JP2006234773A - ガラス状化イメージングプレート - Google Patents

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Abstract

【課題】
X線あるいはγ線に対して吸収断面積の大きなPb(鉛)を構成材料元素として含んだX線及びγ線に高感度なイメージングプレートを提供する。
【解決手段】
輝尽性蛍光体BaFX:Eu2+(X:I(ヨウ素),Br(臭素),Cl(塩素))粉末と鉛ガラス粉末とを混合し、基板に塗布した後、450℃以上650℃以下の温度範囲内で焼結し、ガラス状化し、X線及びγ線に高感度なイメージングプレートとする。
【選択図】図1

Description

本発明のX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートは、X線マンモグラフィ装置や胃カメラ診断などのX線撮像装置において高感度・高空間分解能X線イメージ検出器として使用される。また、工業的に行われているX線ラジオグラフィ装置などの高エネルギーX線用イメージ検出器としても使用される。
本発明の中性子イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートは、原子炉から発生する中性子を用いた中性子散乱実験装置用の高感度・高空間分解能中性子イメージ検出器として使用される。また、中性子ラジオグラフィ用の高感度・高空間分解能中性子イメージ検出器としても使用される。
従来、輝尽性蛍光体としてBaFBr:Eu2+を主成分として用いたX線用あるいはγ線用イメージングプレートが市販されてきた。このイメージングプレートの場合、X線あるいはγ線と反応を起こし電子を発生するのは構成元素の中で一番原子番号Zが56と大きい
Ba(バリウム)である。さらに、高感度化をねらって最近Br(臭素)の代わりに原子番号Zが53のI(ヨウ素)を用いたBaFI:輝尽性蛍光体を用いたイメージングプレートが市販された。
一方、中性子用イメージングプレートとしては、中性子捕獲断面積の大きなGdを含むGd23を中性子コンバータとして用い、輝尽性蛍光体としてBaFBr:Eu2+を用いた中性子イメージングプレートが市販されてきた。また、中性子捕獲断面積はGdに比較すると低いが(n,α)反応により生成する粒子のエネルギーが約5MeVと非常に大きい6Liを含んだ6LiFを中性子コンバータとして用いた中性子イメージングプレートが試験的に製作された。
これらのイメージングプレートは、図12の従来例に示すように、輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末を接着剤と混ぜて基板に塗布する事により製作されてきた。
X線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートの高感度化及び高エネルギーX線への対応を可能にするには、輝尽性蛍光体内部あるいはイメージングプレートの構成素材に原子番号Zの大きな重い元素を含みX線に対する吸収断面積の増大を図る必要がある。
しかし、現在、輝尽性蛍光体内部にBaあるいはIよりも原子番号Zの大きな重い元素を含み輝尽性の発光強度が強い輝尽性蛍光体は発見されていない。
このため、本発明において、イメージングプレートの構成素材に原子番号Zが82と大きい重い元素である鉛(Pb)を導入する方法を考案した。
一方、現在用いられている中性子イメージングプレートでは、中性子コンバータとしてGd23を用いているが、中性子捕獲断面積は大きいものの(n,e)反応により放出される2次電子が約80keVと小さくかつGd自体の原子番号Zが64と大きい。このため、中性子イメージを検出する上で非常に大きな性能指標であるn/γ比(γ線バッグラウンドに対する影響度)が悪い。このため、中性子コンバータとして軽い元素でかつ中性子の捕獲反応により大きなエネルギーを放出する元素を用いる必要がある。この条件に合う元素として
10B(ホウ素)がある。しかし、10Bを構成元素としたSrBPO5:Eu2+などの輝尽性蛍光体が色々開発されてきたが、輝尽性蛍光体内での10Bの構成割合が低いことと輝尽性発光特性もBaFX:Eu2+比較して良くないことから市販されてはいない。
このため、本発明において、イメージングプレートの構成素材に中性子コンバータ素材である10Bを導入する方法を考案した。
イメージングプレートの構成素材に原子番号Zの大きな重い元素を導入する方法として、透明な鉛ガラスを輝尽性蛍光体粉末の周囲に配置し鉛ガラスとX線あるいはγ線との各反応により放出される電子を輝尽性蛍光体で検出する方法を考案した。しかし、従来から用いられている接着剤により配置する方法では、接着剤中での電子の損失も大きくかつ鉛ガラスのイメージングプレート内での組成比も小さくなることから使うことができない。本発明では、鉛ガラスをX線あるいはγ線の捕獲材として使うと同時に鉛ガラスが低融点ガラスであることを利用して接着剤として利用する。
