JP2006328365A - 模型素材用盛り付け剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の模型素材用盛り付け剤では、高速切削加工すると切削表面にささくれや毛羽だちが生じ、低速での仕上げ後加工が必要となるという問題があったところ、高速切削加工においても表面がなめらかに切削でき、低速での仕上げ後工程が不要となる模型素材用盛り付け剤を提供する。
【解決手段】 ポリエポキシド、ポリアミンもしくは酸無水物および中空微小球からなる模型素材用盛り付け剤において、50〜90℃の融点を有する有機滑剤を含有することを特徴とする模型素材用盛り付け剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は模型素材用盛り付け剤に関する。さらに詳しくは、硬化後に切削加工して目的形状の模型を得るために、コア材に盛り付けて該模型の概略形状を形成させるための模型素材用盛り付け剤に関する。
本発明の模型は、例えば、デザインを確認するための大型工業用モデル等であり、具体例としては、自動車の実車大のデザインモデル等が挙げられる。
従来、模型の製造方法としては、(1)合成木材を接着剤で接着し模型を削り出す方法および(2)コア材上に、盛り付け剤を盛り付け、硬化させた後、切削加工して目的形状の模型を得る方法(以下、盛り付け法と略記する)が知られている(例えば、非特許文献1参照)。これらの方法のうち工期短縮の観点から好ましいのは(2)の方法である。
Sika Chemie GmbH ホームページ「Sika Block」および「Biresin」(http://www.sika.com)
しかし、近年、大型モデルの切削等において工期短縮のために切削加工速度がますます高速化されてきている。従来の模型素材用盛り付け剤では、高速切削加工すると切削表面にささくれや毛羽だちが生じ、後工程として低速での仕上げ加工が必要となるという問題がある。
本発明の目的は、高速切削加工においても表面がなめらかに切削でき、低速での仕上げ後工程が不要となる模型素材用盛り付け剤を提供することにある。
本発明者等は、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、ポリエポキシド(A)、ポリアミンもしくは酸無水物(B)および中空微小球(C)からなる模型素材用盛り付け剤において、50〜90℃の融点を有する有機滑剤(W)を含有することを特徴とする模型素材用盛り付け剤;該盛り付け剤を、コア材上で硬化させてなる模型素材;該模型素材を切削加工してなる模型;並びに、ポリエポキシド(A)および中空微小球(C)からなる(I)液と、ポリアミンもしくは酸無水物(B)、中空微小球(C)および有機滑剤(W)からなる(II)液を2液混合吐出機により混合吐出してコア材上に盛り付けて、硬化させることを特徴とする模型素材の製造方法である。
本発明の模型素材用盛り付け剤を硬化させてなる模型素材は、下記の効果を奏する。
(1)高速切削加工においても「ささくれ」や「毛羽だち」が極めて生じにくい。
(2)仕上げの後工程が不要である。
(3)切削面積の大きい大型模型を短期間で切削加工できる。
本発明における、ポリエポキシド(A)、ポリアミンもしくは酸無水物(B)および中空微小球(C)としては、特開2000−345051号公報に記載のもの、例えば下記のもの等が挙げられる。
ポリエポキシド(A)としては、エピハロヒドリン[炭素数(以下、Cと略記)2〜24、例えばエピクロルヒドリン等]もしくはジハロヒドリン[C2〜24、例えばグリセリンジクロルヒドリン等]と、C6〜50またはそれ以上の多価(2価〜6価またはそれ以上)フェノール〔単環フェノール(レゾルシノール、ハイドロキノンおよびカテコール等)、縮合多環フェノール(ジヒドロキシナフタレン等)、多環フェノール[ビスフェノール化合物(ビスフェノールAおよび−F等)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等]、並びにこれらの核置換物等〕、またはC2〜100の多価(2価〜6価またはそれ以上)アルコール〔アルカンポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等)、数平均分子量[以下、Mnと略記。