JP2006239698A - アルミニウム製の熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】接合界面が高真空でなくても充分な接合強度を確保して拡散接合がなし得える接合信頼性の高いアルミニウム製の熱交換器を提供する。
【解決手段】
アルミニウム合金からなる熱交換器構成部品3,5,6,7を拡散接合して製造されるアルミニウム製の熱交換器1であって、熱交換器構成部品3,5,6,7の接合部が0.2〜0.6重量%のマグネシウム濃度を含む。接合部を0.2〜0.6重量%のマグネシウム濃度を含むようにしたので、熱交換器1のうち真空度が上がり難い内部構造の部位まで充分な接合を図ることが可能となる。また、本発明によれば、全般に真空度を下げることが可能となり、マグネシウム,亜鉛等のアルミに比べて蒸気圧の高い添加元素の蒸発を抑えることができ、炉内の汚染を防止できると共に所定元素の目減りを減少できる。
【選択図】図3
【解決手段】
アルミニウム合金からなる熱交換器構成部品3,5,6,7を拡散接合して製造されるアルミニウム製の熱交換器1であって、熱交換器構成部品3,5,6,7の接合部が0.2〜0.6重量%のマグネシウム濃度を含む。接合部を0.2〜0.6重量%のマグネシウム濃度を含むようにしたので、熱交換器1のうち真空度が上がり難い内部構造の部位まで充分な接合を図ることが可能となる。また、本発明によれば、全般に真空度を下げることが可能となり、マグネシウム,亜鉛等のアルミに比べて蒸気圧の高い添加元素の蒸発を抑えることができ、炉内の汚染を防止できると共に所定元素の目減りを減少できる。
【選択図】図3
Description
本発明は、アルミニウム製の熱交換器に関し、詳細には、拡散接合して製造されるアルミニウム製の熱交換器に関するものである。
一般に、自動車の熱交換器は、ろう材を用いたろう接法によって、熱交換器構成部品同士を接合して組み立てている。しかし、内部構造が複雑な熱交換器をろう接法によって組み立てようとすると、ろう材による目詰まりやエロージョンが発生する。そこで、これらの問題を解決するために、所望の真空雰囲気中で熱交換器構成部品同士を加熱加圧することで接合一体化する拡散接合方法により熱交換器を製造する試みがなされている。
しかしながら、この拡散接合法でアルミニウム合金を接合する場合には、接合面には強固なアルミナ表面酸化皮膜が存在することから、この皮膜がアルミニウム合金同士の接合を妨害する。アルミナ表面酸化皮膜を除去するには、物理的方法或いは化学的方法がある。
化学的方法の一例としては、例えば、高真空中(10-5Toor)で拡散接合を行い、その際にアルミニウム合金中に含まれるマグネシウムでアルミニウム合金面間のアルミナ表面酸化皮膜を還元する方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
かかる方法において、ある時間内に接合面間のアルミナ表面皮膜を還元するには、アルミニウム合金中のマグネシウム量として、最低限の必要濃度があり(最低限の必要濃度が存在し)、その下限は約0.2重量%である。マグネシウムによるアルミナの還元反応は、次の2式で示される。
Al2O3+3/4Mg→3/4MgAl2O4+1/2Al…(1)式
Al2O3+3Mg→3MgO+2Al… (2)式
アルミニウム合金中のマグネシウム量の増加によって、反応(2)式が支配的となる。いずれの反応もアルミニウム合金の融点以下の接合温度でも進行する。この反応で接合面間の酸化皮膜は球状の反応生成物MgAl2O4 とMgO(マグネシア)に変化する。その結果、金属接合部が増加して接合強さが大幅に向上する。アルミニウム合金中のマグネシウムが2重量%以上となると、高真空で接合したとしても、接合面間でのアルミニウムも酸化され、接合面間の表面酸化皮膜は、アルミナ中にマグネシヤが混在するようになり、合金中のマグネシウム量の増加とともに、このマグネシヤが増加する。接合表面にマグネシヤが存在すると、アルミニウム合金中のマグネシウムでは、マグネシヤを還元できず、接合が不可能となる。
