JP2006238808A - 新規なピリドキサール4−デヒドロゲナーゼ及びその利用 - Google Patents

新規なピリドキサール4−デヒドロゲナーゼ及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】ピリドキサールに作用し4-ピリドキソラクトンを生成するピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼは、従来活性に満足できる酵素が知られていなかった。4-ピリドキソラクトン生成反応を利用するにあたり、有利な性状を示す新たな酵素が求められている。
【解決手段】メソリゾビウム(Mesorhizobium)属微生物及びアグロバクテリウム(Agrobacterium)属由来の新規PLDHと、それをコードするDNAを提供する。このPLDHを用いてピリドキサールを脱水素し、4-ピリドキソラクトンや4-ピリドキシン酸を製造することができる。さらに該酵素を利用した優れたビタミンB6定量法・試薬が提供できる。本発明によるPLDHは、活性に優れるなど工業的に有利な性状を示す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規に同定されたポリヌクレオチド(あるいは核酸)及びポリペプチド(あるいはタンパク質)(又はその一部)あるいはその塩;該ポリヌクレオチド(あるいは核酸)及びポリペプチド(あるいはタンパク質)のホモログを含む変異体及び誘導体;該ポリヌクレオチド(あるいは核酸)及びポリペプチド(あるいはタンパク質)、並びにそれらのホモログを含む変異体及び誘導体の製造法;該ポリペプチド(あるいはタンパク質)又は該ポリヌクレオチド(あるいは核酸)を使用した化合物の製造技術;該ポリペプチド(あるいはタンパク質)又は該ポリヌクレオチド(あるいは核酸)を使用した化合物の検出・定量技術;並びに該ポリヌクレオチド(あるいは核酸)、ポリペプチド(あるいはタンパク質)、ホモログ、変異体及び誘導体の用途に関するものである。
特には、本発明は新規な酵素ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ(pyridoxal 4-dehydrogenase, PLDH)及び該酵素遺伝子、並びにそれらの利用技術に関する。
ピリドキサール4-デヒドロゲナーゼはピリドキサールを酸化し、4-ピリドキソラクトンを生成する下記反応:
Figure 2006238808
を触媒する酵素で、体内でのビタミンB6分解代謝系の酵素のひとつである(非特許文献1)。この反応によって生成される4-ピリドキソラクトンについては、キレート能(非特許文献2)、紫外線吸収能(特許文献1)、貧血防止作用(非特許文献3)があるとされており、医薬品、化成品の中間体としての報告(特許文献2,3)もあり、化粧品原料、食品添加物、医薬品、飼料添加物などとしての使用が期待される。
4-ピリドキシン酸は、4-ピリドキソラクトンからラクトン環を加水分解することで容易に得られるが、4-ピリドキシン酸にもキレート活性や紫外線吸収能(特許文献1、4)があり、化粧品原料、食品添加物、医薬品、飼料添加物などとしての使用が期待される。
4-ピリドキソラクトンを化学合成法で製造する方法は知られているが、工程数が多く、煩雑であり、収率も高くない(非特許文献4)。一方、ピリドキサールデヒドロゲナーゼを用いた酵素法による4-ピリドキソラクトン生成反応は、1工程でピリドキサールから4-ピリドキソラクトンを生成するため、非常にシンプルな反応となる。
微生物のピリドキサールデヒドロゲナーゼはシュウドモナス属(Pseudomonas sp.) MA-1由来のもの(非特許文献5)、ミクロバクテリウム ルテオルム(Microbacterium luteolum, 旧名Aureobacterium luteolum)由来の酵素(非特許文献6)、Microbacterium luteolumの酵素を大腸菌で発現させた例(非特許文献7)が知られているが、酵素の生産量、比活性などの点で、工業的な利用面で満足いくものではなかった。
ビタミンB6類量の測定について、食品分野では微生物を用いたバイオアッセイ法、臨床検査ではHPLC法を用いるのが主流である。臨床検査ではng/mLオーダーの測定が要求されている(非特許文献8)。
4-ピリドキシン酸あるいは4-ピリドキソラクトンが、蛍光強度が強いことを利用し、ピリドキサール4-デヒドロゲナーゼを使用したピリドキサールなどのビタミンB6の高感度測定法が提案されている(非特許文献9)が、従来の微生物ピリドキサール4-デヒドロゲナーゼ活性は検査試薬を工業的に生産するには十分でなかった。
特開昭60-155159号公報 US 2918471 GB 1151252 特開平4-93385号公報 酵素ハンドブック 丸尾文治ら 39ページ (1982) 朝倉書店 S. P. Sudhakara Rao, et.al. Journal of the Chemical Society, Chemical Comunications (1), 4-6 (1986) M. L. Scott, J. Biol. Chem. 158, 291-298 (1945) D. Heyl, J. Amer. Chem. Soc., 70, 3434-3436 (1948) R. W. Burg et.al., J. Biol. Chem. 244, 2585-2589 (1969) Y. Trongpanich, et.al., Biosci. Biotechnol. Biochem. 66, 543-548(2002) N. Yokochi, et.al., J. Biol. Chem. 279, 37377-37384 (2004) 田中芳明ら 臨床検査 Vol.48, 2004 1009-1014 Y. Trongpanich, et.al., Biosci. Biotechnol. Biochem. 66, 1152-1154(2002) 田所実ら、日本農芸化学会中四国支部 第8回講演会講演要旨集11ページ(2004年1月24日)
有用な4-ピリドキソラクトンを生成するピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼの生産量および比活性は、4-ピリドキソラクトンを工業的に生産したり、ビタミンB6を感度よく定量するには必ずしも満足できるものではなかった。しかし、4-ピリドキソラクトン及びそれを出発原料として得られる4-ピリドキシン酸を広く利用するためには満足できる量が容易に入手でき、酵素自体の活性も高いものが求められる。これはビタミンB6類の測定分野でも同様である。
本発明者らは本酵素の効率的な生産を目的として鋭意研究調査を行った結果、アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に従来のPLDHとは異なる新規な酵素ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼを見出し、さらに、該Agrobacterium tumefaciens PLDHのN末アミノ酸解析からメソリゾビウム ロティ(Mesorhizobium loti)においてそのゲノム上にそれのピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ遺伝子を推定することに成功し、本発明で開示する酵素をコードする遺伝子のクローニングにも成功し、その全塩基配列ならびに推定アミノ酸配列を決定した。本酵素は従来のピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼより格段に比活性が高い。
さらに、取得した遺伝子を含む組換えDNAを保持した微生物を培養することにより、本酵素を効率的に生産できることを見出した。
これらの酵素あるいは組換えDNAを保持した微生物を4−ピリドキソラクトンの合成に利用できることを確認した。また本酵素がビタミンB6の定量に利用できる事を確認した。
かくして、本発明では、以下のような好ましい態様が提供される。
〔1〕
(1)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、
(2) 配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、及び
(3) 配列番号2に記載のアミノ酸配列に対してアミノ酸レベルで少なくとも50%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも96%の同一性、あるいは少なくとも98%の同一性を持つアミノ酸配列からなり、かつ、ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質
からなる群から選択されたものであることを特徴とするタンパク質。
〔2〕
上記〔1〕に記載のタンパク質をコードする塩基配列を有することを特徴とする核酸。
〔3〕
配列番号1に記載の塩基配列を有するDNAであることを特徴とする上記〔2〕に記載の核酸。
〔4〕
下記(a)又は(b)に示すDNA
(a)配列番号1に記載の塩基配列のうち、少なくとも塩基番号28〜174及び/又は塩基番号394〜678からなる塩基配列を含むDNA
(b)配列番号1に記載の塩基配列のうち、少なくとも塩基番号28〜174及び/又は塩基番号394〜678からなる塩基配列又は同塩基配列から調製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
であることを特徴とする上記〔2〕に記載の核酸。
〔5〕
前記ストリンジェントな条件が、1×SSC及び0.1%SDSに相当する塩濃度で60℃で洗浄が行われる条件である上記〔4〕に記載の核酸。
〔6〕
上記〔2〕〜〔5〕のいずれか一に記載の核酸を含むことを特徴とする組換えプラスミド又はベクター。
〔7〕
上記〔2〕〜〔5〕のいずれか一に記載の核酸あるいは上記〔6〕に記載の組換えプラスミド又はベクターで宿主細胞が形質転換されていることを特徴とする形質転換体。
〔8〕
上記〔7〕に記載の形質転換体によって生産されることを特徴とするピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ又はピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
〔9〕
上記〔7〕に記載の形質転換体を培養する工程を含むことを特徴とするピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ又はピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質の製造方法。
〔10〕
上記〔1〕に記載のタンパク質又は上記〔7〕に記載の形質転換体とピリドキサール若しくはその誘導体、又はそれらの塩とを接触せしめることを特徴とする4-ピリドキソラクトン若しくはその誘導体、又はそれらの塩の製造方法。
〔11〕
上記〔1〕に記載のタンパク質又は上記〔7〕に記載の形質転換体を用いることを特徴とするビタミンB6の定量方法。
本発明で確認されたピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼは、既知の酵素と比較して、高い比活性を示し、その諸性質も既知の酵素とは異なり、4-ピリドキソラクトン及びその誘導体の製造に使用する上で、優れたものである。かくして、ビタミンB6の体内代謝物として知られている物質4-ピリドキソラクトンを、簡単且つ経済的に有利に製造する途を開くもので、キレート能など、化粧品分野などで有効と期待されるそれの効能利用に役立つ。さらに、当該ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼを用いるとビタミンB6類を高感度で検出するのに利用でき、食品、血中のB6定量に有効である。本発明の酵素は比活性が高いため、この定量法を改良できる。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
本発明で同定され且つ特徴が明らかにされたピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ(PLDH)は、次のような手法でその遺伝子がクローニングされ、さらに組換え酵素を産生させ、ピリドキソラクトンの製造方法、ビタミンB6の定量に応用される。
1)DNAの抽出および目的遺伝子のクローニング方法
4-ピリドキソラクトンを生産できる微生物、例えば、Mesorhizobium lotiを培養して得られる培養物から遠心分離などで菌体を回収し、常法によりDNAを抽出する。DNA源としては、Agrobacterium tumefaciensを使用することもできる。
2)形質転換体の作成
本酵素を生産する形質転換体は、上記遺伝子を含む組換えDNAを用いて宿主を形質転換することにより作製される。当該組換えDNAは宿主微生物で自律的に増殖し得るプラスミドベクターあるいはファージベクターに本遺伝子を挿入することにより作製できる。
宿主‐ベクター系は、当該組換えDNAが自律的に増殖可能で安定に保持され、形質が発現可能なものであればよい。宿主微生物に組換えDNAを導入して形質転換する方法としては、公知の方法を用いることができ、たとえば塩化カルシウム法やエレクトロポーション法によって組換えDNAを導入することができる。
3)組換え酵素の生産
上記方法で作成した形質転換体を培養し、培養物からピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼを採取することができる。
培養条件については宿主やベクターの種類に応じ適宜決定する。
たとえば大腸菌を宿主とする場合の培養条件は、LB培地、YT培地、M9培地などを用いて、培養温度20〜40℃で培養時間4〜48時間である。
得られた培養物からの本酵素の採取は常法により行うことができ、たとえば、培養物から遠心分離により菌体を回収し、超音波処理、フレンチプレス等の方法で菌体細胞を破壊し、細胞残渣を遠心分離により除き、本酵素を採取することができる。菌体外に酵素を蓄積する場合には、培養上清をそのまま、あるいは濃縮し、本酵素を採取できる。
本酵素をさらに精製する場合には、硫安分画、透析、各種クロマトグラフィーなどの公知の方法を組み合わせる方法が挙げられる。
上記方法で得られた酵素は,以下の性質を有する。
(a)作用
ピリドキサールから4-ピリドキソラクトンを生成する。
(b)基質特異性
ピリドキサールに対するKm値は0.091mMである。
ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール5'-リン酸、ピリドキサミン5'-リン酸、4-ピリドキシン酸には作用しない。
L‐フコース、D‐アラビノース、L‐キシロースには作用しない。
NAD+に対するKmは0.28mMである。NADP+も基質として用いることも可能でその際の相対活性は0.16%である。
(c)反応至適pH 9.2
(d)反応至適温度 50℃
(e)温度安定性 40℃以下
(f)分子量 97kDa(ゲル濾過法による)
(g)サブユニット数 4(25kDaのテトラマー)
本明細書中、「ピリドキサール」とは、ピリドキサール及び/又はその塩を包含すると考えてよく、その塩としては、公知のものがすべて包含されてよく、例えば、好ましいものとしてはピリドキサール塩酸塩などが挙げられる。
4)ピリドキソラクトンの製造方法