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]3,000以下のポリアルキレン(アルキレン基のC2〜4)グリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等)等〕との反応によって得られるポリ(2価〜6価またはそれ以上)グリシジルエーテル;あるいは上記エピハロヒドリンもしくはジハロヒドリンと、C6〜20またはそれ以上で2価〜6価またはそれ以上の、脂肪族ポリカルボン酸(シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸およびそれらのハロゲン化物等)もしくは芳香族ポリカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸およびそれらのハロゲン化物等)との反応によって得られるポリ(2価〜6価またはそれ以上)グリシジルエステル等が挙げられる。
これらのうち、硬化物の切削加工時の靭性および強度の観点から好ましいのは多価フェノールのポリグリシジルエーテル、さらに好ましいのはビスフェノールAおよび−F、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのグリシジルエーテルである。
(A)の25℃における粘度は、後述する中空微小球(C)および有機滑剤(W)との効率的な混合の観点から好ましくは20,000mPa・s以下、さらに好ましくは15,000mPa・s以下、また(A)のエポキシ当量は、硬化物の耐熱性と強度の観点から好ましくは150〜250さらに好ましくは170〜200である。
ポリアミンもしくは酸無水物(B)のうちポリアミンとしては、脂肪族(C2〜18)、脂環式(C4〜15)、芳香族(C6〜20)、複素環式(C4〜15)およびポリアミド(Mn200〜2,000)アミン等が挙げられる。
脂肪族ポリアミンとしては、C2〜6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン等)、ポリアルキレン(アルキレン基のCは2〜6)ポリアミン[ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン等]、これらのアルキル(C1〜4)もしくはヒドロキシアルキル(C2〜4)置換体(ジエチルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールアミン等)、ジエチレングリコールビスプロピレンジアミン、芳香環(C8〜15)含有脂肪族ポリアミン(メタキシリレンジアミン等)等が挙げられる。
脂環式ポリアミンとしては、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。
芳香族ポリアミンとしては、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
複素環式ポリアミンとしては、N−アミノエチルピペラジン等が挙げられる。
ポリアミドアミンとしては、ダイマー酸(C36〜54)[リノール酸やオレイン酸を主成分とする不飽和脂肪酸(C18〜24)を触媒の存在下に加熱重合して製造されるC36の重合脂肪酸を主成分とするもの]と、過剰(酸1当量当たり2当量以上)のポリアミン(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)を反応させて得られるも
の等が挙げられる。
上記(B)のうち酸無水物としては、C4〜Mn2,000、例えば芳香族酸無水物[C8〜24、例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等]、脂肪族酸無水物〔C4〜Mn2,000、例えば無水マレイン酸、無水コハク酸、アルケニル(C8〜12)無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物(Mn750〜850)、ポリアゼライン酸無水物(Mn1,200〜1,300)、ポリセバシン酸無水物(Mn1,600〜1,700)等〕、および脂環式酸無水物(テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水メチルナジック酸等)が挙げられる。
酸無水物を用いる場合は、通常触媒(E)が用いられる。
(E)としては、3級アミン[例えば2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノエチル)フェノールおよびその他のマンニッヒ塩基、N−ベンジルジメチルアミンおよびトリエタノールアミン]およびそれらの塩[無機酸(塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸)塩、有機酸(カルボン酸、フェノール等)塩等]、4級アンモニウム塩(例えばベンジルトリメチルアンモニウムクロリド)、イミダゾール(例えば1−メチルイミダゾール)およびホスホニウム塩(例えばテトラフェニルホスホニウムブロミドなど)等が挙げられる。
