JP2006233205A - 切削加工用樹脂形成性材料 - Google Patents

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Yuichi Sasaya
裕一 笹谷
Kimio Miura
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Abstract

【課題】 従来の模型用材料では、高速切削加工すると切削表面にささくれや毛羽だちが生じ、後工程として仕上げ加工が必要となるという問題があったため、高速切削加工でも表面がなめらかに切削でき仕上げ工程が不要となる切削加工用樹脂を与える、該切削加工用樹脂形成性材料を提供する。
【解決手段】 硬化性樹脂形成性成分(A)と融点(JIS K0064−1992,3.2融点測定方法)が50〜90℃の有機滑剤(W)とからなる切削加工用樹脂形成性材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、切削加工用樹脂形成性材料に関する。
従来、模型用素材として、天然木材や、ビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物
、脂肪族ポリオール、芳香族ポリイソシアネートおよび脱水剤の混合物を、メカニカルフ
ロス法により発泡させて得た発泡ポリウレタン成形品、いわゆる合成木材と呼ばれる、切
削加工用ポリウレタン樹脂成形品が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平6−329747号公報
しかし、近年、大型モデルの切削等において工期短縮のために切削加工速度が益々速く
なってきている。従来の材料では、高速切削加工すると切削表面にささくれや毛羽だちが
生じ、後工程として仕上げ加工が必要となるという問題があった。
すなわち、本発明の目的は、高速切削加工でも表面がなめらかに切削でき仕上げ工程が
不要となる切削加工用樹脂を与える、樹脂形成性材料を提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発
明は、硬化性樹脂形成性成分(A)および融点(JIS K0064−1992,3.2融点測定方法)が50〜90℃の有機滑剤(W)からなる切削加工用樹脂形成性材料である。
本発明の材料を使用すると高速切削加工しても「ささくれ」や「毛羽だち」が極めて生じにくい。よって、仕上げ工程が不必要となり、切削加工性に優れ、切削面積の大きい大型模型を短期間で切削加工できる、という効果を奏する。
本発明における硬化性樹脂形成性成分(A)としては、ポリウレタン樹脂形成性成分(A1)、ポリ尿素樹脂形成性成分(A2)、ポリアミド樹脂形成性成分(A3)、エポキシ樹脂形成性成分(A4)、ビニル樹脂形成性成分(A5)、不飽和ポリエステル樹脂形成性成分(A6)等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂形成性成分(A1)は、ポリオール成分(A1−a)とイソシアネート成分(A1−b)からなる。
(A1−a)としては、従来からポリウレタンに使用されているものが使用できる。例
えば特許第2618804号公報および特許第2928918号公報に記載されているポリエーテルポリオール(A1−a1)、ポリエステルポリオール(A1−a2)、ポリブタジエンポリオール(A1−a3)、ポリアクリルポリオール(A1−a4)、および特開2002−275235号公報に記載されている重合体ポリオール(A1−a5)等が使用できる。
(A1−a)として好ましいのは、ポリエーテルポリオール(A1−a1)であり、さらに好ましいのは低分子ポリオール、多価フェノールまたはアミンのプロピレンオキシド(以下POと略記)付加物、および低分子ポリオール、多価フェノールまたはアミンのエチレンオキシド(以下EOと略記)とPOとの共付加物である。
低分子ポリオールには多価アルコールが含まれ、多価アルコールとしては、
2価アルコール[炭素数(以下Cと略記)2〜20またはそれ以上]、例えばC2〜12の脂肪族2 価アルコール[(ジ)アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1 ,2−、2,3−、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよび3−メチルペンタンジオール(以下それぞれEG、DEG、PG、DPG、BD、HD、NPGおよびMPDと略記)、ドデカンジオール等];C6〜10の脂環式2価アルコール[1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等];C8〜20の芳香脂肪族2価アルコール[キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等];
3価〜8価またはそれ以上の多価アルコール、例えば(シクロ)アルカンポリオールおよびそれらの分子内もしくは分子間脱水物[グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールおよびジペンタエリスリトール(以下それぞれGR、TMP、PE、SOおよびDPEと略記)、1,2 ,6−ヘキサントリオール、エリスリトール、シクロヘキサントリオール、マンニトール、キシリトール、ソルビタン、ジグリセリンその他のポリグリセリン等]、糖類およびその誘導体[例えばショ糖、グルコース、フラクトース、マンノース、ラクトース、およびグリコシド(メチルグルコシド等)]が挙げられる。
多価フェノールとしては、C6〜18の2価フェノール、例えば単環2価フェノール(ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ウルシオール等)、ビスフェノール(ビスフェノールA、F、C、B、ADおよびS、ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等)、および縮合多環2価フェノール[ジヒドロキシナフタレン(例えば1,5−ジヒドロキシナフタレン)、ビナフトール等];並びに3価〜8価またはそれ以上の多価フェノール、例えば単環多価フェノール(ピロガロール、フロログルシノール、および1価もしくは2価フェノール(フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール等)のアルデヒドもしくはケトン(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、グリオキザール、アセトン)低縮合物(例えばフェノールもしくはクレゾールノボラック樹脂、レゾールの中間体、フェノールとグリオキザールもしくはグルタールアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノール、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノール)が挙げられる。