使用する触媒:本発明の形質転換体、形質転換体の加工物(凍結乾燥菌体、アセトンパウダーなど)、固定化菌体、粗ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ、精製ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ、固定化ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼなど)
補酵素:NAD+またはNADP+
基質:ピリドキサール
基質濃度:0.001%から20%、好ましくは0.01%から5%
温度:20℃から60℃、好ましくは30℃から50℃
pH:6−11、好ましくは7−10、適当な緩衝液を用いる
反応時間:5分から72時間、好ましくは8−48時間
このとき用いる補酵素としてはNAD+またはNADP+を単独あるいは混合して用いる。NAD+またはNADP+は、形質転換体が菌体内に含むものを用いても良いし、微生物が生合成するものを用いてもよい。また、それぞれの還元型のもの(NADHまたはNADPH)を酵素や形質転換体や別に添加した微生物で酸化し用いてもよい。基質であるピリドキサールを、以下のようにビタミンB6関連物質から化学的あるいは酵素的に転換することにより供給してもよい。すなわちピリドキシンあるいはピリドキシン塩酸塩をピリドキサールに転換する場合、ピリドキシン4−オキシダーゼやピリドキシン4−デヒドロゲナーゼなどを添加すればよい。ピリドキサミンあるいはピリドキサミン二塩酸塩をピリドキサールに転換する場合、ピリドキサミン−ピルビン酸アミノトランスフェラーゼやピリドキサミン−2-オキソ酸アミノトランスフェラーゼなどを添加すればよい。
5)ビタミンB6の定量法
10pmolから1000pmolの濃度範囲でピリドキサールを含むサンプルに、本酵素と、ピリドキサールを4-ピリドキソラクトンに転換するのに十分量のNAD+またはNADP+を加え、温度20-50℃で5分‐12時間、加温し、その後、分光蛍光光度計、あるいは蛍光検出器のついたHPLCで測定することにより、ピリドキサールを定量できる。
また、ピリドキシンを定量するには、化学的あるいは酵素(ピリドキシン 4-オキシダーゼやピリドキシン 4-デヒドロゲナーゼなど)的にピリドキシンをピリドキサールに転換すればよく、ピリドキサミンを定量するには、化学的あるいは酵素的(ピリドキサールレダクターゼなど)にピリドキサミンをピリドキサールに転換すればよく、ピリドキサール5'−リン酸を測定するには、化学的あるいは酵素的(フォスファターゼなど)にリン酸を加水分解しピリドキサールに転換すればよい。
ピリドキサミン 5'-リン酸を測定するには、化学的あるいは酵素(ピリドキサミン 5'-リン酸オキシダーゼやホスファターゼ)的にピリドキサミン5'−リン酸をピリドキサールに変換すればよい。
上記のようにして得られたMesorhizobium loti PLDH及びAgrobacterium tumefaciens PLDHは、いずれも上記したような特性を有するものであり、次のような特徴及び有用性がある。
(1)ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性を有する酵素は既に知られているが、本発明の酵素は、既知の同活性を有する酵素と比べ、比活性が非常に高く、諸性質が既知酵素と異なるため、明らかに新規な酵素である。
(2) ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼと呼ばれる酵素は、ピリドキサールから4-ピリドキソラクトンを生成する反応を触媒するものを指している。4-ピリドキソラクトンは、ビタミンB6の体内代謝物として知られている物質であるが、キレート能があり、特許などによって、化粧品分野などで有効な効能が示されているものである(B6活性自体はない)。
(3)4-ピリドキソラクトンの化学的な合成法は、煩雑である。酵素的な合成法が非常にシンプルであり、製法が確立されればコスト低減が予測される。
(4) ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼを用いるとビタミンB6類を高感度で検出できることが知られており、食品、血中のB6定量に有効である。本発明の酵素は比活性が高いため、この定量法を改良できる。
上記のような理化学的性状を持つPLDHは、例えば、メソリゾビウム(Mesorhizobium)属菌あるいはアグロバクテリウム(Agrobacterium)属菌の培養物より精製することができる。メソリゾビウム属菌としては、メソリゾビウム ロティ(Mesorhizobium loti)が特に本発明によるPLDHの産生能に優れる。また、アグロバクテリウム属菌としては、アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)が特に本発明によるPLDHの産生能に優れる。
上記微生物は、TY培地等の微生物の培養に用いられる一般的な培地で培養される。培養培地は、該菌が増殖し得るものである限り特に限定されないが、例えば、炭素源、窒素源、無機塩類、有機栄養素等を含有する液体栄養培地などが使用できる。十分に増殖させた後に菌体を回収し(例えば、遠心分離などして回収し)、緩衝液中で破砕等(例えば、ガラスビーズを使用した物理的破砕、超音波処理あるいは酵素などによる生化学的手法)して無細胞抽出液とする。無細胞抽出液から、蛋白質の溶解度による分画(有機溶媒による沈澱や硫安などによる塩析など)、透析、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過、疎水性クロマトグラフィーや、キレート、色素、抗体などを用いたアフィニティー・クロマトグラフィーなどを単独あるいは適宜組み合わせることにより精製する事ができる。例えば、DEAE-セファロース(Sepharose)などを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー、ブルー-セファロースを用いたアフィニティー・クロマトグラフィー、Mono Q HR 5/5(FPLCシステム、アマシャム・ファルマシアバイオテク)などの高性能液体クロマトグラフィーシステム等を経て電気泳動的にほぼ単一バンドにまで精製することができる。
本発明のPLDHは、それを生産し得る微生物から得ることができ、該微生物は野生株又は変異株のいずれであってもよい。さらに、細胞融合又は遺伝子組換え技術等の遺伝子操作や遺伝学的な手法により誘導される微生物あるいはそれ以外の細胞(例えば、形質転換された細胞を含む)も用いられる。
本発明では、「遺伝子組換え技術」を利用して所定の核酸・ポリヌクレオチドなどを単離・配列決定したり、組換え体を作製したり、所定のタンパク質・ペプチドを得ることができる。本明細書中使用できる遺伝子組換え技術としては、当該分野で知られたものが挙げられ、例えば J. Sambrook et al., "Molecular Cloning: A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (2nd Edition, 1989 & 3rd Edition, 2001); D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to 3, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995); "Methods in Enzymology" series, Academic Press, New York、例えば R. Wu ed., "Methods in Enzymology", Vol. 68 (Recombinant DNA), Academic Press, New York (1980); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 100 (Recombinant DNA, Part B) & 101 (Recombinant DNA, Part C), Academic Press, New York (1983); R. Wu et al. ed., "Methods in Enzymology", Vol. 153 (Recombinant DNA, Part D), 154 (Recombinant DNA, Part E) & 155 (Recombinant DNA, Part F), Academic Press, New York (1987); R. Wu ed., "Methods in Enzymology", Vol. 216 (Recombinant DNA, Part G), Academic Press, New York (1992); R. Wu ed., "Methods in Enzymology", Vol. 217 (Recombinant DNA, Part H) & 218 (Recombinant DNA, Part I), Academic Press, New York (1993); P. M. Conn ed., "Methods in Enzymology", Vol. 302 (Green Fluorescent Protein), Academic Press, New York (1999); S. Weissman ed., "Methods in Enzymology", Vol. 303 (cDNA Preparation and Characterization), Academic Press, New York (1999) などに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法あるいはそれらと実質的に同様な方法や改変法が挙げられる(それらの中にある記載はそれを参照することにより本明細書の開示に含められる)。
本明細書で用いる用語「ポリペプチド」としては、以下に記載するような如何なるポリペプチドを指すものであってもよい。ポリペプチドの基本的な構造は周知であり、当該技術分野において非常に数多くの参考書及びその他の刊行物に記載がある。こうしたことに鑑み、本明細書で用いる用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合又は修飾したペプチド結合により互いに結合しているような2個又はそれ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又は任意のタンパク質を意味する。本明細書で用いる用語「ポリペプチド」としては、当該分野において、例えばペプチド、オリゴペプチドあるいはペプチドオリゴマーとも称せられる短い鎖のもの、及びタンパク質と一般的に言われ、多くの形態のものが知られている長い鎖のものの両方を通常意味してよい。ポリペプチドは、しばしば、通常、天然型アミノ酸(天然に存在しているアミノ酸: あるいは遺伝子でコードされるアミノ酸)と称されるアミノ酸以外のアミノ酸を含有していてもよい。ポリペプチドは、また末端アミノ酸残基を含めて、その多くのアミノ酸残基が翻訳された後にプロセッシング及びその他の改変(あるいは修飾)がなされるといった天然の工程によるのみならず、当業者に周知の化学的改変技術によっても、上記のポリペプチドはそれが改変(修飾)できることは理解されよう。該ポリペプチドに加えられる改変(修飾)については、多くの形態のものが知られており、それらは当該分野の基礎的な参考書及びさらに詳細な論文並びに多数の研究文献にも詳しく記載されており、これらは当業者に周知である。幾つかのとりわけ常套的な改変・修飾としては、例えばアルキル化、アシル化、エステル化、アミド化、グリコシル化、脂質結合、硫酸化、リン酸化、グルタミン酸残基のγ-カルボキシル化、水酸化及びADP-リボシル化等が挙げられ、例えばT. E. Creighton, Proteins-Structure and Molecular Properties, Second Edition, W. H. Freeman and Company, New York, (1993); B.C.Johnson (Ed.), Posttranslational Covalent Modification of Proteins, Academic Press, New York, (1983) (Wold, F., "Posttranslational Protein Modifications: Perspective and Prospects", pp.1-12); Seifter et al., "Analysis for Protein Modifications and nonprotein cofactors", Methods in Enzymology, 182: 626-646 (1990); Rattan et al., "Protein Synthesis: Posttranslational Modification and Aging", Ann. N. Y. Acad. Sci., 663: p.48-62 (1992)等の記載を参照できる。修飾の中には、固相化を可能にするための活性基の導入などが含まれてよい。
本明細書中、「相同性」又は「同一性」とは、ペプチド配列(あるいはアミノ酸配列)又はヌクレオチド配列(あるいは塩基配列)における2本の鎖の間で該鎖を構成している各アミノ酸残基同志又は各塩基同志の互いの適合関係において同一であると決定できるようなものの量(数)を意味し、二つのペプチド配列(ポリペプチド配列を含む)又は二つのヌクレオチド配列(ポリヌクレオチド配列を含む)の間の配列相関性の程度を意味するものである。相同性は容易に算出できる。二つのポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列間の相同性を測定する方法は数多く知られており、「相同性」(「ホモロジー」又は「同一性」とも言われる)なる用語は、当業者には周知である(例えば、Lesk, A. M. (Ed.), Computational Molecular Biology, Oxford University Press, New York, (1988); Smith, D. W. (Ed.), Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Academic Press, New York, (1993); Grifin, A. M. & Grifin, H. G. (Ed.), Computer Analysis of Sequence Data: Part I, Human Press, New Jersey, (1994); von Heinje, G., Sequence Analysis in Molecular Biology, Academic Press, New York, (1987); Gribskov, M. & Devereux, J. (Ed.), Sequence Analysis Primer, M-Stockton Press, New York, (1991) 等)。二つの配列の相同性を測定するのに用いる一般的な方法には、Martin, J. Bishop (Ed.), Guide to Huge Computers, Academic Press, San Diego, (1994); Carillo, H. & Lipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073 (1988) 等に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。相同性を測定するための好ましい方法としては、試験する二つの配列間の最も大きな適合関係部分を得るように設計したものが挙げられる。このような方法は、コンピュータープログラムとして組み立てられているものが挙げられる。二つの配列間の相同性を測定するための好ましいコンピュータープログラム法としては、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J. et al., Nucleic Acids Research, 12(1): 387 (1984)), BLASTP, BLASTN, FASTA (Atschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215: 403 (1990))等が挙げられるが、これらに限定されるものでなく、当該分野で公知の方法を使用することができるし、市販のものを使用できる。相同性検索にはデータベースを利用でき、例えば、GenBankTM, DNA DataBank of Japan (DDBJ), European Molecular Biology Laboratory (EMBL)などを対象にできる。本明細書で「高い相同性」といった場合当該対象配列の長さにもよるが、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、そして特定の場合には95%以上で、特に好ましくは97%以上であってよい。