(E)の使用量は、ポリエポキシド(A)の重量に基づいて好ましくは0.2〜8%、さらに好ましくは0.5〜5%である。
(B)のうち、室温(20〜35℃)での1次硬化が可能との観点から好ましいのはポリアミン、さらに好ましいのは脂肪族ポリアミンである。
(B)の25℃における粘度は、後述する中空微小球(C)および有機滑剤(W)との効率的な混合の観点から好ましくは20,000mPa・s以下、さらに好ましくは15,000以下mPa・sである。
(A)と(B)の当量比は、硬化物の機械的および熱的特性の観点から好ましくは1/0.8〜1/1.2、さらに好ましくは1/0.9〜1.1、とくに好ましくは1/0.95〜1.05である。
中空微小球(C)を構成する素材としては、合成樹脂(熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂)および無機物(シラスバルーン、ガラスバルーン等)等が挙げられる。該熱可塑性樹脂としては、例えば(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンからなる群から選ばれる2種以上のビニルモノマーの共重合体;該熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂及び尿素樹脂等が挙げられる。これらのうち硬化物の高速切削が可能との観点から好ましいのは合成樹脂、さらに好ましいのは熱可塑性樹脂、とくに好ましいのは(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンからなる群から選ばれる2種以上のビニルモノマーの共重合体である。
(C)の体積平均粒径(μm)は、下限は盛り付け塗布性の観点から、上限は硬化物切削表面の滑らかさの観点から好ましくは0.5〜100、さらに好ましくは1〜80、とくに好ましくは5〜70である。
(C)の真比重は、下限は取り扱い性の観点から、上限は硬化物の軽量化の観点から好ましくは0.005〜0.1、さらに好ましくは0.01〜0.08、とくに好ましくは0.015〜0.06である。ここにおいて、真比重はピクノメーターを用いるエクスパンセル密度測定法[Technical Bulletin NO.26]で測定される値である。
市販の(C)のうち熱可塑性樹脂からなる(C)としては、エクスパンセル551DE40d42および−40d60、エクスパンセル461DE40d60および−20d70、エクスパンセル092DE40d30[いずれもエクスパンセル(株)製]、並びにマツモトマイクロスフェアF−80EDおよびMFLシリーズ[いずれも松本油脂製薬(株)製]等が挙げられる。
(A)および(B)の合計含有量は、本発明の盛り付け剤の全重量に基づいて、下限は硬化物の靭性の観点から、上限は盛り付け塗布性の観点から好ましくは50〜90%、さらに好ましくは55〜85%、とくに好ましくは60〜80%である。
(C)の含有量は、本発明の盛り付け剤の全重量に基づいて、易切削性の硬化物(硬化物の密度0.3〜0.6g/cm3)を得るとの観点から好ましくは0.01〜40%、
さらに好ましくは0.05〜20%、とくに好ましくは0.1〜10%である。
ここにおいて硬化物の密度とは、300×300×50mm以上の体積で直方体形状に盛り付けた樹脂を25℃で1時間静置した後、70℃で10時間、加熱硬化させ、8時間静置冷却して得られた硬化物を、厚み方向に対して上下10mm以上、長さおよび幅方向に対して50mm以上の端部を切断除去して中心部の試験片を切り出し、測定した密度を意味するものとする。
本発明における有機滑剤(W)の融点は、50〜90℃、好ましくは51〜88℃、さらに好ましくは52〜85℃である。
融点が50℃未満では製造時の撹拌による摩擦熱程度でも溶融し冷却時の再凝固で分散性が悪くなり、90℃を超えると硬化物の切削熱でも溶融化しにくく切削性が悪くなる。
ここにおいて、融点とは、JIS K0064−1992の3.2融点測定方法に準拠して測定される値を意味する。
(W)には、脂肪酸アミド(W1)、脂肪酸エステル(W2)、石油ワックス(W3)および天然ワックス(W4)等が含まれる。
(W1)としては、脂肪酸第1アミド(W11)、N−カルビル脂肪酸第1アミド(W12)およびN,N−ジカルビル脂肪酸第1アミド(W13)およびポリアミンの脂肪酸アミド(W14)等が挙げられる。
