JP2006231650A - 発熱体とその製造方法、サーマルヘッドおよびサーマルプリンタ - Google Patents

発熱体とその製造方法、サーマルヘッドおよびサーマルプリンタ Download PDF

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Abstract

【課題】 所望の大きさの断熱層を容易に得ることができるとともに、ヒータ部の発熱効率を向上させることができて、均一かつ良好な印字品質を得ることができる発熱体およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 上面に少なくとも一つの凹所25を有する基板21とこの基板21上に積層された薄膜22とにより構成される中空構造体と、前記凹所25に対応した位置に設けられた抵抗体23と、各抵抗体23に接続されて電力が供給される電極24とを具備する発熱体11であって、前記薄膜22を貫通して凹所25に接続する貫通孔32が、前記抵抗体23とは異なる位置に設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図7

Description

本発明は、サーマルプリンタ、該サーマルプリンタに使用されるサーマルヘッド、およびこのサーマルヘッドを構成する発熱体およびその製造方法に関するものである。
プリンタに使用される発熱体としては、断熱層の上にヒータ部を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−227968号公報
上述した特許文献1に開示されている発熱体の断熱層は、CVD酸化膜の上にヒータおよびAl配線がそれぞれ形成された後、ヒータ部の一部が除去されて、この状態でCVD酸化膜がエッチングされることにより形成されたものである。
CVD酸化膜のエッチングは、ヒータ部の一部が除去された穴から等方的に進行していくこととなるため、断熱層の隅部は、その形状がどうしても丸くなってしまう。また、ヒータ部およびAl配線の上に絶縁体を成膜する際に、ヒータ部の一部が除去された穴からこの絶縁膜が断熱層内に進入し、断熱層を埋め戻してしまうといったこともあった。そのため、断熱層の大きさがその都度異なり、均一な印字品質を得ることができないといった問題点があった。
また、ヒータ部の一部が除去されてしまうことにより、ヒータ部の発熱効率が低下してしまうといった問題点もあった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、所望の大きさの断熱層を容易に得ることができるとともに、ヒータ部の発熱効率を向上させることができて、均一かつ良好な印字品質を得ることができる発熱体およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明による発熱体の製造方法は、基板上に少なくとも一つの凹所を形成し、この凹所内に犠牲層を成膜し、その上に前記基板とともに中空構造体を構成する薄膜を成膜し、さらにその上の前記凹所に対応した位置に抵抗体、および、各抵抗体に接続される電極を順次パターニングした後に、前記犠牲層を溶解するエッチング液中に漬けて、前記犠牲層を前記凹所内から除去することを特徴とする。
このような発熱体の製造方法によれば、基板の上面に凹所を予め形成し、その中に犠牲層を埋め込むことにより、凹所を再現性よく得ることができる。したがって、所望の大きさの断熱層を容易に得ることができて、均一な印字品質を得ることが可能な発熱体を製造することができる。
また、抵抗体の表面全体を利用することができるように構成されているので、良好な発熱効率を有する発熱体を製造することができる。
本発明による発熱体は、上面に少なくとも一つの凹所を有する基板とこの基板上に積層された薄膜とにより構成される中空構造体と、前記凹所に対応した位置に設けられた抵抗体と、各抵抗体に接続されて電力が供給される電極とを具備する発熱体であって、
前記薄膜を貫通して凹所に接続する貫通孔が、前記抵抗体とは異なる位置に設けられている。
このような発熱体によれば、基板の上面に凹所を予め形成し、その中に犠牲層を埋め込むことにより、凹所を再現性よく得ることができる。したがって、所望の大きさの断熱層を容易に得ることができて、均一な印字品質を得ることができる。
また、抵抗体の表面全体を利用することができるように構成されているので、抵抗体の発熱効率を向上させることができて、良好な印字品質を得ることができる。
本発明による発熱体は、前記凹所が2以上備えられ、前記凹所と凹所との間に前記貫通孔が設けられている。
このような発熱体によれば、犠牲層を溶解するエッチング液が貫通孔を通って凹所内に導かれ、このエッチング液により犠牲層が除去されることとなる。
本発明による発熱体は、前記凹所と凹所との間に、前記凹所の底面と薄膜とを接続して薄膜を支持する支持部が形成されている。
このような発熱体によれば、支持部により薄膜が支持されるようになっているので、中空構造体の機械的強度を向上させることができるとともに、発熱体全体の機械的強度を向上させることができる。また、このような発熱体を2以上備える場合、一直線に並んだ前記貫通孔と支持部によって、各々の発熱体で生じた熱の伝導を仕切ることができるため、良好な印字品質を得ることができる。
本発明によるサーマルヘッドは、上記発熱体がライン状に複数配置されていることを特徴とする。
このようなサーマルヘッドによれば、多数の発熱体を細密配置し、均一かつ良好な印字品質を得ることができる。
本発明によるサーマルプリンタは、上記サーマルヘッドを具備してなることを特徴とする。
このようなサーマルプリンタによれば、均一かつ良好な印字品質を得ることができる。
本発明によれば、常に所定の大きさの断熱層を得ることができるとともに、ヒータ部の発熱効率を向上させることができて、均一かつ良好な印字品質を得ることができるという効果を奏する。
