JP2007088272A - セラミックス回路基板およびこれを用いたモジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】 セラミックス回路基板の冷熱衝撃試験時の反り量の変化を低減し、放熱部材との接合時のグリースは見出しを抑えたセラミックス回路基板及びこれを用いた耐冷熱衝撃性に優れたモジュールを提供する。
【解決手段】 セラミックス基板2と、このセラミックス基板2の一面に接合された金属回路板3と、セラミックス基板2の他面に接合された放熱金属板4とからなるセラミックス回路基板1において、金属回路板3は発熱素子を搭載するための回路部パターン31とその外周部に形成した非回路部パターン32とを含み、前記セラミックス基板1を150℃雰囲気下に30分以上放置した状態での最大反り量と、−55℃雰囲気下に30分以上放置した状態での最大反り量との差が、300μm/inch以下としたセラミックス回路基板。
【選択図】 図1
【解決手段】 セラミックス基板2と、このセラミックス基板2の一面に接合された金属回路板3と、セラミックス基板2の他面に接合された放熱金属板4とからなるセラミックス回路基板1において、金属回路板3は発熱素子を搭載するための回路部パターン31とその外周部に形成した非回路部パターン32とを含み、前記セラミックス基板1を150℃雰囲気下に30分以上放置した状態での最大反り量と、−55℃雰囲気下に30分以上放置した状態での最大反り量との差が、300μm/inch以下としたセラミックス回路基板。
【選択図】 図1
Description
本発明は、セラミックス基板の一方の面に金属回路板を接合し、他方の面に放熱用金属板を接合した、発熱素子を搭載するセラミックス回路基板、およびこのセラミックス回路基板を用いたモジュールに関するものである。
現在、電動車両用や産業機械用または家電用機器のインバータ等の電装部品として、放熱性能と電気絶縁性に優れたセラミックス回路基板が用いられている。このセラミックス回路基板は、前記回路基板に搭載された発熱素子が安定に動作するように前記素子を冷却させ、かつ冷却フィンやベース板と言われる放熱部材から電気的に絶縁させる重要な働きをする部品である。このセラミックス回路基板は、最近では、LED等の発光素子やセンサー等のベース基板としての使用も少しずつではあるが見られるようになった。ただ、中でも今後の大幅な需要が見込まれる、EV、HEV、燃料電池車等の車両用の用途拡大が最も期待されている。それは高電圧かつ大電流動作が可能なIGBTやIPMデバイス、MOS−FET等のパワーエレクトロニクスに代表される半導体用素子の搭載が可能なことによるものである。このような素子を搭載したモジュールに使用されるセラミックス基板としては、前記素子から放出される熱を効率よく逃すために、高熱伝導性かつ高耐絶縁性を示す窒化アルミニウムや窒化ケイ素等が主に用いられ、セラミックス基板の一方の面に電気回路となる金属回路板を接合し、他方の面に放熱用の金属板を接合したセラミックス回路基板として用いられる。この金属板には導電性、放熱性を重視する場合には、これらの特性が良好な銅又はアルミニウムを主成分とした金属板等が一般に使用されている。そしてこのセラミックス基板と金属板との接合は、ろう材による活性金属法や、金属板を圧接等も含めて直接接合する、いわゆるDBAやDBCといった接合法が採用されている。また、電気回路となる金属回路板の上面には、各種素子や外部との電気信号の授受を行うための端子等が搭載される。更に、このセラミックス回路基板は、放熱部材に、はんだ接合等により固定して使用される。この金属回路板および放熱金属板をセラミックス基板に接合したセラミックス回路基板を用いたパワーモジュールにおいては、大電流を流せるように金属回路板の厚さを0.2mm以上としている場合が多く、それに伴い接合後のセラミックス基板全体の反り量を低減させるために、放熱金属板にも略同厚の金属板を接合している場合が一般的である。
しかしながら、異なる熱膨張係数を有するセラミックス基板と金属板を接合すると、接合後の冷却過程で熱応力が発生する。この応力は残留応力として、金属板とセラミックス基板との接合部に残存する。その結果、セラミックスと金属板の接合後、またはヒートサイクル試験(冷熱衝撃試験)時において、セラミックス基板に割れやクラックを生じさせ、その結果絶縁耐圧不良を起こし、またある時は金属回路板の剥離の原因となる。更にこのセラミックス基板と金属板との熱膨張係数差は、セラミックス回路基板形成後の反り量にも影響を与え、反り量が大きくなると、前述の残留応力増加のみならず、セラミックス回路基板の放熱性を低下させる原因になる。したがって、モジュールの放熱性能の観点からも放熱部材に接合する時のセラミックス回路基板の反り量が小さいことが望まれる。上述のような性能が要求される背景には、自動車分野においては特に前記モジュール自体を機械自体に実装させ機電一体化による軽量化の流れがあるためである。このような場合には、モジュールはより厳しい熱環境下に曝されることになる。
次にセラミックス回路基板と、ベース板や放熱フィン等といった冷却用の放熱部材との接合には、現在主に、はんだ付けによる接合手段が用いられてきている。ところが、このはんだ接合ではヒートサイクル試験時に、はんだ部に剥離、クラックが生じ易く、モジュール自体の信頼性に課題を残すことが指摘されている。そこで、はんだ接合部の信頼性を改善するために、セラミックス回路基板と放熱部材との接合構造において、セラミックス回路基板に貫通孔を設け、締結用ネジ等を用いて固定する方法や、金属枠等によりセラミックス回路基板の外周を押さえ込んで固定する方法も現れている。また、比較的小型のセラミックス回路基板の固定では、信頼性のある高熱伝導性の接着剤等を使用して放熱部材に接合する方法も適用されてきている。ただし、接着剤を用いて大きな回路基板を接合する際の信頼性はまだ低く、比較的小さい回路基板の接合にのみ用いられようとしているに過ぎない。
上記したネジや金属枠を用いる機械的な固定方法においては、セラミックス回路基板を直接過大な力で固定しようとすると、セラミックス基板部が容易にクラック等の破壊に至ることから、基板材の観点からいえば、低トルクでのネジ締結を除いては、強度に勝る窒化ケイ素基板をセラミックス基板として用いることが好ましいと考えられる。また、このような機械的な固定方法では、セラミックス回路基板の反りや、放熱金属板・放熱部材の表面粗さに起因する間隙を充填するように、現在は高熱伝導性のグリース等を介して放熱部材に固定せざるをえない状況である。