(W11)としては、C18〜22の、不飽和および飽和脂肪酸アミドが挙げられる。
不飽和脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、エルカ酸アミドおよびリシノール酸アミド等;飽和脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
(W12)としては、N−アルキル(C1〜18)置換飽和脂肪酸アミド(C9〜40)、N−アルケニル(C2〜18)置換飽和脂肪酸アミド(C10〜40)、N−アルキル(C1〜18)置換不飽和脂肪酸アミド(C19〜40)およびN−アルケニル(C2〜18)置換不飽和脂肪酸アミド(C20〜40)等が挙げられる。
N−アルキル置換飽和脂肪酸アミドとしては、N−メチルカプリン酸アミド、N−メチルラウリン酸アミド、N−メチルミリスチン酸アミドおよびN−ドデシルラウリン酸アミド等が挙げられる。
N−アルケニル置換飽和脂肪酸アミドとしてはN−オレイルパルミチン酸アミドおよびN−オレイルステアリン酸アミド等が挙げられる。
N−アルキル置換不飽和脂肪酸アミドとしては、N−ステアリルオレイン酸アミドおよびN−ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。
N−アルケニル置換不飽和脂肪酸アミドとしては、N−オレイルオレイン酸アミド等が挙げられる。
(W13)としては、N,N−ジアルキル(C1〜18)置換飽和脂肪酸アミド(C10〜60、例えばN,N−ジメチルカプリン酸アミド、N,N−ジメチルラウリン酸アミド、N,N−ジメチルミリスチン酸アミド、N,N−ジメチルパルミチン酸アミド、N,N−ジドデシルラウリン酸アミド、N,N−ジドデシルミリスチン酸アミド、N,N−ジドデシルパルミチン酸アミド、N,N−ジドデシルステアリン酸アミド等);N,N−ジアルケニル(C2〜18)置換飽和脂肪酸アミド(C12〜60、例えばN,N−ジオレイルパルミチン酸アミド、N,N−ジオレイルステアリン酸アミド等);およびN,N−ジアルキル(C1〜18)置換不飽和脂肪酸アミド(C20〜60、N,N−ジステアリルオレイン酸アミド、N,N−ジステアリルエルカ酸アミド等)等が挙げられる。
(W14)としては、ポリアミンと(ポリ)カルボン酸との縮合反応により得られるポリアミドが挙げられる。
ポリアミンとしては、脂肪族[C3〜30、例えばアルキレン(C3〜6)ジアミン(プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、ポリアルキレン(C2〜6)ポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等)等];芳香(脂肪)族[C6〜20、例えばフェニレンジアミン、ナフタレンジアミン、トルイレンジアミン、キシリレンジアミン];脂環式[C5〜12、例えばシクロペンタンジアミン、シクロヘキサンジアミン]等が挙げられる。
(ポリ)カルボン酸のうち、モノカルボン酸としては、直鎖または分岐の脂肪族カルボン酸(C2〜32、例えばアクリル酸、酪酸、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、デカン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、オレイン酸、エルシン酸)、芳香(脂肪)族カルボン酸(C7〜20、例えば安息香酸、トルイル酸)、脂環式カルボン酸(C6〜10、例えばシクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸)等が挙げられる。
ポリカルボン酸(C2〜50)のうちジカルボン酸としては、脂肪族(C2〜40、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、3,3−ジメチルペンタン二酸)、芳香(脂肪)族(C8〜20、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸)、脂環式(C7〜12、例えばシクロヘキサンジカルボン酸、シクロオクタンジカルボン酸)等;3価またはそれ以上の多価カルボン酸としては、脂肪族(C4〜42、例えば3,3−ジメチル−5−エチルオクタン−1,2,8−トリカルボン酸)、芳香(脂肪)族(C9〜24、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸)、脂環式(C8〜15、例えばシクロヘキサントリカルボン酸、)、および前記不飽和脂肪酸のダイマー酸等が挙げられる。
