JP2010179622A - 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、および液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体噴射ヘッド、液体噴射装置、および液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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敦司 高桑
Atsushi Amako
淳 尼子
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Abstract

【課題】封止板を効率よく加工することにより工数が減少された、液体噴射ヘッドの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる液体噴射ヘッド1000の製造方法は、基体100の上方に圧電素子200を形成する工程と、封止板300を形成する工程と、基体100の上方に封止板300を設け、圧電素子200を封止する工程と、を含み、封止板300を形成する工程は、ガラス基板310を準備する工程と、ガラス基板310にレーザー光10を照射してエッチング領域312を形成するレーザー照射工程と、エッチング領域312をウエットエッチングによって除去する工程と、を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、液体噴射ヘッド、液体噴射装置、および液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
液体噴射ヘッドは、たとえば、インクの液滴を飛翔させ、該液滴を記録媒体に付着させて情報の記録を行う方式のインクジェットプリンター等の液体噴射装置に用いられている。インクジェットプリンターは、比較的小規模な装置構成で、高解像度、高品位な画像を高速で印刷することができるという特徴を有する。
液体噴射ヘッドの例としては、基本構成として、少なくとも液体を噴射するノズル孔を設けたノズルプレート、圧電素子等により駆動されるアクチュエータ、および封止板を備えたものがある(たとえば、特開2005−125579号公報)。封止板を備えた液体噴射ヘッドは、該封止板によって、たとえば、圧電素子等が保護されるため信頼性が高く、取り扱いも容易であるという特徴がある。
特開2005−125579号公報
ところが、封止板は、フォトリソグラフィー技術を多用して作成されることが多い。そのため、液体噴射ヘッドの製造における封止板の作成工程は、時間的、費用的にさらに節減する余地があった。
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、封止板を効率よく加工することにより工数が減少された、液体噴射ヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、メンテナンスが容易で信頼性の高い液体噴射ヘッドを提供することにある。
本発明にかかる液体噴射ヘッドの製造方法は、
基体の上方に圧電素子を形成する工程と、
封止板を形成する工程と、
前記基体の上方に前記封止板を設け、前記圧電素子を封止する工程と、
を含み、
前記封止板を形成する工程は、
ガラス基板を準備する工程と、
前記ガラス基板にレーザー光を照射してエッチング領域を形成するレーザー照射工程と、
前記エッチング領域をウエットエッチングによって除去する工程と、
を含む。
このようにすれば、封止板を効率よく加工することができ、液体噴射ヘッドを少ない工数で製造することができる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記封止板を形成する工程は、
さらに、前記ガラス基板に感光性接着シートを貼付する工程と、
前記感光性接着シートをパターニングする工程と、
を含むことができる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記封止板を形成する工程は、
さらに、前記ガラス基板に感光性接着剤を塗布する工程と、
前記感光性接着剤をパターニングする工程と、
を含むことができる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、
さらに、前記ガラス基板にマスク層を形成する工程と、
前記マスク層をパターニングする工程と、
を含むことができる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記レーザー照射工程は、10フェムト秒〜10ピコ秒のパルス幅を有するレーザー光を用いて行われることができる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記レーザー照射工程は、回折格子によって分岐されたレーザー光を用いて行われることができる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記レーザー照射工程は、前記ガラス基板にレジスト層を形成し、前記エッチング領域の前記レジスト層を除去した後に行われることができる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記基体は、上面に振動板が形成された半導体基板であることができ、
前記半導体基板を下側からエッチングすることにより、前記圧電素子に対応する圧力室を形成する工程と、
前記半導体基板の下面に前記圧力室に連通するノズル孔が形成されたノズル板を設ける工程と、
を含むことができる。
本発明にかかる液体噴射ヘッドは、
ノズル孔が形成されたノズル板と、
前記ノズル板の上方に設けられ、前記ノズル孔に連通する圧力室となる第1領域および前記圧力室の側壁となる第2領域を有する圧力室板と、
前記圧力室板の上方に設けられた振動板と、
前記振動板の上方、かつ前記第1領域の上方に設けられた圧電素子と、
前記振動板の上方に設けて前記振動板との間に空洞を形成し、前記圧電素子を前記空洞内に封止する封止板と、
を有し、
前記封止板の材質は、ガラスを含み、
前記封止板の側面は、外側に向かって凸の形状の曲面である。
このような液体噴射ヘッドは、少ない工数で製造することができ、メンテナンスが容易で信頼性が高い。
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、
前記ノズル孔、前記圧力室および前記圧電素子は、それぞれ複数形成され、
前記封止板は、複数の前記圧電素子を1つの前記空洞内に封止することができる。
本発明にかかる液体噴射装置は、上述の液体噴射ヘッドを含む。本発明にかかる液体噴射装置は、上述した液体噴射ヘッドを有するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを往復動させる駆動部と、前記ヘッドユニットおよび前記駆動部を制御する制御部と、を含むことができる。