Al2O3+3Mg→3MgO+2Al… (2)式
アルミニウム合金中のマグネシウム量の増加によって、反応(2)式が支配的となる。いずれの反応もアルミニウム合金の融点以下の接合温度でも進行する。この反応で接合面間の酸化皮膜は球状の反応生成物MgAl2O4 とMgO(マグネシア)に変化する。その結果、金属接合部が増加して接合強さが大幅に向上する。アルミニウム合金中のマグネシウムが2重量%以上となると、高真空で接合したとしても、接合面間でのアルミニウムも酸化され、接合面間の表面酸化皮膜は、アルミナ中にマグネシヤが混在するようになり、合金中のマグネシウム量の増加とともに、このマグネシヤが増加する。接合表面にマグネシヤが存在すると、アルミニウム合金中のマグネシウムでは、マグネシヤを還元できず、接合が不可能となる。
つまり、アルミニウム合金のマグネシウムでアルミナ表面酸化皮膜を還元する条件としては、拡散接合雰囲気を高真空(10-5Toor)とし、且つ、マグネシウム濃度を0.2〜2重量%とする必要がある。
特開昭63−220987号公報(第1頁から第3頁)
ところが、実際の熱交換器では、複雑な構造をしており内部は迷路構造とされているため、熱処理時に必ずしも炉中雰囲気のように充分還元性のある正常雰囲気(高真空)になり難い。つまり、熱交換器の内部のような複雑な部位では、接合雰囲気が高真空であっても高真空に排気することは困難である。
特に、拡散接合で熱交換器を製造する場合は、その特性を活かした微細構造になることが多く、さらに治具などで開口部が塞がれること等もあり、この傾向が強くなる。すなわち、接合雰囲気が高真空(3×10−3Pa)であっても、微細構造部位では高真空(3×10−3Pa)に排気することは難しい。
そのためには、高真空(3×10−3Pa)から低真空まで接合性の良い材料を用いる必要がある。本発明では低真空の極限としてロータリーポンプでの排気真空度を目安に3Paでのアルミ合金の接合性を検討した。
接合雰囲気が高真空(3×10−3Pa)では、マグネシウムを含むアルミニウム合金の拡散接合では、最適なマグネシウム量は0.2〜2重量%である。しかし、低真空(3Pa)でアルミニウム合金を接合した際には、最適なマグネシウム量は0.2〜0.6重量%である事が明らかとなった。すなわち、接合雰囲気圧力が上昇すると、接合面間が酸化されやすくなり、表面皮膜アルミナ中にマグネシヤが混在しやくなるが、マグネシウム量を0.6重量%以下に制御すると、接合面間にマグネシヤの形成がなく、マグネシウムの還元反応を利用して、強い接合部を形成できる事が明らかとなった。
そこで、本発明は、接合界面が高真空でなくても充分な接合強度を確保して拡散接合がなし得える接合信頼性の高いアルミニウム製の熱交換器を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、アルミニウム合金からなる熱交換器構成部品を拡散接合して製造されるアルミニウム製の熱交換器であって、前記熱交換器構成部品の接合部が0.2〜0.6重量%のマグネシウム濃度であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアルミニウム製の熱交換器であって、前記アルミニウム合金として3003合金(JIS規格)を使用したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のアルミニウム製の熱交換器であって、前記熱交換器の接合部表面に1〜5重量%の亜鉛を追加した当該アルミニウム合金を、他の表面には1〜5重量%の亜鉛を追加した当該アルミニウム合金又は1〜5重量%亜鉛濃度の犠牲防食用アルミニウム合金をクラッドしたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項3に記載のアルミニウム製の熱交換器であって、前記熱交換器構成部品として、0.2以上1重量%未満望ましくは0.5重量%未満の銅を追加したアルミニウム合金(例えば3003合金に銅を追加する)を芯材とし、前記接合部には当該合金を、その他の表面には当該合金又は3003等のアルミニウム合金で形成される三層クラッド材を用いたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、少なくとも請求項1から請求項4の何れか一つに記載のアルミニウム製の熱交換器であって、前記接合部は、前記熱交換器の内部接合部であることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、熱交換器構成部品の接合部を0.2〜0.6重量%のマグネシウム濃度を含むようにしたので、熱交換器のうち真空度が上がり難い内部構造の部位まで充分な接合を図ることができる。
また、本発明によれば、全般に真空度を下げることが可能となり、マグネシウム,亜鉛等のアルミに比べて蒸気圧の高い添加元素の蒸発を抑えることができ、炉内の汚染を防止できると共に所定元素の目減りを減少できる。
請求項2の発明によれば、アルミニウム合金として3003合金を使用したので、成形性、溶接性及び耐食性が向上する。3003合金は、1000番系合金に比べて強度が10%程高く、成形性、溶接性及び耐食性に優れているため、熱交換器を構成する材料に適している。
請求項3の発明によれば、接合部表面に1〜5重量%の亜鉛を追加した当該アルミニウム合金を、他の表面には1〜5重量%の亜鉛を追加した当該アルミニウム合金又は1〜5重量%亜鉛濃度の犠牲防食用アルミニウム合金をクラッドしたので、孔食状の腐食発生を抑制できる犠牲防食機能が得られる。また、発明の効果により、真空度を下げて接合できるために、クラッドした亜鉛が飛び難くなる。
請求項4の発明によれば、0.2〜1重量%未満望ましくは0.5重量%未満の銅を追加したアルミニウム合金(例えば3003合金に銅を追加する)を芯材とし、接合部には当該合金を、その他の表面には当該合金又は3003等のアルミニウム合金で形成される三層クラッド材を用いたことにより、加熱後、芯材から素材の表面に向かって銅が拡散する。この時、内外部で銅の濃度勾配が生じ濃度の低い表面部は濃度の高い芯材部に比べて電位が低いため、実質上、表面に亜鉛合金クラッド層を配した場合と同様の前述の犠牲防食効果が得られる。
請求項5の発明によれば、拡散接合する接合部を熱交換器の内部接合部としたので、真空度が上がらない内部接合部でも充分接合強度の高い接合が実現される。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明者等は、鋭意研究の結果、アルミニウム合金に含まれるマグネシウムによる還元効果を利用した拡散接合は高真空中で効果が発現することが既に判っているが、接合界面が高真空でなくても充分な接合強度を確保することのできるマグネシウム量があることを知見した。
すなわち、拡散接合中の接合雰囲気が劣化した場合のアルミニウム合金中の最適なマグネシウム量について検討した結果、最適なアルミニウム合金中のマグネシウム量は、接合雰囲気によって変化することが明らかになった。
図1は、真空雰囲気圧力が変化したときのマグネシウム濃度と継手効率(接合強さの母材に対する百分率)の関係を示す特性図である。具体的には、図1は、アルミニウム合金中のマグネシウム量が異なる合金を複数作製し、その合金を接合試験片(直径12mm、長さ30mm)に機械加工して、その試験片の接合面表面粗さを約3μmとし、これら試験片を突き合わせ真空装置内に取り付けて高温に加熱して拡散接合したときの継手効率(接合強さの母材強さに対する割合)を縦軸に、アルミニウム合金中のマグネシウム量を横軸にとったものである。
