以下、添付図面を参照して、本発明の出入管理システムを、IDカードを用いた出入管理システムに適用した一実施形態にて説明する。
次に、図1を参照して、集中管理装置100、カードリーダ200、電気錠300を配置した出入管理システムについて説明する。図1は、管理建物における配置を示す図である。
管理建物は、図1のように部屋や通路など複数のエリアA、B,C,D、Eに分割され、エリアとの境界にはエリア間の移動を規制すべくカードリーダ100と電気錠300が配置される。なお、エリアの分割や移動の規制は利用者の都合に合わせて任意に決定されるものであり、本実施の形態に限られるものではない。
具体的には、エリアAとエリアBとの間の扉に電気錠D1、エリアBとエリアCとの間の扉に電気錠D2、エリアCとエリアDとの間の扉に電気錠D3、エリアBとエリアDとの間の扉に電気錠D4、エリアDとエリアEとの間の扉に電気錠D5が設置されている。各電気錠300は、通常時は施錠状態に維持されており、カードリーダ100から解錠信号を受信した場合に所定時間だけ解錠状態となる。
そして、電気錠D1にはカードリーダCR11、電気錠D2にはカードリーダCR21とCR22、電気錠D3にはカードリーダCR31とCR32、電気錠D4にはカードリーダCR41とCR42、電気錠D5にはカードリーダCR51とCR52が接続されており、各カードリーダ100はLAN等のネットワークを介して集中管理装置200に接続されている。なお、エリアBからエリアAの移動は、カードリーダ100を使用することなく、設置されているサムターンにて電気錠D1を解錠し、移動することができる。
IDカードは、非接触ICカードであって、カードリーダ100との通信を行なう通信部と、IDカードごとに一意に識別可能なIDコードを記憶している記憶部と、各種制御を行なう制御部とから構成されている。かかるIDカードは、出入管理システムを正規に利用できる権限を持つ利用者に所持される。したがって、IDカードを所持している人は、正規の利用者であり、IDコードによって利用者を認識できるようにしている。なお、本実施の形態では、IDカードの所持にて利用者を認識しているが、指紋情報、虹彩情報、静脈情報などのバイオメトリックス情報によって利用者の認識をしても良い。
図2は、各機器の接続状況を示した図である。出入管理システムは、集中管理装置200と、複数のカードリーダ100(CR11、CR21、CR22・・・)をLAN接続し、更にカードリーダ100に電気錠300(D1、D2・・・)を接続した構成をとっている
集中管理装置200は、LANを介してカードリーダ100と接続されており、出入管理システム全体を管理する。カードリーダ100は、IDカードからIDコードを読み取り集中管理装置200に送信するとともに、集中管理装置200からの信号に基づいて電気錠300の制御などを実行する。
次に、図4を参照して、集中管理装置200について詳細に説明する。図4は、集中管理装置200の機能ブロックを示す図である。
集中管理装置200は、ワークステーションにて構成されている。具体的には、CPU等である制御部210と、ROM・RAM・ハードディスク等で構成され処理プログラム等を記憶する記憶部220と、LANを介してカードリーダCR11〜CR52と通信を行う通信部230と、キーボード・マウス等で構成される操作部240と、液晶ディスプレイあるいはCRT、LED、スピーカ等から構成される表示部250と、現在時刻を計時する時計部260と、各部に電源を供給する電源270から構成される。
記憶部220には、カードリーダ属性テーブル、権限テーブル、判定エリア情報、判定時間、処理プログラムなどが記憶されている。ここで、記憶部220に記憶されている内容について説明する。
カードリーダ属性テーブルは、LANに接続されている各カードリーダ100に固有のカードリーダアドレス、当該カードリーダ100が設置されているエリアである設置エリア、当該カードリーダ100を操作して通行許可が得られた場合に進入可能となる移動エリアを対応付けたテーブルであり、予め操作部240から管理者によって入力される。図5は、本発明の実施形態におけるカードリーダ属性テーブルの例を示している。図5の1番目のレコードでは、カードリーダアドレス「CR11」で表されるカードリーダCR11の設置エリアはA、移動エリアはBとなっている。これは、カードリーダCR11がエリアAに設置されており、カードリーダCR11を操作して通行許可が得られた場合にエリアBへ進入可能となることを意味している。以下、同様にして全てのカードリーダ100についての設定が予め行われている。
