JP2006237383A - セラミックス回路基板および半導体モジュール - Google Patents

セラミックス回路基板および半導体モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】 ネジ締結構造のセラミックス回路基板と、これを用いて十分な接合強度と冷熱衝撃性に強く信頼性の高い半導体モジュールとなす。
【解決手段】 セラミックス基板と、セラミックス基板の一面に接合された金属回路板と、セラミックス基板の他面に接合された放熱金属板とからなり、前記金属回路板は半導体素子を搭載するための回路パターンと補強パターンとを含み、銅またはアルミニウムを主成分とした平均結晶粒子径が100〜500μmとなし、前記回路パターン上には半導体素子が搭載され、補強パターンとセラミックス基板及び放熱金属板には同心状の貫通孔が形成されたセラミックス回路基板と、このセラミックス回路基板の放熱金属板側を放熱部材に締結部材を用いて固定するとき補強パターン上にワッシャーを介して締結するもので、このワッシャーと補強パターンのビッカース硬度における硬度差がHv50以上となした半導体モジュール。
【選択図】 図1

Description

本発明は、パワー半導体モジュール等に使用されるセラミックス基板に関し、セラミックス基板の一方の面に導電性回路板となる金属回路板を接合し、他方の面に放熱用金属板を接合したセラミックス回路基板およびこのセラミックス回路基板に半導体素子を搭載すると共に放熱部材を接合した半導体モジュールに関するものである。
近年、電動車両用インバータとして高電圧、大電流動作が可能なパワー半導体モジュール(IGBT、MOS FET等)が用いられている。パワー半導体モジュールに使用される基板としては、窒化アルミニウムや窒化ケイ素焼結体からなる絶縁性セラミックス基板と、その一方の面(上面)に回路となる金属回路板を接合し、他方の面(下面)に放熱用の金属板を接合してなるセラミックス回路基板が広く用いられている。この金属板には導電性、放熱性を重視することから、これらの特性が良好な銅又はアルミニウムを主成分とした金属板等が一般に使用されている。そして、電気回路となる金属回路板の上面には、半導体素子等が搭載され、放熱金属板の下面には放熱フィン等の放熱部材が接合されて半導体モジュールを構成している。また、セラミックス基板と各金属板との接合はろう材による活性金属法や銅板等を、ろう材を用いずに直接接合する、いわゆる直接接合法(DBC、DBA等)が採用されている。
金属回路板および放熱金属板をセラミックス基板に接合したセラミックス回路基板を用いたパワー半導体モジュールにおいては、大電流を流せるように金属回路板および放熱金属板の厚さを0.2〜1.0mmと比較的厚くしている場合が多く、熱膨張率が大きく異なるセラミックスと金属を接合すると、接合後の冷却過程で熱応力が発生する。この応力はセラミックス基板の接合部付近で圧縮と引張りの残留応力として存在することになる。この残留応力は、セラミックス基板にクラックを生じさせたり、絶縁耐圧不良を起こしたり、あるいは金属回路板および金属板の剥離の発生原因となる。更にこの熱膨張係数差は、回路基板形成後の反り量にも影響を与え、反り量が大きくなると、セラミックス回路基板の放熱性を低下させる原因にもなる。したがって、回路基板を放熱部材に接合する時の回路基板の反りの大きさも、モジュールの放熱性能の観点から、小さいことが望まれる。
また、最近の半導体素子の高密度化や高集積化に伴って、パワー半導体モジュールにおいても小型化の要求があり、これに用いられるセラミックス回路基板も小型化・薄型化および良好な放熱性が求められている。従来、セラミックス回路とヒートシンクや放熱フィン等の放熱部材との接合には、はんだ付けによる接合手段が用いられてきている。ところが、このはんだ接合では冷熱衝撃に対して、はんだ部に剥離、クラックが生じ、接合や放熱性といったモジュール自体の信頼性に問題を与えることが指摘されている。これを改善するために、セラミックス回路基板と放熱部材との接合において、セラミックス回路基板に貫通孔を設け、締結部材として締結用ネジ等を用いて放熱部材に高熱伝導性のグリース等を介して直接ネジ締めして接合する構造や、高熱伝導の接着剤を使用してセラミックス回路基板を放熱部材に接合する方法等が提案されてきている。ただし接着剤を用いた接合の場合は、大きな回路基板を接合する際には接着材の信頼性はまだ低く、比較的小さい回路基板の接合にのみ用いられようとしているに過ぎない。
他方、ネジ締結の場合、セラミックス回路基板を直接過大なトルク値でネジ締結すると、セラミックス部が容易にクラック等の破壊に至ることから、ネジ締結構造には様々な工夫がなされてきている。基板材の観点からいえば、強度に劣る窒化アルミニウム基板に代わり、窒化ケイ素基板がネジ締結用基板として徐々に現実味を帯び始めているのもこの理由である。