脂肪酸エステル(W2)としてはC18のモノヒドロキシ脂肪酸エステルおよびグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
C18のモノヒドロキシ脂肪酸のエステルとしては12−ヒドロキシステアリン酸メチル、12−ヒドロキシステアリン酸ステアリル、モノ−12−ヒドロキシステアリン酸エチレングリコール及びモノ−12−ヒドロキシステアリン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルとしてはモノ−ステアリン酸グリセリンおよびモノ−ベヘニン酸グリセリン等が挙げられる。
石油ワックス(W3)としては、C20〜50のパラフィンワックス(テトラコサン、ペンタコサンおよびヘキサコサン等)等が挙げられる。
天然ワックス(W4)としては、植物ろう(カルナバワックスおよびキャンデリラワックス等)、動物ろう(ミツロウ等)および鉱物ろう(オゾケライト等)が挙げられる。
これらの有機滑剤(W)のうち、硬化後の模型素材の表面のなめらかさや模型塗装時の塗料のはじきにくさ等の観点から好ましいのは(W1)、盛り付け剤の粘度安定性の観点からさら好ましいのは(W11)および(W14)である。
(W)の使用量は、本発明の盛り付け剤の全重量に基づいて、硬化後の模型素材表面のなめらかさの観点から好ましくは0.1〜30%、さらに好ましくは1〜25%、とくに好ましくは2〜20%である。
本発明の模型素材用盛り付け剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりその他の添加剤(D)を含有させることができる。(D)としては、脱水剤(D1)、(W)以外の有機滑剤(D2)、可塑剤(D3)、チクソ性付与剤(D4)、整泡剤(D5)、充填剤(D6)、紫外線吸収剤(D7)、老化防止剤(D8)、抗酸化剤(D9)、着色剤(D10)、難燃剤(D11)、防黴剤(D12)および抗菌剤(D13)からなる群から選ばれる添加剤が挙げられる。
脱水剤(D1)としては、酸化カルシウム、硫酸カルシウム(半水石膏)、塩化カルシウム、モレキュラーシーブ等;(D2)としては、脂肪酸金属塩(ステアリン酸カルシウム等)、脂肪酸アルカノールアミド(オレイン酸モノエタノールアミド等)等;(D3)としては、フタル酸エステル(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、アジピン酸エステル(ジオクチルアジペート等)、リン酸トリエステル(トリイソプロピルフェニルホスフェート等);(D4)としては、微粒子状シリカ(体積平均粒径100nm以下)、水添ヒマシ油、有機ベントナイト等;(D5)としては、シリコーン整泡剤(オルガノポリシロキサン等)等;(D6)としては、無機充填剤(炭酸カルシウム、タルク、水酸化アルミニウム、雲母、ミルドファイバー等)および有機充填剤(熱硬化性樹脂の粉砕物等)等;
紫外線吸収剤(D7)としては、サリチレート(フェニルサリチレート等)、ベンゾフェノン(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等)、ベンゾトリアゾール[2−(2−ヒドロキシー5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等]等;老化防止剤(D8)としては、アミン(N−フェニル−αおよび−β−ナフチルアミン等)、フェノール[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等]等;(D9)としては、フェノール(ハイドロキノン等)、含硫化合物(ジラウリルチオジプロピオネート等)、アミン(オクチル化ジフェニルアミン等)等;(D10)としては、顔料[無機顔料(酸化チタン、酸化鉄等)、有機顔料(アゾレーキ系、モノアゾ系等)等]、染料(アゾ系、アントラキノン系等)等;(D11)としては、ハロゲン含有難燃剤(ヘキサクロロペンタジエン、ヘキサブロモジフェニル等)、窒素含有難燃剤(尿素化合物、グアニジン化合物等)、硫黄含有難燃剤(硫酸エステル、スルファミン酸等)、リン含有難燃剤(リン酸、ホスフェート等)等;(D12)としては、4−クロルフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール、3−ヨード−2−プロペニルブチルカーバメート等;(D13)としては、抗菌性ゼオライト化合物、4級アンモニウム塩(ジデシルジメチルアンモニウムクロライド等)、有機ヨード系抗菌剤(4−クロルフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール、3−ヨード−2−プロペニルブチルカーバメート等)、有機窒素硫黄系抗菌剤(ベンゾチアゾール、2,4−チアゾリルベンズイミダゾール等)等が挙げられる。
