JP2006236630A - 固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム - Google Patents

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Abstract

【課題】水酸基を有する有機高分子を含む有機化合物から成る複合化合物を簡単なプロセスを用いて補強することによって、薄膜化による機械的強度の低下がなく、湿潤状態においても面積変化が少なくて安価でかつ高性能な固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システムを提供することを目的とする。
【解決手段】水酸基を有する有機高分子を含む有機化合物と無機化合物及び水から成る複合化合物を多孔性基材に含浸することにより、複合化合物が多孔性基材に固定された固体電解質を基本手段とする。複合化合物は水酸基を有する有機高分子を含む有機化合物の共存する原料溶液中で、無機化合物塩を酸又はアルカリによって中和し、溶媒を除去することによって作成する。
【選択図】なし

Description

本発明は燃料電池等に適用可能なプロトン(水素イオン)高伝導性固体電解質あるいは水酸化物イオン高伝導性固体電解質と、該高イオン伝導性固体電解質を使用した燃料電池その他の電気化学システムに関するものである。
従来からプロトン伝導性固体電解質を用いた電気化学システムとして、燃料電池、除湿機あるいは電気分解型水素生成装置などの電解装置が実用化されており、特に常温作動型プロトン伝導性固体電解質の用途は多岐に亘っている。例えば固体高分子型燃料電池は、下記の(1)式に示したように負極に供給される水素の電気化学的酸化反応、(2)式に示したように正極に供給される酸素の電気化学的還元反応及びその間の電解質中のプロトン移動からなる反応によって電流が流れ、電気エネルギーが取り出される。
→ 2H+2e …………………………(1)
1/2O+ 2H+2e → HO ………………(2)
負極に供給される燃料がメタノールである直接メタノール型燃料電池や、水素,メタノール以外のものを燃料として用いる燃料電池もあるが、この場合でも燃料が負極で電気化学的に酸化されてプロトンを放出する反応は同様に行われており、プロトン伝導性固体電解質を利用して作動させることができる。
電解装置としては例えば電気分解型水素生成装置が実用化されている。この電気分解型水素生成装置は、燃料電池における前記(1)式と(2)式の反応とは逆の反応で水素を生成するものであって、水と電力だけでオンサイトに純度の高い水素が得られるので、水素ボンベが不要になるという利点がある。又、固体電解質の利用によって電解質を含まない真水を導入するだけで容易に電気分解を行うことができる。製紙業の分野においても同様なシステムによって漂白用の過酸化水素を下記の(3)式を用いた電解法によりオンサイトに製造する試みがなされている(非特許文献1参照)。
+ HO+2e → HO + OH ……………(3)
除湿機は燃料電池や水素生成装置と同様にプロトン伝導性固体電解質を正負両極で挟む構造であり、正負両極間に電圧を印加すると、正極では下記の(4)式の反応によって水が酸素とプロトンに分解され、固体電解質を通って負極に移動したプロトンが(5)式の反応によって再び空気中の酸素と結合して水に戻り、これらの反応の結果として正極側から負極側に水が移動したことによって正極側で除湿される。
O → 1/2O+2H+2e …………………(4)
1/2O+ 2H+2e → HO …………………(5)
電気分解型水素生成装置と同様な動作原理によって水を分解して除湿することも可能であり、水分蒸発冷風機と組み合わせた空調機も提案されている(非特許文献2参照)。
また、各種センサ、エレクトロクロミックデバイスなども本質的には上記と同様な動作原理に基づくシステムであり、正極,負極の異なる2種の酸化還元対間の電解質中をプロトンが移動することによって作動するので、プロトン伝導性固体電解質を用いることができる。現在ではこれらプロトン伝導性固体電解質を用いたシステムの実証研究も行われている。
