JP2006224141A - 冷間圧延における潤滑油供給設備および冷間圧延方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 現状のエマルション潤滑用の設備を活かしつつ、ニート潤滑用の簡単な付加装置のみで、高速圧延や高圧下圧延時の潤滑不足を解消し、焼き付き等の圧延トラブルを未然に防止し、高生産性を実現する。
【解決手段】 ロールバイトより入側で金属板および/またはワークロールにエマルションを供給しながら前記金属板を圧延する冷間圧延機に付属する潤滑油供給設備において、エマルションを作製し貯蔵するタンクと、潤滑油原液を貯蔵するタンクと、エマルション供給手段と、前記潤滑油原液供給手段と、潤滑不足感知手段と、潤滑油原液の供給量制御手段とを有する冷間圧延における潤滑油供給設備である。また、この設備を用いて潤滑不足を生じやすい状況を感知して潤滑不足を生じやすい圧延条件時にエマルションに加えて潤滑油原液をワークロールに供給する冷間圧延方法である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、金属材料の圧延機、特に4スタンド以上の冷間圧延機の一群を有する冷間タンデム圧延機において、高生産性の実現を可能とする冷間圧延における潤滑油供給設備および冷間圧延方法に関する。
冷間タンデム圧延ではエマルション潤滑が一般的である。高生産性のために高速圧延・高圧下圧延等が行われているが、高圧下圧延や高速圧延を行うとロールバイト内に蓄積される熱量が増加し油膜破断を起こしてヒートスクラッチと呼ばれる焼付き疵が発生する場合がある。焼付き疵が生じる圧延条件は潤滑不足の状態にあるので、ロールバイトへの導入油量を増加させるために潤滑油供給量を増加させたり、プレートアウト性を向上させたり、発熱量を減少させるために生産性を犠牲にして低圧下圧延や低速圧延に移行する措置などが取られる。ここで、プレートアウト性とはエマルション潤滑に特有のものであり、ワークロール(以下、ロールともいう)や圧延材(以下、金属板とも言う)に供給されたエマルションが水と油に分離し、展着する現象を、プレートアウトと称し、その特性のことをプレートアウト性と呼ぶ。
ロールバイトへの導入油量を増加させる方法については、特許文献1に開示されているように、冷間圧延機入側で鋼板表面に極性物質をプレコートしてプレートアウト性を向上させる方法や、特許文献2に開示されているように圧延速度に比例して潤滑油量を規定する方法や、特許文献3に開示されているように供給量を式で規定した方法や、特許文献4に開示されているように潤滑油供給位置を式で規定した方法や等がある。
また、潤滑不足が生じやすい条件では第2エマルションを供給する方法として特許文献5、6等が開示されている。
その他、ニート潤滑の方法として特許文献7等が開示されている。
なお、潤滑油原液のことを本明細書ではニートとも記載することとする。
特開昭53−135860号公報 特開昭52−56052号公報 特開平11−129017号公報 特開2000−94013号公報 特開2001−321809号公報 特開2002−172412号公報 特開2001−179313号公報
生産性の向上に圧延速度増加、圧下率増加は有効であるが、潤滑上限界を超えると焼き付きを生じることになるため、それを回避する手段が必要となる。焼き付きはロールバイト内の油膜破断によって生じるので油膜破断を生じにくくするようにロールバイト内の油膜厚を増加させる方法が最も有効な手段となり、そのための手段が開示されている。
特許文献1は化学的に吸着性を高めることによって鋼板への付着量を増加させる方法であり、効果はあるが、極性物質を使用するとコストが高くなる場合もあり改善の余地がある。
特許文献2から4はエマルションの持つ能力を最大限活かすための手段であり、コスト上昇を極力抑え、且つロールバイト内の油量を増加させる方法として有効であるが、更なる高速化や高圧下化を望むのは焼き付きの危険があり難しい。
