JP2005339903A - 固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム - Google Patents
固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005339903A JP2005339903A JP2004155176A JP2004155176A JP2005339903A JP 2005339903 A JP2005339903 A JP 2005339903A JP 2004155176 A JP2004155176 A JP 2004155176A JP 2004155176 A JP2004155176 A JP 2004155176A JP 2005339903 A JP2005339903 A JP 2005339903A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- solid electrolyte
- compound
- metal salt
- salt
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
Landscapes
- Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
- Primary Cells (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
- Fuel Cell (AREA)
Abstract
【課題】有機無機複合化合物を利用して、低価格であるとともにアルカリ型においても高いイオン伝導性を示す高性能な固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システムを提供することを目的とする。
【解決手段】珪酸化合物又は錫酸化合物のうち少なくとも一種類と、ポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩からなる水を内包した複合化合物を含有している固体電解質を基本としており、珪酸または錫酸のアルカリ金属塩とポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩が共存した水溶液を酸によって中和し、溶媒としての水を除去した後、不要塩を除去して得られる珪酸化合物又は錫酸化合物とポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩からなる水を内包した複合化合物である固体電解質と、この固体電解質を用いた各種の電気化学システムを提供する。
【選択図】なし
【解決手段】珪酸化合物又は錫酸化合物のうち少なくとも一種類と、ポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩からなる水を内包した複合化合物を含有している固体電解質を基本としており、珪酸または錫酸のアルカリ金属塩とポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩が共存した水溶液を酸によって中和し、溶媒としての水を除去した後、不要塩を除去して得られる珪酸化合物又は錫酸化合物とポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩からなる水を内包した複合化合物である固体電解質と、この固体電解質を用いた各種の電気化学システムを提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は燃料電池等に適用可能なプロトン(水素イオン)高伝導性固体電解質あるいは水酸化物イオン高伝導性固体電解質と、該高イオン伝導性固体電解質を使用した燃料電池その他の電気化学システムに関するものである。
従来からプロトン伝導性固体電解質を用いた電気化学システムとして、燃料電池、除湿器あるいは電気分解型水素生成装置などの電解装置が実用化されており、特に常温作動型プロトン伝導性固体電解質の用途は多岐に亘っている。例えば固体高分子型燃料電池は、下記の(1)式に示したように負極に供給される水素の電気化学的酸化反応、(2)式に示したように正極に供給される酸素の電気化学的還元反応及びその間の電解質中のプロトン移動からなる反応によって電流が流れ、電気エネルギーが取り出される。
H2 → 2H++2e− …………………………(1)
1/2O2+ 2H++2e− → H2O ………………(2)
H2 → 2H++2e− …………………………(1)
1/2O2+ 2H++2e− → H2O ………………(2)
負極に供給される燃料がメタノールである直接メタノール型燃料電池や、水素,メタノール等の水素以外のものを燃料として用いる燃料電池もあるが、この場合でも燃料が負極で電気化学的に酸化されてプロトンを放出する反応は同様に行われており、プロトン伝導性固体電解質を利用して作動させることができる。
電解装置としては例えば電気分解型水素生成装置が実用化されている。この電気分解型水素生成装置は、燃料電池における前記(1)式と(2)式の反応とは逆の反応で水素を生成するものであって、水と電力だけでオンサイトに純度の高い水素が得られるので、水素ボンベが不要になるという利点がある。又、固体電解質の利用によって電解質を含まない真水を導入するだけで容易に電気分解を行うことができる。製紙業の分野においても同様なシステムによって漂白用の過酸化水素を下記の(3)式を用いた電解法によりオンサイトに製造する試みがなされている(非特許文献1参照)。
O2+ H2O+2e− → HO2 −+ OH− ……………(3)
O2+ H2O+2e− → HO2 −+ OH− ……………(3)
除湿器は燃料電池や水素生成装置と同様にプロトン伝導性固体電解質を正負両極で挟む構造であり、正負両極間に電圧を印加すると、正極では下記の(4)式の反応によって水が酸素とプロトンに分解され、固体電解質を通って負極に移動したプロトンが(5)式の反応によって再び空気中の酸素と結合して水に戻り、これらの反応の結果として正極側から負極側に水が移動したことによって正極側で除湿される。
H2O → 1/2O2+2H++2e− …………………(4)
