しかしながら、月々のガス使用料金に対して一律に例えば5%の割引率を適用する割引料金メニューでは、以下に示すような不都合がある。
例えば、月々のガス使用量の総量に対して割引料金が適用されるため、割引率を高く設定できなくなり、当該エネルギ消費機器の利用促進効果が希薄となる。また、エネルギ事業者が導入及び利用を促進させたいエネルギ消費機器によるエネルギ使用量の増分にのみ割引料金が適用されるのではなく、月々のガス使用量の総量に対して割引料金が適用されるため、当該エネルギ消費機器の利用促進効果が得られないとすれば、本来割引対象でないエネルギ使用量に対する収益低下がエネルギ事業者の負担増となる。
また、特定エネルギ消費機器の月々の総使用時間に応じて割引額を決定するエネルギ料金計算方法及びシステムでは、特定エネルギ消費機器の制御情報等を取得して使用時間を別途計測する必要があるため、エネルギ料金を割り引くために、計測装置を増設しデータを収集するための追加コストが発生する。
そこで、利用促進の対象となる特定エネルギ消費機器以外の一般エネルギ消費機器のエネルギ使用量を、当該特定エネルギ消費機器の導入前のエネルギ使用量の実績値を基に推定し、課金月の総エネルギ使用量の実績値から差し引くことで特定エネルギ消費機器のエネルギ使用量を推定し、当該使用量に対して従来の総エネルギ使用量に対して適用する割引率より高い割引率を適用することで、当該特定エネルギ消費機器の利用促進を図る方法が提案されている(例えば、本出願人による特許出願2004−017772参照)。
しかしながら、当該特定エネルギ消費機器のエネルギ使用量が何らかの方法で推定できた場合であっても、適用する割引率が一律では、必ずしも当該特定エネルギ消費機器の利用に対してインセンティブとして働かない可能性がある。そこで、特定エネルギ消費機器のエネルギ使用量が大きくなると当該エネルギ使用量に対するエネルギ料金の割引率を段階的に増加させることにより、特定エネルギ消費機器の利用促進を図ることが考えられる。この場合、特定エネルギ消費機器の利用者が、割引率が段階的に増加するエネルギ使用量と、現在のエネルギ使用量を把握することで、利用促進効果を更に上げることが可能となる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、特定のエネルギ消費機器が消費した特定エネルギ使用量に対するエネルギ使用料金を前記特定エネルギ使用量が増えるに従い段階的に増える割引率により割り引いて、他のエネルギ消費機器が消費した一般エネルギ使用量に対するエネルギ使用料金とともに課金する割引料金課金システムにおいて、特定のエネルギ消費機器の利用促進を図るために、割引適用対象の特定顧客に対して、より高い割引率が適用可能となる特定のエネルギ消費機器の利用時間を算出して提示する割引料金利用促進システムを提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る割引料金利用促進システムは、特定のエネルギ消費機器が消費した特定エネルギ使用量に対するエネルギ使用料金を前記特定エネルギ使用量が増えるに従い段階的に増える割引率により割り引いて、他のエネルギ消費機器が消費した一般エネルギ使用量に対するエネルギ使用料金とともに課金する割引料金課金システムと協働して、コンピュータ演算処理によって、割引適用対象の特定顧客に対して、より高い割引率が適用可能となる前記特定のエネルギ消費機器の利用時間を算出して提示する割引料金利用促進システムであって、前記特定のエネルギ消費機器の運転開始からの経過時間に対する単位時間当たりのエネルギ使用量或いは累積エネルギ使用量の変動パターン、及び、前記特定のエネルギ消費機器の前記割引率が段階的に増える前記特定エネルギ使用量の1または複数の特異値を記憶する記憶手段と、前記割引料金課金システムにおいて推定された前記特定エネルギ使用量を課金月の日数で除して得られる前記特定エネルギ使用量の1日当たりの特定エネルギ日使用量を算出し、前記特定エネルギ日使用量を前記記憶手段に記憶した前記変動パターンを用いて前記特定のエネルギ消費機器の1日当たりの日使用時間に換算する日使用時間算出手段と、前記記憶手段に記憶した前記特異値の中から前記特定エネルギ使用量の推定値以上の少なくとも1つの目標特異値を検出し、前記目標特異値を課金月の日数で除して得られる特定エネルギ目標日使用量を算出し、前記特定エネルギ目標日使用量を前記記憶手段に記憶した前記変動パターンを用いて前記特定のエネルギ消費機器の1日当たりの目標日使用時間に換算する目標日使用時間算出手段と、を備えてなることを第1の特徴とする。
上記第1の特徴の割引料金利用促進システムによれば、日使用時間算出手段が、課金月における割引対象の特定のエネルギ消費機器の1日当たりの日使用時間を算出し、目標日使用時間算出手段が、課金月に適用された割引率より高い割引率が適用されるために必要な特定のエネルギ消費機器の1日当たりの目標日使用時間を算出するので、本発明システムは、課金月の日使用時間、目標日使用時間、または、日使用時間と目標日使用時間の時間差等を特定顧客に知らせることができる。この結果、特定顧客、つまり、特定のエネルギ消費機器の利用者は、1日に更に何時間利用時間を増やすことにより、より高い割引率の適用が可能になるかを把握でき、特定のエネルギ消費機器の利用を促進するインセンティブが効果的に与えられる。ここで、特定顧客は、単に1ヶ月の特定のエネルギ消費機器のエネルギ消費量を知らされる場合では、具体的にエネルギ消費機器をどの程度利用促進すればよいのかを簡単に把握できないところ、本発明システムによれば、1日当たりの使用時間として情報が与えられるので、利用促進を容易に実行に移し易い。
更に、記憶手段に特定のエネルギ消費機器の運転開始からの経過時間に対する単位時間当たりのエネルギ使用量或いは累積エネルギ使用量の変動パターンが記憶されているので、特定のエネルギ消費機器の時間経過に伴うエネルギ使用量が一定のエネルギ消費機器だけでなく、当該エネルギ使用量が時間経過に伴って変動するエネルギ消費機器についても課金月の日使用時間及び目標日使用時間を算出でき、如何なるエネルギ消費機器にも対応可能となる。
更に、上記目的を達成するための本発明に係る割引料金利用促進システムは、特定のエネルギ消費機器が消費した特定エネルギ使用量に対するエネルギ使用料金を前記特定エネルギ使用量が増えるに従い段階的に増える割引率により割り引いて、他のエネルギ消費機器が消費した一般エネルギ使用量に対するエネルギ使用料金とともに課金する割引料金課金システムと協働して、コンピュータ演算処理によって、割引適用対象の特定顧客に対して、より高い割引率が適用可能となる前記特定のエネルギ消費機器の利用時間を算出して提示する割引料金利用促進システムであって、前記特定のエネルギ消費機器の運転開始からの経過時間に対する単位時間当たりのエネルギ使用量或いは累積エネルギ使用量の変動パターン、及び、前記特定のエネルギ消費機器の前記割引率が段階的に増える前記特定エネルギ使用量の1または複数の特異値を記憶する記憶手段と、前記割引料金課金システムにおいて推定された前記特定エネルギ使用量を課金月の日数で除して得られる前記特定エネルギ使用量の1日当たりの特定エネルギ日使用量を算出し、前記特定エネルギ日使用量を前記記憶手段に記憶した前記変動パターンを用いて前記特定のエネルギ消費機器の1日当たりの日使用時間に換算する日使用時間算出手段と、前記日使用時間算出手段が算出した前記日使用時間に基づいて、課金月の翌月の前記変動パターンを用いて前記翌月における前記特定エネルギ使用量の予測値を算出する特定エネルギ使用量予測手段と、前記記憶手段に記憶した前記特異値の中から特定エネルギ使用量予測手段が算出した前記翌月における前記特定エネルギ使用量の予測値以上の少なくとも1つの目標特異値を検出し、前記目標特異値を前記翌月の日数で除して得られる特定エネルギ目標日予測使用量を算出し、前記特定エネルギ目標日予測使用量を前記記憶手段に記憶した前記翌月の前記変動パターンを用いて前記特定のエネルギ消費機器の1日当たりの目標日予測使用時間に換算する目標日使用時間算出手段と、を備えてなることを第2の特徴とする。
