JP2006229665A - 温度補償圧電発振回路、および温度補償圧電発振回路を備えた電子装置 - Google Patents

温度補償圧電発振回路、および温度補償圧電発振回路を備えた電子装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡易な構成で高精度に温度補償電圧の設定を図ることができる温度補償圧電発振回路および、それを備えた電子装置を構成する。
【解決手段】 水晶振動子XD1にバラクタダイオードVD1を接続し、バラクタダイオードVD1に感温抵抗素子回路15a・15bを接続する。各感温抵抗素子回路は分圧回路16を備え、分圧回路はサーミスタTHを含む。第1抵抗回路17と第2抵抗回路18とは直列に接続していて、第1抵抗回路17と第2抵抗回路18との接続点から分圧電圧を引き出し、感温抵抗素子回路15a・15bは、それぞれバラクタダイオードVD1の端子に分圧電圧を常に印加するように回路を構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧電発振回路、特に周囲の温度に応じて発振周波数が変化しないように圧電発振回路の発振周波数を補正する温度補償圧電発振回路、およびこれを備えた電子装置に関するものである。
一般に、発振回路は所定周波数で共振する水晶振動子等の圧電共振素子と、該圧電共振素子に接続された増幅回路とを備えている。このような水晶振動子等の圧電共振素子の共振周波数は温度依存性があり、圧電共振素子の温度に応じて共振周波数が変化する。例えば、ATカット水晶振動子(以下、単に「水晶振動子」という。)は低温から高温にかけて周波数が上昇・下降・上昇する周波数温度特性を示す。
この共振周波数が変化する問題を解決する発振回路として、従来から圧電共振素子に接続されたバラクタダイオード等の可変容量素子と、周囲温度に応じて可変容量素子に印加する電圧を変化させる感温抵抗素子回路とを備えた温度補償圧電発振回路が複数提案されている(例えば、特許文献1・特許文献2・特許文献3参照)。
ここで従来の一般的な温度補償圧電発振回路である特許文献1での回路構成例を図1に示す。図1に示すように温度補償圧電発振回路1は、圧電共振素子である水晶振動子XD1と、水晶振動子XD1の一方端に接続する増幅回路4と、水晶振動子XD1の他方端に接続する可変容量素子(バラクタダイオードVD1)とを備える。
このバラクタダイオードVD1のカソードには抵抗器R6を介して感温抵抗素子回路5が接続される。また、バラクタダイオードVD1のアノードには、バイアス回路である抵抗器R4・抵抗器R5による分圧回路の分圧点が接続され、分圧点にさらに直流電流遮断用のコンデンサC5が接続される。
感温抵抗素子回路5は、感温抵抗素子であるサーミスタTH1・サーミスタTH2・サーミスタTH3と抵抗器R7・抵抗器R8・抵抗器R9を備える。サーミスタTH2・サーミスタTH3・抵抗器R8・抵抗器R9からなる回路は分圧回路6aとして作用し、サーミスタTH1・抵抗器R7からなる回路は分圧回路6bとして作用する。このため、この感温抵抗素子回路5では、分圧回路6aと分圧回路6bとによって、電源電圧に対して2段階の分圧が行われる。
分圧回路6aでは、第1抵抗回路7aとしてサーミスタTH2・抵抗器R8を直列に接続し、サーミスタTH2の一方端を電源電圧Vcc端子2に接続している。また第2抵抗回路8aとしてサーミスタTH3・抵抗器R9を並列に接続し、一方端を接地している。そして第1抵抗回路7aと第2抵抗回路8aを直列接続し、接続点を分圧回路6bに接続している。
分圧回路6bでは、第1抵抗回路7bであるサーミスタTH1の一方端を電源電圧Vcc端子2に接続している。また第2抵抗回路8bである抵抗器R7の一方端を分圧回路6aの分圧点に接続している。そして、第1抵抗回路7bであるサーミスタTH1と第2抵抗回路8bである抵抗器R7を直列接続し、接続点をバラクタダイオードVD1のカソードに抵抗器R6を介して接続している。
このような構成のもと圧電共振素子として共振周波数が変化する水晶振動子XD1を用いた温度補償圧電発振回路1では、水晶振動子XD1と、可変容量素子であるバラクタダイオードVD1との合成キャパシタンスに回路の共振周波数が依存する。そのため、バラクタダイオードVD1に印加する電圧を調整すれば、バラクタダイオードVD1のキャパシタンスが変化し、この結果、水晶振動子XD1との合成キャパシタンスが変化して、共振周波数が変化する。この変化量を水晶振動子XD1の温度による共振周波数の変化を打ち消すように設定しておけば、周囲温度による影響の少ない略一定の共振周波数の高周波信号を得ることができる。
そこで感温抵抗素子回路5の出力電圧をバラクタダイオードVD1のカソード端子に印加して合成キャパシタンスを設定し、水晶振動子XD1との合成キャパシタンスによる共振周波数の変化と、温度変化によるバラクタダイオードVD1の発振周波数の変化とを相殺させて発振器の温度補償を行っている。
すなわち上述のように水晶振動子XD1は低温から高温にかけて周波数が上昇・下降・上昇する温度特性を示すため、バラクタダイオードDV1への印加電圧が低温から高温にかけて下降・上昇・下降するように感温抵抗素子回路5の感温抵抗素子の抵抗温度特性を設定する。
そこで、上述の感温抵抗素子回路5の構成では、電圧が下降してから上昇する低温の温度域、電圧が下降してから上昇する高温の温度域、全体の温度域、のそれぞれの調整用に感温抵抗素子回路5にサーミスタを3つ設けて比較的に高精度な調整を可能とする。例えばサーミスタTH2と抵抗器R8を低温の温度域に対応させ、サーミスタTH1と抵抗器R7を高温の温度域に対応させ、サーミスタTH3と抵抗器R9を全体の温度域に対応させ調整する。このように調整することで従来は主として作用する温度域をサーミスタに対応付け、それぞれを調整することで適切な温度補償電圧が形成されるように3つのサーミスタで感温抵抗素子回路を形成していた。
このように温度補償圧電発振回路1の発振周波数の精度を向上させるためにはサーミスタの個数が複数個必要であるが、温度補償電圧の調整をさらに容易にし、より精緻に設定することができる温度補償圧電発振回路が特許文献2で示されている。この特許文献2では感温抵抗素子回路においてさらにサーミスタの個数を増やすために、分圧回路による分圧を複数回繰り返すことで、温度補償電圧の設定をより詳細に行う。
また、より広い温度範囲で温度補償電圧の調整を可能にするため、サーミスタを感温抵抗素子回路に適用した温度補償圧電発振回路をバラクタダイオードの両端に接続し、それぞれの感温抵抗素子の動作を温度によってスイッチする構成が特許文献3で示されている。
特開2004−274491公報 特開平11−251837号公報 実開平1−81018号公報
上述の特許文献2のようにサーミスタの個数を増やすために感温抵抗素子回路を複数段の分圧回路で構成した場合、サーミスタが増えることにより温度補償電圧の調整を精緻に行うことができるようになる。しかし、単純にサーミスタ数を増やすのみでは、充分な温度補償の精度を得ることはできない。
すなわち感温抵抗素子回路を複数段に接続した分圧回路で構成すると、この感温抵抗素子回路では複数段に形成された分圧回路のうち、前段の分圧回路のダイナミックレンジよりも後段の分圧回路のダイナミックレンジが小さくなる。すなわち、感温抵抗素子回路としての出力電圧のダイナミックレンジが小さなものとなり、実装に際して必要なダイナミックレンジを得られない。そのため、従来の温度補償圧電発振回路では、特許文献2のように必要な大きさのダイナミックレンジを得るために感温抵抗素子回路に増幅器を併設する必要があり、回路構成が複雑化し部品点数が増加していた。
また、このような構成の感温抵抗素子回路では、後段の分圧回路における抵抗回路のインピーダンスを、前段の分圧回路における抵抗回路のインピーダンスよりも常に十分に大きくなるようにする必要があり、分圧の段数が多くなると、より後段の分圧回路における抵抗回路のインピーダンスは非常に大きなものになる。しかしながら、選択できるサーミスタの種類には限度があるために、実装に際して選定可能なサーミスタのB定数および抵抗値が制限されてしまい、また実装可能なサーミスタの数の制限が生じる。
また、サーミスタの個数を従来以上に増やすために複数段の分圧回路で感温抵抗素子回路を構成すると、抵抗の小さいサーミスタを用いる必要が生じ、そのサーミスタに流れる電流による自己発熱を無視できない場合があった。すると、そのサーミスタの温度補償電圧の設定精度の向上は困難になり、また消費電力の増加なども生じる。