さて、図5は特許文献1に開示された半導体モジュールの構造を示している。この半導体モジュール11は、セラミックス基板として高強度高靭性かつ高熱伝導性に優れた窒化ケイ素焼結体を用いたもので、これにより従来必要としていたヒートシンク板を省略できるとしたものである。窒化ケイ素基板110の一方の面(上面)に金属回路板111を接合し、他方の面(下面)に放熱金属板112を接合してなり、窒化ケイ素基板110の外縁部には半導体モジュール11を放熱部材を接続するようになした機器ケーシングあるいは実装ボード115にネジ等のネジ114により直接締結固定するための貫通孔113が設けてある。尚、金属回路板111は、銅板からなり所望の回路形状にパターニングされ、所定位置には半導体素子116が半田接合されており、半導体素子116の電極部と回路板の電極部とはボンディングワイヤ117によって電気的に接続されている。他方、放熱金属板112も銅板からなり金属回路板とほぼ同じ大きさのものを接合しているが、より薄く出来ることに利点がある。
この半導体モジュール11は、窒化ケイ素基板110に設けた貫通孔113を用いた、ネジ止め構造である。しかしながら、例え窒化ケイ素基板を用いたとしても、ネジ締め時のトルクの負荷が直接掛かる貫通孔周辺には応力が集中しクラックが発生する場合がある。ここで窒化ケイ素基板110を用いるメリットとしては薄型化であるため、基板強度を高めるために窒化ケイ素基板を厚肉にすることは避けたい。他方、特許文献2ではワッシャーを介してネジ締めする際にワッシャーの硬度の高低によって片当り負荷によるクラックの発生やねじ込みトルク不足が生じるとあり、このような問題に対してワッシャー硬度を25〜70Kgf/mm2に規定することを行っている。ワッシャーを、このような硬度とすることにより特定の反り量を持ったセラミックス基板であれば放熱部材との密着性が向上した接合が得られると述べている。
しかしながら、窒化ケイ素基板の厚みはせいぜい0.3〜0.6mm程度であるためワッシャーを介するにしても締め付けトルクが直接基板に加わる特許文献1、2のような構造は苛酷な条件であると言える。そこで、特許文献3では取付けネジ用の貫通孔の周囲に金属材料等からなる補強部材を設けることが提案されている。これにより、ネジ止めする際や使用時にかかる応力により貫通孔周辺部分にクラック等が発生することを防止できるとある。
以上のように、従来半導体モジュールの小型化・薄型化を図るために、高熱伝導性と高強度高靭性を有する薄肉の窒化ケイ素基板を用いて肉厚の放熱フィン等を省略し、放熱部材に直接ネジ締結する構造が提案されている。さらに、ネジ締結の際のクラックや片割れ防止のために、特定の硬さのワッシャーを用いることや貫通孔周辺に補強部材を設けることが提案されている。
特許第3180100号公報 特開2000−315756公報 特開2003−197824公報
しかしながら、特許文献1の半導体モジュールでは、半導体素子を搭載するための金属回路板及び放熱金属板以外の場所に貫通孔を設ける構造としている。即ち、セラミックス基板の外縁部に貫通孔を設けるスペースを別途必要としているため大型化するという問題が新たに生じる。
特許文献2は、特許文献1と同様にセラミックス基板を直接ネジ止めする構造であるため、比較的高い締め付けトルクが掛かると薄いセラミックス基板が割れると言う問題がある。従って、何れの文献に記載の内容では、実際は十分な締め付けトルクを与えることが出来ず放熱部材を密着性良く締結することは出来ない。
また、特許文献3によればセラミックス基板を上下金属板でサンドイッチした構造となり貫通孔周辺を補強できるため十分な締め付けトルクを加えることができるとある。しかしながら、補強部材を設ければ貫通孔周辺の補強はできるが、補強部材を設けた分、放熱金属板側の下面とのバランスがとれておらず局所的な反りが生じ易い。その結果、稼動中の加熱冷却サイクルによる熱衝撃に弱いと言う問題がある。更に補強部材の貫通孔部の形状と締結材の形状を十分に考慮しなければ、如何に補強部材を設けようとも、締付けトルクの大きさや、薄い基板を用いた際には、セラミックス基板を破壊しかねない。
また、別な問題として、補強部材や金属回路板及び金属放熱板に銅板を用いた場合には、ろう材を用いて800℃程度の熱処理を経てセラミックス基板に接合されるが、例えば、熱処理前の補強部材の硬度低下により、ワッシャー兼用とした補強部材の変形で、セラミックス部に応力集中をもたらし、破壊させてしまう危険もある。
そこで、本発明の目的は、セラミックス回路基板に設けた貫通孔を用いて放熱部材にネジ締結する構造において、半導体モジュールとした際にネジ締結時にセラミックス基板に割れを生じる事無く、効果的に締め付けトルクを加えることができ、しかも冷熱衝撃試験中でも、貫通孔周囲のクラックの発生を防止すると共に、放熱性が劣化しない熱衝撃に強く、信頼性の高いセラミックス回路基板と、半導体モジュールを提供することにある。
本発明は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板の一面に接合された金属回路板と、セラミックス基板の他面に接合された放熱金属板とからなり、前記放熱金属板側に放熱部材を固定するための貫通孔が設けられたセラミックス回路基板において、前記金属回路板は半導体素子を搭載するための少なくとも一つの回路パターンと、前記貫通孔の周囲に設けた補強パターンとを含み、当該補強パターンと前記セラミックス基板及び前記放熱金属板を貫通して貫通孔が形成されてなり、前記金属回路板は銅を主成分とした金属板で、当該金属板を接合した後の平均結晶粒子径が100〜500μmとなしたセラミックス回路基板である。