上記第2の特徴の割引料金利用促進システムによれば、日使用時間算出手段が、課金月における割引対象の特定のエネルギ消費機器の1日当たりの日使用時間を算出し、特定エネルギ使用量予測手段が課金月の翌月の特定エネルギ使用量の予測値を算出し、目標日使用時間算出手段が、特定のエネルギ消費機器の1日当たりの目標日予測使用時間を算出するので、本発明システムは、課金月の日使用時間に加えて、翌月の目標日予測使用時間、または、課金月の日使用時間と翌月の目標日予測使用時間の時間差等を特定顧客に知らせることができる。つまり、特定顧客が課金月と同じように翌月も特定のエネルギ消費機器を使用した場合、課金月と翌月の気温条件が変動しても、気温変動による特定エネルギ使用量の変動量を予測して、翌月の目標日予測使用時間、つまり、1日当たりの使用時間をどの程度増やすことで、割引率が高くなるかを知らせることができる。この結果、特定顧客、つまり、特定のエネルギ消費機器の利用者は、課金月の翌月において1日に更に何時間利用時間を増やすことにより、より高い割引率の適用が可能になるかを把握でき、特定のエネルギ消費機器の利用を促進するインセンティブが効果的に与えられる。その他、上記第1の特徴と同じ効果が奏される。
更に、本発明に係る割引料金利用促進システムは、上記第1または第2の特徴に加えて、前記日使用時間算出手段と前記目標日使用時間算出手段が換算した前記特定のエネルギ消費機器の1日当たりの各使用時間、及び、前記各使用時間の時間差の少なくとも何れか1つを、前記課金月のエネルギ使用量とエネルギ使用料金を前記特定顧客に知らせる利用明細伝票または所定の表示画面上に出力するための出力データを生成する出力手段を備えていることを第3の特徴とする。
特に、上記第3の特徴の割引料金利用促進システムによれば、特定顧客が月々受け取る利用明細伝票に、課金月の日使用時間、目標日使用時間、または、日使用時間と目標日使用時間の時間差等を印字して特定顧客に知らせることができる。利用明細伝票は特定顧客を含むエネルギ消費者が月々必ず受け取る伝票であるので、特定のエネルギ消費機器の利用促進を一層確実に図ることができる。更に、特定顧客がインターネット等を介して課金月のエネルギ使用量とエネルギ使用料金を検索可能なWEB上の検索画面等のコンピュータ表示画面上に、課金月の日使用時間、目標日使用時間、または、日使用時間と目標日使用時間の時間差等を表示して特定顧客に知らせることができる。
上記目的を達成するための本発明に係る割引料金利用促進システムは、特定のエネルギ消費機器が消費した特定エネルギ使用量に対するエネルギ使用料金を前記特定エネルギ使用量が増えるに従い段階的に増える割引率により割り引いて、他のエネルギ消費機器が消費した一般エネルギ使用量に対するエネルギ使用料金とともに課金する割引料金課金システムと協働して、コンピュータ演算処理によって、割引適用対象の特定顧客に対して、より高い割引率が適用可能となる前記特定のエネルギ消費機器の利用時間を算出して提示する割引料金利用促進システムであって、前記特定のエネルギ消費機器の運転開始からの経過時間に対する単位時間当たりのエネルギ使用量或いは累積エネルギ使用量の変動パターン、前記特定のエネルギ消費機器の前記割引率が段階的に増える前記特定エネルギ使用量の1または複数の特異値、及び、前記特定のエネルギ消費機器の運転回数を規定する利用パターンを記憶する記憶手段と、前記特定のエネルギ消費機器の課金月における運転回数を予め登録された前記利用パターンに基づいて算出する運転回数算出手段と、前記割引料金課金システムにおいて推定された前記特定エネルギ使用量を課金月の前記運転回数で除して得られる前記特定エネルギ使用量の1回当たりの特定エネルギ単位使用量を算出し、前記特定エネルギ単位使用量を前記記憶手段に記憶した前記変動パターンを用いて前記特定のエネルギ消費機器の1回当たりの単位使用時間に換算する単位使用時間算出手段と、前記記憶手段に記憶した前記特異値の中から前記特定エネルギ使用量の推定値以上の少なくとも1つの目標特異値を検出し、前記目標特異値を課金月の前記運転回数で除して得られる特定エネルギ目標単位使用量を算出し、前記特定エネルギ目標単位使用量を前記記憶手段に記憶した前記変動パターンを用いて前記特定のエネルギ消費機器の1回当たりの目標単位使用時間に換算する目標単位使用時間算出手段と、を備えてなることを第4の特徴とする。
上記第4の特徴の割引料金利用促進システムによれば、単位使用時間算出手段が、課金月における割引対象の特定のエネルギ消費機器の1回当たりの単位使用時間を算出し、目標単位使用時間算出手段が、課金月に適用された割引率より高い割引率が適用されるために必要な特定のエネルギ消費機器の1回当たりの目標単位使用時間を算出するので、本発明システムは、課金月の単位使用時間、目標単位使用時間、または、単位使用時間と目標単位使用時間の時間差等を特定顧客に知らせることができる。この結果、特定顧客、つまり、特定のエネルギ消費機器の利用者は、1回の利用毎に更に何時間利用時間を増やすことにより、より高い割引率の適用が可能になるかを把握でき、特定のエネルギ消費機器の利用を促進するインセンティブが効果的に与えられる。ここで、特定顧客は、単に1ヶ月の特定のエネルギ消費機器のエネルギ消費量を知らされる場合では、具体的にエネルギ消費機器をどの程度利用促進すればよいのかを簡単に把握できないところ、本発明システムによれば、1回当たりの使用時間として情報が与えられるので、利用促進を容易に実行に移し易い。
更に、記憶手段に特定のエネルギ消費機器の運転開始からの経過時間に対する単位時間当たりのエネルギ使用量或いは累積エネルギ使用量の変動パターンが記憶されているので、特定のエネルギ消費機器の時間経過に伴うエネルギ使用量が一定のエネルギ消費機器だけでなく、当該エネルギ使用量が時間経過に伴って変動するエネルギ消費機器についても課金月の単位使用時間及び目標単位使用時間を算出でき、如何なるエネルギ消費機器にも対応可能となる。
