JP2010108665A - プラズマ処理装置 - Google Patents

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裕人 竹内
Katsuhiro Imai
克広 今井
Masao Inoue
将男 井上
Takayuki Moriyama
孝幸 森山
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Abstract

【課題】プラズマ処理装置において、放電空間からのプラズマ光により筐体の導入流路を画成する内壁が腐食するのを防止する。
【解決手段】放電空間5を形成する一対の電極11,12及び固体誘電体13,14を含む電極構造10を筐体20に収容し保持する。筐体20の内部に、放電空間5への処理ガスの導入流路30を設ける。導入流路30内の放電空間5と面する箇所に被照射部材41を設ける。被照射部材41を、筐体20より耐光性が高い材料で構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ処理装置に関し、特に、電極構造を収容又は支持する筐体に処理ガスの導入路が形成されたプラズマ処理装置に関する。
例えば、特許文献1のプラズマ処理装置には、筐体(処理ヘッド本体)の内部に一対の電極が収容され、支持されている。これら電極のうち少なくとも一方の対向面には、放電を安定させるための固体誘電体が設けられている。筐体の内部には、処理ガスを一対の電極間の空間に導く導入流路が設けられている。電極間に電界が印加され大気圧グロー放電が生成される。この電極間の放電空間に処理ガスが導入されプラズマ化される。プラズマ化された処理ガスが被処理物に吹き付けられ、表面処理がなされる。
特開2004−006211号公報
電極間の放電空間では、放電によって紫外線等を含むプラズマ光が発生する。上記のプラズマ光の一部は、処理ガスの導入流路に入り、筐体の導入流路を画成する内壁に照射される。このプラズマ光によって筐体の内壁が腐食するおそれがある。筐体が腐食すると、例えば粉状の酸化物等からなる腐食生成物が出来、この腐食生成物が処理ガスに混入し、被処理物を汚染することがある。
上記課題を解決するため、本発明は、処理ガスを、放電空間でプラズマ化して被処理物に接触させ、前記被処理物の表面を処理する装置において、
互いに対向する一対の電極及びこれら電極のうち少なくとも一方の対向面に設けられた固体誘電体とを含み、前記放電空間を形成する電極構造と、
前記電極構造を収容又は保持し、かつ内部に前記放電空間への処理ガスの導入流路を有する筐体と、前記導入流路内の前記放電空間と面する箇所に設けられた被照射部材と、を備え、前記被照射部材が、前記筐体より耐光性が高い材料で構成されていることを特徴とする。
ここで、「耐光性」とは光による腐食を受けにくい性質を言う。「耐光性が高い」とは、光による腐食の程度が相対的に小さいことを言う。ここで言う「光」とはプラズマ生成に伴なう発光を言う。一般に、プラズマ発光の波長は、0より長く1000nm以下程度である。
プラズマは、減圧下や大気圧近傍下の放電により生じる。放電の種類は、例えば、グロー放電、コロナ放電またはアーク放電である。
放電空間から導入流路内に入ったプラズマ光は、その光路上に配された被照射部材に照射される。被照射部材は、耐光性が高いためプラズマ光が照射されても腐食しにくい。また、被照射部材によってプラズマ光の進行を遮ることができる。したがって、筐体の内壁にプラズマ光が直接照射されるのを防止できる。これにより、筐体がプラズマ光で腐食するのを防止又は抑制できる。したがって、腐食生成物が処理ガスに混入するのを防止でき、被処理物が腐食生成物により汚染されるのを防止できる。この結果、処理品質を高めることができる。筐体を、耐光性は低いが軽量で安価な材料で構成し、耐光性が必要な箇所にだけ被照射部材を設けることで、筐体の全体を耐光性材料で構成した場合と比べ、重量を軽量化でき、材料コストを低減できる。
前記被照射部材が、前記筐体の前記導入流路を画成する内壁の前記放電空間と面する箇所に設けられていることが好ましい。