本明細書中、「オリゴヌクレオチド」とは、比較的短い一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドで、好ましくはポリデオキシヌクレオチドが挙げられ、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., Vol.28, p.716-734 (1989)に記載されているような既知の方法、例えば、フォスフォトリエステル法、フォスフォジエステル法、フォスファイト法、フォスフォアミダイト法、フォスフォネート法などの方法により化学合成されることができる。通常合成は、修飾された固体支持体上で合成を便利に行うことができることが知られており、例えば、市販されている自動化された合成装置、例えば、Applied Biosystems 3400 DNA synthesizer (Applied Biosystems), ABI 3900 High-Throughput DNA synthesizer (Applied Biosystems)などを用いて行うことができる。該オリゴヌクレオチドは、一つ又はそれ以上の修飾された塩基を含有していてよく、例えば、イノシンなどの天然においては普通でない塩基あるいはトリチル化された塩基などを含有していてよいし、場合によっては、マーカーの付された塩基を含有していてよい。
本明細書中、「ポリメラーゼ・チェイン・リアクション(polymerase chain reaction)」又は「PCR」とは、一般的に、H. A. Erlich ed., PCR Technology, Stockton Press, 1989などに記載されたような方法を指し、例えば、所望のヌクレオチド配列をインビトロで酵素的に増幅するための方法を指している。一般に、PCR 法は、鋳型核酸と優先的にハイブリダイズすることのできる2個のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、プライマー伸長合成を行うようなサイクルを繰り返し行うことを含むものである。典型的には、PCR法で用いられるプライマーは、鋳型内部の増幅されるべきヌクレオチド配列に対して相補的なプライマーを使用することができ、例えば、該増幅されるべきヌクレオチド配列とその両端において相補的であるか、あるいは該増幅されるべきヌクレオチド配列に隣接しているものを好ましく使用することができる。プライマーは、好ましくは5個以上の塩基、さらに好ましくは10個以上の塩基からなるオリゴヌクレオチド、より好ましくは18〜25個の塩基からなるオリゴヌクレオチドが挙げられる。
PCR 反応は、当該分野で公知の方法あるいはそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことができるが、上記文献の他、例えばR. Saiki, et al., Science, 230: 1350, 1985; R. Saiki, et al., Science, 239: 487, 1988; D. M. Glover et al. ed., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995); M. A. Innis et al. ed., "PCR Protocols: a guide to methods and applications", Academic Press, New York (1990)); M. J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor (Ed.), PCR: a practical approach, IRL Press, Oxford (1991); M. A. Frohman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8998-9002 (1988)などに記載された方法あるいはそれを修飾したり、改変した方法に従って行うことができる。また、PCR 法は、それに適した市販のキットを用いて行うことができ、キット製造業者あるいはキット販売業者により明らかにされているプロトコルに従って実施することもできる。
PCR反応は、代表的な場合には、例えば鋳型(代表的にはDNA)と対象核酸に基づいてデザインされたプライマーとを、10×反応緩衝液(Taq DNA ポリメラーゼに添付されている)、dNTPs(デオキシヌクレオシド三リン酸dATP, dGTP, dCTP, dTTPの混合物)、Taq DNAポリメラーゼ及び脱イオン蒸留水と混合する。混合物を、例えば、GeneAmpTM PCR system 9700 (Applied Biosystems)などの自動サーマルサイクラーを用いて一般的なPCR サイクル条件下にそのサイクルを25〜60回繰り返すが、増幅のためのサイクル数は適宜目的に応じて適当な回数とすることができる。PCRサイクル条件としては、例えば、変性90〜95℃ 5〜100秒、アニーリング40〜60℃ 5〜150秒、伸長65〜75℃ 30〜300秒のサイクル、好ましくは変性94℃ 15秒、アニーリング58℃ 15秒、伸長72℃ 45秒のサイクルが挙げられるが、アニーリングの反応温度及び時間は適宜実験によって適当な値を選択できるし、変性反応及び伸長反応の時間も、予想されるPCR産物の鎖長に応じて適当な値を選択できる。アニーリングの反応温度は、通常プライマーと鋳型DNAとのハイブリッドのTm値に応じて変えることが好ましい。伸長反応の時間は、通常1000bpの鎖長当たり1分程度がおおよその目安であるが、より短い時間を選択することも場合により可能である。
所定の核酸を同定したりするには、ハイブリダイゼーション技術を利用することができる。該ハイブリダイゼーションは、上記「遺伝子組換え技術」を開示する文献記載の方法あるいはそれと実質的に同様な方法や改変法により行うことができる。例えば、ハイブリダイゼーションは、DNAなどの核酸を含有しているサンプルを担体(ナイロンフィルターなどの膜を含めたもの)に転写せしめ、必要に応じ変成処理、固定化処理、洗浄処理などを施した後、その担体(例えば、膜など)に転写せしめられたものを、必要に応じ変成させた標識プローブDNA断片と、ハイブリダイゼーション用バッファ中で反応させて行われる。ハイブリダイゼーション処理は、普通約35℃〜約80℃、より好適には約50℃〜約65℃で、約15分〜約36時間、より好適には約1時間〜約24時間行われるが、適宜最適な条件を選択して行うことができる。例えば、ハイブリダイゼーション処理は、約55℃で約18時間行われる。ハイブリダイゼーション用バッファとしては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いることができる。転写した担体(例えば、膜など)の変成処理としては、アルカリ変性液を使用する方法が挙げられ、その処理後中和液や緩衝液で処理するのが好ましい。また担体(例えば、膜など)の固定化処理としては、普通約40℃〜約 100℃、より好適には約70℃〜約90℃で、約15分〜約24時間、より好適には約1時間〜約4時間ベーキングすることにより行われるが、適宜好ましい条件を選択して行うことができる。例えば、フィルターなどの担体を約80℃で約2時間ベーキングすることにより固定化が行われる。転写した担体(例えば、膜など)の洗浄処理としては、当該分野で普通に使用される洗浄液、例えば1M NaCl、1mM EDTAおよび0.1% Sodium Dodecyl sulfate (SDS)含有 50mM Tris-HC1緩衝液,pH8.0などで洗うことにより行うことができる。膜を含めた担体としては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いることができ、例えば、ナイロンフィルターなどを挙げることができる。
上記アルカリ変性液、中和液、緩衝液としては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いることができ、アルカリ変性液としては、例えば、0.5M NaOHおよび1.5M NaClを含有する液などを挙げることができ、中和液としては、例えば、1.5M NaCl含有 0.5M Tris-HCl緩衝液,pH8.0などを挙げることができ、緩衝液としては、例えば、2×SSPE(0.36M NaCl、20mM NaH2PO4および2mM EDTA)などを挙げることができる。またハイブリダイゼーション処理に先立ち、非特異的なハイブリダイゼーション反応を防ぐために、必要に応じて転写した担体(例えば、膜など)はプレハイブリダイゼーション処理することが好ましい。このプレハイブリダイゼーション処理は、例えば、プレハイブリダイゼーション溶液[50% formamide, 5×Denhardt's溶液(0.2 %ウシ血清アルブミン、0.2% polyvinyl pyrrolidone), 5×SSPE, 0.1% SDS, 100μg/mL熱変性サケ精子DNA]などに浸し、約35℃〜約50℃、好ましくは約42℃で、約4〜約24時間、好ましくは約6〜約8時間反応させることにより行うことができるが、こうした条件は当業者であれば適宜実験を繰り返し、より好ましい条件を決めることができる。ハイブリダイゼーションに用いる標識プローブDNA断片の変成は、例えば、約70℃〜約100℃、好ましくは約100℃で、約1分間〜約60分間、好ましくは約5分間加熱するなどして行うことができる。なお、ハイブリダイゼーションは、それ自体公知の方法あるいはそれに準じた方法で行うことができるが、本明細書でストリンジェントな条件とは、例えばナトリウム濃度に関し、約15〜約50mM、好ましくは約19〜約40mM、より好ましくは約19〜約20mMで、温度については約35〜約85℃、好ましくは約50〜約70℃、より好ましくは約60〜約65℃の条件を示す。また、ストリンジェントな条件とは、1×SSC及び0.1%SDSに相当する塩濃度であって、60℃で洗浄が行われる条件であることも好ましい。
ハイブリダイゼーション完了後、フィルターなどの担体を十分に洗浄処理し、特異的なハイブリダイゼーション反応をした標識プローブDNA断片以外の標識プローブを取り除くなどしてから検出処理をすることができる。フィルターなどの担体の洗浄処理は、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用いて行うことができ、例えば、0.1% SDS含有 0.5×SSC(O.15M NaCl, 15mMクエン酸)溶液などで洗うことにより実施できる。ハイブリダイズした核酸は、代表的にはオートラジオグラフィーにより検出することができるが、当該分野では各種の技術手法が知られており、そうした方法の中から適宜選択して検出に用いることもできる。検出したシグナルに相当する核酸バンドを、適切な緩衝液、例えば、SM溶液(100mM NaClおよび10mM MgSO4含有50mM Tris-HCl緩衝液、pH7.5)などに懸濁し、ついでこの懸濁液を適度に希釈して、所定の核酸を単離・精製、そしてさらなる増幅処理にかけることができる。所定の核酸を保有するサンプル(例えば、ファージ粒子、組換えプラスミド又はベクターなど)は、当該分野で普通に使用される方法でそれを精製分離することができ、例えば、グリセロールグラジエント超遠心分離法(Molecular cloning, a laboratory manual, ed. T. Maniatis, Cold Spring Harbor Laboratory, 2nd ed. 78, 1989)などにより精製することができる。ファージ粒子などからは、当該分野で普通に使用される方法でDNAを精製分離することができ、例えば、得られたファージなどをTM溶液(10mM MgSO4含有50mM Tris-HCl緩衝液、pH7.8)などに懸濁し、DNase IおよびRNase Aなどで処理後、20mM EDTA, 50μg/ml Proteinase K及び0.5 %SDS混合液などを加え、約65℃、約1時間保温した後、これをフェノール抽出ジエチルエーテル抽出後、エタノール沈殿によりDNAを沈殿させ、次に得られたDNAを70%エタノールで洗浄後乾燥し、TE溶液(10mM EDTA含有10mM Tris-HC1緩衝液、pH8.0)に溶解するなどして得られる。また、目的としているDNAは、サブクローニングなどにより大量に得ることも可能であり、例えばサブクローニングは、宿主として大腸菌を用いプラスミドベクターなどを用いて行うことができる。こうしたサブクローニングにより得られたDNAも、上記と同様にして遠心分離、フェノール抽出、エタノール沈殿などの方法により精製分離できる。
本明細書において、核酸は、一本鎖DNA、二本鎖DNA、RNA、DNA:RNAハイブリッド、合成DNAなどの核酸であり、またゲノムDNA、ゲノミックDNAライブラリー、細胞由来のcDNA、合成DNAのいずれであってもよい。核酸の塩基配列は、修飾(例えば、付加、除去、置換など)されることもでき、そうした修飾されたものも包含されてよい。核酸は、本発明で記載するペプチドあるいはその一部をコードするものであってよく、好ましいものとしてはDNAが挙げられる。また核酸は、対象ポリペプチド(タンパク質)、あるいはそれらの部分配列と実質的に同等な抗原性などのそれと実質的に同等な生物学的活性を有するペプチド(それと実質的に同一のアミノ酸配列を含有するものを含むし、それと高い相同性を有するものも含まれてよい)をコードするといったそれと同効の塩基配列を含有するものであれば如何なるものであってもよい。該「同効の塩基配列」とは、例えばストリンジェントな条件で問題の配列を有するものにハイブリダイズするものであってよく、例えば当該塩基配列のうちの連続した5個以上の塩基配列、好ましくは10個以上の塩基配列、より好ましくは15個以上の塩基配列、さらに好ましくは20個以上の塩基配列とハイブリダイズし、当該ポリペプチドと実質的に同等のアミノ酸配列をコードするものなどが挙げられる。核酸は、化学合成によって得ることも可能である。その場合断片を化学合成し、それらを酵素により結合することによってもよい。
