JP2006232757A - フェノキシエチルハライド及びその誘導体の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】医薬の合成中間体として有用なフェノキシエチルハライド類の工業的に有利な製法と、その製法を利用したタムスロシンの製造方法を提供する。
【解決手段】1)下記式(I)の化合物と、トリフェニルホスフィンと塩基性有機化合物の存在下、ハロゲン分子とを反応させて式(II)の化合物を製造する。
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は同一又は相異なって、それぞれ水素原子又は活性水素を持たない置換基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
2)前記方法により2−エトキシフェノールとハロゲン分子とを反応させて下記式(IV)の化合物(式中、Xは前記と同じ)を得、これと式(V)の化合物とを反応させて式(VI)の化合物(タムスロシン)を製造する。
【化2】
【選択図】なし。
【解決手段】1)下記式(I)の化合物と、トリフェニルホスフィンと塩基性有機化合物の存在下、ハロゲン分子とを反応させて式(II)の化合物を製造する。
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は同一又は相異なって、それぞれ水素原子又は活性水素を持たない置換基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
2)前記方法により2−エトキシフェノールとハロゲン分子とを反応させて下記式(IV)の化合物(式中、Xは前記と同じ)を得、これと式(V)の化合物とを反応させて式(VI)の化合物(タムスロシン)を製造する。
【化2】
【選択図】なし。
Description
本発明は、医薬の合成中間体又は医薬として有用なフェノキシエチルハライド及びその誘導体の製造法に関するものである。
ジェー アウグスタイン(J. AUGSTEIN)らは、アリルオキシアルキルハライドの一般的な製造方法の例として、フェノールに対し1.25倍〜2倍モルのアルキレン−α,ω−ジハライドを反応させる方法(1工程)を開示している(非特許文献1参照)。しかし、本発明者らがこの方法を追試したところ、副反応によりα,ω−ビス(フェノキシ)アルカンとハロゲン化ビニルが多量に生成すること、さらに反応途中で実質的に反応が進まなくなること、これを進めるには大量の塩基性化合物の添加が必要となり、しかも反応終了までに1〜2週間かかることが判った。
一方加藤らは、前記非特許文献1の副反応の問題点を克服する方法として、アルコキシフェノールに炭酸エチレン又は酸化エチレンを反応させて(アルコキシフェノキシ)エチルアルコールとし(第1工程)、これにスルフォニルハロゲン化物を反応させて(アルコキシフェノキシ)エチルスルフォニル化合物を得(第2工程)、次いで臭化リチウム等のハロゲン化物を反応させて(アルコキシフェノキシ)エチルハライドを得る(第3工程)方法、得られたハライドにスルファモイル置換フェネチルアミン類(特許文献1)を反応させてα1−遮断剤のタムスロシン(一般名)を含むスルファモイル置換フェネチルアミン誘導体を製造する方法(第4工程)を開示している(特許文献2)。
ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(J.Med.Chem.)8(3),363(1965)
特公平1−37391号公報
特開2000−229901号公報
本発明の課題は、できるだけ少ない工程で工業的有利に置換若しくは非置換フェノキシエチルハライドおよびその誘導体を製造する方法を提供することにある。
本発明者は、先ず2−(2−エトキシフェノキシ)エタノール(III)を直接臭素化する方法について検討し、前記の非特許文献1の副生成物を全く生成しない方法を見出した。その結果得られた2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロマイドと、5−[(2R)−2−アミノプロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(V)とを反応させると、特許文献2より1工程少ない工程で5−[(2R)−2−[[2−(2−エトキシフェノキシ)エチル]アミノ]プロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(VI)(タムスロシン)を高収率で製造することができることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成した。
すなわち本発明によれば、
[I]式(1)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は同一又は相異なって、それぞれ水素原子又は活性水素を持たない置換基を示す。)で表される化合物と、トリフェニルホスフィン及び塩基性有機化合物の存在下、ハロゲン分子とを反応させて式(II)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は前記と同じ。Xはハロゲン原子を示す。)で表されるフェノキシアルキルハライド誘導体を製造する方法、
[I]式(1)
[2]活性水素を持たない置換基がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子又はニトロ基である前記[1]に記載の方法、
[3]R1がエトキシ基であり、R2、R3、R4、R5及びR6がそれぞれ水素原子であり、Xが塩素原子、臭素原子又は沃素原子であり、塩基性有機化合物がイミダゾールである前記[1]に記載の方法、
[4]式(III)
で表される化合物と、トリフェニルホスフィン及び塩基性有機化合物の存在下、ハロゲン分子とを反応させて式(IV)
(式中、Xは前記と同じ)で表される2−(2−エトキシフェノキシ)エチルハライドとし、これと式(V)
で表される5−[(2R)−2−アミノプロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミドとを反応させて式(VI)
で表される5−[(2R)−2−[[2−(2−エトキシフェノキシ)エチル]アミノ]プロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミド又はその塩酸塩を製造する方法、
[5]ハロゲン分子が臭素であり、塩基性有機化合物がイミダゾールである前記
[4]に記載の方法を提供することができる。
[4]に記載の方法を提供することができる。
前記[1]〜[3]の本発明によれば、α1−遮断剤等の医薬中間体として有用な置換又は非置換フェノキシエチルハライドを、市販の原料を用いて一工程でしかも副生成物の生成を数%以下に抑えて短時間で収率よく製造することができる。
