JP2006227408A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 カラーフィルタを必要としない液晶表示装置において、外光による色純度の低下を防ぎつつ、高輝度且つ高精細なカラー表示を行う。
【解決手段】 液晶パネル2とバックライト3との間に配置されて、液晶パネル2の前面側から入射して液晶パネル2の背面側から出射される光を一の方向の直線偏光のみ透過させる偏光板4bと、偏光板4bとバックライト3との間に配置されて、偏光板4bを透過した直線偏光を別の偏光状態の光に変換して透過させると共に、この透過した光がバックライト3側で反射して戻ってくる戻り光を一の方向の直線偏光とは異なる方向の直線偏光に変換して透過させる偏光変換素子14とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 液晶パネル2とバックライト3との間に配置されて、液晶パネル2の前面側から入射して液晶パネル2の背面側から出射される光を一の方向の直線偏光のみ透過させる偏光板4bと、偏光板4bとバックライト3との間に配置されて、偏光板4bを透過した直線偏光を別の偏光状態の光に変換して透過させると共に、この透過した光がバックライト3側で反射して戻ってくる戻り光を一の方向の直線偏光とは異なる方向の直線偏光に変換して透過させる偏光変換素子14とを有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、カラー表示を行うカラーフィルタを必要としない液晶表示装置に関する。
従来より、カラー表示を行う液晶表示装置では、各画素(ピクセル)を3つのサブピクセルに区分し、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色に対応したカラーフィルタをピクセル毎に配置したカラー液晶表示パネルが用いられている。しかしながら、このカラー液晶表示パネルを用いた場合には、バックライトからの光をカラーフィルタが吸収しながら発色するため、輝度レベルが低下してしまうといった欠点がある。また、このカラー液晶表示パネルでは、画素毎に3つのサブピクセルの点灯を制御する必要があるため、より高精細なカラー表示を行おうとすると、構造が複雑化してしまうといった欠点もある。
そこで、これらの欠点を解消する一つの方法として、フィールドシーケンシャル(FS)駆動方式が提案されている。すなわち、このFS駆動方式を採用した液晶表示装置では、バックライトに赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色に対応した各光源を配置し、カラーフィルタを使用しないモノクロ表示型の液晶パネルが、これらバックライトの各光源が出射する色光を時分割で選択的に透過させることでカラー表示を行う。このように、FS駆動方式では、カラーフィルタを必要としないため、液晶パネルの構造を単純化することができ、また、バックライトからの光を効率良く利用することができるため、輝度レベルの高いカラー表示を行うことができる。
ところで、このようなFS駆動方式を採用した液晶表示装置では、カラーフィルタを使用せずに明るい高精細なカラー表示が可能であるものの、液晶パネルの前面側から外光が入射した場合には、逆にカラーフィルタが無いために、この液晶パネルを通過した外光が吸収されずに、バックライト側で大きく反射・散乱することになる。この場合、バックライト側で大きく反射・散乱した外光によって表示色が薄まるといった問題が発生してしまう。
なお、本発明に関連する公知文献としては、例えば下記特許文献1がある。この特許文献1には、装置外部から表示パネルユニットを透過してきた周囲光(入射直線偏光)を円偏光に変化させ、装置内部の光制御シートで反射された円偏光を電場ベクトル振動面が90゜回転した反射直線偏光に変化させる偏光変換素子を備え、この反射直線偏光を偏光子が遮断することにより、周囲光による二重映りを抑制する構成が記載されている。
しかしながら、この特許文献1に記載される構成とした場合には、バックライトと液晶パネルとの間に配置された集光シートや拡散シートなどの光学制御シートが、円偏光を崩してしまうために、この光制御シートで反射された円偏光が偏光変換素子で完全な直線偏光とはならずに楕円偏光となって一部が偏光子を透過することになる。したがって、この場合、二重映りを抑制できても、カラーフィルタを必要としない液晶表示装置では、上述した表示色が薄まるといった問題が発生してしまう。
特開2002−116435号公報