一方、中性子用イメージングプレートについては、10Bを中性子コンバータとして用いた場合、中性子捕獲反応により放出されるα粒子及び7Li粒子の飛程が非常に短かいことから、接着剤を用いた10Bの中性子イメージングプレートへの導入では、蛍光量が少なくなりかつイメージングプレート内での10Bの組成比も小さくなる。本発明では、無水ホウ酸(B23)が低温度で溶融しガラス化することを利用して、中性子コンバータとして用いると同時に接着剤として利用する
(実施例1)
実施例1として、輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末と、酸化鉛(PbO)及び無水ホウ酸(B23)を主なガラス形成酸化物とした鉛ガラスとを、均一に混合した粉末を基板に塗布し焼結して製作したX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートについて説明する。図1に示すように、本実施例においては、従来の接着剤の代わりに低融点ガラスである鉛ガラスを使用する。この鉛ガラスは接着剤の役割の他に、もう一つの役割としてX線あるいはγ線の吸収体の役割を有する。原子番号Zが82である鉛が含まれているため、吸収断面積が大きいことを利用する。X線あるいはγ線と反応すると電子を発生し、その電子を輝尽性蛍光体であるBaFBr:Eu2+が潜像として蓄積する。蓄積された潜像は、測定後に励起レーザー光を用いて、スキャンすることによりX線あるいはγ線のイメージングプレート内部への蓄積量を求め、最終的にイメージを検出する。従って、鉛ガラス自体が透明である必要がある。本実施例では、酸化鉛(PbO)として60mol%及び無水ホウ酸(B23)として40mol%の鉛ガラスを用いた。
鉛ガラスとして50Wt%及び輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末として50Wt%の割合で、それぞれの重量を120mg用い、300mgのエタノール内で良く混合し、2
cmx2cmのサイズのアルミニウム基板に塗布した。エタノールが揮発した後、電気炉において630℃において20分間焼結し、常温まで冷却した。
本イメージングプレートについて、鉛ガラスと一緒の焼結による蛍光スペクトルへの影響を評価した。評価用の放射線線源としてはAm−241から放出される5.4MeVのα線を用いた。α線照射により発生する即発蛍光のスペクトルを日立製分光蛍光光度計F−2500を用いて測定した。比較のため同じ輝尽性蛍光体を接着剤としてラッカー塗料を用いて作製した基準試料と共に図2に示す。蛍光スペクトルの形状とその強度はほほ同じであり、即発蛍光においてはほとんど劣化がないことが確認できた。
次にX線イメージあるいはγ線イメージ検出するために用いる輝尽性蛍光に関する特性についてγ線を用いて評価した。励起波長としては520nmを用いた。γ線のエネルギーが60keVの時に得られた輝尽性蛍光特性を基準試料の特性と共に図3に示す。輝尽性蛍光の量は少し少ないものの減衰特性等については、ほほ同じ特性が得られることが確認できた。さらに、γ線のエネルギーを80keVまで上げた場合の輝尽性蛍光特性を図4に示す。本エネルギーの場合には、ほぼ同じ輝尽性蛍光の量が得られることが確認できた。
この結果より、本イメージングプレートはX線あるいはガンマ線エネルギーが高くなるほど従来のイメージングプレートに対して感度が上がることが確認できた。
α線による即発蛍光での評価とγ線による輝尽性蛍光の評価があまり変わらないことが確認できたため、輝尽性蛍光体BaFCl:Eu2+粉末については、上記BaFCl:Eu2+粉末を用いた場合と同じ方法で焼結温度のみ580℃に変えて作製した試料について、α線による即発蛍光での評価を行った。評価結果を図5に示す。BaFCl:Eu2+の場合には、580℃の焼結により多少スペクトルの長波長側にふくらみが生じ劣化することが確認できた。この結果、580℃まではほとんど劣化無く使用できることが確認できた。
輝尽性蛍光体BaFI:Eu2+粉末についても同様に、上記BaFBr:Eu2+粉末を用いた場合と同じ方法で焼結温度のみ550℃に変えて作製した試料について、α線による即発蛍光での評価を行った。その結果、BaFI:Eu2+の場合には、550℃の焼結ではほとんど劣化しないことが確認できた。しかし、580℃までは温度を上げた場合、蛍光量が急激に下がり600℃では数十分1程度に劣化することを確認した。
以上の結果より、輝尽性蛍光体BaFX:Eu2+(X:I(ヨウ素),Br(臭素),
Cl(塩素))粉末の全てについて、焼結温度は変わるものの本発明が実施出来ることが確認できた。