アミンとしては、C1〜12の脂肪族、脂環式および芳香族1級モノアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、1−および2−プロピルアミン、(イソ)アミルアミン、ヘキシルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、3,3−ジメチルブチルアミン、1−,2−および3−アミノヘプタ ン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、シクロプロピルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン 、ベンジルアミンが挙げられる。
(A1−a1)の特に好ましい具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、ビスフェノールA、トリエタノールアミンのPO付加物が挙げられる。
(A1−a)のヒドロキシ価は、200〜1,000が好ましく、さらに好ましくは250〜600,特に好ましくは300〜500である。この範囲であると、成形品の耐熱性と強度がさらに良好となり、また、成形中の発熱によるスコーチがさらに発生しにくくなる。
イソシアネート成分(A1−b)としては、従来からポリウレタンに使用されているものが使用できる。例えば特許第2618804号公報および特許第2928918号公報に記載されている芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、およびこれのポリイソシアネートの変性物が使用できる。これらのうち好ましいものは、芳香族ポリイソシアネートであり、特に好ましいものは粗製MDIである。
本発明のポリウレタン樹脂形成性成分において、(A1−a)と(A1−b)の割合は種々変えることができるが、イソシアネート指数[(NCO基/活性水素原子含有基の当量比)×100]は、成形品の強度と切削加工のしやすさの観点から、好ましくは80〜140、さらに好ましくは85〜120、特に好ましくは90〜115である。
ここにおいて切削加工のしやすさ、すなわち切削加工性は後述の方法で測定される切削抵抗(単位:N)で評価することができる。
該切削抵抗は、切削加工後の表面の滑らかさの観点から、フォーム密度(g/cm3)0.75〜0.85では好ましくは60〜85、さらに好ましくは65〜80;また、フォーム密度(g/cm3)0.40〜0.45では好ましくは50〜75、さらに好ましくは55〜70である。
ポリ尿素樹脂形成性成分(A2)は、(ポリ)アミン成分(A2−a)とイソシアネート成分(A2−b)からなる。このうちイソシアネート成分(A2−b)は前記(A1−b)について記載のものが使用できる。
(ポリ)アミン成分(A2−a)としては、C1〜30、例えばアルカノールアミン(C4〜10、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン)、アルキル(アルキル基のC1〜20)アミン(C1〜20、例えば、メチルアミン、エチルアミン)、アルキレン(アルキレン基のC2〜6)ジアミン(C2〜10、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン)、ポリカルビレンポリアミン[例えばカルビレン(アルキレン)基のCが2〜6の脂肪族ポリアミン(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンヘプタミン)、カルビレン基のCが6〜20の芳香族ポリアミン(例えば、トルイレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン)、カルビレン基のCが4〜15の脂環式ポリアミン(例えば、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン)およびカルビレン基のCが4〜15の複素環式ポリアミン(例えば、アミノエチルピペラジン)]が使用できる。
上記(A2−a)のうち好ましいものは脂肪族アミン、さらに好ましいのはアルカノールアミンとアルキルアミンである。
ポリアミド樹脂形成性成分(A3)としては、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とジアミンの重縮合物などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、 ポリ(メタキシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体や混合物が使用できる。
上記(A3)のうち好ましいものはナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66である。
ポリアミド樹脂形成性成分(A3)の重合度は特に限定されないが、JIS−K6810に従って98%濃硫酸中、濃度1%、25℃で測定する相対粘度が重合安定性の観点から1.7以上、加工性の観点から6.0未満であることが好ましい。
本発明に用いるポリアミドの重合方法は特に限定されず、溶融重合、界面重合、溶液重合、塊状重合、固相重合、およびこれらの方法を組み合わせた方法を利用することができる。
エポキシ樹脂形成性成分(A4)は、1分子内に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシド(A4−a)とポリアミン硬化剤(A4−b)もしくは酸無水物硬化剤(A4−c)からなる。