本発明のPLDHをコードするDNAは、例えば、以下のような方法によって単離することができる。本発明の酵素を精製後、N末端アミノ酸配列を解析する。該酵素のアミノ酸配列解析では、精製酵素を必要に応じて、リジルエンドペプチダーゼ、V8プロテアーゼなどの酵素により切断後、逆相液体クロマトグラフィーなどによりペプチド断片を精製後、プロテインシーケンサーによりアミノ酸配列を解析する。配列解析では、複数のペプチド断片を利用してそのアミノ酸配列を決めることができる。決定したアミノ酸配列を元にPCR用のプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAもしくは、cDNAライブラリーを鋳型とし、アミノ酸配列から設計したPCRプライマーを用いてPCRを行うことにより本発明のDNAの一部を得ることができる。さらに、得られたDNA断片をプローブとして、酵素生産株の染色体DNAの制限酵素消化物をファージ、プラスミドなどに導入し、大腸菌を形質転換して得られたライブラリーやcDNAライブラリーを利用して、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーションなどにより、本発明のDNAを得ることができる。
また、PCRにより得られたDNA断片の塩基配列を解析し、得られた配列から、既知のDNAの外側に伸長させるためのPCRプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAを適当な制限酵素で消化後、自己環化反応によりDNAを鋳型としてインバースPCRを行うことにより(Ochman, H. et al., Genetics, 120: 621-623 (1988); Innis, M. et al. (Ed.), PCR: Application & Protocols, Academic Press, New York (1989))、また、RACE法(Rapid Amplification of cDNA Ends, Frohman, M.A. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 8998 (1988); Innis, M.A. et al. (Ed.), PCR Protocols: A guide to methods and applications, pp28-38, Academic Press, New York (1990), 駒野徹編、生物化学実験法47 PCR実験マニュアル、学会出版センター(JSSP))などにより本発明のDNAを得ることも可能である。なお、本発明のDNAは、以上のような方法によってクローニングされたゲノムDNA、あるいはcDNAの他、合成によって得ることもできる。このようにして単離された、本発明によるPLDHをコードするDNAを公知の発現ベクターに挿入することにより、PLDH発現ベクターが提供される。また、この発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養することにより、本発明のPLDHを組み換え体から得ることができる。
本発明の酵素遺伝子であるDNAは、それが一旦単離取得されたならば、慣用方法に従ってそのDNA中の塩基配列の大部分あるいは一部分を利用して、それをプローブとして用いて、他の生物を検索して、その生物の保有する遺伝子のうちに、PLDH活性に関与する遺伝情報を担うものを見つけ出し、次にそのようにして同定された遺伝子を遺伝子組換え技術の手法を応用して切り出して、それを大量に得、それを本微生物に由来するものと同様に用いることは、当業者であれば容易に理解し得るところのものである。なお、プローブなどを放射性同位体などによって標識するには、市販の標識キット、例えばランダムプライムドDNAラベリングキット(Boehringer Mannheim)などを使用してプローブ用DNAを[α-32P]dCTP (Amersham)などを用いて標識し、放射活性を持つプローブを得ることにより行うことが出来る。また、該標識は、当該分野で知られた方法で行うことができ、例えばジゴキシゲニン、蛍光色素、ビオチン− アビジン系などによって行うこともできる。本発明のPLDHの同族体の遺伝情報を担うDNA源としては、上記したような手法の適用できるグラム陰性あるいはグラム陽性細菌であって、当該活性を持つPLDHをコードする遺伝子を有するものがあげられる。この他にも、独特の酵素遺伝子を有するものであれば、下等生物、高等生物の区別なく利用することが可能である。
該取得されたDNAの塩基配列の決定は、代表的には次のように行うことができる。単離取得された所定の遺伝子をコードするDNA領域を含む部分は、これを当業者によく知られたベクターに結合し、大腸菌などの宿主細胞を用い、得られた組換え体コロニーをハイブリダイゼーションの手法など、例えば、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、ハイブリダイゼーション・トランスレーションアッセイ法、プラス・マイナス法などによって同定して、当該染色体由来のPLDH遺伝子をコードするDNAを大量に調製できる。ハイブリダイゼーションは、上記したようにして実施できる。目的の遺伝子を保持するクローンの選択には、当該PLDH遺伝子の産物である酵素活性をアッセイすることを利用してもよい。こうして得られたDNAは、DNAの塩基配列を決定するのに適した程度まで断片化され、次に当該分野でよく知られた方法により処理されて、その塩基配列を決定することができる。DNA断片のDNA塩基配列の決定法としては、Maxam-Gilbert法、ジデオキシ法、例えばジデオキシ・チェイン・ターミネーション法(Sanger, Science, 214, 1205 (1981))、M13ジデオキシ法等が挙げられる。ジデオキシ法に用いられるポリメラーゼとしては、例えば、DNAポリメラーゼ Iのクレノー・フラグメント、AMV逆転写酵素、Taq DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、修飾T7 DNAポリメラーゼなどが挙げられる。また、市販のシークエンシングキットや、自動塩基配列決定装置を利用できる。所定のDNAの塩基配列、例えば1本鎖DNAの塩基配列は、シークエンシングすることができ、例えば、BigDyeTMTerminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit V3.0 (Applied Biosystems)などを含めたTaqダイプライマーサイクルシークエンシングキット(Applied Biosystems)などを使用し、Applied Biosystems 3730 DNA Analyzer (Applied Biosystems)などを含めた蛍光DNAシーケンサーなどにより、その配列を決定することができる。
このような方法の内には、適当な制限酵素を作用させ、制限酵素地図を作製した上で、必要な断片をサブクローン化する方法や、ショットガン・クローニング法、PCRにより遺伝子を増幅する方法、核酸分解酵素によりディリーションする方法などの様々な手法が含まれていることはもちろんである。次に、こうしてDNA塩基配列の決定されたDNAのうちから所定のポリペプチドをコードしているDNA領域を決定する。決定したDNA塩基配列の中でオープン・リーディング・フレームを検索する。その中で標的酵素をコードすると思われるDNA領域を制限酵素で切り出し、再度これを用いて発現ベクターを構築し、それを適当な宿主中で発現させ、こうして得られた発現物中の活性を所定の活性測定系にかけて検討し、最終的に確認されることもできる。次にこうして得られた所定のポリペプチドをコードするDNA部分を再度当業者によく知られたベクターに結合し大腸菌などの宿主細胞に導入し、得られた組換え体を所定の酵素活性測定系にかけ、得られたクローンを検定して、標的酵素活性を有する形質転換体をうる。次にこの形質転換体から標的酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA領域を含む部分を制限酵素を用いて切りだすことが可能である。また該解析された新規な酵素遺伝子の有しているDNA配列を基にセンスプライマーとアンチセンスプライマーを合成することができる。オリゴヌクレオチドプライマーの作製は、上記したように当該分野で知られた方法で行うことができる。
該形質転換体からの組換え体DNAおよび目的の酵素遺伝子を持つDNA断片の調製は通常の方法を用いて行うことができる。例えば、培地中で増殖させた該形質転換体を収穫し、細胞壁をリゾチーム処理等の細胞破壊法として知られた方法により壊し、次に核酸画分を分離した後、密度勾配遠心などの方法により所望の画分に分ける。こうして得られたプラスミドを含有する画分は、次に適当な制限酵素で処理することにより、適度な断片にすることができると共にまた選択的に所望のポリペプチドをコードするDNA断片とすることができる。得られた断片は、例えばゲル電気泳動などにより、所望のものに分離でき、適当なサイズのDNA断片を含むゲルは、例えばフェノール抽出−エタノール沈殿などによりDNA抽出処理される。抽出されたDNAは必要に応じ適当な制限酵素で切断し、さらに必要に応じ精製処理したり、また必要に応じ5'末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼなどによりリン酸化した後、pUC18などのpUC系ベクターといった適当なプラスミドベクターにライゲーションし、適当なコンピテント細胞を形質転換する。クローニングされたDNA断片はその塩基配列を解析される。上記のようにして構造解析されたDNAから、所定の遺伝子をコードするDNA以外の領域を除くには、様々な方法で不必要な領域を欠失させることによってなすことができる。このような方法としては、BAL31ヌクレアーゼやエキソヌクレアーゼIIIによる欠失法、制限酵素切断サイトを利用した組換え法などがあげられる。この際、本発明に従えば遺伝子の固有のプロモーターを他のものに変更したり、部位特異的変異を導入してプロモーターの強度を変化させることが、現在の遺伝子操作技術を用いることにより、容易に行いうる。従って、そのように一部を変更したDNA断片であっても、所定の酵素活性を示すポリペプチドをコードするDNAを含むDNA断片であれば、全て本発明に含まれることは明白である。また、本発明の酵素活性を示すポリペプチドをコードするDNAを含むDNA断片としては、構造遺伝子をコードするDNAに加えて、その遺伝子を生体内で発現させるのに重要な役割を担う制御領域、例えば、遺伝子の転写プロモーター、リボソーム結合部位、転写のターミネーターなどをコードするDNAをも含んだものがあげられる。
本発明に従えば、一旦標的酵素活性に関与するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列が明らかにされることにより、その塩基の置換、付加あるいは欠失を当該分野においてよく知られた方法を適用して容易に行なうことができる。例えば、相当するアミノ酸をコードする遺伝暗号の縮重を利用したもの、生物の遺伝暗号の利用率を考慮した変換あるいは脱水素反応の機能に悪影響を及ぼさないようなアミノ酸配列の変換のための塩基の置換、付加または欠失処理などがあげられる。更にまた、このような改変のうちには、目的脱水素反応に関与する酵素の活性中心のみを保存し、その他の部分を大幅に変化させるようにそのDNAの配列及び長さを変えることも含まれる。従って、本発明の遺伝子をコードするDNAとしては、以上のような改変を施したものすべてが含まれることは当業者であれば容易に理解し得るところのものである。以上のような事情に鑑み、本発明のPLDHタンパク質をコードする遺伝子は、本発明の思想を実質的に利用して得られ、本発明の該遺伝子と実質的に同一の機能(あるいは活性)を有するものすべてを含有するものである。
本発明は、Mesorhizobium loti PLDH又はAgrobacterium tumefaciens PLDHをコードするDNAおよびその同族体に関する。本発明のPLDHをコードするDNAは、たとえば配列番号:1に示す塩基配列を含む。配列番号:1に示す塩基配列は、配列番号:2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードしており、このアミノ酸配列を含むタンパク質は、本発明によるPLDHの好ましい態様を構成する。本発明のPLDHをコードするDNA同族体とは、配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、前記性質(a)〜(g)からなる群から選択されたものを有するタンパク質をコードするDNAを含む。当業者であれば、配列番号:1記載のDNAに、下記するPCR や部位特異的変異導入法(Nucleic Acid Res., 10: pp.6487 (1982); R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods in Enzymology", Vol. 100, pp.448, Academic Press, New York (1983); J. Sambrook et al., "Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition)", Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989); M. J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor (Ed.), PCR: a practical approach, pp.200, IRL Press, Oxford (1991)などを用いて、適宜置換、欠失、挿入、および/または付加変異を導入することによりDNA同族体を得ることが可能である。また、本発明のDNA同族体は、配列番号:1に示される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズできるDNAであって、かつ、前記性質(a)〜(g)からなる群から選択されたものを有するタンパク質をコードするDNAも含む。ハイブリダイズできるDNAとは、配列番号:1に記載中の任意の少なくとも20個、好ましくは少なくとも30個、例えば40、60または100個の連続した配列を一つまたは複数選択し、その選択したDNAをプローブDNAとし、たとえばECL direct nucleic acid labeling and detection system (Amersham Pharmaica Biotech社製)を用いて、マニュアルに記載の条件(wash:42℃、0.5×SSCを含むprimary wash buffer)において、ハイブリダイズするDNAを指してよい。さらに、本発明のDNA同族体は、配列番号:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%または90%、より好ましくは95%以上の相同性を有するタンパク質をコードするDNAを含む。