権限テーブルは、各カードリーダ100に固有のカードリーダアドレス、各カードに固有のIDコード、当該IDコードに対して通行を許可する通行可能時間帯を対応付けたテーブルであって、予め操作部240から管理者によって入力される。図6は、本発明の実施形態における権限テーブルの例を示している。図6のNo.1のレコードでは、カードリーダアドレス「CR11」とIDコード「ID001」の組の通行可能時間帯は09:00〜18:00と設定されている。これは、カードリーダCR11でIDコードID001を記憶するIDカードを操作した場合、09:00〜18:00の間は通行を許可するが、それ以外の時間帯は通行を許可しないことを意味している。以下、同様にして全てのカードリーダ100とIDカードの組についての設定が予め行われている。
なお、本実施の形態では、図6に示す時刻情報のみで通行可能時間帯を設定しているが、これに限られるものではなく日、曜日、スケジュール、IDコードの有効期限などで通行可能時間帯を決定するようにしても良い。
判定エリア情報は、後述する退出不能の判定対象となるエリアを予め設定した情報である。判定エリア情報を参照することで、退出不能の判定をする必要があるエリアを管理者が適宜に設定できる。例えば、出入管理システムの管理領域外である建物の外、共用部、システム管理者が常駐しているエリアなど、運用上、退出不能を判定する必要が無いエリアを退出不能の判定から除外することができる。図7は、本発明の実施形態における判定エリア情報の例である。この例では、エリアC、D、Eが判定の対象として設定されている。エリアAは管理領域外である建物の外、エリアBはエリアAへの移動が常に可能なので判定対象外としている。
判定時間は、IDカード操作後どれだけの時間範囲にて退出不能を判定するかを設定するためのパラメータであり、エリアごとの条件に応じて任意に操作部24から管理者に設定される。例えば、エリアを利用者の勤務時間や作業時間、管理領域が店舗等であれば営業時間や客の滞在時間程度を設定する。具体的には、退出不能を判定する時間範囲(以下、「判定期間」という)は、現在時刻から現在時刻に判定時間を加えた時刻までとする。例えば、判定時間長が10時間に設定されている場合、IDカード操作が09:00に行われると、判定期間は09:00〜19:00となる。なお、本実施の形態では、判定時間をエリアごとに設定するのが好ましいが、本システム全体で一つの時間に設定しても良い。なお、本実施の形態では、説明を簡単にするため、本システム全体で6時間を設定する。
次に、制御部210における処理について、図9及び図10を参照して説明する。制御部210は、記憶部220に記憶している各種プログラムにしたがって処理を行なう。ここでは、通行要求信号を受信したときに動作する処理プログラムを記憶部220から読み出して処理するフローを説明する。
図9は、カードリーダ100から後述する通行要求信号を受信したときの処理のフローを示している。集中管理装置200は、通信部230を介して通行要求信号を受信する。
通行要求信号を受信すると、まず、制御部210は、通行要求信号の中に含まれているIDコードとカードリーダアドレスを読み出す(S400)。次に、時計部260から現在時刻を得(S405)、記憶部220の権限テーブルを参照して通行要求が正当であるか否か、すなわち、通行許可を与えるか否かを判断する(S410)。すなわち、権限テーブルに、ステップS400にて抽出したカードリーダアドレスとIDコードの組が登録されており、且つステップS405にて取得した現在時刻が権限テーブルにおける対応する通行可能時間帯に含まれているか照合する。
次に、ステップS410にて照合がNGであれば、受信した通行要求信号は不当であると判定し(S415のNO)、通行を許可しない旨の通行不許可信号を生成し(S445)、通信部230を介して通行要求してきたカードリーダ100に対して送信し、通行要求に対する処理を終了する。照合がNGとなる場合としては、カードリーダアドレスとIDコードの組が権限テーブルに存在しない場合、及び/または現在時刻が対応する通行時間帯に含まれていない場合である。例えば、図6では、ID001はCR51とCR52に対する通行権限が設定されていない。
ステップS415において照合がOKであれば、受信した通行要求信号は正当であると判定し(S415のYES)、ステップS500に進み、退出不能検知処理を実行する。
