JP2006239744A - 金属板表面への転写方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 転写工具を用いて被転写材の金属板表面に凹凸形状を転写する際に、転写工具への負荷応力を軽減して工具表面の凹凸形状を損傷し難くし、かつ転写形状の寸法精度を向上させる金属板表面への転写方法を提供することである。
【解決手段】 表面に微細な凹凸が加工された転写ロール3、3aを金属板1の表面側および裏面側に、金属板1を挟んで曲げロール2、2aに対向するように設けて転写ユニットU1、U2をそれぞれ形成し、曲げロール2、2aによる曲げ加工表面に転写ロール3、3aを押し付けて金属板1に微細な凹凸を形成するようにしたのである。金属板1の曲げ加工表面は降伏応力状態となっており、低い転写圧力で微細凹凸形状の転写が可能となる。また、塑性変形域は金属板1の表層部に局在化しているため、微細な凹凸の転写精度は良好であり、転写ロール寿命も向上する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、曲げ加工を利用して金属板の表面に微細な凹凸パターンを形成させる金属板表面の転写方法に関する。
装飾性や塗装鮮映性の向上等を目的として、金属板の表面に凹凸パターン(模様)を転写するために、転写ロールの表面に凹凸形状を形成させる方法については、例えば、特許文献1では、マイクロリソグラフィ法を用いて、圧延ロールの表面に2種類以上の同一パターンまたは異種パターンを形成し、圧延により金属板表面に装飾性に優れたパターンを転写する装飾用金属板の製造方法が開示されている。また、特許文献2では、リソグラフィ法などの微細加工方法により、圧延ロールの表面に凹凸加工を施して凹凸パターンを形成した後、この表面の凸部を研磨加工して微小なうねりを研削する圧延ロールの表面加工方法が開示されている。さらに、特許文献3では、圧延方向に並列し、ロール軸方向に千鳥配列の、一辺の長さが50〜500μmの微視的な矩形状の凸部と、これを囲む網目状の凹部を表面にレーザー加工およびその後のエッチング処理により形成した圧延ロールを用いて、冷延鋼板に塗装鮮映性と、潤滑油保持性のよい、優れた加工性を付与する方法が開示されている。
特開平5−177207号公報 特開平5−69014号公報 特開平7−9015号公報
しかし、特許文献1および2に開示されたリソグラフィによる方法では、非常に精密な凹凸パターンの形成は可能であるが、ロール表面にリソグラフィ加工を施すために多くの時間を要し、ロール加工コストが非常に高くなる。また、特許文献1から3に開示された、微小凹凸形状を表面に付与した転写ロールを用いてスキンパス圧延などの圧延加工により金属板の表面に凹凸パターンを形成する方法では、ロール表面に凹凸形状を高精度に加工・付与しても、転写圧延中に、前記微小凹凸形状に大きな圧力が作用するため、この凹凸部の摩耗やチッピングが発生し、また圧延粉による凹部の目詰まりなども発生して、転写ロールの耐久性、即ちロール寿命が低下する問題があった。このため、微小凹凸の形状改善や、ロール表層部に硬質めっきを施すなどの対策が採られてきたが、十分なロール寿命を実現するまでには至らず、ロール再研磨を繰り返す必要があり、ロール加工コストが高くなっていた。また、スキンパス圧延による転写では、ロールバイト内で被転写材の金属板が圧延方向に伸びるため、図9に圧延方向の断面について模式的に示すように、ロール表面の凸形状により金属板1aに転写された凹形状19は、圧延中に生じるロールと金属板1aとの相対すべりにより正確に転写されず、転写形状の寸法精度、即ち転写精度上の問題もあった。
そこで、この発明の課題は、転写工具を用いて被転写材の金属板表面に凹凸形状を転写する際に、転写工具への負荷応力を軽減してその表面の凹凸形状が損傷し難くし、かつ、転写精度を向上させる金属板表面への転写方法を提供することである。
前記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
即ち、請求項1に係る金属板表面への転写方法は、金属板の表面に転写工具を用いて微細な凹凸を形成させる金属板表面への転写方法であって、前記金属板の曲げ加工表面に前記転写工具を押し付けることにより、前記微細な凹凸を形成させることを特徴とする。