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、封止板を効率よく加工することができ、液体噴射ヘッドを少ない工数で製造することができるという特徴を有する。また、本発明の液体噴射ヘッドは、少ない工数で製造することができ、封止板がガラスを含んで形成されるためメンテナンスが容易で、しかも封止板のガラスには鋭利な部分がないためリード線等の断線が抑制され信頼性が高い。
実施形態の封止板を形成する工程を模式的に示す断面図。 実施形態の封止板を形成する工程を模式的に示す断面図。 実施形態の封止板を形成する工程を模式的に示す断面図。 実施形態の封止板を形成する工程の変形例を模式的に示す断面図。 実施形態の封止板を形成する工程の変形例を模式的に示す断面図。 実施形態の封止板を形成する工程の変形例を模式的に示す断面図。 実施形態の封止板を形成する工程を模式的に示す断面図。 実施形態の封止板を形成する工程を模式的に示す断面図。 実施形態の封止板を形成する工程を模式的に示す断面図。 実施形態の封止板を形成する工程の変形例を模式的に示す断面図。 実施形態の封止板を形成する工程の変形例を模式的に示す断面図。 実施形態の封止板を形成する工程の変形例を模式的に示す断面図。 レーザー光を模式的に示す概念図。 分岐したレーザー光を模式的に示す概念図。 分岐したレーザー光の照射の様子を説明する模式図。 実施形態の液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態の液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態の液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態の液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態の液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態の液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態の液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態の液体噴射ヘッドの製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態の液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。 実施形態の液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。 実施形態の液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。
以下に本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例を説明するものである。
1.液体噴射ヘッドの製造方法
本実施形態にかかる液体噴射ヘッドの製造方法は、基体の上方に圧電素子を形成する工程と、封止板を形成する工程と、基体の上方に封止板を設け、圧電素子を封止する工程と、を含む。以下、封止板を形成する工程から説明する。
1.1.封止板を形成する工程
本実施形態において、封止板を形成する工程は、いくつかの態様を採ることができる。
1.1.1.第1の態様
図1〜図6は、本実施形態にかかる封止板300を形成する工程の第1の態様を模式的に示す断面図である。
第1の態様では、封止板300を形成する工程は、ガラス基板310を準備する工程と、レーザー照射工程と、エッチング領域312を除去する工程と、を含む。
まず、ガラス基板310を準備する(図1)。ガラス基板310としては、酸化ケイ素を主成分とする各種のガラスが板状に加工された基板を用いることができる。ガラス基板310は、後の工程で用いるレーザー光10が有する波長の光を反射または散乱しにくい材質であることが好ましい。このような材質を選べば、ガラス基板310の厚み方向の深い領域までエッチング領域312を形成することがより容易になる。また、ガラス基板310は、基体100の熱膨張係数と近い熱膨張係数を有することが好ましい。このような材質を選択すれば、液体噴射ヘッドの温度環境が変化したときに、液体噴射ヘッドの内部に生じる応力を軽減することができる。ガラス基板310の具体的な材質としては、ケイ酸塩ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、結晶化ガラス、石英ガラス(水晶を含む)、鉛ガラス、およびフッ化物ガラスなどを例示することができる。
次に、レーザー照射工程を行う。この工程は、ガラス基板310にレーザー光10を照射してエッチング領域312を形成する。図2に示すように(図2では、エッチング領域312は、網掛けして描いてある。)本工程では、ガラス基板310にレーザー光10を照射する。レーザー光10としては、いわゆる超短パルスレーザー光が用いられる。このようなパルス幅の短いレーザー光10が、ガラスに対して照射されると、照射された部位のガラスを構成する原子に作用して、当該ガラスに化学的もしくは物理的な変化を及ぼすことができる。したがって、本工程では、レーザー光10は、ガラス基板310のガラス(酸化ケイ素が主成分である。)の構造を化学的もしくは物理的に変化させて、その部分にエッチング領域312を形成することができる。これにより、たとえば、エッチング領域312の化学的な安定性(エッチング速度など)を変化させることができる。
本工程でレーザー光10が照射される位置に、エッチング領域312が形成される。レーザー光10は、図2に示すように、焦点12を有することができる。焦点12の近傍には、光のエネルギーの密度の高い高密度領域14が形成されることができる。高密度領域14の光のエネルギー密度は、レーザー光10のパルス幅を小さくするほど大きくすることができる。このような高密度領域14は、一定の体積を有しており、レーザー光10の強度、パルス幅、および集光性等を調節することによって、大きさを調節することができる。このとき、高密度領域14がガラスに構造変化を起こす程度の光のエネルギーとなるように設定することもできる。高密度領域14は、焦点12近傍で、レーザー光10の進行方向およびレーザー光10の進行方向に垂直な方向に有限の大きさを有して形成されることができる(これらは、それぞれ、焦点深度、およびスポットサイズに対応する。)。したがって、レーザー光10の高密度領域14の位置を調節することにより、ガラス基板310の平面における任意の位置、および断面における任意の深さにエッチング領域312を形成することができる。
