるが、図5において圧電体素子パターンが存在しない領域の犠牲層薄膜2は圧電体素子パターンに保持されないため、剥離発生時の衝撃を受けた際に一体性を保持することができないためであると推測される。なお、本実施の形態では、圧電体素子パターンは第1金属薄膜3、圧電体薄膜4および第2金属薄膜5からなる積層膜をいう。
ダスト発生は、ダスト11を極度に嫌う薄膜圧電体素子を製造する場合は望ましくないため、その場合は第1の実施の形態の製造方法を用いることが望ましい。その一方で、本実施の形態においては、圧電体素子パターンをエッチングにより形成する際に、エッチングを犠牲層薄膜2が露出した状態で停止するため、オーバーエッチングにより成膜用基板1がエッチングされることがない。よって成膜用基板1を再利用するときに、再度の研磨処理を省略あるいは最小限にとどめることができるという利点がある。
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の第3の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の転写方法におけるレーザー光の照射工程を模式的に示す断面図である。第1の実施の形態の製造方法を説明するための図1との相違点は、樹脂6を設けていないこと、および第2金属薄膜5の面と対向させて、その近傍に転写用基板12を配置してからレーザー光を照射することである。
図8は、図7に示したレーザー光を照射した直後の状態の断面図である。転写用基板12に転写される直前状態においては、図8に示すように薄膜圧電体素子が2枚の基板の間に、どちらの基板にも拘束されずに存在する。このように、薄膜圧電体素子がどちらの基板にも拘束されていないため、薄膜圧電体素子が透光性を有する成膜用基板1から受けていた応力はこの瞬間に温度の高い状態で開放される。レーザー光の照射を受けた直後は、第1金属薄膜3側が高温になっているため、より効果的に応力を開放することができる。
この応力開放工程は、圧電体薄膜4が高温で形成されるものであり、かつその熱膨張係数が成膜用基板1と相違するものであるときに有効である。なぜなら、常温まで冷却されたときに、その熱膨張差により応力が発生するからである。成膜用基板1が酸化マグネシウム(MgO)であり、圧電体薄膜4が高温形成されたチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である場合、圧電体薄膜4は成膜用基板1から圧縮応力を受けた状態となる。すると、誘電率の低下と同時に圧電定数も低下し、その結果圧電効果が低下する。上記の応力開放工程は、この望ましくない応力の少なくとも一部を除去することが可能である。
図8において、薄膜圧電体素子は、剥離時に発生した運動エネルギーにより、転写用基板12に向かって運動している状態である。やがて、転写用基板12と衝突し、図9に示すように、そのときの衝撃で第2金属薄膜5と転写用基板12が接合されて強固に固着される。接合強度を高めるには、第2金属薄膜5として、金(Au)、白金(Pt)などの柔らかい金属を用いるのがよい。以上の構成により、薄膜圧電体素子が、転写用基板12に転写される。第1金属薄膜3と第2金属薄膜5の間に電圧を印加すれば、圧電作用により転写用基板12を歪ませることが可能であり、また、電圧印加の代わりに電圧計を接続すれば、転写用基板12の振動状態を検出するセンサーとして用いることが可能である。
(第4の実施の形態)
図10は、本発明の第4の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の転写方法におけるレーザー光7の照射工程を説明するための模式的な断面図である。第3の実施の形態の転写方法を説明するための図7との相違点は、第2金属薄膜5の表面に接着剤13が塗布されている点のみである。
図11は、レーザー光7の照射により犠牲層薄膜2で剥離反応が生じた結果、薄膜圧電体素子が成膜用基板1から剥離した直後の断面図である。この状態から転写用基板12に衝突し、最終的には図12に示すように転写用基板12に転写される。このような転写方法とすることにより、衝撃力が弱くても薄膜圧電体素子を転写用基板12に確実に固定できる。したがって、弱いエネルギー密度のレーザー光7でも転写が可能となる。この結果、薄膜圧電体素子がレーザー光7の照射時に受けるダメージを低減することができる。
また、接着剤13を導電性接着剤とし、転写用基板12の表面の少なくとも一部を導電性としておけば、薄膜圧電体素子の使用にあたって、第2金属薄膜5と電気的接続をとる場合に、直接、第2金属薄膜5に配線を施す必要がなくなる。なお、接着剤は転写用基板12の側に塗布してもよい。
(第5の実施の形態)
図13は、本発明の第5の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の転写方法におけるレーザー光の照射工程を説明するための模式的な断面図である。第4の実施の形態の転写方法を説明するための図10との相違点は、接着剤13が全面に塗布されている点のみである。本実施の形態の転写方法においては、第4の実施の形態のように接着剤13を選択的に圧電体素子パターン上にのみ塗布することが困難である場合に採用することができる。
レーザー光7の照射を受けると、図14に示すように剥離が発生する。そして、最終的には、図15に示されるように転写用基板12の表面に薄膜圧電体素子が転写される。なお、接着剤は転写用基板12の側に塗布してもよい。
(第6の実施の形態)