本明細書中、「PLDH遺伝子」とは、ピリドキサールに作用し、4-ピリドキソラクトンを生成するといった高い変換活性を有するメソリゾビウム属微生物(例えば、メソリゾビウム ロティ(Mesorhizobium loti)株)が保有するPLDH活性に関与する遺伝子あるいはアグロバクテリウム属微生物(例えば、アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株)が保有するPLDH活性に関与する遺伝子を意味してよい。本明細書中、「PLDH」とは、ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ、代表的にはピリドキサールに作用し、特異的な選択性、高い変換活性でもって4-ピリドキソラクトンを生成する脱水素活性を担う酵素タンパク質の全てあるいはその一部を意味してよい。該遺伝子は、核酸からなるもので、通常ゲノム上では、DNAであるが、本明細書中で説明するいかなる形態のものであってよい。該PLDH遺伝子は、代表的には配列表の配列番号:1のDNAのORFに対応する塩基配列、配列番号:2のアミノ酸配列をコードする塩基配列、又はその一部のフラグメントを包含する。本発明は、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を有し、かつ、前記性質(a)〜(g)からなる群から選択されたものを有するPLDH、及びその同族体を含む。配列番号:2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質は、本発明によるPLDHの好ましい態様を構成する。本発明のタンパク質は、代表的には配列番号:2のアミノ酸配列あるいはそれと実質的に同等なアミノ酸配列により表されるタンパク質、配列番号:2のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列により表されるタンパク質、好ましくはピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性を担う酵素活性に関与するタンパク質、さらにはその一部のフラグメントが挙げられる。本発明のPLDHの同族体とは、配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を含む。また、該PLDHの同族体とは、配列番号:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%または90%、より好ましくは95%以上のホモロジーを有するタンパク質であってよい。
本発明のタンパク質をコードする遺伝子(それに関連する核酸又はオリゴヌクレオチドを含む)としては、代表的には配列番号:2のアミノ酸配列により表されるタンパク質をコードする核酸、配列番号:2のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列により表されるタンパク質をコードする核酸、さらにはその一部のフラグメント、配列番号:1の塩基配列から選択された且つ連続した塩基配列を含有するオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、例えば、5個以上の連続した塩基、さらには10個以上の連続した塩基からなるオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、さらには好ましくは15個以上の塩基からなるオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、より好ましくは18〜100個の塩基からなるオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、代表的には20〜30個の塩基からなるオリゴヌクレオチドあるいは15〜55個の塩基からなるオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドなどが挙げられる。該塩基配列と相同性を有するが、上記ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性能に関し実質的に同等なタンパク質をコードしているといったそれと同効の塩基配列を含有するDNA配列でコードされるものであることができるし、さらにそれらと相補的なヌクレオチドなどであってよい。本発明では、ピリドキサールに作用し、特異的な選択性及び高い酵素活性でもって4-ピリドキソラクトンを生成する活性を持つ酵素タンパク質、あるいはそれと実質的に同等な機能(あるいは活性)を有するタンパク質またはその塩、そのタンパク質の特徴的な部分ペプチドまたはその塩、それらをコードする遺伝子、例えばDNA、RNAなど、その遺伝子を遺伝子組換え技術で操作することが可能なように含有しているベクターあるいはプラスミド、こうしたベクターなどで形質転換された宿主細胞、さらにはその宿主細胞を培養して該タンパク質またはその塩を製造する方法、こうして得られた該タンパク質またはその塩やそのタンパク質の特徴的な部分ペプチドまたはその塩を用いて得られた抗体、特にはモノクローナル抗体、その抗体を産生するハイブリドーマ細胞、該単離された遺伝子、例えばDNA、RNAなどをプローブとして用いたり、該配列情報に基づいてデザインされたオリゴヌクレオチドを使用する核酸増幅技術などあるいは該抗体やオリゴヌクレオチドを用いたり、組換え酵素を用いた測定手段並びに試薬、そして組換え酵素などの組換えタンパク質や、形質転換された宿主細胞、固定化酵素あるいは固定化菌体を使用した化合物合成法などが提供される。
本発明に係わる遺伝子の塩基配列を基に遺伝子工学的に常用される方法を用いることにより、所定のポリペプチドのアミノ酸配列中に適宜、1個ないし複数個以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入、転移あるいは付加したごとき変異を導入した相当するポリペプチドを製造することができる。こうした変異・変換・修飾法としては、例えば日本生化学会編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法 II」、p105(広瀬進)、東京化学同人(1986); 日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核酸 III(組換えDNA技術)」、p233(広瀬進)、東京化学同人(1992); R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods in Enzymology", Vol. 154, p. 350 & p. 367, Academic Press, New York (1987); R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods in Enzymology", Vol. 100, p. 457 & p. 468, Academic Press, New York (1983); J. A. Wells et al., Gene, 34: 315, 1985; T. Grundstroem et al., Nucleic Acids Res., 13: 3305, 1985; J. Taylor et al., Nucleic Acids Res., 13: 8765, 1985; R. Wu ed., "Methods in Enzymology", Vol. 155, p. 568, Academic Press, New York (1987); A. R. Oliphant et al., Gene, 44: 177, 1986などに記載の方法が挙げられる。例えば、PCR 、合成オリゴヌクレオチドなどを利用する位置指定変異導入法(部位特異的変異導入法) (Zoller et al., Nucl. Acids Res., 10: 6487, 1987; Carter et al., Nucl. Acids Res., 13: 4331, 1986), カセット変異導入法 (cassette mutagenesis: Wells et al., Gene, 34: 315, 1985), 制限部位選択変異導入法 (restriction selection mutagenesis: Wells et al., Philos. Trans. R. Soc. London Ser A, 317: 415, 1986),アラニン・スキャンニング法 (Cunningham & Wells, Science, 244: 1081-1085, 1989), PCR変異導入法, Kunkel法, dNTP[αS]法(Eckstein),亜硫酸や亜硝酸などを用いる領域指定変異導入法等の方法が挙げられる。
また、遺伝子組換え法で製造する時に融合ポリペプチド(融合タンパク質)として発現させ、生体内あるいは生体外で、所望のポリペプチドと実質的に同等の生物学的活性を有しているものに変換・加工してもよい。遺伝子工学的に常用される融合産生法を用いることができるが、こうした融合ポリペプチドはその融合部を利用してアフィニティクロマトグラフィーなどで精製することも可能である。こうした融合ポリペプチドとしては、ヒスチジンタグに融合せしめられたもの、あるいは、β-ガラクトシダーゼ(β-gal)、マルトース結合タンパク (MBP),グルタチオン-S-トランスフェラーゼ (GST)、チオレドキシン (TRX)又はCre Recombinaseのアミノ酸配列に融合せしめられたものなどが挙げられる。同様に、ポリペプチドは、ヘテロジーニアスなエピトープのタグを付加され、該エピトープに特異的に結合する抗体を用いてのイムノアフィニティ・クロマトグラフィーによる精製をなし得るようにすることもできる。より適した実施態様においては、ポリヒスチジン(poly-His)又はポリヒスチジン−グリシン(poly-His-Gly)タグ、また該エピトープタグとしては、例えばAU5, c-Myc, CruzTag 09, CruzTag 22, CruzTag 41, Glu-Glu, HA, Ha.11, KT3, FLAG (registered trademark, Sigma-Aldrich), Omni-probe, S-probe, T7, Lex A, V5, VP16, GAL4, VSV-Gなどが挙げられる (Field et al., Molecular and Cellular Biology, 8: pp.2159-2165 (1988); Evan et al., Molecular and Cellular Biology, 5: pp.3610-3616 (1985); Paborsky et al., Protein Engineering, 3(6): pp.547-553 (1990); Hopp et al., BioTechnology, 6: pp.1204-1210 (1988); Martin et al., Science, 255: pp.192-194 (1992); Skinner et al., J. Biol. Chem., 266: pp.15163-15166 (1991); Lutz-Freyermuth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87: pp.6393-6397 (1990)など)。
さらに融合ポリペプチドとしては、検出可能なタンパク質となるようなマーカーを付されたものであることもできる。より好適な実施態様においては、該検出可能なマーカーは、ビオチン/ストレプトアビジン系のBiotin Avi Tag、螢光を発する物質などであってよい。該螢光を発する物質としては、オワンクラゲ (Aequorea victorea)などの発光クラゲ由来の緑色螢光タンパク質(green fluorescent protein: GFP)、それを改変した変異体(GFPバリアント)、例えば、EGFP (Enhanced-humanized GFP), rsGFP (red-shift GFP), 黄色螢光タンパク質 (yellow fluorescent protein: YFP), 緑色螢光タンパク質 (green fluorescent protein: GFP),藍色螢光タンパク質 (cyan fluorescent protein: CFP), 青色螢光タンパク質 (blue fluorescent protein: BFP), ウミシイタケ (Renilla reniformis) 由来のGFPなどが挙げられる(宮脇敦史編、実験医学別冊ポストゲノム時代の実験講座3-GFPとバイオイメージング、羊土社 (2000年))。また、上記融合タグを特異的に認識する抗体(モノクローナル抗体及びそのフラグメントを含む)を使用して検出を行うこともできる。こうした融合ポリペプチドの発現及び精製は、それに適した市販のキットを用いて行うことができ、キット製造業者あるいはキット販売業者により明らかにされているプロトコルに従って実施することもできる。本発明の所定のペプチドは、天然に存在する形態に加えて、そのペプチドの機能と同等、又はより強力な、又はよりプラスの機能を有するペプチド類縁体のような他のポリペプチドも含む。
本発明のPLDH同族体のタンパク質は、1個以上のアミノ酸残基が同一性の点で天然のものと異なるもの、1個以上のアミノ酸残基の位置が天然のものと異なるものであってもよい。本発明のMesorhizobium loti株菌又はAgrobacterium tumefaciens株菌由来のタンパク質は、当該タンパク質に特有なアミノ酸残基が1個以上(例えば、1〜80個、好ましくは1〜60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20個、特には1〜10個など)欠けている欠失類縁体、特有のアミノ酸残基の1個以上(例えば、1〜40個、好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、特には1〜2個など)が他の残基で置換されている置換類縁体、1個以上(例えば、1〜40個、好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、特には1〜2個など)のアミノ酸残基が付加されている付加類縁体も包含する。該PLDHタンパク質の内に見出される共通の特徴であるドメイン構造あるいはテトラマーを形成する能力が維持されていれば、上記のごとき変異体は、全て本発明に包含される。また本発明のタンパク質は天然の当該酵素と実質的に同等の一次構造コンフォメーションあるいはその一部を有しているものも含まれてよいと考えられ、さらに天然のMesorhizobium loti株菌又はAgrobacterium tumefaciens株菌由来の所定のタンパク質と実質的に同等の生物学的活性を有しているものも含まれてよいと考えられる。さらに天然に生ずる変異体の一つであることもできる。本発明の菌由来のタンパク質は、例えば、配列表の配列番号:2で示されるアミノ酸配列に対し、70%より高い相同性を有しているものが挙げられ、好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の相同アミノ酸配列を有するものが挙げられる。
アミノ酸の置換、欠失、あるいは挿入は、しばしばポリペプチドの生理的な特性や化学的な特性に大きな変化を生ぜしめないあるいは良好な性状を与え、こうした場合、その置換、欠失、あるいは挿入を施されたポリペプチドは、そうした置換、欠失、あるいは挿入のされていないものと実質的に同一であるとされるであろう。該アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的に同一な置換体としては、そのアミノ酸が属するところのクラスのうちの他のアミノ酸類から選ぶことができうる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、トリプトファン、メチオニンなどが挙げられ、極性(中性)としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンなどが挙げられ、陽電荷をもつアミノ酸(塩基性アミノ酸)としては、アルギニン、リジン、ヒスチジンなどが挙げられ、陰電荷をもつアミノ酸(酸性アミノ酸)としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