特許文献5、6は通常のエマルションに加えて、潤滑不足が生じやすい場合に第2エマルションを供給する方法であり、油量が増加する点で効果がある。また、必要な時だけに油量を増加させるためコスト上昇も低く抑えることができ有効である。しかし、特許文献2から4と同様に更なる高速化や高圧下化を指向する場合には焼き付き等が生じる場合もあり、更なる改善も必要である。
特許文献7にはニート潤滑で歩留を悪化させずに供給する方法で焼き付き防止に有効な手段であるが、現状のエマルション潤滑に対応した諸設備から変更するには多くの投資を要する点が問題である。
そこで本発明は現状のエマルション潤滑用の設備を活かしつつ、ニート潤滑用の簡単な付加装置のみで、高速圧延や高圧下圧延時の潤滑不足を解消し、焼き付き等の圧延トラブルを未然に防止し、高生産性を実現することを目的とする。
本発明は上述したような従来法の問題点を解決するためのものであり、その要旨は下記のとおりである。
(1) ロールバイトより入側で金属板および/またはワークロールにエマルションを供給しながら前記金属板を圧延する冷間圧延機に付属する潤滑油供給設備において、エマルションを作製し貯蔵するタンクと、潤滑油原液を貯蔵するタンクと、前記エマルションをロールバイトの位置及び/またはロールバイトの入側の所定位置に供給する手段と、前記潤滑油原液をワークロールに直接供給する手段と、潤滑不足感知手段と、前記潤滑不足感知手段からの感知結果に基づいて、前記潤滑油原液の供給量を制御する潤滑油供給量制御手段とを有することを特徴とする冷間圧延における潤滑油供給設備。
(2) 前記潤滑不足感知手段が、ロール周速測定手段と、前記圧延機出側の板速度測定手段と、前記ロール周速及び前記板速度に基づいて先進率を計算する先進率計算手段とを備えていることを特徴とする(1)に記載の冷間圧延における潤滑油供給設備。
(3) 前記潤滑不足感知手段が、ロール周速測定手段と、前記圧延機出側の板速度測定手段と、荷重測定手段と、前記ロール周速、前記板速度及び前記荷重に基づいて摩擦係数を計算する摩擦係数計算手段とを備えていることを特徴とする(1)に記載の冷間圧延における潤滑油供給設備。
(4) 前記エマルションの供給位置がロールバイトから入側に0.7m以上離れていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の冷間圧延における潤滑油供給設備。
(5) 前記潤滑油原液のワークロールへの供給部より上部に水切り板を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の冷間圧延における潤滑油供給設備。
(6) (1)〜(5)のいずれかの潤滑油供給設備を用いた冷間圧延方法であって、潤滑不足を生じやすい状況を感知して潤滑不足かどうかを判断し、潤滑不足を生じやすい圧延条件と判断された時にはエマルションに加えて潤滑油原液をワークロールに供給することを特徴とする冷間圧延方法。
(7) 請求項2、4、5のいずれかの潤滑油供給設備を用いた冷間圧延方法であって、圧延中に計算した先進率が予め設定した目標値に一致するようにエマルション潤滑に加えて潤滑油原液の供給量を制御してワークロールに供給することを特徴とする冷間圧延方法。
(8) 請求項3〜5のいずれかの潤滑油供給設備を用いた冷間圧延方法であって、圧延中に計算した摩擦係数が予め設定した目標値に一致するようにエマルション潤滑に加えて潤滑油原液の供給量を制御してワークロールに供給することを特徴とする冷間圧延方法。
ここで、(6)の潤滑不足を生じやすい状況とは、高速圧延時や高圧下圧延時に摩擦係数が増加する圧延条件を指す。但し、短時間で急激に摩擦係数が上昇するような状況ではすでに焼き付きを生じていて潤滑制御のタイミングとしては遅すぎるので、日常の通常操業で把握している焼き付き発生条件に近い圧延条件の時に、定常安定圧延時の潤滑状態から少しでも摩擦係数が増加するなどの異常を感知することを上記の潤滑不足を生じやすい状況を感知するとしている。
(1)の発明の潤滑油供給装置によれば、現状のエマルション潤滑用の設備を活かしつつ、ニート潤滑用の簡単な付加装置のみで、高速圧延や高圧下圧延時の潤滑不足を解消し、焼き付き等の圧延トラブルを未然に防止できるので、高生産性を実現することが可能となる。