これにより、放電空間からのプラズマ光は直接には被照射部材に照射される。したがって、筐体の内壁にプラズマ光が照射されるのを確実に避けることができ、筐体の内壁が腐食するのを確実に防止又は抑制できる。
前記導入流路が、処理ガスを均一化する整流室を有し、前記整流室の内部には、整流室内を互いに連通する2つの室部分に仕切り、かつ放電空間に面する整流板が設けられ、前記整流板が、前記筐体より耐光性が高い材料で構成され、前記被照射部材として提供されていてもよい。
これにより、処理ガスを、整流板を含む整流室で均一化したうえで放電空間に導入できる。放電空間から整流室に入ったプラズマ光は、整流板に照射される。整流板は、耐光性が高いためプラズマ光が照射されても腐食しにくい。また、整流板によってプラズマ光の進行を遮ることができる。したがって、筐体の内壁にプラズマ光が直接照射されるのを避けることができ、筐体の腐食を防止又は抑制できる。
前記導入流路内の、前記被照射部材からの散乱光が照射される箇所に被間接照射部材が設けられ、前記被間接照射部材が、前記筐体より耐光性が高い材料で構成されていることが好ましい。
放電空間からのプラズマ光が被照射部材で反射して散乱した場合、その散乱光が被間接照射部材に照射されるようにできる。被間接照射部材は、耐光性が高いためプラズマ光が照射されても腐食しにくい。また、被間接照射部材によって散乱光を遮ることができる。したがって、散乱光が筐体の内壁に当たるのを防止でき、筐体の腐食を一層確実に防止又は抑制できる。
前記整流室の内壁に被間接照射部材が設けられ、前記被間接照射部材が、前記筐体より耐光性が高い材料で構成されていてもよい。
放電空間からのプラズマ光が整流板の被照射部材で反射して散乱した場合、その散乱光が被間接照射部材に照射されるようにできる。被間接照射部材は、耐光性が高いためプラズマ光が照射されても腐食しにくい。また、被間接照射部材によって散乱光を遮ることができ、散乱光が整流室の内壁に当たるのを防止できる。これにより、筐体の整流室を画成する部分が腐食するのを一層確実に防止又は抑制できる。
前記筐体が、例えばアルミニウムにて構成され、前記被照射部材が、例えばステンレス、チタン、セラミックからなる群から選択される1つにて構成されていてもよい。更に、前記被間接照射部材が、ステンレス、チタン、セラミックからなる群から選択される1つにて構成されていてもよい。
これにより、被照射部材に耐光性を確実に持たせることができる。また、被間接照射部材に耐光性を確実に持たせることができる。筐体の全体を耐光性材料で構成する場合より、重量を確実に軽量化でき、材料コストを確実に低減できる。
本発明は、大気圧近傍下でプラズマを生成して表面処理する大気圧プラズマ処理に適している。ここで、大気圧近傍とは、1.013×10〜50.663×10Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、1.333×10〜10.664×10Paが好ましく、9.331×10〜10.397×10Paがより好ましい。
本発明によれば、放電空間からのプラズマ光の進行を被照射部材で遮ることができ、筐体の内壁にプラズマ光が直接照射されるのを避けることができる。したがって、筐体がプラズマ光で腐食するのを防止又は抑制できる。よって、腐食生成物が処理ガスに混入するのを防止でき、被処理物が腐食生成物により汚染されるのを防止でき、ひいては、処理品質を確保できる。耐光性が必要な箇所にだけ被照射部材を設けることで、筐体の全体を耐光性材料で構成する場合より材料コストを低減できる。
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、プラズマ処理装置1は、配置部2と、処理ヘッド3を備えている。配置部2は、ステージやコンベアで構成されており、その上側に被処理物9が配置される。被処理物9は、例えばフラットパネルディスプレイ用のガラス基板である。被処理物9は、ガラス基板に限られず、例えば連続シート状の樹脂フィルムでもよく、半導体基板でもよい。
配置部2は、被処理物9の移動手段を兼ね、被処理物9を図1の左右方向に搬送できる。配置部2によって、被処理物9が処理ヘッド3の下方の処理空間6に配置される。