ガラス基板310にエッチング領域312を形成するためのレーザー光10としては、光学的な焦点12の形状にも依存するが、たとえば、1フェムト秒〜100ピコ秒のパルス幅を有するものが挙げられ、発生装置の規模等の点から、10フェムト秒〜10ピコ秒のパルス幅を有するものが好ましい。本実施形態で用いうるレーザー光10の光源としては、特に限定されないが、たとえば、チタンサファイヤレーザーを用いたIMRA AMERICA,INC.社製の型番FX−10などを挙げることができる。
レーザー光10は、プリズムや回折格子によって、進行方向を変えたり、分岐されたりすることができる。また、レーザー光10は、プリズムや回折格子を用いることにより、特定の領域に対して走査(スキャン)させることができる。図2に描かれた破線の矢印は、走査の様子を模式的に示している。
エッチング領域312の形状を画定する方法としては、レーザー光10を上述のように走査する方法、ガラス基板310を走査する方法、および高密度領域14の形状を変化させる方法等が挙げられる。また、高密度領域14の周辺部を利用してエッチング領域312の周縁部をぼかす(ディフューズさせる)こともできる。このようにすれば、エッチング領域312のガラスが後の工程で除去されたとき、エッチング領域312の周縁部に丸みを帯びさせる(滑らかな形状にする)ことができる。
レーザー照射工程は、たとえば、ガラス基板310に、厚さ0.9mmのホウケイ酸ガラスの基板を選択した場合、レーザー光10の波長を800nm、パルス幅を200フェムト秒、パルスエネルギーを100μJとすることができる。このようにすれば、ガラス基板310にエッチング領域312を形成することができる。さらに、この場合、レーザー光10は、走査速度を5mm/秒、および走査周波数を5kHzとして、走査されることもできる。また、必要に応じて複数回走査することもできる。走査回数は任意であるが、1回〜100回程度とすることができる。
図3に示す例では、エッチング領域312のうち、封止板300の窪み320となる領域は、ガラス基板310を貫通しないように形成される。窪み320の深さは、後述する基体100に設けられる圧電素子200の高さよりも深く形成される限り任意である。すなわち、窪み320は、圧電素子200が、基体100および封止板300によって形成される空洞500の内壁に接しないような深さとなるように形成される。窪み320の深さの制御は、上述したように、レーザー光10を用いて容易に行うことができる。
次に、エッチング領域312を除去する工程をおこなう。本工程は、ウエットエッチングで行われる。本工程は、エッチング領域312の体積が小さければ、ドライエッチングを選択してもよい。上述したように、エッチング領域312のガラスは、構造が変化しているため、それ以外の領域のガラスよりもエッチング速度が非常に大きくなっている。エッチング領域312のエッチング速度は、たとえば、それ以外の領域のエッチング速度に比較して、10倍〜1000倍程度大きくすることができる。
本工程のウエットエッチングの処理の時間としては、任意であるが、たとえば、10分〜2時間程度とすることができる。なお、エッチング領域312以外の領域のガラスも同時にエッチングされることがあるが、上述のように両領域のエッチング速度の差は十分に大きいため、封止板300を形成する上では、実際上支障がない。エッチング領域312以外の領域のガラスのエッチングを防ぎたい場合は、レジストマスクや金属マスクを利用して本工程を行うことができる。
エッチング領域312を除去する工程で用いるエッチャントとしては、たとえば、ガラス基板310に、厚さ0.9mmのホウケイ酸ガラスの基板を選択した場合は、フッ化水素の25%水溶液を用いて行うことができる。このような場合、エッチング時間を1時間とすれば、幅150μm程度の穴をガラス基板310に形成することができる。
本工程を経ると、たとえば、図3に示すような貫通穴で離断され窪み320を有する封止板300を形成することができる。図示の例では、ガラス基板310がエッチングによって切断され、個片化された封止板300として描かれているが、封止板300は、図示せぬ部分で連続していてもよい。このようにすれば、後の工程で、複数の封止板300を一枚の基板(加工されたガラス基板310)として取り扱うことができ、搬送等を容易にすることができる。また、この場合は、封止板300を個片化する工程をさらに有してもよい。
本態様の封止板300を形成する工程は、以下のように変形することができる。
変形例では、ガラス基板310を準備した後、マスクを設ける工程を行う。ガラス基板310を準備する工程は、上述したと同様である。ガラス基板310上に、図4に示すように、マスク層20を形成する。マスク層20は、単層であっても複数層の積層構造であってもよい。マスク層20は、レーザー光10を透過しにくい性質を有するものが好ましい。マスク層20は、ガラスのウエットエッチングにおけるエッチャントによってエッチングされにくい材質で形成されることが好ましい。マスク層20は、たとえば、Au(金)層単独、またはCr(クロム)層およびAu層の積層体などの金属層、フッ化アルキルシラン(FAS)などの有機物層およびそれらの積層体とすることができる。マスク層20を金属層とする場合、ガラス基板310から順にCr層、Au層の積層体とすれば、マスク層20のガラス基板310への密着性を高めることができる。Cr層やAu層は、たとえば、スパッタ、蒸着等の方法により設けることができる。マスク層20をFASで形成する場合は、FASの溶液をスピンコートする方法や、FASの溶液を印刷する方法により形成することができる。FASは印刷法で設けることもでき、その場合は、パターニングの工程が不要となる。
次に本変形例では、マスク層20をパターニングする。このパターニングは、フォトレジストを用いてフォトリソグラフィーによって行うことができる。マスク層20を除去するエッチャントとしては、Au層を除去するときは、ヨウ化カリウムおよびヨウ素の混合溶液、Cr層を除去するときは、セリウム系の溶液を用いることができる。また、FASをパターニングする場合は、たとえば、フォトレジストを用いずに、ダイレクトに光分解させる方法を用いることができる。マスク層20の機能の一つとしては、レーザー光10を遮蔽する機能、および、ガラス基板310のエッチャントからガラス基板310を保護する機能が挙げられる。したがって、パターニングされたマスク層20は、ガラス基板310のエッチング領域312以外の領域に残るように形成される。
次に、図5に示すように、レーザー光10を照射する。本変形例では、マスク層20が形成されているため、レーザー光10の照射される領域が該マスク層20によって制限される。したがって、マスク層20の周辺部のエッチング領域312の境界は、マスク層20を用いない場合よりも鋭く画定することができる。また、マスク層20が形成されておらず、かつ、レーザー光10が照射されない領域314は、マスク層20が通常のマスクとして機能することによりエッチングされることができる。