(2)の潤滑不足感知手段は先進率を判定手段として用いるが、先進率はロール周速等の測定値から四則演算のみで求めることができるので、計算負荷も小さく計算が速いのでオンラインで用いやすい。
(3)の潤滑不足感知手段は摩擦係数を判定手段として用いるが、摩擦係数は潤滑状態を正確に表すことができるので、先進率と比較して計算が若干複雑になるものの、感知手段として最適であり、潤滑不足をより正確に把握することにより潤滑油原液供給量や供給時間を正確に設定することが可能となるので、効率が向上する。
エマルション潤滑の場合、油水分離時間を確保することによって潤滑性が向上するので、(4)の潤滑油供給設備を用いると更に潤滑不足を生じにくくなり、比較的少量の潤滑油量でもって所期の潤滑性を達成できる結果、潤滑油原単位が向上する。
圧延機には冷却水が供給されており、ロールに付着している冷却水がロールバイト入側の油溜まり部に回り込んでくると、エマルションで供給された潤滑剤の再乳化やニートで供給された潤滑剤の乳化等も生じてプレートアウト性が低下する可能性があるが、(5)の発明のように水切り板を使用することにより、乳化または再乳化することなく安定した高効率な潤滑油供給が実現できる。
上記の設備を用いれば潤滑不足を解消できるので、(6)の発明のように潤滑不足の生じやすい状況を感知して潤滑不足を生じやすい圧延条件時に、エマルションに加えて潤滑油原液をロールに供給する手段を使用することによって潤滑不足のない安定圧延が実現できる。
摩擦係数は高くなりすぎるとヒートスクラッチを引き起こし、低すぎるとスリップを生じるため、安定圧延のためには適切な摩擦係数範囲に収める必要がある。また、それに加えて油原単位を考慮すると最適値が得られる。(8)の発明のように摩擦係数を最適値に制御することによってこれらのメリットを享受することができる。
先進率についても潤滑状態を表す簡易指標としての役割が期待できるので、(7)の発明の効果は摩擦係数と同様である。
以上のように本発明では、現状のエマルション潤滑用の設備を活かしつつ、ニート潤滑用の簡単な付加装置のみで、高速圧延や高圧下圧延時の潤滑不足を解消し、焼き付き等の圧延トラブルを未然に防止し、高生産性を実現することができる。
高速圧延時や高圧下圧延時にロールバイト内の潤滑油が不足することが懸念される場合、その不足分を補償するようにロールバイトへの潤滑油の供給量を増加させればよい。ロールバイトへは流体力学的くさび効果によって潤滑油が導入されていくが、ロールバイト入口部に形成される油溜まりが十分にないと、その流体力学的効果が十分に発揮されず、ロールバイト内の油量が十分にない状態になり、焼き付きを起こしてしまうことになる。そこで、ロールバイト内の油量を十分に確保するには流体力学的効果が最大限発揮されるように油溜まりを十分に確保しなければならない。圧延の速度範囲程度であれば油溜まりが十分に形成されれば油量不足にならないことは計算によって確認されている。そこで、ロールバイト入口部の油溜まりを十分に形成させるための潤滑油供給方法を今回発明した。
本発明者らは、高速圧延時や高圧下圧延時にも十分な油溜まりを形成させる方法として、従来供給しているエマルションに加えて新たにニート(潤滑油原液)を付加する方法が有効であると推定し、従来技術としてあるa)ロールバイトに供給するエマルションに加えて、第2エマルションを圧延機から離れたところに追加供給する方法と、本発明であるb)ニートを供給する方法による効果を確認した。図1に実験に用いたミルの模式図を示す。
実験には4Hi単スタンドのミルを用いた。1はロール径350mmのワークロールであり、2はロール径730mmのバックアップロールであり、胴長は共に1400mmである。3は、金属板としての圧延材で普通鋼であり、板厚1.2mmから0.9mmに圧下し、板幅は600mmである。4は通常圧延時に用いるエマルション潤滑ノズルである。以降、この4から供給されるエマルションをエマルションAと称す。5は本来、高速圧延時や高圧下圧延時などの潤滑不足条件時に付加的に用いる第2のエマルション潤滑ノズルであり、以降、この5から供給されるエマルションをエマルションBと称す。