銅あるいは銅合金からなる金属回路板はろう材で接合することにより結晶粒径に変化をきたす、結晶粒径の変化に伴なって硬度も変化する。接合後の平均結晶粒径が100μm未満であると、伸びが急激に小さくなり、ビッカース硬度でHv100以上と硬くなる。そうするとネジ締結後、冷熱衝撃が繰り返されるとセラミックス基板に残留した応力によりクラックが生じ易い。一方、平均結晶粒径が500μmを超えるとビッカース硬度はHv20以下と軟らかくなるが、金属回路板の表面粗さが粗くなり、半導体素子を実装する際に行うワイヤーボンディング後のワイヤーの密着性にバラツキを生じ易くなる。望ましい平均結晶粒径は100〜500μmであり、更に望ましくは100〜300μmである。
本発明のセラミックス回路基板において、セラミックス基板の外縁の全周を囲うように補強パターンを連続的に形成することができる。このような構造にした場合、放熱金属板との接合面積のバランスがとれ、回路形成後の回路基板の反り量を低減することができる。ただし、例え補強パターンを断続的に形成した場合でも、パターン形成後の反り低減に効果をもたらすと、考えられる構造は全て、本発明に内に含まれることはいうまでもない。
本発明は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板の一面に接合された金属回路板と、セラミックス基板の他面に接合された放熱金属板とからなり、前記金属回路板は銅を主成分とした平均結晶粒子径が100〜500μmである金属板で、半導体素子を搭載するための少なくとも一つの回路パターンと、補強パターンとを含み、前記回路パターン上には半導体素子が搭載され、前記補強パターンとセラミックス基板及び放熱金属板を貫通する貫通孔が形成されたセラミックス回路基板と、当該セラミックス回路基板の放熱金属板側に固定する放熱部材とを有し、前記セラミックス回路基板と放熱部材とを貫通孔を挿通する締結部材を用いて固定するとき補強パターン上にワッシャーを介して締結するもので、当該ワッシャーと前記補強パターンのビッカース硬度差が50以上となした半導体モジュールである。
半導体モジュールとして上記セラミックス回路基板と放熱部材をネジ締結する際には補強パターン上にワッシャーを介して締め付けるが、このワッシャーの硬度と補強パターンの硬度との相対関係がネジ締結時および締結後の冷熱衝撃サイクル印加時の不具合発生に影響を及ぼすことを知見した。冷熱衝撃(ヒートサイクル)を加え続けると、補強パターンもやがて加工硬化によりビッカース硬度が増加する。そうすると、セラミックス回路基板の反り変形に対して、銅パターン自体の塑性変形が起こり難くなり、セラミックス基板への負担が増加し、回路パターン剥離の原因となる。そこで、両者のビッカース硬度差を50以上に保つことによって、セラミックス基板に過負荷応力が生じずクラックや割れ、パターン剥離等を避けることが出来ることが分かった。補強パターン側の硬度は上記したように平均結晶粒径との関係があるので、平均結晶粒子径が100〜500μmであり、かつ回路形成後のビッカース硬度がHv20〜100であることが好ましい。
即ち、前記補強パターンはビッカース硬度がHv20〜100の範囲にあり、且つ前記ワッシャーのビッカース硬度はHv150〜300の範囲にあり、これら補強パターンとワッシャーの硬度差を50〜280とすることが望ましく、さらに望ましくは前記硬度差が50〜180である。両者の高度差が50未満ではワッシャー硬度が小さく、ワッシャー自身が大きく変形し、ネジ締結による荷重を均一に補強パターンへ伝えることができず、セラミックス基板へ応力集中をもたらす点で問題がある。ワッシャー自体が、ネジ締結時の締結力をある程度吸収することは、補強パターンに加わる、ネジの締結力を軽減できる点では好ましいことではある。しかしながら、ビッカース硬度がHv300を超える高硬度材料(例えば特殊SUS材、鋼材等)では、高トルクで締結した場合に、補強パターンにネジの締結力が直に加わるため、セラミックス基板への割れ等の影響が懸念される他、ネジ、ワッシャー等の締結材自体の信頼性が問題となるか、またはコスト高の締結材料を用いなければならない点で障害が出てくる。
本発明の半導体モジュールにおいて、金属回路板と放熱金属板の貫通孔の直径がセラミックス基板の貫通穴の直径より大きくすることでもクラック防止に対し効果がある。このとき、ネジの締結力はセラミックス基板の貫通孔エッジ部より外側に位置する金属パターン部を介してセラミックス基板に伝達されるので、前記セラミックス基板の貫通孔エッジ部に生ずる応力は小さくなり、割れやクラックの発生を抑制することができる。
本発明の半導体モジュールで用いるワッシャーは、締め付けトルクを負荷する押圧部を形成した断面がコ状のワッシャー形状となし、締結後の断面構造において、この押圧部が、前記セラミックス基板の貫通孔の直径よりも大きい位置とした構造をとることが望ましい。このような構造とすることにより、貫通孔周囲のセラミック基板と金属回路板及び放熱金属板の接合端面に締め付けトルクによる荷重が集中して掛かることが避けられ貫通孔エッジや、貫通孔周辺の銅パターンとセラミックス基板との接合端部近傍からのクラック発生を防止することができる。