退出不能検出処理とは、利用者が通行した後に、通行先のエリアから退出ができなくなる恐れを検出し、利用者が通行する前に知らせる処理である。図10は、退出不能検知処理フローを示す図である。図10を参照して説明する。
先ず、ステップS510にて、進入しようとするエリア、すなわち移動エリアを特定する。具体的には、記憶部220のカードリーダ属性テーブルからステップS400にて抽出したカードリーダアドレスに対応する対応する移動エリアを特定する。ここで特定される移動エリアは、利用者がこれから進入しようとしているエリアであり、言い換えると、利用者が退出不能となる可能性のあるエリアである。
次に、記憶部220の判定エリア情報を参照し、ステップS510にて特定した移動エリアが判定対象であるか否かを判定する(S515)。移動エリアが判定対象でない場合(S515のNO)、退出不能は検知する必要がないので退出不能検知処理を終了し、図9のステップS420に進む。
他方、ステップS515にて、特定した移動エリアが判定対象であると判定した場合(S515のYES)、記憶部220のカードリーダ属性テーブルを参照し、設置エリアがS510で特定した移動エリアと一致するカードリーダアドレスを総て抽出し特定する(S520)。ここで特定されるカードリーダアドレスは、利用者が進入しようとするエリアに存在する全てのカードリーダ100であり、特定されたカードリーダ100の何れかにIDカードを操作しないと当該エリアから退出できない。
次に、ステップS525では、判定期間の設定をする。すなわち、記憶部220からステップS510において特定した移動エリアの判定時間(本実施の形態では。6時間)を読み出し、かかる判定時間と現在時刻とを基に判定期間を設定する。例えば、現在時刻が6時であれば、判定期間は現在時刻から6時間後までの、6時〜12時の期間に設定される。
次に、ステップS530では、記憶部220の権限テーブルを参照して、退出不能検知の基礎となるレコードを抽出する。具体的には、ステップS520で特定したカードリーダアドレスと、ステップS400にて抽出したIDコードとの組のレコードであって、かつ、通行可能時間帯の一部または全部が判定期間に含まれている権限テーブル中のレコードを抽出する。
ステップS530にてレコードが抽出されなかった場合(S535のNO)、現在時刻において退出不能になるので、現在時刻を退出不能時刻として設定する(S540)。そして、退出不能時刻から現在時刻を減算して退出不能となるまでの時間を計算する(S570)。この場合、退出不能となるまでの時間は0となる。
他方、S530にてレコードが抽出された場合(S535のYES)、抽出した各レコードの通行可能時間帯データにおける通行可能時間帯終了時刻が判定期間に含まれているレコードの選定処理を行なう(S545)。ここで選定されたレコードの通行可能時間帯終了時刻のいずれかが、後に退出不能になる時刻となる。言い換えると、ステップS545においてレコードが全く選定されなかった場合(S550のNO)は、判定期間内に退出不能にはならないと判断し、図9のステップS420に進む。これにより、検知退出不能検知処理を終了する。
他方、ステップS545でレコードが選定されると(S550のYES)、判定期間内に退出不能となる可能性があるのでステップS555に進む。ステップS555では、ステップS545にて選定された権限テーブルのレコードにおける通行可能時間帯終了時刻のうち、ステップS530にて抽出された他のレコードにおける通行可能時間帯に含まれているレコードを除外する。なぜなら、他のレコードにおける通行可能時間帯によって通行可能となっている時刻では、当該レコードにかかるカードリーダ100を操作すればエリアから退出でき、退出不能な状態とならないからである。
ステップS555においてレコードが全く選定されなかった場合(S560のNO)は、判定期間内に退出不能にはならないと判断し、図9のステップS420に進む。これにより、検知退出不能検知処理を終了する。
他方、ステップS555でレコードが残っていると、判定期間内に退出不能になると判断し、ステップS565に進む(S560のYES)。ステップS565では、S555の処理によって除外されずに残った権限テーブル中のレコードの通行可能時間帯終了時刻のうち、最も早い時刻を退出不能時刻に設定する。ここで、最も早い時刻を設定するのは、退出不能な状況が最初に発生する時刻を明確にするためである。
なお、ステップS555にて、複数のレコードが残っており、退出不能状態が時間間隔を空けて生じることを、利用者に通知する場合は、ステップS565の処理を省略しても良い。
