JP2006228658A - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 放電のためのスリット通路の幅方向内端面での電界集中を緩和できるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】 一対の電極11,12の対向面に誘電部材13,13を設け、これら誘電部材の間にスリット通路14を形成する。スリット通路14の大部分は、電極11,12によって放電部14aになる。誘電部材13,13の幅方向両端部を、電極11,12の対向面より延出させ、この延出端部どうし間にスペーサ18を設ける。スペーサ18によって形成されたスリット通路14の幅方向の内端面は、放電部14aより幅方向外側に位置される。
【選択図】 図2

Description

この発明はプラズマ処理装置に関し、特に、処理ガスを放電部に通して吹出し、放電部の外部に配置された被処理物に当てて洗浄等の表面処理を行なう、所謂リモート式のプラズマ処理装置に関する。
一般にリモート式プラズマ処理装置は、一対の電極間の両端部にスペーサを挟み、電極間にスリット状の通路を形成してある。このスリット通路に処理ガスを導入するとともに電極間に電界を印加してスリット通路内に放電を起こし、処理ガスをプラズマ化する。このプラズマガスを被処理物に吹付け、表面処理するようになっている。
特開2004−228005号公報
上記電極端部のスペーサの周辺では電界集中により誘電体が損傷劣化しやすいという問題があった。
本発明は、処理ガスを放電部に通して吹出し口から被処理物に吹付けるプラズマ処理装置であって、
互いの間に前記放電部を形成する一対の電極と、前記放電部を含むスリット状の通路を形成するスリット通路画成部とを備え、前記スリット通路の幅方向と直交する方向の一側部に前記処理ガスの導入部が接続され他側部に前記吹出し口が設けられており、
前記スリット通路の幅方向両端の内端面が、前記一対の電極の対向面の幅方向両端部より前記幅方向(前記電極どうしの対向方向及びスリット通路内での処理ガスの流通方向の何れとも直交する方向)の外側に配置されていることを特徴とする。
これによって、スリット通路が放電部より幅広になり、プラズマがスリット通路の内端面と接触するのを防止できるとともに、前記内端面の周辺での電界集中を緩和できる。これにより、パーティクルを防止できるとともに、内端面構成部材や固体誘電体層の損傷劣化を抑制して寿命を延ばすことができる。
前記一対の電極の対向面にはそれぞれ固体誘電体層となる誘電部材が設けられ、これら誘電部材の幅方向両端部が、前記電極の対向面より幅方向外側へ延出されるとともに、これら延出端部どうし間に互いの間隔を維持するスペーサが設けられ、このスペーサが、前記スリット通路の内端面を画成していることが望ましい。
これによって、前記スペーサが、電極対向面の幅方向端部より前記幅方向の外側に配置されることになり、スペーサ内端面での電界集中を緩和してパーティクルを防止でき、スペーサや誘電部材の損傷劣化を抑制できるとともに、誘電部材の裏面(スリット通路とは逆側の面)での異常放電を防止することができる。
前記一対の電極の対向面にはそれぞれ固体誘電体層となる誘電部材が設けられ、これら誘電部材の幅方向両端部が、前記電極の対向面より幅方向外側へ延出されるとともに、少なくとも一方の電極側の誘電部材の幅方向端部には他方の誘電部材側に突出して互いの間隔を維持する凸部が一体に形成され、この凸部が、前記スリット通路の内端面を画成していてもよい。
これによって、前記凸部が、前記電極の対向面の幅方向端部より前記幅方向の外側に配置されることになり、凸部の側端面での電界集中を緩和してパーティクルを防止でき、誘電部材の損傷劣化を抑制できるとともに、誘電部材の裏面(スリット通路とは逆側の面)での異常放電を防止できる。
前記スリット通路の内端面が、前記電極の対向面の幅方向端部より前記幅方向の外側に0.1〜30mm離れて配置されていることが望ましい。0.1mm以上離すことによって、パーティクルを確実に防止でき、内端面構成部材や誘電体層の損傷劣化を確実に抑制できる。1.5mm以上離れているのが、より好ましい。スリット通路の厚さ以上離れているのが、より望ましい。上限を30mm以下とするのは、それ以上離れていると処理ガスの無駄が多くなるからである。上限は20mm以下とするのがより望ましい。