さらに、特許文献3のように温度補償圧電発振回路を構成した場合には、温度域ごとに動作する感温抵抗素子回路を切り換えるスイッチ素子が必要であり、また使用時に動作しているサーミスタは、一部のみであり、感温抵抗素子回路の出力である温度補償電圧の精度向上には寄与するものではなかった。
以上のように従来の技術ではより精緻に温度補償電圧を設定するにはより複雑な回路が必要であり、高精度な設定を図ることに困難があった。
そこで本発明は、上述のさまざまな問題を解決して、簡易な構成で高精度に温度補償電圧の設定を図ることができる温度補償圧電発振回路およびそれを備えた電子装置を提供することを目的とする。
ここで分圧回路という回路を定義付ける。この分圧回路とは、第1抵抗回路と第2抵抗回路とを直列に接続し、第1抵抗回路と第2抵抗回路との接続点から分圧電圧を引き出し、第1抵抗回路と第2抵抗回路との、少なくとも一方に感温抵抗素子を備える回路とする。また、感温抵抗素子回路という回路を定義づける。この感温抵抗素子回路とは、すくなくとも1つ以上の分圧回路を備え、可変容量素子の1つの端子に常に出力電圧を印加するよう接続された回路のこととする。
なお、分圧回路の出力をそのまま感温抵抗素子回路の出力とするのはもちろんだが、分圧回路の出力を、サーミスタを含まない単なる抵抗のみの回路で更に分圧して出力するような構成についても、本発明は除外するものではない。但し、この場合の単なる抵抗のみの回路は本発明の定義による分圧回路には含めない。
本発明は上述の定義のもと、複数の感温抵抗素子回路の出力電圧を可変容量素子に常に印加する。そして、全ての感温抵抗素子回路に含まれる感温抵抗素子の合計数が4つ以上となるように、それぞれの感温抵抗素子回路を構成する。
この構成により本発明の温度補償圧電発振回路では、サーミスタを複数の感温抵抗素子回路に分けて設ける。すると、特別な回路、例えば増幅器やスイッチ回路を設けずに、簡易な回路で従来より多くの感温抵抗素子を設けることができる。それぞれの感温抵抗素子回路においては、含まれる感温抵抗素子の設定を、他の感温抵抗素子回路によらずに定めることができ、従来の全てのサーミスタを1つの感温抵抗素子回路に設けていた温度補償圧電発振回路に比べ、多くのサーミスタを設けることができる。さらに感温抵抗素子の数を、従来の3つよりも多い4つ以上とするため、温度補償電圧を高精度に設定できる。また通常は温度補償できなかった温度域でも、設定によって優れた精度で共振周波数を補償することができる。
また本発明は上述の定義のもと、少なくとも1つの感温抵抗素子回路に複数の前記分圧回路を備える。そしてその感温抵抗素子回路では、いずれかの分圧回路の分圧電圧を別の分圧回路でさらに分圧するように接続する。
このような構成により、本発明の温度補償圧電発振回路は、複数段に接続した分圧回路で感温抵抗素子回路を構成する。このように複数段で分圧回路を接続した構成では、温度補償電圧が容易に設定できる。また、従来の複数段で分圧回路を接続した構成とくらべ分圧の段数を同じまたは減らしながら、感温抵抗素子の個数を増やすことができる。
従来の場合、分圧の段数が多いため後段の分圧回路からの出力電圧のダイナミックレンジが減少していた。しかし本発明によって分圧の段数を抑制すると、実装に充分な大きさのダイナミックレンジを得ることができる。すくなくとも一つの感温抵抗素子回路で充分な大きさのダイナミックレンジを発生させると、他の感温抵抗素子回路のダイナミックレンジが小さくとも温度補償圧電発信回路として必要なダイナミックレンジを確保することができる。また従来は非常に小さな抵抗値の感温抵抗素子を用いる必要があり、すると回路に流れる電流による感温抵抗素子の自己発熱が増加するという問題があった。しかし本発明によれば小さな抵抗値の感温抵抗素子を用いることが不用になり、その結果、自己発熱の問題を解消できる。また従来は後段の分圧回路における抵抗回路のインピーダンスを大きくする必要があった。しかし本発明によれば、限られた感温抵抗素子の種類の中で実装に必要なB定数および抵抗値を選択しても、後段の分圧回路における抵抗回路のインピーダンスの大きさを抑制することができる。
また本発明は上述の定義のもと、分圧回路の分圧電圧を別の分圧回路でさらに分圧するように接続した感温抵抗素子回路の、分圧回路の数を最大でも2つとする。
この構成により本発明の温度補償圧電発振回路では、従来よりサーミスタの選定に制限が無くなり、抵抗温度特性であるB定数や無負荷時抵抗値の調整を容易にできる。また簡易な回路構造を実現できる。
また本発明は上述の定義のもと、いずれかの感温抵抗素子回路を、感温抵抗素子を1つ含む分圧回路と、感温抵抗素子を2つ含む分圧回路とで構成する。
この構成によりこの感温抵抗素子回路に含まれる感温抵抗素子の数は3つとなるとともに、その3つの感温抵抗素子の調整により、温度補償電圧の全体の曲率や傾き調整用の感温抵抗素子と、低温の温度域での曲率や傾き調整用の感温抵抗素子と、高温の温度域での曲率や傾き調整用の感温抵抗素子とを分けて行うことができるようになる。通常は2つの感温抵抗素子が含まれるほうの分圧回路を高温と低温の調整用とし、1つの感温抵抗素子が含まれるほうの分圧回路を全体の温度域の調整用とするとさらに設定が容易である。
また本発明は上述の定義のもと、複数の可変容量素子を備え、複数の感温抵抗素子回路をそれぞれ異なる可変容量素子の端子に接続する。
この構成により本発明の温度補償圧電発振回路は、可変容量素子の数が増える。すると1つの可変容量素子は複数の端子を備えるため、より多くの感温抵抗素子回路を設けることができる。これにより、簡易な回路でさらに多くの感温抵抗素子を設けるとともに、それぞれの感温抵抗素子回路に含まれる感温抵抗素子の設定を、他の感温抵抗素子回路によらずに定めることができ、サーミスタの選定上の制限が減少する。また、例えば可変容量素子の1つの端子にのみ感温抵抗素子回路を設けた場合には、その可変容量素子のキャパシタンスの設定が容易になる。
また本発明は上述の定義のもと、可変容量素子の両端の端子に、それぞれ感温抵抗素子回路を接続する。
このような構成により、この可変容量素子に印加する電圧をより精緻に設定することができる。この可変容量素子のキャパシタンスを2つの感温抵抗素子回路からの出力電圧で形成するため、可変容量素子にかかる印加電圧のダイナミックレンジを大きく設定することができる。
また本発明は上述の定義のもと、全ての前記感温抵抗素子回路のうち、2つの感温抵抗素子回路の接続構造を略同一のものとし、それぞれの感温抵抗素子回路は電源側と接地側との位置を入れ替えて上下反転させて用いる。
このような構成により、2つの感温抵抗素子回路が、ほぼ同一の接続構造で電源側の端子と接地側の端子を入れ替えて上下反転させたような回路構成となる。そのため、これらの感温抵抗素子回路の回路構成を簡易なものとすることができるとともに、容易に温度補償電圧の設定が行える。
また本発明は上述の定義のもと、最も感温抵抗素子の数が多い感温抵抗素子回路では、使用温度域での抵抗温度特性が異なる複数の感温抵抗素子を、分圧回路ごとに異ならせて配置し、最多段数の感温抵抗素子回路に用いた複数の感温抵抗素子のうちいずれかの感温抵抗素子と略同一の抵抗温度特性の感温抵抗素子のみで他の感温抵抗素子回路を構成する。
このような構成により、異なる感温抵抗素子回路との間で、用いる感温抵抗素子の種類を共通化できるため、従来よりも感温抵抗素子回路を簡易化できる。
また本発明は上述の定義のもと、3つの感温抵抗素子回路の出力電圧を複数の可変容量素子に常に印加する。そして、全ての感温抵抗素子回路に含まれる感温抵抗素子の合計数が3つとなるように、それぞれの感温抵抗素子回路を構成する。
この構成により本発明の温度補償圧電発振回路では、サーミスタを複数の感温抵抗素子回路に分けて設ける。すると感温抵抗素子の数が従来と同様に3つであっても、それぞれの感温抵抗素子回路においては、含まれる感温抵抗素子の設定を、他の感温抵抗素子回路によらずに定めることができる。
また本発明は上述の定義のもと、1つの感温抵抗素子回路に2つの前記分圧回路を備える。そしてその感温抵抗素子回路では、一方の分圧回路の分圧電圧を他方の分圧回路でさらに分圧するように接続する。そして、全ての感温抵抗素子回路に含まれる感温抵抗素子の合計数が3つとなるように、それぞれの感温抵抗素子回路を構成する。
この構成により本発明の温度補償圧電発振回路では、サーミスタを複数の感温抵抗素子回路に分けて設ける。すると感温抵抗素子の数が従来と同様に3つであっても、それぞれの感温抵抗素子回路においては、含まれる感温抵抗素子の設定を、他の感温抵抗素子回路によらずに定めることができる。このように複数段で分圧回路を接続した構成では、従来よりサーミスタの選定に制限が無くなり、抵抗温度特性であるB定数や無負荷時抵抗値の調整を容易にできる。また簡易な回路構造を実現できる。