図1から判るように、高真空(3×10−3Pa)の下では、接合に最適なマグネシウム量はおおよそ0.3〜2.5重量%濃度であり、幅の広いピークとなる。しかし、熱交換器の内部接合部のような低真空(例えば3Pa)の下では、接合に最適なマグネシウム量は低マグネシウム側にシフトしその幅も狭くなる。そのため、高真空の下での最適マグネシウム量でアルミニウム合金を接合した場合は、低真空となる熱交換器の内部接合部のような部位では、充分な接合強度が得られなくなる。
そこで、接合雰囲気が悪くなるような熱交換器の接合部位には、今まで言われているマグネシウム量よりも低いマグネシウム量でアルミニウム合金を還元する必要がある。その最適なマグネシウム量は、図1から0.2〜0.6重量%濃度であることが判る。
したがって、従来の濃度に制御されたアルミニウム合金を用いた場合は充分な接合強度を有する熱交換器を製造できず、アルミニウム合金に含まれるマグネシウム量を0.2〜0.6重量%に制御したアルミニウム合金で初めて接合強度を充分に確保することができる。なお、0.2〜0.6重量%のマグネシウム濃度範囲を外れると、接合強度を確保することが困難になる。
図2はマグネシウム量の接合部への影響を示し、その接合部でのマグネシウムの挙動を示す模式図である。マグネシウムを含んでいないアルミニウム合金の場合は、接合界面にはアルミナが多数残留する。しかし、アルミニウム合金のマグネシウム量が多くなってくると、マグネシウムと接合界面のアルミナが反応して球状の反応生成物(MgAl2O4、MgO)を作る(図1(A)参照)。これに対して、マグネシウム量が更に多くなると、接合面上に表面皮膜のアルミナ中にマグネシア(MgO)が増加して(図1(B)参照)、アルミナが減少し、マグネシウムによるアルミナの還元反応がし難くなる。
「第1実施例」
次に、本発明を適用した熱交換器の一実施例を説明する。図3は、アルミニウム合金からなる熱交換器構成部品を拡散接合して製造される熱交換器を示し、図3(A)は各熱交換器構成部品を示す斜視図、図3(B)は組み立てられた熱交換器の斜視図である。
次に、本発明を適用した熱交換器の一実施例を説明する。図3は、アルミニウム合金からなる熱交換器構成部品を拡散接合して製造される熱交換器を示し、図3(A)は各熱交換器構成部品を示す斜視図、図3(B)は組み立てられた熱交換器の斜視図である。
本実施例の熱交換器1は、冷却水などの第1冷媒が長手方向(図3中矢印Xで示す方向)に流れる冷媒流通路2を複数有した第1プレート3と、空気などの第2冷媒が短手方向(図3中矢印Yで示す方向)に流れる冷媒流通路4を有した第2プレート5と、これら第1プレート3と第2プレート5を交互に複数積層してなる上下面に積層される、溝加工のされていない平板形状の上プレート6と下プレート7とからなる。
これら第1プレート3、第2プレート5、上プレート6及び下プレート7には、例えば互いの接合部にJIS規格の3003合金に0.2〜0.6重量%のマグネシウムを添加したアルミニウム合金が使用される。基となる3003合金は、成形性、溶接性及び耐食性に優れ、1000番系合金に比べて強度が高く熱交換器には多用されている。第1プレート3と第2プレート5の長手方向両端部には、第1冷媒が流入するタンク8を構成するリング部8A、8Bが形成されている。上プレート6及び下プレート7にも同様に第1冷媒流入用のリング部が形成されている。これら各プレートに形成されたリング部8A、8Bが複数積層されることで、円筒形状のタンク8、8が構成される。
そして、これら第1プレート3、第2プレート5、上プレート6及び下プレート7を積層してなる積層プレート体9は、真空雰囲気中で加熱加圧して拡散接合することによって熱交換器1とされる。図4は、拡散接合装置の一例を示す模式図である。
積層プレート体9は、真空炉10内に配置された台座11の上に積層され、その上に押え板12を介して荷重付与手段(油圧プレスなど)13で当該積層プレート体9に対して所定の荷重Wを掛けながら、加熱手段(ヒータ)14で加熱して接合を行う。このときの真空炉10内の真空度は、最も真空度の上がり難い熱交換器内部でも前述の低真空の極限である3Paを維持するレベルで充分であり、前述の高真空(3×10−3Pa)である必要はない。極言すれば、熱交換器で構造上内外部の雰囲気の差が出にくいものは炉内雰囲気が低真空(3Pa)でも熱交換器を接合することが出来る。