更に、上記目的を達成するための本発明に係る割引料金利用促進システムは、特定のエネルギ消費機器が消費した特定エネルギ使用量に対するエネルギ使用料金を前記特定エネルギ使用量が増えるに従い段階的に増える割引率により割り引いて、他のエネルギ消費機器が消費した一般エネルギ使用量に対するエネルギ使用料金とともに課金する割引料金課金システムと協働して、コンピュータ演算処理によって、割引適用対象の特定顧客に対して、より高い割引率が適用可能となる前記特定のエネルギ消費機器の利用時間を算出して提示する割引料金利用促進システムであって、前記特定のエネルギ消費機器の運転開始からの経過時間に対する単位時間当たりのエネルギ使用量或いは累積エネルギ使用量の変動パターン、前記特定のエネルギ消費機器の前記割引率が段階的に増える前記特定エネルギ使用量の1または複数の特異値、及び、前記特定のエネルギ消費機器の運転回数を規定する利用パターンを記憶する記憶手段と、前記特定のエネルギ消費機器の課金月とその翌月における各運転回数を予め登録された前記利用パターンに基づいて算出する運転回数算出手段と、前記割引料金課金システムにおいて推定された前記特定エネルギ使用量を課金月の前記運転回数で除して得られる前記特定エネルギ使用量の1回当たりの特定エネルギ単位使用量を算出し、前記特定エネルギ単位使用量を前記記憶手段に記憶した前記変動パターンを用いて前記特定のエネルギ消費機器の1回当たりの単位使用時間に換算する単位使用時間算出手段と、前記単位使用時間算出手段が算出した前記単位使用時間に基づいて、課金月の翌月の前記変動パターンを用いて前記翌月における前記特定エネルギ使用量の予測値を算出する特定エネルギ使用量予測手段を備え、前記記憶手段に記憶した前記特異値の中から前記特定エネルギ使用量予測手段が算出した前記翌月における前記特定エネルギ使用量の予測値以上の少なくとも1つの目標特異値を検出し、前記目標特異値を前記翌月の前記運転回数で除して得られる特定エネルギ目標単位予測使用量を算出し、前記特定エネルギ目標単位予測使用量を前記記憶手段に記憶した前記翌月の前記変動パターンを用いて前記特定のエネルギ消費機器の1回当たりの目標単位予測使用時間に換算する目標単位使用時間算出手段と、を備えてなることを第5の特徴とする。
上記第5の特徴の割引料金利用促進システムによれば、単位使用時間算出手段が、課金月における割引対象の特定のエネルギ消費機器の1回当たりの単位使用時間を算出し、特定エネルギ使用量予測手段が課金月の翌月の特定エネルギ使用量の予測値を算出し、目標単位使用時間算出手段が、特定のエネルギ消費機器の1回当たりの目標単位予測使用時間を算出するので、本発明システムは、課金月の単位使用時間に加えて、翌月の目標単位予測使用時間、または、課金月の単位使用時間と翌月の目標単位予測使用時間の時間差等を特定顧客に知らせることができる。つまり、特定顧客が課金月と同じように翌月も特定のエネルギ消費機器を使用した場合、課金月と翌月の気温条件が変動しても、気温変動による特定エネルギ使用量の変動量を予測して、翌月の目標単位予測使用時間、つまり、1回当たりの使用時間をどの程度増やすことで、割引率が高くなるかを知らせることができる。この結果、特定顧客、つまり、特定のエネルギ消費機器の利用者は、1回の利用毎に更に何時間利用時間を増やすことにより、より高い割引率の適用が可能になるかを把握でき、特定のエネルギ消費機器の利用を促進するインセンティブが効果的に与えられる。その他、上記第4の特徴と同じ効果が奏される。
更に、本発明に係る割引料金利用促進システムは、上記第4または第5の特徴に加えて、前記単位使用時間算出手段と前記目標単位使用時間算出手段が換算した前記特定のエネルギ消費機器の1回当たりの各使用時間、及び、前記各使用時間の時間差の少なくとも何れか1つを、前記課金月のエネルギ使用量とエネルギ使用料金を前記特定顧客に知らせる利用明細伝票に印字する印字出力手段を備えていることを第6の特徴とする。
特に、上記第6の特徴の割引料金利用促進システムによれば、特定顧客が月々受け取る利用明細伝票に、課金月の単位使用時間、目標単位使用時間、または、単位使用時間と目標単位使用時間の時間差等を印字して特定顧客に知らせることができる。利用明細伝票は特定顧客を含むエネルギ消費者が月々必ず受け取る伝票であるので、特定のエネルギ消費機器の利用促進を一層確実に図ることができる。更に、特定顧客がインターネット等を介して課金月のエネルギ使用量とエネルギ使用料金を検索可能なWEB上の検索画面等のコンピュータ表示画面上に、課金月の日使用時間、目標日使用時間、または、日使用時間と目標日使用時間の時間差等を表示して特定顧客に知らせることができる。
更に、本発明に係る割引料金利用促進システムは、上記第1乃至第6の何れかの特徴に加えて、前記変動パターンは、前記特定のエネルギ消費機器の割引対象課金月別に、前記記憶手段に記憶されていることを第7の特徴とする。これにより、課金月毎の気温条件を加味して各課金月の日使用時間と目標日使用時間、各課金月の翌月の目標日予測使用時間、各課金月の単位使用時間と目標単位使用時間、或いは、各課金月の翌月の目標単位予測使用時間をより正確に算出でき、特定顧客により正確な各使用時間の情報を提供できる。
更に、本発明に係る割引料金利用促進システムは、上記第7の特徴に加えて、前記課金月の平均気温と、前記課金月に対応する前記割引対象課金月に設定された前記変動パターンの基礎となった標準気温との差に基づいて、前記変動パターンを補正する補正手段を備えていることを第8の特徴とする。これにより、課金月毎の実際の平均気温により気温変動を考慮して各課金月の日使用時間と目標日使用時間、或いは、単位使用時間と目標単位使用時間をより正確に算出でき、特定顧客により正確な各使用時間の情報を提供できる。
更に、本発明に係る割引料金利用促進システムは、上記第1乃至第6の何れかの特徴に加えて、前記変動パターンは、所定の標準気温における前記特定のエネルギ消費機器の運転開始からの経過時間に対する単位時間当たりのエネルギ使用量或いは累積エネルギ使用量の変動パターンが、前記記憶手段に記憶されており、前記課金月の平均気温と前記標準気温の差に基づいて、前記変動パターンを補正する補正手段を備えていることを第9の特徴とする。これにより、課金月毎の実際の平均気温により気温変動を考慮して各課金月の日使用時間と目標日使用時間、或いは、単位使用時間と目標単位使用時間をより正確に算出でき、特定顧客により正確な各使用時間の情報を提供できる。
更に、本発明に係る割引料金利用促進システムは、上記何れかの特徴に加えて、前記割引料金課金システムが、前記割引を適用する特定顧客の前記特定のエネルギ消費機器の種別の入力を受け付ける機器情報入力手段と、前記特定のエネルギ消費機器の種別と、使用時期と、割引率を相互に関連付けて検索可能に登録してなる割引対象機器テーブルと、前記特定顧客の課金月におけるエネルギ実績使用量の入力を受け付ける使用実績入力手段と、前記特定顧客の課金月における前記一般エネルギ使用量を推定する一般エネルギ使用量推定手段と、前記特定顧客の課金月における前記特定エネルギ使用量を前記エネルギ実績使用量から前記一般エネルギ使用量推定手段が推定した前記一般エネルギ使用量を差し引いた差分値として算出する特定エネルギ使用量推定手段と、前記機器情報入力手段が受け付けた前記特定のエネルギ消費機器の使用時期を、前記割引対象機器テーブルを検索して取得し、前記課金月が前記使用時期に含まれるかを判定する割引適用判定手段と、前記課金月が前記使用時期に含まれ割引適用月と判定された場合に、前記割引対象機器テーブルを検索して前記特定エネルギ使用量に応じた前記割引率を取得し、前記特定エネルギ使用量推定手段が推定した前記特定エネルギ使用量に料金単価と前記割引率を乗じた割引額を計算し、割引を適用しない場合の通常エネルギ料金から前記割引額を差し引いて課金料金を算出する割引料金算出手段と、を備えてなることを第10の特徴とする。
上記第10の特徴の割引料金利用促進システムによれば、特定エネルギ使用量を専用に測定する検針メータを設ける等の顧客毎或いはエネルギ消費機器毎の追加設備を設けずに、特定のエネルギ消費機器が消費した特定エネルギ使用量を簡易に推定でき、推定された特定エネルギ使用量に対して、特定エネルギ使用量が増えるに従い段階的に増える割引率を適用して課金料金を算出することができる。この結果、上記第1乃至第7の特徴と相俟って特定のエネルギ消費機器の利用促進が図れる。
以下、本発明に係る割引料金利用促進システム(以下、適宜「本発明システム」と略称する)の実施形態を図面に基づいて説明する。以下、本発明システムの対象とするエネルギ種別として都市ガスを想定して説明する。