1/2O2+ 2H++2e− → H2O …………………(5)
H2O → 1/2O2+2H++2e− …………………(4)
1/2O2+ 2H++2e− → H2O …………………(5)
電気分解型水素生成装置と同様な動作原理によって水を分解して除湿することも可能であり、水分蒸発冷風機と組み合わせた空調機も提案されている(非特許文献2参照)。
上記により実用化されているシステムは、何れも固体電解質としてナフィオン膜(Nafion)に代表されるパーフルオロスルホン酸系イオン交換膜が用いられている。また、各種センサ、エレクトロクロミックデバイスなども本質的には上記と同様な動作原理に基づくシステムであり、正極,負極の異なる2種の酸化還元対間の電解質中をプロトンが移動することによって作動するので、プロトン伝導性固体電解質を用いることができる。現在ではこれらプロトン伝導性固体電解質を用いたシステムの実証研究も行われている。
水素センサは、例えば上記(4)式,(5)式の反応において水素が導入された場合の水素濃度による電極電位の変化を利用することができる。更に電極電位の変化あるいはイオン伝導度の変化を利用して湿度センサに応用することも可能である。
エレクトロクロミックデバイスは、例えば負極にWO3等を用いて電場をかけると下記の(6)式の反応によって発色することを利用しており、表示デバイスや遮光ガラスへの用途が考えられている。このシステムも負極に対するプロトンの授受によって動作し、プロトン伝導性固体電解質が利用できる。
WO3+xH++xe− → HxWO3(発色)………………(6)
WO3+xH++xe− → HxWO3(発色)………………(6)
その外にも原理的にプロトン伝導性固体電解質を利用して作動する電気化学システムとして、一次電池,二次電池,光スイッチ,電解水製造装置等が挙げられる。二次電池の例としてのニッケル水素電池は、負極に水素吸蔵合金、正極に水酸化ニッケル、電解液としてアルカリ電解液を用いており、下記の(7)式,(8)式に示したように充放電時に負極ではプロトンの電気化学的酸化還元と水素吸蔵合金への水素の吸蔵が起こる。
〔充電〕 H2O + e− → H(吸蔵)+ OH− …………(7)
〔放電〕 H(吸蔵)+ OH− → H2O + e− …………(8)
〔充電〕 H2O + e− → H(吸蔵)+ OH− …………(7)
〔放電〕 H(吸蔵)+ OH− → H2O + e− …………(8)
正極では下記の(9)式,(10)式に示したように水酸化ニッケルの電気化学的酸化還元反応が起きる。
〔充電〕 Ni(OH)2+OH− → NiOOH+H2O+e− ……(9)
〔放電〕 NiOOH+H2O+e− →Ni(OH)2+OH− ……(10)
この電池の充放電反応は電解質中をプロトンもしくは水酸化物イオンが移動することによって成立し、原理的にはプロトン伝導性固体電解質を利用することができるが、従来は固体電解質ではないアルカリ電解液が用いられている。
〔充電〕 Ni(OH)2+OH− → NiOOH+H2O+e− ……(9)
〔放電〕 NiOOH+H2O+e− →Ni(OH)2+OH− ……(10)
この電池の充放電反応は電解質中をプロトンもしくは水酸化物イオンが移動することによって成立し、原理的にはプロトン伝導性固体電解質を利用することができるが、従来は固体電解質ではないアルカリ電解液が用いられている。
光スイッチとしては例えばイットリウムを負極に使用したものが提案されている(非特許文献3を参照)。これは電場をかけることによってイットリウムが下記の(11)式のように水素化されて光を透過するので、光の透過と不透過を電場により切り替えることができる。このシステムも原理的にはプロトン伝導性固体電解質を利用することができるが、従来は通常アルカリ電解液が用いられている。
Y+3/2H2O+3e → YH3+3OH ……………(11)
Y+3/2H2O+3e → YH3+3OH ……………(11)
電解水は電解反応を行った水であり、還元側、酸化側で効能が異なるが、健康に良い作用,殺菌作用,洗浄作用,農作物の生育を促進する作用があり、飲料水,食品用水,洗浄水,農業用水などの様々な用途がある。電解反応は水が電解質を含むことで促進されるが、水に電解質を溶解させると、使用の際その電解質を除去する必要が生じる場合がある。固体電解質を用いた場合には電解質除去の手間が必要なくなる。
従来から以上の電気化学システムに使用されている常温作動型プロトン伝導性固体電解質は、多くの場合ナフィオン膜(Nafion)に代表されるパーフルオロスルホン酸系高分子のイオン交換膜である。しかしながらパーフルオロスルホン酸系の電解質は、主として製造工程の複雑さに起因して高価格であるという問題がある。これらの電解質の量産効果によってある程度の低価格化が期待されるものの限界があり、安価な代替材の出現が希求されているのが現状である。
ところでパーフルオロスルホン酸系の電解質に代わる安価で高イオン伝導性の電解質材料として、ポリビニルアルコールと各種無機化合物との複合化合物が提案されている。これは例えばポリビニルアルコールと珪酸化合物(特許文献1を参照)、ポリビニルアルコールとタングステン酸化合物(特許文献2を参照)、ポリビニルアルコールとモリブデン酸化合物(特許文献2を参照)、ポリビニルアルコールと錫酸化合物(特許文献3を参照)、ポリビニルアルコールとジルコン酸化合物(特許文献4,5を参照)のミクロレベルでの複合化合物を基本としたものであり、他の成分としてリン,ホウ素,アルミニウム,チタン,カルシウム,ストロンチウム,バリウム化合物のうち少なくとも一種類が添加されている。これらは水溶液中にポリビニルアルコールの共存下で無機化合物の原料塩を中和するという簡単な工程で製造可能である。ポリビニルアルコールの側は無機化合物との複合化によって耐水性、強度とともにプロトン伝導性が付与され、無機化合物の側はポリビニルかアルコールとの複合化によって柔軟性が付与されるため、結果として高性能な固体電解質が製造される。