本発明は、例えば、略常圧(大気圧近傍の圧力)の環境下でのプラズマ処理に適用される。本発明における略常圧とは、1.013×104〜50.663×104Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡易化を考慮すると、1.333×104〜10.664×104Paが好ましく、9.331×104〜10.397×104Paがより好ましい。
本発明によれば、スリット通路の内端面の周辺での電界集中を抑制でき、パーティクルを防止できるとともに、内端面構成部材や誘電体層の損傷劣化を抑制して寿命を延ばすことができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、被処理物90の表面をプラズマ洗浄するプラズマ処理装置1を示したものである。被処理物90は、例えば液晶画面用のITO(インジウム酸化錫)ガラスである。このITOガラス90の表面にプラズマガスが照射されると、表面の活性状態が変化し、濡れ性が向上する。これにより、液晶の製造において次工程がスムーズに進むことになる。ここで、濡れ性が良いとは、被処理物90の表面に液滴を垂らしたときの接触角が小さいことを意味し、処理レベルが高いことを意味する。
プラズマ処理装置1は、プラズマ生成ユニット10と、搬送手段40を備えている。
搬送手段40は、例えばローラコンベアにて構成されている。図1の白抜き太矢印にて示すように、この搬送手段40によって被処理物90が左右に移動されるようになっている。
なお、搬送手段40はローラ式に限定されずベルト式であってもよい。被処理物90が枚葉のものであれば、搬送ロボット等の搬送系を用いてもよい。この他にも、バッチ対応の搬送系、マガジン−マガジン対応の搬送系を用いてもよく、複数種の搬送系を組み合わせてもよい。プラズマ処理部の前側又は後側にガイドローラを設置してもよく、しわ対策用のテンションコントロール機構やクラウンロールを設置してもよい。
被処理物90が静止される一方、プラズマ生成ユニット10が移動させるようになっていてもよい。
ローラコンベア40の上方には、図示しない架台にて支持されたプラズマ生成ユニット10が配置されている。プラズマ生成ユニット10とコンベア上の被処理物90の上面との間の距離は数mmになるようになっている。
プラズマ生成ユニット10は、左右一対の電極11,12と、これら電極11,12を保持するホルダ15を有している。ホルダ15は、樹脂等の絶縁性材料にて構成されている。
電極11,12は、平行平板型の電極が用いられているが、その形状は平板状に限定されるものではなく、円柱形状等の他の種々の形状をなしていてもよい。電極11,12は、鉄、銅、アルミニウム等の金属単体、ステンレス、真鍮等の合金、金属間化合物等にて構成される。図示は省略するが、各電極11,12の内部には水等の冷却用媒体を通す冷却路が設けられている。
左側(一方)の電極11は、電源30に接続されている。電源30は、Vpp=10〜30kVの高電圧を印加するようになっている。これにより、左側の電極11がホット電極になっている。右側(他方)の電極12は、電気的に接地され、アース電極となっている。
これら電極11,12の対向面には、それぞれ誘電部材13,13が設けられている。これら誘電部材13,13は、アルミナ、パイレックス(登録商標)、石英ガラス等の固体誘電体にて構成され、平板状をなしている。誘電部材13の厚さは、0.1〜5mmが好ましい。
図2に示すように、一対の誘電部材13,13の幅方向両端部の間すなわち前端部どうし間及び後端部どうし間には、それぞれスペーサ18,18が挟まれている。スペーサ18は、樹脂等の絶縁材料にて構成されている。これらスペーサ18,18によって誘電部材13,13どうし間ひいては電極11,12どうし間の間隔が維持されている。
隣り合う電極11,12の誘電部材13,13間にスリット状の通路14が形成されている。スペーサ18,18によって、スリット通路14の幅方向両側(図2において上下)の内端面が画成されている。
プラズマ生成ユニット10の一対の誘電部材13,13と一対のスペーサ18,18は、「スリット通路画成部」を構成している。
図1の仮想線で示すように、プラズマ生成ユニット10の上側部には処理ガス導入部22が設けられている。処理ガス源20からの処理ガス供給路21が上記処理ガス導入部22に接続され、この処理ガス導入部22が、スリット通路14の上端部(幅方向と直交する方向の一側部)の全長に連なっている。図示は省略するが、処理ガス導入部22には、チャンバやスリット等からなるガス均一化路が設けられ、処理ガス源20からの処理ガスを均一化して、スリット通路14の長手方向に均一に導入するようになっている。