以下、本発明による発熱体の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図18は、本発明による発熱体を備えたサーマルプリンタの概略構成断面図である。
図18に示すように、サーマルプリンタ1は、内部に感熱紙収容部2が形成された筐体3と、支点4を介して筐体3に取り付けられたカバー部材5と、回転軸6を介してカバー部材5に取り付けられ、外周がゴム等の弾性部材からなるプラテン7と、印字機構支持部材8を介して筐体3に取り付けられた駆動ローラ9およびサーマルヘッド10とを主たる要素として構成されたものである。
なお、図中の符号Pは感熱紙を示している。
感熱紙Pは、プラテン7とサーマルヘッド10とにより挟持されているとともに、サーマルヘッド10から搬送方向下流側でも、駆動ローラ9とプラテン7とにより挟持されている。駆動ローラ9には図示しないモータからの動力が、図示しない伝達手段により伝達されるようになっており、駆動ローラ9が回転させられることとなる。駆動ローラ9が回転させられると、駆動ローラ9と感熱紙Pとの摩擦力により、感熱紙Pは矢印A方向に搬送される。すると、感熱紙Pと密着しているプラテン7は従動回転する。
駆動ローラ9の回転に同期して、サーマルヘッド10を構成する発熱体のうち、所定の発熱体にパルス状の電力が印加される。それにより得られた発熱により、感熱紙Pを発色させて、所定の印字が行われるようになっている。
図10に示すように、サーマルヘッド10は、本発明による発熱体11が、ライン状に複数配置されるとともに、発熱体11の上面が保護膜12によりコーティングされているとともに、発熱体11の下面が保護基板13によりコーティングされたものである。これら保護膜12および保護基板13は、発熱体11の摩耗および酸化を防止するためのものであり、その材料としては、例えば、SiAlON等が用いられている。
各発熱体11は、図7ないし図9に示すように、Siからなる基板21と、この基板21の上に積層された薄膜22と、Ta−SiO等の比抵抗の大きい金属(あるいは金属と絶縁体との混合物)からなる複数個(本実施形態では3個)の抵抗体(ヒータ部)23と、各抵抗体23に接続されて電力が供給される電極24とを主たる要素として構成されたものである。
図1に示すように、基板21は、平面視矩形状を呈する板状の部材であり、その上面には、平面視矩形状を呈する複数個(本実施形態では3個)の凹所25が設けられている。各凹所25は、対応する抵抗体23の下方に位置するように設けられており、断熱層としての空間を形成している。また、一の凹所25と隣接する凹所25との間には支持部25aが設けられているとともに、一の凹所25と隣接する凹所25とは連通路25b(本実施形態では2本の連通路25b)を介して通じている。そして、両端に位置する凹所25には、長手方向外側に向かって溶解液の入口となる空間25cがそれぞれ2つずつ設けられている。
薄膜22は基板21上に形成され、その材料としては、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいはSiAlON等の絶縁体で、かつAl等の金属に比べて熱伝導率の小さい材料が用いられる。また、この薄膜形成方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法のいずれかの方法が用いられる。また、その材料として、SOG(Spin on Glass)膜や、ポリイミドと塗布膜等の液体材料をスピンコートした後、加熱処理することで形成される絶縁物を用いることもできる。この場合、犠牲層31上面と基板21上面の段差をなくすことができ、その後の各成膜行程を良好に行っていくことができるので、発熱体11全体の機械的強度を向上させることができる。
抵抗体23は、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法のいずれかの方法により成膜され、リフトオフ法もしくはエッチング法によりパターニングされたものである。
電極24は、抵抗体23を構成する材料よりも比抵抗率の小さい金属材料、例えば、Al、Cu等からなり、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法のいずれかの方法により成膜され、リフトオフ法もしくはエッチング法によりパターニングされたものである。
つぎに、図1ないし図7を用いて発熱体11の製造方法について説明する。
まず、基板21上にフォトレジストでパターニングをした後、RIE(Reactive Ion Etching)を用いてSiを数μmエッチングすることにより、基板21上に凹所25、連通路25b、および空間25cを形成する(図1参照)。エッチングガスには、SF、またはCFを主成分としたガスを用いる。
基板21をエッチングするためにパターニングしたフォトレジストを、そのまま犠牲層31をリフトオフにて形成するためのマスクとして用いる。犠牲層31の材料としては、MoあるいはCu等の発煙硝酸(98%HNO)で溶解するものを用いる。犠牲層31は、スパッタ法もしくは真空蒸着法のいずれかの方法により成膜され、その後、アセトンを用いて、フォトレジストを除去する(図2参照)。
そして、その上に薄膜22を成膜し(図3参照)、さらにその上に抵抗体23をパターニングした後(図4参照)、各抵抗体23に接続される電極24をパターニングする(図5参照)。
連通路25bおよび空間25cの上方に位置する薄膜22のみがエッチングにより除去されるように、フォトレジストでパターニングし、RIEによるドライエッチングあるいはフッ酸あるいはフッ硝酸等の溶液によるウェットエッチングを行って、犠牲層エッチング窓(貫通孔)32を形成する(図6参照)。
最後に、発煙硝酸(エッチング液)中に全体を漬け、犠牲層31を完全に除去して一連の製造工程を終了する(図7参照)。
本実施形態によれば、基板21の上面に凹所25、連通路25b、および空間25cを予め形成し、その中に犠牲層31を埋め込むことにより、凹所25、連通路25b、および空間25cを再現性よく得ることができるので、所望の大きさの断熱層を容易に得ることができる。その結果、製造された本実施形態に係る発熱体11によれば、サーマルプリンタ1のサーマルヘッド10に用いられて、均一な印字品質を得ることができる。