また本発明は上述の定義のもと、上述の構成の温度補償圧電発振回路を備えて電子装置を構成する。
このような構成により、より高精度に温度補償のされた電子装置を得ることができる。
本発明によれば、従来の問題を解決し、簡易な回路で温度に対する周波数の安定性に優れた発振回路を形成するとともに高精度な温度補償を行う電子装置を実現できる。
以下に、第1の実施形態を示す。図2は第1の実施形態に係る温度補償圧電発振回路11を含み、コルピッツ発振回路の負性抵抗発生部分を増幅回路14として設けた回路図の例である。
増幅回路14としては、ここでは上述の従来例の図1で示した増幅回路4と同一なコルピッツ発振回路の負性抵抗発生部分を設けている。そのため、図1の増幅回路4をもとにこの増幅回路14を説明する。
増幅回路14では、水晶振動子XD1をトランジスタQ1のベースに接続している。また、トランジスタQ1のコレクタを電源電圧Vcc端子12に接続し、エミッタを抵抗器R1およびコンデンサC2を介して接地している。また、トランジスタQ1のエミッタとベースとの間には、帰還用コンデンサC1を接続し、ベースにはさらに抵抗器R3・抵抗器R2によるベースバイアス回路を接続している。また、トランジスタQ1のエミッタは、コンデンサC3を介して信号出力Vout端子13に接続している。また、トランジスタQ1のコレクタはコンデンサC4を介して高周波的に接地している。この結果、トランジスタQ1は水晶振動子XD1の共振周波数で負性抵抗回路として作用する。
また、図2に示すように温度補償圧電発振回路11は、圧電共振素子である水晶振動子XD1と、水晶振動子XD1の一方端に接続する増幅回路14と、水晶振動子XD1の他方端に接続する可変容量素子(バラクタダイオードVD1)を備える。バラクタダイオードVD1のアノードは水晶振動子XD1と接続し、このバラクタダイオードVD1のアノードにはさらに抵抗器R6を介して感温抵抗素子回路15aを接続している。また、バラクタダイオードVD1のカソードには抵抗器R10を介して感温抵抗素子回路15bを接続し、さらに直流電流遮断用のコンデンサC5を介して接地している。
感温抵抗素子回路15aは、感温抵抗素子である負特性のサーミスタTH1・サーミスタTH2・サーミスタTH3と、抵抗器R7・抵抗器R8・抵抗器R9とを備えている。これらの素子のうち、サーミスタTH2・サーミスタTH3・抵抗器R8・抵抗器R9からなる回路は分圧回路16aとして作用する。また、サーミスタTH1・抵抗器R7からなる回路は分圧回路16bとして作用する。そのため、この感温抵抗素子回路15aは、分圧回路16aと分圧回路16bによる2段の分圧を行う。
分圧回路16aでは第1抵抗回路17aとして、サーミスタTH2・抵抗器R8を直列接続し、サーミスタTH2の一方端を電源電圧Vcc端子12に接続している。また、第2抵抗回路18aとして、サーミスタTH3・抵抗器R9を並列に接続し、一方端を接地している。そして、第1抵抗回路17aと第2抵抗回路18aを直列接続し、接続点を分圧回路16bに接続している。
分圧回路16bでは、第1抵抗回路17bであるサーミスタTH1の一方端を電源電圧Vcc端子12に接続している。また、第2抵抗回路18bである抵抗器R7の一方端を分圧回路16aの分圧点に接続している。そして、第1抵抗回路17bであるサーミスタTH1と第2抵抗回路18bである抵抗器R7を直列接続し、接続点をバラクタダイオードVD1のアノードに抵抗器R6を介して接続している。
また、感温抵抗素子回路15bは、負特性のサーミスタTH4・サーミスタTH5・サーミスタTH6と抵抗器R11・抵抗器R12・抵抗器R13を備えている。サーミスタTH5・サーミスタTH6・抵抗器R12・抵抗器R13からなる回路は分圧回路16cとして作用し、また、サーミスタTH4・抵抗器R11からなる回路は分圧回路16dとして作用する。そのため、この感温抵抗素子回路15bは、分圧回路16cと分圧回路16dによる2段の分圧を行う。
分圧回路16cでは、第1抵抗回路17cとしてサーミスタTH6・抵抗器R13を並列に接続し、この並列回路の一方端を電源電圧Vcc端子12に接続している。また、第2抵抗回路18cとしてサーミスタTH5・抵抗器R12を直列に接続し、サーミスタTH5の一方端を接地している。そして、第1抵抗回路17cと第2抵抗回路18cを直列接続し、接続点を分圧回路16dに接続している。
分圧回路16dでは、第2抵抗回路18dであるサーミスタTH4の一方端を接地している。また、第1抵抗回路17dである抵抗器R11の一方端を分圧回路16cの分圧点に接続している。そして、第1抵抗回路17dである抵抗器R11と第2抵抗回路18dであるサーミスタTH4とを直列接続し、接続点をバラクタダイオードVD1のカソードに抵抗器R10を介して接続している。
ここで、サーミスタTH1〜3とサーミスタTH4〜6のそれぞれは、25℃での抵抗値が略同一の抵抗値と、略同一のB定数を示すサーミスタ(以下定格サーミスタという。)であり、たとえば、TH1とTH4、TH2とTH5、TH3とTH6などにそれぞれ同じ定格サーミスタを用い、それぞれの組み合わせの間で抵抗値のオーダーを違えて使用する。
以上の感温抵抗素子回路15a・感温抵抗素子回路15bには、電源電圧Vcc端子12からの電源電圧が供給され、出力電圧が3次曲線に近い温度電圧特性を示すようにそれぞれの抵抗器・サーミスタを設定する。そして、それぞれ出力電圧をバラクタダイオードVD1の両端に印加する。そのため感温抵抗素子回路15aからの印加電圧と、感温抵抗素子回路15bからの印加電圧との電位差に応じてバラクタダイオードVD1のキャパシタンスが変化して容量素子として機能する。そしてこのバラクタダイオードVD1のキャパシタンスと水晶振動子XD1との合成キャパシタンスにより共振周波数が定まる。
上述のように水晶振動子XD1は低温から高温にかけて周波数が上昇、下降、上昇する温度特性を示すため、バラクタダイオードVD1への感温抵抗素子回路15aの出力電圧と感温抵抗素子回路15bの出力電圧との電位差が低温から高温にかけて下降、上昇、下降するように感温抵抗素子回路15a・感温抵抗素子回路15bのサーミスタの抵抗温度特性を設定する。その結果、この回路の発振周波数は温度に左右されないようになる。
このように、本実施形態によれば、多くの感温抵抗素子(サーミスタ)を用いて高精度な温度補償を行いながらも増幅器などを要さない温度補償圧電発振回路を構成することができ、従来では実現できなかった個数のサーミスタを実装することができる。また、1つの感温抵抗素子回路に複数段の分圧回路を設けるために、従来は多種の抵抗温度特性のサーミスタを必要としたが、本実施形態によれば少ない種類の抵抗温度特性のサーミスタで温度補償圧電発振回路を構成することができる。
また、本実施形態のように感温抵抗素子回路15a・感温抵抗素子回路15bはそれぞれ上下反転させて接続したような構成とすることで、各感温抵抗素子回路の出力電圧の計算が簡易になり、容易に温度補償圧電発振回路の設計が行える。なお、必ずしもこのように上下反転させなくともよい。
なお、バラクタダイオードVD1のカソードにはアノードよりも高い電圧が印加されるように温度補償電圧発生回路を設定するが、順方向電流が流れない範囲で、ある温度範囲で電圧関係が逆転しても良く、また負性抵抗発生回路は電界効果トランジスタやそれらを組み合わせた能動素子で構成しても良い。
また、本実施形態ではバラクタダイオードVD1を水晶振動子XD1に直接接続しているが、例えばコンデンサを介して接続する構成のように間接的に接続していても構わない。
次に、この回路において抵抗器・サーミスタの抵抗値を以下のように設定する場合の温度補償の効果についてシミュレーションで得た結果をもとに説明する。なお、このシミュレーション時の電源電圧は2.8Vとした。各抵抗器は、R7を13.22kΩ、R8を153.64kΩ、R9を62.62kΩ、R11を11.66kΩ、R12を12.64kΩ、R13を22.20kΩ、とした。各サーミスタは25℃の温度での抵抗値が、TH1とTH4を470kΩ、TH2とTH5を0.68kΩ、TH3とTH6を68kΩと示すよう設定し、各サーミスタのB定数は、TH1とTH4が4650、TH2とTH5が4040、TH3とTH6が4650を示すものとした。