しかしながら、この特許文献1に記載される構成とした場合には、バックライトと液晶パネルとの間に配置された集光シートや拡散シートなどの光学制御シートが、円偏光を崩してしまうために、この光制御シートで反射された円偏光が偏光変換素子で完全な直線偏光とはならずに楕円偏光となって一部が偏光子を透過することになる。したがって、この場合、二重映りを抑制できても、カラーフィルタを必要としない液晶表示装置では、上述した表示色が薄まるといった問題が発生してしまう。
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、その目的は、カラーフィルタを必要としない液晶表示装置において、外光等による色純度の低下を防ぎつつ、高輝度且つ高精細なカラー表示を行うことを可能とした液晶表示装置を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明に係る液晶表示装置は、液晶表示パネルと、液晶表示パネルの背面側から光を照射するバックライトとを備え、バックライトに3原色に対応した各光源を配置し、これら各光源が出射する異なる色の光を用いてカラー表示を行うカラーフィルタを必要としない液晶表示装置であって、液晶パネルとバックライトとの間に配置されて、液晶パネルの前面側から入射して液晶パネルの背面側から出射される光を一の方向の直線偏光のみ透過させる偏光子と、偏光子とバックライトとの間に配置されて、偏光子を透過した直線偏光を別の偏光状態の光に変換して透過させると共に、この透過した光がバックライト側で反射して戻ってくる戻り光を一の方向の直線偏光とは異なる方向の直線偏光に変換して透過させる偏光変換素子とを有することを特徴とする。
また、偏光変換素子は、1/4波長板を有し、偏光子を透過した直線偏光を略円偏光に変換することが望ましい。
また、偏光変換素子は、二軸性の1/4波長板を有し、偏光子を透過した直線偏光を略円偏光に変換する構成とすることもできる。
また、偏光変換素子は、1/4波長板と1/2波長板とを有する構成とすることもできる。
また、バックライトは、各光源から出射された光を側端面から内部に導入し、この導入した光を液晶表示パネルと対向する一主面側から出射する導光板と、導光板の他主面側に対向配置されて、導光板の他主面側から出射された光を導光板の一主面側に向かって反射する反射板とを有し、反射板の導光板と対向する面を複数のプリズムが形成されたプリズム面とする構成であることが望ましい。
また、導光板の他主面を複数のプリズムが形成されたプリズム面とすることもできる。
また、液晶表示装置は、液晶パネルをカラーフィルタを備えていないモノクロ表示型とし、このモノクロ表示型の液晶表示パネルがフィールドシーケンシャル駆動方式によってバックライトの各光源が出射する色光を時分割で選択的に透過させることでカラー表示を行う構成とすることもできる。
また、偏光変換素子は、1/4波長板を有し、偏光子を透過した直線偏光を略円偏光に変換することが望ましい。
また、偏光変換素子は、二軸性の1/4波長板を有し、偏光子を透過した直線偏光を略円偏光に変換する構成とすることもできる。
また、偏光変換素子は、1/4波長板と1/2波長板とを有する構成とすることもできる。
また、バックライトは、各光源から出射された光を側端面から内部に導入し、この導入した光を液晶表示パネルと対向する一主面側から出射する導光板と、導光板の他主面側に対向配置されて、導光板の他主面側から出射された光を導光板の一主面側に向かって反射する反射板とを有し、反射板の導光板と対向する面を複数のプリズムが形成されたプリズム面とする構成であることが望ましい。
また、導光板の他主面を複数のプリズムが形成されたプリズム面とすることもできる。
また、液晶表示装置は、液晶パネルをカラーフィルタを備えていないモノクロ表示型とし、このモノクロ表示型の液晶表示パネルがフィールドシーケンシャル駆動方式によってバックライトの各光源が出射する色光を時分割で選択的に透過させることでカラー表示を行う構成とすることもできる。
以上のように、本発明に係る液晶表示装置では、偏光子とバックライトとの間に配置された偏光変換素子が、偏光子を透過した直線偏光を別の偏光状態の光に変換して透過させると共に、この透過した光がバックライト側で反射して戻ってくる戻り光を一の方向の直線偏光とは異なる方向の直線偏光に変換して透過させることから、この偏光変換素子を透過した戻り光を偏光子で適切に遮断することができる。したがって、この液晶表示装置では、カラーフィルタを必要としない構成において、外光等による色純度の低下を防ぎつつ、高輝度且つ高精細なカラー表示を行うことができる。