さらに、上記で述べた鉛ガラスの組成として酸化鉛(PbO)及び無水ホウ酸(B23)を主なガラス形成酸化物の他に、ZnO、SiO2、Al23等の酸化物をそれぞれあるいは2つ以上付加することも可能である。これは、酸化鉛(PbO)と無水ホウ酸(B23)のみを用いた鉛ガラスの場合、ガラスとして、吸湿性等に問題が多少あるためである。ガラス特性を改善するため、これらの酸化物についてはガラス化範囲内でかつ透明であることが可能な組成比率で付加することになる。付加する量は、いずれの酸化物も融点を上げる効果を持つことから5%以下を付加する。
(実施例2)
実施例2では、実施例1において製作したX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートの鉛ガラスを構成する無水ホウ酸(B23)として、11B同位体の組成比が99%以上の無水ホウ酸(1123)を用いる。無水ホウ酸(B23)の自然に存在するBの中には中性子と捕獲反応を起こしα線と6Liを放出する10B同位体が20%存在する。このため、中性子が存在する場で本イメージングプレートを用いた場合、中性子との弁別が出来ないため正確なX線イメージ及びγ線イメージを検出することが出来なくなる。このため、本実施例では、中性子捕獲反応をほとんど起こさない11B同位体を99%以上に濃縮した無水ホウ酸(1123)を用いることにより中性子に対する感度を低減したX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートを製作した。この結果、熱中性子による影響を5%以下とすることができる。
(実施例3)
実施例3は、鉛ガラスに透明度上げることを目的にコバルト(Co)を微量ドープしてイメージングプレートの検出特性を改善することを目的としている。特に鉛ガラスの組成比が大きい場合、鉛ガラスは黄色に着色してくる。これを改善するため、0.01%以下の微量のコバルト(Co)粉末を添加する。添加した結果を図6に示す。添加前には波長が短くなるに従い透明度が落ちていってしまっていたのが420nmまではほぼ一定となるまで改善出来ることが確認できた。BaFBr:Eu2+の輝尽性蛍光の中心波長が395nm、BaFCl:Eu2+の輝尽性蛍光の中心波長が390nm、BaFI:Eu2+の輝尽性蛍光の中心波長が410nmであることを考慮すると本実施例による透明度の改善は輝尽性蛍光を検出する上で効果がある。
(実施例4)
実施例4は、鉛ガラスを薄青く着色することにより、励起に用いるレーザー光の散乱を防止し空間分解能を上げつつ、輝尽性蛍光の波長領域の透過度を上げることを目的としている。このため、本実施例では0.02%程度の微量のコバルト(Co)粉末を添加した。添加した結果を図6に示す。添加した結果、励起レーザーの波長領域である630nmから500nmの範囲で透過率を下げ、一方輝尽性蛍光の中心波長領域の390−420nm領域の透過度を上げることが出来ることを確認できた。
この結果、本実施例を用いることによりイメージングプレートの読み取り性能を上げることが可能であることを確認できた。
(実施例5)
実施例5として、輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末と、10B同位体の組成比が80%以上の無水ホウ酸(1023)粉末とを均一に混合した粉末を基板に塗布し焼結して製作した中性子検出用ガラス状化イメージングプレートについて説明する。図7に示すように、本実施例においては、従来の接着剤の代わりに低融点ガラスの一つである無水ホウ酸(1023)ガラスを使用する。この無水ホウ酸(1023)ガラスは接着剤の役割の他に、もう一つの役割として中性子コンバータとしての役割を有する。10B同位体が中性子捕獲断面積が大きく、かつ捕獲した際2MeV以上の粒子線を放出することを利用する。放出された粒子線(α線と7Li)を輝尽性蛍光体であるBaFBr:Eu2+が潜像として蓄積する。蓄積された潜像は、測定後に励起レーザー光を用いて、スキャンすることにより中性子を起因とする粒子線のイメージングプレート内部への蓄積量を求め、最終的に中性子イメージを検出する。従って、無水ホウ酸(B23)ガラス自体はほぼ透明であることが必要がある。
無水ホウ酸(B23)ガラスとして50Wt%及び輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末として50Wt%の割合で、それぞれの重量を120mg用い、300mgのエタノール内で良く混合し、2cm x2cmのサイズのアルミニウム基板に塗布した。エタノールが揮発した後、電気炉において500℃で20分間焼結温まで冷却した。
本中性子検出用ガラス状化イメージングプレートについて、無水ホウ酸(B23)ガラスと一緒の焼結による蛍光スペクトルへの影響を評価した。評価用の放射線線源としてはAm−241から放出される5.4MeVのα線を用いた。中性子捕獲反応によって放出される粒子がα線と7Liであることからほぼこれらの粒子線と同じ効果が得られる。α線照射により発生する即発蛍光のスペクトルを日立製分光蛍光光度計F−2500を用いて測定した。比較のため同じ輝尽性蛍光体を接着剤としてラッカー塗料を用いて作製した基準試料と共に図8に示す。蛍光スペクトルの形状は変化がなく、輝尽性蛍光量は約3分の1となった。無水ホウ酸(B23)ガラスの体積量が基準試料の約2.5倍程度となることを考慮すると蛍光量はあまり劣化していないことがわかる。