〈第1実施形態〉
本発明システム1は、特定ガス機器(特定のエネルギ消費機器に相当)が消費した特定ガス使用量(特定エネルギ使用量に相当)に対するガス料金(エネルギ使用料金に相当)を特定ガス使用量が増えるに従い段階的に増える割引率により割り引いて、特定ガス機器以外の他のガス機器が消費した一般ガス使用量に対するガス料金とともに課金する割引料金課金システム30と協働し、割引適用対象の特定顧客に対してより高い割引率が適用可能となる特定ガス機器の利用時間を算出して提示するための処理を、コンピュータ演算処理によって実行する割引料金利用促進システムである。
図1に、特定ガス使用量が増えるに従い段階的に増える割引率の一例を示す。図1の例では、特定ガス使用量UがU1,U2,U3(m3)の3つの特異値において、割引率Dが、D1からD2、D2からD3、D3からD4へと段階的に増える。本実施形態では、特定ガス使用量が増えるに従い、増加後の割引率を特定ガス使用量の全体に対して適用して割引額を計算することで、特定ガス機器の使用促進を図るインセンティブとなる。
本発明システム1は、図2に示すように、日使用時間算出手段2、目標日使用時間算出手段3、特定エネルギ使用量予測手段4、出力手段5、及び、記憶手段10を備えて構成される。記憶手段10は、上記各手段2〜5の各処理結果を格納するとともに、特定ガス機器の運転開始からの経過時間tに対する単位時間当たりのガス使用量Gの変動パターン、及び、割引率が段階的に増える特定ガス使用量Uの特異値(U1,U2,U3)を記憶する。また、記憶手段10は、後述する割引料金課金システム30の各手段31、33〜37の各処理結果を格納するのにも用いられる。
本実施形態では、特定ガス機器として床暖房システムを想定する。床暖房システムにおける運転開始からの経過時間tに対する単位時間当たりのガス使用量G(m3/h)の変動パターンの一例を、図3に模式的に示す。床暖房システムの場合、運転開始から経過時間t1まで立ち上がり期間は、床材等が冷えていることから、ガス使用量Gが大きい。また、経過時間t1〜t2の間は、室温がまだ十分に高くないので、ガス使用量Gは定常状態に比べると大きい。経過時間t2後は、室温も安定して定常状態になるため、適温を維持するだけの運転のため、ガス使用量Gは下がる。従って、定常状態では、快適な室内環境が享受するために必要な、単位時間当たりのガス使用量Gが少なくて済むことになる。また、当該変動パターンは気温変動の影響を受けるため、課金月毎の平均気温で標準化された変動パターンを、実験結果等を基に課金月分用意して、記憶手段10に格納している。尚、変動パターンは、図3に示す変移点p1〜p5を節点とする折れ線で近似的に表され、変移点p1〜p5における各経過時間tとガス使用量Gが記憶手段10に記憶される。
日使用時間算出手段2は、割引料金課金システム30において推定された特定ガス使用量Uを課金月の日数で除して1日当たりの特定ガス日使用量F0を算出し、記憶手段10に記憶されている当該課金月の変動パターンで特定ガス機器(床暖房システム)を運転した場合の1日の累積ガス使用量が特定ガス日使用量F0となる経過時間を、特定ガス機器の1日当たりの日使用時間t0として算出する。
目標日使用時間算出手段3は、記憶手段10に記憶した特異値(U1,U2,U3)の中から割引料金課金システム30において推定された特定ガス使用量U以上で最小の目標特異値Uminを検出し、目標特異値Uminを課金月の日数で除して得られる特定エネルギ目標日使用量Fxを算出し、記憶手段10に記憶されている当該課金月の変動パターンで特定ガス機器(床暖房システム)を運転した場合の1日の累積ガス使用量が特定ガス目標日使用量Fxとなる経過時間を、特定ガス機器の1日当たりの目標日使用時間txとして算出する。
更に、目標日使用時間算出手段3は、記憶手段10に記憶した特異値(U1,U2,U3)の中から、後述の特定ガス使用量予測手段4が予測した課金月の翌月の特定ガス使用量の予測値U’以上で最小の目標特異値Umin’を検出し、目標特異値Umin’を翌月の日数で除して得られる特定ガス目標日予測使用量Fx’を算出し、記憶手段10に記憶されている当該課金月の翌月の変動パターンで特定ガス機器を運転した場合の1日の累積ガス使用量が特定ガス目標日予測使用量Fx’となる経過時間を、翌月の特定ガス機器の1日当たりの目標日予測使用時間tx’として算出する。
特定ガス使用量予測手段4(特定エネルギ使用量予測手段に相当)は、日使用時間算出手段2が算出した日使用時間t0に基づいて、記憶手段10に記憶されている課金月の翌月の変動パターンを用いて翌月における特定ガス使用量の予測値U’を算出する。
出力手段5は、割引料金課金システム30において計算された課金月のガス料金(割引料金)や課金月の総ガス使用量を知らせる利用明細伝票を発行するために、所定の伝票用紙に印字出力する印字出力データを作成する。また、出力手段5は、印字出力データと同内容の情報をWEB上で提供するためにWEB出力用の出力データも作成する。印字出力データ及びWEB出力用の出力データには、課金月の総ガス使用量W、特定ガス使用量U、特定ガス機器以外の一般のガス機器で使用された一般ガス使用量V、ガス料金(割引料金)に加えて、日使用時間算出手段2が計算した日使用時間t0と、目標日使用時間算出手段3が計算した目標日使用時間txと、それらの時間差(tx−t0)、更に、翌月の特定ガス使用量の予測値U’、目標日使用時間算出手段3が計算した目標日予測使用時間tx’と、目標日予測使用時間tx’と日使用時間t0の時間差(tx’−t0)が含まれる。
尚、本発明システム1の上記各手段2〜5は、コンピュータのハードウェアとそのハードウェア上で実行されるアプリケーションソフトウェアで構成されている。
本発明システム1は、LANやイントラネット等の所定のコンピュータネットワーク11を介して、割引料金課金システム30、顧客毎の顧客属性を含む顧客情報を管理する顧客データベースサー12、及び、顧客毎の毎月の実績使用量を管理する使用量データベースサーバ13とデータ送受信可能に接続し、割引料金課金システム30において推定された推定された課金月の特定ガス使用量Uを用いて上記処理を実行する。
また、本発明システム1及び割引料金課金システム30は、顧客データベースサーバ12に接続する顧客データベース14及び使用量データベースサーバ13に接続する使用量データベース15を検索可能に構成されている。尚、本発明システム1、割引料金課金システム30、顧客データベースサーバ12、及び、使用量データベースサーバ13は、顧客を個々に識別するために共通の顧客識別番号を使用するものとする。
顧客データベースサーバ12が管理する顧客属性には、例えば、家族人数、家族構成(高齢者や乳幼児等)、昼間の在宅者数、家屋種別(戸建て・集合住宅の区別、木造・コンクリート造の区別等)、使用ガス機器の種別・個数、居住地域、等が含まれる。
使用量データベースサーバ13への顧客毎の毎月の実績使用量の入力は、顧客毎に設置された検針メータの指針値を検針員が毎月所定の検針日に検針し、ハンディーターミナル等の検針用携帯端末に入力して、検針センタ等に設置され、上記コンピュータネットワーク10に接続した入力端末16を介して、使用量データベースサーバ13にアクセスして検針データが入力される。使用量データベースサーバ13は入力された検針データから顧客識別番号をもとに顧客別に検針月の実績使用量を計算して使用量データベース15に登録する。また、検針メータが自動検針用メータである場合は、使用量データベースサーバ13は自動検針用メータから毎月所定の検針日に送信される検針データを、自動検針データ受信装置17を介して受信し、受信した検針データから顧客識別番号をもとに顧客別に検針月の実績使用量を計算して使用量データベース15に登録する。