また、エマルションAを用いずにエマルションBだけで圧延を行う実験およびニートを付加する場合のエマルションの供給方法として、エマルションAを用いずにエマルションBだけを供給する実験も行った。6は本発明のニートの供給端である。7は、回転ローラーを有するテンションメータであり、圧延材3との接触により従動回転する前記回転ローラーの回転数に基づいて、圧延機出側の板速度も測定することができる(板速度測定手段に該当)。8はワークロール1の駆動用モーターであり、付属のパルスジェネレータ(ロール周速測定手段に該当)によってロール周速を測定することができる。9は、圧延荷重を計測するロードセル(荷重測定手段に該当)、10はエマルション用の貯蔵タンクであり、このタンク10内で油と水の混合および攪拌・加熱を行っている。11はニート用の貯蔵タンクで、このタンク11にも10と同様に加熱用にヒーターが設置されている。12a及び12bは、それぞれにエマルション供給用ポンプ及びニート供給用ポンプである。13は電磁弁で14の計算手段によって、その供給路を開閉される。計算手段14はこのようなON/OFF指令だけでなく、板厚、板幅、荷重、板速度やロール周速等の圧延条件が入力され、潤滑不足の有無などに係る計算を行って、当該潤滑不足を感知する潤滑不足感知手段の一部としても機能する。また、当該計算手段14は、前記潤滑不足の感知結果に基づいて、前記ニート供給ポンプ12bを制御する供給量制御手段としても機能する。
前述のa)のエマルションを追加供給する場合については、4に加えて5を用いて6は不使用として実験を行い(エマルションA+エマルションB)、また、前述のb)のニートを追加供給する場合については、4に加えて6を用いて5は不使用とするケース(エマルションA+ニート)と、5に加えて6を用いて4は不使用とするケース(エマルションB+ニート)との2種類の実験を行った。エマルションはA、Bともに水に対して2%濃度で、合成エステルを使用した。エマルションの供給量は15リットル/minで、上下とも等しくした。実験では他の条件を一定にしたまま圧延速度のみを増加していき、通板中にも焼き付きが目視で確認できるなど、明らかな問題が発生した場合以外は前記ミルの最高速度が3000m/minに達するまで圧延を継続した。
この圧延条件においては、エマルションAのみを使用した通常圧延では2000m/minで圧延中にも目視で確認できるほどの焼付き疵が確認され、圧延を中止した。圧延終了後、圧延材を巻き戻し確認すると1600m/min、1800m/minのところでも僅かな焼付き疵が発生していることが確認された。同様にエマルションBのみを使用した圧延では2200m/minで圧延中に焼付き疵を確認し、巻き戻し確認したところ1800m/minと2000m/minで僅かな焼付き疵を確認した。
次に、エマルションAにエマルションBを追加供給する圧延方法を実験した。エマルションBはエマルションAと全く同じ物を、圧延機から0.7m入側から供給した。エマルションAのみの実験で1400m/minまでは焼付き疵が生じていないことが確認されていたので、安全をとって1200m/minまではエマルションAのみで圧延し、1400m/minより高速でエマルションBを追加使用した。エマルションBの供給量はエマルションAと等しい15リットル/minとした。先ほどと同様に通板中の焼き付き疵確認で圧延を終了し、圧延材のコイルを巻き戻したところ2200m/minで僅かな焼き付き疵が確認された。
次にエマルションAに加えて、ロールにニートを供給する方法で圧延した。ニートは板幅600mmに対してほぼ均等に100mmピッチで6箇所に滴下する方式をとった。その供給量は、6箇所の合計がエマルションA中に含まれる潤滑油量と等しい300cc/minとなるように、ロールに滴下した。上述の実験と同様に、2800m/minで焼き付きを確認して圧延を中止し、巻き戻したところ2600m/minで僅かな焼付き疵を発見した。