上記したネジや金属枠を用いる機械的な固定方法においては、セラミックス回路基板を直接過大な力で固定しようとすると、セラミックス基板部が容易にクラック等の破壊に至ることから、基板材の観点からいえば、低トルクでのネジ締結を除いては、強度に勝る窒化ケイ素基板をセラミックス基板として用いることが好ましいと考えられる。また、このような機械的な固定方法では、セラミックス回路基板の反りや、放熱金属板・放熱部材の表面粗さに起因する間隙を充填するように、現在は高熱伝導性のグリース等を介して放熱部材に固定せざるをえない状況である。
以下に、従来のセラミックス回路基板と放熱部材との接合構造例とその問題点について述べる。
セラミックス回路基板を機械的に固定する方法としては、数多くの発明がなされているが、以下に近年における数例を示す。まずセラミックス回路基板を放熱部材に固定する方法として、代表的なものに、ネジ締めによる固定方法(特許文献1〜4)と、枠等の押さえ具を用いて固定する方法(特許文献5、6)がある。
まず、図6は特許文献1に開示された半導体モジュールの断面構造の概略を示している。このモジュールは金属回路板14と放熱金属板16を接合したセラミックス基板15(以下では基板と略すことがある)と放熱部材18を直接ネジ17により締結する構造であるが、セラミックス基板15に設けた貫通穴部に金属体11を挿入することによりネジの締結力が直接セラミックス基板に加わらないようにしたものである。しかしながら、締結に際し一般的な平座金13を用いてセラミックス基板を直接ネジ締めした場合には、前述のように厚いセラミックス基板といえどもクラックが発生する可能性は非常に高くなる。そこで特許文献2では、ネジ貫通孔の周囲に金属材料等からなる補強部材を設けることが提案され、これによりネジ締めする際や、モジュールの稼動時にかかる応力により貫通孔周辺部分にクラックが生じることを防止できるとある。同様の目的で特許文献3ではネジ締めする際に用いる座金の硬度範囲を規定し、比較的軟らかい座金を用いて、セラミックス基板に及ぼす力を軽減しようとするものである。更に特許文献4では貫通孔の孔位置、形状に関してセラミックス基板に設けた貫通孔径と基板端部からの距離、および基板厚の関係を規定したものがある。
一方、特許文献5、6ではセラミックス回路基板の外周を枠部材を用いて固定する構造が示されている。この概略図を図7に示す。枠部材で押さえる個所としては、セラミックス基板15の場合や、回路板14の場合もある。この構造によればセラミックス回路基板に、ネジ穴を設ける必要がないと言う利点がある。しかし、一方で枠の使用によりモジュールが大型化するという問題が生じる。
また、特許文献1〜6以前に発明された、セラミックス回路基板の反り量を規定した特許文献7もあるが、これはセラミックス回路基板に半導体素子や、ベース板といった放熱部材を、はんだ接合する際に、はんだ接合部のボイド発生を低減するための発明であり、後述する本発明とは目的と効果が異なるものである。
セラミックス回路基板を機械的に固定する方法としては、数多くの発明がなされているが、以下に近年における数例を示す。まずセラミックス回路基板を放熱部材に固定する方法として、代表的なものに、ネジ締めによる固定方法(特許文献1〜4)と、枠等の押さえ具を用いて固定する方法(特許文献5、6)がある。
まず、図6は特許文献1に開示された半導体モジュールの断面構造の概略を示している。このモジュールは金属回路板14と放熱金属板16を接合したセラミックス基板15(以下では基板と略すことがある)と放熱部材18を直接ネジ17により締結する構造であるが、セラミックス基板15に設けた貫通穴部に金属体11を挿入することによりネジの締結力が直接セラミックス基板に加わらないようにしたものである。しかしながら、締結に際し一般的な平座金13を用いてセラミックス基板を直接ネジ締めした場合には、前述のように厚いセラミックス基板といえどもクラックが発生する可能性は非常に高くなる。そこで特許文献2では、ネジ貫通孔の周囲に金属材料等からなる補強部材を設けることが提案され、これによりネジ締めする際や、モジュールの稼動時にかかる応力により貫通孔周辺部分にクラックが生じることを防止できるとある。同様の目的で特許文献3ではネジ締めする際に用いる座金の硬度範囲を規定し、比較的軟らかい座金を用いて、セラミックス基板に及ぼす力を軽減しようとするものである。更に特許文献4では貫通孔の孔位置、形状に関してセラミックス基板に設けた貫通孔径と基板端部からの距離、および基板厚の関係を規定したものがある。
一方、特許文献5、6ではセラミックス回路基板の外周を枠部材を用いて固定する構造が示されている。この概略図を図7に示す。枠部材で押さえる個所としては、セラミックス基板15の場合や、回路板14の場合もある。この構造によればセラミックス回路基板に、ネジ穴を設ける必要がないと言う利点がある。しかし、一方で枠の使用によりモジュールが大型化するという問題が生じる。
また、特許文献1〜6以前に発明された、セラミックス回路基板の反り量を規定した特許文献7もあるが、これはセラミックス回路基板に半導体素子や、ベース板といった放熱部材を、はんだ接合する際に、はんだ接合部のボイド発生を低減するための発明であり、後述する本発明とは目的と効果が異なるものである。
前記の機械的な手法によるセラミックス回路基板の放熱部材への固定では、高熱伝導性のグリースやペーストを介在させ、固着させている。また、前記流動性のあるグリース等の代わりに、熱伝導率の高いシート材等を用いる考えもある。しかしながらセラミックス回路基板には、モジュールが稼動状態にある場合には、急激な冷熱衝撃が付与され、その温度に応じた反り量へと変化しようとする。したがって、この冷熱衝撃が周期的に印加された際には、セラミックス回路基板の反り量も周期的に変動しようとするようになり、その結果、固着界面のグリース等の流動性のある素材が、外部に押し出される。この結果、空隙が生じると、回路基板に搭載した発熱素子から発生する熱を効率良く放熱部材に逃がすことができなくなり、モジュールの放熱性能を著しく劣化させる原因となる。回路基板に反りが少しでもある限り、シート材を用いた場合も同様のことが懸念される。いずれにしろ前述した事柄が、機械的接合では懸念される。この点に関しては従来技術では殆ど対策が考慮されていないのが実情である。