盛り付け剤の全重量に基づいて、(D)全体の使用量は、通常30%以下、各(D)の効果の観点および盛り付け塗布性(下地との密着性)の観点から好ましくは1〜25%、さらに好ましくは5〜20%;(D1)〜(D13)の各使用量のうち、(D3)、(D6)、(D10)および(D11)はそれぞれ通常15%以下、好ましくは5〜10%;(D1)、(D2)および(D4)はそれぞれ通常10%以下、好ましくは2〜8%;(D5)、(D7)、(D8)、(D9)、(D12)および(D13)はそれぞれ通常5%以下、好ましくは0.1〜3%である。
本発明の盛り付け剤は、主剤(I)と硬化剤(II)の2液硬化型の形態で用いられ、該形態には、(1)(A)、(C)および必要により(D)からなる主剤と(B)、(C)、(W)および必要により(D)からなる硬化剤との組み合わせ、(2)(A)、(C)、(W)および必要により(D)からなる主剤と(B)、(C)および必要により(D)からなる硬化剤との組み合わせ、および(3)(A)、(C)、(W)および必要によ
り(D)からなる主剤と(B)、(C)、(W)および必要により(D)からなる硬化剤との組み合わせが含まれる。これらのうち(I)および(II)の各液の安定性の観点から好ましいのは(1)である。
また、中空微小球(C)およびその他の添加剤(D)のそれぞれについては、盛り付け剤の混合、吐出時の撹拌効率および盛り付け性の観点から、主剤中の含有量と硬化剤中の含有量の重量比は好ましくは40/60〜60/40、さらに好ましくは45/55〜55/45である。
本発明の盛り付け剤は、例えば(I)または(II)液の各成分を、プロペラ型、櫂型等の1軸自転型撹拌羽根を備えた混合槽、および2軸自公転型プラネタリーミキサー[井上製作所(株)製、PLGM−400型、以下同じ]等を用いて混合することにより製造される。とくに(C)の配合割合が多い場合は、撹拌シェアが高くなるため、プラネタリーミキサーを用いることが好ましい。
本発明の盛り付け剤の製造形態の一例として、プラネタリーミキサーを用いた場合の工程手順を以下に示す。
(1)先ず液状成分[(I)液成分では(A)、および必要により(D)のうちの液状成分(着色剤、可塑剤等)、(II)液成分では(B)、および必要により(D)のうちの液状成分(着色剤、可塑剤等)]をプラネタリーミキサーの配合槽に計量して、投入し、低速条件(公転14rpm、自転44rpm、以下同じ。)にて、室温(10〜35℃)で10分間混合する。
(2)次に(I)液については粉体成分を、(C)、さらに必要により(D)を投入する。(II)液については粉体成分を、(C)および(W)の順で投入し、さらに必要により(D)を投入する。投入後、粉体成分が液に馴染むまで低速条件にて、室温で10〜30分間混合する。粉体成分を液に馴染ませた後、−0.9MPa以下まで減圧にして脱気しながら、高速条件(自転21rpm、公転66rpm)にて、室温で30分間混合する。該混合の際には、盛り付け剤中に含まれる気泡を除去することにより盛り付け剤硬化後の模型素材表面のなめらかさがさらに高まるとの観点から、減圧脱気することが好ましい。
液状成分と粉体成分の混合温度は、撹拌効率、および減圧脱気と撹拌終了後の押出し充填を容易にするとの観点から昇温して行うことが好ましいが、(W)が溶融して、再凝固することによる分散性不良を防止するとの観点から、混合温度は(W)の融点(50〜90℃)未満(例えば融点70℃の有機滑剤の場合は、50℃程度)が好ましい。
本発明の盛り付け剤は、主剤(I)液と硬化剤(II)液を2液混合吐出機を用い、概略の目的形状のコア材[硬質ポリウレタンフォーム ソフランボード80、東洋ゴム(株)製等を切削加工したモデル形状の下地]上に混合吐出させて、所望の概略形状の模型素材が得られる。(I)液と(II)液の混合割合(重量比)は、混合効率の観点から好ましくは0.5/1〜1/0.3である。
本発明の盛り付け剤を用いた模型素材の製造工程例を以下示す。
(1)(I)、(II)液をそれぞれ吸引、送液できるポンプ部を有する2液吐出機に、(I)、(II)液がそれぞれ充填された容器をセットする。ポンプとしては、高粘度材料を精度良く吸引、送液できるとの観点から好ましいのはプランジャーポンプ[例えばTooling−Mix PH200fix型、タイヨーテクノ(株)製]またはスネークポンプ[ペール缶用ディスチャージャー2NTL20型、兵神装備(株)製、以下同じ]、中空微小球(C)の破壊が比較的少なく、低流動性でも送液が可能との観点からさらに好ましいのはスネークポンプである。