また、上記のうちポリビニルアルコールと珪酸化合物,錫酸化合物,ジルコン酸化合物との複合化合物は、パーフルオロスルホン酸系など従来の固体電解質とは異なり、アルカリ型においても高いイオン伝導性を示すものがあり、特にポリビニルアルコールとジルコン酸化合物との複合化合物においてカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩を含むものはアルカリ型できわめて高いイオン伝導性を示す(特許文献6を参照)。アルカリ型において高いイオン伝導性を示す場合、従来は適用が困難であった一次電池,二次電池,光スイッチ等にも使用することができる。更にアルカリ型固体電解質膜が開発されることによって実用化が容易となる二次電池,即ち二価以上の多価金属を負極に用いた高エネルギー密度電池もある。例えば負極に酸化亜鉛,正極にニッケル水素電池と同じ水酸化物ニッケルを用いたニッケル亜鉛電池を挙げることができる。ニッケル亜鉛電池は下記の(12)式,(13)式に示すように負極では充電時に酸化亜鉛が還元されて金属亜鉛となり、放電時には逆に亜鉛が電気化学的に酸化されて酸化亜鉛に戻る。
〔充電〕 ZnO + H2O +2e− → Zn + 2OH− …………(12)
〔放電〕 Zn + 2OH− → ZnO + H2O + 2e− …………(13)
〔充電〕 ZnO + H2O +2e− → Zn + 2OH− …………(12)
〔放電〕 Zn + 2OH− → ZnO + H2O + 2e− …………(13)
ニッケル亜鉛電池は亜鉛が二価であるため高い貯蔵エネルギーを持つが、酸化亜鉛の溶出やそれに伴う金属亜鉛,即ちデンドライトの生成と短絡の問題、あるいは自己放電の問題により実用化が難しいという課題がある。しかし固体電解質を用いることでこれらの課題を解決することができる。正極として空気極を用いた空気亜鉛電池においても、酸素の亜鉛極への拡散が抑制されるため、不使用時に空気の供給をカットしなくても自己放電の惧れがなく、充電可能な亜鉛空気電池も得られる。更に二価以上の金属は亜鉛以外にも銅,コバルト,鉄,マンガン,クロム,バナジウム,錫,モリブデン,ニオブ,タングステン,珪素,ホウ素,アルミニウム等多数存在するので、固体電解質の適用によってこれらの多価金属を用いた電池の実用化が可能となる。
電池以外の用途においてもアルカリ型であることによって電極その他の周辺材料として使用できる素材が必ずしも貴金属など耐酸性のものに限定されず、システム全体として低コスト化できるというメリットがある。
特開2003−007133号公報
特開2003−138084号公報
特開2003−208814号公報
特願2002−35832号
特願2002−310093号
特願2003−86422号
電気化学,69,No3,154−159(2001)
平成12年電気学会全国大会講演論文集,P3373(2000)
J.Electrochem.Soc.,Vol.143,No.10,3348−3353(1996)
上記ポリビニルアルコールと無機化合物との複合化合物のうち、特にポリビニルアルコールとジルコン酸化合物との複合化合物はアルカリ型において高いイオン伝導性を示し、カルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩を含ませることによってアルカリ型での伝導度を更に向上させることができる。しかしジルコニウムは高価であり、民生用の一次電池,二次電池など汎用性の高い用途に対しては原料が安価な材料であることが望まれる。他方でポリビニルアルコールと珪酸化合物,錫酸化合物との複合化合物はアルカリ型において比較的高いイオン伝導性を示すとともに安価であるが、ポリビニルアルコールとジルコン酸化合物との複合化合物と比較するとイオン伝導性が低く、特に一次,二次電池などのアルカリ型において高い伝導性が要求される用途に適合した場合は性能的に充分であるとは言えない。
そこで本発明は上記従来から提供されている固体電解質が有している課題を解決して、有機無機複合化合物を利用して低価格であるとともにアルカリ型においても高いイオン伝導性を示す高性能な固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システムを提供することを目的とするものである。
本発明は上記目的を達成するために、珪酸化合物又は錫酸化合物のうち少なくとも一種類と、ポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩からなる水を内包した複合化合物を含有している固体電解質を基本としており、珪酸または錫酸のアルカリ金属塩とポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩が共存した水溶液を酸によって中和し、溶媒としての水を除去した後、不要塩を除去して得られる珪酸化合物又は錫酸化合物とポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩からなる水を内包した複合化合物である固体電解質と、この固体電解質を用いた各種の電気化学システムを提供する。
珪酸化合物又は錫酸化合物のうち少なくとも一種類と、ポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩からなる水を内包した複合化合物は、アルミニウム,ホウ素,リン,チタン,タングステン,モリブデン,カルシウム,ストロンチウム,バリウム化合物のうち少なくとも一種類を含有している。また、珪酸,錫酸から選択された少なくとも一種類のアルカリ金属塩を含有する原料水溶液が、ホウ酸,リン酸,タングステン酸,モリブデン酸から選択された少なくとも一種類のアルカリ金属塩を含有するか、又は原料水溶液を中和する酸がアルミニウム塩,チタン塩,カルシウム塩,ストロンチウム塩,バリウム塩,ホウ酸の少なくとも一種類を含有し、固体電解質に含まれる複合化合物がアルミニウム,ホウ素,リン,タングステン,モリブデン,チタン,カルシウム,ストロンチウム,バリウム化合物の少なくとも一種類を含有している。
カルボキシル基を有する化合物としてポリアクリル酸が使用可能であり、ポリアクリル酸あるいはその金属塩のカルボキシル基部がすべて−COOHの形である場合の添加物重量のポリビニルアルコール重量に対する比が0.02以上、0.2以下である。また、複合化合物はアルカリ溶液中に浸漬処理する。
電気化学システムとして、燃料電池,スチームポンプ,除湿機,空調機器,エレクトロクロミックデバイス,電解装置,電気分解型水素生成装置,電解過酸化水素製造装置,電解水製造装置,湿度センサ,水素センサ,一次電池,二次電池,光スイッチシステムあるいは多価金属を用いた新たな電池システムに適用可能である。