本発明の標的酵素関与遺伝子を持つ組換え体DNA(例えば、組換えベクター、組換えプラスミドを含む)の作製について以下説明する。形質転換体の作製のための手順および宿主に適合した組み換えベクターの構築は、分子生物学、生物工学、遺伝子工学の分野において慣用されている技術に準じて行うことができ、例えば、J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition (1989) & 3rd Edition (2001)), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkなどに記載の上記「遺伝子組換え技術」を利用して行うことができる。本発明の標的PLDHをコードするDNAを含む断片から、適当な手段を施して不必要な領域を欠失させたDNAは、それを適当なベクターDNAに再び組み込むことにより、宿主細胞に再び導入することが出来る。本発明のPLDH遺伝子を宿主中などにおいて、発現させるためには、まず該宿主生物中において安定に存在するプラスミドベクターやファージベクター中にこのDNAを導入し、その遺伝情報を転写・翻訳させる必要がある。そのためには、転写・翻訳を制御するユニットにあたるプロモーターを本発明のDNA鎖の5'側上流に、より好ましくはターミネーターを3'側下流に、それぞれ組み込めばよい。本発明の上記酵素などをコードするDNAを宿主細胞に導入し、そしてそれをその導入された宿主細胞内で発現させるために用いられるベクターDNAとしては、適当な宿主細胞内で、所定の酵素遺伝子などを発現できるものであれば特に制限なく使用し得る。このようなベクターDNAとしては、上記酵素などをコードするDNAを組み込むことの出来るものであり、組換えたベクターDNAで宿主細胞を形質転換できるものであり、そして得られた形質転換体の細胞内で導入された遺伝子産物をコードするDNAの発現ができるものであれば特に限定されず、如何なるものも使用することが出来る。
このようなベクターDNAとしては、宿主細胞中で自律複製可能であり、さらに組換え宿主細胞のみを選別できるような適当な選択マーカーなどが付与されたものがあげられる。さらにまた、このようなベクターDNAは公知のベクターDNA等から当業者が容易に製造し得るようなものであってもよい。このようなベクターDNAとしては、例えばプラスミドベクター、ファージベクター、コスミドベクターから選ばれたものがあげられる。また、このようなベクターDNAは他の宿主株との間で遺伝子交換が可能なシャトルベクターであってもよいし、ランナウェイベクターやスリーパーベクターなど遺伝子産物の発現効率を向上せしめるために特別に工夫されたものであってもよい。さらに、このようなベクターDNAは、lacUV5プロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、lppプロモーター、tufBプロモーター、recAプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーター等のプロモーター、trpA由来ターミネーター、ファージ由来ターミネーター、rrnBリボソーマルRNA由来ターミネーター等のターミネーター、エンハンサーなどの制御因子を作動可能なように適宜付与されたものであってもよい。このような形質発現などに係わる因子等を導入するためには、遺伝子組換え技術の分野でよく知られた方法を適宜選択して適用することにより行うことができる。代表的な発現ベクターとしては、例えば、pBluescript SK+, pBluescript KS+, pUC18, pUC19, pBR322, pET 16b, pET 32a(+), pCITE 4a, pGEX-5X-1, pGEX-5X-3, pMAL-p2, pMAL-c2, pBridge Vector, pKF18k DNA, pKF19k DNA, pSPORT 1, Charmomid 9-36 DNA, pEU-DFR, pIVEX 2.3-MCS, pIVEX 2.4c, pIVEX 2.3, pIVEX 2.4b Nde, pIVEX 2.4a, pETcocoTM System, pETBlueTM System, pCDF-1b DNA, pRSF-1b DNA, pNEB205A, pET21aなどのpET Expression System (TaKaRa, Japan)とその誘導体などを挙げることができる。エシェリヒア(Escherichia)属微生物、特に大腸菌(E. coli)を宿主とするプラスミド(又はベクター)としては、例えばpBR322などのpBR系ベクター, pUC18, pUC19, pUC118, pUC119などのpUC系ベクター, pLAC11, pLAC21, pSP64, pSP65, pTZ-18R/-18U, pTZ-19R/-19U, pGEM-3, M-4, pGEM-3Z, pGEM-4Z, pGEM-5Zf(-)などのpGEX系ベクター, pBluescript KSTM (Stratagene)などのpBluescriptベクターが挙げられる。大腸菌での発現に適したプラスミドベクターとしては、例えばpAS, pKK223 (Pharmacia), pMC1403, pMC931, pKC30, pET Expression System (TaKaRa, Japan), pRSET-B (Invitrogen) なども挙げられる。メソリゾビウム(Mesorhizobium)属菌、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属菌、例えば、メソリゾビウム ロティ(Mesorhizobium loti)、アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)なども好適に宿主として使用できる。また、微生物以外でも、植物、動物において様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に蚕を用いた昆虫(Nature, 315, 592-594 (1985))や菜種、トウモロコシ、ジャガイモなどの植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系が開発されており、好適に利用できる。
上記ベクターDNAに、上記所定タンパク質をコードするDNAを組み込むには、まず、上記ベクターDNAに適当な制限酵素を作用させ、得られたベクターDNA断片を、目的タンパク質をコードするDNA断片とを混合し、これにDNAリガーゼを作用させることによりなしうる。この際、必要に応じ当該分野で知られたリンカー付与、ブラントエンド化等の処理を加えることもできる。このようにして得られた組換え体DNAは次に適当な宿主細胞の中に導入される。同一のプラスミド上に複数の所定遺伝子を組み込めば、より良好な結果が得られる。複数の酵素遺伝子などを組み込む際のその様式は、固有のプロモーターを持つ当該遺伝子が複数個導入されていてもよいし、複数の酵素遺伝子がポリシストロニックに転写されるオペロンとして導入されていてもよいし、またこれらの組み合わせであってもよい。導入する遺伝子の数に特に制限はなく、組換え体DNA及びそれを含む形質転換体の安定性を損なわない範囲であればよい。組換え体DNAを作製する場合、このための技術としては制限酵素による切断、リガーゼによる連結、化学合成DNAの利用、ヌクレアーゼによる欠失、部位特異的変異による塩基置換など、通常の遺伝子操作で用いられる技術を適宜選択して適用することにより行なうことができるが、この際に、プロモーターの変更やその他の所定酵素遺伝子を発現させるための塩基配列の改変を行ってもよい。このようにして得られた組換え体DNAは次に適当な宿主細胞の中に導入される。
本発明に従った、組換え体DNAの宿主細胞への導入について以下説明する。上記のようにして作製した組換え体DNAを導入するための宿主細胞としては、上記で得られた組換えプラスミド(又はベクター)でもって形質転換されて、当該遺伝子を発現させることができるようなものであれば、特に制限なく使用することができる。宿主細胞としては、宿主ベクター系の開発されている細菌、放線菌、酵母、糸状菌、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞などが挙げられ、例えば大腸菌を含めたエシェリヒア属微生物の他、メソリゾビウム属、アグロバクテリウム属などの微生物が挙げられる。このような宿主細胞としては、本発明の目的に沿って標的酵素遺伝子の発現を達成し得る限り、グラム陰性菌あるいはグラム陽性菌の区別なく、さらには、下等細胞あるいは高等細胞の区別なく使用できる。
宿主細胞が、例えばエシェリヒア属、特に大腸菌の場合、例えば大腸菌K12株に由来するものが挙げられ、例えばM15, C600, DH1, DH5, DH11S, DH12S, DH5α, DH10B, HB101, MC1061, JM109, STBL2, STBL4, XL1-Blue系株, BL21(DE3)pLysSなどが挙げられる。メソリゾビウム(Mesorhizobium)属菌、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属菌、例えば、メソリゾビウム ロティ(Mesorhizobium loti)、アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)なども好適な宿主細胞である。
組換え体DNAを導入するのは、当業者によく知られた方法から適宜選択して行うことができ、例えば、組換え体DNAをコンピテント細胞に接触せしめる、エレクトロポレーション、インビトロパッケージング法などを用いて適当な増殖期にある宿主に、組換えファージベクターを感染させる方法等などが適用される。本発明に従い、ポリペプチドをコードする核酸を含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体は、必要に応じて適当な選択マーカーを用い、繰り返しクローニングを行うことにより、高い発現能を安定して有する細胞株を得ることができる。形質転換体を用いる場合、使用する菌株に応じてアンピシリン、クロラムフェニコール等の抗生物質を培養液に添加してもよい。本発明の形質転換体は、適当な栄養培地中で本発明のポリペプチドをコードする核酸が発現可能な条件下で培養し、それを大量に得ることができるし、さらに目的物を生成、蓄積せしめることもできる。該形質転換体は、当該分野で汎用されている培地中で培養することができる。例えば、大腸菌等の原核細胞宿主などを宿主としている形質転換体は、液体培地を好適に使用することができる。培地中には、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、たとえばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、たとえばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、麦芽エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては,例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビタミン類、カザミノ酸、生長促進因子などを添加してもよい。また、必要に応じて、培地には、微生物の活性を誘導する物質、培地のpH保持に有効な緩衝物質、消泡剤、さらにはシリコン、アデカノール、プルロニックなどを添加してもよい。必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β-インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。
微生物の培養は、生育に適した条件下で行うことができる。具体的には、培地のpH3〜10、好ましくは4〜9、温度0〜50℃、好ましくは20〜40℃で行うことができる。微生物の培養は、好気的または嫌気的条件下で行うことができる。培養時間は、1〜300時間、より好ましくは2〜300時間であるが、それぞれの微生物により適宜決められるべきである。培養は、例えば大腸菌では通常約15〜約45℃で約3〜約75時間行い、必要により、通気や攪拌を加えることもできる。培養は通常約30℃〜約40℃で約15〜約72時間行い、必要に応じて通気や攪拌を加える。所定の遺伝子産物を発現している形質転換体はそのまま利用可能であるが、その細胞ホモジュネートとしても利用でき、さらに所定の遺伝子産物を単離して用いることもできる。上記培養細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により粗抽出液を得る方法などを適宜用いることができる。緩衝液の中には尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白変性剤や、トリトン X-100(商品名)、ツウィーン-20(商品名)などの界面活性剤を加えてあってもよい。培養液中に目的生成物が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる目的生成物は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせてその精製を行なうことができ、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなどによるゲルろ過法、例えばジエチルアミノエチル基あるいはカルボキシメチル基などを持つ担体などを用いたイオン交換クロマトグラフィー法、例えばブチル基、オクチル基、フェニル基など疎水性基を持つ担体などを用いた疎水性クロマトグラフィー法、色素ゲルクロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、逆相クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法などにより精製して得ることができる。好ましくは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、リガンドなどを固定化したアフィニティ・クロマトグラフィーなどで処理し精製分離処理できる。例えば、ゼラチン-アガロース・アフィニティ・クロマトグラフィー、ヘパリン−アガロース・クロマトグラフィーなどが挙げられる。それらの方法は、単独あるいは適宜組み合わせて用いて適用することにより行うことが出来る。
得られたタンパク質(ペプチドあるいはポリペプチドを包含していてよい)は、それを酵素免疫測定法など知られた手法で、適当な担体あるいは固相に結合せしめて固相化することができる。固相化タンパク質、固相化ペプチドは、便利に結合アッセイや物質のスクリーニング、さらにはピリドキソラクトンの製造、ビタミンB6の定量に使用できる。精製されたリコンビナントタンパク質は、モノクローナル抗体作製のための免疫抗原としても好適に使用できる。該ポリペプチドは、化学的な手法でその含有されるアミノ酸残基を修飾することもできるし、ペプチダーゼ、例えばペプシン、キモトリプシン、パパイン、ブロメライン、エンドペプチダーゼ、エキソペプチダーゼなどの酵素を用いて修飾したり、部分分解したりしてその誘導体などにすることができる。