ポリエポキシド(A4−a)としては、エピハロヒドリン(例えば、エピクロルヒドリン)またはジハロヒドリン(例えば、グリセリンジクロルヒドリン)と、C6〜50またはそれ以上の多価(2価〜6価またはそれ以上)フェノール[例えば、ビスフェノールAおよび−F、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、レゾルシノール、ハイドロキノンおよびカテコール、並びにこれらの核置換物、ハロゲン化物]、またはC2〜100の多価(2価〜6価またはそれ以上)アルコール〔例えば、アルカンポリオール(EG、PG、BD、TMP、GR、PE)、数平均分子量[以下Mnと略記。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]3,000以下のポリアルキレン(アルキレン基のC2〜4)グリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール)〕との反応によって得られるポリグリシジルエーテル;あるいはエピハロヒドリンまたはジハロヒドリンと、C6〜20またはそれ以上で2価〜6価またはそれ以上の、脂肪族もしくは芳香族ポリカルボン酸(例えば、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸およびそれらのハロゲン化物)との反応によって得られるポリグリシジルエステルなどが使用できる。
これらの中では、成形品の靱性および強度の観点から多価フェノールのポリグリシジルエーテルが好ましく、ビスフェノールAおよび−F、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのグリシジルエーテルがさらに好ましい。また、後述する中空微小球(D)および有機滑剤(W)との効率的な混合の観点から25℃における粘度が20,000mPa・s以下、さらに15,000mPa・s以下が好ましく、成形品の強度と耐熱性の観点からエポキシ当量が150〜250、さらに180〜200のものが好ましい。
ポリアミン硬化剤(A4−b)としては、C2〜18の脂肪族ポリアミン、C4〜15の脂環式ポリアミン、C6〜20の芳香族ポリアミン、C4〜15の複素環式ポリアミン、Mn200〜2,000のポリアミドアミンなどが使用できる。
上記脂肪族ポリアミンとしては、C2〜6のアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン)、アルキレン基のCが2〜6のポリアルキレン(ジアルキレン〜ヘキサアルキレン)ポリアミン[例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン]、これらのアルキル(アルキル基のC1〜4)もしくはヒドロキシアルキル(ヒドロキシアルキル基のC2〜4)置換体[例えば、ジアルキル(アルキル基のC1〜4)アミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールアミン]、ジエチレングリコールビスプロピレンジアミン、C8〜15の芳香環含有脂肪族ポリアミン(例えば、メタキシレンジアミン)が使用できる。
脂環式ポリアミンとしては、例えばイソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンが使用できる。
芳香族ポリアミンとしては、例えばメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンが使用できる。
複素環式ポリアミンとしては、例えばN−アミノエチルピペラジンが使用できる。
ポリアミドアミン硬化剤としては、ダイマー酸(C36〜54)[リノール酸やオレイン酸を主成分とする不飽和脂肪酸(C18〜24)を触媒の存在下に加熱重合して製造されるC36の重合脂肪酸を主成分とするもの]と、過剰(酸1モル当たり2モル以上)のポリアミン(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)を反応させて得られるものが使用できる。
酸無水物硬化剤(A4−c)としては、芳香族酸無水物[C8〜24、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物]、脂肪族酸無水物[C4以上かつ重量平均分子量(以下Mwと略記。測定はGPC法による。)2,000以下、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、アルケニル基のCが8〜12のアルケニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ポリアジピン酸無水物(Mw:750〜850)、ポリアゼライン酸無水物(Mw:1,200〜1,300)、ポリセバシン酸無水物(Mw:1,600〜1,700)]が使用できる。
これらの硬化剤の中では室温(20〜35℃)での一次硬化が可能との観点からポリアミン硬化剤が好ましく、C2〜18の脂肪族ポリアミンがさらに好ましい。また、後述する中空微小球(D)および有機滑剤(W)との効率的な混合の観点から25℃における粘度が20,000mPa・s以下、さらに15,000mPa・s以下のものが好ましい。
また、これらの硬化剤が使用される割合は、エポキシ当量に対して、成形品の強度と耐熱性の観点から好ましくは0.25〜2.0、さらに好ましくは0.5〜1.75硬化剤当量である。
ビニル樹脂形成性成分(A5)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリ4フッ化エチレン、ポリ3フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリレート共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体から選ばれる1種単独、2種以上の混合物が使用できる。
ここで使用される重合体の分子量は、切削加工樹脂としての強度の観点から、スチレン換算のGPCによるMwで10万以上が望ましい。
不飽和ポリエステル樹脂形成性成分(A6)としては、特に制限はないが、α,β−不飽和多塩基酸を含む酸成分と、アルコール成分とを反応させて得られる不飽和ポリエステルを重合性不飽和単量体に溶かしたものが一般的である。用いられるα,β−不飽和多塩基酸としては、C4〜20、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびこれらの酸無水物等の誘導体が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。また、必要に応じてα,β−不飽和多塩基酸以外の酸成分として、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等のC6〜20の飽和多塩基酸およびこれらの酸無水物等の誘導体を併用してもよく、これらは2種以上を併用してもよい。