ここで図12にこれらのサーミスタの抵抗温度特性を示す。また、図13にこの回路の水晶発振子XD1の周波数温度特性を示す。
また、この回路における水晶振動子XD1およびバラクタダイオードVD1による共振周波数と、バラクタダイオードVD1の両端子の電位差との関係を、一定温度、0V印加の時を基準として図14に示す。
シミュレーションでは、それぞれの感温抵抗素子回路に含まれる抵抗器とサーミスタとを上記のように設定した。これによりサーミスタの温度に対する抵抗の変化により感温抵抗素子回路15aと感温抵抗素子回路15bとの出力電圧も温度により変動した。図15(a)に感温抵抗素子回路15aから出力される出力電圧、図15(b)に感温抵抗素子回路15bから出力される出力電圧をそれぞれ示す。
次に、感温抵抗素子回路15aの出力電圧と感温抵抗素子回路15bの出力電圧とをバラクタダイオードVD1の両端子に印加した。その際のバラクタダイオードVD1の両端にかかる電位差を図15(c)に示す。この電位差により、バラクタダイオードVD1のキャパシタンスが定まり、バラクタダイオードVD1と水晶振動子XD1との合成キャパシタンスにより、この温度補償圧電発振回路11の共振周波数が定まる。この共振周波数の周波数温度特性を従来例で示した温度補償共振回路1の共振周波数とともに図16(a)に示す。
以上のように各感温抵抗素子回路の出力電圧と周波数とが、水晶発振子の周波数温度特性の描く3次曲線とは逆方向に変化する3次曲線を描き、水晶発振子の温度変化による周波数の変化を打ち消したことで、図16(a)のように、共振周波数の温度による変動を小さく安定したものにできた。本実施形態の回路においては、図16(a)のようにほとんど全体の温度域に亘って共振周波数を変動の小さなものとすることができ、さらに、従来は温度補償の設定が困難であった例えば60℃以上の温度域における周波数も調整可能となった。
ここで示したように感温抵抗素子回路15a・感温抵抗素子回路15bを上下反転させて接続し、感温抵抗素子回路15a・感温抵抗素子回路15bで同一の抵抗温度特性の定格サーミスタを使用することで、温度補償圧電発振回路11全体としての定格サーミスタの種類数を抑制できる。そのため、さらに各感温抵抗素子回路の出力電圧の計算が簡易になるとともに、容易に温度補償圧電発振回路の設計が行える。なお、このシミュレーションの例では同一の定格サーミスタをいくつか用いたが、同一の定格サーミスタを用いなくともよく、その場合にはより細かな温度補償の設定ができるとともに、従来では表現できなかった温度補償電圧の波形を実現できる。また、それぞれの定格サーミスタの位置が異なっていてもよく、1つの感温抵抗素子回路内で同一の定格サーミスタを複数用いなければどのように構成してもよい。
また、このように比較的高い抵抗値のサーミスタのみで各感温抵抗素子回路を構成すると、各サーミスタの自己発熱を抑制することができ、回路全体としての消費電力も抑制することができる。
なお、ここで示したように同一の抵抗温度特性のサーミスタを各感温抵抗素子回路の対応する位置に用いなくともよく、その場合には、より温度補償の自由度が上がり、優れた温度補償を行うことができる。
また、電源電圧Vcc端子に電圧レギュレーターを介して接続すると電源電圧の変動の影響を軽減することができる。
次に第2の実施形態の回路例を、図3に示す。
図3の温度補償圧電発振回路21は、圧電共振素子である水晶振動子XD1と、水晶振動子XD1の一方端に接続する増幅回路24と、水晶振動子XD1の他方端に接続する可変容量素子であるバラクタダイオードVD1を備える。ここで増幅回路24は前述の第1の実施形態の回路例で示した増幅回路14と同一のものである。
バラクタダイオードVD1のアノードは水晶振動子XD1と接続し、バラクタダイオードVD1のアノードにはさらに抵抗器R6を介して感温抵抗素子回路25aを接続している。また、バラクタダイオードVD1のカソードには抵抗器R10を介して感温抵抗素子回路25bを接続し、さらに直流電流遮断用のコンデンサC5を介して接地している。
ここで感温抵抗素子回路25aは、前述の第1の実施形態の回路例で示した感温抵抗素子回路15aと同一のものである。
一方、感温抵抗素子回路25bは、感温抵抗素子である負特性のサーミスタTH4・サーミスタTH5・サーミスタTH6と抵抗器R11・抵抗器R12・抵抗器R13・抵抗器R14を備えている。サーミスタTH6・抵抗器R13・抵抗器R14からなる回路は分圧回路26cとして作用する。また、サーミスタTH5・抵抗器R12からなる回路は分圧回路26dとして作用する。また、サーミスタTH4・抵抗器R11からなる回路は分圧回路26eとして作用する。そのため、この感温抵抗素子回路25bは、分圧回路26cと分圧回路26dと分圧回路26eとによる3段の分圧を行う。
分圧回路26cでは、第1抵抗回路27cとしてサーミスタTH6・抵抗器R13を並列に接続し、この並列回路の一方端を電源電圧Vcc端子22に接続している。また、第2抵抗回路28cとして抵抗器R14を用い、抵抗器R14の一方端を接地している。そして、第1抵抗回路27cと第2抵抗回路28cを直列接続し、接続点を分圧回路26dに接続している。
分圧回路26dでは、第1抵抗回路27dである抵抗器R12の一方端を電源電圧Vcc端子22に接続している。また、第2抵抗回路28dであるサーミスタTH5の一方端を分圧回路26cの分圧点に接続している。そして、第1抵抗回路27dである抵抗器R12と第2抵抗回路28dであるサーミスタTH5とを直列接続し、接続点を分圧回路26eに接続している。
分圧回路26eでは、第1抵抗回路27eである抵抗器R11の一方端を分圧回路26dの分圧点に接続している。また、第2抵抗回路28eであるサーミスタTH4の一方端を接地している。そして、第1抵抗回路27eである抵抗器R11と第2抵抗回路28eであるサーミスタTH4とを直列接続し、接続点をバラクタダイオードVD1のカソードに抵抗器R10を介して接続している。
感温抵抗素子回路25bのように3つの分圧回路による3段の分圧を行う場合、従来は分圧回路間に増幅器を設けてダイナミックレンジを所定以上にする必要があった。しかし本実施形態の場合には、一方の感温抵抗素子回路25aを2段の分圧を行うものとすることで、この2段の分圧を行う感温抵抗素子回路25aにより必要なダイナミックレンジを確保する。感温抵抗素子回路25aを主として作用させ、3段の分圧を行う感温抵抗素子回路25bを補助的な微調整用に作用させることで、増幅器を分圧回路の間に設けなくても充分なダイナミックレンジを得ることができる。
なお、本実施形態の回路構成例では感温抵抗素子回路25aを第1の実施形態での感温抵抗素子回路15aと同一なものとしたが、他の感温抵抗素子回路でもよく、例えば感温抵抗素子回路15bや、感温抵抗素子回路25bや、感温抵抗素子回路25bを上下反転させたものとしてもよく。少なくとも1つの感温抵抗素子回路が3段の分圧を行うと同様な効果を奏する。
次に第3の実施形態の回路例を図4に示す。
図4の温度補償圧電発振回路31は、圧電共振素子である水晶振動子XD1と、水晶振動子XD1の一方端に接続する増幅回路34と、水晶振動子XD1の他方端に接続する可変容量素子であるバラクタダイオードVD1を備える。ここで増幅回路34は前述の第2の実施形態の回路例で示した増幅回路24と同一のものである。
バラクタダイオードVD1のアノードは水晶振動子XD1と接続し、バラクタダイオードVD1のアノードにはさらに抵抗器R6を介して感温抵抗素子回路35aを接続している。また、バラクタダイオードVD1のカソードには抵抗器R10を介して感温抵抗素子回路35bを接続し、さらに直流電流遮断用のコンデンサC5を介して接地している。
ここで感温抵抗素子回路35aは、前述の第2の実施形態の回路例で示した感温抵抗素子回路25aと同一のものである。
一方、感温抵抗素子回路35bは、感温抵抗素子である負特性のサーミスタTH4・サーミスタTH5・サーミスタTH6と抵抗器R11・抵抗器R12を備えている。すると、このサーミスタTH4・サーミスタTH5・サーミスタTH6・抵抗器R11・抵抗器R12が分圧回路36cとして作用する。そのため、この感温抵抗素子回路35bは、分圧回路36cによる一段の分圧を行う。
この分圧回路36cでは、第1抵抗回路37cとしてサーミスタTH4・抵抗器R12を直列に接続し、この直列回路をサーミスタTH5と並列に接続し、さらにその並列回路の一方端に抵抗器R11を直列に接続している。そしてサーミスタTH4・抵抗器R12とサーミスタTH5とから成る並列回路の、抵抗器R12の側の端子を電源電圧Vcc端子32に接続している。また、第2抵抗回路38cとしてサーミスタTH6を用い、サーミスタTH6の一方端を接地している。そして、第1抵抗回路37cの抵抗器R11の一方端と第2抵抗回路38cであるサーミスタTH6の一方端とを直列接続し、接続点をバラクタダイオードVD1のカソードに抵抗器R10を介して接続している。