最後にエマルションBの供給位置でエマルションを供給し、ニートを滴下する方法で実験した。エマルションBのところから供給すると3000m/minで焼き付きを生じ、巻き戻したコイルから、2800m/minのところで僅かな焼き付きを確認した。エマルションAの供給位置の場合、ロールに付着させておいたニートの潤滑油が乳化してしまうために、エマルションBの位置と比較して若干潤滑性が劣ったと考えられる。ここで、エマルションBの位置は上述の実験と同様に圧延機から0.7mと設定したが、0.3m、0.5m、0.7m、1.0m、1.2m、1.5m、2.0mについて予備実験を行い、0.5m以下ではエマルションAにニートを付加した実験とほとんど結果が変化しなかったため0.7mと設定した。第1スタンドであれば、入側の板厚計等の設備制約により圧延機から離せる距離は決定されるし、第2スタンド以降であれば前段スタンドとのスタンド間距離によって離せる距離が制約されることになる。また、条件を等しくするためにエマルションA、Bを使用する実験でも圧延機から0.7mと設定した。
また、ニートの供給方式としては、滴下方式ではなく、エアアトマイズ法や微細網目構造を有する供給端からの供給法等も行ったが、いずれの場合も同様の効果が得られた。
エマルションBの方が潤滑性が向上した点に着目すると、ロールに付着した潤滑油が水によって乳化または再乳化し、これが潤滑性を劣化させたものと推測される。
エマルションAのところ以外にもロールには冷却水等が供給されており、ニートとして供給した潤滑油がそれらの水によって乳化する可能性は否定できない。そこで、図2のように水切り板15をニートの供給位置よりも上部に設置した。
エマルションAにニートを付加した実験と、エマルションBにニートを付加した実験とのそれぞれに対して、更に水切り板15を追加して実験を行った。両者とも水切り板15が無い場合と比較して焼き付き発生速度が増加することが確認され、当該水切り板15には、ロールに供給して付着した潤滑油のロールバイト入口での乳化または再乳化の抑制効果があることが確認された。
上述の実験でロールにマークを付けておいたので、先進率を求めることができた。焼き付きを生じていたところの先進率は大凡4.5%程度であった。それ以下の速度では先進率は3.5%以下程度で低く、焼き付きのところだけが急激に先進率が4.5%以上に増加していることが確認された。先進率はロールバイト内の潤滑性と密接に関連しており、一般に先進率が小さければ潤滑性がよい。焼き付きを生じたところを潤滑性の上限と考えると、焼き付きが生じた速度よりも低速部分では若干過潤滑の状態にあり、供給量を減少させることが可能であることが分かる。但し、スリップを生じているわけではなかったので、適正潤滑の範囲内であったことは確認できた。
圧延中には荷重も測定していたので、荷重と先進率からbland&Fordの式によって、ロールと圧延材との間の摩擦係数を逆算した。上述の先進率と同様に焼き付きが生じたときの摩擦係数は0.15程度と他と比較して圧倒的に高く、それ以下の速度では0.01から0.08の範囲内であった。このことからも先進率に基づく潤滑制御と同様に摩擦係数による潤滑制御も実現可能であることが確認された。これらの潤滑制御を行えば、油原単位を低減することができる。以上のように、潤滑制御を先進率や摩擦係数に基づいてオンラインで行えば、追加するニートの供給量を適切に制御することができる。最適な目標値が明らかでない場合にある程度、目標値に幅を持たせた状態で制御を行っても効果があることは言うまでもない。
Figure 2006224141
先進率をオンラインで求めるには、ロール周速の測定に加えて板速度の測定が必要であり、摩擦係数をオンラインで推定するには繰り返し計算の必要のない摩擦係数推定モデル等を具備しておく必要がある。ミルによっては測定精度が悪かったり、前記計算手段14が摩擦係数の計算に対応できない場合もあると思われる。そのような場合はこれまでの操業で得られている過去の知見から焼き付きの生じやすい圧延条件を予め求めておき、その圧延条件になったときに、予め設定している量のニートの供給を開始すれば、焼き付きを有効に回避することができる。
エマルションBについては圧延機から0.7m手前からの実験について述べ、それ以下の距離では効果がないことを上述した。0.7m以上手前の場合について、ニートを付加する実験も行ったが、2m、3mについても高速圧延時の焼き付き防止に効果が確認されたので、エマルションBの距離は圧延機から0.7m以上であればよい。