以下、本発明を適用した液晶表示装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1に示すように、本発明を適用した液晶表示装置1は、カラーフィルタを必要としない、例えばフィールドシーケンシャル(FS)駆動方式によってカラー表示を行うものである。具体的に、この液晶表示装置1は、モノクロ表示型の液晶パネル2と、この液晶パネル2の背面側から光を照射するバックライト3とを備えている。
液晶パネル2は、互いに対向して配置された一対の基板間に液晶を挟持してなるものであり、これら一対の基板の間は、スペーサによって互いの対向間隔が均一に保持されると共に、その周囲がシール材によって封止されている。また、一対の基板の対向面には、それぞれ電極と配向膜とが形成されており、これら配向膜によって液晶の配向状態が制御されると共に、マトリックス状に配置された各画素の電極間に印加される駆動電圧を制御することによって各画素の点灯が制御される。なお、この液晶パネル2は、カラーフィルタを備えておらず、このパネル自体はモノクロ画像を表示するのみである。また、FS駆動方式では、動画再生時の高速応答性が求められるため、スプレー配向状態とベント配向状態との切り替えによって高速スイッチングが可能なOCBモードの液晶を採用することが望ましい。また、高速応答が可能であれば、例えば強誘電性液晶(FLC)や、狭ギャップTNモード液晶等を採用することもできる。
この液晶パネル2の前面側及び背面側には、特定の方向の直線偏光のみを透過させる一対の偏光子である偏光板4a,4bが配置されている。これら一対の偏光板4a,4bは、電圧無印加時に黒レベルを与えるノーマリーブラックモード、或いは電圧無印加時に白レベルを与えるノーマリーホワイトモードで表示を行うように、液晶パネル2に対する互いの偏光方向が設定されている。
一方、バックライト3は、赤(R),緑(G),青(B)の3原色に対応した赤色光,緑色光,青色光を出射する各光源5R,5G,5Bと、これら各光源5R,5G,5Bから出射されたバックライト(BL)光を伝搬するバー導光体5Aと、このバー導光体5Aから出射されたBL光を側端面から内部に導入し、均一に面発光させるための導光板6と、この導光板6の背面側に対向配置されて、導光板6の背面側から出射されたBL光を導光板6の前面側に向かって反射する反射板7とを有している。
光源5R,5G,5Bは、バー導光体5Aの長手方向の両端部に取り付けられたLED(Light Emitting Diode)等の発光素子からなる。一方、バー導光体5Aは、導光板6の側端面に沿って取り付けられた棒状の透明なアクリル樹脂などからなる。また、これら光源5R,5G,5B及びバー導光体5Aは、内面が鏡面とされた金属製のケース体8に収納されて一体化された構造を有している。そして、各光源5R,5G,5Bから出射された赤色光,緑色光,青色光は、バー導光体5Aの内部を伝搬しながら、このバー導光体5Aが露出するケース体8の一側面から導光板6の側端面に向かってBL光として出射される。
導光板6は、液晶パネル2の背面側に配置された平板状の透明なアクリル樹脂などからなり、各光源5R,5G,5Bから出射されたBL光を側端面(入射面)6aから内部に導入し、この導入したBL光を反射板7で反射させた後に、液晶パネル2と対向する前面(出射面)6bから出射する。一方、導光板6の出射面6bとは反対側の面、すなわち導光板6の背面は、この導光板6の内部を伝搬するBL光の方向を変えるためのプリズム面6cとされている。具体的に、このプリズム面6cには、ストライプ状のプリズム溝9が所定の間隔で導光板6の内部を伝搬する光の進行方向に並んで形成されている。このプリズム溝9は、その縦断面形状が略くさび状であり、導光板6の出射面6bに対して傾斜して形成された緩斜面部9aと、この緩斜面部9aよりも急な角度で傾斜して形成された急斜面部9bとから構成されている。そして、このプリズム面6cは、導光板6の内部を伝搬するBL光をプリズム溝9の緩斜面部9aで反射板7側へと出射させる。
また、緩斜面部9aの出射面6bに対する傾斜角(プリズム角)は、0.5゜〜5゜の範囲が望ましく、ここでは例えば2゜に設定されている。一方、急斜面部9bの出射面6bに対する傾斜角(プリズム角)は、20゜〜90゜の範囲が望ましく、ここでは例えば50゜に設定されている。また、導光板9の急斜面部9bは、光の出射に寄与せずに実質的にはロス面積となるため、できるだけ急角度にする、すなわち90゜に近づけることが望ましいが、急角度にし過ぎるとプリズム溝9が深くなり、生産性が悪化することになる。したがって、急斜面部9bの傾斜角は、更に40゜〜70゜の範囲にすることが望ましい。