プラズマ洗浄用の処理ガスとしては、例えば希ガス、窒素等を用いるのが好ましい。微量の酸素を添加すると、より好ましい。
プラズマ生成ユニット10の電極ホルダ15の下端面には、底板17が設けられている。底板17には、前後幅方向(図1の紙面直交方向)に延びる吹出し口16が形成されている。この吹出し口16が、スリット通路14の下端部(他側部)の全長に連なっている。
底板17は、金属などの導電材料からなる平らな板にて構成され、電気的に接地されている。これによって、底板17は、被処理物90にアークが落ちないように避雷針(アース板)の役割を果たしている。なお、底板17は少なくともホット電極11の下側に配置されていればよく、アース電極12側についてはホルダ15の下面が露出されていてもよい。
本発明の最も特徴的な部分について説明する。
図2に示すように、上記誘電部材13の前後両端部(幅方向両端部、図2において上下)は、電極11,12の対向面の幅方向両端部より延出されており、一対の誘電部材13,13の延出端部どうしの間に上記スペーサ18が配置されている。したがって、スペーサ18は、電極11,12の対向面の幅方向端部より幅方向の外側に配置されている。また、スリット通路14は、電極11,12の対向面の幅方向両端部より延出されている。そして、スリット通路14の幅方向両側の内端面が、電極11,12の対向面の幅方向両端部より幅方向の外側に配置されている。スリット通路14の内端面は、電極11,12の対向面の幅方向端部より幅方向の外側へ0.1〜30mm離れて配置されていることが望ましい。
上記構成において、処理ガス源20からの処理ガスが、処理ガス導入部22を経てスリット通路14に均一に導入される。併行して、電源30からホット電極11に電圧が印加される。これにより、スリット通路14内で大気圧グロー放電等のプラズマ放電が発生し、スリット通路14の大部分が放電部14aとなる。この放電部14aにおいて処理ガスがプラズマ化される。このプラズマガスが、吹出し口16から吹出され、被処理物90に吹き付けられる。これによって、被処理物90の表面をプラズマ洗浄することができ、濡れ性を向上させることができる。さらに、被処理物90が左右に移動されることによって被処理物90の全面を処理できる。
一方、スリット通路14は放電部14aより幅広になっており、スリット通路14の幅方向両側のスペーサ18,18と放電部14aとの間にはそれぞれ非放電部14b,14bになる。これによって、プラズマがスペーサ18に触れるのを防止でき、パーティクルの発生を防止できる。また、スペーサ18の内端面の周辺での電界集中を緩和でき、誘電部材13やスペーサ18の損傷、劣化を抑制して寿命を延ばすことができる。さらに、誘電部材13が電極11,12の対向面より突出しているので、誘電部材13の裏面(スリット通路とは逆側の面)で放電が起きるのを防止することができる。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の実施形態と重複する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を省略する。
第1実施形態では、スペーサ18が、誘電部材13と別体になっていたが、一体に構成してもよい。すなわち、図3に示すように、各誘電部材13の電極対向面から延出された幅方向両端部には、それぞれ他方の誘電部材へ向けて突出する凸部13aが一体に形成されている。一対の誘電部材13,13の凸部13a,13aの突出端どうしが突き合わされている。これにより、誘電部材13,13どうしの間隔ひいては電極11,12どうしの間隔が維持されている。また、凸部13a.13aによってスリット通路18の内端面が画成されている。凸部13a,13aは、第1実施形態のスペーサ18と同じ役目を果たしている。
これら凸部13a,13aは、電極11,12の対向面の端部より幅方向の外側に配置されている。
図4は、誘電部材13の支持構造の一態様を示したものである。この誘電部材13の幅方向両端の下端部は斜めに切欠されている。一方、ホルダ15の下端部には、断面三角形状の爪部15bが突出されている。この爪部15bが誘電部材13の切欠部13bに引っ掛けられている。これにより、誘電部材13を安定的に支持でき、脱落や位置ずれを防止することができる。