この低真空雰囲気の下に積層プレート体9を拡散接合すれば、真空度の上がり難い流通路2,4の部分も充分な接合強度を持って接合される。したがって、接合強度を確保した信頼性の高い熱交換器1が得られる。
また、第1プレート3、第2プレート5、上プレート6及び下プレート7の各接合部には、熱交換器の接合部表面に1〜5重量%の亜鉛を追加した当該アルミニウム合金を、他の表面には当該アルミニウム合金又は1〜5重量%亜鉛濃度の犠牲防食用アルミニウム合金をクラッドしたので、孔食状の腐食発生を抑制できる犠牲防食機能が得られる。また発明の効果により真空度を下げて接合できるために、クラッドした亜鉛が飛び難くなる。
亜鉛の濃度は、犠牲防食効果を有効に働かせるには最低1重量%は必要である。また、亜鉛の濃度が高すぎると自己腐食作用が激しくなると同時に材料の加工性が悪くなることから5重量%が限界である。3003合金に亜鉛を添加したものを表層に使った場合を始めその成分中の銅が亜鉛の効果を相殺するので、その銅濃度はアルミニウム合金の不可避的混入の上限の0.05重量%程度に低い方が有効である。
「第2実施例」
図5は、熱交換器の内部接合部に本発明を適用した例を示し、流通路を形成した金属プレートを拡散接合する前の状態を示す熱交換器の分解斜視図である。
図5は、熱交換器の内部接合部に本発明を適用した例を示し、流通路を形成した金属プレートを拡散接合する前の状態を示す熱交換器の分解斜視図である。
第2実施例の熱交換器15は、冷却水などの第1冷媒が長手方向(図5中矢印Xで示す方向)に流れる冷媒流通路16を複数有した第1プレート17と、空気などの第2冷媒が短手方向(図3中矢印Yで示す方向)に流れる冷媒流通路18を有した第2プレート19と、これら第1プレート17と第2プレート19を交互に複数積層してなる上下面に積層される、図示を省略する上プレートと下プレートとからなる。
第1プレート17は、接合面となる冷媒流通路16が形成される部位17aを、0.2〜0.6重量%のマグネシウム濃度が含まれるアルミニウム合金でクラッドし、その反対側の部位17bを0.2〜2重量%のマグネシウム濃度が含まれるアルミニウム合金としている。これに対して、第2プレート19は、冷媒流通路18が形成される部位19aを0.2〜2重量%のマグネシウム濃度が含まれるアルミニウム合金とし、接合面となるその反対側の部位19bを0.2〜0.6重量%のマグネシウム濃度が含まれるアルミニウム合金でクラッドしたものが使用される。
このように、お互いの第1プレート17と第2プレート19の接合面に、0.2〜0.6重量%のマグネシウム濃度を含むアルミニウム合金を使用して前記した図4の拡散接合装置で低真空(熱交換器内部が3Pa以下の程度)の下で加熱加圧すれば、接合界面を高真空に排気不可能な微細な通路16,18を有する図4に示した熱交換器15を製造する場合でも、接合強度の高い熱交換器15を得ることができる。
「その他の例」
以上、本発明を適用した具体的な実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に制限されることなく種々の変更が可能である。
以上、本発明を適用した具体的な実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に制限されることなく種々の変更が可能である。
例えば、0.2〜0.6重量%のマグネシウム濃度を含むアルミニウム合金同士を直接、拡散接合するようにしても良いし、或いは、通常のアルミニウム合金同士の接合界面に0.2〜0.6重量%のマグネシウムを含むアルミニウム合金を介在させて拡散接合することもできる。