アルコール成分としては例えば、EG、DEG、PG、DPG、1,2−プロパンジオール、BD(1,2−、1,3−、2,3−および1,4−ブタンジオール)等のC2〜10の脂肪族グリコール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA等のC5〜15の脂環式ジオール、ビスフェノールAのPO付加物、キシリレングリコール等の芳香環含有ジオール、ビスプロピレングリコールエーテル、TMP、PE等の多価アルコールが挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。
酸成分とアルコール成分の反応は、公知の方法で実質的に当モルにて、主に縮合反応を進めることにより行われ、両成分が反応する際に生ずる水等の低分子を系外へ脱離して進行させる。
重合性不飽和単量体としては、スチレン系単量体および(メタ)アクリル系単量体を主成分とし、必要に応じて他の分子内に1個以上の重合性二重結合を有する単量体を併用することができる。スチレン系単量体としては、C8〜15、例えばスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼンを挙げることができる。また、これらは2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系単量体としては、C3以上かつMn2,000以下の1価の単量体、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸等のメタクリル酸およびそのエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸等のアクリル酸およびそのエステル、(メタ)アクリルアミド、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。
また、C8以上かつMn2,000以下の2価またはそれ以上の単量体としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、これらは2種以上併用してもよい。
他の重合性不飽和単量体としては、C5〜20、例えばフマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチルが挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。
不飽和ポリエステルと重合性不飽和単量体の混合比は通常、不飽和ポリエステル30〜80重量部に対し、重合性不飽和単量体70〜20重量部である。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂形成性成分は重合禁止剤として、パラベンゾキノン、ハイドロキノン、メタジニトロベンゼン、パラフェニルジアミン等が配合される。
これらは通常、不飽和ポリエステルと重合性不飽和単量体の合計量に対し、50〜1,000ppm使用される。
本発明の不飽和ポリエステル樹脂形成性成分を樹脂化する硬化用触媒としては、ケトンパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。これらは通常、不飽和ポリエステルと重合性不飽和単量体の合計100重量部に対し、0.1〜10重量部使用される。
これらの硬化性樹脂形成性成分(A)の中で成形性と成分の選択の多様さから好ましいものはポリウレタン樹脂形成性成分(A1)およびエポキシ樹脂形成性成分(A4)である。
本発明における有機滑剤(W)の融点(℃)は、通常50〜90であり、好ましくは5
1〜88、さらに好ましくは52〜86、特に好ましくは53〜85である。すなわち、(W)の融点(℃)の下限は、50が好ましく、さらに好ましくは51、特に好ましくは
52、最も好ましくは53であり、また同様に上限は、90が好ましく、さらに好ましくは88、特に好ましくは86、最も好ましくは85である。この範囲であると、硬化後の表面のなめらかさ(後述の平均表面粗度で表される)等がさらに良好となる。なお、融点(℃)は、JIS K0064−1992の3.2融点測定方法に準拠して測定される(以下同じ)。
ここにおいて平均表面粗度は、フォーム密度(g/cm3)が0.75〜0.85では、仕上げ工程の不要化の観点から好ましくは2.0〜5.0、さら好ましくは2.5〜4.5;また、フォーム密度(g/cm3)が0.40〜0.45では、同様の観点から好ましくは6.5〜9.5、さら好ましくは7.0〜9.0である。
融点が50〜90℃である有機滑剤(W)には、脂肪酸アミド(W1)、脂肪酸エ
ステル(W2)、石油ワックス(W3)、及び天然ワックス(W4)等が含まれる。
d)が挙げられる。
脂肪酸アミド(W1)としては、脂肪酸第一アミド(ww1)、N−カルビル脂肪酸第一アミド(ww2)及びN,N−ジカルビル脂肪酸第一アミド(ww3)、ポリアミンの脂肪酸アミド(ww4)等が使用できる。
(ww1)としては、C18〜22の不飽和脂肪酸アミド等が用いられる。
不飽和脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、エルカ酸アミド及びリシノール酸アミド等が挙げられる。
(ww2)としては、(1)飽和炭化水素(C1〜12)置換の飽和脂肪酸(C10〜18)アミド、(2)不飽和炭化水素(C18)置換の飽和脂肪酸(C16〜18)アミド、(3)飽和炭化水素(C18)置換の不飽和脂肪酸(C18〜22)アミド、および(4)不飽和炭化水素(C18)置換の不飽和脂肪酸(C18〜22)アミド等が挙げられる。
上記(1)の飽和脂肪酸アミドとしては、N−メチルカプリン酸アミド、N−メチルラウリン酸アミド、N−メチルミリスチン酸アミド及びN−ドデシルラウリン酸アミド等;(2)の飽和脂肪酸アミドとしては、N−オレイルパルミチン酸アミド及びN−オレイルステアリン酸アミド等;(3)の不飽和脂肪酸アミドとしては、N−ステアリルオレイン酸アミド及びN−ステアリルエルカ酸アミド等;並びに、(4)の不飽和脂肪酸アミドとしては、N−オレイルオレイン酸アミド及びN−オレイルエルカ酸アミド等が挙げられる。