本実施形態では、割引料金課金システム30は、機器情報入力手段31、割引対象機器テーブル32、使用実績入力手段33、一般エネルギ使用量推定手段34、特定エネルギ使用量推定手段35、割引適用判定手段36、割引料金算出手段37を備えて構成されている。尚、割引料金課金システム30の上記各手段31、33〜37は、コンピュータのハードウェアとそのハードウェア上で実行されるアプリケーションソフトウェアで構成されている。
次に、本発明システム1の各手段2〜5、及び、割引料金課金システム30の各手段31〜37の機能並びにそれらの処理動作について、図2のシステム構成図及び図4と図5のフローチャートを参照して説明する。尚、本発明システム1及び割引料金課金システム30は、ある課金月における複数の顧客に対する課金処理の一環として、以下の処理を実行する。
先ず、ステップ#1の使用実績入力工程において、ある課金月に対する課金処理が開始されると、先ず、使用実績入力手段33が、処理対象の一顧客について使用量データベースサーバ13にアクセスして使用量データベース15を検索し、処理対象の課金月(仮にN年M月とする。)における当該顧客の実績使用量(実績ガス使用量)JNMを取得して一時的に記憶手段10に保存する。
次に、ステップ#2の機器情報入力工程において、機器情報入力手段31が上記処理対象顧客について顧客データベースサーバ12にアクセスして顧客データベース14を検索し、当該顧客の顧客属性を調べる。具体的には、当該検索により、当該顧客が割引料金の対象となる特定ガス機器を保有している特定顧客か否かを判定し(#21)、特定顧客である場合は、当該特定顧客の顧客属性の1つとして、特定ガス機器の機器種別を特定する機器IDと当該特定顧客が当該特定ガス機器の利用を開始した導入時期を顧客データベース14から取得し、一時的に記憶手段10に保存して(#22)、ステップ#3に移行する。上記判定(#21)で特定顧客でないと判定された場合は、本発明方法の処理を実行せずに、ステップ#1で取得した実績使用量を用いて通常の課金処理(ステップ#8)の実行を行う。尚、ステップ#22では、後述するように、機器ID、導入時期とともに当該特定顧客の家族人数、家屋種別、居住地域等の顧客属性も同時に取得しておく。
次に、ステップ#3の割引適用判定工程において、以下の処理を実行する。割引適用判定手段36は、ステップ#2で機器情報入力手段31が取得した特定ガス機器の機器IDを基に、割引対象機器テーブル32を検索して、当該顧客が保有する特定ガス機器の使用時期を取得し、処理対象の課金月が取得した使用時期に含まれるかを判定する。ここで、処理対象の課金月が取得した使用時期に含まれない場合は、通常の課金処理(ステップ#12)へ移行し、処理対象の課金月が取得した使用時期に含まれる場合は、ステップ#4に移行する。
ここで、割引対象機器テーブル32について簡単に説明する。例えば、割引対象となるガス機器が複数存在する場合、それらの機器ID、機器名称、使用時期、適用する割引率(D)が、1機種1レコードとしてテーブル形式で保存されている。割引対象機器テーブル32は、記憶手段10の所定の記憶領域に格納されていて、割引適用判定手段36及び割引料金算出手段37が検索可能に構成されている。尚、割引対象機器テーブル32は、割引率(D)に代えて1から割引率を引いた掛け率(1−D)であっても構わない。尚、本実施形態では、図1に示すように、割引率(D)は一律ではなく、特定ガス使用量Uが増えるに従い段階的に増えるため、割引対象機器テーブル32には、特異値(U1,U2,U3)と各特異値の前後での割引率(D1〜D4)が記憶されている。
次に、ステップ#4の一般エネルギ使用量推定工程において、上記特定顧客の処理対象の課金月(仮にN年M月とする。)における一般ガス使用量(一般エネルギ使用量に相当)S0を推定する。尚、一般ガス使用量とは、特定ガス機器以外のガス機器が消費したガス使用量を意味する。具体的には、先ず、一般エネルギ使用量推定手段34が、使用量データベースサーバ13にアクセスして使用量データベース15を検索し、ステップ#2で取得した特定ガス機器の導入時期(仮にN年L月とする。但し、L<M)より前で課金月と同月(仮に(N−1)年M月とする。)の実績使用量J(N−1)Mを取得し、当該実績使用量J(N−1)Mを仮に一般ガス使用量Vとして推定する(#41)。次に、月に一度、外部の気象データベースにアクセスして、各月の各居住地域別の気温データを取得し、記憶手段10に検索可能にしてある当該気温データの内の、当該特定顧客の居住地域における課金月(N年M月)とそれより前の同月((N−1)年M月)の気温データTNMとT(N−1)Mを取得する(#42)。ここで、当該特定顧客の家族人数、家屋種別、居住地域を含む顧客属性は、ステップ#2の機器情報入力工程で機器ID、導入時期とともに取得しておく。次に、予め顧客属性別に作成され記憶手段10の所定の記憶領域に格納されている気温感度テーブルにアクセスして、当該特定顧客の顧客属性に対応する気温T(N−1)Mにおける一般ガス使用量Vに対する気温TNMへの補正係数Aを取得して、実績使用量J(N−1)Mに当該補正係数Aを乗じて、補正後の気温TNMでの一般ガス使用量Vとする(#43)。かかる補正を施すのは、ガス使用量は気温が低いほど多くなるためであり、また、当該気温感度が顧客属性に依存して異なるためである。
次に、ステップ#5の特定エネルギ使用量推定工程において、特定エネルギ使用量推定手段35が、特定ガス機器が消費した特定ガス使用量Uを、課金月(N年M月)の実績使用量JNM(課金月の総ガス使用量W)からステップ#4で推定した一般ガス使用量Vを差し引いた差分値(U=W−V)として算出する。
次に、ステップ#6の割引料金算出工程において、割引料金算出手段37が課金月(N年M月)の割引後の課金料金K1を下記の数1または数2に示す算出式で算出する。数1中において、Pは単位ガス使用量当たりの料金単価、Dは割引率である。尚、数1と数2は、相互に一方から他方が導出される等価な関係にある。また、数2の右辺第1項は、割引を施さない通常の課金料金に等しく、同右辺第2項が割引額となっている。
(数1)
K1=V×P+U×P×(1−D)
(数2)
K1=W×P−U×P×D
次に、ステップ#7の日使用時間算出工程において、日使用時間算出手段2がステップ#5の特定エネルギ使用量推定工程で算出された特定ガス使用量Uを課金月(N年M月)の日数dで除して1日当たりの特定ガス日使用量F0(=U/d)を算出し(#71)、記憶手段10に記憶されている当該課金月(N年M月)の変動パターンで特定ガス機器を運転した場合の1日の累積ガス使用量が特定ガス日使用量F0となる経過時間を、特定ガス機器の1日当たりの日使用時間t0として算出する(#72)。
次に、ステップ#8の目標日使用時間算出工程において、目標日使用時間算出手段3が、記憶手段10に記憶した特異値(U1,U2,U3)の中から特定ガス使用量U以上で最小の目標特異値Uminを検出し(#81)、目標特異値Uminを課金月(N年M月)の日数dで除して得られる特定エネルギ目標日使用量Fxを算出し(#82)、記憶手段10に記憶されている当該課金月(N年M月)の変動パターンで特定ガス機器を運転した場合の1日の累積ガス使用量が特定ガス目標日使用量Fxとなる経過時間を、特定ガス機器の1日当たりの目標日使用時間txとして算出する(#83)。