上記金属板の曲げ加工表面の応力状態は降伏応力状態となっており、金属板は、例えば、通常の圧延の1/10〜1/100程度の、転写工具からの低い圧縮応力により容易に変形することが可能であるため、低い転写圧力で微細凹凸形状の金属表面への転写が可能となる。従って、転写工具への負荷応力は軽微なものとなり、フォトリソグラフィなどの加工法によって微細な凹凸が形成された転写工具表面の摩耗は、転写量が多くなっても殆んど問題とならない。また、曲げ加工による塑性変形域は金属板の表面に局在化しているため、金属板全体の塑性変形は少なく、転写工具に形成された微細な凹凸の転写精度は良好であり、工具寿命も向上する。
請求項2に係る金属板表面への転写方法は、前記転写工具が表面に微細な凹凸を加工した転写ロールであり、この転写ロールを、金属板を挟んで曲げロールに対向するように設けて転写ユニットを形成し、前記曲げロールにより形成される曲げ加工表面に前記転写ロールを押し付けて金属板の表面に微細な凹凸を形成するようにしたことを特徴とする。
このようにすれば、金属板の表面の曲げ加工面に、前記転写ロールを容易に押し付けることができ、金属板の表面に、小さな加工力、即ち転写圧力で連続的に微細な凹凸を転写することが可能となる。
請求項3に係る金属板表面への転写方法は、前記転写工具が表面に微細な凹凸を加工した転写ロールであり、この転写ロールを、金属板を挟んで曲げロールに対向するように設けて転写ユニットを形成し、前記転写ユニットの両側に支持ロールをそれぞれ設け、前記曲げロールで金属板を前記支持ロール間に押し込むことにより形成される曲げ加工表面に前記転写ロールを押し付けて金属板の表面に微細な凹凸を形成するようにしたことを特徴とする。
このようにすれば、曲げロールの押し込み量を調節することにより、金属板の曲げ半径を容易に変更することができるため、この押し込み量を適正化することによって、所望の板厚の金属板を通板させて、前記転写ロールにより微細な凹凸形状を転写することが可能となる。また、この転写ユニットを、通常のロールレベラに組み込むことも可能である。
請求項4に係る金属板表面への転写方法は、前記転写工具が、表面に転写形状を加工した高硬度の金属板をループ状に成形した転写フープ部材と、この転写フープ部材の内周側に配置された送り用ロールからなり、この転写工具を、金属板を挟んで曲げロールに対向するように設けて転写ユニットを形成し、前記曲げロールにより形成される曲げ加工表面に前記転写工具を押し付けて金属板の表面に微細な凹凸を形成するようにしたことを特徴とする。
このように、転写工具にループ状の転写フープ部材を用いることにより、転写ロールの直径を大径化しなくても、転写フープに形成した周期の長い転写形状を金属板に形成することが可能となる。
請求項5に係る金属板表面への転写方法は、前記転写ロールを、前記曲げロールによる加工工程の曲げ戻し過程で金属板に押し付けるようにしたことを特徴とする。
このように、曲げ戻し工程で転写ロールを金属板に押し付けることにより、転写された微細な凹凸の形状が変化しないため、転写形状の良好な寸法精度を保つことができる。
請求項6に係る金属板表面への転写方法は、前記転写ロールが金属板の表面側および裏面側の曲げ加工表面をそれぞれ押し付けるように、前記転写ユニットを金属板の通板方向に沿って2基配置して一対の転写ユニットを形成するようにしたことを特徴とする。
このようにすれば、金属板の表裏両面に微細な凹凸パターンを転写することが可能となる。
請求項7に係る金属板表面への転写方法は、前記一対の転写ユニットを金属板の通板方向に沿って少なくとも2組配置し、各一対の転写ユニットの転写ロールに、それぞれ異なる形状の微細な凹凸を形成し、これらの微細な凹凸の複合パターンを金属板の表面に形成するようにしたことを特徴とする。
このようにすれば、前段側の一対の転写ユニットの転写ロールに、例えば、大きな寸法の凹形状を形成し、後段側の一対の転写ユニットの転写ロールに、前段側転写ロールにより金属板に転写された大きな寸法の凸形状に、微細な表面加工ができる凹凸形状を形成することができる。それにより、転写ロールの加工コストが安い大きな寸法の凹形状と、同加工コストが高い微細な凹凸形状とを自由に組み合わせた複合パターンを金属板に形成することが可能となり、形状の自由度が高い表面転写を実現することができる。また、前記2つの凸形状を1つの転写ロールに形成する場合に比べて、ロール加工コストが割安となる。