次に、図6に示すように、エッチング領域312を除去する工程をおこなう。図6に示すように、マスク層20を残したままウエットエッチングしてもよい。このようにすれば、マスク層20をウエットエッチングのマスクとしても利用することができるため、マスク層20の周辺部のエッチング領域312の端部を、より鋭く形成することができる。なおマスク層20は、本工程の前に除去されていてもよい。
以上の工程を経た後、必要に応じてマスク層20を除去して、図6に示すような、変形例の封止板300を形成することができる。
以上説明したような第1の態様の作成方法によって本実施形態の封止板300を形成することができる。封止板300は、窪みおよび穴を有しているが、上記のように形成すれば、少ない工程で作成することができる。すなわち、本態様の封止板300の形成方法には、フォトリソグラフィーを用いる工程がないまたは少ないため、極めて効率よく封止板300を形成することができる。
1.1.2.第2の態様
図7〜図12は、本実施形態にかかる封止板を形成する工程の第2の態様を模式的に示す断面図である。
第2の態様では、封止板300を形成する工程は、ガラス基板340を準備する工程と、レーザー照射工程と、エッチング領域342を除去する工程と、感光性シート360を貼付する工程と、感光性シート360をパターニングする工程と、を含む。
まず、ガラス基板340を準備する。ガラス基板340は、上記「1.1.1.第1の態様」で述べたガラス基板310と実質的に同様であるため、説明を省略する。
次に、レーザー照射工程を行う。この工程は、上記「1.1.1.第1の態様」で述べたレーザー照射工程と実質的に同じである。本工程によって、図7に示すように、ガラス基板340に、エッチング領域342が形成される。
次いで、ガラス基板340のエッチング領域342を除去する工程を行う。この工程は、上記「1.1.1.第1の態様」で述べたエッチング領域312を除去する工程と実質的に同じである。
本態様のここまでの工程では、上記「1.1.1.第1の態様」で述べた事項、および変形例で述べた事項を自由に適用することができる。
本態様では、ガラス基板340の加工によって、図8および図9に示すように、封止板300の天板344が形成される。天板344は、複数個が図示しない部位において連続していてもよい。
次に、図8に示すように、ガラス基板340に感光性接着シート360を貼付する。感光性接着シート360は、ガラス基板340への接着性を有する。また、感光性接着シート360は、フォトリソグラフィー等により、パターニングされることができる。感光性接着シート360は、硬化されることにより、堅牢な構造体となることができる。感光性接着シート360としては、エポキシ樹脂などの材質で形成されたシートを挙げることができ、市販品としては、日東電工株式会社製の商品名P−3Y等を挙げることができる。
次に、感光性接着シート360をパターニングする。本工程は、フォトリソグラフィーにより行うことができる。感光性接着シート360の現像液としては、たとえば、N−メチル−ピロリドンなどの有機溶剤を挙げることができる。本工程で形成される感光性接着シート360のパターニングは、図9に示すように、少なくとも天板344の周縁部に感光性接着シート360からなる側壁362が形成されるように行われる。本工程を経ると、側壁362および天板344とが接合された封止板300が形成される。側壁362は、後に形成される空洞500の側面を形成する部材である。したがって、感光性接着シート360の厚み、すなわち側壁362の高さは、後に形成される空洞500の高さに相当する。
以上のようにして、図9に示すような封止板300を形成することができる。なお、上述の例では、ガラス基板340のエッチングのあとに感光性接着シート360を設けているが、レーザー照射工程の後に、感光性接着シート360を設け、その後にエッチング領域342を除去してもよい。
本態様の封止板300を形成する工程は、以下のように変形することができる。
本変形例では、感光性接着シート360の代わりに感光性接着剤を用いる。感光性接着剤としては、たとえば、エポキシ系の接着剤を用いることができ、市販品としては、太陽インキ株式会社の商品名U−100を用いることができる。
本変形例は、感光性接着剤を塗布して感光性接着剤層380を形成する工程と、感光性接着剤層380をパターニングする工程とを含む。
上述のガラス基板340を準備する工程の後、ガラス基板340に感光性接着剤を塗布して感光性接着剤層380を形成する。この工程は、スピンコート法、スリットコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディッピング法、インクジェット法など等を用いることができる。次に、フォトリソグラフィーを用いて、図10に示すように、感光性接着剤層380をパターニングする。図示の例では、少なくとも天板344となる領域の周縁部に感光性接着剤からなる側壁382が形成されるように行われる。この工程を経て残った感光性接着剤層380、382は硬化している。感光性接着剤層382は、硬化されることにより、堅牢な構造体となることができる。
次に、レーザー照射工程(図11)、およびエッチング領域342を除去する工程を行うことにより、図12に示すような変形例の封止板300が形成される。本変形例では、図11に示すように、レーザー照射工程において、感光性接着剤層380、382は、第1の態様で述べたマスク層20と同様の作用効果を奏することができる。
感光性接着剤を塗布する工程は、上記の例では、ガラス基板340を準備した後に行っているが、レーザー照射工程の後に行われてもよい。
以上のようにして、側壁382および天板344が接合された封止板300を形成することができる。
以上説明したような第2の態様の作成方法によって本実施形態の封止板300を形成することができる。封止板300は、側壁362(382)および天板344から構成され、少ない工程で作成することができる。すなわち、本態様の封止板300の形成方法には、フォトリソグラフィーを用いる工程がないまたは少ないため、極めて効率よく封止板300を形成することができる。
1.1.3.レーザー光
図13〜図15は、レーザー照射工程で用いるレーザー光10について説明する模式図である。図13および図14の上側の図は、物体1に入射するレーザー光10の軌跡の断面を模式的に示す図であり、下側の図は、物体1の表面におけるレーザー光10のエネルギー密度のプロファイルを上側の図に対応させて模式的に示している。なお、レーザー光10は、図13および図14の紙面奥行き方向に長さを有してもよい。本実施形態で用いるレーザー光10は、図13に示すような、1本のビームが収束された態様(0次光)であることができる。このようにすれば、レーザー光10は、エネルギー密度の高い高密度領域14を形成することができる。