次に中性子イメージを検出するために用いる輝尽性蛍光に関する特性についてα線を用いて評価した。励起波長としては520nmを用いた。5.4MeVのα線を照射し測定した輝尽性蛍光特性を基準試料の特性と共に図9に示す。輝尽性蛍光の量は約3分の1となるものの減衰特性等についてはほほ同じ特性が得られることが確認できた。
BaFCl:Eu2+およびBaFI:Eu2+粉末についても同様の結果がえられている。
この結果、輝尽性蛍光体BaFX:Eu2+(X:I(ヨウ素),Br(臭素),Cl(塩素
)粉末の全てについて、焼結温度は変わるものの本発明が実施出来ることが確認できた。
(実施例6)
実施例6は、上記実施例5において使用されている無水ホウ酸(1023)ガラスは吸湿性が少し大きいことからその特性を改善することを目的としている。改善方法としては、無水ホウ酸(1023)にZnOあるいはCaOをガラス化範囲内における組成比率で添加する。添加する量は、いずれの酸化物も融点を上げる効果を持つことから5%以下を付加する。この添加により、無水ホウ酸(1023)ガラスの吸湿性を改善することが出来る。
(実施例7)
実施例7は、イメージングプレートの両面を用いて、レーザー光の照射及びそれに伴い放出される輝尽性蛍光の読み取りを行うイメージングプレート読み取り装置に対応したガラス状化イメージングプレートを製作することを目的としている。このため、上記実施例で用いてきたアルミニウム板の代わりに透明な基板を用いる。最高の焼結温度が650℃であるこからガラス板あるいは石英板あるいはサファイヤ板を用いることが可能である。実施例1のアルミニウム基板と同様の条件で0.3mm厚の石英基板を用いてX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートを製作した結果、アルミニウム基板を用いた場合とほぼ同じ特性が得られた。
(実施例8)
実施例8は、輝尽性蛍光体粉末と鉛ガラス粉末あるいは無水ホウ酸(1023)ガラスを均一に混合して基板に塗布する方法を示す例である。混合した粉末を基板に塗布する際に、揮発性液剤として、エチルアルコール、イソプロピルアルコールあるいはn−ブタノン等を混ぜて均一な液状粉末とした後、基板に塗布する。実施例としてエチルアルコールを用いた場合、鉛ガラス粉末120mgと輝尽性蛍光体粉末120mgに対して、300mgの量を用いた。これら揮発性液剤が揮発した後、基板上に混合された粉末が均一に塗布され固定することができた。この基板を焼結した結果、一様な厚さのガラス状化イメージングプレートを作製することができた。
(実施例9)
実施例9では、上記実施例1−8において、均一に混合した粉末を塗布した基板を焼結する際に、空気中で行ってきた焼結を、不活性ガス雰囲気で焼結する例である。輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末と、酸化鉛(PbO)及び無水ホウ酸(B23)を主なガラス形成酸化物とした鉛ガラスとを、均一に混合した粉末を基板に塗布し焼結する際、不活性ガスとして乾燥窒素ガスを用いる。乾燥窒素ガスを用いることによりガラス状化イメージングプレート表面の酸化鉛が二酸化鉛(PbO2)に変化することに起因する変色を抑えることが可能となった。
(実施例10)
実施例10は、均一に混合した粉末を塗布した基板を焼結した後、ガラス状化した粉末の間に透明な塗料を図10に示すように染みこませた場合の実施例である。輝尽性蛍光体粉末の量に比較して、接着の役目を負う鉛ガラスあるいは無水ホウ酸(B23)ガラスの量が少ない場合接着能力が低下し、均一に混合して焼結したガラス状化イメージングプレートの粉末がとれてしまう。これを防止すると共に輝尽性蛍光体粉末と鉛ガラスあるいは無水ホウ酸(B23)との間の隙間を透明な塗料で埋めることにより励起用レーザー光及び輝尽性蛍光の透過度を上げる。本実施例では、鉛ガラスとして50Wt%及び輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末として50Wt%の割合で、それぞれ120mgの重量用いたガラス状化イメージングプレートを用いる。このイメージングプレートに、透明な塗料としてラッカーを60mg塗布した結果、ラッカーが隙間に染みこみガラス状化粉末を固定することができた。
(実施例11)