また、導光板6は、透過する光の偏光状態を変化させないように、それ自体に複屈折の小さいものを用いることが望ましい。
また、導光板6は、透過する光の偏光状態を変化させないように、それ自体に複屈折の小さいものを用いることが望ましい。
反射板7は、導光板6の背面側、すなわちプリズム面6cから漏れ出たBL光を導光板6の出射面6bに向かって反射するプリズム反射板であり、この反射板7の導光板6と対向する面が、導光板6のプリズム面6cから出射されたBL光の方向を変えるためのプリズム面7aとされている。具体的に、このプリズム面7aは、基板10上に有機膜11が形成され、この有機膜11の表面にストライプ状のプリズム溝12の形状が転写され、このプリズム溝12が所定の間隔で導光板6のプリズム溝9と略平行な方向に並んで形成され、この上に光反射性を有するAlやAgなどの金属反射膜13が形成されてなる。このプリズム溝12は、その縦断面形状が略くさび状であり、基板10に対して光源5R,5G,5B側に傾斜して形成された光源側斜面部12aと、光源5R,5G,5B側とは反対側に傾斜して形成された反光源側斜面部12bとから構成されている。そして、このプリズム面7aは、導光板6のプリズム面6cから出射されたBL光をプリズム溝12の光源側斜面部12aで導光板6側へと反射させる。
ここで、図2に示すように、光源側斜面部12aの基板10に対する傾斜角(プリズム角)θ1及び反光源側斜面部12bの基板10に対する傾斜角(プリズム角)θ2は、導光板6のプリズム面6cから出射したBL光の進行方向と導光板6に対して垂直な方向とのなす角をαとし、反射板7で反射した光の進行方向(照明したい方向)と導光板6に対して垂直な方向とのなす角βとしたときに、下記式(1)及び式(2)を満足することが望ましい。
すなわち、光源側斜面部12aの傾斜角θ1は、式(1)から求め、反光源側斜面部12bの傾斜角θ2は、式(2)を満足する範囲とする。例えばα=75゜、β=0°の場合には、光源側斜面部12aの傾斜角θ1は、20゜〜40゜の範囲に設定することが望ましく、反光源側斜面部12bの傾斜角θ2は、30゜〜90゜の範囲に設定することが望ましい。また、反射板12の反光源側斜面部12bも、上記導光板9の急斜面部9bと同様、光の出射に寄与せずに実質的にはロス面積となるため、できるだけ急角度にする、すなわち90゜に近づけることが望ましいが、生産性の問題などから、反光源側斜面部12bの傾斜角θ2は、更に40゜〜70゜の範囲にすることが望ましい。
液晶パネル2の背面側に配置された偏光板4bと導光板6との間には、偏光変換素子14が配置されている。この偏光変換素子14は、偏光板4bを透過した直線偏光を別の偏光状態の光に変換して透過させると共に、この透過した光がバックライト3側で反射して戻ってくる戻り光を偏光板4bを透過する直線偏光とは異なる方向の直線偏光に変換して透過させる。具体的に、この偏光変換素子14としては、偏光板4bを透過した直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板を用いることができる。1/4波長板は、厚み方向の屈折率が異なる二軸性位相差板であってもよい。また、偏光変換素子14は、広視野角化のため、これら1/4波長板と1/2波長板(λ/2板)とを組み合わせた構成とすることもできる。
以上のような構造を有する液晶表示装置1では、FS駆動方式によって、バックライト3の各光源5R,5G,5Bが赤色光、緑色光、青色光を高速で順次点灯させながら、これに見合うレスポンスで液晶パネル2の各画素が各色光の透過状態を切り替えることでカラー表示を行う。すなわち、このFS駆動方式を採用した液晶表示装置1では、その表示原理からモノクロ画像を表示した液晶パネル2が必要な色光のみを透過させることによって、カラーフィルタを必要としないカラー表示を行うことができる。したがって、この液晶表示装置1では、液晶パネル2の構造を単純化することができ、また、バックライト3からのBL光を効率良く利用できるため、高輝度且つ高精細なカラー表示を行うことができる。
ところで、この液晶表示装置1では、液晶パネル2の前面側から入射された外光Lが液晶パネル2の背面側から出射されると、一の方向の直線偏光のみが偏光板4bを透過し、偏光変換素子14で円偏光に変換されてバックライト3側に入射する。このうち、バックライト3側で反射して戻ってくる戻り光L’は、入射時とは回転方向が逆転した略円偏光となるため、偏光変換素子14によって偏光板4bを透過する一の方向の直線偏光とは異なる方向の直線偏光に変換されて、最終的に偏光板4bで遮断されることになる。