一方、上述したように、本実施形態のレーザー照射工程では、高密度領域14における光のエネルギー密度は、ガラスに化学的状態の変化を起こすことができる程度であれば十分である。したがって、0次光における光のエネルギー密度が必要以上に大きい場合は、レーザー光10を分岐して、高密度領域14の数を増すことができる。図14は、回折格子16を用いて、レーザー光10を分岐させた様子を示す模式図である。図14では5次光まで描いているが、分岐の数はこれに限定されない。分岐したレーザー光10は、それぞれの位置において収束され高密度領域14を複数形成することができる。このようにすれば、たとえば、レーザー光10を走査する場合に、走査回数を減らして、短い時間でエッチング領域を形成することができる。したがって、エッチング領域を形成する際のスループットを高めることができる。なお、レーザー光10は、回折格子16によって分岐された後、適宜コリメーター等を用いて、分岐した光線が互いに平行となるようにしてもよい。
図15は、分岐されたレーザー光10によって、レーザー照射工程を行う例を模式的に示す断面図である。図15に示すように、分岐したレーザー光10を用いれば、高密度領域14の個数が増えることにより、エッチング領域312を形成するための光のエネルギーを節減することができる。また、高次光の遮蔽のために、ガラス基板310には、マスク層20を設けることができる点は、レーザー光10を分岐しない場合と同様である。
以上のように、レーザー光10を分岐させれば、ガラス基板に与えられるレーザー光10のエネルギーが同じでも、より広い領域のガラスを変質させることができ、エッチング領域の除去工程におけるエッチング速度を向上させることができる。したがって、エッチング時間を短縮することができる。
以上のようにして本実施形態の封止板300が形成される。従来、材質がガラスの基板は、加工が困難であった。このような基板は、たとえば、ウエットエッチングによって加工する場合、非常に長時間を要していた。上述した加工方法によれば、ガラス基板310を、短時間で効率よく加工することができる。これにより、短時間でガラスの封止板300を形成することができる。
1.2.圧電素子を形成する工程
図16〜図19は、液体噴射ヘッド1000の製造工程を模式的に示す断面図である。
圧電素子200は、基体100の上に形成される。基体100としては、半導体基板、樹脂基板などを、任意に選択しうるが、本実施形態では、振動板120が形成された半導体基板110を基体100とし、この基体100の上に圧電素子200が形成される場合について例示する。
まず、図16に示すように、半導体基板110を準備する。半導体基板110としては、たとえば、シリコン基板、砒化ガリウム基板などを挙げることができる。半導体基板110の厚みは任意であるが、たとえば、1〜800μmとすることができる。
半導体基板110の上面には、図17に示すように、振動板120が形成される。振動板120は、たとえば、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、および酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも一種の層、または該層の積層体とすることができる。また、振動板120には、たとえば、ステンレス鋼等の金属の層が積層されていてもよい。振動板120は、半導体基板110に圧力室112が設けられた場合、圧電素子200が駆動することによって振動する機能を有することができる。振動板120は、半導体基板110の上に、スパッタ法、真空蒸着、CVD法などの方法で形成することができる。
図19に示すように、圧電素子200は、少なくとも下部電極210と、圧電体層220と、上部電極230と、を有する。図17および図18は、基体100に圧電素子200を形成する工程の一例を示している。
下部電極210は、上部電極230と対になり、圧電体層220を挟む一方の電極として機能する。下部電極210は、たとえば、複数の圧電素子200の共通電極とすることができる。下部電極210は、図示せぬ外部回路と電気的に接続されることができる。下部電極210の厚みは、たとえば100〜300nmとすることができる。下部電極210の材質は、導電性を有する限り特に限定されず、たとえば、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの導電性酸化物(たとえば酸化イリジウムなど)、ストロンチウムとルテニウムの複合酸化物、ランタンとニッケルの複合酸化物などを用いることができる。また、下部電極210は、前記例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
下部電極210は、基体100の上面の全面に、スパッタ法、真空蒸着、CVD法などの方法で導電体の層を形成した後、フォトリソグラフィー等によりパターニングして形成されることができる。また、下部電極210は、印刷法などのパターニングが不要な方法によって形成されてもよい。
圧電体層220は、下部電極210の上方に設けられる。圧電体層220の厚みは、500〜1500nmとすることができる。圧電体層220は、下部電極210および、上部電極230によって電界が印加されることで伸縮変形し、これにより変形して機械的な出力を行うことができる。圧電体層220には、圧電性を有する材料を用いることができる。圧電体層220の材質としては、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物(たとえば、Aは、Pbを含み、Bは、ZrおよびTiを含む。)が好適に用いられる。このような材質の具体的な例としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)(以下、本明細書において「PZT」と略すことがある。)、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O)(以下、本明細書において「PZTN」と略すことがある。)、およびチタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウムナトリウム((K,Na)NbO)などが挙げられる。これらのうち、圧電体層220の材質としては、PZTおよびPZTNが、圧電性能が特に良好であるため好適である。
圧電体層220は、ゾルゲル法やCVD法などによって形成されることができる。ゾルゲル法においては、原料溶液塗布、予備加熱、結晶化アニールの一連の作業を複数回繰り返して所望の膜厚にしてもよい。図18は、パターニング前の圧電体層220aを全面に形成した状態を示している。
上部電極230は、下部電極210と対になり、圧電体層220を挟む一方の電極として機能する。上部電極230の厚みは、圧電素子200の動作に悪影響を与えない範囲であれば限定されない。上部電極230の厚みは、たとえば50〜200nmとすることができる。上部電極230の材質および形成方法は、下部電極210と同様である。図18は、パターニング前の上部電極230aを全面に形成した状態を示している。