そして、退出不能時刻から現在時刻を減算して退出不能となるまでの時間を計算するとともに(S570)退出不能検知とし、図9のステップS420に進む。これにより、退出不能検知処理S500を終了する。
図9に戻って、ステップS420では、退出不能検知処理500により、進入しようとするエリアで一定時間内に退出不能の状態が発生するか否か、および、退出不能となるまでの時間や退出不能となる時刻(退出不能時刻)を判定する。
すなわち、退出不能が検知されなかった場合(S420のNO)は、通行を許可することを意味するコードを含んだ通行許可信号を生成し(S425)、生成した信号を通信部230から通行要求してきたカードリーダ100へ送信し(S430)、通行要求に対する処理を終了する。
一方、退出不能が検知された場合(S420のYES)は、通行を許可することを意味するコード、および、退出不能となるまでの時間や退出不能時刻などの時間情報を含んだ退出不能検知信号を生成して(S435)通行要求をしてきたカードリーダ100へ送信し(S440)、通行要求に対する処理を終了する。
したがって、集中管理装置200は、通行要求信号を受信すると、通行許可信号、通行不許可信号、退出不能検知信号のいずれかの信号を通行要求してきたカードリーダ100に対して返信することになる。
次に、図3を参照してカードリーダ100について詳細に説明する。カードリーダ100は、マイクロコンピュータ等である制御部110、ROM、RAM等で構成され処理プログラム、切替時間や表示時間などの各種パラメータ、カードリーダアドレスなどを記憶する記憶部120、集中管理装置200とLAN等を介して通信する通信部130、IDカードからIDコード等を読み取る読取部140、接続されている電気錠300に対して施錠または解錠の制御を行なう電気錠制御部150、液晶モニタ、LED、ブザー等で構成される表示部160、解錠釦等のスイッチ170、タイマー180、各部に電源を供給する電源190から構成される。
ただし、表示部160とスイッチ170は液晶タッチパネルを採用することにより一体に構成することが可能であり、本実施形態では、これらを液晶タッチパネルで構成した例として説明を行う。
また、表示部160は読取部140と同一筐体内に設置され、利用者がIDカード操作を行った際に、表示部160が利用者の視野内に入ることが望ましい。表示部160と読取部140を異なる筐体とする場合は、両者の間隔が可能な限り近くなるように設置し、利用者の視野に入るよう設置する。
ここで、記憶部120に記憶されているカードリーダアドレス、切替時間及び表示時間について説明する。カードリーダアドレスは、各カードリーダCR11〜CR52に固有のアドレスを表すコードであって、集中管理装置200にてカードリーダ属性テーブル、権限テーブル等の参照に使用する。
切替時間は、接続されている電気錠300を解錠制御するにあたり、利用者の意思確認を要求するか否か判定するための時間である。すなわち、本実施の形態では、カードリーダ100に正規なIDカードが操作されたときに、移動エリアでの退出不能となるまでの時間が十分長い場合は利用者の意思確認を不要とし、反対に時間として短い場合に利用者の意思確認を要求する。かかる場合に、十分に長い時間か、短い時間かの判断基準となる時間が切替時間である。具体的な時間は、移動エリアによって異なるため、設置場所に応じて適宜設定される。なお、退出不能となるまでの時間が長い場合は、即時に解錠した方が利用者にとって使い勝手が向上し、他方、短い場合は利用者の意思を確認してから解錠させることができる。これにより、退出不能となる時間が短い場合、つまり、利用者が移動エリアにて用事を済ませることができないような時間しかないのに解錠するという無駄な解錠を無くすことができ、利用者に退出不能となる時間を意識させることができる。本実施の形態では、総てのカードリーダ100に共通して30分を設定している。なお、エリアごとや、カードリーダ100ごとに、切替時間を異なる時間に設定しても良い。
表示時間は、後述する表示部160に表示される電気錠300を解錠させるためのスイッチを有効化できる時間であり、本実施の形態ではスイッチ170である解錠釦を表示部160に有効に表示している時間であり、表示部160の表示クリアまでの時間である。表示時間の使用方法としては、スイッチ170である解錠釦を表示する際にタイマー180に表示時間をセットする。タイマー180は、表示時間がセットされると一定時間ごとに値を減算し、0になると制御部110に通知を行う。制御部110は、タイマー180からの通知を受けると表示をクリアし、スイッチ170である解錠釦を無効化する。