(ww3)としては(1)飽和炭化水素(C1〜12)2置換の飽和脂肪酸(C10〜18)アミド、(2)不飽和炭化水素(C18)2置換の飽和脂肪酸(C16〜18)アミド、(3)飽和炭化水素(C18)2置換の不飽和脂肪酸(C18〜22)アミド、及び(4)不飽和炭化水素(C18)2置換の不飽和脂肪酸(C18〜22)アミド等が挙げられる。
上記(1)の飽和脂肪酸アミドとしては、N,N−ジメチルカプリン酸アミド、N,N−ジメチルラウリン酸アミド、N,N−ジメチルミリスチン酸アミド、N,N−ジメチルパルミチン酸アミド、N,N−ジドデシルラウリン酸アミド、N,N−ジドデシルミリスチン酸アミド、N,N−ジドデシルパルミチン酸アミド及びN,N−ジドデシルステアリン酸アミド等;(2)の飽和脂肪酸アミドとしてはN,N−ジオレイルパルミチン酸アミド及びN,N−ジオレイルステアリン酸アミド等;(3)の不飽和脂肪酸アミドとしては、N,N−ジステアリルオレイン酸アミド及びN,N−ジステアリルエルカ酸アミド等;並びに、(4)の不飽和脂肪酸アミドとしては、N,N−ジオレイルオレイン酸アミド、N,N−ジオレイルエルカ酸アミド等が挙げられる。
ポリアミンの脂肪酸アミド(ww4)としては、ポリアミンとモノカルボン酸及び/又はポリカルボン酸との縮合反応により得られるポリアミドが挙げられる。
ポリアミンとしては、例えば、C2〜6のアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン)、C2〜6のアルキレン基を有するポリアルキレンポリアミン(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン)が挙げられる。
モノカルボン酸としては、C2〜32の直鎖状又は分岐状の脂肪族カルボン酸、例えば、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、デカン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、(メタ)アクリル酸、オレイン酸、エルシン酸が挙げられる。
ポリカルボン酸としては、例えば、C2〜40脂肪族ジカルボン酸(例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、3,3−ジメチルペンタン二酸など)、C5〜42脂肪族多価(3価またはそれ以上)カルボン酸(例えば、3,3−ジメチル−5−エチルオクタン−1,2,8−トリカルボン酸など)、及び上記不飽和脂肪酸のダイマー酸等が挙げられる。
脂肪酸エステル(W2)としてはモノヒドロキシ脂肪酸(C18)のエステル及びグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
モノヒドロキシ脂肪酸(C18)のエステルとしては、12−ヒドロキシステアリン酸メチル、12−ヒドロキシステアリン酸ステアリル、モノ−12−ヒドロキシステアリン酸エチレングリコール、モノ−12−ヒドロキシステアリン酸プロピレングリコール、及びエチレングリコールモノステアレート等が挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、12−ジヒドロキシテアリン酸メチルおよび12−ヒドロキシステアリン酸ステアリル等が挙げられる。
石油ワックス(W3)としては、C20〜50のパラフィンワックス(テトラコサン、ペンタコサン及びヘキサコサン等)等が使用できる。
これらの有機滑剤(W)のうち、硬化後の樹脂表面のなめらかさや模型塗装時の塗料のはじきにくさの観点等から、脂肪酸アミド(W1)が好ましく、本発明の切削加工用樹脂形成性材料の粘度安定性の観点から、さら好ましいのはN,N−ジカルビル脂肪酸第一アミド(ww3)及びポリアミンの脂肪酸アミド(ww4)である。
(W)の含有量(重量%)は、(A)+(W)の合計重量に基づいて、0.5〜20%が好ましく、さらに好ましくは1〜15%、特に好ましくは2〜10%である。(W)が0.5〜20%であると成形品の切削後の樹脂表面のなめらかさが良好でかつ切削加工用として良好な硬度(好ましくは20〜90、さらに好ましくは25〜85。測定は後述の方法による。)が保持される。]
本発明の切削加工用樹脂形成性材料には、必要に応じてシリコン系整泡剤(B1)または消泡剤(B2)を含有させることができる。
切削加工後、模型として使用される切削加工用樹脂は切削後の表面が均質である必要がある。このため必要に応じて、切削加工用樹脂形成性材料が硬化時に発生または注入する気泡を均一に分散、保持するようシリコン系整泡剤(B1)を含有させたり、逆に存在する気泡を減圧除去するためにシリコン系消泡剤(B2)を含有させたりする。このような(B1)および(B2)としてはジメチルポリシロキサンや主鎖、側鎖および/または末端をポリオキシアルキレン、フェニル、アルキル、アラルキル基等で変性した非反応性ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらは選ばれる切削加工用樹脂形成性成分に応じて適したものが選ばれる。
(B1)の含有量(重量%)は(A)+(W)+(B1)の合計重量に基づいて、0.05〜5%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜3%、特に好ましくは0.5〜2%である。0.05%以上で整泡効果が得られ、5%以内で最も良い整泡効果が得られる。
(B2)の含有量(重量%)は(A)+(W)+(B2)の合計重量に基づいて、0.01〜3%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2%である。0.01%以上で消泡効果が得られ、2%以内で最も良い消泡効果が得られる。
本発明において硬化性樹脂形成性成分(A)がポリウレタン樹脂形成性成分(A1)の場合、ポリウレタン樹脂形成性成分中に水分や湿分が混入し、ウレタン化反応における発泡剤となることを防止し、得られた成形品を切削加工した際に表面を緻密にするために脱水剤(C)を用いてもよい。
このような脱水剤としては、通常用いられる脱水効果を持つ化合物が使用できるが、中
性又はアルカリ性であり体積平均粒径が0.1〜50μmである脱水剤が好ましい。