上記により実用化されているシステムは何れも固体電解質としてナフィオン膜(Nafion)に代表されるパーフルオロスルホン酸系イオン交換膜が用いられている。また、各種センサなども本質的には上記と同様な動作原理に基づくシステムであり、正極、負極の異なる2種の酸化還元対間の電解質中をプロトンが移動することによって作動するので、プロトン伝導性固体電解質を用いることができる。現在ではこれらプロトン伝導性固体電解質を用いたシステムの実証研究も行われている。
水素センサは、例えば上記(4)式,(5)式の反応において水素が導入された場合の水素濃度による電極電位の変化を利用することができる。更に電極電位の変化あるいはイオン伝導度の変化を利用して湿度センサに応用することも可能である。
エレクトロクロミックデバイスは、例えば負極にWO等を用いて電場をかけると下記の(6)式の反応によって発色することを利用しており、表示デバイスや遮光ガラスへの用途が考えられている。このシステムも負極に対するプロトンの授受によって動作し、プロトン伝導性固体電解質が利用できる。
WO+xH+xe → HxWO(発色) ………………(6)
その外にも原理的にプロトン伝導性固体電解質を利用して作動する電気化学システムとして、一次電池,二次電池,光スイッチ,電解水製造装置等が挙げられる。二次電池の例としてのニッケル水素電池は、負極に水素吸蔵合金、正極に水酸化ニッケル、電解液としてアルカリ電解液を用いており、下記の(7)式,(8)式に示したように充放電時に負極ではプロトンの電気化学的酸化還元と水素吸蔵合金への水素の吸蔵が起こる。
〔充電〕 HO + e → H(吸蔵)+ OH …………(7)
〔放電〕 H(吸蔵)+ OH → HO + e …………(8)
正極では下記の(9)式,(10)式に示したように水酸化ニッケルの電気化学的酸化還元反応が起きる。
〔充電〕 Ni(OH)+OH→ NiOOH+HO+e ……(9)
〔放電〕 NiOOH+HO+e→Ni(OH)+OH ……(10)
この電池の充放電反応は電解質中をプロトンもしくは水酸化物イオンが移動することによって成立し、原理的にはプロトン伝導性固体電解質を利用することができるが、従来は固体電解質ではないアルカリ電解液が用いられている。
光スイッチとしては例えばイットリウムを負極に使用したものが提案されている(非特許文献3を参照)。これは電場をかけることによってイットリウムが下記の(11)式のように水素化されて光を透過するので、光の透過と不透過を電場により切り替えることができる。このシステムも原理的にはプロトン伝導性固体電解質を利用することができるが、従来は通常アルカリ電解液が用いられている。
Y+3/2HO+3e → YH+3OH ……………(11)
電解水は電解反応を行った水であり、還元側、酸化側で効能が異なるが、健康に良い作用,殺菌作用,洗浄作用,農作物の生育を促進する作用があり、飲料水,食品用水,洗浄水,農業用水などの様々な用途がある。電解反応は水が電解質を含むことで促進されるが、水に電解質を溶解させると、使用の際その電解質を除去する必要が生じる場合がある。固体電解質を用いた場合には電解質除去の手間が必要なくなる。
従来から以上の電気化学システムに使用されている常温作動型プロトン伝導性固体電解質は、多くの場合ナフィオン膜(Nafion)に代表されるパーフルオロスルホン酸系高分子のイオン交換膜である。しかしながらパーフルオロスルホン酸系の電解質は、主として製造工程の複雑さに起因して高価格であるという問題がある。これらの電解質の量産効果によってある程度の低価格化が期待されるものの限界があり、安価な代替材の出現が希求されているのが現状である。
例えば、燃料電池の場合、電解質の厚さを薄くすることは、電解質の電気抵抗を低下させ、燃料電池の出力密度の向上につながる。しかし、固体電解質の厚さを単に薄くしただけでは、機械的強度が低下し、電解質をガス拡散電極と接合させる加工性及び取り扱い性が難しくなるという問題がある。また、燃料電池に組み込んで発電する際に導入される水素や空気による外力に耐えられず、変形、破損などを起こすという問題もある。