被処理物9が位置固定され、処理ヘッド3が左右方向に移動するようになっていてもよい。
処理ヘッド3は、図示しない架台に支持され、配置部2の上側に離れて位置している。処理ヘッド3は、電極構造10と、この電極構造10を収容又は支持する筐体20とを備えている。電極構造10は、一対をなす第1、第2の電極11,12と、各電極11,12に設けられた固体誘電体13,14とを有している。
第1電極11は、ステンレスやアルミニウム等の金属で構成されている。第1電極11は、長手方向を図1の紙面と直交する方向に向け、短手方向を図1の左右方向に向けた厚い平板状になっている。第1電極11は、図示しない電源に接続され、電界印加電極になっている。
第1電極11に対応する第1固体誘電体13は、アルミナ等のセラミックからなる板で構成されている。第1固体誘電体13は、長手方向を図1の紙面と直交する方向に向け、短手方向を図1の左右方向に向け、上面が開口された容器状(断面コ字状)になっている。第1固体誘電体13の底部に第1電極11が載せられて支持されている。第1固体誘電体13が、第1電極11の下面(第2電極12との対向面)を覆っている。
第1固体誘電体13は、セラミック板に限られず、アルミナ等の溶射膜でもよく、樹脂でもよい。
第2電極12は、ステンレス、チタン等の耐熱性及び耐腐食性の高い金属で構成されている。第2電極12は、長手方向を図1の紙面と直交する方向に向け、短手方向を図1の左右方向に向けた平板状になっている。
第2電極12は、図示しない接地線を介して電気的に接地され、接地電極になっている。第1電極11と第2電極12が上下に対向している。不図示の電源からの電圧供給によって、電極11,12間に電界が印加される。第2電極12の下面は、配置部2と対向し、ひいては配置部2に配置された被処理物9と対向する。第2電極12と配置部2上の被処理物9との間に処理空間6が画成される。
第2電極12の上面に第2固体誘電体14が設けられている。第2固体誘電体14は、長手方向を図1の紙面と直交する方向に向け、短手方向を図1の左右方向に向けた平板状になっている。第2固体誘電体14は、アルミナ等のセラミックで構成されているが、これに限られず、アルミナ等の溶射膜でもよく、樹脂でもよい。
第1固体誘電体13と第2固体誘電体14は、僅かな厚さ(数mm程度)の隙間を介して上下に対向している。第1、第2固体誘電体13,14の間の隙間の左右方向の中央部分(ほぼ第1電極11を投影した部分)が、上記の電極11,12間への電界印加によって大気圧近傍の放電空間5になる。放電空間5は、図1の紙面と直交する方向に長く左右に短い水平かつ扁平な空間になっている。放電空間5は、配置部2に配置された被処理物9と平行になる。放電空間5と被処理物9との間(第1電極11と配置部2との間)に第2電極12が介在される。
図示は省略するが、第1、第2固体誘電体13,14間の隙間ひいては放電空間5の長手方向(図1の紙面と直交する方向)の両端には、それぞれアルミナ等のセラミックからなるスペーサーが設けられている。スペーサーは、第1固体誘電体13と第2固体誘電体14とに挟まれている。スペーサーにより、放電空間5の長手方向の両端が閉塞されている。
第2電極12及び第2固体誘電体14の放電空間5を画成する中央部分には吹き出し路16が形成されている。吹き出し路16は、第2固体誘電体14を厚さ方向(上下)に貫通し、さらに第2電極12を厚さ方向(上下)に貫通している。吹き出し路16の上端部は放電空間5に連なっている。吹き出し路16の下端部は処理空間6に連なっている。
吹き出し路16は、多数の小孔状になっており、第2電極12及び第2固体誘電体14の第1電極11と対向する領域内に分散して配置されている。吹き出し路16は、1又は複数のスリット状になっていてもよい。吹き出し路16をスリット状にする場合、スリットの延び方向は、第2電極12の長手方向(図1の紙面と直交する方向)でもよく、第2電極12の短手方向(図1の左右方向)でもよく、第2電極12の長手方向に対し斜めの方向でもよい。