そこで本発明では、セラミックス回路基板と放熱部材との機械的接合において、接合界面に存在する介在物の移動等による空隙形成や、はみ出し等を避け、モジュール性能の冷熱衝撃による放熱性能の劣化を抑制することが可能なセラミックス回路基板および、前記回路基板と放熱部材との固定構造を提案するものである。
本発明はセラミックス基板と、前記セラミックス基板の一面に接合された金属回路板と、セラミック基板の他面に接合された放熱金属板とからなり、前記放熱金属板を放熱部材に固着して使用されるセラミックス回路基板において、前記金属回路板が、電気回路として働く回路部と、電気回路として働かない非回路部から成り、前記セラミックス回路基板を150℃雰囲気下に30分以上放置した状態での最大反り量と、−55℃雰囲気下に30分以上放置した状態での最大反り量との差が、300μm/inch以下であることを特徴とするセラミックス回路基板である。
即ち、セラミックス回路基板の高温時の最大反り量と、低温時の最大反り量の差を小さくすることで、前記課題であるグリース等のはみ出しを対策することができる。前述したように、発熱素子を搭載したセラミックス回路基板は、高熱伝導性のグリースを介して、ネジ締めにより放熱部材に固定される。特に自動車用部品用途を想定した場合、信頼性の評価方法の一つとしてこの回路基板に、室温⇒−55℃⇒室温⇒150℃⇒室温を1サイクルとした冷熱衝撃を印加して評価が行われるが、この時の回路基板の反り量変化が大きい場合には、上記サイクル試験初期でグリースのはみ出しが生じ、回路基板から放熱部材への放熱性が著しく低下するのである。理想的な、反り形態としては、150℃と−55℃での反り方向が同一であり、かつ−55℃での反り量の絶対値が小さい方が望ましい。つまり放熱性の観点からだけではなく、反りの大きくなる低温側で主に生じるセラミックス基板の破壊や金属パターンの剥離破壊等を防止するためにも、前記のように反り形態を事前にシミュレーション等で設計する方がよい。更に反り量は、パターンのサイズや形状への依存が大きいため、そのような場合には、前記非回路部となる部分を設けて反り量の制御が可能となる。
即ち、セラミックス回路基板の高温時の最大反り量と、低温時の最大反り量の差を小さくすることで、前記課題であるグリース等のはみ出しを対策することができる。前述したように、発熱素子を搭載したセラミックス回路基板は、高熱伝導性のグリースを介して、ネジ締めにより放熱部材に固定される。特に自動車用部品用途を想定した場合、信頼性の評価方法の一つとしてこの回路基板に、室温⇒−55℃⇒室温⇒150℃⇒室温を1サイクルとした冷熱衝撃を印加して評価が行われるが、この時の回路基板の反り量変化が大きい場合には、上記サイクル試験初期でグリースのはみ出しが生じ、回路基板から放熱部材への放熱性が著しく低下するのである。理想的な、反り形態としては、150℃と−55℃での反り方向が同一であり、かつ−55℃での反り量の絶対値が小さい方が望ましい。つまり放熱性の観点からだけではなく、反りの大きくなる低温側で主に生じるセラミックス基板の破壊や金属パターンの剥離破壊等を防止するためにも、前記のように反り形態を事前にシミュレーション等で設計する方がよい。更に反り量は、パターンのサイズや形状への依存が大きいため、そのような場合には、前記非回路部となる部分を設けて反り量の制御が可能となる。
また本発明は、前記反り量の変化を小さくする方法として、前記非回路部の面積が前記セラミックス基板の面積に対して10%以上とすることが望ましい。このように非回路部を余分に設けることで、セラミックス回路基板の金属回路側と放熱金属側とのバランスをとることができ、反り量の変化を小さくすることが可能となる。
また、前記非回路部に前記放熱金属板を放熱部材に固着するためのネジ締結用貫通穴を形成することが良い。非回路部をネジ締結することで、はんだ接合よりも接合部の冷熱衝撃に対する信頼性を確保することができる。
更に、少なくとも前記回路部の一つに、前記放熱金属板を放熱部材に固着するためのネジ締結用貫通穴を形成することもできる。この場合、セラミックス回路基板のパターン中央部を機械的にネジ締めすることで、更に反り量変化を抑制することが可能となる。
また、前記非回路部に前記放熱金属板を放熱部材に固着するためのネジ締結用貫通穴を形成することが良い。非回路部をネジ締結することで、はんだ接合よりも接合部の冷熱衝撃に対する信頼性を確保することができる。
更に、少なくとも前記回路部の一つに、前記放熱金属板を放熱部材に固着するためのネジ締結用貫通穴を形成することもできる。この場合、セラミックス回路基板のパターン中央部を機械的にネジ締めすることで、更に反り量変化を抑制することが可能となる。
反り量の変化を小さくする他の手法としては、回路部のパターン形状や、セラミックス回路基板に要求される放熱性能から決まる金属回路板の厚みにもよる。従って、金属回路板と放熱金属板の厚み比や、体積比、前記金属板に適正な剛性、熱膨張係数の材料を用いたり、セラミックス基板の剛性を高める等でも実現できる。しかし、本発明では、セラミックス基板と、このセラミックス基板の一面に接合された金属回路板と、セラミックス基板の他面に接合された放熱金属板とからなり、前記放熱金属板と冷却用の放熱部材とを固着するための貫通孔が設けられたセラミックス回路基板において、前記金属回路板は発熱素子を搭載するための回路部と前記貫通孔部分を設けた非回路部とで形成し、この非回路部の形状、材質、厚さ等を適正化することで実現可能としたものである。
以上のように、金属回路板側に適切な非回路部を設けることにより、セラミックス回路基板の金属回路板側と放熱金属板側との接合面積、体積、形状のバランスをとり、三部材間の熱膨張差に起因する反りと、反り量変化を低減することができる。更にネジ締結することに対しても、セラミックス回路基板のネジ締結部が非回路部とセラミックス基板及び放熱金属板の三部材で構成されているため、座金等と併用することで、締結部分はより高トルクでの締結にも耐えることができ、クラックや割れ等の発生を押さえることができる。
また実施例で示すが、本発明のセラミックス回路基板では非回路部に関して、前記発熱素子を搭載または、前記素子に電力を供給するための回路部の外周に、前記回路部と必要な絶縁距離を保ちながら、連続的に形成したものを示すが、非回路部の形態は実施例にとどまるものではなく、断続的に複数個形成してもよい。