また、抵抗体23の表面全体を利用することができるように構成されているので、抵抗体23の発熱効率を向上させることができて、良好な印字品質を得ることができる。
さらに、支持部25aにより薄膜22が支持されるようになっているので、薄膜22の機械的強度を向上させることができるとともに、発熱体11全体の機械的強度を向上させることができる。
さらにまた、エッチング窓32と連通する連通路25bおよび空間25cが、凹所25の外側に位置するように設けられているので、保護膜12を成膜する際に、保護膜12が凹所25内に進入することを防止することができる。
さらにまた、支持部25aにより隣り合う凹所25が仕切られているので、抵抗体23の熱が隣接する抵抗体23に伝達されるのを防止することができ、熱的なクロストークを減少させることができる。
さらにまた、犠牲層31成膜後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等の研磨技術を施すことにより、犠牲層31上面と基板21上面の段差をなくすことができ、その後の各成膜行程を良好に行っていくことができるので、発熱体11全体の機械的強度をさらに向上させることができる。
さらにまた、犠牲層31を成膜する際、基板21をエッチングしたフォトレジストをそのまま犠牲層形成のためのマスクとして使用することができるので、製造工程を簡略化することができる。
さらにまた、電極24にAl、犠牲層31にMo、エッチング液に発煙硝酸を選択した場合、発煙硝酸を用いてMo犠牲層31をエッチングしている間、電極24のダメージを減らすことができる。
さらにまた、電極24形成後、マスクなしで犠牲層31をエッチングすることができるので、製造工程を簡略化することができる。
さらにまた、薄膜22の材料として、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、あるいはSiAlON等の絶縁体を用いることにより、抵抗体23で発生した熱の逃げを抑制することができ、抵抗体23の発熱効率をさらに向上させることができる。
本実施形態による発熱体11を具備したサーマルヘッド10およびサーマルプリンタ1によれば、均一かつ良好な印字品質を得ることができる。
本発明による発熱体の他の実施形態を、図11ないし図17を用いて説明する。
本実施形態による発熱体41は、連通路25bおよび空間25cが凹所25に隣接してそれぞれ一つずつ設けられているとともに、これら連通路25bおよび空間25cが千鳥状に配置されているという点で前述した実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。また、図11ないし図17はそれぞれ、発熱体の製造工程を示す図1(a)ないし図7(a)に対応している。
本実施形態による発熱体41によれば、前述した支持部25のいずれか一側に位置した連通路25bまたは空間25cが塞がれ、その分を支持部25の長さを増加させることができるので、薄膜22の機械的強度をさらに向上させることができるとともに、発熱体41全体の機械的強度をさらに向上させることができる。
その他の作用効果は、前述した実施形態のものと同じであるのでここではその説明を省略する。
本発明による発熱体の一実施形態の製造工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のI−I矢視線断面図である。 本発明による発熱体の一実施形態の製造工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のII−II矢視線断面図である。 本発明による発熱体の一実施形態の製造工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のIII−III矢視線断面図である。 本発明による発熱体の一実施形態の製造工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のIV−IV矢視線断面図である。 本発明による発熱体の一実施形態の製造工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のV−V矢視線断面図である。 本発明による発熱体の一実施形態の製造工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のVI−VI矢視線断面図である。 本発明による発熱体の一実施形態の製造工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のVII−VII矢視線断面図である。 図7(a)のVIII−VIII矢視線断面図である。 図7(a)のIX−IX矢視線断面図である。 本発明による発熱体を具備したサーマルヘッドの要部縦断面図である。 本発明による発熱体の他の実施形態の製造工程を示す図であって、図1(a)と同様の図である。 本発明による発熱体の他の実施形態の製造工程を示す図であって、図2(a)と同様の図である。 本発明による発熱体の他の実施形態の製造工程を示す図であって、図3(a)と同様の図である。 本発明による発熱体の他の実施形態の製造工程を示す図であって、図4(a)と同様の図である。 本発明による発熱体の他の実施形態の製造工程を示す図であって、図5(a)と同様の図である。 本発明による発熱体の他の実施形態の製造工程を示す図であって、図6(a)と同様の図である。 本発明による発熱体の他の実施形態の製造工程を示す図であって、図7(a)と同様の図である。 図10に示すサーマルヘッドを具備したサーマルプリンタの概略構成断面図である。
符号の説明
1 サーマルプリンタ
10 サーマルヘッド
11 発熱体
21 基板
22 薄膜
23 抵抗体
24 電極
25 凹所
25a 支持部
31 犠牲層
32 エッチング窓(貫通孔)
41 発熱体