更に固体電解質が乾燥状態と湿潤状態との間での面積変化率が大きいと、燃料電池の起動時に固体電解質と電極の接着部分が剥がれてしまうという問題がある。また、湿潤時に吸水による過剰な膨張(膨潤)が起こると、機械的強度が極端に低下するという問題もある。これら薄膜化による機械的強度の低下や面積変化の問題は燃料電池のみならず、スチームポンプ,除湿機,空調機器,エレクトロクロミックデバイス,電解装置,電気分解型水素生成装置,電解過酸化水素製造装置,電解水製造装置,湿度センサ,水素センサ,一次電池,二次電池,光スイッチシステムあるいは多価金属を用いた新たな電池システムにおいても当てはまる。特にメタノール直接型燃料電池の場合、固体電解質が吸水により膨潤すればするほどメタノールも電解質を透過してしまう燃料クロスオーバーの問題が発生する。
このような問題を解決するために、最近では多孔性基材を補強剤として使用し膜厚を薄くしても、機械的強度に優れたパーフルオロスルホン酸系の電解質が提案されている(特許文献1を参照)。また、パーフルオロスルホン酸系の電解質とは別に、細孔フィリング型と呼ばれる電解質も提案されている(特許文献2を参照)。これは多孔性基材の細孔にプロトン伝導性を有するポリマーを充填した電解質で、具体例としては先ずプラズマ,紫外線,電子線等で多孔性基材の細孔表面を励起させて反応開始点を生成させ、次に開始点にモノマーを接触させることによりポリマーを得る方法がある(プラズマグラフト重合)。
ところで上記の電解質に代わる安価な高イオン伝導性の電解質材料として水酸基を有する有機高分子と各種無機化合物との複合化合物が提案されている。これは例えばポリビニルアルコールと珪酸化合物(特許文献3を参照)、ポリビニルアルコールとタングステン酸化合物(特許文献4を参照)、ポリビニルアルコールとモリブデン酸化合物(特許文献4を参照)、ポリビニルアルコールとスズ酸化合物(特許文献5を参照)、ポリビニルアルコールとジルコン酸化合物(特許文献6,7を参照)のミクロレベルでの複合化合物を基本としており、他成分としてリン,ホウ素,アルミニウム,チタン,カルシウム,ストロンチウム,バリウム化合物の少なくとも一種類が添加されているものである。これらはポリビニルアルコールの共存する溶液中で無機化合物の原料塩を中和するという簡単な工程で製造可能であり、低コストである。ポリビニルアルコールの側は無機化合物との複合化によって耐水性、強度とともにプロトン伝導性が付与され、無機化合物の側はポリビニルアルコールとの複合化によって柔軟性が付与されるため、結果として高性能な固体電解質が製造される。そして、これらの材料はアルデヒドで処理し、ポリビニルアルコール部の水酸基をアセタール化することによって吸水による過剰な膨潤を抑え、湿潤状態においても強度低下などの問題が起こらないようにすることができる(特許文献8)。
特開2003−297394号公報 特開2003−263998号公報 特開2003−007133号公報 特願2003−138084号 特願2002−4151号 特願2002−35832号 特願2002−310093号 特願2003−86422号 電気化学,69,No3,154−159(2001) 平成12年電気学会全国大会講演論文集,P3373(2000) J.Electrochem.Soc.,Vol.143,No.10,3348−3353(1 996)
上記の従来技術のうち、多孔性基材を補強材として使用したパーフルオロスルホン酸系の電解質は、パーフルオロスルホン酸系の電解質が、製造工程の複雑さに起因して高価格という問題がある。電解質の量産効果によってある程度の低価格化が期待されるものの限界があり、安価な代替材の出現が求められているのが現状である。
細孔フィリング型電解質の場合、充填されたポリマーの重合のためにプラズマグラフト重合法を用いるため、製造装置の大型化による高価格化をもたらす難点がある。また、プラズマグラフト重合では、反応開始点を作るプラズマが多孔性基材の細孔内部まで照射されにくいため、反応がうまく進まずポリマーの未充填部分や欠落部分の発生が生じやすいという課題がある。
上記ポリビニルアルコールと無機化合物との複合化合物から成る固体電解質をアルデヒドで処理した電解質は、上記2つの電解質と異なり、簡単なプロセスのため大きな製造装置を必要とせず、低コストであるという利点があるが、アルデヒド処理は湿潤状態において強度を向上させる効果が小さい。そのため薄膜にした場合にアルデヒド処理では強度が不十分になるという問題が生じる。また、反応を制御するのが難しいため、処理の度合を常時最適に保つための制御が困難であるという問題もある。