誘電部材13の切欠部13bは、上記の形状に限定されず、図5に示すように、四角形状に切欠されていてもよい。これに合わせてホルダ15の爪部15bも四角形状にするとよい。
図6(a)及び(b)に示すように、誘電部材支持構造として、誘電部材13の上端部に引っ掛かり部13cを突出形成してもよい。ホルダ15には凹部15cを形成し、この凹部15cに誘電部材13の引っ掛かり部13cを引っ掛けることにより、誘電部材13を支持する。引っ掛かり部13cは、誘電部材13の上縁の全長にわたって延びているが、これに代えて小片状に構成してもよい。
図7(a)及び(b)に示すように、誘電部材支持構造として、誘電部材13の上側部に孔13dを開穿し、この孔13dにピン19を通してホルダ15に止めることにより、誘電部材13を支持することにしてもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の改変をなすことができる。
例えば、電極11,12の端部の位置は幅方向にずれていてもよい。その場合、幅方向外側に突出する側の電極端部よりもスリット通路14の内端面が幅方向外側に位置するようにするのが望ましい。或いは、電極11,12の端部の幅方向のずれに合わせてスリット通路14の内端面を斜めにしてもよい。
第2実施形態において、片方の誘電部材13にだけ凸部13aを一体に設け、この凸部13aを他方の誘電部材13に突き当てることにしてもよい。
本発明は、例えばITOガラスの濡れ性向上のためのプラズマ洗浄に適用可能である。
本発明の第1実施形態に係るプラズマ処理装置の側面断面図である。 図1のII−II線に沿う上記プラズマ処理装置のプラズマ生成ユニットの平面断面図である。 本発明の第2実施形態に係るプラズマ処理装置のプラズマ生成ユニットの平面断面図である。 誘電部材の支持構造の一態様を示す斜視図である。 誘電部材の支持構造の一態様を示す斜視図である。 誘電部材の支持構造の一態様を示す側面断面図である。 図6(a)に示す誘電部材支持構造の斜視図である。 誘電部材の支持構造の一態様を示す側面断面図である。 図7(a)に示す誘電部材の斜視図である。
符号の説明
1 プラズマ処理装置
10 プラズマ生成ユニット
11,12 電極
13 誘電部材
13a 凸部
14 スリット通路
14a 放電部
14b 非放電部
16 吹出し口
18 スペーサ
20 処理ガス源
21 処理ガス供給路
22 処理ガス導入部
30 電源
40 搬送手段
90 被処理物

Claims (4)

  1. 処理ガスを放電部に通して吹出し口から被処理物に吹付けるプラズマ処理装置であって、
    互いの間に前記放電部を形成する一対の電極と、前記放電部を含むスリット状の通路を形成するスリット通路画成部とを備え、前記スリット通路の幅方向と直交する方向の一側部に前記処理ガスの導入部が接続され他側部に前記吹出し口が設けられており、
    前記スリット通路の幅方向両端の内端面が、前記一対の電極の対向面の幅方向両端部より前記幅方向の外側に配置されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記一対の電極の対向面にはそれぞれ固体誘電体層となる誘電部材が設けられ、これら誘電部材の幅方向両端部が、前記電極の対向面より幅方向外側へ延出されるとともに、これら延出端部どうし間に互いの間隔を維持するスペーサが設けられ、このスペーサが、前記スリット通路の内端面を画成していることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記一対の電極の対向面にはそれぞれ固体誘電体層となる誘電部材が設けられ、これら誘電部材の幅方向両端部が、前記電極の対向面より幅方向外側へ延出されるとともに、少なくとも一方の電極側の誘電部材の幅方向端部には他方の誘電部材側に突出して互いの間隔を維持する凸部が一体に形成され、この凸部が、前記スリット通路の内端面を画成していることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記スリット通路の内端面が、前記電極の対向面の幅方向端部より前記幅方向の外側に0.1〜30mm離れて配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のプラズマ処理装置。
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