次に、筐体20について説明する。筐体20は、底部が開口され、かつ長手方向を図1の紙面と直交する方向に向け、短手方向を左右方向に向けた箱状になっている。筐体20の材料は、金属が好ましく、価格、重量、加工性、耐久性等の観点からは例えばアルミニウムであることが好ましい。
筐体20の内部に第1電極11及び第1固体誘電体13が収容されている。筐体20の上側部に、第1固体誘電体13の左右の側壁13wの上端部が連結されて支持されている。筐体20の底部に第2電極12が連結されて支持されている。第2電極12が筐体20の下面の開口を塞いでいる。
筐体20の左右の両側部には、それぞれ導入流路30が形成されている。各導入流路30は、順次連なる流路部31,32,33,34で構成されている。
ヘッダ流路部31は、筐体20の左右の側壁21に形成され、図1の紙面と直交する方向に延びている。処理ガス供給源4から延びる処理ガス供給路4aが二手に分岐し、各ヘッダ流路部31に連なっている。処理ガス供給源4には、処理目的に応じた処理ガスが蓄えられている。例えば、親水化処理であれば、酸素(O)等を主成分とする酸化性ガスを処理ガスとして用いるとよい。撥水化処理であれば、CF等のフッ素系化合物を主成分として含むガスを処理ガスとして用いるとよい。
分散流路部32は、ヘッダ流路部31より十分に小さい断面積の小孔状をなし、ヘッダ流路部31から左右内側方向へ延び、側壁21の内側面21aに達している。分散流路部32は、図1の紙面と直交する方向に間隔を置いて複数設けられている。ヘッダ流路部31の一端に導入された処理ガスは、ヘッダ流路部31の他端へ向けて流れながら、各分散流路部32を通って流出する。これにより、処理ガスの流路断面が、図1の紙面と直交する方向に分散され幅広になる。分散流路部32が、複数の小孔に代えて、図1の紙面と直交する方向に延びる1つのスリットで構成されていてもよい。
連絡流路部33は、筐体側壁21と誘電体側壁13wとの間に形成されている。連絡流路部33は、図1の紙面と直交する方向に幅広をなし、垂直に下方へ延びている。連絡流路部33の下端部は、第1固体誘電体13の下面より下へ延長されている。
第1、第2固体誘電体13,14の間の隙間の放電空間5より左右外側の部分が、最終の導入流路部34になっている。導入流路部34は、図1の紙面と直交する方向に幅広をなし、水平に延びている。導入流路部34の内端部が、放電空間5に直接連なっている。導入流路部34の外端部は、連絡流路部33と直角に交わっている。
導入流路30内には被照射部材41が設けられている。被照射部材41は、筐体20の内壁21aの放電空間5と面する箇所に配置されている。すなわち、被照射部材41は、導入流路部34を水平に真っ直ぐ左右外側に延長したとき、内壁21aと交差する箇所に配置されている。
被照射部材41は、幅方向を上下に向けて図1の紙面と直交する方向に延びる薄い板状になっている。筐体20の内壁21aの下側部には凹部21bが形成されている。凹部21bに被照射部材41が嵌め込まれている。被照射部材41は、連絡流路部33の内面の一部分を画成している。凹部21bより上側の内壁21aと、被照射部材41の連絡流路部33を向く面とは、面一になっている。
被照射部材41は、筐体20より耐光性が高い材料で構成されている。具体的には、筐体20が例えばアルミニウムで構成されているのに対し、被照射部材41は、例えばステンレス、チタン等の金属、又はアルミナ等のセラミックで構成されている。
上記構成のプラズマ処理装置1にて表面処理を行なう際は、被処理物9を配置部2の上にセットし、電極11,12間に電界を印加し、電極11,12間に大気圧グロー放電を生成する。また、図1の太線矢印に示すように、供給源4からの処理ガスを、供給路4a、ヘッダ流路部31、分散流路部32、連絡流路部33、導入流路部34を順次経て、放電空間5に供給する。これにより、処理ガスが放電空間5内でプラズマ化される。このプラズマ化された処理ガスが、吹き出し路16から吹き出され、被処理物9に接触する。これにより、被処理物9の表面上で反応が起き、所望の表面処理が行なわれる。さらに、配置部2を処理ヘッド3に対し相対移動させることにより、被処理物9の全体を処理することができる。