請求項8に係る金属板表面への転写方法は、前記金属板の表面側および裏面側に設けた曲げロールの背面に、そのロール軸方向に分割された押圧手段を設け、この押圧手段により、前記曲げロールと前記転写ロール間の転写圧力がロール軸方向に均一になるようにしたことを特徴とする。
転写ロールを用いた表面転写では、転写形状を均一にするために、曲げロールおよび転写ロールと金属板との接触幅方向に面圧を均一にする必要がある。例えば、バックアップロールなどの押圧手段をロール軸方向に分割して配置することにより、分割したそれぞれのバックアップロールの、曲げロールに対する押し込み量、即ち押圧力を変化させることにより、前記接触幅方向に面圧を均一にして転写することが可能となる。
この発明では、転写工具に形成された微細な凹凸形状の金属板表面への転写を、この金属板の曲げ加工表面に転写工具を押し付けることにより行なうようにしたので、曲げ加工による、降伏応力状態にある塑性変形域が金属板の表層部に局在化するため、転写圧延の場合に比べて、低い転写圧力で微細凹凸形状の金属表面への精密な転写が可能となる。また、転写圧力が低くて済むため、転写工具への負荷応力も小さくなり、微細な凹凸が形成された転写工具表面の摩耗は認められず、工具寿命が向上し、工具寿命の面から転写圧延では難しかった大面積の金属板表面に安価に微細凹凸パターンを形成することが可能となる。
さらに、金属板の曲げ加工表面に転写工具を連続的に押し付けて転写を行なうことができるため、形成された転写表面は、一定ピッチの規則正しい凹凸パターンが形成されて装飾性の優れた外観を有する。そして、転写された凹凸パターンにより表面積が増加しているため、放熱性に優れた材料として使用することも可能となる。これらに加えて、金属板に転写された凹凸パターンは、ピッチと深さが揃っているため、表面の凹凸がランダムで凹部の深さがサブミクロンのオーダーである通常の圧延材に比べて、アンカリング効果による塗膜樹脂(塗料)との密着性が向上して塗装鮮映性にも優れる。
以下に、この発明の実施形態を添付の図1から図8に基づいて説明する。
図1は、実施形態の金属板表面への転写方法で使用する転写ラインのロール配列を示したものである。金属板1の裏面側および表面側に、矢印Aで示した通板方向に沿って、曲げロール2、2aが配置され、金属板1を挟んで、この曲げロール2、2aに対向して、フォトリソグラフィなどの加工法によって、ロール表面に微細な凹凸形状が形成された転写ロール3、3aが配置されて転写ユニットU1およびU2がそれぞれ形成され、この2基の転写ユニットU1、U2により、金属板1の表面および裏面に、微細な凹凸形状を転写する一対の転写ユニットが形成されている。そして、この一対の転写ユニットの入側および出側に、金属板1の支持ロール4、4aが配置されている。図1に示したように、曲げロール2、2aによる曲げ加工工程での曲げ戻し過程にある金属板1の曲げ加工表面に、転写ロール3、3aをそれぞれ押し付けることにより、転写ロール3、3aの表面に形成された微細な凹凸が、金属板1の表面および裏面にそれぞれ連続的に転写される。
1例を示すと、前記転写ロール3、3aは、ロール径がφ150mmであり、その表面には、幅1μm、深さ1μmのロール周方向に連続した微細溝が、1μmの等間隔でロール幅方向に形成されている。また、前記金属板1は、板厚が0.3mmの純アルミのブライト仕上げ板である。金属板1は、曲げロール2、2aにより受ける曲げ変形で、その表層部は、降伏応力状態にあるため、転写ロール3、3aを小さな圧力で押し付けることにより、即ち小さな圧縮応力で曲げ加工表面は容易に変形し、前記微細溝が金属板1に転写され、その表面および裏面に微細な凹凸パターンが形成される。曲げロール2、2aによる曲げ加工による塑性変形域は、金属板1の表層部に局在化しており、金属板1全体の塑性変形が非常に少ないため、前記微細溝の転写精度は良好である。また、この転写では、転写ロール3、3aの押し当て圧力が小さくて済むため、転写ロール3、3aの摩耗は、転写量が多くなっても殆んど認められない。図1に示したロール配列は、0.3mm程度と比較的薄い板厚に対して適正化された配列例である。なお、前記曲げ加工表面を転写ロール3、3aに押し付けて前記微細な凹凸パターンを形成することも可能である。前記微細な凹凸パターン(転写パターン)を金属板の片面だけに形成する場合には、支持ロール4、4a間に転写ユニットU1またはU2のいずれか一方を設ければよい。