本発明のセラミックス回路基板によれば、ワッシャーを用いたネジ止め構造とする際に補強パターンとワッシャーのビッカース硬度の差が適度に保たれて効果的にネジ締結時のトルクが加わり良好な締結が行われる。また、外縁の全周を囲うように補強パターンとすることにより反り量も低減できる。本発明の半導体モジュールによれば、金属回路板および補強パターンの接合後の平均結晶粒径とビッカース硬度が調質されており、これとワッシャーとのビッカース硬度差が良好に保たれているのでセラミックス回路基板と放熱部材との十分な接合強度の確保と放熱効率の低下を防止することができる。
また、金属回路板と放熱金属板の貫通孔の直径がセラミックス基板の貫通穴の直径より大きくしておくこと、及び断面がコ字状のワッシャーを用いることにより貫通孔周囲のクラックの発生を防止することができ、熱衝撃に強く信頼性の高い半導体モジュールとなった。
以下、本発明の実施の形態を説明する。ただし、これから記述する実施形態や製造条件等により本発明が限定されるものではない。
まず、本発明のセラミックス回路基板(以下では回路基板と表現することがある)について説明する。図1は本発明のセラミックス回路基板の一例を示した外観斜視図であり、図2は本発明の実施例において、回路基板に放熱部材8を締結した貫通孔部の断面図であり、図3は別の実施例を示す貫通孔部の断面図である。
図1においてセラミックス回路基板1は、セラミックス基板(以下では基板と表現することがある)2とその上面に接合された金属回路板3と、下面に接合された放熱金属板4とを備え、セラミックス基板2と金属板3、4(表面にめっき膜を形成有無を含む)とは、直接接合法またはろう材接合法で接合されている。本実施例の場合、表面の金属回路板3は銅板からなり、半導体素子(図示せず)が搭載される回路や半導体素子への電力供給もしくは電気信号を授受するための回路などからなる回路パターン31と、回路パターン31の他に電気回路としては用いない補強パターン32を有している。補強パターン32は、金属回路板3から回路パターン31をエッチングなどで形成する際に、回路パターン31とは分離するように形成した金属回路板3の一部で、全周を囲うように連続的に形成している。そして、この補強パターン32の四隅に図2に示す直径a2の貫通穴53が形成されている(図1では貫通孔5)。
放熱金属板4もここでは銅板からなる場合を示す。ここに図示する実施例では放熱金属板4は回路を形成していない場合を示すが、放熱部材8との接合に支障がないかぎり、放熱金属板4もパターン形成して構わない。つまり放熱金属板4は放熱性の面からはベタ状とするとよいが、セラミックス回路基板1の反りを抑制するために金属回路板3のパターンに応じた適宜なパターンが形成されていてもよい。そして、金属回路板3に形成された貫通孔53とほぼ同心位置に、ほぼ直径a1の貫通孔54が形成されており、しかも直径bと直径a1、a2とは共に異なっている。
金属回路板3と放熱金属板4の材質は共に銅合金で形成しても良いが、何れにしても接合後の平均結晶粒子径(以下では平均粒径と表現することがある)は100〜300μmあるいは300〜500μmの範囲に調整する必要があり、このときの硬度もビッカース硬度でHv20〜100の範囲に制御することが必要である。
(実施の形態1)
実施の形態1では、セラミックス基板2として、特に限定されるものではなく、アルミナ(Al)基板や窒化アルミニウム(AlN)基板や窒化ケイ素基板(Si)および、その他の高熱伝導性の絶縁基板を用いることができる。但し、高トルクでのネジ締結が必要な場合には好ましくは、セラミックス基板2として機械的強度に優れている窒化ケイ素基板を用いるのが望ましく、その厚さはセラミックス回路基板の放熱性の観点から薄い方が良い。しかし、あまり薄すぎるとネジ締結時に基板が破損する恐れがあるため0.2mm〜0.8mm程度の厚みで使用するのがよい。基板2には、金属回路板3に形成された貫通孔53とほぼ同心位置に、この貫通孔53の直径a2より小さな直径bの貫通孔52が形成されている。このようにしてセラミックス回路基板1は、所定の位置に金属回路板3、セラミックス基板2、放熱金属板4の三部材を貫いたネジ締結用の貫通孔部5を有している。
セラミックス回路基板1は、図2または図3に示すように、呼び径(JIS記載のねじの呼び径)dのネジ6を金属回路板3側から挿入して放熱部材8にネジ締結される。ネジ締結に際しては、モジュールや放熱部材8の構造によっては、ナットを付加して締結する場合も考えうるが、ここでは省略する。ネジ締結に際しては、補強パターン32にネジ頭部の外径より大きな外径を有したワッシャー7を装着し、貫通孔53回りの金属回路板3にネジの締結力をネジ頭部外径以上の範囲で伝達するようにする。ワッシャー7は、図3に示すように平座金の形状でも良いが、図2に示すように断面が略コ状で、押圧部がセラミックス基板2の貫通孔の直径よりも大きい位置にあるものが望ましく、その形状は半円状或いは矩形状等、特に限定はされない。これらのワッシャー7は冷熱衝撃印加時の劣化や、前記環境下での熱膨張差に起因するネジ締結部の緩みを防止するために、金属製であることが好ましく、ビッカース硬度でHv150〜300の範囲にあるものを用いた方が良い。またワッシャー7の厚さはネジ頭部からの圧縮力をできるだけ均等に金属回路板3に伝達できるよう、ネジ6のサイズや締結力の大きさやワッシャー7の材質・形状、金属回路板3の貫通孔直径などを考慮して決めるが、ネジ頭部との当接部におけるワッシャー7の厚さは1mm以上あることが望ましい。