圧電素子200は、図17および図18に示すように、圧電体層220aおよび上部電極230aを積層した後、パターニングして形成されることができる。上部電極230aおよび圧電体層220aのパターニングは、フォトリソグラフィー等の方法を用いマスク等を形成して行うことができる。またこの工程では、フォトリソグラフィー等を複数回行ってもよい。本工程のエッチングは、たとえばドライエッチング等の方法により行うことができる。なお、圧電体層220の結晶化アニールは、上部電極230を形成した後に行ってもよい。
圧電素子200は、保護層240を含むことができる。保護層240は、図19に示すように、少なくとも圧電体層220の側面に形成されることができる。図19の例では、上部電極230、下部電極210、および基体100の表面にも形成されている。保護層240は、少なくとも圧電体層220の側面に形成されれば、その効果を奏することができる。保護層240は、外部から拡散してくる水分、水素、および還元性の気体などの不純物が圧電体層220へ侵入あるいは拡散し、圧電体層220が劣化することを防止する機能を有する。すなわち保護層240は、水分等の不純物のバリア性を有している。この機能により、圧電体層220が不純物から保護され、圧電体層220の側面を伝わって流れる漏れ電流を低減するなどの効果を奏することができる。保護層240の厚みは、材質に依存するが、1〜2000nmとすることが好ましい。保護層240の厚みが1nmよりも小さいと、不純物のバリア性能が十分に得られないことがあり2000nmよりも大きいと、圧電素子200の機械的な動作を拘束してしまう場合がある。
保護層240は、不純物のバリア性が高く、ヤング率のできるだけ小さい材質で形成されることが好ましい。このような材質としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、および酸化アルミニウムなどの無機化合物、パラキシリレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシアクリレート樹脂およびシリコン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種あるいはそれらの変性体、などの有機化合物、および有機/無機ハイブリッド系材料が挙げられる。保護層240は、また、上記例示した材料から選ばれる少なくとも1種によって形成されることができる。
上記例示した材料のうち、無機化合物は、他の化合物に比較して、不純物のバリア性が高く、かつヤング率が大きい。そのため、保護層240の材質として無機化合物を用いる場合は、保護層240の厚みは、1〜1000nmとすることが好ましい。保護層240の材質として無機化合物を用いる場合は、上記例示した材質のうち、酸化シリコンが特に好ましい。また、保護層240を酸化シリコンで形成する場合は、たとえば、トリメトキシシランを原料としたCVD法によって形成することができる。トリメトキシシランを原料としたCVD法によれば、水素の発生を抑えることができ、工程中に圧電体層220を還元することが抑えられる。また、トリメトキシシランを原料としたCVD法によれば、低温で良質な保護層240を形成することができる。
一方、上記例示した材料のうち、有機化合物は、他の化合物に比較して、不純物のバリア性が低く、かつヤング率が小さい(1×1010Pa以下)。そのため、保護層240の材質として有機化合物を用いる場合は、保護層240の厚みは、100〜2000nmとすることができる。ところで上述のように、保護層240の材質は、ガスバリア性を有するものが望ましいが、有機化合物の種類によっては、ガスバリア性が小さい場合があるが、有機化合物はヤング率が小さいため、保護層240の厚みを2000nm程度まで大きくできるから広範な材料を選択しうる。
上記例示した有機化合物のうち、ヤング率が十分に小さく(1×1010Pa以下)、かつ、不純物バリア性が極めて高いことから、保護層240の材質としては、パラキシリレン系樹脂が特に好ましい。パラキシリレン系樹脂の具体例としては、poly−monochloro−paraxylylene、poly−paraxylylene等が挙げられ、それぞれ日本パリレン株式会社から、商品名パリレンC、パリレンNとして市販されているものを挙げることができる。
また、上記例示した材料のうち、有機/無機ハイブリッド材料は、他の化合物に比較して、不純物のバリア性とヤング率のバランスが良好である。そのため、保護層240の材質として有機/無機ハイブリッド材料を用いる場合は、保護層240の厚みは、1〜2000nmとすることができる。
また、有機/無機ハイブリッド材料は、nmレベルで有機成分と無機成分を複合化させたものであり、有機材料と無機材料のメリットを相乗的に高めたものである。有機/無機ハイブリッド材料の具体例としては、ポリシロキサン系の材料が挙げられる。これらの材料は、感光性を持たせることが可能であるため、マスク露光によるパターニングを容易に行うことができる。
圧電素子200には、配線250を設けることができる。配線250は、図19に示すように、上部電極230と電気的に接続し、延出している。配線250は、回路素子等に接続されることができる。圧電素子200が保護層240を有する場合は、図示のように、保護層240にスルーホールが形成されて、配線250および上部電極230が接続されてもよい。なお、必要に応じて、基体100に形成された保護層240は、除去されることができる。
1.3.圧電素子を封止する工程
図20および図21は、基体100の上方に封止板300を設け、圧電素子200を封止する工程を模式的に示す断面図である。
本工程は、基体100の上方に、「1.1.封止板を形成する工程」で述べたいずれかの封止板300を設け、圧電素子200を封止板300と基体100との間に形成される空洞500内に封止する工程である。
本工程で用いる封止板が、「1.1.封止板を形成する工程」で説明した第1の態様の封止板300の場合は、空洞500は、封止板300のエッチング領域312に対応する。また本工程で用いる封止板が、「1.1.封止板を形成する工程」で説明した第2の態様の封止板300の場合は、空洞500は、封止板300の天板344、側壁362(382)および基体100に囲まれた空間に対応する。
空洞500は、大気圧よりも圧力の小さい減圧状態であることができる。また、空洞500には、窒素、アルゴンなどの不活性ガスが充填されてもよい。
基体100および封止板300の接合方法としては、陽極接合、常温接合などの直接接合による方法、接着剤を介して接合する方法などを用いることができる。図示の例では、接着剤400によって接合されている。なお、側壁362(382)が接着機能を有する場合には、接着剤400は不要となる。基体100および封止板300を接合する工程は、減圧チャンバー内で行われてもよく、また、加圧チャンバー内で行われてもよい。さらに、基体100および封止板300を接合する工程は、加熱または冷却された環境で行われてもよい。
1.4.その他の工程
本実施形態の液体噴射ヘッドの製造方法は、上記の工程の他に、いくつかの工程が付加されることができる。