また、上述の実施の形態では、真空雰囲気中で加圧しながら、高周波誘導加熱法で加熱したが、加熱法として、抵抗発熱ヒータの他、アルミニウム製熱交換機を加圧しながら、通電して加熱する方法、通電電流として、直流の他、パルス波形の電流による加熱も適用できる。
また、接合法として、加熱法に限定する必要はなく、短時間に、アルミニウム熱交換器の温度を均一に、そして速くできる加熱法が採用され、当然複数の加熱法の併用もある。
また、別の実施の形態として、接合部には請求項1〜3に示されるアルミニウム合金を、0.2〜0.5重量%の銅濃度を添加したアルミニウム合金(例えば3003合金に銅を添加する。)を芯材としその両面にクラッドした三層クラッド材で熱交換器構成部品(3,5,6,7,17,19)を形成し、前記した方法で熱交換器を製造するのが請求項4の一例である。
この場合、一般に用いられるアルミニウム合金である3003材の銅の上限が0.2重量%であり、それ以上を確保する為である。銅は多いほど効果があるが、1%を超えると耐食性が劣化し又加熱時に粒界溶融現象を起こす。また、それ以下でも銅を0.5重量%以上含むと過熱後の冷却時に粒界部に銅化合物が析出し、粒界腐食を起こしやすくなるため、望ましくは0.5重量%以下におさえる。
このようにすることで、加熱により芯部より表面に向かって銅が拡散し濃度勾配を形成するため、表面と芯部の間には銅濃度に比例した腐食電位が発生し、優先的に電位の低い表層部から腐食される。これにより孔食のような深さ方向に腐食が優先的に進行する腐食形態にならず腐食による穴開き破損寿命を大幅に改善できる。
3003合金を表層に使った場合を始めその成分中の銅は内部の銅の拡散による濃度勾配の形成を妨げるので、その銅濃度はアルミニウム合金の不可避的混入の上限の0.05重量%程度に低い方が有効である。
1,15…熱交換器
2,4、16,18…冷媒流通路
3,17…第1プレート(熱交換器構成部品)
5,19…第2プレート(熱交換器構成部品)
8…タンク
10…真空炉
13…荷重付与手段
14…加熱手段
2,4、16,18…冷媒流通路
3,17…第1プレート(熱交換器構成部品)
5,19…第2プレート(熱交換器構成部品)
8…タンク
10…真空炉
13…荷重付与手段
14…加熱手段
Claims (5)
- アルミニウム合金からなる熱交換器構成部品(3,5,6,7,17,19)を拡散接合して製造されるアルミニウム製の熱交換器(1,15)であって、
前記熱交換器構成部品(3,5,6,7,17,19)の接合部が0.2〜0.6重量%のマグネシウム濃度である
ことを特徴とするアルミニウム製の熱交換器。 - 請求項1に記載のアルミニウム製の熱交換器(1,15)であって、
前記アルミニウム合金として3003合金(JIS規格)を使用した
ことを特徴とするアルミニウム製の熱交換器。 - 請求項1または請求項2に記載のアルミニウム製の熱交換器(1,15)であって、
前記熱交換器の接合部表面に1〜5重量%の亜鉛を追加した当該アルミニウム合金を、他の表面には1〜5重量%の亜鉛を追加した当該アルミニウム合金又は1〜5重量%亜鉛濃度の犠牲防食用アルミニウム合金をクラッドした
ことを特徴とするアルミニウム製の熱交換器。 - 請求項1または請求項3に記載のアルミニウム製の熱交換器(1,15)であって、
前記熱交換器構成部品(3,5,6,7,17,19)として、0.2以上1重量%未満望ましくは0.5重量%未満の銅を追加したアルミニウム合金(例えば3003合金に銅を追加する)を芯材とし、前記接合部には当該合金を、その他の表面には当該合金又は3003等のアルミニウム合金で形成される三層クラッド材を用いた
ことを特徴とするアルミニウム製の熱交換器。 - 少なくとも請求項1から請求項4の何れか一つに記載のアルミニウム製の熱交換器(1,15)であって、
前記接合部は、前記熱交換器(1,15)の内部接合部である
ことを特徴とするアルミニウム製の熱交換器。
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