そこで本発明は上記従来から提供されている珪酸化合物,タングステン酸化合物,モリブデン酸化合物,スズ酸化合物,ジルコン酸化合物などの無機化合物と、ポリビニルアルコールなど水酸基を有する有機高分子を含む有機化合物から成る複合化合物をアルデヒド処理よりも簡単なプロセスを用いて補強することによって、薄膜化による機械的強度の低下がない上、湿潤状態においても面積変化が少なく、安価でかつ高性能な固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システムを提供することを目的とするものである。
本発明は上記目的を達成するために、水酸基を有する有機高分子を含む有機化合物と無機化合物及び水から成る複合化合物を多孔性基材に含浸することにより、複合化合物が多孔性基材に固定された固体電解質を基本手段とする。複合化合物は水酸基を有する有機高分子を含む有機化合物の共存する原料溶液中で、無機化合物塩を酸又はアルカリによって中和し、溶媒を除去することによって作成される。
多孔性基材としては不織布あるいは多孔性フィルムを使用することができる。多孔性基材は親水性を向上させる処理を施すことが好ましい。水酸基を有する有機高分子にはポリビニルアルコールを用いる。無機化合物塩には珪酸,タングステン酸,モリブデン酸,スズ酸のうち少なくとも一種類の金属塩か、ハロゲン化ジルコニウムあるいはオキシハロゲン化ジルコニウムを用いる。
酸又はアルカリによって中和した複合化合物の原料溶液を多孔性基材に真空含浸する処理を施すことで好ましい結果が得られる。真空含浸工程後、複合化合物を多孔性基材に固定するために、100℃以上に加熱する処理を施す。
本発明によれば、水酸基を有する有機高分子を含む有機化合物と無機化合物及び水から成る複合化合物を多孔性基材に含浸することにより、複合化合物が多孔性基材に固定された固体電解質を基本手段とし、複合化合物は水酸基を有する有機高分子を含む有機化合物の共存する原料溶液中で、無機化合物塩を酸又はアルカリによって中和し、溶媒を除去するという簡単なプロセスで複合化合物を含む固体電解質の補強を行うことができる。多孔性基材を用いて該固体電解質を補強することにより、薄膜化による機械的強度の低下がない上、湿潤状態においても面積変化が少なく、安価でかつ高性能なイオン伝導性固体電解質と、該固体電解質を使用した電気化学システムを提供することができる。
本発明により得られた固体電解質は、燃料電池,スチームポンプ,除湿機,空調機器,エレクトロクロミックデバイス,電解装置,電気分解型水素生成装置,電解過酸化水素製造装置,電解水製造装置,湿度センサ,水素センサ,一次電池,二次電池,光スイッチシステムあるいは多価金属を用いた新たな電池システムに適用可能である。
以下本発明にかかる固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システムの具体的な実施形態を説明する。本発明は水酸基を有する有機高分子を含む有機化合物と無機化合物及び水から成る複合化合物を多孔性基材に含浸することにより、複合化合物が多孔性基材に固定された固体電解質を基本手段とし、複合化合物は水酸基を有する有機高分子を含む有機化合物の共存する原料溶液中で、無機化合物塩を酸又はアルカリによって中和し、溶媒を除去するというプロセスで複合化合物を含む固体電解質の補強を行うことが特徴となっている。
以下に本発明の実施例に基づいて固体電解質の作成方法を説明する。尚、本願発明はこれら実施例の記載内容に限定されるものではない。
複合化合物を作成するため、先ず平均重合度が3100〜3900でケン化度が86〜90%のポリビニルアルコールの10重量%水溶液100ccに、タングステン酸ナトリウム二水和物(NaWO・2HO)7.5重量%とリン酸三ナトリウム(NaPO・12HO)3重量%の混合水溶液23cc及び珪酸ナトリウム3重量%水溶液24ccを加えて原料水溶液とし、この原料水溶液を撹拌しながら2.4M濃度の塩酸12ccを滴下して中和し、粘稠な前駆体水溶液を作成した。この前駆体水溶液を密閉容器内に入れ、真空ポンプで減圧することにより脱泡処理した。