放電により放電空間5から強いプラズマ発光Lが生じる。プラズマ光Lの波長域は、一般に0より長く1000nm以下程度である。プラズマ光Lは、放電空間5の両側の導入流路部34を経て左右の被照射部材41にそれぞれ照射される。被照射部材41は、耐光性材料(ステンレス、チタン、セラミック等)で構成されているから、プラズマ光Lが照射されても腐食しにくい。一方、筐体20は耐光性が被照射部材41ほど高くないが、プラズマ光Lが直接照射されることはない。したがって、筐体20がプラズマ光Lで腐食するのを防止でき、筐体20の内壁21に粉状酸化物等の腐食生成物が生成されるのを防止できる。よって、処理ガスに腐食生成物が混入するのを防止でき、被処理物9が腐食生成物により汚染されるのを防止できる。この結果、処理品質を確保できる。
筐体20を耐光性は低いが軽量で安価な材料(例えばアルミ)で構成し、耐光性が必要な箇所にだけ、筐体20より十分小さな被照射部材41を設けることで、筐体20の全体を耐光性材料で構成した場合と比べ、重量を軽量化でき、かつ材料コストを大幅に低減できる。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において第1実施形態と同様の構成に関しては、図面に第1実施形態と同一の符号又は第1実施形態の符号に「X」を付して説明を簡略化する。
図2は、本発明の第2実施形態に係るプラズマ処理装置1Xを示したものである。第1実施形態では一対の電極11,12が上下に対向していたが、第2実施形態では、一対の電極11X,12Xが左右に対向している。各電極11X,12Xは、長手方向を図2の紙面と直交する方向に向け、短手方向を上下に向けて配置されている。電極11X,12Xの互いの対向面は、垂直になっている。
電極11X,12Xに対する固体誘電体13X,14Xは、左右に対向している。第1電極11Xに対応する第1固体誘電体13Xだけでなく、第2電極12Xに対応する第2固体誘電体14Xも、断面がコ字状になっている。これら固体誘電体13X,14Xは、互いに対向する側とは反対側の方向に開口されている。各固体誘電体13X,14Xの内部に対応する電極11X,12Xが収容されている。
固体誘電体13X,14X間には垂直な隙間が形成されている。固体誘電体13X,14X間の隙間の上下方向の中央部分が放電空間5になっている。図示は省略するが、固体誘電体13X,14X間の隙間ひいては放電空間5の長手方向(図2の紙面と直交する方向)の両端には、アルミナ等のセラミックからなるスペーサーがそれぞれ設けられている。スペーサーは、固体誘電体13X,14Xとに挟まれている。スペーサーにより、固体誘電体13X,14X間の隙間ひいては放電空間5の長手方向の両端が閉塞されている。
電極構造10Xが筐体20Xに収容され、支持されている。筐体20Xの内部の電極構造10Xより上側の部分には、整流室35が形成されている。整流室35は、例えば四角形の断面を有し、図2の紙面と直交する方向に延びている。筐体20Xの上端部にはヘッダ流路部31が設けられている。分散流路部32がヘッダ流路部31から下方へ延びて整流室35の上端部に連なっている。整流室35の下端部に最終の導入流路部37が連なっている。導入流路部37は、整流室35から垂直に下方へ延び、放電空間5に直接連なっている。導入流路部37の上半部は、整流室35と電極構造10との間の筐体20Xに形成されている。導入流路30の下半部は、固体誘電体13X,14X間の隙間の放電空間5より上側部分によって提供されている。固体誘電体13X,14X間の隙間の放電空間5より下側部分は、吹き出し路16になっている。
整流室35の内部に整流板36が設けられている。整流板36は、長手方向を図2の紙面と直交する方向に向け、幅方向を左右に向けた水平な板で構成されている。整流板36によって、整流室35の内部が上側の狭い整流室部分35aと下側の広い整流室部分35bとに仕切られている。整流板36の幅方向の両端部と整流室35の左右の内壁との間の連通隙間35cを介して、上下の整流室部分35a,35bが連なっている。