このようなものとしては、例えば、酸化カルシウム、硫酸カルシウム(半水石膏)、塩化カルシウム、モレキュラーシーブが挙げられる。脱水能力の観点から好ましいのは硫酸カルシウム(半水石膏)およびモレキュラーシーブであり、特に好ましいのはモレキュラーシーブである。
ポリウレタン樹脂形成性成分(A1)を構成するポリオール成分(A1−a)に含有させる(C)の含有量(重量%)は、(A1−a)に対して好ましくは0.5〜15%、さらに好ましくは0.5〜10%である。この範囲であると(A1−a)に含まれる水分をウレタン化反応時に発泡が起こらない程度に除去でき、また適度な流動性を持たせることができる。
ポリウレタン樹脂形成性成分(A1)を構成するイソシアネート成分(A1−b)に含有させる(C)の含有量(重量%)は、(A1−b)に対して好ましくは0.5〜10%、さらに好ましくは0.5〜8%である。この範囲であると(A1−b)に含まれる水分を(A1−b)内で尿素化反応に従って発泡が起こらない程度に除去でき、また適度な流動性を持たせることができる。
成形品の軽量化や切削加工性を向上させるために中空微小球(D)を使用してもよい。このような中空微小球としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの熱可塑性樹脂からなる中空微小球、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂などの熱硬化性樹脂からなる中空微小球、ガラス、アルミナ、シラス、カーボンなどの無機物からなる中空微小球が挙げられる。中空微小球の体積平均粒径は、取り扱い作業性およびポリウレタンフォームの平均表面粗度低減の観点から好ましくは10〜200μm、かさ比重は取り扱い作業性およびポリウレタンフォームの平均表面粗度低減の観点から好ましくは0.01〜0.5である。このような中空微小球の市場から入手できる具体例としては、マツモトマイクロスフェアーF−80EDおよびMFLシリーズ[松本油脂製薬(株)製]、フェノリックマイクロバルーンBJO−0930[ユニオンカーバイド(株)製]、スコッチライトK−15、K−37[スコッチライト(株)製]などがある。
(D)の量は材料中に好ましくは1〜25重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。この範囲であると、成形品の軽量化と切削加工性の向上を図ることができしかも材料の流動性も良好となる。
中空微小球(D)をポリウレタン樹脂形成性成分(A1)に含有させる場合、(D)は通常、ポリオール成分(A1−a)に配合して用いるが、イソシアネート成分(A1−b)に配合させてもよい。(A1−a)に配合するだけでは低密度化に限度があるが、(A1−b)にも配合することでさらなる低密度化が図れる。また、必要な(D)の配合量を(A1−a)と(A1−b)に分配することで粘度を同程度に調整でき、両者の混合操作がやりやすくなる。分配の比率は中空微小球の体積分配率で(A1−a)に対して30〜100%、(A1−b)に対して0〜70%が好ましい。この範囲であると(A1−a)と(A1−b)の流動性が近く、混合操作がやりやすい。
この場合、保存中に中空微小球表面に吸着されている水分とイソシアネート基との反応を防ぐために、(A1−b)に(C)を同時に含有させてもよい。
中空微小球(D)をエポキシ樹脂形成性成分(A4)に配合する場合、(D)は通常、ポリアミン硬化剤(A4−b)または酸無水物硬化剤(A4−c)に配合して用いるが、ポリエポキシド(A4−a)に配合してもよい。(D)をこれらの成分に分配して配合する考え方は、低密度化や混合操作の観点から、上記のポリウレタン樹脂形成性成分(A1)の場合と同様である。
本発明の材料には成形品の成形性、保存性その他の機能を向上させるために、さらに添加剤(H)を含有さてもよい。
このような(H)としては、無機フィラー(炭酸カルシウム、タルクなど)、(W)以外の滑剤(ステアリン酸カルシウム、エチレンジアミンジステアリルアミドなど)、触媒(アミン系触媒、例えばトリエチレンジアミン;金属系触媒、例えばジブチル錫ラウレート)、着色剤(金属酸化物、ジスアゾピグメントなど)、老化防止剤(ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ヒンダードフェノールなど)、可塑剤(フタル酸ジブチル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシルなど)が挙げられ、これらから選ばれる1種以上のものを添加してもよい。
無機フィラーを添加する場合、添加量(重量%)は、(A)の重量に基づいて通常40%以下、好ましくは0.5〜30%、さらに好ましくは2〜25%、特に好ましくは4〜20%である。
(W)以外の滑剤を添加する場合、添加量(重量%)は、(A)の重量に基づいて通常30%以下、好ましくは0.2〜20%、さらに好ましくは2〜15%、特に好ましくは3〜10%である。
触媒を添加する場合、添加量(重量%)は、(A)の重量に基づいて通常1%以下、好ましくは0.001〜0.5%、さらに好ましくは0.005〜0.3%、特に好ましくは0.008〜0.2%である。
着色剤、老化防止剤を添加する場合、それぞれの添加量(重量%)は、(A)の重量に基づいて通常5%以下、好ましくは0.01〜3%、さらに好ましくは0.05〜2.5%、特に好ましくは0.1〜2%である。
可塑剤を添加する場合、添加量(重量%)は、(A)の重量に基づいて通常30%以下、好ましくは1〜20%、さらに好ましくは2〜15%、特に好ましくは3〜10%である。
これら(H)の合計値(重量%)は、(A)の重量に基づいて、通常50%以下、好ましくは0.001〜40%、さらに好ましくは0.05〜35%、特に好ましくは0.08〜30%である。
本発明の樹脂形成性材料から得られる樹脂成形品は、微小気泡を全く含まない成形品、中空微小球の微小気泡のみで軽量化されたシンタクチックフォーム、後述のメカニカルフロス法によって形成された不活性気体の微小気泡で軽量化された発泡体、または中空微小球の微小気泡とメカニカルフロス法によって形成された不活性気体の微小気泡を同時に含む発泡体である。
微小気泡を全く含まない成形品は密度が約1.2g/cm3以上と高く、大きな強度の
必要な模型用材料に使用される。通常はシンタクチックフォームや発泡体にすることで軽量化して切削加工性を良くし、模型用材料に使用される。