以上のように、金属回路板側に適切な非回路部を設けることにより、セラミックス回路基板の金属回路板側と放熱金属板側との接合面積、体積、形状のバランスをとり、三部材間の熱膨張差に起因する反りと、反り量変化を低減することができる。更にネジ締結することに対しても、セラミックス回路基板のネジ締結部が非回路部とセラミックス基板及び放熱金属板の三部材で構成されているため、座金等と併用することで、締結部分はより高トルクでの締結にも耐えることができ、クラックや割れ等の発生を押さえることができる。
また実施例で示すが、本発明のセラミックス回路基板では非回路部に関して、前記発熱素子を搭載または、前記素子に電力を供給するための回路部の外周に、前記回路部と必要な絶縁距離を保ちながら、連続的に形成したものを示すが、非回路部の形態は実施例にとどまるものではなく、断続的に複数個形成してもよい。
また本発明は、前記放熱金属板にパターンが形成されたことや、前記放熱金属板が、少なくとも前記セラミックス基板の露出部により2箇所以上に分割形成されたことを特徴としている。
これは、本発明のセラミックス回路基板は、金属放熱板をパターン形成するか、あるいはセラミックス基板の露出部により、少なくとも2ヶ所以上に分割形成してもよいことを表している。一般に放熱金属板は一枚の平板で構成されることが多い。しかし、例えば長方形形状のセラミックス回路基板の場合、放熱金属板を長手方向に対してセラミックス基板の露出部で2箇所以上に分割した場合等とすることで、比較的大きいサイズのセラミックス回路基板では接合後の反り量低減に有効となるだけではなく、冷熱衝撃試験中の高温及び低温での反り量の差を小さく抑えることにも効果を発揮する。したがって、ネジ締結した際に、セラミックス回路基板に無理な応力を掛けることなく放熱部材に均一に密着させることができる。勿論、この場合には、金属回路側の非回路部のパターン形状も、放熱金属板側と合い適した設計にする必要があるのは言うまでもない。
これは、本発明のセラミックス回路基板は、金属放熱板をパターン形成するか、あるいはセラミックス基板の露出部により、少なくとも2ヶ所以上に分割形成してもよいことを表している。一般に放熱金属板は一枚の平板で構成されることが多い。しかし、例えば長方形形状のセラミックス回路基板の場合、放熱金属板を長手方向に対してセラミックス基板の露出部で2箇所以上に分割した場合等とすることで、比較的大きいサイズのセラミックス回路基板では接合後の反り量低減に有効となるだけではなく、冷熱衝撃試験中の高温及び低温での反り量の差を小さく抑えることにも効果を発揮する。したがって、ネジ締結した際に、セラミックス回路基板に無理な応力を掛けることなく放熱部材に均一に密着させることができる。勿論、この場合には、金属回路側の非回路部のパターン形状も、放熱金属板側と合い適した設計にする必要があるのは言うまでもない。
また本発明では、セラミックス回路基板をモジュールに実装する時の反り量も小さくし、初期の放熱性能を確保する狙いから、前記回路部と前記非回路部形成後の20℃(以下では室温と表現することがある)での最大反り量が100μm/inch以下であることを特徴とするセラミックス回路基板であることが好ましい。
そして本発明は、上記した何れかのセラミックス回路基板と、このセラミックス回路基板に搭載された発熱素子と放熱部材等で構成されたことを特徴とするモジュールである。そのモジュールにおけるセラミックス回路基板の放熱部材との接合形態として前記放熱金属板と放熱部材の間に、熱伝導率が0.5W/(m・K)以上の材料または媒体を少なくとも、一種類以上介在させて固定させたり、またあるいは接合に係わる雄ネジおよび雌ネジ部材がビッカース硬度100以上の材質で形成された接合形態を有することが望ましい。前者の熱伝導率が0.5W/(m・K)以上の材料や媒体を用いることはセラミックス回路基板と放熱部材間の熱抵抗を低減させ、放熱性を維持するために有効な手法である。前記材料や媒体としては、高熱伝導性のシートまたはゴム状で密着性のある材料を用いたり、単体の使用では、信頼性が保証できない可能性がある場合には、これらを併用することも好ましい接合の一つと考えられる。また金属回路板の絶縁を確保した上で、液体状の冷却媒体を介在させる等も考えられる。また後者では、強固なネジ締結で、回路基板の反り変化を強制的に小さくしょうとするものである。一般に放熱部材には銅、アルミを主成分とする熱伝導率の高い金属が用いられるが、これら金属は、ネジ締結において高トルクでの締結には不向きである。したがってネジ締結部材の締結個所には、高強度、高耐食性があり高トルクでのネジ締結が可能なステンレス等を併用することも有意である。この高トルクでのネジ締結によりモジュールの信頼性も向上させることができる。
本発明のセラミックス回路基板によれば、セラミックス基板と金属回路板および放熱金属板のパターン形成後の反り量、さらにはモジュール稼動時の冷熱衝撃で生じる反り量変化を低減し、前記反り量変化による悪影響を最小限にすることができる。また、形状、厚さ等を適宜選定した非回路部と放熱金属板とを形成し、これらによりセラミックス基板を上下から補強すると共に、この三部材を、放熱部材にネジ締結するのでセラミックス基板の割れや、クラック等の発生を防止でき、耐冷熱衝撃性、放熱効果を維持しつつ、稼動中の信頼性を損なうことのないモジュールを提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施例を説明する。ただし、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