本発明によれば、ポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩の共存する水溶液中で珪酸または錫酸のアルカリ金属塩の酸による中和反応を行い、溶媒としての水を除去した後、不要塩を除去して複合化合物を作成することにより、低価格で、かつ、アルカリ型においても高いイオン伝導度を示す固体電解質と、該固体電解質を使用した電気化学システムを提供することができる。
特に珪酸塩または錫酸塩水溶液の中和反応だけならば、単に珪酸または錫酸の縮重合反応が起きるだけであるが、ポリビニルアルコールが共存することによってポリビニルアルコールと珪酸または錫酸化合物とのミクロレベルの絡み合いによる複合化がなされ、この縮重合反応が加熱によって促進されて、強固で柔軟性の高い複合化合物が得られる。しかも単独のポリビニルアルコールは熱水に溶解するにも関わらず複合化合物は珪酸化合物又は錫酸化合物との強固な絡み合いにより熱水に溶解せず、高温湿潤環境下でも安定な物性を保つことが可能であり、更にポリビニルアルコールと珪酸化合物及び錫酸化合物はともに高親水性であるため、複合化合物は耐水性であるにも関わらず多量の水分を吸収することができて高いイオン伝導性を付与することができる。よって珪酸化合物又は錫酸化合物とポリビニルアルコールとの複合化合物に内包された水がプロトンあるいは水酸化物イオンの高速拡散の媒体となる。更にカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩が加わることによって特にアルカリ型でのイオン伝導性を大幅に増大させることができる。
更に珪酸または錫酸のアルカリ金属塩を含む原料水溶液に、ホウ酸,リン酸,タングステン酸,モリブデン酸のアルカリ金属を共存させておくか、あるいは原料水溶液を中和する酸の成分としてアルミニウム塩,チタン塩,カルシウム塩,ストロンチウム塩,バリウム塩,ホウ酸を含ませることにより、アルミニウム,ホウ素,リン,チタン,タングステン,モリブデン,カルシウム,ストロンチウム,バリウム化合物も容易に複合化させることができる。これら第3,第4の成分を複合化させることによって特性を改善することができる。
本発明にかかる固体電解質を用いた前記電気化学システムの低価格化に寄与し、更に電解質材料をアルカリ型にすることによって上記電気化学システムに用いる電極等の周辺部材の素材として利用して低価格化が可能である。
以下本発明にかかる固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システムの具体的な実施形態を説明する。本発明は水溶液中で製造されるポリビニルアルコールとカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩の共存下で珪酸又は錫酸のアルカリ金属塩及びその他のホウ酸,リン酸,タングステン酸,モリブデン酸などのアルカリ金属添加物を溶解した原料水溶液を、アルミニウム塩,チタン塩,カルシウム塩,ストロンチウム塩,バリウム塩,ホウ酸の少なくとも一種類を含有する酸によって中和し、溶媒としての水を除去した後、不要塩を除去することにより、珪酸化合物又は錫酸化合物及びアルミニウム,ホウ素,リン,タングステン,モリブデン,チタン,カルシウム,ストロンチウム,バリウム化合物の少なくとも一種類とポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩及び水からなる複合化合物を得て、固体電解質を作成したことを基本手段とし、この固体電解質を使用した電気化学システムを提供することが大きな特徴となっている。
以下に本発明の実施例に基づいて固体電解質の作成方法を説明する。尚、本願発明はこれら実施例の記載内容に限定されるものではない。
固体電解質膜を作成するため、先ず平均重合度が3100〜3900でケン化度が86〜90%のポリビニルアルコールの10重量%水溶液100ccに、珪酸ナトリウム水和物(水ガラス)2.6g,リン酸三ナトリウム(Na3PO4・12H2O)0.8gと所定量の平均分子量140,000のポリアクリル酸のナトリウム塩を溶解して原料水溶液とし、この原料水溶液を撹拌しながら2.4M濃度の塩酸をpHが1になるまで滴下して中和し、粘稠な前駆体水溶液を作成した。この前駆体水溶液を密閉容器内に入れ、真空ポンプで減圧することにより脱泡処理した。
そしてマイクロメータを用いて台座とのギャップを調節できるブレードが装着されたコーティング装置(R K Print Coat Instruments Ltd.製 Kコントロールコータ202)の平滑な台座の上にポリエステルフィルムを敷き、その上に脱泡処理した前駆体水溶液を流延した。この時台座は55℃〜65℃になるように制御しながら加熱した。
前駆体水溶液を台座の上に流延してすぐにギャップを0.6mmに調節したブレードを一定速度で前駆体水溶液上を掃引して一定の厚みにならした。そのまま55℃〜65℃で加熱しながら放置することによって水分を飛ばし、流動性がほぼ消失した段階で再びその上から重ねて前駆体水溶液を流延し、すぐに再びブレードを一定速度で前駆体水溶液上を掃引し、一定の厚みにならした。この操作を3回繰り返した後、台座の温度を105℃〜110℃まで引き上げ、その状態を保って1.5時間の加熱処理を行った。その後台座の上に生成した膜を剥離し、水洗後乾燥した。
このようにして作成した固体電解質膜はアルカリ型を促進するために室温下で0.1M濃度の水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬した。同様に0.5M濃度の珪酸ナトリウム,炭酸ナトリウム水溶液に浸漬する処理も行った。いずれの場合も浸漬処理後は乾燥して試料表面を拭き取った。
このようにして作成した試料は表1の試料No.1〜6であって、ポリアクリル酸量はカルボキシル基部が全て−COOHの形であるとみなした重量のポリビニルアルコール重量に対する重量比の形で表中に示した。No.1はポリアクリル酸を添加していない試料である。
