JP2006237293A - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents

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Abstract

【課題】 比抵抗の上昇を抑制しつつ、耐電圧の向上を図ることができ、かつ、溶解性にも優れた電解コンデンサの駆動用電解液を提供する。
【解決手段】 エチレングリコールを主成分とする有機極性溶媒に、有機カルボン酸またはその塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩とを配合するとともに、以下の化学式で示される平均分子量200〜5000のジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体を0.5〜20.0wt%配合してアルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液とする。
【化1】
Figure 2006237293

【選択図】なし

Description

本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液(以下、電解液と称す)に関するものであり、特に電解液の耐電圧向上と、電解コンデンサの信頼性改善が可能な組成に関するものである。
従来、中高圧用アルミニウム電解コンデンサの電解液としては、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、安息香酸、高級二塩基酸、ホウ酸またはそのアンモニウム塩を配合し、さらに耐電圧向上を目的としてマンニトール、ソルビトール等の炭素数6程度の多価アルコール類、または、合成高分子であるポリエチレングリコールやポリビニルアルコールを添加したものが提案されている。(例えば、特許文献1〜3参照)
特公平7−48459号公報(第1−4頁) 特公平7−48460号公報(第1−3頁) 特公平7−63047号公報(第1−4頁)
しかしながら、マンニトール、ソルビトール等は、電解液の耐電圧を向上させるために多量の添加が必要であり、多量に添加すると比抵抗が上昇するという問題がある。
また、平均分子量が1000以下の比較的重合度の小さいポリエチレングリコールは、電解液に対する溶解性は高いが耐電圧向上の効果が小さい。一方、平均分子量が1000を超えるポリエチレングリコールは、耐電圧向上の効果は高いが、電解液に対する溶解性が低く、多量に添加できないという問題点がある。
また、ポリビニルアルコールも少量の添加で電解液の耐電圧向上を図れるが、電解液に対する溶解性が著しく低いため、長時間の加熱、撹拌を必要とし、作業性にも問題がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、比抵抗の上昇を抑制しつつ、耐電圧の向上を図ることができ、かつ、溶解性にも優れた電解コンデンサの駆動用電解液を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために各種検討した結果、ジメチルアミノエチルアクリレートとプロピレンの共重合体が、ポリエチレングリコールやポリビニルアルコールよりも、エチレングリコールに対する溶解性が高く、かつ、耐電圧の向上を図ることができることを見出し、その特性を電解液に適用することにより課題の解決を図ろうとするものである。
すなわち、本発明に係る電解コンデンサの駆動用電解液では、エチレングリコールを主成分とする有機極性溶媒に、少なくとも有機カルボン酸またはその塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩と、以下の化学式で示されるジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体とを配合したことを特徴とする。
Figure 2006237293
本発明において、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の平均分子量は、200〜5000であることが好ましい。平均分子量が200未満では耐電圧向上の効果が少なく、5000を超えると電解液の調合に時間がかかるようになる。
本発明において、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の配合量は、電解液全体に対して0.5〜20.0wt%であることが好ましい。配合量が、0.5wt%未満では耐電圧向上の効果が少なく、20.0wt%を超えると耐電圧は向上するが、比抵抗が高くなる傾向にある。
本発明において、有機カルボン酸としては、安息香酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸、7−ビニルヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸等を例示することができる。
さらに、有機カルボン酸の塩としては、アンモニウム塩の他、メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミン等の一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩等を例示することができる。
また、有機極性溶媒としては、エチレングリコールの他、プロピレングリコール等のグリコール類、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等のラクトン類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等のアミド類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等のオキシド類、エーテル類、ケトン類、エステル類等を例示することができる。
本発明に係る電解液において、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体は、エチレングリコールを主成分とする有機極性溶媒に容易に溶解し、電解液の比抵抗の上昇を抑えながら耐電圧を向上させることができる。
また、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体は、高温でも分解しにくいので、長期信頼性に優れた電解コンデンサを提供することができる。