図16は、本発明の第6の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の転写方法におけるレーザー光の照射工程を説明するための模式的な断面図である。第5の実施の形態の転写方法を説明するための図13との相違点は、犠牲層薄膜2は圧電体素子パターンと同じようなパターンが形成されていない点である。
図17は、レーザー光7が照射された直後の断面図である。第2の実施の形態の製造方法を説明するための図6に示す犠牲層薄膜のダスト11の発生が、本実施の形態においては接着剤により抑制される。このため、ダストを嫌う工程の場合に有用である。最終的には、図18に示すように転写用基板12に薄膜圧電体素子が転写される。
(第7の実施の形態)
図19は、本発明の第7の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の転写方法におけるレーザー光の照射工程を説明するための模式的な断面図である。第3の実施の形態の転写方法を説明するための図7との相違点は、レーザー光の照射前に、転写用基板12が第2金属薄膜5と接して配置される点である。このように配置してレーザー光7を照射すると、レーザー光の照射後に薄膜圧電体素子が飛行しないため、正確な位置に転写することができる。転写後は、2枚の基板を分離させれば、図20に示すように転写用基板12の表面に薄膜圧電体素子が転写されて固定された状態を得ることができる。
(第8の実施の形態)
図21は、本発明の第8の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の転写方法におけるレーザー光の照射工程を説明するための模式的な断面図である。第7の実施の形態の転写方法を説明するための図19との相違点は、接着剤13を形成している点である。
接着剤13を設けることによる効果については、第4の実施の形態で説明したので省略する。レーザー光の照射後に2つの基板を分離すれば、図22に示すように薄膜圧電体素子が転写用基板12へ転写された状態を得ることができる。
本発明にかかる薄膜圧電体素子の製造方法および転写方法は、圧電性、信頼性、低廉性の点において優れており、種々の圧電体アクチュエータを用いる分野において有用である。特に、この圧電体アクチュエータは、ハードディスクドライブ等のヘッド微細位置制御分野に有用である。
本発明の第1の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の製造方法におけるレーザー光の照射工程を模式的に示す断面図 同実施の形態において、レーザー光を照射したときの状態を圧電体素子パターン側から見た模式的平面図 同実施の形態において、複数の圧電体素子パターンを包含する照射面積のレーザー光を1ショットだけ照射する方法を説明するための平面図 同実施の形態において、図3に示す構成に対してレーザー光を照射した直後の状態の断面の様子を模式的に示す図 本発明の第2の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の製造方法におけるレーザー光の照射工程を模式的に示す断面図 同実施の形態において、レーザー光の照射直後の断面図 本発明の第3の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の転写方法におけるレーザー光の照射工程を模式的に示す断面図 同実施の形態において、図7に示したレーザー光を照射した直後の状態の断面図 同実施の形態において、転写用基板と衝突し、そのときの衝撃で第2金属薄膜と転写用基板が接合されて強固に固着された状態を示す断面図 本発明の第4の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の転写方法におけるレーザー光の照射工程を説明するための模式的な断面図 同実施の形態において、レーザー光の照射により犠牲層薄膜で剥離反応が生じた結果、薄膜圧電体素子が成膜用基板から剥離した直後の断面図 同実施の形態において、転写用基板に衝突し、最終的に転写用基板に転写された状態を示す断面図 本発明の第5の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の転写方法におけるレーザー光の照射工程を説明するための模式的な断面図 同実施の形態において、レーザー光の照射を受けて剥離が発生した状態を示す断面図 同実施の形態において、転写用基板の表面に薄膜圧電体素子が転写された状態を示す断面図 本発明の第6の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の転写方法におけるレーザー光の照射工程を説明するための模式的な断面図 同実施の形態において、レーザー光が照射された直後の断面図 同実施の形態において、転写用基板に薄膜圧電体素子が転写された状態を示す断面図 本発明の第7の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の転写方法におけるレーザー光の照射工程を説明するための模式的な断面図 同実施の形態において、転写後、2枚の基板を分離させて転写用基板の表面に薄膜圧電体素子が転写されて固定された状態を示す断面図 本発明の第8の実施の形態にかかる薄膜圧電体素子の転写方法におけるレーザー光の照射工程を説明するための模式的な断面図 同実施の形態において、レーザー光の照射後に2つの基板を分離して薄膜圧電体素子が転写用基板へ転写された状態を示す断面図 従来技術における被転写層の転写のためのレーザー照射時の断面図 従来技術における被転写層の転写が完了した状態の断面図 従来技術における薄膜圧電体素子の転写のためのレーザー照射時の断面図 従来技術におけるレーザー照射方法における最初の照射の上面図 従来技術におけるレーザー照射方法における2回目の照射の上面図