このように感温抵抗素子回路35bを、1段の分圧を行うものとした場合でも感温抵抗素子回路35aの2段の分圧を行う感温抵抗素子回路35bとともに用いることで、従来より高精度な温度補償電圧の設定とサーミスタの種類の数の抑制をすることができる。そして、1段の分圧回路36cしか備えない感温抵抗素子回路35bによって出力電圧のダイナミックレンジを大きくとることができる。
なお、本実施形態の回路構成例では感温抵抗素子回路35aを第2の実施形態での感温抵抗素子回路25aと同一なものとしたが、他の感温抵抗素子回路でもよく、例えば感温抵抗素子回路15bや、感温抵抗素子回路25bや、感温抵抗素子回路25bを上下反転させたものとしてもよく。少なくとも1つの感温抵抗素子回路が1段の分圧を行い、他の一つの感温抵抗素子回路が2段以上の分圧を行うと同様な効果を奏する。
次に第4の実施形態の回路例を、図5に示す。
図5の温度補償圧電発振回路41は、圧電共振素子である水晶振動子XD1と、水晶振動子XD1の一方端に接続する増幅回路44と、水晶振動子XD1の他方端に接続する可変容量素子であるバラクタダイオードVD1を備える。
バラクタダイオードVD1のアノードは水晶振動子XD1と接続し、バラクタダイオードVD1のアノードにはさらに抵抗器R6を介して感温抵抗素子回路45aを接続している。また、バラクタダイオードVD1のカソードには抵抗器R10を介して感温抵抗素子回路45bを接続し、さらに直流電流遮断用のコンデンサC5を介して接地している。
ここで増幅回路44は前述の第3の実施形態の回路例で示した増幅回路34と同一のものである。また感温抵抗素子回路45aは、感温抵抗素子回路35aと同一のものである。
一方、感温抵抗素子回路45bは、感温抵抗素子であるサーミスタTH4・サーミスタTH5・サーミスタTH6・サーミスタTH7と抵抗器R11・抵抗器R12・抵抗器R13・抵抗器R14を備えている。サーミスタTH6・サーミスタTH7・抵抗器R13・抵抗器R14からなる回路は分圧回路46cとして作用する。また、サーミスタTH5・抵抗器R12からなる回路は分圧回路46dとして作用する。また、サーミスタTH4・抵抗器R11からなる回路は分圧回路46eとして作用する。そのため、この感温抵抗素子回路45bは、分圧回路46cと分圧回路46dと分圧回路46eとによる3段の分圧を行う。
分圧回路46cでは、第1抵抗回路47cとしてサーミスタTH6・抵抗器R13を並列に接続し、この並列回路の一方端を電源電圧Vcc端子42に接続している。また、第2抵抗回路48cとして抵抗器R14とサーミスタTH7を接続し、サーミスタTH7の一方端を接地している。そして、第1抵抗回路47cと第2抵抗回路48cを直列接続し、接続点を分圧回路46dに接続している。
分圧回路46dでは、第1抵抗回路47dである抵抗器R12の一方端を分圧回路46cの分圧点に接続している。また、第2抵抗回路48dであるサーミスタTH5の一方端を接地している。そして、第1抵抗回路47dである抵抗器R12と第2抵抗回路48dであるサーミスタTH5とを直列接続し、接続点を分圧回路46eに接続している。
分圧回路46eでは、第1抵抗回路47eである抵抗器R11の一方端を電源電圧Vcc端子42に接続している。また、第2抵抗回路48eであるサーミスタTH4の一方端を分圧回路46dの分圧点に接続している。そして、第1抵抗回路47eである抵抗器R11と第2抵抗回路48eであるサーミスタTH4とを直列接続し、接続点をバラクタダイオードVD1のカソードに抵抗器R10を介して接続している。
このように3つの分圧回路による3段の分圧を行い、さらに4つのサーミスタを1つの感温抵抗素子回路に設けた場合でも、従来のように増幅器を設けなくとも、一方の感温抵抗素子回路45aを2段の分圧を行うものとすることで、必要なダイナミックレンジを確保する。感温抵抗素子回路45aを主として作用させ、3段の分圧を行う感温抵抗素子回路45bを補助的な微調整用に作用させることで、増幅器を分圧回路の間に設けなくとも充分なダイナミックレンジを得ることができる。そして、この4つのサーミスタにより更に高精度に温度補償の設定ができ、より多くの感温抵抗素子により優れた温度補償を行うことができる。
なお、本実施形態の回路構成例では感温抵抗素子回路45aを第3の実施形態での感温抵抗素子回路35aと同一なものとしたが、他の感温抵抗素子回路でもよく、例えば感温抵抗素子回路15bや、感温抵抗素子回路25bや、感温抵抗素子回路25bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路35bや、感温抵抗素子回路35bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路45bを上下反転させたものとしてもよく。少なくとも1つの感温抵抗素子回路が3段以上の分圧を行い、さらに4つ以上のサーミスタをその感温抵抗素子回路に設けた場合でも同様な効果を奏する。なお、従来の例で示した回路では増幅器を設けずに4つ以上のサーミスタで1つの分圧回路を構成することは温度補償電圧の設計上困難である。
次に第5の実施形態の回路例を、図6に示す。
図6の温度補償圧電発振回路51は、圧電共振素子である水晶振動子XD1と、水晶振動子XD1の一方端に接続する増幅回路54と、水晶振動子XD1の他方端に接続する複数の可変容量素子であるバラクタダイオードVD1・バラクタダイオードVD2を備える。
バラクタダイオードVD1のカソードは水晶振動子XD1と接続し、水晶振動子XD1と接続されたバラクタダイオードVD1のカソードは、バイアス回路である抵抗器R13・抵抗器R14と接続し、抵抗器R13を介して電源電圧Vcc端子52と接続し、抵抗器R14を介して接地することでカソード電圧を設定している。
そして、バラクタダイオードVD1のアノードには抵抗器R6を介して感温抵抗素子回路55aを接続している。また、バラクタダイオードVD1のアノードにはさらに直流電流遮断用のコンデンサC6の一方端を接続している。コンデンサC6の他方端には抵抗器R10を介して感温抵抗素子回路55bを接続している。また、コンデンサC6の前記他方端にはさらにバラクタダイオードVD2のカソードを接続している。バラクタダイオードVD2のアノードは接地している。
ここで増幅回路54は前述の第1の実施形態の回路例で示した増幅回路14と同一のものである。また感温抵抗素子回路55aと感温抵抗素子回路55bとは、それぞれ感温抵抗素子回路15a・感温抵抗素子回路15bと同一のものである。
このように2つ感温抵抗素子回路で温度補償圧電発振回路を構成し、バラクタダイオードVD1・バラクタダイオードVD2のキャパシタンスにより水晶発振子XD1との合成キャパシタンスを変化させ、共振周波数を調整可能としている。
このように、バラクタダイオードVD1のアノードに感温抵抗素子回路55aを、バラクタダイオードVD2のカソードに感温抵抗素子回路55bを接続しているため、バラクタダイオードVD1・バラクタダイオードVD2への印加電圧の設定を個別に行うことができ、設計に際して個別の感温抵抗素子回路の設計の自由度が向上する。特に、例えばバラクタダイオードVD1とバラクタダイオードVD2に印加電圧に対する容量変化の異なるものを用いると、一方のバラクタダイオードに電圧を印加する感温抵抗素子回路で粗い温度補償を行い、他方のバラクタダイオードに電圧を印加する感温抵抗素子回路で細かい温度補償を行うことが可能になる。
なお、本実施形態の回路構成例では感温抵抗素子回路55a・感温抵抗素子回路55bを第1の実施形態での感温抵抗素子回路15a・感温抵抗素子回路15aと同一なものとしたが、それぞれ他の感温抵抗素子回路でもよく、例えば感温抵抗素子回路25aや、感温抵抗素子回路25aを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路25bや、感温抵抗素子回路25bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路35bや、感温抵抗素子回路35bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路45bや、感温抵抗素子回路45bを上下反転させたものとしてもよい。複数のバラクタダイオードの端子にそれぞれの感温抵抗素子回路を設けさえすれば同様な効果を奏する。