本発明に係る電解液は、エチレングリコールを主成分とする有機極性溶媒に、少なくとも、有機カルボン酸またはその塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩と、上記の化学式で示されるジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体とを配合したことを特徴とするものであり、後述するように、比抵抗の上昇を抑制しつつ、耐電圧の向上を図ることができ、かつ、溶解性にも優れている。ここで、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の平均分子量は、200〜5000であることが好ましく、その配合量は、電解液全体に対して0.5〜20.0wt%であることが好ましい。
本発明に係る電解液において、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体は、ジメチルアミノエチルアクリレートとプロピレンを付加重合して得られるポリマーであり、ジメチルアミノエチルアクリレートとプロピレンの共重合体の構造を持っていることにより、ジメチルアミノエチルアクリレート単独やプロピレン単独では得られなかった特性、例えば、電解液の比抵抗上昇を抑えながら耐電圧の向上を図ることができるという特性を有する。
また、平均分子量が1000を超えるポリエチレングリコールは、溶解性が低く、数パーセントの添加が限界であったが、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体は、アルカリでpH調節することにより、エチレングリコールに対する溶解性が向上し、平均分子量が3000程度であっても容易に電解液に溶解する。
また、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体は熱に対しても分解しにくく安定であり、電解コンデンサの高温での特性の安定化を図ることができる。
以下、実施例に基づき、本発明を適用した中高圧用アルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液をより具体的に説明する。まず、表1、2に示す組成で電解液を調合した後、30℃における電解液の比抵抗および85℃における電解液の火花発生電圧(耐電圧)を測定した。その測定結果を表1、2に示す。
なお、表1に示す各実施例で用いたジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の平均分子量は3000である。また、表1に示す各従来例で用いたポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコールの平均分子量は3000である。
Figure 2006237293
Figure 2006237293
表1、2より分かるように、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体を配合した実施例1〜15に係る電解液は、マンニトールを多量に配合した従来例2や、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを配合した従来例3、5に係る電解液と比較して、比抵抗の上昇を抑えながら、耐電圧を向上させていることが分かる。
また、ポリエチレングリコールやポリビニルアルコールの量を増やした従来例4、6に係る電解液では、溶質が完全に溶解するには至らなかった。
なお、実施例1に示すように、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の配合量は、0.5wt%未満では耐電圧向上の効果が少なく、実施例7に示すように、20.0wt%を超えると耐電圧は向上するが、比抵抗が高くなるため、低比抵抗用途に不向きとなる。よって、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の配合量は、0.5〜20.0wt%の範囲が好ましい。
また、実施例4の電解液組成をベースにして、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の平均分子量と電解液の耐電圧との関係を検討し、図1の結果を得た。
図1より分かるように、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の平均分子量が200未満では耐電圧向上の効果が少ないが、200以上で耐電圧向上の効果が得られることが分かる。但し、平均分子量が5000を超えるとジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の粘度が高くなるため、電解液の調合に時間がかかるようになる。よって、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の平均分子量は、200〜5000の範囲が好ましい。
なお、本発明による電解液に、火花発生電圧安定化のために、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコールや、リン酸またはその塩等の無機酸類を配合してもよい。
また、本発明による電解液が含有する水分量は、低いほど好ましいが、8.0wt%以下が好ましい。なお、電解液のpHは、必要に応じアンモニア水等のpH調整剤でpH4〜8、好ましくはpH5〜7に調整することが好ましい。
本発明の電解液において、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の平均分子量と電解液の耐電圧との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. エチレングリコールを主成分とする有機極性溶媒に、少なくとも、有機カルボン酸またはその塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩と、以下の化学式で示されるジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体とを配合したことを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
    Figure 2006237293
  2. 請求項1において、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の平均分子量が、200〜5000であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
  3. 請求項1または請求項2において、ジメチルアミノエチルアクリレート−プロピレン共重合体の配合量が、電解液全体に対して0.5〜20.0wt%であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
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