作成した固体電解質試料膜のイオン伝導度の測定は以下の方法により行った。先ず試料膜を直径30mmの円形に切り抜き、直径28mmの2枚の白金円板と、該白金円板の外側に配置した真ちゅうの円板で挟み、更に絶縁されたクリップで挟み込んで固定する。真ちゅうの円板に取り付けたリード線にLCRメータを使って電圧10mVの交流電圧を周波数5MHzから50Hzまで変えながら印加し、電流と位相角の応答を測定した。イオン伝導度は一般的に行われている方法でCole−Coleプロットの実数軸との切片から求めた。尚、この測定は試料を高温湿槽の中に入れて最初温度60℃、相対湿度90%に制御しながら行った。イオン伝導度の測定結果は表1中に記載した。
表1から分かるように、ポリアクリル酸を含んでいない試料No.1は10−5S/cmのオーダーのイオン伝導度しか示さなかったが、ポリアクリル酸を含有させることでイオン伝導度は顕著に増大し、ポリアクリル酸を対ポリビニルアルコール重量比で0.02以上含有する場合には10−4S/cmのオーダーの高いイオン伝導度を示している。ポリアクリル酸は基本的にカルボキシル基あるいはその金属塩を持つ点でのみポリビニルアルコールと異なるもので、上記ポリアクリル酸の効果はカルボキシル基あるいはその金属塩に基づく効果であるといえる。従ってカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩であって、複合化合物中に定着させられるものであれば、ポリアクリル酸と同様な効果を得ることができる。
ポリアクリル酸の含有量は、対ポリビニルアルコール重量比を0.3まで増やしても高いイオン伝導度を維持することができる。対ポリビニルアルコール重量比を0.3まで増やすと製造時の熱水洗浄過程で膜の強度が低下したり、不均一性が増大する問題がある。そこでポリアクリル酸の含有量は対ポリビニルアルコール重量比で0.02〜0.2の間にすることが好ましい。
実施例1の珪酸化合物を錫酸化合物に代えた固体電解質膜を作成した。先ず平均重合度が3100〜3900でケン化度が86〜90%のポリビニルアルコールの10重量%水溶液100ccに、錫酸ナトリウム水和物(水ガラス)4.4g,リン酸三ナトリウム(Na3PO4・12H2O)0.8gと所定量の平均分子量140,000のポリアクリル酸のナトリウム塩を溶解して原料水溶液とし、この原料水溶液を撹拌しながら2.4M濃度の塩酸をpHが1になるまで滴下して中和し、粘稠な前駆体水溶液を作成した。以下実施例1と同様な方法で固体電解質膜を作成し、0.1M濃度の水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬してからイオン伝導度を測定した。測定結果は表1中の試料No.7,8に示している。
この結果から珪酸化合物を錫酸化合物に代えても実施例1と同様にポリアクリル酸の添加によって伝導度が向上し、10−4S/cmのオーダーの高いイオン伝導度を示すことが分かる。
上記ポリビニルアルコールは完全なものである必要がなく、本質的にポリビニルアルコールとして機能するものであれば使用することができる。例えばヒドロキシル基の一部が他の基で置換されているもの、一部分に他のポリマーが共重合されているものもポリビニルアルコールとして機能することができる。また、反応過程でポリビニルアルコールを経由すれば同様な効果が得られるので、ポリビニルアルコールの原料となるポリ酢酸ビニル等を出発原料とすることもできる。
上記カルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩の種類は特に限定されるものではないが、複合化合物中に固定されやすい点ではポリマーが好ましく、カルボキシル基の密度が大きい方が好ましいことからポリアクリル酸あるいはその金属塩、もしくはその類似物が適当である。その場合、例えばカルボキシル基の一部が他の基で置換されているもの、一部分に他のポリマーが共重合されているものもポリアクリル酸として機能させることができる。
本発明におけるポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩の機能が十分発現する範囲であれば、他のポリマー、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー、ポリエチレンオキシド,ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン,ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー、メチルセルロース等の糖鎖系ポリマー、ポリ酢酸ビニル系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、エポキシ樹脂系ポリマーあるいはその他の有機,無機添加物などを混合することもできる。
珪酸及び錫酸等のアルカリ金属塩は水に溶解するものであればどのような種類のものでもよく、酸素,金属イオンの比率,含水率もどのようなものでもよい。例えば珪酸塩の場合には水ガラスなどを使用することができる。
本発明における水溶液とは本質的に水が溶媒となっていることを意味しており、水分含有量よりも少量の他の溶媒成分が存在することもある。材料中にアルミニウム,ホウ素,リン,チタン,タングステン,モリブデン,カルシウム,ストロンチウム,バリウム化合物のうち少なくとも一種類を加えることができるが、これらの化合物の添加は原料水溶液中に珪酸又は錫酸のアルカリ金属塩とともにホウ酸,リン酸,タングステン酸,モリブデン酸のアルカリ金属塩を溶解させるか、中和する酸にアルミニウム塩,チタン塩,カルシウム塩,ストロンチウム塩,バリウム塩,ホウ酸を含ませることによって行われる。アルミニウム塩,チタン塩,カルシウム塩,ストロンチウム塩,バリウム塩は水に溶解するものであればどのような種類のものでもよく、陰イオンの種類、含水率もどのようなものでもよい。ホウ酸,リン酸,タングステン酸,モリブデン酸のアルカリ金属塩についてもアルカリ金属塩の種類とか組成、含水率などはどのようなものでも使用することができる。これらの塩は2種類以上添加することもできる。
中和に用いる酸の種類は、珪酸または錫酸のアルカリ金属塩の中和が行えるものであればどのようなものでもよく、塩酸,硫酸,リン酸等が使用可能である。尚、本発明においてはポリビニルアルコールとカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩及び珪酸または錫酸のアルカリ金属塩がいずれも溶解した状態で中和反応が行われればよいので、操作上は珪酸または錫酸のアルカリ金属塩を含む原料水溶液に酸を添加しても、逆に酸に原料水溶液を添加してもよく、その場合添加操作の前段階ではポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩は原料水溶液側にあっても酸側にあってもよい。