ここで、本発明の液晶表示装置1のように、偏光変換素子14として1/4波長板が偏光板4bに貼り付けられた構成と、従来の液晶表示装置のように、偏光板4bに1/4波長板が貼り付けられていない構成について、それぞれ外光(波長550nm)の入射角度を変化させながら、その外光の反射強度をシミュレーションした結果を図3に示す。
図3に示すように、本発明の液晶表示装置1のように、偏光板4bに1/4波長板が貼り付けられていない構成では、外光入射角が小さくなるほど外光の反射強度が増すのに対して、偏光板4bに1/4波長板が貼り付けられた構成では、外光入射角のほぼ全域に亘って外光が偏光板4bで吸収されたことがわかる。
図3に示すように、本発明の液晶表示装置1のように、偏光板4bに1/4波長板が貼り付けられていない構成では、外光入射角が小さくなるほど外光の反射強度が増すのに対して、偏光板4bに1/4波長板が貼り付けられた構成では、外光入射角のほぼ全域に亘って外光が偏光板4bで吸収されたことがわかる。
したがって、この液晶表示装置1では、カラーフィルタを必要としない構成において、外光Lによる色純度の低下を防ぎつつ、高輝度且つ高精細なカラー表示を行うことができる。また、この液晶表示装置1では、偏光板4bに偏光変換素子14を貼り付けるだけでよいため、コスト的にも有利である。
また、本発明を適用した液晶表示装置1では、バックライト3として戻り光L’の円偏光を崩さないものを用い、且つ、バックライト3と液晶パネル2との間に戻り光L’の円偏光を崩すものを配置しない構成とすることが望ましい。
ここで、本発明を適用した液晶表示装置1に対する比較例として、例えば図4に示す液晶表示装置100について説明する。なお、以下の説明では、図1に示す液晶表示装置1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
この液晶表示装置100は、上述した導光板6及び反射板7の代わりに、各光源5R,5G,5Bから出射された光を側端面から内部に導入し、この導入した光を液晶パネル2と対向する前面(出射面)から出射する平板状の導光板101と、この導光板101の背面に対向配置されて、導光板101の他主面側から出射された光を導光板101の一主面側に向かって反射する平板状の反射板102と、導光板101の前面に対向配置されて、導光板101の出射面から出射された光を液晶パネル2の法線方向に向かって屈折させるプリズムシート(BEF:Brightness Enhanncement Film)103と、このプリズムシート103と偏光板4bとの間に配置されて、プリズムシート103を透過した光を拡散させる拡散シート104とを備えている。
ここで、本発明を適用した液晶表示装置1に対する比較例として、例えば図4に示す液晶表示装置100について説明する。なお、以下の説明では、図1に示す液晶表示装置1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
この液晶表示装置100は、上述した導光板6及び反射板7の代わりに、各光源5R,5G,5Bから出射された光を側端面から内部に導入し、この導入した光を液晶パネル2と対向する前面(出射面)から出射する平板状の導光板101と、この導光板101の背面に対向配置されて、導光板101の他主面側から出射された光を導光板101の一主面側に向かって反射する平板状の反射板102と、導光板101の前面に対向配置されて、導光板101の出射面から出射された光を液晶パネル2の法線方向に向かって屈折させるプリズムシート(BEF:Brightness Enhanncement Film)103と、このプリズムシート103と偏光板4bとの間に配置されて、プリズムシート103を透過した光を拡散させる拡散シート104とを備えている。
以上のような構造を有する液晶表示装置100では、上記特許文献1に記載された構成と同様に、偏光板4bと導光板101との間に配置されたプリズムシート103や拡散シート104が円偏光を崩してしまうために、上述した戻り光L’の円偏光が偏光変換素子14で完全な直線偏光とはならずに楕円偏光となって一部が偏光板4bを透過することになる。
ところで、上述した戻り光L’の円偏光が崩れる理由としては、外光入射角の偏光依存性が考えられる。すなわち、図5に示すように、ある屈折率Nの媒質から屈折率N’’の媒質に偏光した光が入射する場合、そのP偏光成分とS偏光成分との入射角依存性の違いによって、P偏光及びS偏光に対する反射率(フレネル係数)Rp,Rsは、それぞれ下記式(3)で表される異なった値を示すことになる。
