JP2005136369A - 基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 黒鉛と金属の複合体からなる基板において、前記基板は両主面間を繋ぐ貫通孔を有しており、当該貫通孔の直径をDmm、前記放熱基板の厚さをTmm、前記放熱基板の側面から前記貫通孔までの最短距離をWmmとしたとき、D(2T−1)−2WT≦0の関係を満足する基板である。また、上記黒鉛と金属の複合体からなる基板において、前記基板は両主面間を繋ぐ貫通孔を有しており、当該貫通孔の内周部にパイプ部材、例えばスリットやノッチを設けたパイプ部材を嵌合してなる基板である。
【選択図】 図2
Description
このような貫通孔を介した固定の場合、締め付力により貫通孔の周囲にクラックが発生するという問題があった。セラミックス回路基板の薄型化が望まれており、これに使用される放熱基板についても薄型化が進められている。このため放熱基板の強度は必然的に低下し、特に放熱基板の貫通孔周辺部分には、ボルトやネジ締結の際の締付け力、使用時の応力によりクラック等が発生しやすく、貫通孔周辺部の強化が求められている。このような問題に対して例えば次のような改良技術が提案されている。
一方、本発明が対象とする黒鉛と金属からなる複合材の場合は、上述した特許文献1、2の材質に対し、およそ100MPa以下の強度しかない。従って、締結力を従来通り保つことには限界がある。例え、従来以下の締結トルクであっても放熱基板とネジとの接触部分、特に放熱基板の貫通孔周辺部分にクラックが入ってしまうと言う問題があった。また、半導体素子の高集積化および高出力化に伴い熱サイクル負荷も大幅に上昇しており、放熱基板とネジとの接触部分、特に負荷が集中しやすい貫通孔周辺部分を起点として熱応力によるクラックが発生しやすくなっている。
特許文献1、2では、黒鉛と金属からなる複合材に対してのクラック対策は考慮されておらず、その為、締結トルクを高くすることが出来ない。よって、固定しょうとする部材との密着性を得ることが出来なかった。また、熱応力によるクラック対策についても考慮されていなかった。
これらの理由は、パイプの厚さが基板の厚さの1.004倍より小さいと基板が損傷を受け、1.04倍より大きいと基板を固定することができない。スリットあるいはノッチを入れたパイプの外径は基板貫通孔の径以上とし、スリットあるいはノッチを入れたパイプを基板貫通孔の径より小さくして貫通孔に挿入し、パイプの弾性変形を利用してパイプを基板の貫通孔に固定する。このとき、スリット幅が100μmより小さいか、ノッチ幅が200μmより小さい場合、ボルト締め付け時、基板が損傷を受ける。
また、本発明において、前記パイプ部材としては、ステンレス鋼、炭素鋼、高張力鋼、アルミニウム、銅、マグネシウム、黄銅、またはこれらの合金のうち1種を用いることが出来る。
以上により、本発明の基板をパワー半導体モジュールとして使用すれば、締結時の締付けトルクによるクラック、また繰り返しの熱応力によるクラックの発生を防止することができる。
図1は本発明の基板の一例を示した外観図であり、図2は本発明の基板の一例を示した断面図である。図3は貫通孔周辺を示す断面図である。図4は他の基板の一例を示す上面図である。図5はスリット入りパイプ部材の外観図、図6はノッチ入りパイプ部材の外観図である。
本発明における基板は、黒鉛質金属複合体を基体とするものである。このものは、50〜90体積%の黒鉛粒子の多孔質体を銅、銅合金、アルミ、アルミ合金、マグネシウム、マグネシウム合金、真鍮、黄銅、シリコン、亜鉛、銀、ニッケル、マグネシウムなどからなる金属によって埋めた組織を有する。このような基体は、例えば次の工程で作製される。
純度99.7%以上のコークスなどの黒鉛粒子を用い、それらをピッチとともに混合し、押出し成形した成形体を2000℃以上の温度にて焼成する。その後、必要に応じ更にピッチを含浸し、2500℃以上の温度にて黒鉛化処理を行う。得られた黒鉛質材料(プリフォーム)に上記した銅、銅合金、アルミ、アルミ合金、マグネシウム、マグネシウム合金、真鍮、黄銅、シリコン、亜鉛、銀などを1種以上含む溶融金属を含浸してなるものである。含浸方法は、減圧鋳造法、加圧鋳造法、溶湯鍛造法などが挙げられるが、溶湯鍛造法であることが好ましい。含浸させる金属としては、上記したような可能な限り高熱伝導率を有する金属が好ましいが、使用される環境、特にそれらが曝される温度により決定される。また、含浸は融点より10℃以上高い温度及び10 MPa以上の圧力で行うことが必要とされる。曝される最高温度が500℃の場合、アルミやアルミ合金が好ましく、900℃の場合は、銅や銅合金、銀が好ましい。