図2は、他の実施形態で使用する転写ラインのロール配列を示したものである。金属板1の表面側および裏面側に、この金属板を挟んで曲げロール2、2aに対向するようにそれぞれ転写ロール3、3aを設けて転写ユニットU1およびU2が形成され、前記転写ユニットU1、およびU2のそれぞれの両側に、一対の支持ロール4、4a、および4b、4cが配置されている。各転写ユニットU1、U2で、曲げロール2、2aにより金属板1を前記支持ロール間に押し込むことにより形成される曲げ加工表面に転写ロール3、3aをそれぞれ押し付けることにより、転写ロール3、3aの表面に形成された微細な凹凸が金属板1の表面および裏面に転写される。この場合も、それぞれの転写ユニットU1、U2で、表層部が降伏応力状態にある金属板1に転写ロール3、3aが押し付けられるため、図1に示した場合と同様に、小さな押圧力(転写圧力)で、金属板1の表面に微細な凹凸が転写され、転写精度も良好である。また、転写ロール3、3aの摩耗防止の面からも有利である。さらに、金属板1の表層部が降伏応力状態にある条件、即ち塑性変形する条件は、曲げ半径、金属板1の板厚およびヤング率に依存し、曲げロール2、2aの押し込み量Sを変化させることにより金属板1の曲げ半径を容易に変更することができるため、押し込み量Sを適正化することにより、所望の板厚の金属板1を通板させて、その表面に微細な凹凸パターンを形成することが可能である。例えば、金属板1が純アルミの場合(ヤング率E=70000MPa、降伏応力σy=100MPa)の場合、押し込み量Sを調節して曲げ半径を75mmとした場合には、板厚が約0.2mm以上の金属板で、その表面に、前述のように、容易に微細な凹凸パターンを形成することが可能である。曲げ半径をさらに小さくすることにより、板厚0.2mm以下の金属板にも転写可能である。また、実機での連続通板時に、前記曲げロールにより金属板を安定的に曲げるためには、金属板の板厚の上限は10mm程度が望ましい。なお、前記曲げ加工表面を転写ロール3、3aに押し付けて前記微細な凹凸パターンを形成することも可能である。また、前記微細な凹凸パターンを、金属板1の片面だけに転写する場合には、前記転写ユニットU1またはU2のいずれか一方を転写ラインに設けるだけでよい。上記転写ユニットU1、U2は、通常のロールレベラに組み込むことも可能である。
前記転写ロールの直径は、金属板表面に形成する転写パターンにより決定される。転写パターンが均一パターンの場合には、ロール加工コストが安い小径ロールが採用され、転写パターン周期が長い場合には、転写パターンの1周期の長さに対応するロール直径が必要である。しかし、周期が非常に長い転写パターンが必要な場合には、そのような長い転写形状を転写ロールに形成するために、転写ロールの直径を非常に大きくする必要がある。このような大きな直径の転写ロールは、製造そのものが困難であり、また、製造できたとしてもロール加工コストが非常に高くなる。図3(a)〜(c)は、このような場合の転写方法を示すものである。まず、図3(a)に示したように、高硬度の金属板素材(精密打抜き板)5の表面に、フォトリソグラフィなどのエッチング加工により、矢印Bで模式的に示した転写形状(転写原形)を形成する。次に、図3(b)に示したように、前記金属板材5を円筒状に曲げて、その両端部E、Eを接合してループ状の転写フープ部材6を形成する。そして、図3(c)に示したように、転写フープ部材6を3つの送り用ロール7a、7b、7cに掛け渡して転写工具8を形成し、この送り用ロール7a〜7cの中の1つのロール、例えば、送り用ロール7aを転写ロールとして、曲げロール2に対向させ、曲げロール2による曲げ加工工程の曲げ戻し過程で金属板1の曲げ加工表面にベルト形式で押し付けるように配置して、曲げロール2と転写工具8からなる転写ユニットを形成することができる。このようにすれば、転写ロールの直径を大径化しなくても、転写フープ部材6に形成された周期の長い転写形状を金属板1に形成することが可能となる。なお、前記曲げロール2および転写フープ部材6を、金属板1の通板方向に、金属板1に対して、図3(c)に示した位置とは反対側に配置することにより、金属板1の表面側および裏面側ともに、周期の長い転写形状を形成することが可能である。