次に、ステップ#9の特定ガス使用量予測工程において、特定ガス使用量予測手段4が、日使用時間算出手段2が算出した日使用時間t0に基づいて、記憶手段10に記憶されている課金月の翌月(N年(M+1)月)の変動パターンを用いて翌月における特定ガス使用量の予測値U’を算出する。具体的には、例えば、特定ガス機器が床暖房システムである場合を想定すると、特定ガス機器の1日の平均的な使用時間は、課金月とその翌月との間で課金月の月(M)に応じた一定の変動比Rt0(M)を想定し、課金月の日使用時間t0に変動比Rt0(M)を乗じて翌月の日使用時間をt0’とする。そして、翌月の(N年(M+1)月)の変動パターンを用いて運転開始からの経過時間がt0’までの単位時間当たりのガス使用量Gを積算して1日当たりの特定ガス日予測使用量F0’を算出し(#91)、これに翌月の日数d’を乗じて翌月における特定ガス使用量の予測値U’(=F0’×d’)を算出する(#92)。尚、変動比Rt0(M)は、例えば、特定ガス機器の使用実績が1年以上の場合は、前年の各月の日使用時間t0を用いて計算した前年同月の変動比Rt0の実績値を使用し、使用実績が1年未満の場合は、所定のデフォルト値を使用する。
次に、ステップ#10の目標日予測使用時間算出工程において、目標日使用時間算出手段3が、記憶手段10に記憶した特異値(U1,U2,U3)の中から、ステップ#9の特定ガス使用量予測工程において予測した翌月(N年(M+1)月)の特定ガス使用量の予測値U’以上で最小の目標特異値Umin’を検出し、目標特異値Umin’を翌月の日数d’で除して得られる特定ガス目標日予測使用量Fx’(=Umin’/d’)を算出し(#101)、記憶手段10に記憶されている翌月(N年(M+1)月)の変動パターンで特定ガス機器を運転した場合の1日の累積ガス使用量が特定ガス目標日予測使用量Fx’となる経過時間を、翌月の特定ガス機器の1日当たりの目標日予測使用時間tx’として算出する(#102)。
次に、ステップ#11の出力工程において、以下の処理を実行する。先ず、特定顧客に課金料金K1や課金月の総ガス使用量Wを知らせる利用明細伝票を発行するために、出力手段5が、所定の伝票用紙に印字出力する印字出力データを作成する(#111)。印字出力データは、課金月(N年M月)のエネルギ実績使用量JNM(総ガス使用量W)と一般ガス使用量Vと特定ガス使用量U、翌月の特定ガス使用量の予測値U’、課金月の一般ガス使用量Vに対するガス料金(V×P)と特定エネルギ使用量Uに対するガス料金(U×P×(1−D))または割引額(U×P×D)またはその両方、及び、課金料金K1を、各値を相互に比較できるように例えば所定の表形式とグラフ形式で生成される。更に、印字出力データは、日使用時間t0、目標日使用時間tx、それらの時間差(tx−t0)、目標日予測使用時間tx’、目標日予測使用時間tx’と日使用時間t0の時間差(tx’−t0)が含まれる。出力手段5は、作成された印字出力データを所定の伝票発行用のプリンタ装置18にコンピュータネットワーク11を介して出力し、利用明細伝票がプリント出力される(#112)。利用明細伝票への印字例としては、例えば、「M月の○○様の床暖房のガス使用量はU(m3)で、割引率はD2でした。1日当たりの床暖房の使用時間を(tx−t0)時間増やすことで、割引率はD3となります。翌月は、平均気温が下がるため、床暖房のガス使用量はU’(m3)となる見込みです。1日当たりの床暖房の使用時間をM月より(tx’−t0)時間増やすことで、割引率はD3となると見込みで、より割安に床暖房をご使用頂けます。」等が考えられる。
ステップ#11の出力工程では、インターネット20を介して、特定顧客からの課金内容の閲覧要求があった場合(#113)に、出力手段5が、上記印字出力データと同等内容の出力データをWEB形式で出力する(#114)。具体的には、顧客向けに開設しているホームページを管理しているWEBサーバ19がコンピュータネットワーク11を介して本発明システム1と相互にデータ送受信可能に接続され、WEBサーバ19が上記閲覧要求に応答して、特定顧客と課金月を特定して出力手段5にWEB形式で出力データの出力を要求し、出力手段5が当該特定顧客と課金月に対応する出力データを作成して、WEBサーバ19に送信する(#115)。WEBサーバ19は、受信した出力データを、インターネット20を介して、特定顧客のコンピュータ端末21に送信する。出力データは、コンピュータ端末21の表示画面上で閲覧できる。尚、コンピュータ端末21を経由して、家庭内のネットワークを介して、台所リモコンや給湯器リモコン等の表示画面上に出力データを表示するようにしても構わない。
ステップ#2の判定(#22)或いはステップ#3の判定において通常の課金処理(ステップ#12)へ移行した場合は、ステップ#12において、数3の算出式による通常の割引無しの課金料金K0が算出される。
(数3)
K0=W×P
〈第2実施形態〉
次に、本発明システムの第2実施形態について説明する。第2実施形態では、図6に示すように、第2実施形態に係る本発明システム1’は、運転回数算出手段6、単位使用時間算出手段7、目標単位使用時間算出手段8、特定エネルギ使用量予測手段9、出力手段5、及び、記憶手段10を備えて構成される。尚、本発明システム1’の割引料金課金システム30及び周辺装置12〜19との接続関係は第1実施形態と同じである。第1実施形態との相違点は、日使用時間算出手段2に代えて単位使用時間算出手段7を、目標日使用時間算出手段3に代えて目標単位使用時間算出手段8を備えている点と、新たに運転回数算出手段6を備えている点である。更に、出力手段5と記憶手段10は、基本的な機能は第1実施形態と同じであるが、取り扱うデータが、各手段6〜9が生成したデータ、及び、各手段6〜9の各処理に使用するデータである点で第1実施形態と僅かに異なる。
第2実施形態においても、特定ガス機器として床暖房システムを想定する。従って、記憶手段10は、上記各手段6〜9の各処理結果及び割引料金課金システム30の各手段31、33〜37の各処理結果を格納するとともに、特定ガス機器の運転開始からの経過時間tに対する単位時間当たりのガス使用量Gの変動パターン、及び、割引率が段階的に増える特定ガス使用量Uの特異値(U1,U2,U3)を記憶する。
運転回数算出手段6は、特定ガス機器の課金月における運転回数を、記憶手段10に予め登録された利用パターンに基づいて算出する。利用パターンは、例えば、特定顧客の特定ガス機器の1日当たりの運転回数(運転開始から停止までを1回とする。運転制御として内部的に断続運転しているものは除外する。)を曜日別或いは平日と休日の別に登録する。具体的には、特定顧客に対して平均的な利用形態での運転回数の聞き取り調査を行い、その結果を利用パターンとして登録しておく。例えば、月曜日〜金曜日は昼間外出しているため、朝夕の2回使用し、休日は1日を通して1回という場合等が想定される。従って、運転回数算出手段6は、利用パターンから課金月内の1日の運転回数が1回の日数d1と運転回数が2回の日数d2と運転回数が3回の日数d3を算出して、課金月における運転回数nを数4の算出式により算出する。本実施形態では、運転回数は1日に4回以上とならない場合を想定しているが、4回以上を含む場合は、数4の算出式の右辺に4回以上の日数とその回数の積を順次加えればよい。また、運転回数算出手段6は、同様にして課金月の翌月の運転回数n’も算出する。
(数4)
n=n1+2×n2+3×n3