本発明のセラミックス回路基板1(以下では回路基板と表現することがある)について説明する。図1は本発明のセラミックス回路基板1の一例を示した外観斜視図である。まず、図1においてセラミックス回路基板1は、セラミックス基板2とその上面に接合された金属回路板3と、下面に接合された放熱金属板4とを備え、セラミックス基板2と金属板3、4とは、直接接合法またはろう材接合法等で接合されている。金属回路板3は、発熱素子やボンディングワイヤー(いずれも図示せず)が搭載される回路や、前記素子への電力供給もしくは電気信号を授受するための回路部からなる回路部パターン31と、回路部パターン31の他に電気回路としては用いない非回路部パターン32を有している。この非回路部パターン32は、金属回路板3から回路部パターン31をエッチング等などで形成する際に、回路部パターン31とは分離、絶縁するように形成した金属回路板3の一部で、全周を囲うように連続的に形成している。そして、この非回路部パターン32の四隅にネジ締結用の貫通孔5が形成されている。貫通孔5の断面構造を図4に示す。金属回路板3に形成された直径a2の貫通孔53とほぼ同心位置に、ほぼ直径a1の貫通孔54が形成されており、しかも基板2に形成された直径bの貫通孔と直径a1、a2とは大きさが異なっている。このような構造にすることで、ネジ締結した際に締結力は基板2の貫通孔52のエッジ部24には伝わらず、応力集中による基板2の破壊が避けられる。また、貫通孔径a1、a2がbと同一寸法のものに比べて、金属板3、4の側面とネジ側面との距離が長くなる。これにより座金7に絶縁体を使用し、回路部パターン31にネジ締結用貫通孔5を設けた場合でも、絶縁確保に有利である。
本発明のセラミックス回路基板1(以下では回路基板と表現することがある)について説明する。図1は本発明のセラミックス回路基板1の一例を示した外観斜視図である。まず、図1においてセラミックス回路基板1は、セラミックス基板2とその上面に接合された金属回路板3と、下面に接合された放熱金属板4とを備え、セラミックス基板2と金属板3、4とは、直接接合法またはろう材接合法等で接合されている。金属回路板3は、発熱素子やボンディングワイヤー(いずれも図示せず)が搭載される回路や、前記素子への電力供給もしくは電気信号を授受するための回路部からなる回路部パターン31と、回路部パターン31の他に電気回路としては用いない非回路部パターン32を有している。この非回路部パターン32は、金属回路板3から回路部パターン31をエッチング等などで形成する際に、回路部パターン31とは分離、絶縁するように形成した金属回路板3の一部で、全周を囲うように連続的に形成している。そして、この非回路部パターン32の四隅にネジ締結用の貫通孔5が形成されている。貫通孔5の断面構造を図4に示す。金属回路板3に形成された直径a2の貫通孔53とほぼ同心位置に、ほぼ直径a1の貫通孔54が形成されており、しかも基板2に形成された直径bの貫通孔と直径a1、a2とは大きさが異なっている。このような構造にすることで、ネジ締結した際に締結力は基板2の貫通孔52のエッジ部24には伝わらず、応力集中による基板2の破壊が避けられる。また、貫通孔径a1、a2がbと同一寸法のものに比べて、金属板3、4の側面とネジ側面との距離が長くなる。これにより座金7に絶縁体を使用し、回路部パターン31にネジ締結用貫通孔5を設けた場合でも、絶縁確保に有利である。
図2も本発明によるセラミックス回路基板1の別形態を示すものである。ここに図示した回路基板1も上述したのと同様に、金属回路板3は回路部パターン31と非回路部パターン32で構成されている。ただし、ネジ締結用貫通孔5は非回路部32だけではなく、回路部31にも設けてある。このように金属回路板3の中央部に位置する回路部31にも貫通孔5を設けることで、放熱部材8にネジ締結で固着した後の反り量変化を、より一層低減できる。勿論この場合には前述したように、回路部31のネジ締結では、回路部31とワッシャー7、ネジ6との絶縁確保が必要な事はいうまでもない。また、回路部31の貫通孔5の孔径も非回路部32と必ずしも同一にする必要はなく、サイズを変更しても全く支障はない。
次に図3(a)〜図3(d)に放熱金属板4の実施例の一部を示す。図3(a)は放熱金属板4にパターン形成や分割形成されていない場合を示すが、モジュールの冷却構造体である放熱部材8との接合に支障がないかぎり、図3(b)に示すように放熱金属板4もパターン形成して構わない。つまり放熱金属板4は放熱性の面からはベタ状とするとよいが、セラミックス回路基板1の接合後の反りや、冷熱衝撃印加時の反り量変化を抑制するために金属回路板3のパターンに応じた適宜なパターンが形成されていてもよい。また、前記と同様の効果を高めるために、図3(c)、図3(d)のように、放熱金属板4を分割形成しても構わない。パターン形成や分割形成を行う際には、別に対称形に拘る必要はなく、適宜なパターン、分割形成を行っても良い。更に、既述したグリース等のはみ出し対策として、上記の実施例に加え、ゴム状やシート状の材料を単独または併用し、放熱部材8に固着することもできる。
ここでは本発明の有効性を証明するために、セラミックス回路基板と前記回路基板を用いた簡易モジュールを作製し、初期反り量と冷熱衝撃時の反り量の変化と、前記モジュールの放熱性能について評価した。
セラミックス基板2としては、特に限定されるものではなく、アルミナ(Al2O3)基板や窒化アルミニウム(AlN)基板や窒化ケイ素基板(Si3N4)および、その他の高熱伝導性の絶縁基板を用いることができる。但し、高トルクでのネジ締結が必要な場合には、好ましくはセラミックス基板2として機械的強度に優れている材料を用いることが好ましく、その厚さはセラミックス回路基板の放熱性の観点から薄い方が良い。しかし、あまり薄すぎるとネジ締結時等に基板が破損する恐れがあるため0.2mm〜1.0mm程度の厚みで使用するのがよい。本実施例では基板に窒化ケイ素を用いた場合を示す。また金属回路板3と放熱金属板4は、下記する本発明の実施例では銅板を用いた場合を主に説明するが、アルミ等の軽量で放熱性に優れる導電性材料を用いても良く、その効果と傾向はほとんど同じである。更に金属板の厚みに関しても、基板2の厚みや強度にもよるが、0.2mm〜3mm厚のものを用いるのが良い。
セラミックス基板2としては、特に限定されるものではなく、アルミナ(Al2O3)基板や窒化アルミニウム(AlN)基板や窒化ケイ素基板(Si3N4)および、その他の高熱伝導性の絶縁基板を用いることができる。但し、高トルクでのネジ締結が必要な場合には、好ましくはセラミックス基板2として機械的強度に優れている材料を用いることが好ましく、その厚さはセラミックス回路基板の放熱性の観点から薄い方が良い。しかし、あまり薄すぎるとネジ締結時等に基板が破損する恐れがあるため0.2mm〜1.0mm程度の厚みで使用するのがよい。本実施例では基板に窒化ケイ素を用いた場合を示す。また金属回路板3と放熱金属板4は、下記する本発明の実施例では銅板を用いた場合を主に説明するが、アルミ等の軽量で放熱性に優れる導電性材料を用いても良く、その効果と傾向はほとんど同じである。更に金属板の厚みに関しても、基板2の厚みや強度にもよるが、0.2mm〜3mm厚のものを用いるのが良い。