タンパク質・ポリペプチドの構造の修飾・改変などは、例えば日本生化学会編、「新生化学実験講座1、タンパク質 VII、タンパク質工学」、東京化学同人(1993)を参考にし、そこに記載の方法あるいはそこで引用された文献記載の方法、さらにはそれらと実質的に同様な方法で行うことができる。またその生物学的活性のうちには、免疫的に活性、例えば抗原性を有するということも含まれてよい。該修飾・改変のうちには、アミノ基、SH基及び/又はカルボキシル基の導入、シリル化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、リン酸化、メチル化、アセチル化などのアシル化、酸化、還元、開環、閉環、D−体アミノ酸残基への置換などであってもよい。それらの方法は、当該分野で知られている。
本明細書において、「実質的に同等」とはポリペプチドの活性、例えば、ピリドキサールに作用し、4-ピリドキソラクトンを生成する点で高い選択性、高い酵素活性、高い安定性などのいずれかの活性、それに対応する生理的な活性、生物学的な活性が実質的に同じであることを意味する。さらにまた、その用語の意味の中には、実質的に同質の活性を有する場合を包含していてよく、該実質的に同質の活性としては、例えば、高い生産性、ピリドキサールに作用し、4-ピリドキソラクトンを生成する従来に比較して高い酵素活性などを挙げることができる。該実質的に同質の活性とは、それらの活性が性質的に同質であることを示し、例えば、生理的に、脱水素反応的に、あるいは生物学的に同質であることを示す。例えば、該PLDH活性などの活性が、同等(例えば、約1〜10000倍、好ましくは約1〜1000倍、より好ましくは約1〜200倍、さらに好ましくは約1〜10倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度、タンパク質の分子量などの量的な要素は異なっていてもよい。
本発明に従えば、ピリドキサールに作用し、4-ピリドキソラクトンを生成する脱水素能において特異な活性を有するPLDH遺伝子が明らかにされたので、当該DNA配列は、例えば各種の微生物における同様な活性を有するPLDH及び関連タンパク質をコードする、微生物などの、ゲノムDNA及びcDNAのスクリーニング及び特有の脱水素能などの検知のためのプローブの設計などに使用できる。プローブは、必要に応じて、当該分野で広く利用されている標識を付与しておくことができる。遺伝子の単離にあたっては、PCR法、さらには逆転写酵素(RT)を用いたPCR法(RT-PCR)を利用することが出来る。例えば、所定のcDNAをプローブとして用いれば、例えばノーザン・ブロティング、サザン・ブロティング、in situ ハイブリダイゼーションなどにより細胞中での特有の脱水素能を持つPLDH遺伝子などを検出・測定できる。本明細書中で開示した関連したタンパク質あるいはポリペプタイド、そのフラグメント、さらにはDNAを含めた核酸(mRNAやオリゴヌクレオチドを含む)は、それらを単独あるいは有機的に使用し、更にはアンチセンス技術、モノクローナル抗体を含めた抗体、組換え微生物などとも適宜組合わせて、ゲノミックス及びプロテオミックス技術に応用できる。核酸アレイ、タンパク質アレイを使用した遺伝子発現解析、遺伝子機能解析、タンパク質間相互作用解析、関連遺伝子解析をすることが可能となる。例えば、核酸アレイ技術では、cDNAライブラリーを使用したり、PCR技術で得たDNAを基板上にスポッティング装置で高密度に配置して、ハイブリダイゼーションを利用して試料の解析が行われる。
該アレイ化は、針あるいはピンを使用して、あるいはインクジェトプリンティング技術などでもって、スライドガラス、シリコン板、プラスチックプレートなどの基板のそれぞれ固有の位置にDNAが付着せしめられることによりそれを実施することができる。該核酸アレイ上でのハイブリダイゼーションの結果得られるシグナルを観察してデータを取得する。該シグナルは、螢光色素などの標識(例えば、Cy3, Cy5, BODIPY, FITC, Alexa Fluor dyes(商品名), Texas red(商品名)など)より得られるものであってよい。検知にはレーザースキャナーなどを利用することもでき、得られたデータは適当なアルゴリズムに従ったプログラムを備えたコンピューターシステムで処理されてよい。また、タンパク質アレイ技術では、タグを付された組換え発現タンパク質産物を利用してよく、二次元電気泳動(2-DE)、酵素消化フラグメントを含めての質量分析(MS)(これにはエレクトロスプレーイオン化法(electrospray ionization: ESI), マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(matrix-assisted laser desorption/ionization: MALDI)などの技術が含まれ、MALDI-TOF分析計、ESI-3連四重極分析計、ESI-イオントラップ分析計などを使用してよい)、染色技術、同位体標識及び解析、画像処理技術などが利用されることができる。したがって、本発明には上記で得られるあるいは利用できる酵素遺伝子系など及びそれに対する抗体に関連したソフトウエア、データベースなども含まれてよい。
本発明は、前記PLDHのピリドキサールの脱水素による4-ピリドキソラクトンの製造用途を提供している。例えば、前記PLDH存在下ピリドキサールを脱水素することによる4-ピリドキソラクトンの製造法、さらに該方法と組み合わせた、生成する4-ピリドキソラクトンから4-ピリドキシン酸を製造する方法が提供される。本発明のPLDHは、脱水素を行うことから、特定の有用物質を変換するといった工業的な利用において有利である。酵素分子、その処理物、酵素分子を含む培養物、固定化酵素、あるいは酵素を生成する形質転換体微生物等(該形質転換体が生きた状態であっても固定化されていてもよい)を反応溶液と接触させることにより、目的とする酵素反応を行わせることができるが、酵素と反応溶液の接触形態はこれらの具体例に限定されるものではない。反応溶液は、基質や酵素反応に必要なものを、酵素活性の発現に望ましい環境を与える適当な溶媒に溶解したものである。本発明におけるPLDHを含む微生物の処理物には、具体的には界面活性剤やトルエンなどの有機溶媒処理によって細胞膜の透過性を変化させた微生物、あるいはガラスビーズや酵素処理によって菌体を破砕した無細胞抽出液やそれを部分精製したものなどが含まれる。該微生物の処理物には、例えば粗抽出液、培養菌体、凍結乾燥生物体、アセトン乾燥生物体、それらの菌体の磨砕物などが含まれてよい。
本発明の一つの態様では、ピリドキサールを、本発明で特定されたPLDH、あるいは該酵素の産生能を有し且つ形質転換された微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたもので処理して4-ピリドキソラクトンを製造する方法、あるいはさらに加水分解に付して4-ピリドキシン酸を製造する方法に関する。本発明では、微生物の菌体又はその微生物培養物を使用する場合、エネルギー源の存在下に処理を行うことができる。菌体としては、上記微生物を培養液より収穫したものあるいは培養液より集菌洗浄したもの、乾燥又はアセトンパウダー処理したもの等を挙げることができる。酵素や菌体は、そのままか、或いは固定化した形で使用することができる。固定化は、当業者に周知の方法(例えば、架橋法、物理的吸着法、包括法等)で行い得る。固定化担体としては、一般に用いられているものであれば何れでもよく、例えば、セルロース、アガロース、デキストラン、κ-カラギナン、アルギン酸、ゼラチン、酢酸セルロース等の多糖類;例えばグルテン等の天然高分子;例えば活性炭、ガラス、白土、カオリナイト、アルミナ、シリカゲル、ベントナイト、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム等の無機物;ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール、ウレタン等の合成高分子などが挙げられる。また、菌体は、マイクロカプセルに封入した形で使用することもでき、当該分野で知られた方法から適宜選択して使用できる。
培養物としては、上記微生物を適当な培地で培養したものを挙げることができる。前記微生物の処理物及び抽出物としては、菌体又は培養物を、必要に応じて、緩衝液に懸濁させ、得られた懸濁液を自己消化して得たもの、あるいはフレンチプレス、超音波、ホモジナイザー等の物理的方法、更にはリゾチーム等の酵素的方法を組み合わせて破砕するなどして得られた菌体破砕物を指してもよいし、そうして得られた生成物から、水もしくは適当な緩衝液で抽出したもの、該抽出液に硫安もしくはアルコールを加えることにより得られる沈殿物及び該抽出液を限外濾過、ゲル濾過、疎水クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等を用いて分画したものを挙げることができる。また、該微生物の処理物及び抽出物としては、菌体又は培養物を、必要に応じて、熱処理したものあるいは該熱処理物に上記の処理を施したものなどであってもよい。該熱処理は、当該分野で知られた方法で行うことができ、具体的な条件については目的にあわせて実験などにより適宜それを決定することができる。熱処理の温度としては、約37℃以上の温度が挙げられるが、例えば約40〜70℃、好ましくは約45〜60℃である。熱処理の時間としては、処理温度にもよるが、例えば、約5分間〜約24時間、好ましくは約30分間〜10時間、より好ましくは約1〜5時間である、代表的な熱処理は、例えば約45℃、約50℃あるいは約55℃で約2〜4時間処理するものであるが、好ましくは約45〜55℃で約3時間程度処理するものである。熱処理されたものを使用することにより、選択性、転換率などを含めて良好な結果を得ることもできる。
本発明に係る4-ピリドキソラクトンの製造における反応方法としては、前記ピリドキサールに前記PLDH、あるいは該酵素の産生能を有し且つ形質転換された微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたものが作用して、4-ピリドキソラクトンを生成する方法であれば特に限定されず、原料化合物の水溶液に、単離された酵素、該酵素産生能を有する形質転換体の緩衝液または水などで洗浄した菌体、あるいは該形質転換体培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたものを混合することで反応を開始する。反応は、通常、水中、或いは水に実質的に不溶性ないし難溶解性の有機溶媒と水との液体二相系で行うことができるが、一般的には水性系で行うことが好ましい。また、ピリドキサールは、必要に応じて、適当な有機溶媒、例えばエタノール、メタノール、ジオキサン、ジメチルスルホキシド等に溶解した後に、該溶解液を水性溶液にして用いることもできる。また、反応条件は、4-ピリドキソラクトンあるいは4-ピリドキシン酸の生成を損なわない範囲で選択できる。基質であるピリドキサールの濃度は、好ましくは0.001〜20%、より好ましくは0.01〜10%である。さらに、反応液のpHは、好ましくは5〜9、より好ましくは6〜8であり、反応温度は好ましくは10〜50℃、より好ましくは20〜40℃である。pHを安定させるために緩衝液を使用することもできる。さらに、pHを調節するために、酸、塩基を使用して調節することもできる。また、反応時間は、1〜200時間、好ましくは5〜150時間であるが、それぞれの酵素濃度や使用形質転換体により適宜決められるべきである。反応に用いる補酵素としてはNAD+またはNADP+を単独あるいは混合して用いる。NAD+またはNADP+は、形質転換体が、菌体内に含むものを用いても良いし、微生物が生合成するものを用いてもよい。また、それぞれの還元型のもの(NADHまたはNADPH)を酵素や形質転換体や別に添加した微生物で酸化し用いてもよい。基質であるピリドキサールを、以下のようにビタミンB6関連物質から化学的あるいは酵素的に転換することにより供給してもよい。すなわちピリドキシンあるいはピリドキシン塩酸塩をピリドキサールに転換する場合、ピリドキシン4−オキシダーゼやピリドキシン4−デヒドロゲナーゼなどを添加すればよい。ピリドキサミンあるいはピリドキサミン二塩酸塩をピリドキサールに転換する場合、ピリドキサミン−ピルビン酸アミノトランスフェラーゼやピリドキサミン−2-オキソ酸アミノトランスフェラーゼなどを添加すればよい。
形質転換体を使用する場合、反応をより効率的に進行させるために、グルコースなどの糖類、酢酸などの有機酸、エタノール、グリセロールなどのエネルギー物質を添加することができる。これらは、各々単独で用いてもよく、それらの混合物の形態で用いてもよい。添加量は、基質に対して好ましくは100分の1〜10倍量である。さらに、グルコースなどの糖類、酢酸などの有機酸、グリセロールなどのエネルギー物質、補酵素、補酵素再生酵素および補酵素再生酵素の基質をそれぞれ組み合わせて用いてもよい。これらは、本来、菌体中に蓄積されているが、必要に応じてこれら物質を添加することにより、反応速度、収率等を上昇させることができる場合があり、適宜選択され得る。必要に応じて反応系内には、基質、当該酵素、微生物の菌体、その培養物、それらの処理物並びに抽出物から成る群から選ばれたもの、さらにはその他のものを、逐次添加したり、連続的に添加することも可能である。生成物を連続的に取り出しながら反応を行うことにより、反応速度を高めることなどもできる。反応はバッチ式又は連続方式で行いうるし、膜リアクターなども使用できる。反応によって生成した4-ピリドキソラクトン(あるいは4-ピリドキシン酸)は、慣用の分離精製手段によって単離精製できる。例えば、反応液から直接または菌体を分離した後、膜分離、有機溶媒(例えば、トルエン、クロロホルムなど)による抽出、カラムクロマトグラフィー、減圧濃縮、蒸溜、晶析、再結晶などの通常の精製方法に供することができる。例えば、反応終了後、酢酸ブチル、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム等の有機溶媒で反応液から生成物を抽出し、溶媒を留去することにより粗生成物を得ることができる。該粗生成物は、それをそのまま次の工程に使用してもよいが、必要によりシリカゲルカラムクロマトグラフィー等の手段により精製した後、さらにセルロース誘導体等の光学活性担体を使用した高速液体クロマトグラフィー等の手段により精製してもよい。
明細書及び図面において、用語は、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによるか、あるいは当該分野において慣用的に使用される用語の意味に基づくものである。代表的な用語の意味を以下に示す。
アミノ酸配列に関しては:
A:アラニン(Ala) M:メチオニン(Met)
C:システイン(Cys) N:アスパラギン(Asn)
D:アスパラギン酸(Asp) P:プロリン(Pro)
E:グルタミン酸(Glu) Q:グルタミン(Gln)
F:フェニルアラニン(Phe) R:アルギニン(Arg)
G:グリシン(Gly) S:セリン(Ser)
H:ヒスチジン(His) T:スレオニン(Thr)
I:イソロイシン(Ile) V:バリン(Val)
K:リジン(Lys) W:トリプトファン(Trp)
L:ロイシン(Leu) Y:チロシン(Tyr)
ヌクレオチド配列に関しては:
A,a:アデニン G,g:グアニン