単位使用時間算出手段7は、割引料金課金システム30において推定された特定ガス使用量Uを運転回数算出手段6が算出した課金月の運転回数nで除して1回当たりの特定ガス単位使用量F2(=U/n)を算出し、記憶手段10に記憶されている当該課金月の変動パターンで特定ガス機器(床暖房システム)を運転した場合の1回の累積ガス使用量が特定ガス単位使用量F2となる経過時間を、特定ガス機器の1回当たりの単位使用時間t2として算出する。
目標単位使用時間算出手段8は、記憶手段10に記憶した特異値(U1,U2,U3)の中から割引料金課金システム30において推定された特定ガス使用量U以上で最小の目標特異値Uminを検出し、目標特異値Uminを課金月の運転回数nで除して得られる特定エネルギ目標単位使用量Fy(=Umin/n)を算出し、記憶手段10に記憶されている当該課金月の変動パターンで特定ガス機器を運転した場合の1回の累積ガス使用量が特定ガス目標単位使用量Fyとなる経過時間を、特定ガス機器の1回当たりの目標単位使用時間tyとして算出する。
更に、目標単位使用時間算出手段8は、記憶手段10に記憶した特異値(U1,U2,U3)の中から、後述の特定ガス使用量予測手段9が予測した課金月の翌月の特定ガス使用量の予測値U’以上で最小の目標特異値Umin’を検出し、目標特異値Umin’を翌月の運転回数n’で除して得られる特定ガス目標単位予測使用量Fy’を算出し、記憶手段10に記憶されている当該課金月の翌月の変動パターンで特定ガス機器を運転した場合の1回の累積ガス使用量が特定ガス目標単位予測使用量Fy’となる経過時間を、翌月の特定ガス機器の1回当たりの目標単位予測使用時間ty’として算出する。
特定ガス使用量予測手段9(特定エネルギ使用量予測手段に相当)は、単位使用時間算出手段7が算出した単位使用時間t2に基づいて、記憶手段10に記憶されている課金月の翌月の変動パターンを用いて翌月における特定ガス使用量の予測値U’を算出する。
出力手段5は、割引料金課金システム30において計算された課金月のガス料金(割引料金)や課金月の総ガス使用量を知らせる利用明細伝票を発行するために、所定の伝票用紙に印字出力する印字出力データを作成する。印字出力データには、課金月の総ガス使用量W、特定ガス使用量U、特定ガス機器以外の一般のガス機器で使用された一般ガス使用量V、ガス料金(割引料金)に加えて、単位使用時間算出手段7が計算した単位使用時間t2と、目標単位使用時間算出手段8が計算した目標単位使用時間tyと、それらの時間差(ty−t2)、更に、翌月の特定ガス使用量の予測値U’、目標単位使用時間算出手段8が計算した目標単位予測使用時間ty’と、目標単位予測使用時間ty’と単位使用時間t2の時間差(ty’−t2)が含まれる。
尚、本発明システム1’の上記各手段6〜9は、コンピュータのハードウェアとそのハードウェア上で実行されるアプリケーションソフトウェアで構成されている。
次に、本発明システム1’の各手段5〜9の機能並びにそれらの処理動作について、図6のシステム構成図及び図7のフローチャートを参照して説明する。尚、割引料金課金システム30の各手段31〜37の機能並びにそれらの処理動作については、第1実施形態の処理ステップ#1〜#6(図4参照)と同じであるので、重複する説明は割愛する。
割引料金課金システム30のステップ#6に引き続き、ステップ#13の運転回数算出工程において、運転回数算出手段6が、記憶手段10に予め登録された利用パターンに基づき、上記数4の算出式により課金月(N年M月)における運転回数nを算出する。更に、同じ利用パターンに基づき、上記数4と同様の算出式により課金月(N年(M+1)月)における運転回数n’を算出する。
次に、ステップ#14の単位使用時間算出工程において、単位使用時間算出手段7がステップ#5(図4参照)の特定エネルギ使用量推定工程で算出された特定ガス使用量Uを課金月(N年M月)の運転回数nで除して1回当たりの特定ガス日使用量F2(=U/n)を算出し(#141)、記憶手段10に記憶されている当該課金月(N年M月)の変動パターンで特定ガス機器を運転した場合の1回の累積ガス使用量が特定ガス日使用量F2となる経過時間を、特定ガス機器の1回当たりの単位使用時間t2として算出する(#142)。
次に、ステップ#15の目標単位使用時間算出工程において、目標単位使用時間算出手段8が、記憶手段10に記憶した特異値(U1,U2,U3)の中から特定ガス使用量U以上で最小の目標特異値Uminを検出し(#151)、目標特異値Uminを課金月(N年M月)の運転回数nで除して得られる特定エネルギ目標単位使用量Fyを算出し(#152)、記憶手段10に記憶されている当該課金月(N年M月)の変動パターンで特定ガス機器を運転した場合の1回の累積ガス使用量が特定ガス目標単位使用量Fyとなる経過時間を、特定ガス機器の1回当たりの目標単位使用時間tyとして算出する(#153)。
次に、ステップ#16の特定ガス使用量予測工程において、特定ガス使用量予測手段9が、単位使用時間算出手段7が算出した単位使用時間t2に基づいて、記憶手段10に記憶されている課金月の翌月(N年(M+1)月)の変動パターンを用いて翌月における特定ガス使用量の予測値U’を算出する。具体的には、例えば、特定ガス機器が床暖房システムである場合を想定すると、特定ガス機器の1回の平均的な使用時間は、課金月とその翌月との間で課金月の月(M)に応じた一定の変動比Rt2(M)を想定し、課金月の単位使用時間t2に変動比Rt2(M)を乗じて翌月の日使用時間をt2’とする。そして、翌月の(N年(M+1)月)の変動パターンを用いて運転開始からの経過時間がt2’までの単位時間当たりのガス使用量Gを積算して1回当たりの特定ガス単位予測使用量F2’を算出し(#161)、これに翌月の運転回数n’を乗じて翌月における特定ガス使用量の予測値U’(=F2’×n’)を算出する(#162)。尚、変動比Rt2(M)は、例えば、特定ガス機器の使用実績が1年以上の場合は、前年の各月の単位使用時間t2を用いて計算した前年同月の変動比Rt2の実績値を使用し、使用実績が1年未満の場合は、所定のデフォルト値を使用する。
次に、ステップ#17の目標単位予測使用時間算出工程において、目標単位使用時間算出手段8が、記憶手段10に記憶した特異値(U1,U2,U3)の中から、ステップ#16の特定ガス使用量予測工程において予測した翌月(N年(M+1)月)の特定ガス使用量の予測値U’以上で最小の目標特異値Umin’を検出し、目標特異値Umin’を翌月の運転回数n’で除して得られる特定ガス目標単位予測使用量Fy’ (=Umin’/n’)を算出し(#171)、記憶手段10に記憶されている翌月(N年(M+1)月)の変動パターンで特定ガス機器を運転した場合の1回の累積ガス使用量が特定ガス目標単位予測使用量Fy’となる経過時間を、翌月の特定ガス機器の1回当たりの目標単位予測使用時間ty’として算出する(#172)。
次に、ステップ#18の出力工程において、以下の処理を実行する。先ず、特定顧客に課金料金K1や課金月の総ガス使用量Wを知らせる利用明細伝票を発行するために、出力手段5が、所定の伝票用紙に印字出力する印字出力データを作成する(#181)。印字出力データは、課金月(N年M月)のエネルギ実績使用量JNM(総ガス使用量W)と一般ガス使用量Vと特定ガス使用量U、翌月の特定ガス使用量の予測値U’、課金月の一般ガス使用量Vに対するガス料金(V×P)と特定エネルギ使用量Uに対するガス料金(U×P×(1−D))または割引額(U×P×D)またはその両方、及び、課金料金K1を、各値を相互に比較できるように例えば所定の表形式とグラフ形式で生成される。更に、印字出力データは、単位使用時間t2、目標単位使用時間ty、それらの時間差(ty−t2)、目標単位予測使用時間ty’、目標単位予測使用時間ty’と単位使用時間t2の時間差(ty’−t2)が含まれる。出力手段5は、作成された印字出力データを所定の伝票発行用のプリンタ装置18にコンピュータネットワーク11を介して出力し、利用明細伝票がプリント出力される(#182)。利用明細伝票への印字例としては、例えば、「M月の○○様の床暖房のガス使用量はU(m3)で、割引率はD2でした。1回当たりの床暖房の使用時間を(ty−t2)時間増やすことで、割引率はD3となります。翌月は、平均気温が下がるため、床暖房のガス使用量はU’(m3)となる見込みです。1回当たりの床暖房の使用時間をM月より(ty’−t2)時間増やすことで、割引率はD3となると見込みで、より割安に床暖房をご使用頂けます。」等が考えられる。