整流板36の下面は、整流室部分35b及び導入流路部37を介して放電空間5に面している。整流板36は、筐体20より耐光性が高い材料(ステンレス、チタン、セラミック等)で構成され、被照射部材41として提供されている。すなわち、整流板36は、ステンレス、チタン等の耐光性金属で構成されている。整流板36の材料として、ステンレス、チタン等の耐光性金属に代えて、アルミナ等のセラミックを用いてもよい。
第2実施形態によれば、図2の太線矢印に示すように、処理ガスが、供給路4aからヘッダ流路部31、分散流路部32を順次経て整流室35に流入する。整流室35内において、処理ガスは、室部分35a、隙間35c、室部分35bの順に流れ、この流通過程で図2の紙面と直交する方向に均一化される。その後、処理ガスは、導入流路部37を通り、放電空間5に導入されてプラズマ化され、更に吹き出し路16を通って吹き出され、被処理物9の表面処理に供される。
放電空間5からのプラズマ光Lが、導入流路部37を通り、更に整流室部分35bを経て整流板36に照射される。整流板36は、耐光性材料(ステンレス、チタン、セラミック等)で構成されているから、プラズマ光Lが照射されても腐食しにくい。また、プラズマ光Lは、整流板36によって進行を遮られ、整流板36より上側の筐体20Xの内壁に照射されることはない。具体的には、プラズマ光Lが、整流室35の上側面に照射されることはなく、更に分散流路部32を介してヘッダ流路部31の上側の内壁に照射されることはない。これによって、筐体20Xがプラズマ光Lで腐食するのを防止できる。よって、処理ガスに腐食生成物が混入するのを防止でき、ひいては、処理品質を確保できる。
図3は、第2実施形態の変形例を示したものである。この変形例が第2実施形態と異なるところは、整流室35の左右の内壁に被間接照射部材42が設けられている点である。被間接照射部材42は、筐体20より耐光性が高い材料(ステンレス、チタン、セラミック等)で構成されている。整流板36と被間接照射部材42とは、互いに同じ耐光性材料で構成されていてもよく、互いに異なる耐光性材料で構成されていてもよい。
放電空間5からのプラズマ光Lは、整流板36で反射して散乱する場合がある。この散乱光Lsの殆どは、左右の被間接照射部材42に照射される。被間接照射部材42は、耐光性材料(ステンレス、チタン、セラミック等)で構成されているから、散乱光Lsが照射されても腐食しにくい。また、散乱光Lsが筐体20Xの内壁に照射されるのを被間接照射部材42によって遮ることができる。これにより、筐体20Xの腐食を確実に防止でき、筐体20Xの内壁に粉状酸化物等の腐食生成物が生成されるのをより確実に防止できる。よって、処理ガスに腐食生成物が混入するのを一層確実に防止できる。この結果、処理品質を確実に良好に維持できる。
本発明は、上記実施形態に限られず、種々の改変をなすことができる。
例えば、被照射部材41は、板状に限られず、膜状であってもよい。被間接照射部材42は、板状に限られず、膜状であってもよい。
固体誘電体13,14(13X,14X)は、一対の電極11,12(11X,12X)のうち少なくとも何れか一方に設けられていればよい。
第2実施形態(図2)又はその変形例(図3)において、整流板36の必ずしも全体がステンレス、チタン等の耐光性金属で構成されている必要はなく、整流板36の少なくとも放電空間5に面する箇所が耐光性材料で構成されていればよい。整流板36の放電空間5に面する箇所を除く部分はアルミニウム等の耐光性が低い材料で構成し、整流板36の放電空間5に面する箇所だけをステンレス又はチタン等の耐光性の材料で構成してもよい。
第2実施形態の変形例(図3)において、整流室35の底面や整流室35の図3の紙面と直交する方向の両端の内壁にも、左右の内壁と同様の被間接照射部材42を設けてもよい。
複数の実施形態を互いに組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態(図1)において、導入流路30内の、被照射部材41からの散乱光が照射される箇所に、第2実施形態の変形例(図3)と同様の被間接照射部材42を設けてもよい。被照射部材41と被間接照射部材42とは、互いに同じ耐光性材料で構成されていてもよく、互いに異なる耐光性材料で構成されていてもよい。