符号の説明
1 成膜用基板
2 犠牲層薄膜
3 第1金属薄膜
4 圧電体薄膜
5 第2金属薄膜
6 樹脂
7 レーザー光
8 遮光領域
9 透過領域
10 圧電体素子パターン
11 ダスト
12 転写用基板
13 接着剤
14 被転写層
15 一部
16 振動板

Claims (32)

  1. 透光性を有する成膜用基板の一方の面上に、犠牲層薄膜、第1金属薄膜、圧電体薄膜および第2金属薄膜を有する積層膜を形成する工程と、
    前記積層膜を加工して、前記犠牲層薄膜上に前記第1金属薄膜、前記圧電体薄膜および前記第2金属薄膜からなる圧電体素子パターンを形成する工程と、
    前記圧電体素子パターンを包含する照射面積を有するレーザー光を、前記成膜用基板の他方の面側から前記犠牲層薄膜へ照射し、前記犠牲層薄膜の部位で剥離反応を発生させて前記圧電体素子パターンを前記成膜用基板の上から剥離する工程とを有することを特徴とする薄膜圧電体素子の製造方法。
  2. 透光性を有する成膜用基板の一方の面上に、犠牲層薄膜、第1金属薄膜、圧電体薄膜および第2金属薄膜を有する積層膜を形成する工程と、
    前記積層膜を加工して、前記犠牲層薄膜上に前記第1金属薄膜、前記圧電体薄膜および前記第2金属薄膜からなる圧電体素子パターンを形成する工程と、
    前記圧電体素子パターンを包含する照射面積を有するレーザー光を、前記成膜用基板の他方の面側から前記犠牲層薄膜へ照射し、前記犠牲層薄膜の部位で剥離反応を発生させて前記圧電体素子パターンを前記成膜用基板の上から剥離させるときに、剥離面の温度が高温の状態で、かつ前記圧電体素子パターンの全面が基板の拘束を受けない状態にして前記圧電体素子パターンを前記成膜用基板から剥離する工程とを有することを特徴とする薄膜圧電体素子の製造方法。
  3. 前記レーザー光の照射は、1ショットのみであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  4. 前記犠牲層薄膜が無機物質により形成されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  5. 前記第2金属薄膜が、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)および銀(Ag)の各元素から選択された少なくとも1種をその成分として含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  6. 前記圧電体薄膜の結晶が、分極軸方向に優先配向していることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  7. 前記圧電体薄膜が、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする正方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有し、(001)配向していることを特徴とする請求項6に記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  8. 前記成膜用基板は、結晶面が(001)である単結晶マグネシア(MgO)基板であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  9. 前記第1金属薄膜が、(001)に結晶配向した白金(Pt)であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  10. 前記圧電体薄膜の厚みが1μmより大きく10μm未満であり、前記第1金属薄膜および前記第2金属薄膜の厚みが10nmより大きく500nm未満であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  11. 前記積層膜を加工して前記圧電体素子パターンを形成するときに、前記圧電体素子パターンの外周領域は前記成膜用基板が露出した状態とすることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  12. 前記積層膜を加工して前記圧電体素子パターンを形成するときに、前記圧電体素子パターンの外周領域は前記犠牲層薄膜が露出した状態とすることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  13. 前記薄膜圧電体素子がアクチュエータであることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  14. 前記薄膜圧電体素子が振動センサーであることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の製造方法。
  15. 透光性を有する成膜用基板の一方の面上に、犠牲層薄膜、第1金属薄膜、圧電体薄膜および第2金属薄膜を有する積層膜を形成する工程と、
    前記積層膜を加工して、前記犠牲層薄膜上に前記第1金属薄膜、前記圧電体薄膜および前記第2金属薄膜からなる圧電体素子パターンを形成する工程と、
    前記圧電体素子パターンが形成された面を転写用基板の面とギャップを有した状態で対向させる工程と、