また、前記[4]の本発明によれば、タムスロシンを少ない工程数で製造でき、精製も容易となる。
また、前記[4]の本発明によれば、タムスロシンを少ない工程数で製造でき、精製も容易となる。
本発明において式(I)で表される化合物とハロゲン分子との反応は、通常、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジブロモエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン等の溶媒中で行われる。反応に使用するハロゲン分子としては、塩素、臭素又は沃素を挙げることができ、中でも室温で液体の臭素が好ましい。ハロゲン分子の使用量は、式(I)で表される化合物1モルに対し1〜10倍モルの範囲内が好ましく、臭素の場合は1〜2倍モル程度でよい。また、トリフェニルホスフィン及び塩基性有機化合物の使用量は、それぞれハロゲン分子とほぼ等モル量が好ましい。塩基性有機化合物としては、トリエチルアミン、ピリジン、イミダゾール、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピペラジン、アニリン、ルチジン、コリジン等が挙げられるが、中でもイミダゾールが好ましい。反応温度は、−10℃〜50℃が好ましく、特に25℃前後がより好ましい。反応は通常1〜5時間で終了する。
本発明中の式(V)で表される化合物と式(IV)で表される化合物との各使用量は、通常、前者1倍モルに対して後者を1倍モルないしやや過剰用いると良い。
この両者の反応は、通常有機溶媒中で行われる。その有機溶媒としては、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブタノール等が好ましく、中でも2−ブタノールがより好ましい。
反応温度は、20℃〜120℃の範囲が好ましく、特に85℃前後がより好ましい。反応は通常6〜24時間で終了する。
この両者の反応は、通常有機溶媒中で行われる。その有機溶媒としては、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、2−プロパノール、t−ブタノール等が好ましく、中でも2−ブタノールがより好ましい。
反応温度は、20℃〜120℃の範囲が好ましく、特に85℃前後がより好ましい。反応は通常6〜24時間で終了する。
なお、式(V)の化合物は、いくつかの方法で製造できるが、例えば前記特許文献1に記載の方法により、製造することができる。
(1)2−(2−エトキシフェノキシ)エタノール
2−エトキシフェノール138g(1モル)、炭酸エチレン132g(1.5モル)及びトリエチルアミン140mlを混合し、加熱下(125〜130℃)で8時間撹拌した。次いで反応液を放冷し、トルエン690mlを加え撹拌後、トルエン層を分取し、水、20%塩酸、10%食塩水で順次洗浄した。得られたトルエン層は硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して油状の2−(2−エトキシフェノキシ)エタノールを180g(高速液体クロマトグラフィーの面積百分率:77.4%;収率99%)得た。
(2)2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロマイド
トリフェニルホスフィン393g(1.5モル)及びイミダゾール102g(1.5モル)をテトラヒドロフラン3000mlに順次溶解し、氷水冷下撹拌しながら臭素77ml(1.5モル)を滴下した。続いて、(1)で得られた油状の2−(2−エトキシフェノキシ)エタノール180g(0.99モル)をテトラヒドロフラン100mlに溶かした溶液を滴下した。滴下終了後、室温下で1時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にトルエン690mlと水690mlを加え、かきまぜるとトリフェニルホスフィンオキサイドが析出した。これを濾去した後、トルエン層を分取して10%水酸化カリウム水溶液690mlと10%食塩水690mlで順次洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にジイソプロピルエーテル690mlを加え、氷水冷下で1時間撹拌した。析出したトリフェニルホスフィンオキサイドを濾去した後、溶媒を減圧留去し、残渣を減圧蒸留して2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロマイド186g(収率76%)を得た。
融点:42−43℃
NMR(CDCl3)δ(ppm):7.26−6.87(4H,m),4.33(2H,t),4.09(2H,q),3.65(2H,t),1.45(3H,t).
ESI−MS(Q)−(M+):245,246[M]+.
2−エトキシフェノール138g(1モル)、炭酸エチレン132g(1.5モル)及びトリエチルアミン140mlを混合し、加熱下(125〜130℃)で8時間撹拌した。次いで反応液を放冷し、トルエン690mlを加え撹拌後、トルエン層を分取し、水、20%塩酸、10%食塩水で順次洗浄した。得られたトルエン層は硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して油状の2−(2−エトキシフェノキシ)エタノールを180g(高速液体クロマトグラフィーの面積百分率:77.4%;収率99%)得た。
(2)2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロマイド
トリフェニルホスフィン393g(1.5モル)及びイミダゾール102g(1.5モル)をテトラヒドロフラン3000mlに順次溶解し、氷水冷下撹拌しながら臭素77ml(1.5モル)を滴下した。続いて、(1)で得られた油状の2−(2−エトキシフェノキシ)エタノール180g(0.99モル)をテトラヒドロフラン100mlに溶かした溶液を滴下した。滴下終了後、室温下で1時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にトルエン690mlと水690mlを加え、かきまぜるとトリフェニルホスフィンオキサイドが析出した。これを濾去した後、トルエン層を分取して10%水酸化カリウム水溶液690mlと10%食塩水690mlで順次洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にジイソプロピルエーテル690mlを加え、氷水冷下で1時間撹拌した。析出したトリフェニルホスフィンオキサイドを濾去した後、溶媒を減圧留去し、残渣を減圧蒸留して2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロマイド186g(収率76%)を得た。
融点:42−43℃
NMR(CDCl3)δ(ppm):7.26−6.87(4H,m),4.33(2H,t),4.09(2H,q),3.65(2H,t),1.45(3H,t).