次に第6の実施形態の回路例を、図7に示す。
図7の温度補償圧電発振回路61は、圧電共振素子である水晶振動子XD1と、水晶振動子XD1の一方端に接続する増幅回路64と、水晶振動子XD1の他方端に接続する複数の可変容量素子(バラクタダイオードVD1・バラクタダイオードVD2)を備える。
バラクタダイオードVD1のアノードは水晶振動子XD1と接続し、バラクタダイオードVD1のアノードにはさらに抵抗器R6を介して感温抵抗素子回路65aを接続する。バラクタダイオードVD1のカソードには抵抗器R14を介して感温抵抗素子回路65cを接続する。また、バラクタダイオードVD1のカソードにはさらに直流電流遮断用のコンデンサC6の一方端を接続する。コンデンサC6の他方端にはバラクタダイオードVD2のカソードを接続する。バラクタダイオードVD2のカソードにはさらに、抵抗器R10を介して感温抵抗素子回路65bを接続する。バラクタダイオードVD2のアノードは接地する。
ここで増幅回路64は前述の第5の実施形態の回路例で示した増幅回路54と同一のものである。また感温抵抗素子回路65aは感温抵抗素子回路55aと同一のものであり、感温抵抗素子回路65b・感温抵抗素子回路65cは、感温抵抗素子回路55bと同一のものであり、感温抵抗素子回路65cは感温抵抗素子回路65bのサーミスタと抵抗器との記号を変えたものである。
このように3つの感温抵抗素子回路で温度補償圧電発振回路を構成し、バラクタダイオードVD1・バラクタダイオードVD2のキャパシタンスにより水晶発振子XD1との合成キャパシタンスを変化させ、共振周波数を調整可能としている。また、このように感温抵抗素子回路の接続数を増やすことで感温抵抗素子回路を更に多く設けることができ、更に精緻に温度補償電圧を形成することができる。
また、バラクタダイオードVD1ではその両端子に感温抵抗素子回路を接続し、バラクタダイオードVD2ではその端子のうち一方の端子にのみ感温抵抗素子回路を接続しているため、バラクタダイオードVD1では両端子間の電位差をより自由に設定することができ、たとえば電源電圧を低電圧に設定した場合であっても容易に電位差の設定を行うことができる。
なお、本実施形態の回路構成例では感温抵抗素子回路65a・感温抵抗素子回路65b・感温抵抗素子回路65cを第5の実施形態での感温抵抗素子回路55aや感温抵抗素子回路55bと同一なものとしたが、他の感温抵抗素子回路でもよく、例えば感温抵抗素子回路15bや、感温抵抗素子回路15bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路25bや、感温抵抗素子回路25bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路35bや、感温抵抗素子回路35bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路45bや、感温抵抗素子回路45bを上下反転させたものとしてもよい。3つ以上の感温抵抗素子回路を設けさえすれば同様な効果を奏する。
次に第7の実施形態を、図8に示す。
図8の温度補償圧電発振回路71は、圧電共振素子である水晶振動子XD1と、水晶振動子XD1の一方端に接続するコルピッツ発振回路の負性抵抗発生部分である増幅回路74と、水晶振動子XD1の他方端に接続する複数の可変容量素子(バラクタダイオードVD1・バラクタダイオードVD2)を備える。
増幅回路74では、水晶振動子XD1をトランジスタQ1のベースに接続している。また、トランジスタQ1のコレクタをトランジスタQ2のエミッタと接続し、トランジスタQ1のエミッタは抵抗器R1およびコンデンサC2を介して接地している。また、トランジスタQ1のエミッタとベースとの間には、帰還用コンデンサC1を接続し、トランジスタQ1とトランジスタQ2のベースには抵抗器R5・抵抗器R3・抵抗器R2によるベースバイアス回路を接続している。
またトランジスタQ2のベースは、コンデンサC8を介して高周波的に接地し、コレクタは、負荷抵抗である抵抗器R4を介して電源電圧Vcc端子72に接続し、コンデンサC3を介して信号出力Vout端子73に接続している。また、電源電圧Vcc端子72はコンデンサC4を介して高周波的に接地している。この結果、トランジスタQ1は水晶振動子XD1の共振周波数で負性抵抗回路として作用し、トランジスタQ2は、そのバッファ回路として作用する。
このトランジスタQ2によるバッファ回路は、信号出力Vout端子73の負荷変動の影響を軽減し安定な発振の継続を図るものである。
バラクタダイオードVD1のアノードは水晶振動子XD1と接続する。また、バラクタダイオードVD1には周波数感度を調整するためのコンデンサC7を並列に接続しており、このコンデンサC7のキャパシタンスの設定によりバラクタダイオードVD1の周波数感度を調整し、優れた温度補償を行うことができる。
さらにバラクタダイオードVD1のアノードには抵抗器R6を介して感温抵抗素子回路75aを接続する。カソードには抵抗器R10を介して感温抵抗素子回路75bを接続する。ここで、この感温抵抗素子回路75aは、前述の第6の実施形態で示した感温抵抗素子回路65aと同一のものであり、感温抵抗素子回路75bは、感温抵抗素子回路65bと同一のものである。
また、バラクタダイオードVD1のカソードにはさらにそれぞれのバラクタダイオード間の直流電圧遮断用のコンデンサC6を介してバラクタダイオードVD2のカソードを接続している。このバラクタダイオードVD2のカソードにはさらに抵抗器R19を介して制御電圧Vcont端子79を接続している。バラクタダイオードVD2のアノードは接地している。このバラクタダイオードVD2には感度調整用のコンデンサC9と抵抗器R18を接続している。
このコンデンサC9はバラクタダイオードVD2の周波数電圧感度を調整するためのコンデンサである。そのためコンデンサC9のキャパシタンスの設定によりバラクタダイオードVD2の周波数電圧感度を調整することができる。
制御電圧Vcont端子79を設けているため、制御電圧Vcontの制御により、このバラクタダイオードVD2のキャパシタンスが制御可能になる。
このような構成により、複数の感温抵抗素子回路からの出力電圧によりバラクタダイオードVD1のキャパシタンスを変化させ、バラクタダイオードVD2への制御電圧の印加によりバラクタダイオードVD2のキャパシタンスを変化させ、それらのキャパシタンスにより水晶振動子XD1との合成キャパシタンスを変化させ、温度補償圧電発振回路71の共振周波数を調整可能としている。
この構成による温度補償圧電発振回路71のシミュレーション結果の周波数温度特性を図16(b)に示す。図16(b)で示されたようにこの構成では、例えば10〜70℃の温度域で30ppb以下の優れた温度特性を得ることができる。
なお、本実施形態の回路構成例では感温抵抗素子回路75a・感温抵抗素子回路75bを第6の実施形態での感温抵抗素子回路65aや感温抵抗素子回路65bと同一なものとしたが、他の感温抵抗素子回路でもよく、例えば感温抵抗素子回路15bや、感温抵抗素子回路15bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路25bや、感温抵抗素子回路25bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路35bや、感温抵抗素子回路35bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路45bや、感温抵抗素子回路45bを上下反転させたものとしてもよい。感温抵抗素子回路以外の部分の構成を類似な構成とすることにより本実施形態と同様な効果を奏するが、他の実施形態で示したような構成を部分的に適用してもよい。
次に第8の実施形態の回路例を、図9に示す。
図9の温度補償圧電発振回路81は、圧電共振素子である水晶振動子XD1と、水晶振動子XD1の一方端に接続する増幅回路84と、水晶振動子XD1の他方端に接続する可変容量素子(バラクタダイオードVD1)を備える。
バラクタダイオードVD1のアノードは水晶振動子XD1と接続し、バラクタダイオードVD1のアノードにはさらに抵抗器R6を介して感温抵抗素子回路85aを接続する。バラクタダイオードVD1のカソードには抵抗器R10を介して感温抵抗素子回路85bを接続し、さらに直流電流遮断用のコンデンサC5を介して接地している。