    前記圧電体素子パターンを包含する照射面積を有するレーザー光を、前記成膜用基板の他方の面側から照射して前記犠牲層薄膜の部位で剥離反応を発生させて前記圧電体素子パターンを前記成膜用基板の上から剥離させ、前記圧電体素子パターンの全面が前記成膜用基板に拘束されない状態とした後、前記剥離反応によるエネルギーにより前記圧電体素子パターンが前記転写基板と衝突し接合される転写工程とを有することを特徴とする薄膜圧電体素子の転写方法。
  16. 透光性を有する成膜用基板の一方の面上に、犠牲層薄膜、第1金属薄膜、圧電体薄膜および第2金属薄膜を有する積層膜を形成する工程と、
    前記積層膜を加工して、前記犠牲層薄膜上に前記第1金属薄膜、前記圧電体薄膜および前記第2金属薄膜からなる圧電体素子パターンを形成する工程と、
    前記圧電体素子パターンが形成された面を転写用基板の面と密着させ、前記圧電体素子パターンを包含する照射面積を有するレーザー光を、前記成膜用基板の他方の面側から前記犠牲層薄膜へ照射し、前記犠牲層薄膜の部位で剥離反応を発生させるとともに、前記圧電体素子パターンを前記成膜用基板から前記転写基板へ転写する転写工程を有することを特徴とする薄膜圧電体素子の転写方法。
  17. 前記レーザー光の照射が1ショットであることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  18. 前記レーザー光の照射の前に、前記圧電体素子パターンの前記第2金属薄膜面上に接着剤を塗布しておくことを特徴とする請求項15から請求項17までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  19. 前記接着剤が、導電性を有することを特徴とする請求項18に記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  20. 前記転写用基板の前記圧電体素子パターンに接する側の面の少なくとも一部が導電性を有し、前記圧電体素子パターンが転写されたときに前記第2金属薄膜と電気的に接続することを特徴とする請求項15から請求項17までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  21. 前記圧電体薄膜の結晶が分極軸方向に優先配向していることを特徴とする請求項15から請求項20までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  22. 前記圧電体薄膜がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする正方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有し、(001)配向していることを特徴とする請求項21に記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  23. 前記成膜用基板は、結晶面が(001)である単結晶マグネシア(MgO)基板であることを特徴とする請求項15から請求項22までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  24. 前記第1金属薄膜が、(001)に結晶配向した白金(Pt)であることを特徴とする請求項15から請求項23までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  25. 前記第2金属薄膜が、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)および銀(Ag)の各元素から選択された少なくとも1種をその成分として含有することを特徴とする請求項15から請求項24までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  26. 前記圧電体薄膜の厚さが1μmより大きく10μm未満であり、前記第1金属薄膜および前記第2金属薄膜の厚みが10nmより大きく500nm未満であることを特徴とする請求項15から請求項25までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  27. 前記積層膜を加工して前記圧電体素子パターンを形成するときに、前記圧電体素子パターンの外周領域は前記成膜用基板が露出した状態とすることを特徴とする請求項15から請求項26までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  28. 前記積層膜を加工して前記圧電体素子パターンを形成するときに、前記圧電体素子パターンの外周領域は前記犠牲層薄膜が露出した状態とすることを特徴とする請求項15から請求項26までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  29. 前記薄膜圧電体素子がアクチュエータであることを特徴とする請求項15から請求項28までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  30. 前記薄膜圧電体素子が振動センサーであることを特徴とする請求項15から請求項28までのいずれかに記載の薄膜圧電体素子の転写方法。
  31. 請求項13に記載の薄膜圧電体素子の製造方法を用いて作製された前記アクチュエータによりヘッドの位置制御がされることを特徴とするハードディスクドライブ。
  32. 請求項29に記載の薄膜圧電体素子の転写方法を用いて、前記転写基板上に転写された前記アクチュエータによりヘッドの位置制御がされることを特徴とするハードディスクドライブ。
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