以上により、ネジ6の締結力は、ワッシャー7を介して金属回路板3を伝わって基板2の表側に伝達され、放熱部材8側からは放熱金属板4を伝わって基板2の裏側に伝達される。このとき上述したように金属回路板3と放熱金属板4を構成する銅板は接合時の熱履歴により、セラミックス基板2との接合前と比較して、平均結晶粒径とビッカース硬度が変化していることが考えられる。またセラミックス回路基板1をモジュールに組み込んだ後、冷熱衝撃サイクルを加えると、銅板は加工硬化により、接合直後よりもビッカース硬度が徐々に大きくなる。しかしながら、銅板とワッシャー材との硬度差について、事前にその値を最適な範囲に設計調整することによりセラミックス基板2のクラックや、金属回路板4上に形成されるワイヤーのボンディング性などを同時に改善できる。これについては以下の実施例で示す。
次に、ネジ貫通孔部5に着目すると、図2または図3のように金属回路板3の貫通孔53及び放熱金属板4の貫通孔54の直径a1、a2が基板2の貫通孔52の直径bより大きくなるように形成しているので、応力は基板2の貫通孔52のエッジ部24には伝わらないか、小さな力しか伝わらない。また、貫通孔径a1、a2がbと同一寸法のものに比べて、金属板3、4の側面とネジ側面との距離が長くなり、後述する回路パターンにネジ締結用貫通孔を設けた場合でも、絶縁不良の防止に有効である。
更に、金属回路板3及び放熱金属板4に伝達されたネジ締結力を広く分散して基板2に小さな面圧で伝えるのが望ましく、このためには金属回路板3及び放熱金属板4は厚くすることが好ましいが、金属とセラミックスの熱膨張の差で基板2にクラックが生じないよう、金属板3、4の厚さは0.2mm〜1mm程度にするとよい。このようにすることで、ネジ6の締め付け力は基板2の貫通孔52のエッジ部24にはほとんど伝わらないので、エッジ部24にクラックが入るのを防止することができる。また、金属回路板3及び放熱金属板4から基板2に作用する面圧も小さくなるので、エッジ部24だけでなく、ネジ貫通孔5周辺におけるクラックの発生も抑制することができるのである。
(実施の形態2)
本実施の形態2は、ネジ締結箇所を増やして強固に接合する場合や、構造的に非回路部である補強パターン32が充分に形成できないような場合において、金属回路板3の回路パターン31を貫いてネジ締結実施する形態である。その実施例を図4に示す。図4のセラミックス回路基板1の金属回路板3は、半導体素子(図示せず)を実装する31a部と、ボンディングワイヤー(図示せず)により31aまたは外部端子と接続される31b、31cにより構成されている。このように金属回路板3の全てが電気回路として働く場合、図1の補強パターン32に相当する箇所は無く、必然的に回路パターンにネジ締結用の貫通孔を形成せざるを得ない。ただしこの場合、当然のことながら、ネジ6やワッシャー7等の締結部材と、回路パターン31(31a、31b、31c)との絶縁確保は必要となり、例えば絶縁材をワッシャー7下部に用いることが考えられる。また、貫通孔5を4隅に設ける構造が一般的ではあるが、回路パターン31の形状によっては貫通孔5を設けるスペースが十分に確保できない場合も考えられる。その場合、セラミックス回路基板1の4隅以外に貫通孔5を設けたり、使用するネジ径を部分的に変更して使用することも可能である。中でも特に回路基板1の4隅と回路基板1の中央の両方に貫通孔5を設けた場合、モジュールにセラミックス回路基板1を固着した際の回路基板1の反り量を低減でき、回路基板の放熱性も改善できるメリットもある。これ以外にも前述した図1に示したセラミックス回路基板1のように、補強パターン32と回路パターン31が混在する場合、金属回路板3の貫通孔53は、補強パターン32と回路パターン31の両方に形成されてもよいし、回路パターン31のみに形成されてもよい。後者の場合、金属回路板3は補強パターン32を有しない構成をとることも可能である。この実施の形態2においても、実施の形態1の場合と同様に、金属回路板3に形成された直径a2の貫通孔53とほぼ同心位置に、ほぼ直径a1の貫通孔54が形成されており、しかも直径bと直径a1、a2とは共に異なっている。これは、図4に示すセラミックス回路基板では金属回路板3と放熱金属板4との絶縁を確保するために、必ず必要な構造となっている。
また金属回路板3と放熱金属板4の材質は共に銅合金で形成しても良いが、これに関しても実施の形態1と同様に、接合後の平均結晶粒子径は100〜500μmの範囲に調整されており、このときの硬度もビッカース硬度でHv20〜100の範囲に調整されたものである。