なお、高圧下圧延についてはここでは述べていないが、潤滑性は一般に圧下率が高くなるほど厳しくなることは明らかで、それに対してロールバイト内の油量を増加させることにより効果があるのは高速圧延の状況と同じであるのは言うまでもない。
以上のように、本発明によれば、エマルション潤滑だけでは不可能な高速圧延や高圧下圧延が可能となり、圧延トラブルのない高生産性が実現できる。
なお、本発明が対象とする圧延材の金属種としては、鋼の他、チタン、アルミニウム、マグネシウム、銅等の金属およびこれら各種合金であってもよい。
上記の実験によってニートを付加すると潤滑不足解消に効果があることは確認でき、潤滑不足が生じやすい圧延条件におけるヒートスクラッチ抑制が可能であることが分かったので、実施例においては、先進率をオンラインで測定し、先進率が焼き付き限界を超えないようにし、且つ限界に近い値に制御することにより、高速圧延時の油原単位を低減させることを試みた。
なお、先進率は、前記テンションメータ7からの板速度実績値と、前記パルスジェネレータからのロール周速実績値とに基づいて、前記計算手段14(先進率計算手段に該当)がリアルタイムで計算した。そして、この計算された先進率が目標先進率となるように、前記計算手段14(供給量制御手段に該当)が前記ポンプ12bを制御して、ニートの供給量を増減調整した。
エマルション濃度は2%であり、エマルション供給量は15リットル/minで一定とした。図1の圧延機を用いて、エマルションBにニートを付加した圧延方法で実験を行った。上述の実験により先進率は4.5%で完全に焼き付きを生じ、3.5%では焼き付きを生じないことが確認されているので、目標先進率を3.5%と設定して圧延を行った。なお、今回の実験でも1200m/min以下ではニートの供給は行っていない。上述の実験条件と同様にニートの供給量を300cc/minとしたときには、1200m/minから2200m/minまでは1.0%程度の小さい値であったので、ニートの供給量を減少させて、3.5%程度になるようにした。上述の実験では、2200m/min以上の速度において、徐々に上昇し始めていたが、ここでも3.5%となるように供給量を制御した。
上述の結果と同様に3000m/minでは、300cc/minのニートを供給しても焼き付きを生じたが、1600〜2600m/minの実験において使用した潤滑油量はエマルションに加えて1200m/min以上の全速度域で300cc/minニートを供給する時と比較して66%に減少していた。以上により先進率に基づく潤滑制御により焼き付きも生じず、油原単位を削減できることが確認できた。
実施例1と同様にして図1の圧延機を用いて摩擦係数による制御を試みた。
摩擦係数は、予めBland&Fordの式による逆算で求めた摩擦係数をもとに重回帰によって単位幅当たりの荷重、先進率の関数として求めておき、この関数を前記計算手段14に格納しておいた。そして、前述したようにテンションメータ7からの板速度実績値と、パルスジェネレータからのロール周速実績値とに基づいて、前記計算手段14(摩擦係数計算手段に該当)が先進率を計算するとともに、この計算された先進率と、前記ロードセル9からの荷重実績値とを前記関数に入力して摩擦係数を計算し、計算された摩擦係数が目標値となるように、前記計算手段14(供給量制御手段に該当)が前記ポンプ12bを制御して、ニートの供給量を増減調整した。
1200m/min以下でニートを供給しないのは上記実験と同様である。摩擦係数の目標値は0.015とした。実施例1と同様に3000m/minで焼き付きが生じた。このとき、摩擦係数は0.20を越えていた。ニートの供給量を300cc/minとしたときには、1200m/minから2200m/minまでは0.011程度の小さい値であったのでニートの供給量を減少させて、0.015程度になるようにした。この一方、1200〜2600m/minの実験において使用した潤滑油量は実施例1と同様に64%に減少していた。以上により摩擦係数による潤滑制御により、焼き付きも生じず、油原単位を削減できることが確認できた。