スイッチ170である解錠釦が長時間有効化されていると、正規のIDカードを持たない人でも電気錠300を解錠できる可能性が高くなる。そこで、解錠釦を有効化する時間を制限して前記可能性を低減することによって、不正なエリア移動を防ぐことができる。表示時間の設定としては、数秒間から数十秒間程度が適当である。なお、本実施の形態では、10秒が設定されている。
読取部140は、IDカードと通信を行い、IDカードに記憶されているIDコードを非接触式に読み出す処理を行なう。いわゆる非接触式ICカードを用いた方式を用いており、一般的な方式を採用しているのでここでは詳細な説明は省略する。なお、本実施の形態の非接触式に限らず、磁気カードなどの接触式での読み取りを用いても良い。また、キースイッチによるIDコード入力やバイオメトリクスの情報を読み取るようにしても良く、読取部140の具体的な方式は適宜選択される。また、IDコード等の識別コードを読み取る形態に限らず、利用者のエリア移動の意思表示を表す釦操作等を検知するものであっても良い。
次に、図8を参照して、カードリーダ100の処理を説明する。図8は、カードリーダ100の制御部110による処理フローを示す図である。
カードリーダ100の電源が投入されると、利用者によるIDカードの操作、タイマー180からの通知、解錠釦であるスイッチ170の押下、集中管理装置200からの信号の何れかを待つ待機状態となる(S300〜S315)。
ステップS300は、読取部140からIDカードが操作されたかを判定する。IDカードの操作は、利用者がカードリーダ100にIDカードをかざすことで、読取部140との通信が開始することで検出する。ステップS300にてカード操作有りと判断すると、ステップS320に進み、読取部140がIDカードからIDコードを読み出す。次に、ステップS325にて記憶部120に記憶しているカードリーダアドレスを読み出す。そして、ステップS330にて、少なくともステップS320にて読み出したIDコードとステップS325にて読み出したカードリーダアドレスとを含む通行要求信号を通信部130からLAN経由で集中管理装置200に対して送信し(S335)、ステップS300に戻る。
ステップS300にてカード操作を検出していないときは、ステップS305に進み、タイマー180からの出力があるか否かを判定する。タイマー180からの通知があればスイッチ170を無効化し(S365)、ステップS300に戻る。
他方、タイマー180からの出力がなければ、ステップS310に進む。ステップS310では、スイッチ170である解錠釦が操作されたか判定する。スイッチ170である解錠釦が操作されると、電気錠制御部150から接続されている電気錠300に対して、例えば1秒間のみ解錠させ再度施錠するよう制御する。他方、スイッチ170の操作が無ければ、ステップS315に進む。
ステップS315では、集中管理装置200から通信部130を介して信号を受信したか否かを判断しており、信号の受信が無ければステップS300に戻る。
集中管理装置200から信号を受信した場合は、ステップS340に進み、受信した信号が通行許可信号か否か判断する。
受信した信号が通行許可信号であれば(S340にてYES)、電気錠制御部150から接続されている電気錠300に対して、例えば1秒間のみ解錠させ再度施錠するよう制御し(S345)、ステップS300に戻る。
次に、ステップS340にて受信した信号が通行許可信号でないと判断すると(S340にてNO)、ステップS350に進み、受信した信号が通行不許可信号か判断する。ここで、受信した信号が通行不許可信号であれば(S350にてYES)、表示部160に通行不許可の旨を表示し(S355)、タイマー180を起動し(S360)、ステップS300に戻る。なお、タイマー180が記憶部120に記憶されている表示時間である10秒の経過を通知すると、ステップS305からステップS365にて、この表示はクリアされる。
通行許可信号、通行不許可信号のどちらでもない場合、すなわち退出不能検知信号を受信した場合は、ステップS370に進む。ステップS370では、記憶部120に記憶している切替時間である30分と、退出不能検知信号に含まれる退出不能となるまでの時間とを比較する。ここで、退出不能時間が切替時間である30分より短いと(S370にてYES)、ステップS375に進む。ステップS375では、解錠釦付きの退出不能予告を表示部160に表示する。ここで、解錠釦付きの退出不能予告とは、図11に示す表示であって、スイッチ170である解錠釦と、退出不能となるまでの時間とを表示する。この表示を見て、利用者は、退出不能となる時間を考慮して入室するか否かを決めることができ、スイッチ170である解錠釦の押下によって利用者の意思にて入室判断できる。なお、図11に示す表示に限らず、例えば図12に示すように、スイッチ170である解錠釦に相当する「入室する」と、入室しない場合のどちらかを利用者が選択できる解錠釦付きの退出不能予告としても良い。この場合は、入室しない操作がされると、直ちに解錠釦を無効化することになる。