なお、式(3)中、φ、φ’、φ’’は、それぞれ入射光の入射角、反射光の反射角、透過光の屈折角を表し、E、E’、E’’は、それぞれ入射光、反射光、透過光の電場振幅を表し、これら電場振幅のP偏光成分にpを付け、S偏光成分にsを付けて表している。また、反射光がS偏光のみとなるときの入射角をブリュースター角といい、このブリュースター角は下記式(4)で表される。
ここで、ある透明媒質(n=1.55)に偏光した光が入射する場合の入射角依存特性を図6に示し、アルミ反射板に偏光した光が入射する場合の入射角依存特性を図7に示す。なお、図6,7において、横軸は、偏光した光の入射角を示し、縦軸は、反射したP偏光及びS偏光の反射率Rp,Rsを示す。
図6に示す透明媒質では、入射角が0゜のとき、偏光した光が透明な媒質を透過するため、Rp及びRsは0となっている。一方、入射角が90゜のとき、透明媒質の入射面に対して偏光した光が平行となるため、Rp及びRsは最大となっている。また、RpとRsとは、その変化の度合いが異なっている。そして、入射角が60゜の付近では、Rpが0となるため、そのブリュースター角は約60゜となる。
図7に示すアルミ反射板では、入射角が0゜のとき、Rp及びRsは90%程度であり、入射角が増加するに従って、Rsは100%まで緩やかに増加するものの、Rpは80゜付近で一旦最小となってから、その後100%まで急激に増加することになる。
図6に示す透明媒質では、入射角が0゜のとき、偏光した光が透明な媒質を透過するため、Rp及びRsは0となっている。一方、入射角が90゜のとき、透明媒質の入射面に対して偏光した光が平行となるため、Rp及びRsは最大となっている。また、RpとRsとは、その変化の度合いが異なっている。そして、入射角が60゜の付近では、Rpが0となるため、そのブリュースター角は約60゜となる。
図7に示すアルミ反射板では、入射角が0゜のとき、Rp及びRsは90%程度であり、入射角が増加するに従って、Rsは100%まで緩やかに増加するものの、Rpは80゜付近で一旦最小となってから、その後100%まで急激に増加することになる。
したがって、図4に示す液晶表示装置100では、偏光板4bと導光板101との間に配置されたプリズムシート103や拡散シート104によって実効的な外光入射角が大きくなるために、このような外光入射角の偏光依存性によって、バックライト3側で反射された円偏光が偏光変換素子14で完全な直線偏光とはならずに楕円偏光となって一部が偏光板4bを透過したものと考えられる。すなわち、偏光板4bと導光板101との間に配置されたプリズムシート103や拡散シート104は、過度の散乱によりバックライト3側で反射する戻り光L’の偏光状態を変化させ、結果的に偏光板4bでの吸収を低下させることになる。したがって、バックライト3の液晶表示素子2側には、これらプリズムシート103や拡散シート104を配置しないことが望ましい。
以上のことから、バックライト3として円偏光を崩さないものを用い、且つ、バックライト3と液晶パネル2との間に円偏光を崩すものを配置しない構成、すなわちバックライト3を平坦な導光板や鏡面反射板で構成することが理想的であるが、バックライト3の輝度向上や面内均一性が得られない。このため、輝度を犠牲にしない範囲で外光低減効果を得る目的で、本発明を適用した液晶表示装置1では、上述したプリズム面6c,7aを有する導光板6及び反射板7を配置した構成となっている。これにより、上述した戻り光L’の円偏光をそのまま偏光変換素子14によって直線偏光に変換でき、この偏光変換素子14を透過した戻り光L’を偏光板4bで適切に遮断することができる。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとするが、以下の実施例は本発明の技術範囲を限定するものではない。
本実施例では、上述した図1に示す液晶表示装置1と同様の構成を有するFS駆動方式の液晶表示装置を作製した。このうち、偏光変換素子14として、1/4波長板を用い、この1/4波長板を偏光板4bに貼り合わせた。導光板6の出射面6bに形成したプリズム溝9は間隔を0.20mm、緩斜面部9aの出射面6bに対する傾斜角は2゜とし、急斜面部9bの出射面6bに対する傾斜角は50゜とした。また、反射板7として、プリズム溝12の間隔が0.1493mm、光源側斜面部12aの傾斜角θ1が37.5゜、反光源側斜面部12bの傾斜角θ2が52.5゜、溝深さが72.1μmのプリズム面7aを有するプリズム反射板(1)を用いた。また、プリズム反射板(2)として、プリズム溝12の間隔が0.0600mm、光源側斜面部12aの傾斜角θ1が37.5゜、反光源側斜面部12bの傾斜角θ2が52.5゜、溝深さが30.0μmのプリズム面7aを有するプリズム反射板を作製した。以下、これら反射板(1),(2)をまとめたものを表1に示す。