発泡方法としては、樹脂形成性材料の混合中及び/又は混合前にフロロカーボン、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素等の揮発性の発泡剤や、炭酸ガス発生源となる水などを投入する発泡剤発泡法と、上記成分を混合中に空気や窒素等の不活性ガスを吹き込むメカニカルフロス発泡法が挙げられるが、模型用材料に必要な緻密な面を有する切削加工用材料を成形するにはメカニカルフロス発泡法が適している。
メカニカルフロス発泡法とは 特許第3083751号公報選択図3に示されている、
内面に多数の歯の付いた円筒状のステーターと、ステーター内部に同じく多数の歯の付いたローターからなるメカニカルフロス発泡機のローターが回転中に、発泡させたい材料と不活性ガスを同時に連続的に当該発泡機に注入することにより、当該発泡機の出口から発泡した材料を連続的に取り出す(吐出させる)方法である。
材料や不活性ガスの注入口を任意の数だけ設けられるため、2種類以上の材料と不活性ガスの混合が可能である。また材料は硬化性があっても発泡機から出た後に硬化するのであればかまわない。
出口から吐出する材料と不活性ガスの混合物は25〜120℃に予め温度調整された型(開放型や密閉型)、あるいはこぼれないように両側を仕切られたベルトコンベア上に注型される。
型やベルトコンベアの材質は金属(アルミニウム、ステンレスなど)やプラスチック(ポリプロピレンやポリカーボネートなど)が通常使用される。
発泡後の気泡径が細かく、得られる硬化物内の密度分布が均一であるという点でメカニカルフロス発泡法は模型用材料を作製する方法としては発泡剤発泡法より好ましい。
メカニカルフロス発泡法による微小気泡径は好ましくは0.5〜300μmであり、さらに好ましくは1〜200μmである。
0.5μm以上であると安定した微小気泡が得られ、300μm以下であると得られる切削加工用樹脂のきめが細かく、切削加工後の塗装工程が簡略化できる。
メカニカルフロス発泡法による微小気泡の量(体積%)は、成形体の体積に対する、中空微小球を含有しない成形体の場合は不活性ガスの体積%、中空微小球を含有させた成形体の場合は中空微小球の体積%+不活性ガスの体積%であり、好ましくは10〜80%、より好ましくは15〜75%、さらに好ましくは20〜70%である。この範囲であれば切削性が良くまた微細で均一に分散した気泡が得られる。
例えば「模型作製技術マニュアル」(財団法人 素形材センター発行)に記載されているように本発明で得られた成形品はNCマシンと呼ばれるコンピュータ制御の工作機械のうち通常、NCフライス盤やマシニングセンタによって切削加工(機械加工)されたり、のこぎり、のみ、かんな、等を使用して切削加工(手加工)され、最後に仕上がり面をサンドペーパーで平滑にされて模型となる。
機械加工において使用される刃物は、ボールエンドミルやフラットエンドミルであり一般にハイス、超硬(超硬スロウアウェイチップ等)と呼ばれる材質のものが使用される。
機械加工は主として3段階の切削工程からなり、初期が粗加工、中期が中加工、最後が仕上げ加工と呼ばれる。本発明で得られた成形品は粗加工では好ましくは刃物の直径が20〜30mm、刃物送り速度1,000〜3,000mm/分、刃物回転数200〜5,000rpmで切削される。次に、中加工では好ましくは刃物直径10〜20mm、送り速度1,000〜2,000mm/分、回転数1,000〜3,000rpm、仕上げ加工では刃物直径5〜10mm、送り速度500〜1,500mm/分、回転数1,000〜2,000rpmで切削される。
得られた模型が自動車等のデザインモデルに使用される場合はさらに塗装されて仕上げられ、デザインの評価に供される。成形用金型等の原型であるマスターモデルとして使用される場合は鋳物砂や樹脂、石膏等での形状反転に供される。
以下実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において部は重量部を表す。
実施例及び比較例に使用した原料の組成、記号等は次の通りである。
ポリオール (A1−a1):グリセリンにPOが付加された、ヒドロキシ価400の
ポリエーテルポリオール
イソシアネート(A1−b1):ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート「ミ
リオネートMR−200」[日本ポリウレタン工業(株)製]
ポリエポキシド(A4−a1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピコート828」
[ジャパンエポキシレジン(株)製]
ポリエポキシド(A4−a2):1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル「エポジー
ル750」[エアープロダクツジャパン(株)製]
ポリアミン (A4−b1):ジエチレングリコールジアミノプロピルエーテル「アン カミン1922」[エアープロダクツジャパン(株)製]
有機滑剤(W)
脂肪酸アミド(W1)
(W11) :エルカ酸アミド粉末[日本精化(株)製「ニュートロン−S」]。
融点84℃
(W12) :ポリアルキレンポリアミンの脂肪酸アミド粉末。融点60℃
(W’11):N−ヒドロキシエチル−12−ヒドロキシステアリン酸アミド粉末[
伊藤製油(株)製「ITOHWAX J−420」]。融点105℃
(W’12):N−ヒドロキシエチル−リシノール酸アミド粉末[伊藤製油(株)製
「ITOHWAX J−400」]。融点45℃
脂肪酸エステル(W2)
(W21) :12−ヒドロキシステアリン酸ステアリル[伊藤製油(株)製「IT
OHWAX E−230」]。融点70℃
石油ワックス(W3)
(W31):パラフィンワックス[日本精蝋(株)製「LUVAX 1266」]。
融点69℃
整泡剤(B1):シリコン系整泡剤「SZ−1671」[日本ユニカー(株)製]
消泡剤(B2):シリコン系消泡剤「SAG−47」[日本ユニカー(株)製]
脱水剤(C1):合成ゼオライト「PURMOL 3」[CU Chemie Ueti kon AG製]
中空微小球(D1):体積平均粒径20μm、かさ比重0.24のアクリルマイクロバル
ーン「マツモトマイクロスフェアMFL−80GCA」[松本油脂製薬
(株)製]
触媒(H1) :ジ−n−ブチル錫ジラウレート「Stann BL」[三共有機合 成(株)製]
成形品の性能評価試験は下記の方法に従った。
(ア)密度 (単位:cm3