ここで、本発明のセラミックス回路基板1のクラック発生防止面での有効性を確認するため、窒化ケイ素を主成分とするセラミックス基板2を用いた半導体モジュールの試料を作製し、図3に示す構成により、ネジ締結部のクラックの発生状況、それとアルミ製ワイヤーのボンデイング性を調べた。試料は次の様にして作製した。窒化ケイ素を主成分とするセラミックス粉末を焼結助剤および粘結助剤等と混合して一辺が約100mmの正方形状グリーンシートとし、脱脂処理および焼結を行ってセラミックス基板(基板と略す)とした後、基板表面の清浄化を行い、所定直径の貫通孔を20mmピッチでレーザー加工した。セラミックス基板2は、0.32mmの厚さのものを用いた。次いで、基板の表裏面全面に厚さ0.3mmの銅板を活性金属を含んだろう材を用いて、セラミックス基板と銅板をろう付接合した。ろう付接合後、表裏面銅板に、基板貫通孔と同心で表裏面とも同一直径となるような貫通孔をエッチング形成した。その後、一辺20mmの正方形に切断し、金属板表面にNi-Pめっきを形成して、三つの部材を貫いた貫通孔部を有する試料を作製した。尚、ろう付後の銅板部の平均粒子径は100μm以下から700μm程度の試料まで作製し試験を行った。銅の平均粒子径は光学顕微鏡による観察から求めた。ただし、ここで記述した表面銅板は補強パターン32、また裏面銅板は放熱金属板4を想定したものである。したがって、下記では前記表現で記述することもある。
本実験では、ワッシャー7にはステンレス製、スチール製、チタン製、銅製、黄銅製、アルミ製といずれも平座金の形状を用いた。製作には市販材よりビッカース硬度の異なる各材種を用意し、加工が必要なものは別途加工して製作した。ワッシャー7の厚みは極力、補強パターン32に均一に力が加わるように2mm厚とした。試験に用いたワッシャー7のビッカース硬度(以下では硬度と表現することもある)はいずれもHv70〜420の範囲にあるものである。因みにビッカース硬度測定はマイクロビッカース硬度計を使用し、ダイヤモンド圧子に2kg荷重を10秒間印加して、その時の圧痕から評価した。
ネジ締結試験は、ステンレス製で呼び径が5mmの雄ネジ6を用い、前記ワッシャー7を介してトルクレンチを使用し、所定の締め付けトルク値で締め付けた。しかし、締結トルク値を制御してもネジ面、座面等摺動部材間の摩擦抵抗の違い等により、各試料に毎回同じ締結力が付与されるとは限らないため、締結トルク値を5N・mと10N・mの2種類で評価した。また放熱部材8となるヒートシンク材の代わりとして、雌ネジを形成した厚さ10mmのステンレス板を用い、放熱金属板4と前記ステンレス板に高熱伝導性のグリースを介して接合した。試験後の試料に発生したクラック検出は、目視観察および超音波診断装置またはX線装置で確認した。
次にボンデイング性の評価であるが、上記方法と同様の方法で作製した試料を用いた。超音波接合によりNi−Pめっきを施した補強パターン32表面に接合した0.3mm径のアルミ製のワイヤー20本をボンデイング後に一旦切断し、引っ張り試験機を用いて、補強パターン32側のワイヤーの密着強度を評価した。この時に密着強度が基準値未満のものが一本でも存在する場合をボンデイング性不良として評価した。
表1に上記方法で実施した本発明におけるネジ締結の実施例を示す。パラメータとして補強パターン32の各銅板の平均結晶粒子径における、ネジ6の締結トルク値と、補強パターン32の銅板硬度とワッシャー7の硬度との硬度差を用いた。評価のタイミングは、ネジ締結直後と、−55℃⇔150℃の冷熱衝撃500サイクル後である。尚、同一形状の試料を用いて別途評価したワイヤーのボンデイング性の結果も表1に示す。
補強パターン32を構成する銅板の平均結晶粒子径と硬度には密接な関係が有り、粒子径が小さい場合には、硬度は大きく、逆に粒子径が大きくなるに連れて、硬度が小さくなる傾向がある。また前記粒子径は圧延材種により程度は異なるが、高温での熱履歴を受けることで、粒子径は増大する。
本発明では、前記事項も踏まえて、銅板の平均粒径を100〜300μmと300〜500μmの各範囲で制御させた。本実施例では、銅板には製造時の圧縮加工率が50%程度以下の各種圧延材を用い、銅板接合時の熱処理に加えて、保持時間の変化と追加熱処理等により制御した。試料数は各組み合わせ条件に対して、それぞれ20個作製し、セラミックス基板2に割れの発生した割合をクラック発生試料数で表現した。比較例として銅板の粒子径が100μm未満の場合と、500μmより大きいものの試験結果まで示す。また補強パターン32の銅板の平均粒径が100〜500μmの範囲の試料に対して、ワッシャー7との硬度差が実施例での範囲以外の場合も示した。
Figure 2006237383
表1に示す本発明の実施例にあるクラック発生結果から、銅板の平均粒径が100〜300μm、300〜500μmいずれに対しても、ネジ締結直後のクラック発生数が最大で2個である。一方、比較例では同じ銅板の平均粒径に対して、本発明の硬度差以外では、最大で15個と多くなっていることがわかる。特にワッシャー7にアルミ等の硬度が小さい材料を用いた場合に、この傾向がみられる。ワッシャー硬度が小さい場合には、ワッシャー自体のネジ締結時の変形により、基板2に均一に締結力が伝わらないためであると考えられる。また、逆にワッシャー硬度が大きいスチール材等を使用した場合、5N・mの低トルクでの締結で基板2にクラックは発生しないものの、10N・mの高トルクでの締結において、クラックが生じやすくなっている。これは硬度が高いワッシャーでは締結時の変形は少ないが、締結力を全く吸収しないため、過度の締結力が基板2に作用し、クラックを生じさせたものと考えられる。以上のことから、補強パターン32の銅板硬度とワッシャー7の硬度差は50〜300程度が好ましい。
次に銅板の平均粒径が100μm未満と500μmより大きい場合では、両者共に締結直後のクラック発生数は少ない。しかしながら、前者では冷熱衝撃試験後のクラック発生試料の増加が著しく大きくなっており、また後者ではボンデイング性が極端に悪く、ワイヤーの密着強度に問題があることがわかる。本実施例においても粒子径が500μm近くなると、ボンデイング不良が発生した。