中和された水溶液は例えば加湿乾燥によって溶媒としての水を除去し、膜等の所望の形状に加工する。加工後の複合化合物は100℃以上の温度で加熱処理することによって珪酸または錫酸化合物自体の縮合反応やアルミニウム,ホウ素,リン,チタン,タングステン,モリブデン,カルシウム,ストロンチウム,バリウム化合物のうち少なくとも一種類とポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩との結合生成を促進し、強度,耐水性,高温安定性を増大することができる。加熱処理を行わない場合には高温水中で強度が低下する等の問題が生じる。加熱処理における加熱雰囲気は空気中でも不活性ガス雰囲気又は真空中でもよい。
加熱処理工程の前段あるいは後段で、複合化合物を水などの溶媒で洗浄することにより、該複合化合物中の不要塩を除去する。固体電解質を使用した電気化学システムは何れも電極において酸化還元反応が起きるが、中和過程で酸によって導入される陰イオンのうち固体電解質に固定されていない遊離のイオンが酸化還元反応に悪影響を及ぼすので、遊離のイオンである不要塩は洗浄により除去する必要がある。
アルカリ型のプロトンあるいは水酸化物イオン伝導性固体電解質を得る場合には、生成した複合化合物をアルカリ溶液に浸漬する処理を施すことによって完全にアルカリ型化され、イオン伝導度を高めることができる。アルカリ浸漬処理はアルカリ型化が行えるものであれば使用可能であるが、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウムあるいは珪酸,ホウ素,炭酸のアルカリ金属塩などの溶液が使用できる。これら珪酸,炭酸のアルカリ金属塩を用いることにより、大気中あるいは炭酸ガスの多い環境下で電解質材料を使用した場合でも二酸化炭素による中和が起こりにくいため、性能の劣化が少ないという利点がある。尚、アルカリ浸漬処理に用いるアルカリは必ずしも水溶液である必要はない。
本発明により得られた固体電解質は、アルカリ型において高いプロトンあるいは水酸化物イオン伝導性を示すが、アルカリ型にすることによって電極その他のシステム構成材料としてニッケルなど比較的安価な素材を用いることが可能となり、システム全体の低コスト化をはかることができる。
更にアルカリ型にすることによって一次電池,二次電池への応用が可能であり、従来のアルカリ電解液を本発明の電解質材料にすることで漏液をなくすことができる。従来の電池では多孔性セパレータに染みこませたアルカリ電解液が使用されているが、本発明にかかる電解質は電解液とセパレータとの両方の機能を兼ね備えているので、電解液が不要となるか、あるいは電解液の量を軽減することが可能となり、その分だけ電池のエネルギー密度を向上させることができる。また、多孔性セパレータとは異なって薄膜にしても短絡を防止することができるので、薄膜型で面積が大きい電極を使用することができる。更に本発明の電解質は緻密なフィルム状であるため、プロトンあるいは水酸化物以外の金属イオンなどの電解液中の溶解物の電極間拡散や析出物の電極間貫通に対する遮蔽性が高く、それらに起因するソフトショート,自己放電を抑制することができるというメリットがある。
本発明の固体電解質は安価な材料を使用しており、簡単な水溶液プロセスを基本としているため、既存のパーフルオロスルホン酸系電解質よりも大幅に安価に製造可能である。更に無機固体材料と異なって柔軟性があるため、膜加工がしやすいという利点を有している。
本発明にかかる固体電解質はプロトン伝導性であることにより、従来のパーフルオロスルホン酸系イオン交換膜と同様に燃料電池,スチームポンプ,除湿機,空調機器,エレクトロクロミックデバイス,電解装置,電気分解型水素生成装置,電解過酸化水素製造装置,電解水製造装置,湿度センサ,水素センサに応用することができる外、この固体電解質はアルカリ型において高い伝導性を示すため、一次電池,二次電池,光スイッチシステム等の電気化学システムあるいは多価金属を用いた新たな電池システムに適用することができる。
本発明にかかる固体電解質はポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩の共存する水溶液中で珪酸または錫酸のアルカリ金属塩及びその他の添加塩を中和するという簡単な工程を行うことによって作成可能であり、上記中和反応及びその後の加熱処理によって珪酸または錫酸及びその他の添加塩から生じる化合物の縮重合反応が起きてポリビニルアルコールやカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩との間でミクロレベルの絡み合いが発生し、複合化することが可能となる。ポリビニルアルコール,カルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩、珪酸化合物又は錫酸化合物及びその他の添加化合物は親水性であるため、複合化合物は多量の水を内包する能力を持ち、この内包水がプロトンあるいは水酸化物イオンの光速拡散の媒体となる。
本発明の化合物においては、有機成分であるポリビニルアルコールやカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩が無機成分である珪酸化合物又は錫酸化合物及びその他の添加化合物と水素結合あるいは脱水縮合によって強固に結びついており、親水性であるにも関わらず熱水中で溶解せず、高温湿潤環境下でも安定な物性を保つことができる。