その後、ステップS380にて、タイマー180を起動し(S380)、ステップS300に戻る。なお、タイマー180が記憶部120に記憶されている表示時間の経過を出力すると、ステップS305からステップS365にて、スイッチ170である解錠釦を無効化するとともに、表示をクリアする。したがって、タイマー180が計時している時間のみ解錠釦であるスイッチ170が有効になる。但し、図12の場合は、入室しないとの選択がされると、解錠釦は直ちに無効化される。また、タイマー180が計時中に解錠釦であるスイッチ170を押下すると、前述したステップS310でのYESの処理となる。
ステップS370にて、退出不能時間が切替時間である10分より長いと判断すれば(S370にてNO)、ステップS385に進む。ステップS385では、解錠釦なしの退出不能予告を表示部160に表示する。ここで、解錠釦なしの退出不能予告とは、図13に示す表示であって、利用者の意思を確認するためのスイッチ170である解錠釦を表示せず、退出不能までの時間を表示する。なお、図13に示す表示に限らず、例えば図14に示すように、退出不能となる時刻を表示するようにしても良い。その後、ステップS390にて、タイマー180を起動するとともに、電気錠制御部150から接続されている電気錠300を解錠し、ステップS300に戻る。したがって、退出不能時間まで十分に長い時間が残っている場合は、利用者の入室意思を再度確認することなく電気錠300を解錠できるので、利用者の使い勝手が向上する。
IDコード0002が記録されたIDカードを所有する利用者がエリアA、エリアB、エリアD、エリアEに順次移動しようとする場合における動作について説明する。
先ず、利用者は、エリアAからエリアBに移動するため、カードリーダCR11にIDカードを操作する(S300)。カードリーダCR11では、IDカードからIDコードである「ID0002」を読み出す(S320)。また、記憶部120に記憶しているカードリーダアドレス「CR11」を読み出す(S325)。そして、「ID0002」「CR11」を少なくとも含む通行要求信号を生成し(S330)、通信部130からLANを介して集中管理装置200に送信する(S335)。
集中管理装置200では、この通行要求信号を通信部230にて受信する。この通行要求信号を受信すると、集中管理装置200では、図9、図10にて説明した処理を開始する。すなわち、通行要求信号に含まれる「ID0002」「CR11」を読み出し(S400)、時計部260から現在時刻「10:00」を取得する(S405)。そして、図6に示す権限テーブルに基づき、レコードNo.8に「CR11」「ID0002」の組が存在し、且つ通行可能時間帯「8:00〜20:00」に「10:00」が含まれているので、通行要求を正当と判断し(S410、S415にてYES)、図10の退出不能検知処理(S500)を実行する。
退出不能検知処理では、先ず図5に示すカードリーダ属性テーブルに基づき、「CR11」に対応する移動エリア「B」を特定する(S510)。移動エリア「B」が図7に示す判定エリア情報に設定されていないので(S515にてNO)、退出不能検知しないので(S420にてNO)、通行許可信号を生成し(S425)、通行許可信号をカードリーダCR11に通信部230から送信する。
カードリーダCR11は、通行許可信号を通信部130から受信すると(S340にてYES)、電気錠制御部150から接続されている電気錠D1を1秒間のみ解錠制御する(S345)。これにより、利用者は、電気錠D1が設置されている扉を開けて、エリアAからエリアBへ移動する。
次に、エリアBに入った利用者は、エリアDへ入るため、カードリーダCR41に所持しているIDカードを操作する(S300)。カードリーダCR41では、IDカードからIDコードである「ID0002」を読み出す(S320)。また、記憶部120に記憶しているカードリーダアドレス「CR41」を読み出す(S325)。そして、「ID0002」「CR41」を少なくとも含む通行要求信号を生成し(S330)、通信部130からLANを介して集中管理装置200に送信する(S335)。