前者の原因としては、補強パターン32の銅板の初期硬度が高いために、冷熱衝撃による加工硬化により、基板2の残留応力が増加し、ダメージを与えたことが考えられる。またボンデイング不良は銅板の表面粗さが大きいために、銅板の粒界近傍でのワイヤー密着不良が起こりやすいためであると考えている。
以上のことから、耐冷熱衝撃性およびワイヤーのボンデイング性の観点において、補強パターンの銅板の平均粒径は100〜500μmであるか、より好ましくは200〜400μm程度の範囲であることが良い。また、用いるワッシャー7は硬度が小さいよりは、大きいほうが好ましいが、あまり高硬度材を用いると、高トルクでのネジ締結時に割れが起こりやすくなり、耐冷熱衝撃性も劣ることから、ビッカース硬度でHv150〜300の範囲の材料を使う方が良い。尚、本発明の実施例でもクラックの発生した試料は認められたが、これは本発明の優位性を特徴付けるために、締結条件を多少過負荷にしたためである。したがって、実使用に際してはセラミックス基板2の厚さや強度を考慮し、適正な締結条件を採用すべきである。
次に、セラミックス回路基板1に設けた貫通孔部5の形状に関しての実施例を示す。尚、試料は実施例1で示した方法と同様の方法で作製した。図2に示すa1、a2は、ここではa1=a2=aの場合のみを示し、a2≠a1の場合は割愛するが、a2≠a1でも支障はない。表2および表3は、回路基板の孔部5の形状をa/bで変化させた場合に、それぞれM5、M6(それぞれ、ねじの呼び径が5mm、6mm)のネジを用い、ネジ締結を行った実験結果を示すものである。ワッシャー7には平座金タイプでステンレス製、ビッカース硬度160、厚さが2mmの材料を用いた。
Figure 2006237383
Figure 2006237383
表2のM5のネジで締め付けた場合で、締結トルクを3、5、7N・mと違えても、補強パターン32(表面)銅板穴径aと基板2の穴径bとの比a/bが1より大きくなると、ネジ締結時には基板2の貫通穴エッジ部24やその周辺に割れやクラックは発生していないことがわかる。なお、同表からもわかるように、a/bが1の試料において、締め付けトルクが大きい場合は、小さい場合より不良数が多くなっており、当然ながらネジ締結は基板2の強度や締結部5の形状に応じた適切な力で行なう必要があることがわかる。
表3はM6のネジで締め付けた場合であるが、欠陥発生の関係は表2の結果と同様であると言える。基板2の厚さを変えたり、締め付けトルクを変えたりした場合でも、ほぼ同様であると言える。テストNo.29で不良が1個発生したが、テストに用いた基板2の破壊強度に対して締め付けトルクが過大で適切でなかったためと思われる。
以上の結果によると、ネジ締結時における基板2の貫通穴エッジ部24および銅孔内周25の近傍の破損防止には、a/bを1より大きくすることが好ましい。尚、a/bが1未満では、基板貫通孔のエッジ24に締結荷重が過大に加わる危険があり、クラックを生じる可能性が残る。更に金属回路板3が電気回路のみで構成される図4に示す回路基板1の場合には、金属回路板3と放熱金属板4および締結ネジ6・ワッシャー7との絶縁を確保する必要異性からa/bは1よりも大きくすることが望ましい。しかし、2以上になるとパターンの銅穴径が大きくなり過ぎ、市販の平座金では補強パターン32を押し付けることができなくなるので新規に製作しなければならない。また、その外径も大きくなることから、占有面積が増え高密度実装には不都合なため、a/bは2以下とすることが望ましい。これを、用いるネジ6の呼称寸法dの関係で見ると、2.2d≧a>1.03dと表すことができ、少なくともM8サイズ(ねじの呼び径8mm)までのネジに対しては適用することができる。
次にネジ孔5を有するセラミックス回路基板1を、ネジ締結する際にワッシャー7の押圧部の位置と、基板2の割れ、クラックとの関係について示す。試験に用いた試料は実施例1において、作製した時と同様の方法で作製した。また、ネジ孔部5の形状は実施例2と同様にa/bを用いて表す。本発明の実施例でのネジ締結方法およびワッシャー形状は図2に示す方法で、また比較例として平座金タイプのワッシャーで締結した図3でのネジ締結試験結果を表4〜6にまとめて示す。ただし、同表では図2に示す断面がコ状のワッシャー形状をコ状、また図3に示すワッシャー形状を平座金と簡単に表記している。
試料個数は各条件で10個用いた。また、試験に用いた基板2の厚みは、表4、表5では0.32mm厚で、表6では0.63mm厚のものを用いた場合を示す。また、表中の正味接触面積とは、ワッシャー7と補強パターン32との接触面積を表している。
Figure 2006237383
Figure 2006237383
Figure 2006237383