図4は、図1に示した一対の転写ユニットU1およびU2を、金属板1の通板方向Aに沿って複数基、例えば2基配置した転写ラインを示したものである。転写ロール3、3aの転写面には、図5(a)に示すように、大きな寸法の凸形状を転写できる凹形状9が形成され、転写ロール3b、3cの転写面には、図5(b)に示すように、微細溝10が、その溝幅と等しい間隔で形成されている。このような転写ロール3、3a、および3b、3cの配列にすると、前段側の一対の転写ユニットU1およびU2で転写ロール3、3aにより、金属板1に大きな寸法の凸形状9aを転写し(図5(c)参照)、後段側の一対の転写ユニットU3およびU4で転写ロール3b、3cにより、前段側転写ユニットU1およびU2で転写された凸形状9aの表面に微細な凹凸溝形状10を転写することが可能となる(図5(d)参照)。従って、ロール加工コストの安い大きな転写形状を加工した転写ロール3、3aと、同加工コストの高い微細転写形状を加工した転写ロール3b、3cを自由に組み合わせた、転写形状の自由度が高い複合パターンを金属板1の表裏両面に形成することが可能となる。また、前記2つの転写形状を1つの転写ロールに形成する場合に比べて、ロール加工コストが割安となる。同様に、図2に示した一対の転写ユニットU1およびU2を、金属板1の通板方向Aに沿って複数基配置することも可能である。なお、金属板1の片側表面、例えば図示上面側のみに転写形状を形成する場合には、転写ロールが金属板の片側表面のみを押し付けるように、例えば、転写ユニットを金属板1の通板方向に2基配置する場合には、転写ユニットU1およびU3のみ用いればよい。
図6は、図2に示した、転写ユニットU1、U2の曲げロール2、2aと、転写ロール3、3a間の転写圧力をロール軸方向、即ち被加工材の金属板1の幅方向に均一にするための押圧手段を示したもので、前記曲げロール2、2aの背面に、そのロール軸方向に分割された押圧手段として、バックアップロール11a〜11eが、それぞれ配置されている。曲げロール2、2aに対する各バックアップロール11a〜11eの押圧力をロール軸方向に調整することにより、前記転写圧力を金属板1の幅方向に均一に作用させることができ、良好な転写精度が実現される。
図7は、図2に示した、転写ユニットU1、U2の曲げロール2、2aと、転写ロール3、3a間の転写圧力をロール軸方向、即ちに均一にするための押圧手段の他の形態を示したものである。前記曲げロール2、2aは、その外殻部12を芯材13に焼嵌めにより固定した焼嵌めロールであり、芯材13の外周面には、ロール軸方向に沿って、周方向に複数の凹所14が設けられ、この凹所14と外殻部12の内周面とで分割油圧室15が形成されている。そして、芯材13の端面から、分割油圧室15に達するように、作動油の供給溝16がそれぞれ設けられ、外殻部12の内周面側に、ロール軸方向に沿って、個別に調整できる内圧付加を可能とした押圧手段が形成されている。このようにして、ロール軸方向に沿って、付加する内圧を調整することにより、転写圧力を金属板1の幅方向に均一に作用させることができ、良好な転写精度が得られる。
図8は、図2に示した、転写ユニットU1、U2の曲げロール2、2aと、転写ロール3、3a間の転写圧力をロール軸方向に、即ち金属板1の幅方向に均一にするための押圧手段の代わりに、曲げロール2、2aの背面に近接して、そのロール軸方向に沿って、部分加熱用ヒータ17が配置されている。この部分加熱用ヒータ17により、曲げロール2、2aのプロファイルを制御することによっても、転写圧力を金属板1に均一に作用させることが可能であり、良好な転写精度を得ることができる。
なお、図6から図8に示した押圧手段は、図1、図3および図4に示した実施形態の、それぞれの曲げロールにも適用することが可能である。
実施形態の転写方法で使用する転写ラインのロール配列を示す説明図である。 他の実施形態の転写方法で使用する転写ラインのロール配列を示す説明図である。 (a)他の実施形態で使用する転写工具の素材の金属板材を模式的に示す説明図である。(b)(a)の金属板材用いて形成した転写フープ部材を模式的に示す説明図である。(c)(b)の転写フープ材を転写工具に用いた転写ラインを示す説明図である。 複数の転写ユニットを配列した転写ラインの1例を示す説明図である。 (a)転写ロールに形成する大きい寸法の転写形状の模式的説明図である。(b)転写ロールに形成する微細な転写形状の模式的説明図である。(c)金属板に形成された大きい寸法の転写形状の模式的説明図である。(d)(c)の転写形状に微細形状が転写された複合転写パターンの模式的説明図である。 転写圧力を均一にするための装置例を示す説明図である(分割バックアップロールを用いる場合)。 同上(分割式焼嵌めロールを用いる場合) 同上(部分加熱用ヒータを用いる場合) 圧延中のロールと金属板との相対すべりによる、変形した転写形状の模式的説明図である。