C,c:シトシン T,t:チミン
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。以下の実施例における通常慣用されるDNAクローニングを含めた技術としては、標準的な実験マニュアル、例えばJ. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989) & J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd Edition), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (2001)に記載されるように実施できる。また特にPCR法では、R. Saiki et al., Science, 230: 1350, 1985; R. Saiki et al., Science, 239: 487, 1988; H. A. Erlich (ed.), PCR Technology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover et al. (ed.), "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Practical Approach Series), IRL Press, Oxford University Press (1995); M. A. Innis et al. (ed.), "PCR Protocols: a guide to methods and applications", Academic Press, New York (1990)); M. J. McPherson, P. Quirke and G. R. Taylor (ed.), PCR: a practical approach, IRL Press, Oxford (1991)などに記載の方法に準じて行っているし、また市販の試薬あるいはキットを用いている場合はそれらに添付の指示書(protocols)や添付の薬品などを使用している。
後述の実施例1(c)に記載のMesorhizobium loti PLDH(配列番号2)をコードするDNA配列(配列番号1)をpET21a (Novagen)に挿入して得られたプラスミドpET6807でE. coli BL21(DE3)を形質転換して得られた形質転換体(発現株)BL21(DE3)/pET6807は、平成17年2月18日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号 305-8566)の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, International Patent Organism Depositary: IPOD)に寄託されて保管されている(受領番号 FERM AP-20410、受領日: 平成17年2月18日)。
ピリドキサール4-デヒドロゲナーゼ(PLDH)をコードする遺伝子の取得およびクローニング、形質転換株の取得
(1)DNA抽出
TY培地(0.5% トリプトン、0.3% 酵母エキス、0.1% 塩化カルシウム2水和物、pH 6.8)で培養したMesorhizobium loti菌体からApuapure genomic DNA isolation kit (Bio-Rad)を用いて、染色体DNAを抽出した。
(2)クローニング
(a)PCRによる本酵素遺伝子の増幅
上記(1)で得られた染色体DNAをPCRにより増幅した。PCR反応(50 ml)は、0.2 mM dNTPs、2.5 mM 塩化マグネシウム、鋳型DNA, 20 pmol各プライマー、1.25 units LA Taq ポリメラーゼを含むLA PCR buffer(TaKaRa Bio)中で行った。プライマーは、
5’-GGAGACAUATGACTGAACGGCTTGCGGGAAAG-3’(センス;配列番号3)と
5’-GGGAAAGUCCACTATCCGACTTAGTGCCTGACCATC-3’(アンチセンス;配列番号4)を用いた(Uはデオキシウリジンを示している。)。反応条件は、94℃、5分間処理後、94℃ 1分間、57℃1分間、72℃2分間というサイクルを30回繰り返した。最後に72℃で5分間加熱した。
(b)pNEB205Aベクターへの連結
増幅した断片は、USER (Uracil-Specific Excision Reagent) friendly cloning kit (New England BioLabs)のプロトコールに従い、pNEB205Aベクターに連結後、E. coli JM109を形質転換した。構築したプラスミドpNEB6807は、DNAシークエンスにより、変異の無いことを確認した。解析はABI PRISM 3100-Avant Genetic Analyzer (Applied Biosystems)を用いて行った。DNA配列を配列番号:1に示した。また、推定されるアミノ酸配列を配列番号:2に示した。
(c)pET21aベクターへの連結
pNEB6807をNdeI、EcoRIで処理し、同制限酵素で処理したpET21aベクターに連結した。(EcoRIサイトはpNEB205Aベクター上に存在する。)構築したプラスミドpET6807を用いて、E. coli BL21(DE3)を形質転換した。この株を発現株BL21(DE3)/pET6807として用いた。本発現株BL21(DE3)/pET6807は、平成17年2月18日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(〒305-8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託され、保管されている(受領番号FERM AP-20410、受領日: 平成17年2月18日)。
酵素の精製
実施例1(2)で得られた発現株0.9 gを12 mLの0.1% (v/v) 2-メルカプトエタノール、10% (w/v) グリセロール、1 mM EDTA、1 mM フェニルメチルスルホニルフルオリドを含む20 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 8.0)に懸濁した(1 mM フェニルメチルスルホニルフルオリドを除いた緩衝液をBuffer Aとする)。Heat Systems-Ultrasonics sonicator W-220を用いて、氷中で3分間菌体を破砕した。遠心分離. (10,000 × g、4℃、20分)によって得られた上清(12 mL)を粗抽出液として用いた。(比活性13U/mgタンパク質)なお、pH9.2、30℃の条件で1分間に1μmolのNADH量を生成する酵素量を1Uとした。
粗抽出液に 40%飽和となるよう硫酸アンモニウムを加え、氷中で2時間静置した後、遠心分離(10,000 × g、4℃、20分)した。得られた上清に70%飽和となるよう硫酸アンモニウムを加え、氷中で2時間静置した後、遠心分離 (10,000 × g、4℃、20分) した。得られた沈殿を14 mLのBuffer Aに溶解し、硫安分画画分とした。
硫安分画画分に最終濃度1.5 Mとなるように硫安を加えた。あらかじめ1.5 M 硫安を含むBuffer Aで平衡化したButyl-Toyopearl(Tosoh, 1.5 × 15 cm)カラムにサンプルをアプライした。非吸着タンパク質の溶出がみられなくなるまで(波長280 nmの値が0.1以下)Buffer Aを流した。溶出は1.5−0 M 硫安のグラジエントにより行った。
Butyl-toyopearl溶出画分(94.5 mL)を上記のように70%飽和硫安により濃縮した。濃縮した酵素は0.1% (v/v) 2-メルカプトエタノール、10% (w/v) グリセロール、1 mM EDTA を含む20 mM 炭酸ナトリウム緩衝液(pH 9.0)(Buffer B) に透析した。あらかじめBuffer Bで平衡化したQA52カラム(Whatman, 1.8 × 6.5 cm)にサンプルをアプライした。非吸着タンパク質の溶出がみられなくなるまで(波長280 nmの値が0.1以下)Buffer Bを流した。溶出は0-0.4 M KClのグラジエントにより行った。(比活性88U/mgタンパク質)
得られたピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼは、SDS−PAGEで単一バンドであり、以下の性質を示した。
(a)作用
ピリドキサールから4−ピリドキソラクトンを生成する。
(b)基質特異性
ピリドキサールに対するKm値は0.091mMである。
ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール5'-リン酸、ピリドキサミン5'-リン酸、4-ピリドキシン酸には作用しない。
L‐フコース、D‐アラビノース、L‐キシロースには作用しない。
NAD+に対するKmは0.28mMである。NADP+も基質として用いることも可能でその際の相対活性は0.16%である。
(c)反応至適pH9.2(図1)
(d)反応至適温度 50℃(図2)
(e)温度安定性 40℃以下(図3)
(f)分子量 97kDa(ゲル濾過法による)
(g)サブユニット数 4(25kDaのテトラマー)
これらの性質は既知のピリドキサール 4−デヒドロゲナーゼとは、4量体であること、至適温度が50℃と高いこと、L-フコースを基質としない点で大きく異なっている。また比活性が格段に高い点でも異なっている。本酵素と同一オリジンのL-フコースデヒドロゲナーゼ(非特許文献10)とはL-フコースを基質としない点、精製後の比活性で明らかに異なり、新規な酵素であることがわかる。
組換え大腸菌を用いた4-ピリドキソラクトンの製造
組換え大腸菌10 mg(湿重)と10 mM ピリドキサールを含む1mLのリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を37℃、24 hrインキュベーションし、4-ピリドキソラクトンをHPLCで定量した。その結果、モル収率50 %で4-ピリドキソラクトンが得られた。
ビタミンB6の定量
0−1000pmolのピリドキサールを含む150μLのサンプルを10μmolのリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)、0.2μmolのNAD+、40μUのピリドキサール4-デヒドロゲナーゼを含む液50μLと混合し、30℃で2時間インキュベートした。10μLの20%(w/v)SDSを添加し、反応をとめ、800μLの50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を加えて、蛍光強度を測定した。(励起波長356nm, 測定波長432nm)サンプル中にピリドキサールが10pmol以上あれば測定可能であり、10−1000pmolの間で蛍光強度との間で高い相関性があった。
本発明は、特徴的な性状を示すPLDHを同定し、さらに該酵素をコードする遺伝子をクローニングし、工業的に該酵素を利用するための技術を提供している。本発明で、組換え酵素あるいは該酵素遺伝子で形質転換された宿主細胞を利用することで、4-ピリドキソラクトンや4-ピリドキシン酸を製造するための工業的に有利な方法並びにビタミンB6の定量法・試薬が提供される。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
SEQ ID NO: 3, Oligonucleotide to act as a primer for PCR, wherein n stands for deoxyuridine
SEQ ID NO: 4, Oligonucleotide to act as a primer for PCR, wherein n stands for deoxyuridine
精製ピリドキサール4-デヒドロゲナーゼによる4-ピリドキソラクトン生成反応における反応pHの影響を示す。 精製ピリドキサール4-デヒドロゲナーゼによる4-ピリドキソラクトン生成反応における反応温度の影響を示す。 精製ピリドキサール4-デヒドロゲナーゼの温度安定性を示す。

Claims (11)

  1. (1)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、
    (2) 配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質、及び
    (3) 配列番号2に記載のアミノ酸配列に対してアミノ酸レベルで少なくとも50%の同一性、少なくとも60%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも93%の同一性、少なくとも96%の同一性、あるいは少なくとも98%の同一性を持つアミノ酸配列からなり、かつ、ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質
    からなる群から選択されたものであることを特徴とするタンパク質。
  2. 請求項1に記載のタンパク質をコードする塩基配列を有することを特徴とする核酸。
  3. 配列番号1に記載の塩基配列を有するDNAであることを特徴とする請求項2に記載の核酸。
  4. 下記(a)又は(b)に示すDNA
    (a)配列番号1に記載の塩基配列のうち、少なくとも塩基番号28〜174及び/又は塩基番号394〜678からなる塩基配列を含むDNA
    (b)配列番号1に記載の塩基配列のうち、少なくとも塩基番号28〜174及び/又は塩基番号394〜678からなる塩基配列又は同塩基配列から調製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
    であることを特徴とする請求項2に記載の核酸。
  5. 前記ストリンジェントな条件が、1×SSC及び0.1%SDSに相当する塩濃度で60℃で洗浄が行われる条件である請求項4に記載の核酸。
  6. 請求項2〜5のいずれか一に記載の核酸を含むことを特徴とする組換えプラスミド又はベクター。
  7. 請求項2〜5のいずれか一に記載の核酸あるいは請求項6に記載の組換えプラスミド又はベクターで宿主細胞が形質転換されていることを特徴とする形質転換体。
  8. 請求項7に記載の形質転換体によって生産されることを特徴とするピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ又はピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。
  9. 請求項7に記載の形質転換体を培養する工程を含むことを特徴とするピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ又はピリドキサール 4-デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質の製造方法。
  10. 請求項1に記載のタンパク質又は請求項7に記載の形質転換体とピリドキサール若しくはその誘導体、又はそれらの塩とを接触せしめることを特徴とする4-ピリドキソラクトン若しくはその誘導体、又はそれらの塩の製造方法。
  11. 請求項1に記載のタンパク質又は請求項7に記載の形質転換体を用いることを特徴とするビタミンB6の定量方法。
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