まずセラミックス回路基板1と、放熱性の評価に使用した簡易モジュールの製造方法について述べるが、その製造方法・条件は下記の内容に限定されるものではない。
まず窒化ケイ素を主成分とするセラミックス粉末を焼結助剤および粘結助剤、溶剤等と混合してスラリーを作製した。次に前記スラリーをシート成形法により長方形状グリーンシートとし、乾燥、脱脂処理および焼結を行ってセラミックス基板2とした後、基板表面の清浄化を行い、所定の外形と貫通孔52をレーザー加工で設けた。セラミックス基板2の特性は、3点曲げ強度500MPa以上、熱伝導率が120W/(m・K)以上のものから、3点曲げ強度1000MPa以上、熱伝導率が60W/(m・K)程度のものまで利用できる。ちなみに本実施例では3点曲げ強度750MPa以上、熱伝導率が90W/(m・K)程度で、厚さが0.3mmの基板を用いた。次いで、基板の一方の面に金属回路板となる厚さ0.6mmの無酸素銅板を、もう一方の面に金属放熱板となる厚さ0.5mmの無酸素銅板を、活性金属を含んだろう材を用いて接合した。ろう付接合後、感光性レジストを使用し、各々の銅板表面にレジストパターンを形成した。そして0.6mmt銅板には金属回路板3のパターンを、また0.5mmt銅板には放熱金属板4のパターン(基板2の外周近傍部のみエッチング除去)を、更にセラミックス基板2の貫通孔52と同心位置に相当する金属板孔部53、54を、それぞれエッチング形成した。その後、金属回路板3と放熱金属板4の表面にNi−Pめっきを施し、85×42mmサイズの回路基板1を作製した。
まず窒化ケイ素を主成分とするセラミックス粉末を焼結助剤および粘結助剤、溶剤等と混合してスラリーを作製した。次に前記スラリーをシート成形法により長方形状グリーンシートとし、乾燥、脱脂処理および焼結を行ってセラミックス基板2とした後、基板表面の清浄化を行い、所定の外形と貫通孔52をレーザー加工で設けた。セラミックス基板2の特性は、3点曲げ強度500MPa以上、熱伝導率が120W/(m・K)以上のものから、3点曲げ強度1000MPa以上、熱伝導率が60W/(m・K)程度のものまで利用できる。ちなみに本実施例では3点曲げ強度750MPa以上、熱伝導率が90W/(m・K)程度で、厚さが0.3mmの基板を用いた。次いで、基板の一方の面に金属回路板となる厚さ0.6mmの無酸素銅板を、もう一方の面に金属放熱板となる厚さ0.5mmの無酸素銅板を、活性金属を含んだろう材を用いて接合した。ろう付接合後、感光性レジストを使用し、各々の銅板表面にレジストパターンを形成した。そして0.6mmt銅板には金属回路板3のパターンを、また0.5mmt銅板には放熱金属板4のパターン(基板2の外周近傍部のみエッチング除去)を、更にセラミックス基板2の貫通孔52と同心位置に相当する金属板孔部53、54を、それぞれエッチング形成した。その後、金属回路板3と放熱金属板4の表面にNi−Pめっきを施し、85×42mmサイズの回路基板1を作製した。
次に、上記セラミックス回路基板1の回路パターン31の素子実装位置にはんだ接合で素子を実装した。その後、図示しないが、端子の付いた樹脂ケースと回路基板を接合し、ボンディングワイヤーの接合、そして前記の素子やワイヤーを保護する樹脂モールドを行い、放熱部材8に接合可能な簡易モジュールを作製した(ここでは素子であるMOS−FET、ワイヤーは図示せず)。
セラミックス回路基板1の室温(20℃)、−55℃、150℃での各最大反り量は、まずネジ締め固定は行わずに、回路基板1のみで評価した。まず前記回路基板を上面がガラス貼りの冷熱試験装置内にセットし、所定の温度で30分間保持した。この保持時間は回路基板1の温度が周囲温度と同一温度になるために十分な時間とした。次いで前記試験装置外部から、レーザー変位計を用いて図5に示すように、回路基板1の対角線上10(この場合は放熱金属板4側)で反り量と反りの方向を測定し、各温度でのセラミックス回路基板単体での最大反り量を求め、前記最大反り量を各々対角線の長さで割り、1インチ当たりの値で比較した。また後述するが、参考のために、前記測定を実施した回路基板1を別の冷熱衝撃試験装置に簡易モジュールと一緒に投入した。
この実施例では基板2の面積に対して非回路部パターン部32の面積率を10%より大きくし(20%、25%、30%)、回路部31にはネジ貫通孔5を設けない形状とした。セラミックス回路基板1の接合後の反り量、および冷熱衝撃環境下での反り量変化を小さくした実施例を表1に示す。また回路部パターン31の形状としては、図5の破線部に示す形状のパターンを用いた。尚、比較のために回路部パターン31の形状が同一で非回路部パターン32の基板2の面積に対する面積率が10%以下の場合(10%、5%)と、全く非回路部パターン32が無い回路基板(0%)も作製した。
次に、放熱部材8として、前記簡易モジュールを固定できる雌ネジを形成した厚さ15mmの小型の銅水冷ジャケットを用いた。放熱金属板4と前記銅水冷ジャケット表板の界面に高熱伝導性のグリースを介してネジで固定した。尚。ここでは放熱金属板4をパターン形成や分割は行わずにベタ状パターンとした。
ネジ締結部は、図4に示す構造で締結した。ネジ6はステンレス製で呼び径が5mmの雄ネジ(並目ネジ)を用い、平座金タイプのワッシャー7を介してトルクレンチを使用し、所定の締め付けトルク値(ここでは5N・m)で前記銅製のジャケットに固定した。また、放熱性能は室温にて素子に所定時間、所定の電力を供給し、その後の素子の冷却特性(熱抵抗評価方法)により評価した。まず事前に初期熱抵抗を評価した後、前記簡易モジュールを前記銅水冷ジャケットにネジ締め固定した状態で冷熱衝撃試験装置内に投入し、冷熱衝撃500サイクル印加後に熱抵抗を再評価した。またセラミックス基板の割れ、クラック、およびグリースのはみ出しは、目視で観察した。
次に、放熱部材8として、前記簡易モジュールを固定できる雌ネジを形成した厚さ15mmの小型の銅水冷ジャケットを用いた。放熱金属板4と前記銅水冷ジャケット表板の界面に高熱伝導性のグリースを介してネジで固定した。尚。ここでは放熱金属板4をパターン形成や分割は行わずにベタ状パターンとした。