板幅が1200mmの場合についても同様の実験を行った。板幅がこれまでの実験の2倍となっているので、エマルション、ニート共に供給量を2倍にした。ニートについては1200m/min以上3000m/min以下の全速度域で600cc/minの場合と、実施例1、2のように先進率と摩擦係数によって制御を行った場合の2種類の実験を行った。耐ヒートスクラッチ性、制御による潤滑油削減割合共に狭幅の場合とほぼ同じ効果が確認された。
エマルションに加えてニートをロールに付加する冷間圧延設備を示した図である。 エマルションに加えてニートをロールに付加することに加え、水切り板を設置した冷間圧延設備を示した図である。
符号の説明
1 ワークロール
2 バックアップロール
3 圧延材
4 エマルションAの潤滑ノズル
5 エマルションBの潤滑ノズル
6 ニートの供給端
7 テンションメータ
8 駆動用モーター
9 ロードセル
10 エマルション用貯蔵タンク
11 ニート用貯蔵タンク
12a エマルション供給用ポンプ
12b ニート供給用ポンプ
13 電磁弁
14 圧延条件を格納すると共に先進率および摩擦係数を計算する計算手段

Claims (8)

  1. ロールバイトより入側で金属板および/またはワークロールにエマルションを供給しながら前記金属板を圧延する冷間圧延機に付属する潤滑油供給設備において、エマルションを作製し貯蔵するタンクと、潤滑油原液を貯蔵するタンクと、前記エマルションをロールバイトの位置及び/またはロールバイトの入側の所定位置に供給する手段と、前記潤滑油原液をワークロールに直接供給する手段と、潤滑不足感知手段と、前記潤滑不足感知手段からの感知結果に基づいて、前記潤滑油原液の供給量を制御する供給量制御手段とを有することを特徴とする冷間圧延における潤滑油供給設備。
  2. 前記潤滑不足感知手段が、ロール周速測定手段と、前記圧延機出側の板速度測定手段と、前記ロール周速及び前記板速度に基づいて先進率を計算する先進率計算手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の冷間圧延における潤滑油供給設備。
  3. 前記潤滑不足感知手段が、ロール周速測定手段と、前記圧延機出側の板速度測定手段と、荷重測定手段と、前記ロール周速、前記板速度及び前記荷重に基づいて摩擦係数を計算する摩擦係数計算手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の冷間圧延における潤滑油供給設備。
  4. 前記エマルションの供給位置がロールバイトから入側に0.7m以上離れていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷間圧延における潤滑油供給設備。
  5. 前記潤滑油原液のワークロールへの供給部より上部に水切り板を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷間圧延における潤滑油供給設備。
  6. 請求項1〜5のいずれかの潤滑油供給設備を用いた冷間圧延方法であって、
    潤滑不足を生じやすい状況を感知して潤滑不足かどうかを判断し、潤滑不足を生じやすい圧延条件と判断された時にはエマルションに加えて潤滑油原液をワークロールに供給することを特徴とする冷間圧延方法。
  7. 請求項2、4、5のいずれかの潤滑油供給設備を用いた冷間圧延方法であって、
    圧延中に計算した先進率が予め設定した目標値に一致するようにエマルションに加えて潤滑油原液の供給量を制御してワークロールに供給することを特徴とする冷間圧延方法。
  8. 請求項3〜5のいずれかの潤滑油供給設備を用いた冷間圧延方法であって、
    圧延中に計算した摩擦係数が予め設定した目標値に一致するようにエマルションに加えて潤滑油原液の供給量を制御してワークロールに供給することを特徴とする冷間圧延方法。

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