実施例11は、上記実施例1−3及び実施例5−9において、上記実施例10で説明した透明塗料に青色の塗料を微量混ぜることにより、実施例4で述べた効果と同じ効果を得る方法である。透明塗料であるラッカーに、微量の青色油絵の具(コバルトブルー)を添加することにより薄い青色の塗料とする。この塗料を鉛ガラスとして50Wt%及び輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末として50Wt%の割合で、それぞれ120mgの重量用いたガラス状化イメージングプレートに塗布する。このイメージングプレートに、薄い青色ラッカー塗料を60mg塗布した結果、青色のガラス状化イメージングプレートすることができた。
(実施例12)
実施例12は、上記実施例1−11において、使用される輝尽性蛍光体としてBaFI:Eu2+、BaFBr:Eu2+あるいはBaFCl:Eu2+のいずれかであったのに対して、本実施例ではBaFI:Eu2+、BaFBr:Eu2+あるいはBaFCl:Eu2+のうちいづれか2種類または3種類すべての輝尽性蛍光体を混合して輝尽性蛍光体として用いる方法である。実施例では、BaFBr:Eu2+およびBaFCl:Eu2+の2種類の輝尽性蛍光体粉末と鉛ガラス粉末を用いたX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートについて述べる。BaFBr:Eu2+粉末60mg、BaFCl:Eu2+粉末60mgそして鉛ガラス粉末120mg用いて、実施例1で述べた方法によりX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートを製作した。
本イメージングプレートについて、鉛ガラスと一緒の焼結による蛍光スペクトルへの影響を評価した。評価用の放射線線源としてはAm−241から放出される5.4MeVのα線を用いた。α線照射により発生する即発蛍光のスペクトルを日立製分光蛍光光度計F−2500を用いて測定した。比較のためBaFBr:Eu2+輝尽性蛍光体を接着剤としてラッカー塗料を用いて作製した基準試料と共に図11に示す。蛍光スペクトルの形状とその強度はほほ同じであり、即発蛍光においてはほとんど劣化がないことが確認できた。
輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末と鉛ガラスとを、均一に混合した粉末を基板に塗布し焼結して製作したX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートを示す図である。 輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末と鉛ガラスとを焼結して製作したX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートと基準試料から得られた即発蛍光スペクトルの比較結果を示す図である。 X線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートと基準試料から得られたγ線エネルギーが60keVの時の輝尽性蛍光特性の比較結果を示す図である。 X線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートと基準試料から得られたγ線エネルギーが80keVの時の輝尽性蛍光特性の比較結果を示す図である。 輝尽性蛍光体BaFCl:Eu2+粉末と鉛ガラスとを焼結して製作したX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートと基準試料から得られた即発蛍光スペクトルの比較結果を示す図である。 鉛ガラスそのままの場合、コバルトを添加して透明化を図った鉛ガラス及びさらにコバルトを添加して青色化を図った鉛ガラスの透過率の比較結果を示す図である。 輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末と無水ホウ酸(1023)ガラスとを、均一に混合した粉末を基板に塗布し焼結して製作した中性子検出用ガラス状化イメージングプレートを示す図である。 輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末と無水ホウ酸(1023)ガラスとを焼結して製作した中性子検出用ガラス状化イメージングプレートと基準試料から得られた即発蛍光スペクトルの比較結果を示す図である。 輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末と無水ホウ酸(1023)ガラスとを焼結して製作したX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートと基準試料から得られた即発蛍光スペクトルの比較結果を示す図である。 均一に混合した粉末を塗布した基板を焼結した後、ガラス状化した粉末の間に透明な塗料を染みこませて製作したX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートを示す図である。 BaFBr:Eu2+粉末とBaFCl:Eu2+粉末とを混合した輝尽性蛍光体と鉛ガラスとを焼結して製作したX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートとBaFBr:Eu2+基準試料から得られた即発蛍光スペクトルの比較結果を示す図である。 輝尽性蛍光体BaFBr:Eu2+粉末を接着剤と混ぜて基板に塗布する事により製作された、従来のイメージングプレートを示す図である。