この複合材料がカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩を含まなくても比較的高いイオン伝導性を得ることができる。しかし得られた固体電解質を一次,二次電池などのアルカリ型で高いイオン伝導度が要求される用途に適用した場合、その性能は充分でない。これに対してカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩を含有させた固体電解質はアルカリ型で解離水酸化物イオン濃度を増加させることで十分高いイオン伝導性を示す。しかもこの複合材料は珪酸化合物,錫酸化合物など安価な材料で構成されており、かつ、水溶液中での簡単な製法で製造可能であるため、民生用一次,二次電池などの低価格が要求される用途にも適用することができる。この複合材料は高い強度と柔軟性を有し、膜への加工も容易である。この複合材料は前記特許文献1〜6に開示された無機化合物とポリビニルアルコールとの複合化合物を基本としており、これらと同様にアルミニウム,ホウ素,リン,チタン,タングステン,モリブデン,カルシウム,ストロンチウム,バリウム化合物のうち少なくとも一種類と複合化することでも高いイオン伝導性を維持し、イオン伝導性を高めることができる。
以上説明したように本発明は珪酸化合物又は錫酸化合物のうち少なくとも一種類と、ポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩からなる水を内包した複合化合物を含有している固体電解質を基本としており、珪酸または錫酸のアルカリ金属塩とポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩が共存した水溶液を酸によって中和し、溶媒としての水を除去した後、不要塩を除去して得られる珪酸化合物又は錫酸化合物とポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩からなる水を内包した複合化合物である固体電解質と、この固体電解質を用いた各種の電気化学システムを提供することができる。電気化学システムとしては燃料電池,スチームポンプ,除湿機,空調機器,エレクトロクロミックデバイス,電解装置,電気分解型水素生成装置,電解過酸化水素製造装置,電解水製造装置,湿度センサ,水素センサ,一次電池,二次電池,光スイッチシステムあるいは多価金属を用いた新たな電池システムに利用することができる。
Claims (9)
- 珪酸化合物又は錫酸化合物のうち少なくとも一種類と、ポリビニルアルコール及びカルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩からなる水を内包した複合化合物を含有していることを特徴とする固体電解質。
- カルボキシル基を有する化合物あるいはその金属塩が、ポリアクリル酸あるいはその金属塩である請求項1に記載の固体電解質。
- 固体電解質に含まれる複合化合物が、ポリビニルアルコールの共存する水溶液中で、珪酸,錫酸から選択された少なくとも一種類のアルカリ金属塩を酸により中和し、溶媒としての水を除去することにより作成される請求項1又は2に記載の固体電解質。
- ポリアクリル酸あるいはその金属塩のカルボキシル基部がすべて−COOHの形である場合の添加物重量のポリビニルアルコール重量に対する比が0.02以上、0.2以下である請求項2又は3に記載の固体電解質。
- アルミニウム,ホウ素,リン,チタン,タングステン,モリブデン,カルシウム,ストロンチウム,バリウム化合物のうち少なくとも一種類を含有していることを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の固体電解質。
- 珪酸,錫酸から選択された少なくとも一種類のアルカリ金属塩を含有する原料水溶液が、ホウ酸,リン酸,タングステン酸,モリブデン酸から選択された少なくとも一種類のアルカリ金属塩を含有するか、又は原料水溶液を中和する酸がアルミニウム塩,チタン塩,カルシウム塩,ストロンチウム塩,バリウム塩,ホウ酸の少なくとも一種類を含有し、固体電解質に含まれる複合化合物がアルミニウム,ホウ素,リン,タングステン,モリブデン,チタン,カルシウム,ストロンチウム,バリウム化合物の少なくとも一種類を含む請求項3又は4に記載の固体電解質。
- 固体電解質をアルカリ溶液中に浸漬処理する請求項1,2,3,4,5又は6に記載の固体電解質。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の固体電解質を用いたことを特徴とする固体電解質を使用した電気化学システム。
- 上記電気化学システムが、燃料電池,スチームポンプ,除湿機,空調機器,エレクトロクロミックデバイス,電解装置,電気分解型水素生成装置,電解過酸化水素製造装置,電解水製造装置,湿度センサ,水素センサ,一次電池,二次電池,光スイッチシステムあるいは多価金属を用いた新たな電池システムである請求項8に記載の固体電解質を使用した電気化学システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004155176A JP2005339903A (ja) | 2004-05-25 | 2004-05-25 | 固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004155176A JP2005339903A (ja) | 2004-05-25 | 2004-05-25 | 固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005339903A true JP2005339903A (ja) | 2005-12-08 |
Family
ID=35493234
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004155176A Pending JP2005339903A (ja) | 2004-05-25 | 2004-05-25 | 固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005339903A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006134838A (ja) * | 2004-11-09 | 2006-05-25 | Nippon Kodoshi Corp | 電極及び該電極を接合した固体電解質膜並びに該固体電解質膜を使用した電気化学システム |
JP2010238525A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Nippon Kodoshi Corp | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム |
JP2020513672A (ja) * | 2016-11-23 | 2020-05-14 | ツィンファ ユニバーシティ | 固体燃料電池及び固体電解質の調製方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003007133A (ja) * | 2001-06-22 | 2003-01-10 | Nippon Kodoshi Corp | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム |
JP2003208814A (ja) * | 2002-01-11 | 2003-07-25 | Nippon Kodoshi Corp | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム |
JP2004146208A (ja) * | 2002-10-24 | 2004-05-20 | Nippon Kodoshi Corp | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム |
-
2004
- 2004-05-25 JP JP2004155176A patent/JP2005339903A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003007133A (ja) * | 2001-06-22 | 2003-01-10 | Nippon Kodoshi Corp | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム |
JP2003208814A (ja) * | 2002-01-11 | 2003-07-25 | Nippon Kodoshi Corp | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム |
JP2004146208A (ja) * | 2002-10-24 | 2004-05-20 | Nippon Kodoshi Corp | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006134838A (ja) * | 2004-11-09 | 2006-05-25 | Nippon Kodoshi Corp | 電極及び該電極を接合した固体電解質膜並びに該固体電解質膜を使用した電気化学システム |
JP2010238525A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Nippon Kodoshi Corp | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム |
JP2020513672A (ja) * | 2016-11-23 | 2020-05-14 | ツィンファ ユニバーシティ | 固体燃料電池及び固体電解質の調製方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4871225B2 (ja) | 高イオン伝導性固体電解質及びその製造方法並びに該固体電解質を使用した電気化学システム | |
JP3848882B2 (ja) | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム | |
JP4041422B2 (ja) | 固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム | |
CN1706885B (zh) | 固体电解质以及使用该固体电解质的电化学系统 | |
JP3889605B2 (ja) | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム | |
JP5095249B2 (ja) | 高イオン伝導性固体電解質の製造方法 | |
JP4832670B2 (ja) | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム | |
JP4081343B2 (ja) | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム | |
JP5367433B2 (ja) | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム | |
JP2004285458A (ja) | 固体電解質膜及び該固体電解質膜を使用した電気化学システム | |
JP3856699B2 (ja) | 高イオン伝導性固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム | |
JP2005339903A (ja) | 固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム | |
JP4516285B2 (ja) | 固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム | |
JP4516284B2 (ja) | 固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム | |
JP4744121B2 (ja) | 電極並びに該電極を接合した固体電解質膜及びその製造方法並びに該固体電解質膜を使用した電気化学システム | |
JP2006185594A (ja) | 固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070419 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20091009 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091019 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100405 |