(2)(I)、(II)液が所定割合になるようにそれぞれのポンプ送液量を設定する。
(3)吐出口までのライン中にスタティックミキサー[スタティックミキサー 1・1/2−N30−131−F型、(株)ノリタケカンパニーリミテッド製、以下同じ]を設置し、2液を吐出させ、概略の目的形状のコア材の上に塗布する。
(4)室温(20〜35℃)で1次硬化させた後、50〜70℃で8〜12時間硬化させて所望の形状の模型素材を得る。
本発明の盛り付け剤は、安定した物性の発現の観点から、塗布後に加熱して後硬化させることが好ましい。後硬化の条件は、硬化収縮や冷却時の歪を小さくするとの観点から好ましいのは40〜100℃で5〜14時間、さらに好ましいのは50〜70℃で8〜12時間である。
得られた模型素材はNCマシン等で切削加工することにより、模型(工業用モデル)が得られる。
該切削加工における切削抵抗(単位:N)は、後述の実施例の試験方法で測定されるが、高速切削加工の観点から好ましくは100以下、さらに好ましくは70以下である。
また、高速切削加工後の模型表面状態は、後述の実施例の試験方法で測定される平均表面粗度(単位μm)で測定されるが、仕上げの後工程を不要とするとの観点から好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。
本発明の模型は、切削表面が滑らかに仕上るため、サンドペーパー(240番等)で表面を研削した後、塗装することが可能である。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において部は重量部を表す。また、粘度はJIS K1557に準じ25℃で測定した値である。
<使用原材料>
ポリエポキシド(A)
(A1)エピコート828[ジャパンエポキシレジン(株)製、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、エポキシ当量189、粘度14,000mPa・s]
(A2)エポジール750[エアープロダクツジャパン(株)製、1.4ブタンジオール
ジグリシジルエーテル、エポキシ当量130、粘度1,800mPa・s]
(B1)アンカミン1922[エアープロダクツジャパン(株)製、ジエンチレングリコ
ールジアミノプロピルエーテル、活性水素当量55、粘度10mPa・s]
(B2)HN−2200[日立化成工業(株)製、3または4−メチル−1,2,3,
6−テトラヒドロフタル酸無水物、中和当量81〜85、粘度50〜80mPa
・s]
(C1)エクスパンセル551DE40d60[エクスパンセル(株)製、熱可塑性樹脂
中空微小球、真比重0.042、体積平均粒径40μm]
(D1−1)モレキュラーシーブ3A−Bパウダー脱水剤[ユニオン昭和(株)製、モレ
キュラーシーブ、粒径1〜10μm、孔径30nm以下]
(D4−1)AEROSIL200[日本アエロジル(株)製、微粒子状シリカ(チクソ
性付与剤)、粒径12nm]
(D6−1)SOAP STONE C[日本ミストロン(株)製、タルク、粒径1〜3
0μm、体積平均粒径5μm]
(E1)ルベアック−DMP−30[ナカライテスク(株)製、2,4,6−トリス(ジ
メチルアミノエチル)フェノール]
(W11)ニュートロン−S[日本精化(株)製、エルカ酸アミド粉末、融点84℃]
(W12)PNT[日本精化(株)製、N−オレイル−パルミチン酸アミド粉末、融点6
9℃]
(W14)ポリアルキレンポリアミンの脂肪酸アミド粉末[ASA T−2000、伊藤
製油(株)製]。融点60℃
(W21)ITOHWAX E−230[伊藤製油(株)製、12−ヒドロキシステアリ
ン酸ステアリル、融点70℃]
(W22)ITOHWAX E−210[伊藤製油(株)製、12−ヒドロキシステアリ
ン酸メチル、融点52℃]
(W31)LUVAX 1266[日本精蝋(株)製、パラフィンワックス、融点69℃

(W’1)ITOHWAX J−420[伊藤製油(株)製、N−ヒドロキシエチル−1
2−ヒドロキシステアリン酸アミド粉末、融点105℃]
(W’2)ITOHWAX J−500[伊藤製油(株)製、N,N’−エチレン−ビス
−オレイルアミド粉末、融点114℃]
<試験方法>
(1)硬化時間
液温および室温を25℃に調整し、1L紙コップに総重量が200gとなるように(I)液と(II)液を秤取り、30秒撹拌後、100×100×30mmとなるように盛り付け、平板状の試験片とする。試験片のほぼ中央部を指触し、撹拌開始から表面の粘着性がなくなるまでの時間を硬化時間とした。