次に、得られた黒鉛質金属複合体には熱処理を施すことが必要である。この熱処理は、(融点−10℃)以下であって、かつアルミやアルミ合金の場合200℃以上の温度、銅や銅合金の場合は300℃以上の温度において、それぞれ昇温速度30℃/分以下、冷却速度20℃/分以下の条件で行うものである。その後、所望するサイズに切削加工し、その周囲に、例えば無電解めっきにより、Ni-P、Ni-B、Cu、Alなどの均一な厚さの金属層を形成する。
その他に、黒鉛粒子と金属を粉末冶金法により複合化させる方法、黒鉛粒子を充填した中に金属を含浸させて複合体を作製する方法もある。
本発明は、このような黒鉛と金属の複合体(黒鉛質金属複合体)からなる基板に実施することが効果的である。
パイプ部材3の形状は特に制限されるものではないが、図3(b)に示されるように貫通孔2の内周側のみでもよく、さらに貫通孔の内周から連続的に鍔が形成されていてもよい。連続していない部分があると、その部分に応力が集中してしまい、クラックが発生しやすくなる。内周部の形状としては、例えば円状、多角形状のものであって、その中心部に貫通孔を有するものが挙げられる。
図6のパイプ部材3bは、一部にノッチ31が形成されている。このパイプ部材の高さは、スリット入りの場合と同様であるが、ノッチ入りの場合は、ノッチ31の幅は200μm以上、ノッチ深さはパイプ肉厚の0.5倍以上としている。200μm以下では、パイプの固定ができないからである。そして、ノッチ深さが0.5倍以上としたのはパイプの弾性変形が有効とならず、パイプの固定ができないことが分かったためである。
また、パイプ部材と基板の界面をろう材などを用い金属接合することにより、密着性が向上し、より放熱性を向上させることができるので好ましい。
2:貫通孔
3:パイプ部材
4:セラミック回路基板
3a:スリット入りパイプ部材
3b:ノッチ入りパイプ部材
30:スリット
31:ノッチ
Claims (10)
- 黒鉛と金属の複合体からなる基板において、前記基板は両主面間を繋ぐ貫通孔を有しており、当該貫通孔の内周部にパイプ部材を嵌合してなることを特徴とする基板。
- 黒鉛と金属の複合体からなる基板において、前記基板は両主面間を繋ぐ貫通孔を有しており、当該貫通孔の直径をDmm、前記放熱基板の厚さをTmm、前記放熱基板の側面から前記貫通孔までの最短距離をWmmとしたとき、D(2T−1)−2WT≦0の関係を満足することを特徴とする基板。
- 前記貫通孔にパイプ部材を嵌合してなることを特徴とする請求項2記載の基板。
- 前記パイプ部材の高さが貫通孔にパイプ部材を嵌合する前の基板の厚さの1.004〜1.04倍であり、パイプの肉厚が200μm以上であることを特徴とする請求項1又は3記載の基板。
- 前記パイプ部材は、スリットあるいはノッチを入れてなることを特徴とする請求項4記載の基板。
- 前記パイプ部材のスリット幅が100μm以上であることを特徴とする請求項5記載の基板。
- 前記パイプ部材のノッチ幅が200μm以上、ノッチ深さがパイプ肉厚の0.5倍以上であることを特徴とする請求項5記載の基板。
- 前記貫通孔に嵌合されたパイプ部材と基板との界面が金属接合してなることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の基板。
- 前記基板は、曲げ強さが100MPa以下、ヤング率50GPa以下で、且つ熱伝導率が150W/mK以上、熱膨張率が15×10-6/K以下の多孔質黒鉛化押出成形体に金属が含浸した複合体であり、前記パイプ部材は、剛性率が10GPa以上、熱伝導率が10W/mK以上、熱膨張率が30×30-6/K以下(300Kにおいての物性値)の金属部材であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の基板。
- 前記パイプ部材は、ステンレス鋼、炭素鋼、高張力鋼、アルミニウム、銅、黄銅、マグネシウムまたはこれらの合金のうち1種であることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の基板。
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