1.4.1.圧力室を形成する工程
本実施形態の液体噴射ヘッドの製造方法は、圧力室を形成する工程を含むことができる。基体100が、圧力室を有さない場合は、基体100に圧力室を形成することができる。以下は、基体100が振動板120が形成された半導体基板110である場合について説明する。なお以下は半導体基板110にシリコン基板を選択した場合を例示する。
上述の工程を経ると、図20および図21に示すような、圧電素子200が空洞500内に封止された状態が形成されている。本工程は、半導体基板110を下側(振動板120が形成された面の反対側の面側)からエッチングすることにより行われることができる。本工程を経ると、図22に示すように、半導体基板110に圧力室112となる開口112aが形成される。開口112aは、圧電素子200の下方に形成され、平面視において、圧電素子200を含むように形成される。また、本工程では、同時に半導体基板110に図示せぬ液体の流路やリザーバを形成することができる。また、本工程の前に、半導体基板110の下面側を研磨、研削する工程を有してもよい。このようにすれば、開口112aの深さを調節することができる。
開口112aは、フォトリソグラフィーを用いて半導体基板110をエッチングすることにより形成されることができる。また、振動板120の下部の材質に酸化シリコン等を選択しておけば、半導体基板110のエッチングの際のストッパ層として利用することができる。
1.5.ノズル板を設ける工程
本実施形態の液体噴射ヘッドの製造方法は、ノズル板を設ける工程を含むことができる。基体100がノズル孔またはノズル板を有さない場合は、基体100にノズル板600を設けることができる。以下は、基体100が、振動板120が形成された半導体基板110である場合であって、開口112aが形成されている場合について説明する。
上述の工程を経ると、図22に示すように、開口112aが半導体基板110に形成されている。本工程では、図23に示すように半導体基板110の下面にノズル板600を設ける。ノズル板600が半導体基板110の下面に設けられると、圧力室112が形成される。圧力室112は、振動板120、半導体基板110およびノズル板600によって区画された空間となる。
ノズル板600は、ノズル孔610を有する。ノズル板600には、複数のノズル孔610が形成されていてもよい。ノズル孔610は、圧力室112に連通するように形成される。ノズル板600は、たとえば、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、シリコン等で形成することができる。ノズル板600にノズル孔610を形成する方法としては、機械的にパンチによる方法や、イオンエッチング法またはドライエッチング法をフォトリソグラフィーなどと組み合わせた方法を用いることができる。
ノズル板600と半導体基板110との接合は、たとえば、接着剤を用いて接合する方法を用いることができる。
ノズル板600が設けられた後、たとえば、図23に示すように、ダイシングライン2に沿ってダイシングを行うことにより、個片化された液体噴射ヘッド1000を製造することができる。以上のようにして、図24に示すような、液体噴射ヘッド1000を製造することができる。
本実施形態の液体噴射ヘッドの製造方法は、封止板300の形成において、フォトリソグラフィーを用いる工程がないまたは少ない。そのため、極めて効率よく液体噴射ヘッドを形成することができる。
2.液体噴射ヘッド
図24〜図26は、本実施形態にかかる液体噴射ヘッド1000を模式的に示す断面図である。
本実施形態の液体噴射ヘッド1000は、上述した製造方法によって形成されることができ、以下のような構成を有する。
本実施形態にかかる液体噴射ヘッド1000は、ノズル板600と、圧力室板110と、振動板120と、圧電素子200と、封止板300と、を有する。
ノズル板600は、ノズル孔610を有する。ノズル孔610は、複数形成されてもよい。ノズル孔610の形成される位置は、圧力室112と連続することができる限り任意である。ノズルプレート600の材質等は「1.5.ノズル板を設ける工程」で述べた通りである。
圧力室板110は、ノズル板600の上方に設けられる。圧力室板110は、ノズル孔610に連通する圧力室112となる第1領域、および圧力室112の側壁となる第2領域を有する。圧力室板110は、複数の圧力室112を有することができる。圧力室板110の上面および下面は、互いに平行となっている。図示の例では、左右の第2領域によって、第1領域(圧力室112)が形成されている。圧力室板110に形成される圧力室112の数は任意である。圧力室板110は、各圧力室112に液体を導入する流路を有していてもよい。圧力室板110の材質としては、特に限定されないが、フォトリソグラフィーでパターニングが容易であるなどの理由で、シリコンを用いるのが好適である。
圧力室112は、ノズル板600および振動板120によって圧力室板110が挟まれることにより形成される空間である。圧力室112は、外部の液体リザーバ(図示せず)に通じていてもよい。圧力室112にはノズル孔610が通じている。液体噴射ヘッド1000が動作するとき、圧力室112には所望の液体が充填される。
振動板120は、圧力室板110の上方に設けられる。振動板120の材質は、「1.2.圧電素子を形成する工程」で述べた通りである。振動板120の機能の一つとしては、圧電素子200によって上下に振動させられるときに、圧力室112の体積が変化し、ノズル孔610から、圧力室112内の液体を噴射させることが挙げられる。
圧電素子200は、振動板120の上方、かつ第1領域の上方に設けられる。圧電素子200の材質等は「1.2.圧電素子を形成する工程」で述べた通りである。圧電素子200は、第1領域すなわち圧力室112の上方の振動板120の上方に設けられるため、圧電素子200が駆動されると、振動板120が振動する。
封止板300は、圧電素子200と、振動板120の上方に設けられる。封止板300は、振動板120との間に空洞500を形成する。そして、封止板300は、圧電素子200を空洞500内に封止する。本実施形態の液体噴射ヘッド1000の封止板300の材質は、ガラスを含む。封止板300の詳細は、「1.1.封止板を形成する工程」で述べたとおりである。なお、図26に示すように、封止板300は、複数の圧電素子200を封止してもよい。
本実施形態の封止板300は、上述の方法によって形成される。そのため、図24ないし図26に示すように、封止板300の側面は、外側に向かって凸の形状の曲面を有している。この形状は、上述したように、レーザー光10を用いてガラス基板310にエッチング領域312を形成することにより容易に形成されることができる。