集中管理装置200では、この通行要求信号を通信部230にて受信する。この通行要求信号を受信すると、集中管理装置200では、図9、図10にて説明した処理を開始する。すなわち、通行要求信号に含まれる「ID0002」「CR41」を読み出し(S400)、時計部260から現在時刻「10:05」を取得する(S405)。そして、図6に示す権限テーブルに基づき、レコードNo.14に「CR41」「ID0002」の組が存在し、且つ通行可能時間帯「8:00〜20:00」に「10:05」が含まれているので、通行要求を正当と判断し(S410、S415にてYES)、図10に示す退出不能検知処理(S500)を実行する。
退出不能検知処理は、先ず図5に示すカードリーダ属性テーブルに基づき、「CR41」に対応する移動エリア「D」を特定する(S510)。移動エリア「D」が図7に示す判定エリア情報に設定されているので(S515にてYES)、図5に示すカードリーダ属性テーブルに基づき、設置エリアに「D」が設定されているカードリーダCR32、CR42、CR51を特定する(S520)。
次に、記憶部220に記憶している判定時間である6時間と現在時刻「10:05」とから判定期間「10:05〜16:05」を設定する(S525)。次に、権限テーブルを参照し、「ID0002」と組になる「CR32」「CR42」「CR51」のレコード、すなわちNo.12、No.15、及びNo.17における通行可能時間帯を抽出する。具体的には、「8:00〜12:00」「15:00〜20:00」「13:00〜14:00」が抽出される。これらが、判定期間「10:05〜16:05」に重複しているレコードを選定する。この場合、No.12、No.15、及びNo.17の3つのレコードが選定される(S530)。
そして、抽出された通行可能時間帯の終了時刻が判定期間「10:05〜16:05」の中にあるレコードを選定する(S545)。この場合、No.12及びNo.17のレコードが選定される。
次に、No.12及びNo.17の通行可能時間帯の終了時刻、すなわち「12:00」「14:00」が他のレコードNo.12、No.15、及びNo.17の通行時間帯に含まれているレコードを除外する。この場合は、除外されるレコードはないため、レコードNo.12No.17が残る(S560にてYES)。
これは、エリアDに移動した利用者は12:00〜13:00の間、および14:00〜15:00の間がエリアDで退出不能となることを示している。
次に、残ったレコードの終了時刻のうち、最も早い時刻である12:00を退出不能時刻に設定し(S565)、現在時刻10:05と比較し、あと1時間55分で退出不能となる時間を計算する(S570)。そして、1時間55分で退出不能になる情報を含んだ退出不能検知信号を生成し(S435)、退出不能検知信号をカードリーダCR41に対して通信部230から送信する(S440)。
カードリーダCR41は、退出不能検知信号を通信部130から受信すると(S350にてNO)、記憶部120に記憶している切替時間30分以内に退出不能が発生するか判断する。この場合は、退出不能検知信号に含まれる1時間55分が切替時間30分より長いので(S370にてNO)図13に示す退出不能予告表示を表示部160に表示する(S385)。そして、タイマー180を起動し(S390)、電気錠制御部150から接続されている電気錠D4を1秒間のみ解錠制御する(S395)。これにより、利用者は、電気錠D4が設置されている扉を開けて、エリアBからエリアDへ移動する。このように、利用者は、表示部160の表示を見て、あと1時間55分でエリアDから退出できなくなることを認識した上で解錠釦の操作をすることなくエリアDへ移動できる。
ここで、利用者がカードリーダCR41を操作した時刻が、11:57であった場合は、退出不能となる時間が3分で切替時間30分より短くなるので、S370にてYESに進むことになる。この場合は、図11に示す退出不能予告表示を表示部160に表示し(S375)、タイマー180を起動する。このタイマー180が起動中の10秒以内に利用者がスイッチ170である解錠釦を押下すれば(S310にてYES)、電気錠制御部150から接続されている電気錠D4を1秒間のみ解錠制御する(S355)。これにより、利用者は、電気錠D4が設置されている扉を開けて、エリアBからエリアDへ移動する。このように、利用者は、表示部160の表示を見て、あと3分でエリアDから退出できなくなることを認識し、その上で自らの意思を持って解錠釦の操作を条件にエリアDへ移動できる。