まず表4、表5に示すM5のネジを用いた場合に着目すると、ワッシャー7形状がコ状、平座金共に実施例2で説明したようにa/bが1に近いほど、基板2の割れ、クラックが増える傾向にあり、a/bが大きくなるに連れて前記不良が減少することがわかる。更に、コ状ワッシャーを用いた場合には、平座金タイプを用いた場合よりも、かなり不良数が少ない。これはネジ締結時にワッシャーから補強パターン32または放熱金属板4の銅板に力が加わる位置を、クラックの発生しやすい基板の貫通孔エッジ部24および銅穴内周部25から、距離を置くことにより不良が低減できたと考えられる。ただし、ここでは示していないが、例えコ状ワッシャーを用いた場合でも、ネジ締結トルクに合い適したワッシャーの厚みを持たせないと、高トルクでの締結ではワッシャー自体の変形により、応力集中をもたらす危険があるので、ワッシャー形状の選択にも配慮が必要である。
次に表6に示す結果に着目する。ここでは表1の結果を受けて、0.63mm厚の基板を用いて、高トルクでのネジ締結を行った。コ状ワッシャーを用いた場合、a/bが1に近いもので、1個クラックが認められた。これに対し平座金タイプでは、銅穴内周の上部を押さえることになるため、回路基板1の銅穴内周部25に沿った位置にクラックが多発した。このことから、ワッシャーの押圧位置を前述のように貫通孔エッジ部24および銅穴内周部25から離すことで基板2に発生する割れ、クラックを防止することができることがわかる。
以上、本発明のセラミックス回路基板および、放熱部材へのネジ締め固定方法について説明したが、このセラミックス回路基板を用い、その回路パターン部に半導体素子を搭載してヒートシンクなど放熱部材に直接ネジ接合すると、簡易構造で放熱性の良好な高信頼性パワー半導体モジュールとして提供することができる。
本発明のセラミックス回路基板の一例を示す外形斜視図である。 本発明のセラミックス回路基板を用いた半導体モジュールであって、断面コ状のワッシャーを用いた貫通穴部を示す断面図である。 本発明のセラミックス回路基板を用いた半導体モジュールであって、通常(平座金)のワッシャーを用いた貫通穴部を示す断面図である。 本発明のセラミックス回路基板の他の例を示す外形斜視図である。 従来のセラミックス回路基板を用いた半導体モジュールの一例を示す断面図である。
符号の説明
1…セラミックス回路基板、 2…セラミックス基板、 3…金属回路板、 4…放熱金属板、 5…貫通穴部、 6…ネジ締結部材、 7…ワッシャー、 8…放熱部材(ヒートシンク等)、
24…セラミックス基板の貫通孔のエッジ部、 25…銅パターンの貫通孔内周下部、
31…回路パターン部、 32…補強パターン部、
52…セラミックス回路基板の貫通孔、 53…表面金属板の貫通孔、
54…裏面金属板の貫通孔、

Claims (7)

  1. セラミックス基板と、前記セラミックス基板の一面に接合された金属回路板と、セラミックス基板の他面に接合された放熱金属板とからなり、前記放熱金属板側に放熱部材を固定するための貫通孔が設けられたセラミックス回路基板において、前記金属回路板は半導体素子を搭載するための少なくとも一つの回路パターンと、前記貫通孔の周囲に設けた補強パターンとを含み、当該補強パターンと前記セラミックス基板及び前記放熱金属板を貫通して締結部材用の貫通孔が形成されてなり、前記金属回路板は銅を主成分とした金属板で、当該金属板を接合した後の平均結晶粒子径が100〜500μmであることを特徴とするセラミックス回路基板。
  2. 前記セラミックス基板の外縁の全周を囲うように補強パターンを連続的に形成したことを特徴とする請求項1記載のセラミックス回路基板。
  3. セラミックス基板と、前記セラミックス基板の一面に接合された金属回路板と、セラミックス基板の他面に接合された放熱金属板とからなり、前記金属回路板は銅を主成分とした平均結晶粒子径が100〜500μmである金属板で、半導体素子を搭載するための少なくとも一つの回路パターンと、補強パターンとを含み、前記回路パターン上には半導体素子が搭載され、前記補強パターンとセラミックス基板及び放熱金属板を貫通する貫通孔が形成されたセラミックス回路基板と、当該セラミックス回路基板の放熱金属板側に固定する放熱部材とを有し、前記セラミックス回路基板と放熱部材とを貫通孔を挿通する締結部材を用いて固定するとき補強パターン上にワッシャーを介して締結するもので、当該ワッシャーと前記補強パターンのビッカース硬度における硬度差がHv50以上であることを特徴とする半導体モジュール。
  4. 前記補強パターンの接合後のビッカース硬度がHv20〜100の範囲にあり、且つ前記ワッシャーのビッカース硬度はHv150〜300の範囲にあり、これら補強パターンとワッシャーとの硬度差を50〜280としたことを特徴とする請求項3記載の半導体モジュール。
  5. 前記金属回路板と放熱金属板の貫通孔の直径がセラミックス基板の貫通孔の直径より大きいことを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体モジュール。
  6. 前記ワッシャーを、締め付けトルクを負荷する押圧部を形成した断面コ状のワッシャーとなし、前記ワッシャーの押圧部が、前記セラミックス基板の貫通孔の直径よりも大きい位置にあることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の半導体モジュール。
  7. 前記セラミックス基板に窒化ケイ素基板を用いたことを特徴とする請求項3〜6の何れかに記載の半導体モジュール。
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