ネジ締結部は、図4に示す構造で締結した。ネジ6はステンレス製で呼び径が5mmの雄ネジ(並目ネジ)を用い、平座金タイプのワッシャー7を介してトルクレンチを使用し、所定の締め付けトルク値(ここでは5N・m)で前記銅製のジャケットに固定した。また、放熱性能は室温にて素子に所定時間、所定の電力を供給し、その後の素子の冷却特性(熱抵抗評価方法)により評価した。まず事前に初期熱抵抗を評価した後、前記簡易モジュールを前記銅水冷ジャケットにネジ締め固定した状態で冷熱衝撃試験装置内に投入し、冷熱衝撃500サイクル印加後に熱抵抗を再評価した。またセラミックス基板の割れ、クラック、およびグリースのはみ出しは、目視で観察した。
以下に本発明の実施例、比較例の評価結果について表1、表2に示す。
ここで表1、表2の1〜3は本発明での実施例を表し、4〜6は比較例を示す。表1では非回路部パターン32の基板2に対する面積割合と各回路基板1を作製後、初期状態での室温(20℃)、−55℃、150℃での最大反り量と、−55℃と150℃での反り量差、および冷熱衝撃試験500サイクル後の前記と同一の評価項目とセラミックス基板の割れ、クラックを評価した結果を示す。また、表2では表1に示した回路基板1と同一形状のセラミックス回路基板を用いた簡易モジュールの室温での熱抵抗値測定結果、セラミックス基板の割れ、クラック、およびグリースのはみ出しの評価結果を示す。尚、最大反り量の表示で、+表示は放熱金属板側に凸形状を、また−表示は放熱金属板側が凹形状を表すものである。
ここで表1、表2の1〜3は本発明での実施例を表し、4〜6は比較例を示す。表1では非回路部パターン32の基板2に対する面積割合と各回路基板1を作製後、初期状態での室温(20℃)、−55℃、150℃での最大反り量と、−55℃と150℃での反り量差、および冷熱衝撃試験500サイクル後の前記と同一の評価項目とセラミックス基板の割れ、クラックを評価した結果を示す。また、表2では表1に示した回路基板1と同一形状のセラミックス回路基板を用いた簡易モジュールの室温での熱抵抗値測定結果、セラミックス基板の割れ、クラック、およびグリースのはみ出しの評価結果を示す。尚、最大反り量の表示で、+表示は放熱金属板側に凸形状を、また−表示は放熱金属板側が凹形状を表すものである。
まず表1の回路基板の最大反り量の絶対値に着目すると、非回路部パターン32の面積割合が増加するに連れ、小さくなっていることがわかる。これは、非回路部32の面積割合があまり小さすぎる場合には、放熱金属板とのバランスが悪いためである。前述したように、配線基板を放熱部材に固定する際には、放熱金属板側に凸形状となることが好ましい。それはセラミックス回路基板と放熱部材を固着する際の間隙を最小限に抑えることができるためである。本実施例および比較例ではいずれも、室温および−55℃の低温状態においては放熱金属板側に凸形状を示し、逆に150℃の高温側では、放熱金属板側が凹形状を示した。これらの傾向はパターン形状や、金属回路板や放熱金属板の金属板の厚み比等にも依存するため。全ての回路基板で同様の傾向を示すとは限らないことは言及するまでもない。また低温−55℃と高温150℃での反り量差に着目すると、非回路部の面積割合の増加に伴い、小さくなる傾向を示した。次に冷熱衝撃500サイクル印加後では、実施例、比較例いずれの回路基板1も最大反り量値と反り量差が減少する傾向を示した。しかしながら、金属回路板3側に設けた非回路部32を広くするによる反り量差低減効果は、維持されていることがわかる。
目視による冷熱衝撃500サイクル印加後の回路基板の観察では、基板2の割れ、クラック(金属回路板のパターン31の剥離も含む)は非回路部32の基板2に対する面積割合が10%未満で発生した。これは、冷熱衝撃印加時の金属回路板3、放熱金属板4とセラミックス基板2の熱膨張差に起因する最大反り量の変化量が大きいために、基板2に過度な応力が作用したためであると考えられる。このことから、本実施例の場合には非回路部32の面積割合は基板2に対して最低でも10%以上確保し、冷熱衝撃印加時の最大反り量の変化値も300μm/インチ程度以下に抑えることが好ましい。
目視による冷熱衝撃500サイクル印加後の回路基板の観察では、基板2の割れ、クラック(金属回路板のパターン31の剥離も含む)は非回路部32の基板2に対する面積割合が10%未満で発生した。これは、冷熱衝撃印加時の金属回路板3、放熱金属板4とセラミックス基板2の熱膨張差に起因する最大反り量の変化量が大きいために、基板2に過度な応力が作用したためであると考えられる。このことから、本実施例の場合には非回路部32の面積割合は基板2に対して最低でも10%以上確保し、冷熱衝撃印加時の最大反り量の変化値も300μm/インチ程度以下に抑えることが好ましい。
表2の簡易モジュールによる熱抵抗の評価でも、最大反り量の大きい回路基板1を搭載した簡易モジュールほど熱抵抗値(飽和熱抵抗値)が大きくなり、グリースのはみ出し量も多く、放熱性が劣化する傾向を示した。特に室温での最大反り量が100μm以上の回路基板を用いた前記モジュールでは、反りの影響で初期熱抵抗が大きくなってしまう。またモジュールに搭載した回路基板の割れ、クラック(基板2の割れ、金属回路板のパターン31の剥離も含む)の発生傾向も表1の結果と類似した傾向を示した。一方、目視で確認したグリースのはみ出しに着目すると、非回路部32の面積割合が10%以下の回路基板を搭載した簡易モジュールで認められた。以上の結果から、本実施例の場合には、信頼性を考慮し、非回路部32の基板2に対する面積割合は10%よりも大きく確保することが望ましいことがわかる。また本実施例では放熱金属板4はベタ状としたが、パターンを設けたり、分割形成することで、非回路部32の使用可能な面積割合を広げることは可能である。以上の実施例では、比較的反り変化が大きい場合の回路基板の場合を取り上げたが、これは本発明の一実施形態であり、前記のように非回路部32を最適化することで、安定した放熱性能を示し、信頼性のある回路基板1と前記回路基板1を搭載したモジュールを提供できることは容易に理解できる。