本発明は、被処理物9を放電空間5の外部の処理空間6に配置して処理する所謂リモート式のプラズマ処理に限られず、被処理物を放電空間の内部に配置して放電空間内で生成したプラズマを被処理物に直接的に当てる所謂ダイレクト式のプラズマ処理にも適用できる。
本発明は、表面改質(親水化、撥水化等)、アッシング、洗浄、エッチング、成膜などの種々の表面処理に適用可能である。大気圧近傍下でのプラズマ処理に限られず、真空下でのプラズマ処理にも適用可能である。
この発明は、例えばフラットパネルディスプレイ用のガラス基板や半導体基板の製造工程における表面処理に適用可能である。
本発明の第1実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す断面図である。 第2実施形態の変形例に係るプラズマ処理装置の概略構成を示す断面図である。
符号の説明
1 プラズマ処理装置
2 配置部
3,3X 処理ヘッド
4 処理ガス供給源
4a 処理ガス供給路
5 放電空間
6 処理空間
9 被処理物
10,10X 電極構造
11,11X 第1電極
12,12X 第2電極
13,13X 第1固体誘電体
13w 壁
14,14X 第2固体誘電体
16 吹き出し路
20,20X 筐体
21 側壁
21a 内壁
21b 被照射部材収容凹部
30 導入流路
31 ヘッダ流路部
32 分散流路部
33 連絡流路部
34 導入流路部
35 整流室
35a 上側整流室部分
35b 下側整流室部分
35c 連通隙間
36 整流板(被照射部材)
37 導入流路部
41 被照射部材
42 被間接照射部材
L プラズマ光
Ls 散乱光

Claims (7)

  1. 処理ガスを、放電空間でプラズマ化して被処理物に接触させ、前記被処理物の表面を処理する装置において、
    互いに対向する一対の電極及びこれら電極のうち少なくとも一方の対向面に設けられた固体誘電体とを含み、前記放電空間を形成する電極構造と、
    前記電極構造を収容又は保持し、かつ内部に前記放電空間への処理ガスの導入流路を有する筐体と、前記導入流路内の前記放電空間と面する箇所に設けられた被照射部材と、を備え、前記被照射部材が、前記筐体より耐光性が高い材料で構成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記被照射部材が、前記筐体の前記導入流路を画成する内壁の前記放電空間と面する箇所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記導入流路が、処理ガスを均一化する整流室を有し、前記整流室の内部には、整流室内を互いに連通する2つの室部分に仕切り、かつ放電空間に面する整流板が設けられ、前記整流板が、前記筐体より耐光性が高い材料で構成され、前記被照射部材として提供されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記導入流路内の、前記被照射部材からの散乱光が照射される箇所に被間接照射部材が設けられ、前記被間接照射部材が、前記筐体より耐光性が高い材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記整流室の内壁に被間接照射部材が設けられ、前記被間接照射部材が、前記筐体より耐光性が高い材料で構成されていることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記筐体が、アルミニウムにて構成され、前記被照射部材が、ステンレス、チタン、セラミックからなる群から選択される1つにて構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記筐体が、アルミニウムにて構成され、前記被照射部材が、ステンレス、チタン、セラミックからなる群から選択される1つにて構成され、前記被間接照射部材が、ステンレス、チタン、セラミックからなる群から選択される1つにて構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のプラズマ処理装置。
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