本実施例では、上述した図1に示す液晶表示装置1と同様の構成を有するFS駆動方式の液晶表示装置を作製した。このうち、偏光変換素子14として、1/4波長板を用い、この1/4波長板を偏光板4bに貼り合わせた。導光板6の出射面6bに形成したプリズム溝9は間隔を0.20mm、緩斜面部9aの出射面6bに対する傾斜角は2゜とし、急斜面部9bの出射面6bに対する傾斜角は50゜とした。また、反射板7として、プリズム溝12の間隔が0.1493mm、光源側斜面部12aの傾斜角θ1が37.5゜、反光源側斜面部12bの傾斜角θ2が52.5゜、溝深さが72.1μmのプリズム面7aを有するプリズム反射板(1)を用いた。また、プリズム反射板(2)として、プリズム溝12の間隔が0.0600mm、光源側斜面部12aの傾斜角θ1が37.5゜、反光源側斜面部12bの傾斜角θ2が52.5゜、溝深さが30.0μmのプリズム面7aを有するプリズム反射板を作製した。以下、これら反射板(1),(2)をまとめたものを表1に示す。
ここで、表1に示すプリズム反射板(1),(2)と共に、上述した比較例として図4に示す液晶表示装置100が備える反射板102として、金属反射板と白色反射板とを用意し、これら反射板の反射角特性を、図9に示す輝度測定センサ200(トプコン社製の分光放射計SR−3)を用いて測定した。具体的に、この輝度測定センサ200は、各反射板の中央を中心Oとして、一端面側(−)方向と他端側(+)方向に円弧状を描くように移動しながら、−75゜の角度から入射したレーザー光の反射強度を測定する。その測定結果を図10に示す。
また、本実施例では、上述した反射板(1)と、光源5a,5b,5cとしてLED(商品名:日亜化学工業株式会社製のNSCW215T)を使用したバックライト3を作製し、このバックライト3の導光板6の面内方向における輝度分布についても測定した。その測定結果を図11に示す。なお、図11中に示す数値は、導光板6の面内を25の領域に分割し、これら分割された各領域の中心部における輝度の測定結果を示す。なお、このバックライト3の平均輝度は、298cd/m2であり、中心輝度は、351cd/m2であった。
そして、実施例としては、このバックライト3と1.7μmギャップのモノクロTN液晶パネルとを組み合わせたFS駆動方式の液晶表示装置1を作製し、180Hzで駆動しながら、1フレーム60Hzのカラー画像を表示した。一方、比較例としては、図4に示す液晶表示装置100のうち、プリズムシート(BEF)103及び拡散シート104を備えたもの、拡散シート104を除いたもの、プリズムシート103を除いたもの、プリズムシート(BEF)103及び拡散シート104を除いたものをそれぞれ作製し、同じく180Hzで駆動しながら、1フレーム60Hzのカラー画像を表示した。そして、これら実施例及び比較例の各液晶表示装置に対して、外光吸収効果と輝度レベルとの評価を行った。以下、これらをまとめたものを表2に示す。
表2に示すように、実施例として示す液晶表示装置1では、外光Lによる色純度の低下を防ぎつつ、高輝度なカラー表示を行うことができた。一方、比較例として示す液晶表示装置100のうち、プリズムシート103及び拡散シート104を備えたものについては、外光Lによる色純度の低下が見られる一方で、輝度レベルについては良好であった。また、拡散シート104を除いたものについては、外光Lによる色純度の低下が見られる一方で、輝度レベルについては均一性の低下が見られた。また、プリズムシート103を除いたものについては、外光Lによる色純度の低下が見られる一方で、輝度レベルについては正面輝度の低下が見られた。また、プリズムシート103及び拡散シート104を除いたものについては、外光Lによる色純度の低下を防ぐことができたものの、輝度レベルの低下が見られた。
なお、実施例として示す液晶表示装置1の反射板7を表1に示すプリズム反射板(1)からプリズム反射板(2)に変更したところ、上述したプリズム反射板(1)の場合と同様に、外光Lによる色純度の低下を防ぎつつ、高輝度なカラー表示を行うことができた。また、実施例として示す液晶表示装置1をFS駆動方式ではなく、通常の白黒表示を行った場合も、外光Lによる色純度の低下を防ぎつつ、高輝度な白黒表示を行うことができた。また、表1に示す光源側斜面部12aの傾斜角θ1を30゜としたところ、光がパネルの法線方向に対して光源側に10゜ほど傾いて出射された。