横200mm、縦50mm、厚さ50mmの成形試験片を、20〜25℃に温調された室内で12時間以上静置後測定した試験片の重量を、試験片の3辺の長さの積より算出した体積で除して密度とした。
(イ)硬度
成形品の硬度をASTM D2240型硬度計で測定した。
(ウ)切削抵抗 (単位:N)
横200mm、縦50mm、厚さ50mmの成形品をNCマシン[菊川鉄工所(株)製「NCE23−1H型ルータ」]の定盤上に固定し、切削(切削刃:超硬スロウアウェイチップ、1枚刃、16mmφ、回転数:5,000rpm、送り速度:3,000mm/分、切り込み深さ:3mm)したときに、切削刃が刃物送り方向から受ける抵抗力を4成分動力計[KISTLER(株)製「9272型」、増幅器:KISTLER(株)製「チャージアンプ5011型」、記録計:グラフテック(株)製「WR7700」]で測定した。切削抵抗が小さいほど切削性に優れることを示す。
(エ)平均表面粗度 (単位:μm)
横200mm、縦50mm、厚さ50mmの成形品をNCマシン[菊川鉄工所製「NCE23−1H型ルータ」]の定盤上に固定し、切削(切削刃:フラットエンドミル、ハイス4枚刃、20mmφ、回転数:3,000rpm、送り速度:4,000mm/分、切り込み深さ:0.2mm)した面の平均表面粗度を非接触型3次元形状測定器[(株)キーエンス製「LM−3Dシステム」]で測定した。
実施例1〜8
表1の組成(配合量は重量部)のうち、<ポリオール成分>の各成分をプラネタリーミキサーに投入し、130rpmで10分間撹拌後、5分間30mmHg以下で撹拌脱泡して、<ポリオール成分>の混合液を得た。<イソシアネート成分>も同様にして得た。次に、このポリオール成分の混合液とイソシアネート成分をプラネタリーミキサーに投入し、30mmHg以下、130rpmで5分間撹混合し、それを50mm×50mm×200mmの金型に流し込み、80℃で2時間加熱硬化させた。これを常温で8時間放置冷却し、脱型して樹脂成形品を得た。成形品の評価結果を表1に示す。
実施例9〜24
表2、3の組成で、ポリオール成分とイソシアネート成分を実施例1〜8と同様にして得た。次に、メカニカルフロス機〔MF−350型メカニカルフロス発泡装置[東邦機械工業(株)製]〕のローターを300rpmで回転させながら、ポリオール成分及びイソシアネート成分を合計10〜20L/分の流量でミキシングヘッド入口部に連続供給し、それと同時に空気を所定流量でミキシングヘッド入口部に別ラインから連続供給した。
そして、出口部から連続吐出される混合液を、50mm×50mm×200mmの金型に流し込み、80℃で2時間加熱硬化させた。これを常温で8時間放置冷却し、脱型して樹脂成形品を得た。成形品の評価結果を表2、3に示す。
表2中、混合空気量[体積%]は、下記式で求められる値を表す。(以下の表においても同じ。)

混合空気量[体積%]= V×100/[Z+V]

但し、Zは、ミキシングヘッドに供給される切削加工用樹脂形成性材料の単位時間当たりの体積(L/分)、Vは、ミキシングヘッドに供給される混合空気の単位時間当たりの体積(L/分)を表す。
実施例25〜32
表4の組成でポリエポキシド成分とポリアミン成分を実施例1〜8と同様にして得た。
次に、このポリエポキシド成分とポリアミン成分をプラネタリーミキサーに投入し、30mmHg以下、130rpmで5分間撹拌混合し、それを50mm×50mm×200mmの金型に流し込み、20〜25℃で16時間一次硬化させた。これを50〜55℃で10時間二次硬化させた後、8時間放置冷却し、脱型して樹脂成形品を得た。成形品の評価結果を表4に示す。
実施例33〜48
表5、6の組成で、ポリエポキシド成分とポリアミン成分を実施例1〜8と同様にして得た。次に、メカニカルフロス機〔MF−350型メカニカルフロス発泡装置[東邦機械工業(株)製]〕のローターを300rpmで回転させながら、ポリエポキシド成分およびポリアミン成分を合計10〜20L/分の流量でミキシングヘッド入口部に連続供給し、それと同時に空気を所定流量でミキシングヘッド入口部に別ラインから連続供給した。
そして、出口部から連続吐出される混合液を、50mm×50mm×200mmの金型に流し込み、20〜25℃で16時間一次硬化させた。これを50〜55℃で10時間二次硬化させた後、8時間放置冷却し、脱型して樹脂成形品を得た。成形品の評価結果を表5、6に示す。
比較例1、2、7、8、13
表7、8、9に記載の重量部で、実施例1〜8と同様にして成形品を得た。評価結果を表7、8、9に示す。
比較例3〜6、9〜12、14、15
表7、8、9に記載の重量部で、実施例9〜24と同様にして成形品を得た。評価結果を表7、8、9に示す。
比較例16、17、22、23、28
表10、11、12に記載の重量部で、実施例25〜32と同様にして成形品を得た。評価結果を表10、11、12に示す。
比較例18〜21、24〜27、29、30
表10、11、12に記載の重量部で、実施例33〜48と同様にして成形品を得た。評価結果を表10、11、12に示す。
上記結果から、本発明の切削加工用樹脂形成性材料は、比較の材料に比べて表面がなめらかに切削でき、切削加工性に優れることがわかる。
本発明の切削加工用樹脂形成性材料を使用すると融点が50〜90℃の有機滑剤を含有するため切削表面がなめらかな切削加工用樹脂が得られ、低速での仕上げ加工が不要となるため、自動車の実物大模型等に特に好適である。また、本発明の切削加工用樹脂は、切削表面が滑らかであり、有機滑剤の添加量が少量でも高い滑性が得られるため樹脂の物性値の低下が小さく、鋳物用マスターモデルや検査治具等の強度を必要とする材料[密度(g/cm3)は通常0.4〜1.8、好ましくは0.5〜1.7]からデザインモデル用の低密度であまり強度を必要としない材料[密度(g/cm3)は通常0.1〜0.5、好ましくは0.2〜0.4]まで幅広く適用できる。

Claims (4)

  1. 硬化性樹脂形成性成分(A)および融点(JIS K0064−1992,3.2融点測定方法)が50〜90℃の有機滑剤(W)からなることを特徴とする切削加工用樹脂形成性材料。
  2. (W)の含有量が、(A)と(W)の合計重量に基づいて0.5〜20%である請求項1記載の樹脂形成性材料。
  3. 請求項1または2記載の材料を硬化成形してなる切削加工用樹脂。
  4. 請求項3記載の切削加工用樹脂を切削加工して製造されてなる模型。
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