ESI−MS(Q)−(M+):245,246[M]+.
5−[(2R)−2−[[2−(2−エトキシフェノキシ)エチル]アミノ]プロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩
5−[(2R)−2−アミノプロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(前記特許文献1)13g(0.0533モル)と2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロマイド13g(0.0531モル)とをイソプロピルアルコール195mlに溶解し、約8時間加熱還流する。反応液を室温まで冷却後、5−[(2R)−2−アミノプロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミドと臭化水素との白色塩を濾過し、濾液を減圧濃縮する。濃縮残渣に10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。抽出液を減圧濃縮して5−[(2R)−2−[[2−(2−エトキシフェノキシ)エチル]アミノ]プロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミドを含む乳濁油状物を得、これをメタノール50mlに溶解し、塩酸ガスを吹き込む。析出した結晶を濾取し、メタノールから再結晶して5−[(2R)−2−[[2−(2−エトキシフェノキシ)エチル]アミノ]プロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩の白色結晶7.43gを得た(収率31%)。
融点:228−230℃
元素分析:理論値(%):C 53.98 H 6.57 N 6.30
実測値(%):C 53.78 H 6.48 N 6.34
比旋光度[α]20 D:−18.6℃(C=1.0,H2O)
光学純度:99.9%
NMR(CDCl3)δ(ppm):9.48(2H,brd),6.88−7.09(6H,m),3.55(1H,m),1.26(3H,t),7.63(1H,d),4.34(2H,t),3.41(2H,m),1.16(3H,d),7.46(1H,dd),4.02(2H,q),3.34(1H,dd),7.18(1H,d),3.89(3H,s),2.71(1H,dd).
5−[(2R)−2−アミノプロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミド(前記特許文献1)13g(0.0533モル)と2−(2−エトキシフェノキシ)エチルブロマイド13g(0.0531モル)とをイソプロピルアルコール195mlに溶解し、約8時間加熱還流する。反応液を室温まで冷却後、5−[(2R)−2−アミノプロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミドと臭化水素との白色塩を濾過し、濾液を減圧濃縮する。濃縮残渣に10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。抽出液を減圧濃縮して5−[(2R)−2−[[2−(2−エトキシフェノキシ)エチル]アミノ]プロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミドを含む乳濁油状物を得、これをメタノール50mlに溶解し、塩酸ガスを吹き込む。析出した結晶を濾取し、メタノールから再結晶して5−[(2R)−2−[[2−(2−エトキシフェノキシ)エチル]アミノ]プロピル]−2−メトキシベンゼンスルホンアミド塩酸塩の白色結晶7.43gを得た(収率31%)。
融点:228−230℃
元素分析:理論値(%):C 53.98 H 6.57 N 6.30
実測値(%):C 53.78 H 6.48 N 6.34
比旋光度[α]20 D:−18.6℃(C=1.0,H2O)
光学純度:99.9%
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置換又は非置換フェノキシエチルハライドの製造方法に係る本第一発明は、タムスロシンのみならず他のα1−遮断剤等の医薬中間体の簡便な製造方法として利用できる。
また、本第二発明は、工程数が短く精製が容易なタムスロシンの製造方法として利用できる。
また、本第二発明は、工程数が短く精製が容易なタムスロシンの製造方法として利用できる。
Claims (5)
- 活性水素を持たない置換基がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子又はニトロ基である請求項1に記載の方法。
- R1がエトキシ基であり、R2、R3、R4、R5及びR6がそれぞれ水素原子であり、Xが塩素原子、臭素原子又は沃素原子であり、塩基性有機化合物がイミダゾールである請求項1に記載の方法。
- ハロゲン分子が臭素であり、塩基性有機化合物がイミダゾールである請求項4に記載の方法。
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JP2005051584A JP2006232757A (ja) | 2005-02-25 | 2005-02-25 | フェノキシエチルハライド及びその誘導体の製造法 |
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JP2005051584A JP2006232757A (ja) | 2005-02-25 | 2005-02-25 | フェノキシエチルハライド及びその誘導体の製造法 |
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JP2006232757A true JP2006232757A (ja) | 2006-09-07 |
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-
2005
- 2005-02-25 JP JP2005051584A patent/JP2006232757A/ja active Pending
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