次に放熱金属板4のパターン形成、分割形成の効果について一実施例を示す。評価に用いたセラミックス回路基板1と簡易モジュールは実施例1と同様の方法で作製したので、詳細な説明は省略する。評価に用いた回路基板は、金属回路板の非回路部32の基板2に対する面積割合が10%、5%、0%のものである。また回路部パターン31形状は実施例1と同じである。また、ここでは放熱金属板4のパターンに、図3(d)に示す形状を採用した。尚、比較例として放熱金属板のパターンの効果が容易に比較できるように、実施例1の比較例(放熱金属板4がベタ状での回路基板1単独と簡易モジュールでの評価値)での値をそのまま用いた。回路基板1単独での評価結果を表3に、また簡易モジュールでの評価結果を表4に示す。
表3から初期状態では放熱金属板4にパターンを設けた場合とベタ状のいずれにおいても、回路基板1の各温度での最大反り量(ここでは絶対値を表す)が、非回路部32の面積増加に伴い、小さくなることがわかる。また冷熱衝撃500サイクル印加後では、放熱金属板4側にパターンを形成した場合と、パターンを形成しないベタ状では、非回路部32の面積割合が5%である表3のNo.2、5の比較例において、後者の回路基板1ではパターン剥離が認められたのに対し、前者の回路基板では耐クラック性において優位性が確認できた。これは放熱金属板4のパターン形成と非回路部32の形成による相乗効果により、最大反り量の絶対値と反り量差の減少が効果をもたらした理由と考えられる。勿論No.1の実施例では上記の不良は一切認められない。また表4に示す簡易モジュールの評価では、表2との比較から、非回路部32の面積割合10%の場合でも、放熱金属板4側にパターンを形成することで、放熱グリースは見出し対策に効果が認められた。以上のことから放熱金属板4にパターンを形成することで、放熱性能においても耐冷熱衝撃性が改善されていることがわかる。
これは回路基板1自体の−55℃⇔150℃での反り量差が260μm/インチと小さい値に抑えられた結果であると考える。このように放熱金属板4側にパターンを設けることで、ベタ状では不良となる回路基板1においても、また前記回路基板1を用いたモジュールにおいても信頼性を改善できると同時に、設計の幅を広くすることが可能であることがわかる。また、本実施例では放熱金属板4のパターン形状に図3(d)に示すパターンを選択したが、本パターン以外にも、効果の期待できるパターンが存在すると考えられる。そのため事前にシミュレーション等により、決められた回路部31パターンに対して、非回路部32パターンと面積割合、放熱金属板4のパターンを各種設計解析し、製造プロセスやコスト等を考慮しながら、適切な回路形状を設計することが好ましい。
これは回路基板1自体の−55℃⇔150℃での反り量差が260μm/インチと小さい値に抑えられた結果であると考える。このように放熱金属板4側にパターンを設けることで、ベタ状では不良となる回路基板1においても、また前記回路基板1を用いたモジュールにおいても信頼性を改善できると同時に、設計の幅を広くすることが可能であることがわかる。また、本実施例では放熱金属板4のパターン形状に図3(d)に示すパターンを選択したが、本パターン以外にも、効果の期待できるパターンが存在すると考えられる。そのため事前にシミュレーション等により、決められた回路部31パターンに対して、非回路部32パターンと面積割合、放熱金属板4のパターンを各種設計解析し、製造プロセスやコスト等を考慮しながら、適切な回路形状を設計することが好ましい。
以上、2つの実施例を示したが、これらは本発明における、ほんの一部である。いずれにしても、本発明を実施したセラミックス回路基板および、前記回路基板を用いたモジュールとすることにより、耐冷熱衝撃性に強く、放熱性の劣化しない高信頼性のモジュールを提供することができる。
1:セラミックス回路基板
2:セラミックス基板
3:金属回路板
4:放熱金属板
5:貫通孔部
8:放熱部材
31:回路部
32:非回路部パターン
2:セラミックス基板
3:金属回路板
4:放熱金属板
5:貫通孔部
8:放熱部材
31:回路部
32:非回路部パターン
Claims (8)
- セラミックス基板と、前記セラミックス基板の一面に接合された金属回路板と、セラミック基板の他面に接合された放熱金属板とからなり、前記放熱金属板を放熱部材に固着して使用されるセラミックス回路基板において、前記金属回路板が、電気回路として働く回路部と、電気回路として働かない非回路部から成り、前記セラミックス回路基板を150℃雰囲気下に30分以上放置した状態での最大反り量と、−55℃雰囲気下に30分以上放置した状態での最大反り量との差が、300μm/inch以下であることを特徴とするセラミックス回路基板。
- 前記非回路部の面積が前記セラミックス基板の面積に対して10%以上であることを特徴とする請求項1記載のセラミックス回路基板。
- 前記非回路部および/または回路部に前記放熱金属板を放熱部材に固着するためのネジ締結用貫通穴を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックス回路基板。
- 前記放熱金属板にパターンが形成されたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のセラミックス回路基板。
- 前記放熱金属板が、少なくとも前記セラミックス基板の露出部により2箇所以上に分割形成されたことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のセラミックス回路基板。
- 前記回路部と前記非回路部形成後の20℃における最大反り量が100μm/inch以下であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のセラミックス回路基板。
- 請求項1〜6何れかに記載のセラミックス回路基板を用い、前記セラミックス回路基板と放熱部材の接合において、前記放熱金属板と放熱部材の間に、熱伝導率が0.5W/(m・K)以上の材料または媒体を少なくとも、一種類以上介在させて固定させ、このセラミックス回路基板に搭載された発熱素子と放熱部材で構成されたことを特徴とするモジュール。
- 請求項1〜6何れかに記載のセラミックス回路基板を用い、前記セラミックス回路基板と放熱部材の接合において、接合に係わる雄ネジおよび雌ネジ部材がビッカース硬度100以上の材質で形成され、このセラミックス回路基板に搭載された発熱素子と放熱部材で構成されたことを特徴とするモジュール。
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