多孔性基材は、まずポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維(1.7dtex 長さ5mmカット)を水に分散させて得た抄紙原料を、円網抄紙機に供給して湿式抄紙し、厚さ80μm、単位面積当りの重量30/gm,空隙率60%のシートを作成した。次に親水性を持たせるためにコロナ放電処理を放電量300W・min/mの条件で行った。ここでいう空隙率とは、多孔性基材中の空間部分の体積比率である。
複合化合物を多孔性基材に固定するために、まず直径80mmに切り取った多孔性基材を直径85mmのシャーレに入れ、上記前駆体水溶液10ccを加えてから真空ポンプで減圧することにより脱泡、真空含浸処理をした。50℃で加熱しながら放置することによって水分を蒸発させた後、温度を100℃まで引き上げ、その状態を保って2時間の加熱処理を行った。生成した膜をシャーレから剥離し、その後70〜100℃の熱水で洗浄した後、乾燥した。
固体電解質膜の湿潤時の引張強度と面積変化率の測定は以下の方法により行った。
(1)湿潤時の引張強度
水を入れたビーカーに試料を漬け、1時間放置する。膨潤した試料をビーカーから取り出し、幅15mmにカットする。その後、電子式引張試験機を用い、ツカミの間隔30mm、毎分約200mmの速さで試験片を引張り、その引張強度を測定した。単位はN/15mmで表す。
(2)面積変化率
試料を縦40mm×横40mmに切り取り、試料の中央にマジックで縦方向と横方向に線を引き、その長さを測る(膨潤前)。ビーカーに試料を丸めて入れ、水を入れて浸す。1時間放置した後、試料をガラス板の上に広げ、マジックの線の長さを測る(膨潤後)。測定結果を以下の式で計算して面積変化率を求める。
面積変化率=縦膨潤後長さ×横膨潤後長さ/(縦膨潤前長さ×横膨潤前長さ)×100%
[比較例1]
実施例と同様の前駆体水溶液を作成し、直径85mmのシャーレに前駆体水溶液のみ20ccを加え、真空ポンプで減圧することにより脱泡処理をした。50℃で加熱しながら放置することによって水分を蒸発させた後、温度を100℃まで引き上げ、その状態を保って2時間の加熱処理を行った。生成した電解質膜をシャーレから剥離し、70〜100℃の熱水で洗浄した後、乾燥した。
[比較例2]
比較例1と同様の電解質膜を作成後、イソブチルアルデヒド1mlを加えた1.2M濃度の塩酸水溶液50mlに電解質膜を浸漬し、室温で1時間撹拌した。その後70〜100℃の熱水で洗浄した後、乾燥した。
評価方法
比較例1と2は、実施例と同様の評価方法で行った。その結果を表1に示す。
Figure 2006236630
上記表1によると、多孔性基材を補強剤とした固体電解質は、補強剤がない固体電解質やアルデヒド処理した固体電解質と比較して湿潤時の引張強度は明らかに強く、面積変化はほとんどないことが分かる。多孔性基材のみでの湿潤時の引張強度は40N/15mmのため、多孔性基材を補強剤とした固体電解質の湿潤時の引張強度は、多孔性基材の引張強度によりほぼ決まっているといえる。そのため、薄膜化による機械的強度の低下を防ぐには、厚さが薄く機械的強度に優れた多孔性基材を補強剤に使用するのが有効である。好ましくは多孔性基材の湿潤時の引張強度が5N/15mm以上あるのがよい。
多孔性基材を使用すると、プロトン伝導性に寄与しない体積分ができるため、その分、プロトン伝導性が低くなると予想される。そのため多孔性基材の空隙を大きくすることによってプロトン伝導性と膨潤抑制効果を両立させることができると考えられる。多孔性基材の空隙率は30%〜90%であることが好ましい。空隙率が90%を越えると補強剤を使用しても固体電解質の機械的強度が不十分となることがある。多孔性基材に不織布を使う場合、強度との兼ね合いもあるが繊維径は10μm以下の細い方が電解質の電気抵抗を小さくすることができる。
多孔性基材は単に固体電解質の骨格をなすもので、原理的には貫通孔を有し複合化合物を含浸できるものであればどのようなものでも使用可能であり、例えば不織布とか多孔性フィルムなどを使用することができる。
多孔性基材の材質は、水,メタノールに対して溶解しないもの及び湿潤状態においても面積変化がほとんどないものが好ましい。例えばポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステル類,ポリアミド類,ポリイミド類,フッ素樹脂などの有機高分子材料あるいはガラス,多孔性シリカなどの無機材料を使用することができる。