ここで増幅回路84は前述の第7の実施形態の回路例で示した増幅回路74と同一のものである。また感温抵抗素子回路85bは前述の第3の実施形態の回路例で示した感温抵抗素子回路35bと同一のものである。
また、感温抵抗素子回路85aは、負特性のサーミスタTH1と、抵抗器R7・抵抗器R8・抵抗器R9を備えている。このサーミスタTH1・抵抗器R7・抵抗器R8・抵抗器R9からなる回路は分圧回路86aとして作用する。そのため、この感温抵抗素子回路85aは、分圧回路86aによる1段の分圧を行う。
分圧回路86aでは第1抵抗回路87aとして、サーミスタTH1と抵抗器R7と並列に接続しこの並列回路の一方端を電源電圧Vcc端子82に接続している。また、他方端に抵抗器R8を接続している。この第1抵抗回路87aを第2抵抗回路88aである抵抗器R9に直列接続している。また、抵抗器R9の一方端を接地している。そして、第1抵抗回路87aと第2抵抗回路88aの接続点をバラクタダイオードVD1のアノードに抵抗器R6を介して接続している。
このように2つの感温抵抗素子回路85a・感温抵抗素子回路85bで温度補償圧電発振回路81を構成し、バラクタダイオードVD1のキャパシタンスにより水晶発振子XD1との合成キャパシタンスを変化させ、共振周波数を調整可能としている。
この感温抵抗素子回路85a・感温抵抗素子回路85bでは1段の分圧回路を感温抵抗素子回路とし、サーミスタTH1とサーミスタTH2〜4との合計4つの感温抵抗素子を用いている。本実施形態のように、2つの感温抵抗素子回路85a・感温抵抗素子回路85bに合計4つの感温抵抗素子を用いることで、従来のサーミスタの合計が3つの感温抵抗素子よりも精緻に温度補償電圧を形成することができる。
なお、本実施形態の回路構成例では感温抵抗素子回路85bを第3の実施形態での感温抵抗素子回路35bと同一なものとしたが、感温抵抗素子回路85aも感温抵抗素子回路85bも他の感温抵抗素子回路でもよく、例えば感温抵抗素子回路15bや、感温抵抗素子回路15bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路25bや、感温抵抗素子回路25bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路45bや、感温抵抗素子回路45bを上下反転させたものとしてもよい。サーミスタの合計数が4つ以上となるようにサーミスタを設けさえすれば同様な効果を奏する。
次に第9の実施形態の回路例を、図10に示す。
図10の温度補償圧電発振回路91は、圧電共振素子である水晶振動子XD1と、水晶振動子XD1の一方端に接続する増幅回路94と、水晶振動子XD1の他方端に接続する複数の可変容量素子(バラクタダイオードVD1・バラクタダイオードVD2)を備える。バラクタダイオードVD1のアノードには水晶振動子XD1の他方端を接続するとともに抵抗器R6を介して感温抵抗素子回路95aを接続する。バラクタダイオードVD1のカソードには抵抗器R14を介して感温抵抗素子回路95bを接続する。また、バラクタダイオードVD1のカソードにはさらに直流電流遮断用のコンデンサC6の一方端を接続する。コンデンサC6の他方端にはバラクタダイオードVD2のカソードを接続する。バラクタダイオードVD2のカソードにはさらに、抵抗器R10を介して感温抵抗素子回路95cを接続する。バラクタダイオードVD2のアノードは接地する。
ここで増幅回路94は前述の第8の実施形態の回路例で示した増幅回路84と略同一のものである。
感温抵抗素子回路95aは、負特性のサーミスタTH1と、抵抗器R7を備えている。このサーミスタTH1・抵抗器R7からなる回路は分圧回路96aとして作用する。そのため、この感温抵抗素子回路95aは、分圧回路96aによる1段の分圧を行う。
分圧回路96aでは第1抵抗回路97aとして、サーミスタTH1を用い、サーミスタTH1の一方端を電源電圧Vcc端子92に接続している。また、他方端に第2抵抗回路98aである抵抗器R7に直列接続している。また、抵抗器R7の一方端を接地している。そして、第1抵抗回路97aと第2抵抗回路98aの接続点をバラクタダイオードVD1のアノードに抵抗器R6を介して接続している。
また感温抵抗素子回路95b・感温抵抗素子回路95cとしては、感温抵抗素子回路95aとそれぞれ略同一のものを用いている。
このように3つの感温抵抗素子回路95a・感温抵抗素子回路95b・感温抵抗素子回路95cで温度補償圧電発振回路91を構成し、バラクタダイオードVD1とバラクタダイオードVD2のキャパシタンスにより水晶発振子XD1との合成キャパシタンスを変化させ、共振周波数を調整可能としている。
この感温抵抗素子回路95a・感温抵抗素子回路95b・感温抵抗素子回路95cのように1段の分圧回路を感温抵抗素子回路とし、バラクタダイオードVD1とバラクタダイオードVD2のそれぞれ異なる端子に感温抵抗素子回路95a・感温抵抗素子回路95b・感温抵抗素子回路95cを接続している。本実施形態においては、2つのバラクタダイオードVD1・バラクタダイオードVD2と3つの感温抵抗素子回路95a・感温抵抗素子回路95b・感温抵抗素子回路95cを用いているが、このように、複数のバラクタダイオードと複数の感温抵抗素子回路を用いることで、従来の感温抵抗素子回路の数が2つの感温抵抗素子よりも多くの感温抵抗素子回路を構成することができる。
なお、本実施形態の回路構成例の感温抵抗素子回路95a・感温抵抗素子回路95b・感温抵抗素子回路95cは、他の構成の感温抵抗素子回路でもよく、例えば感温抵抗素子回路15bや、感温抵抗素子回路15bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路25bや、感温抵抗素子回路25bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路35bや、感温抵抗素子回路35bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路45bや、感温抵抗素子回路45bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路85aや、感温抵抗素子回路85aを上下反転させたものとしてもよく、複数のバラクタダイオードと複数の感温抵抗素子回路を設けさえすれば同様な効果を奏する。
次に第10の実施形態の回路例を、図11に示す。
図11の温度補償圧電発振回路101は、圧電共振素子である水晶振動子XD1と、水晶振動子XD1の一方端に接続する増幅回路104と、水晶振動子XD1の他方端に接続する可変容量素子(バラクタダイオードVD1)を備える。バラクタダイオードVD1のアノードには水晶振動子XD1が接続されるとともに抵抗器R6を介して感温抵抗素子回路105aを接続する。カソードには抵抗器R10を介して感温抵抗素子回路105bを接続し、さらに直流電流遮断用のコンデンサC5を介して接地している。
ここで増幅回路104は前述の第9の実施形態の回路例で示した増幅回路94と同一のものである。また感温抵抗素子回路105aは、感温抵抗素子回路95aと略同一のものを用いている。
また、感温抵抗素子回路105bは、負特性のサーミスタTH2・サーミスタTH3と抵抗器R11・抵抗器R12・抵抗器R13を備えている。サーミスタTH3・抵抗器R12・抵抗器R13からなる回路は分圧回路106bとして作用し、また、サーミスタTH2・抵抗器R11からなる回路は分圧回路106cとして作用する。そのため、この感温抵抗素子回路105bは、分圧回路106bと分圧回路106cによる2段の分圧を行う。
分圧回路106bでは、第1抵抗回路107bとしてサーミスタTH3・抵抗器R13を並列に接続し、この並列回路の一方端を電源電圧Vcc端子102に接続している。また、第2抵抗回路108bとして抵抗器R12を用い、その一方端を接地している。そして、第1抵抗回路107bと第2抵抗回路108bを直列接続し、接続点を分圧回路106cに接続している。
分圧回路106cでは、第2抵抗回路108cであるサーミスタTH2の一方端を接地している。また、第1抵抗回路107cである抵抗器R11の一方端を分圧回路106bの分圧点に接続している。そして、第1抵抗回路107cである抵抗器R11と第2抵抗回路108cであるサーミスタTH2とを直列接続し、接続点をバラクタダイオードVD1のカソードに抵抗器R10を介して接続している。
このように2つの感温抵抗素子回路105a・感温抵抗素子回路105bで温度補償圧電発振回路101を構成し、バラクタダイオードVD1のキャパシタンスにより水晶発振子XD1との合成キャパシタンスを変化させ、共振周波数を調整可能としている。