これにより、エリアDにて、利用者が退出不能となる可能性が低減できる上、利用者が入室不要と考えた場合に電気錠D4を無駄に解錠させなくてすむ。
更に利用者が、エリアDからエリアEに移動するため、カードリーダCR51にIDカードを操作する(S300)。カードリーダCR51では、IDカードからIDコードである「ID0002」を読み出す(S320)。また、記憶部120に記憶しているカードリーダアドレス「CR51」を読み出す(S325)。そして、「ID0002」「CR51」を少なくとも含む通行要求信号を生成し(S330)、通信部130からLANを介して集中管理装置200に送信する(S335)。
集中管理装置200では、この通行要求信号を通信部230にて受信する。この通行要求信号を受信すると、集中管理装置200では、図9、図10にて説明した処理を開始する。すなわち、通行要求信号に含まれる「ID0002」「CR51」を読み出し(S400)、時計部260から現在時刻「10:10」を取得する(S405)。そして、図6に示す権限テーブルに基づき、レコードNo.17に「CR51」「ID0002」の組が存在するが、通行可能時間帯「13:00〜14:00」に「10:10」が含まれていないので、通行要求を不当と判断し(S410、S415にてNO)、通行不許信号を生成し(S445)、通行不許可信号をカードリーダCR51に通信部230から送信する(S450)。
カードリーダCR51は、通行不許可信号を通信部130から受信すると(S350にてYES)、通行できない旨を表示部160に表示する。これにより、利用者は、エリアEへ入室できないことを知ることができる。
本実施の形態では、退出不能に関する時間情報として退出不能時刻を決定し、予告する動作を示したが、同様にして退出不能の状態が終了する時刻(退出不能終了時刻)を判定することも可能である。
この場合、退出不能検知処理において権限テーブルの通行可能時間帯の終了時刻の代わりに通行可能時間帯の開始時刻に着目し、その最も遅い時刻を退出不能終了時刻とすれば良い。更に、退出不能時刻と退出不能終了時刻の両者が分かれば、退出不能となる時間帯を予告することも可能である。
本発明による出入管理システムは、読取部がIDカードからIDコードを読み取ると、これから進入しようとするエリアから退出不能となるかを判定し、退出不能となる注意喚起を読取部と同一視野内に設置された表示部にて表示するので、利用者に事前に退出不能の発生を確実に注意喚起することが可能となる。
これにより、利用者は退出不能を回避することが可能となる。また、この情報を得るために利用者は利用者がエリアに進入するためにIDコードを読み取らせる操作以外に特別な操作を必要としない。
また、本発明による出入管理システムは、読取部がIDカードからIDコードを読み取ると、これから進入しようとするエリアにおいて、判定時間内に退出不能となるかを判定し、退出不能となる注意喚起と退出不能となる時刻の情報を表示部にて表示するので、利用者に事前に退出不能の発生を注意喚起し、その具体的な時刻を伝達することが可能となる。
このことにより、利用者は具体的に退出不能を回避するための行動計画を立てることが可能となる。また、この情報を得るために利用者は特別な操作を必要としない。また、退出不能を判定する判定時間長は運用に合わせた適当な時間範囲とすることができ、利用者により有用な情報を伝達することができる。
また、本発明による出入管理システムは、権限の照合を行い、権限ありと判断した場合に、前記退出不能の判定を行い、退出不能である場合は、退出不能となる注意喚起と退出不能となる時刻の情報の表示を行った後に電気錠を一時的に解錠する制御を行うので、より確実な利用者への注意喚起を可能とする。
また、本発明による出入管理システムは、退出不能時刻が現在時刻以降制御切替時間長内であれば、電気錠を解錠するスイッチを一定時間有効化するので、利用者に退出不能時刻をより強く意識付けすることを可能とする。
なお、以上では、権限が時刻によって変化する権限テーブルを採用し、現在時刻を考慮して判定手段、照合手段が処理を行う例を説明したが、権限が時刻によって変化しない権限テーブルを採用し、判定手段や照合手段が現在時刻に依存しない退出不能の判定や権限有無の判断を行う実施形態にも本発明は適用可能である。
また、以上では、読取部がIDカードのIDコードを読み取る例を説明したが、前述のように、生体情報をIDコードとして読み取る実施形態にも本発明は適用可能である。