Claims (12)

  1. 輝尽性蛍光体BaFX:Eu2+(X:I(ヨウ素),Br(臭素),Cl(塩素))粉末と、酸化鉛(PbO)及び無水ホウ酸(B23)をガラス形成酸化物としガラス化範囲内における組成比率で形成した鉛ガラス粉末とを、均一に混合した粉末を基板に塗布し、450℃以上650℃以下の温度範囲内で焼結して作製することを特長とした、X線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレート。
  2. 鉛ガラスを構成する無水ホウ酸(B23)として、11B同位体の組成比が99%以上の無水ホウ酸(1123)を用いることを特長とした、請求項1記載のX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレート。
  3. 鉛ガラスにコバルト(Co)をドープして透明にした鉛ガラスの粉末を用いることを特長とした、請求項1又は2記載のX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレート。
  4. 鉛ガラスとして、コバルト(Co)をドープして薄い青色に着色した鉛ガラスを用いることを特長とした、請求項1乃至3のいずれかに記載のX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレート。
  5. 輝尽性蛍光体BaFX:Eu2+(X:I,Br,Cl)粉末と、10B同位体の組成比が80%以上の無水ホウ酸(1023)粉末とを、均一に混合した粉末を基板に塗布し、450℃以上650℃以下の温度範囲内で焼結して作製することを特長とした、中性子イメージ検出用ガラス状化イメージングプレート。
  6. 輝尽性蛍光体BaFX:Eu2+(X:I,Br,Cl)粉末と、10B同位体の組成比が
    80%以上の無水ホウ酸(1023)及びZnOあるいはCaOを主なガラス形成酸化物とし、ガラス化範囲内における組成比率で形成された無水ホウ酸ガラス粉末とを、均一に混合した粉末を基板に塗布し、450℃以上650℃以下の温度範囲内で焼結して作製することを特長とした、中性子イメージ検出用ガラス状化イメージングプレート。
  7. 基板として、透明なガラス板あるいは石英板あるいはサファイヤ板を用いることを特長とした、請求項1乃至6のいずれかに記載のX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートあるいは中性子イメージ検出用ガラス状化イメージングプレート。
  8. 基板に混合した粉末を塗布する際に、揮発性液剤を混ぜて均一な液状粉末とした後、塗布することを特長とした、請求項1乃至7のいずれかに記載のX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートあるいは中性子イメージ検出用ガラス状化イメージングプレート。
  9. 均一に混合した粉末を塗布した基板を焼結する際に、不活性ガス雰囲気で焼結することを特長とした、請求項1乃至8のいずれかに記載のX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートあるいは中性子イメージ検出用ガラス状化イメージングプレート。
  10. 均一に混合した粉末を塗布した基板を焼結した後、ガラス状化した粉末の間に透明な塗料を染みこませることを特長とした、請求項1乃至9のいずれかに記載のX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートあるいは中性子イメージ検出用ガラス状化イメージングプレート。
  11. 均一に混合した粉末を塗布した基板を焼結した後、ガラス状化した粉末の間に、薄い青色の塗料を染みこませることを特長とした、請求項1,2,3,5,6,7,8及び9のいずれかに記載のX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートあるいは中性子イメージ検出用ガラス状化イメージングプレート。
  12. BaFI:Eu2+、BaFBr:Eu2+あるいはBaFCl:Eu2+のいずれか2種類または3種類すべての輝尽性蛍光体を混合して輝尽性蛍光体として用いることを特長とした、請求項1乃至11のいずれかに記載のX線イメージ及びγ線イメージ検出用ガラス状化イメージングプレートあるいは中性子イメージ検出用ガラス状化イメージングプレート
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