多孔性基材に水溶液系の複合化合物液を含浸させる方法として、単に多孔性基材を複合化合物液中に浸漬させる方法、または多孔性基材の片面あるいは両面に複合化合物液を塗工していく方法がある。含浸後は多孔性基材と複合化合物の密着性を上げるために真空脱泡やプレスすることが好ましい。
多孔性基材に複合化合物液を含浸させるため、多孔性基材は親水性のあるものが好ましい。親水性の低い多孔性基材を使用する場合には、親水化を向上させる処理を行うと複合化合物液を簡単に含浸させることができる。親水化処理には、スルホン酸基,カルボン酸基,水酸基などの親水基を付与する処理、コロナ放電処理,界面活性剤処理などが考えられる。親水基を付与する処理として、例えば発煙硫酸や熱濃硫酸中に浸漬する方法、フッ素ガスと酸素,亜硫酸ガスなどで処理する方法などがある。
本発明では多孔性基材に複合化合物液を含浸させた後、100℃以上に加熱するという簡単な処理を施すだけで、複合化合物を含む固体電解質の補強ができる。また、多孔性基材に親水性を付与するだけで複合化合物との接着性を上げることができる。したがって、細孔フィリング型電解質のようにプラズマグラフト重合を用いる複雑なプロセスではないため、大型の製造装置を必要としない。
本発明にかかる固体電解質は、上記従来のポリビニルアルコールと無機化合物との複合化合物から成る固体電解質と同様の機能を持つものであり、同様の用途に使用できることから、燃料電池,スチームポンプ,除湿機,空調機器,エレクトロクロミックデバイス,電解装置,電気分解型水素生成装置,電解過酸化水素製造装置,電解水製造装置,湿度センサ,水素センサ,一次電池,二次電池,光スイッチシステムあるいは多価金属を用いた新たな電池システムに適用することができる。
本発明により得られた固体電解質は安価な原料を使用しており、簡単な製造プロセスを基本としているため、既存のパーフルオロスルホン酸系電解質よりも大幅に安価であり、更に本発明にかかる固体電解質は、従来のポリビニルアルコールと無機化合物との複合化合物から成る固体電解質と同様の機能を持つものであり、同様の用途に使用できることから、燃料電池,スチームポンプ,除湿機,空調機器,エレクトロクロミックデバイス,電解装置,電気分解型水素生成装置,電解過酸化水素製造装置,電解水製造装置,湿度センサ,水素センサ、一次電池,二次電池,光スイッチシステム等の電気化学システムあるいは多価金属を用いた新たな電池システムに適用することができる。

Claims (10)

  1. 水酸基を有する有機高分子を含む有機化合物と無機化合物及び水から成る複合化合物を多孔性基材に含浸することにより、複合化合物が多孔性基材に固定されていることを特徴とする固体電解質。
  2. 複合化合物は水酸基を有する有機高分子を含む有機化合物の共存する原料溶液中で、無機化合物塩を酸又はアルカリによって中和し、溶媒を除去することによって作成される請求項1に記載の固体電解質。
  3. 多孔性基材が不織布あるいは多孔性フィルムである請求項1又は2に記載の固体電解質。
  4. 多孔性基材の親水性を向上させる処理を施す請求項1又は2に記載の固体電解質。
  5. 水酸基を有する有機高分子がポリビニルアルコールである請求項1又は2に記載の固体電解質。
  6. 無機化合物塩が珪酸,タングステン酸,モリブデン酸,スズ酸のうち少なくとも一種類の金属塩か、ハロゲン化ジルコニウムあるいはオキシハロゲン化ジルコニウムである請求項2に記載の固体電解質。
  7. 酸又はアルカリによって中和した複合化合物の原料溶液を多孔性基材に真空含浸する処理を施す請求項1又は2に記載の固体電解質。
  8. 多孔性基材の真空含浸工程後に、100℃以上に加熱する処理を施す請求項7に記載の固体電解質。
  9. 請求項1〜8に記載の固体電解質を使用した電気化学システム。
  10. 上記電気化学システムが、燃料電池,スチームポンプ,除湿機,空調機器,エレクトロクロミックデバイス,電解装置,電気分解型水素生成装置,電解過酸化水素製造装置,電解水製造装置,湿度センサ,水素センサ,一次電池,二次電池,光スイッチシステムあるいは多価金属を用いた新たな電池システムである請求項9に記載の固体電解質を使用した電気化学システム。
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