封止板300の側面がこの形状を有することにより、たとえば、次のような効果がある。図25に示すように、液体噴射ヘッド1000には、封止板300の側面付近にリード配線700が設けられる場合がある。たとえば、リード配線700の一方の端が、圧電素子200の電極(基体100の表面付近であって、封止板300の側方)に接続する配線に接続され、他方の端が、外部の回路等に接続される場合がある。図25では、リード配線700の他方の端は、封止板300の上方に設けられた圧電素子200を制御する回路素子800に接続される例を示している。このような場合、ガラスで形成された封止板300の側面付近に鋭利な部位が存在すると、振動等によりリード配線700が該部位に接触して断線してしまう場合がある。本実施形態の液体噴射ヘッド1000の封止板300の側面は、外側に向かって凸の形状の曲面を有しているため、このようなリード配線700の断線を抑制することができる。
また、封止板300は、ガラスを含んで形成される。そのため、液体噴射ヘッド1000の内部(圧電素子や配線等)を非破壊で外部から観察することができる。そのため、品質管理や、不良箇所のチェックが極めて容易である。したがって、液体噴射ヘッド1000は、メンテナンスが容易であり、信頼性が高い。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
本発明にかかる液体噴射ヘッドの製造方法は、封止板の形成において、フォトリソグラフィー技術を用いる工程がないまたは少ない。そのため、極めて効率よく液体噴射ヘッドを形成することができる。また、本発明にかかる液体噴射ヘッドは、メンテナンスが容易であり、信頼性が高い。そのため、インクジェットプリンター等の信頼性を高めることができる。
1…物体、2…ダイシングライン、10…レーザー光、12…焦点、14…高密度領域、
16…回折格子、20…マスク層、100…基体、110…半導体基板、
112…圧力室、120…振動板、200…圧電素子、210…下部電極、
220…圧電体層、230…上部電極、240…保護層、250…配線、
300…封止板、310,340…ガラス基板、312,342…エッチング領域、
314…領域、320…窪み、344…天板、360…感光性接着シート、
362,382…側壁、380…感光性接着剤層、400…接着剤、500…空洞、
600…ノズル板、610…ノズル孔、700…リード配線、800…回路素子、
1000…液体噴射ヘッド

Claims (11)

  1. 基体の上方に圧電素子を形成する工程と、
    封止板を形成する工程と、
    前記基体の上方に前記封止板を設け、前記圧電素子を封止する工程と、
    を含み、
    前記封止板を形成する工程は、
    ガラス基板を準備する工程と、
    前記ガラス基板にレーザー光を照射してエッチング領域を形成するレーザー照射工程と、
    前記エッチング領域をウエットエッチングによって除去する工程と、
    を含む、液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記封止板を形成する工程は、
    さらに、前記ガラス基板に感光性接着シートを貼付する工程と、
    前記感光性接着シートをパターニングする工程と、
    を含む、液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 請求項1において、
    前記封止板を形成する工程は、
    さらに、前記ガラス基板に感光性接着剤を塗布する工程と、
    前記感光性接着剤をパターニングする工程と、
    を含む、液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    さらに、前記ガラス基板にマスク層を形成する工程と、
    前記マスク層をパターニングする工程と、
    を含む、液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記レーザー照射工程は、10フェムト秒〜10ピコ秒のパルス幅を有するレーザー光を用いて行われる、液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    前記レーザー照射工程は、回折格子によって分岐されたレーザー光を用いて行われる、液体噴射ヘッドの製造方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
    前記レーザー照射工程は、前記ガラス基板にレジスト層を形成し、前記エッチング領域の前記レジスト層を除去した後に行われる、液体噴射ヘッドの製造方法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項において、
    前記基体は、上面に振動板が形成された半導体基板であり、
    前記半導体基板を下側からエッチングすることにより、前記圧電素子に対応する圧力室を形成する工程と、
    前記半導体基板の下面に前記圧力室に連通するノズル孔が形成されたノズル板を設ける工程と、
    を含む、液体噴射ヘッドの製造方法。
  9. ノズル孔が形成されたノズル板と、
    前記ノズル板の上方に設けられ、前記ノズル孔に連通する圧力室となる第1領域および前記圧力室の側壁となる第2領域を有する圧力室板と、
    前記圧力室板の上方に設けられた振動板と、
    前記振動板の上方、かつ前記第1領域の上方に設けられた圧電素子と、
    前記振動板の上方に設けて前記振動板との間に空洞を形成し、前記圧電素子を前記空洞内に封止する封止板と、
    を有し、
    前記封止板の材質は、ガラスを含み、
    前記封止板の側面は、外側に向かって凸の形状の曲面である、液体噴射ヘッド。
  10. 請求項9において、
    前記ノズル孔、前記圧力室および前記圧電素子は、それぞれ複数形成され、
    前記封止板は、複数の前記圧電素子を1つの前記空洞内に封止する、液体噴射ヘッド。
  11. 請求項9または請求項10に記載の液体噴射ヘッドを含む、液体噴射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102376524A (zh) * 2010-08-24 2012-03-14 汎铨科技股份有限公司 半导体元件的两阶段封胶去除方法及镭射开槽加工装置
JP2012171245A (ja) * 2011-02-22 2012-09-10 Ricoh Co Ltd インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
JP2012177661A (ja) * 2011-02-28 2012-09-13 Denso Corp 半導体装置の製造方法
JP2012187891A (ja) * 2011-03-14 2012-10-04 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッドの製造方法

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