以上のことから、本発明を適用した液晶表示装置1では、カラーフィルタを必要としない構成において、外光Lによる色純度の低下を防ぎつつ、高輝度且つ高精細なカラー表示を行うことができることが明らかとなった。
なお、実施例として示す液晶表示装置1の反射板7を表1に示すプリズム反射板(1)からプリズム反射板(2)に変更したところ、上述したプリズム反射板(1)の場合と同様に、外光Lによる色純度の低下を防ぎつつ、高輝度なカラー表示を行うことができた。また、実施例として示す液晶表示装置1をFS駆動方式ではなく、通常の白黒表示を行った場合も、外光Lによる色純度の低下を防ぎつつ、高輝度な白黒表示を行うことができた。また、表1に示す光源側斜面部12aの傾斜角θ1を30゜としたところ、光がパネルの法線方向に対して光源側に10゜ほど傾いて出射された。
以上のことから、本発明を適用した液晶表示装置1では、カラーフィルタを必要としない構成において、外光Lによる色純度の低下を防ぎつつ、高輝度且つ高精細なカラー表示を行うことができることが明らかとなった。
なお、本発明は、上述したFS駆動方式を採用した液晶表示装置に適用したものに必ずしも限定されるものではなく、カラーフィルタを必要としない液晶表示装置に対して広く適用することができる。
1…液晶表示装置、2…液晶パネル、3…バックライト、4a,4b…偏光板、5R,5G,5B…光源、5A…バー導光体、6…導光板、6c…プリズム面、9…プリズム溝、7…反射板、7a…プリズム面、12…プリズム溝、14…偏光変換素子、15…プリズムシート
Claims (7)
- 液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルの背面側から光を照射するバックライトとを備え、前記バックライトに3原色に対応した各光源を配置し、これら各光源が出射する色光を用いてカラー表示を行うカラーフィルタを必要としない液晶表示装置であって、
前記液晶パネルと前記バックライトとの間に配置されて、前記液晶パネルの前面側から入射して前記液晶パネルの背面側から出射される光を一の方向の直線偏光のみ透過させる偏光子と、
前記偏光子と前記バックライトとの間に配置されて、前記偏光子を透過した直線偏光を別の偏光状態の光に変換して透過させると共に、この透過した光が前記バックライト側で反射して戻ってくる戻り光を前記一の方向の直線偏光とは異なる方向の直線偏光に変換して透過させる偏光変換素子とを有することを特徴とする液晶表示装置。 - 前記偏光変換素子は、1/4波長板を有し、前記偏光子を透過した直線偏光を略円偏光に変換することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記偏光変換素子は、二軸性の1/4波長板を有し、前記偏光子を透過した直線偏光を略円偏光に変換することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記偏光変換素子は、前記1/4波長板と1/2波長板とを有することを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶表示装置。
- 前記バックライトは、前記各光源から出射された光を側端面から内部に導入し、この導入した光を前記液晶パネルと対向する一主面側から出射する導光板と、前記導光板の他主面側に対向配置されて、前記導光板の他主面側から出射された光を前記導光板の一主面側に向かって反射する反射板とを有し、
前記反射板の前記導光板と対向する面は、複数のプリズムが形成されたプリズム面とされていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液晶表示装置。 - 前記導光板の他主面は、複数のプリズムが形成されたプリズム面とされていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶パネルは、カラーフィルタを備えていないモノクロ表示型であり、このモノクロ表示型の液晶表示パネルがフィールドシーケンシャル駆動方式によって前記バックライトの各光源が出射する色光を時分割で選択的に透過させることでカラー表示を行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の液晶表示装置。
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