Claims (6)

  1. 基板上に少なくとも一つの凹所を形成し、この凹所内に犠牲層を成膜し、その上に前記基板とともに中空構造体を構成する薄膜を成膜し、さらにその上の前記凹所に対応した位置に抵抗体、および、各抵抗体に接続される電極を順次パターニングした後に、前記犠牲層を溶解するエッチング液中に漬けて、前記犠牲層を前記凹所内から除去することを特徴とする発熱体の製造方法。
  2. 上面に少なくとも一つの凹所を有する基板とこの基板上に積層された薄膜とにより構成される中空構造体と、前記凹所に対応した位置に設けられた抵抗体と、各抵抗体に接続されて電力が供給される電極とを具備する発熱体であって、
    前記薄膜を貫通して凹所に接続する貫通孔が、前記抵抗体とは異なる位置に設けられていることを特徴とする発熱体。
  3. 前記凹所が2以上備えられ、前記凹所と凹所との間に前記貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の発熱体。
  4. 前記凹所と凹所との間に、前記凹所の底面と薄膜とを接続して薄膜を支持する支持部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の発熱体。
  5. 請求項2から4のいずれかに記載の発熱体が、ライン状に複数配置されていることを特徴とするサーマルヘッド。
  6. 請求項5に記載のサーマルヘッドを具備してなることを特徴とするサーマルプリンタ。
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