(2)硬化物密度
20〜25℃で16時間1次硬化させた後、50〜55℃で後硬化させ、室温まで除冷した500×500×50mmの硬化物(以下、試験用硬化物と略記。)の中心部から、100×200×30mmの試験片を切り出し、20〜25℃、50〜60%RHで24時間温調された試験片の重量を、体積で除した値を硬化物密度とした。
(3)硬度
試験用硬化物を、バンドソーで盛り付け平板の中央部を厚み方向に切断し、20〜25℃、50〜60%RHで2〜3時間温調した後、切断面の中央部をASTM D2240(1977年版)に準じて、D型硬度計[高分子計器(株)製]を用いて測定した。
(4)曲げ強さ
試験用硬化物の中心部から、80×10×4mmの試験片を切り出し、20〜25℃、50〜60%RHで2〜3時間温調された試験片について、JIS K6911(1992年版)に準じて、インストロン型万能試験機[(株)島津製作所製]を用いて曲げ強さを測定した。
(5)切削抵抗
試験用硬化物の中心部から、80×30×10mmを切り出し、20〜25℃、50〜60%RHで2〜3時間温調された試験片について、NCマシンで切削(切削刃:超硬スロウアウェイチップ、1枚刃、16mmφ、回転数5,000rpm、送り速度3,000mm/分、切り込み深さ3mm)したときに、切削刃が刃物送り方向から受ける抵抗力を、4成分動力計[KISTLER(株)製「9272型」]、増幅器[KISTLER(株)製「チャージアンプ5011型」]、記録計[グラフテック(株)製「WR7700」]を用いて測定した。
(6)平均表面粗度
試験用硬化物の中心部から、80×30×10mmを切り出し、20〜25℃、50〜60%RHで2〜3時間温調された試験片について、NCマシンで切削(切削刃:フラットエンドミル、ハイス4枚刃、20mmφ、回転数3,000rpm、送り速度:4,000mm/分、切り込み深さ0.2mm)した面の平均表面粗度を非接触型3次元形状測定器[キーエンス(株)製「LM−3Dシステム」]で測定した。
実施例1〜36
表1、2、4、5に記載の配合比で、各成分をプラネタリーミキサーに投入し、公転14rpm、自転44rpmで10分間混合し均一にした後、自転21rpm、公転66rpm、−0.9MPa以下で30分間撹拌脱気して、本発明の盛り付け剤を(I)液と(II)液の2液硬化型として得た。得られた各液は20Lペール缶に18L充填した。
次に、(I)液および(II)液を合計で2L/分の速度で、スネークポンプで送液し、Y字管で送液ラインを1本にまとめた後、スタティックミキサー(30エレメント)で
混合し、垂直に立てた硬質ポリウレタンフォーム(500×500×50mm)の500×500mmの面上に、吐出させた。のを吐出液を30mmの厚さで盛り付けた。25℃で16時間垂直のまま静置した後、50℃で10時間、加熱硬化させた。これを8時間静置して冷却し盛り付け剤の硬化物を得た。評価結果を表1、2、4および5に示す。
比較例1〜14
表3および6に記載の配合比で、実施例1〜36と同様にして硬化物を得た。評価結果を表3および6に示す。
Figure 2006328365
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本発明の模型素材用盛り付け剤は、融点が50〜90℃の有機滑剤(W)を含有するため切削表面がなめらかで、低速での仕上げ後加工が不要となる模型素材が得られる。しかも軽量であることから、例えば、鉄道車両、自動車および家電製品の実物大デザインモデルや、自動車の内装デザインモデルを作製する際等に好適に使用できる。

Claims (5)

  1. ポリエポキシド(A)、ポリアミンもしくは酸無水物(B)および中空微小球(C)からなる模型素材用盛り付け剤において、50〜90℃の融点を有する有機滑剤(W)を含有することを特徴とする模型素材用盛り付け剤。
  2. (W)の含有量が、0.1〜30重量%である請求項1記載の盛り付け剤。
  3. 請求項1または2記載の盛り付け剤を、コア材上で硬化させてなる模型素材。
  4. 請求項3記載の模型素材を切削加工してなる模型。
  5. ポリエポキシド(A)および中空微小球(C)からなる主剤(I)液と、ポリアミンもしくは酸無水物(B)、中空微小球(C)および有機滑剤(W)からなる硬化剤(II)液を2液混合吐出機により混合吐出してコア材上に盛り付けて、硬化させることを特徴とする模型素材の製造方法。
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