ステップ#18の出力工程では、インターネット20を介して、特定顧客からの課金内容の閲覧要求があった場合(#183)に、出力手段5が、上記印字出力データと同等内容の出力データをWEB形式で出力する(#184)。具体的には、顧客向けに開設しているホームページを管理しているWEBサーバ19がコンピュータネットワーク11を介して本発明システム1と相互にデータ送受信可能に接続され、WEBサーバ19が上記閲覧要求に応答して、特定顧客と課金月を特定して出力手段5にWEB形式で出力データの出力を要求し、出力手段5が当該特定顧客と課金月に対応する出力データを作成して、WEBサーバ19に送信する(#185)。WEBサーバ19は、受信した出力データを、インターネット20を介して、特定顧客のコンピュータ端末21に送信する。
第2実施形態において、特定ガス機器の運転回数が毎日1回の場合は、第1実施形態と同じになる。従って、第2実施形態の本発明システムでは、特定ガス機器の多様な利用形態に対応可能な構成となっている。
以下に、本発明システムの別の実施形態につき説明する。
〈1〉上記各実施形態では、本発明システム1,1’の処理で使用される特定ガス使用量Uは、割引料金課金システム30において推定された値を用いるが、その推定手法は、上記実施形態で例示した推定手法に限定されるものではない。従って、割引料金課金システム30の構成は、図2または図6に例示する構成に限定されるものではない。また、本発明システム1,1’の周辺装置12〜19との接続関係は、上記実施形態に限定されるものではない。
〈2〉上記各実施形態では、特定ガス機器の運転開始からの経過時間に対する単位時間当たりのガス使用量G(m3/h)の変動パターンは、課金月別に、各課金月の標準気温で標準化された変動パターンが記憶手段10に格納され、本発明システム1,1’の各処理に利用される。ところで、課金月の平均気温及びその翌月の予想平均気温は、各課金月の変動パターンの設定時に想定した標準気温との間に誤差が生じる場合がある。従って、本発明システム1,1’に変動パターンを課金月の平均気温の実績値及びその翌月の予想平均気温に基づいて補正する変動パターン補正手段を設けて、補正後の変動パターンを上記各処理において使用するのが好ましい。変動パターンの補正処理は、平均気温の実績値または予想平均気温に近い2以上の変動パターンを記憶手段10に格納された各課金月の変動パターンの中から抽出して、抽出された変動パターンの変移点p1〜p5の経過時間t及び単位時間当たりのガス使用量Gの値を当該変動パターンの標準気温を用いて補間処理する。
〈3〉上記各実施形態では、特定ガス機器の運転開始からの経過時間に対する単位時間当たりのガス使用量G(m3/h)の変動パターンは、課金月別に、各課金月の標準気温で標準化された変動パターンが記憶手段10に格納され、本発明システム1,1’の各処理に利用される。これに代えて、課金月に関係なく、複数の標準気温(例えば、5℃刻み)で標準化された変動パターンを記憶手段10に用意しておき、課金月の平均気温の実績値及びその翌月の予想平均気温に基づいて、必要な変動パターンを当該変動パターンの標準気温を用いて補間処理により都度生成するようにしても構わない。
また、課金月に関係なく、所定の標準気温で標準化された1つの変動パターンを記憶手段10に用意しておき、課金月の平均気温の実績値及びその翌月の予想平均気温に基づいて、必要な変動パターンの変移点p1〜p5の経過時間t及び単位時間当たりのガス使用量Gの値を、各変移点p1〜p5に設定された気温感度に基づいて、各変移点p1〜p5の経過時間t及び単位時間当たりのガス使用量Gの値を計算するようにしても構わない。
〈4〉上記各実施形態では、目標特異値Uminとして、特異値(U1,U2,U3)の中から割引料金課金システム30において推定された特定ガス使用量U以上で最小の値を選択し、目標特異値Umin’ として、特異値(U1,U2,U3)の中から特定ガス使用量予測手段4,9が予測した課金月の翌月の特定ガス使用量の予測値U’以上で最小の値を選択したが、目標特異値Umin及び目標特異値Umin’は夫々最小の値でなくてもよく、また、最小の値を含む複数の目標特異値Umin及び目標特異値Umin’としても構わない。
〈5〉上記第1実施形態では、目標日使用時間算出手段3は、ステップ#8の目標日使用時間算出工程において、特定ガス機器の1日当たりの目標日使用時間txを算出し、ステップ#10の目標日予測使用時間算出工程において、翌月の特定ガス機器の1日当たりの目標日予測使用時間tx’を算出する場合を説明したが、目標日使用時間txと目標日予測使用時間tx’の何れか一方だけを算出して、ステップ#11の出力工程において、出力手段5が算出された方の目標日使用時間txまたは目標日予測使用時間tx’、或いは、時間差(tx−t0)または(tx’−t0)を利用明細伝票に印字するようにしても構わない。尚、目標日使用時間txだけを算出する場合には、ステップ#9の特定ガス使用量予測工程が不要となり、特定ガス使用量予測手段4も不要となる。
〈6〉上記第2実施形態では、目標単位使用時間算出手段8は、ステップ#15の目標単位使用時間算出工程において、特定ガス機器の1回当たりの目標単位使用時間tyを算出し、ステップ#17の目標単位予測使用時間算出工程において、翌月の特定ガス機器の1回当たりの目標単位予測使用時間ty’を算出する場合を説明したが、目標単位使用時間tyと目標単位予測使用時間ty’の何れか一方だけを算出して、ステップ#18の出力工程において、出力手段5が算出された方の目標単位使用時間tyまたは目標単位予測使用時間ty’、或いは、時間差(ty−t2)または(ty’−t2)を利用明細伝票に印字するようにしても構わない。尚、目標単位使用時間tyだけを算出する場合には、ステップ#16の特定ガス使用量予測工程が不要となり、特定ガス使用量予測手段9も不要となる。
〈7〉上記各実施形態では、特定ガス機器の運転開始からの経過時間に対する単位時間当たりのガス使用量G(m3/h)の変動パターンが、記憶手段10に格納されている場合を説明したが、当該変動パターンに代えて、特定ガス機器の運転開始からの経過時間に対するガス使用量G(m3/h)の累積使用量(m3)の変動パターンを記憶手段10に格納し、本発明システム1,1’の各処理に利用しても構わない。
〈8〉上記各実施形態では、説明の便宜上、特定ガス機器が1機種の場合を想定して説明したが、特定ガス機器は2機種以上でも構わない。この場合、出力工程(#11、#18)以外の上記ステップ#7〜#10(図5参照)、或いは、上記ステップ#13〜#17(図7参照)の処理は、機種毎に実行すればよい。
〈9〉上記各実施形態では、説明の便宜上、エネルギ種別を都市ガスとしたが、エネルギ種別は都市ガスに限定されるものではない。