この感温抵抗素子回路105aのように1段の分圧回路を感温抵抗素子回路とし、感温抵抗素子回路105bのように2段の分圧回路を感温抵抗素子回路とし、それぞれバラクタダイオードVD1の異なる端子に接続している。本実施形態においては、2つの感温抵抗素子回路を用いて、一方は複数段に分圧回路を接続しているが、このように感温抵抗素子回路を用いることで、従来の複数段に分圧回路を接続した感温抵抗素子回路が1つのみの温度補償圧電発振回路よりも多くの感温抵抗素子を設けることができる。
なお、本実施形態の回路構成例では感温抵抗素子回路105aを第9の実施形態での感温抵抗素子回路95aと同一なものとしたが、他の感温抵抗素子回路でもよく、例えば感温抵抗素子回路15bや、感温抵抗素子回路15bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路25bや、感温抵抗素子回路25bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路35bや、感温抵抗素子回路35bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路45bや、感温抵抗素子回路45bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路85bや、感温抵抗素子回路85bを上下反転させたもの、感温抵抗素子回路105bや、感温抵抗素子回路105bを上下反転させたものとしてもよく、複数のバラクタダイオードと複数の感温抵抗素子回路を設けさえすれば同様な効果を奏する。
従来の温度補償圧電発振回路の構成例の回路図である。 第1の実施形態に係る温度補償圧電発振回路の構成例の回路図である。 第2の実施形態に係る温度補償圧電発振回路の構成例の回路図である。 第3の実施形態に係る温度補償圧電発振回路の構成例の回路図である。 第4の実施形態に係る温度補償圧電発振回路の構成例の回路図である。 第5の実施形態に係る温度補償圧電発振回路の構成例の回路図である。 第6の実施形態に係る温度補償圧電発振回路の構成例の回路図である。 第7の実施形態に係る温度補償圧電発振回路の構成例の回路図である。 第8の実施形態に係る温度補償圧電発振回路の構成例の回路図である。 第9の実施形態に係る温度補償圧電発振回路の構成例の回路図である。 第10の実施形態に係る温度補償圧電発振回路の構成例の回路図である。 シミュレーションに係る感温抵抗素子の抵抗温度特性である。 シミュレーションに係る圧電振動子の周波数温度特性である。 シミュレーションに係る可変容量素子の電圧特性である。 シミュレーションに係る感温抵抗素子回路の出力電圧である。 シミュレーションに係る温度補償圧電発振回路の周波数温度特性である。
符号の説明
1・11・21・31・41・51・61・71・81・91・101
−温度補償圧電発振回路
2・12・22・32・42・52・62・72・82・92・102
−電源電圧Vcc端子
3・13・23・33・43・53・63・73・83・93・103
−信号出力Vout端子
4・14・24・34・44・54・64・74・84・94・104−増幅回路
5・15・25・35・45・55・65・75・85・95・105
−感温抵抗素子回路
6・16・26・36・46・56・66・76・86・96・106−分圧回路
7・17・27・37・47・57・67・77・87・97・107−第1抵抗回路
8・18・28・38・48・58・68・78・88・98・108−第2抵抗回路
79−制御電圧Vcont端子

Claims (11)

  1. 圧電共振素子と、前記圧電共振素子に接続された可変容量素子と、前記可変容量素子に出力電圧が常に印加されるように接続された複数の感温抵抗素子回路と、を備えた温度補償圧電発振回路において、
    前記複数の感温抵抗素子回路は、それぞれ少なくとも1つの分圧回路を備え、1つの分圧回路からの分圧電圧を出力電圧とするものであり、
    前記分圧回路は、少なくとも一方に感温抵抗素子を含む第1抵抗回路と第2抵抗回路とが直列に接続されて、前記第1抵抗回路と前記第2抵抗回路との接続点から分圧電圧が引き出されるものであり、
    前記複数の感温抵抗素子回路に含まれる前記感温抵抗素子の合計数が4つ以上であることを特徴とする温度補償圧電発振回路。
  2. 少なくとも1つの前記感温抵抗素子回路は、複数の前記分圧回路を備え、
    いずれかの分圧回路の分圧電圧を別の分圧回路でさらに分圧するように接続されたことを特徴とする請求項1に記載の温度補償圧電発振回路。
  3. 分圧回路の分圧電圧を別の分圧回路でさらに分圧するように接続された前記感温抵抗素子回路は、最大でも2つの前記分圧回路を備えてなることを特徴とする請求項2に記載の温度補償圧電発振回路。
  4. 分圧回路の分圧電圧を別の分圧回路でさらに分圧するように接続された前記感温抵抗素子回路のいずれかは、1つの前記感温抵抗素子を備えた分圧回路と、2つの前記感温抵抗素子を備えた分圧回路とを含んでなることを特徴とする請求項1〜3に記載の温度補償圧電発振回路。
  5. 複数の前記可変容量素子を備え、前記複数の感温抵抗素子回路がそれぞれ、前記複数の可変容量素子の異なる端子に接続されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の温度補償圧電発振回路。
  6. 前記可変容量素子の両方の端子に、それぞれ前記感温抵抗素子回路が接続されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の温度補償圧電発振回路。
  7. 全ての感温抵抗素子回路のうち、いずれか2つの感温抵抗素子回路の回路構造が略同一であり、それぞれの感温抵抗素子回路における電源側と接地側とが反転していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の温度補償圧電発振回路。
  8. 前記分圧回路を最も多く備える感温抵抗素子回路は、感温抵抗素子の抵抗温度特性が、前記分圧回路ごとに異なるように配置され、
    分圧回路を最も多く備える前記感温抵抗素子回路に用いた前記感温抵抗素子のうち、いずれかと略同一な抵抗温度特性の感温抵抗素子のみが、別の感温抵抗素子回路に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の温度補償圧電発振回路。
  9. 圧電共振素子と、前記圧電共振素子に接続された可変容量素子と、前記可変容量素子に出力電圧が常に印加されるように接続された複数の感温抵抗素子回路と、を備えた温度補償圧電発振回路において、
    複数の前記可変容量素子と3つの感温抵抗素子回路とを備え、前記複数の可変容量素子のそれぞれ異なる端子に、3つの前記感温抵抗素子回路が接続され、
    前記3つの感温抵抗素子回路は、それぞれ1つの分圧回路を備え、その分圧回路からの分圧電圧を出力電圧とするものであり、
    前記分圧回路は、一方に1つの感温抵抗素子を含む第1抵抗回路と第2抵抗回路とが直列に接続されて、前記第1抵抗回路と前記第2抵抗回路との接続点から分圧電圧が引き出されたものであることを特徴とする温度補償圧電発振回路。
  10. 圧電共振素子と、前記圧電共振素子に接続された可変容量素子と、前記可変容量素子に出力電圧が常に印加されるように接続された複数の感温抵抗素子回路と、を備えた温度補償圧電発振回路において、
    2つの感温抵抗素子回路を備え、前記可変容量素子のそれぞれ異なる端子に、2つの前記感温抵抗素子回路が接続され、
    一方の感温抵抗素子回路は、1つの前記分圧回路を備えてなり、その分圧電圧を出力電圧とするものであり、
    他方の感温抵抗素子回路は、2つの前記分圧回路を備えてなり、いずれかの分圧回路の分圧電圧を別の分圧回路でさらに分圧して出力電圧とするものであり、
    前記分圧回路は、少なくとも一方に感温抵抗素子を含む第1抵抗回路と第2抵抗回路とが直列に接続されて、前記第1抵抗回路と前記第2抵抗回路との接続点から分圧電圧が引き出されたことを特徴とする温度補償圧電発振回路。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の温度補償圧電発振回路を発振回路部に備えた電子装置。
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