符号の説明
1・・・金属板
2、2a〜2c・・・曲げロール
3、3a〜3c・・・転写ロール
4、4a〜4c・・・支持ロール
5・・・金属板素材
6・・・転写フープ部材
7a〜7c・・・送り用ロール
8・・・転写工具
9・・・凹形状
9a・・・転写凸形状
10・・・微細溝形状
10a・・・転写微細溝形状
11a〜11e・・・バックアップロール
12・・・外殻部
13・・・芯材
14・・・凹所
15・・・分割油圧室
16・・・供給溝
17・・・部分加熱用ヒータ
U1、U2、U3、U4・・・転写ユニット

Claims (8)

  1. 金属板の表面に転写工具を用いて微細な凹凸を形成させる金属板表面への転写方法であって、前記金属板の曲げ加工表面に前記転写工具を押し付けることにより、前記微細な凹凸を形成させることを特徴とする金属板表面への転写方法。
  2. 前記転写工具が表面に微細な凹凸を加工した転写ロールであり、この転写ロールを、金属板を挟んで曲げロールに対向するように設けて転写ユニットを形成し、前記曲げロールにより形成される曲げ加工表面に前記転写ロールを押し付けて金属板の表面に微細な凹凸を形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の金属板表面への転写方法。
  3. 前記転写工具が表面に微細な凹凸を加工した転写ロールであり、この転写ロールを、金属板を挟んで曲げロールに対向するように設けて転写ユニットを形成し、前記転写ユニットの両側に支持ロールをそれぞれ設け、前記曲げロールで金属板を前記支持ロール間に押し込むことにより形成される曲げ加工表面に前記転写ロールを押し付けて金属板の表面に微細な凹凸を形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の金属板表面への転写方法。
  4. 前記転写工具が、表面に転写形状を加工した高硬度の金属板をループ状に成形した転写フープ部材と、この転写フープ部材の内周側に配置された送り用ロールからなり、この転写工具を、金属板を挟んで曲げロールに対向するように設けて転写ユニットを形成し、前記曲げロールにより形成される曲げ加工表面に前記転写工具を押し付けて金属板の表面に微細な凹凸を形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の金属板表面への転写方法。
  5. 前記転写ロールを、前記曲げロールによる加工工程の曲げ戻し過程で金属板に押し付けるようにしたことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の金属板表面への転写方法。
  6. 前記転写ロールが金属板の表面側および裏面側の曲げ加工表面をそれぞれ押し付けるように、前記転写ユニットを金属板の通板方向に沿って2基配置して一対の転写ユニットを形成するようにしたことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の金属板表面への転写方法。
  7. 前記一対の転写ユニットを金属板の通板方向に沿って少なくとも2組配置し、各一対の転写ユニットの転写ロールに、それぞれ異なる形状の微細な凹凸を形成し、これらの微細な凹凸の複合パターンを金属板の表面に形成するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の金属板表面への転写方法。
  8. 前記曲げロールの背面に、そのロール軸方向に分割された押圧手段を設け、この押圧手段により、前記曲げロールと前記転写ロール間の転写圧力がロール軸方向に均一になるようにしたことを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の金属板表面への転写方法。
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