以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(1.本発明に至る背景)
本発明の好適な一実施形態について説明するに先立ち、本発明の効果をより明確なものとするために、本発明に想到するに当たり本発明者が検討した内容について説明する。
上述したように、エマルションによって潤滑を行う冷間圧延において、焼付き等の不良を発生させないように圧延材と作業ロールとの間の摩擦係数を適切な値に維持するためには、ロールバイト直下における圧延油の油膜厚を制御することが重要である。従って、ロールバイト直下の油膜厚をより精度良く推定することができれば、より高精度に当該油膜厚を制御できる可能性がある。その際、オンラインで(すなわち、圧延中に随時)油膜厚の制御を行うことが望ましい。
ここで、従来、オンラインで圧延機の入側又は出側における油膜厚を測定することは、ノイズ源の多い圧延機の近傍で測定を行わなければならないという環境の問題等から難しいとされていた。しかしながら、近年、例えば赤外線照射方式の油膜厚計等、金属材料の加工中に、当該金属材料上の油膜厚を高精度にオンラインで測定することが可能な油膜厚計が開発されている(詳細は図3を参照して後述する)。本発明者らは、このことに注目し、このような油膜厚計を用いて圧延機の入側又は出側での油膜厚を測定し、その測定値に基づいてロールバイト直下の油膜厚を推定できないか検討した。なお、この種の油膜厚計を冷間圧延における油膜厚測定に用いた事例はこれまでになく、本発明者らが新たに試みたものである。
まず、本発明者らは、圧延機の入側に油膜厚計を設置した状態で実際に冷間圧延を実施し、入側で測定した油膜厚(すなわち、エマルション厚)と、圧延材と作業ロールとの潤滑状態と、の関係を調べた。潤滑状態は、具体的には、ヒートスクラッチ又は滑りの発生によって判断した。ヒートスクラッチとは、焼付きに起因して圧延材の表面に生じる傷である。つまり、ヒートスクラッチが発生した場合には、ロールバイト直下の油膜厚が薄くなり過ぎており、潤滑が不足していることを示している。一方、滑りが発生した場合には、ロールバイト直下の油膜厚が厚くなり過ぎており、潤滑が過剰であることを示している。
その結果、入側エマルション厚の測定値と、潤滑状態(すなわち、ヒートスクラッチ又は滑りの発生)との間には、明確な相関は得られなかった(後述する図4(a)も参照)。当該結果は、入側エマルション厚とロールバイト直下の油膜厚との相関は小さいことを示している。これは、入側エマルション厚は、圧延油だけでなく水も含んだ厚みであるからであると考えられる。
次に、本発明者らは、同様に、圧延機の出側に油膜厚計を設置した状態で実際に冷間圧延を実施し、出側で測定した油膜厚と、圧延材と作業ロールとの潤滑状態と、の関係を調べた。その結果、出側油膜厚の測定値と、潤滑状態(すなわち、ヒートスクラッチ又は滑りの発生)との間には、当該出側油膜厚が薄い場合にヒートスクラッチが発生しやすく、当該出側油膜厚が厚い場合に滑りが発生しやすいという、明確な相関が得られた(後述する図5(a)も参照)。当該結果は、出側油膜厚とロールバイト直下の油膜厚との間には、大きな相関が存在することを示している。
そこで、本発明者らは、この出側油膜厚とロールバイト直下の油膜厚との相関について詳細に調べるため、ロールバイト直下の油膜厚を計算によって求め、出側油膜厚の測定値と比較した。なお、当該油膜厚の計算は、「水野高爾、「冷間圧延に関する実験」、塑性と加工、日本塑性加工学会、1966年、Vol.7、no.66、p.383−389」に記載の数式(5)に従って行った。また、出側油膜厚の測定値については、圧延後の圧延材に付着した油重量を測定することによって単位面積当たりの油膜厚を計算し、この油膜厚の計算値によって校正した値を測定値とした。
一例として、ある圧延潤滑条件における比較の結果を図1に示す。図1は、出側油膜厚の測定値とロールバイト直下の油膜厚の計算値との相関の一例を示すグラフ図である。図1では、横軸に圧延機の出側油膜厚の測定値を取り、縦軸にロールバイト直下の油膜厚の計算値を取り、両者の関係をプロットしている。なお、圧延潤滑条件とは、圧延時における圧延材と作業ロールとの間の潤滑状態に影響する各種の条件(例えば、圧延油の油種、濃度、温度及び供給量等の圧延油についての条件、並びに圧延材の特性、作業ロールの形状、圧下量及び圧延速度等の圧延条件)のことである。
図1に示すように、出側油膜厚の測定値とロールバイト直下の油膜厚の計算値と比較した結果、両者の間には線形の相関が存在することが分かった。本発明者らが圧延潤滑条件を様々に変化させながら同様の調査を行ったところ、圧延潤滑条件によって直線の傾きは変化し得るものの、いずれの場合も、出側油膜厚の測定値とロールバイト直下の油膜厚の計算値との間には線形の相関が確認された。当該相関が存在することは、本発明らによる検討により初めて明らかになった事実である。
以上、本発明者らが検討した結果について説明した。まとめると、本発明者らは、金属材料表面の油膜厚をオンラインで測定可能な油膜厚計が近年開発されていることを発見し、当該油膜厚計による油膜厚の測定値を用いることにより、オンラインでのより適切な圧延油の供給制御を行うことができるのではないかとの着想を得た。そのため、圧延機の出側油膜厚の測定値と、ロールバイト直下の油膜厚の計算値との相関を調べたところ、両者の間には線形の相関が存在するとの知見を得た。
本発明者らは、当該知見に基づいて本発明に想到した。具体的には、当該相関は、圧延機の出側油膜厚が変化した場合には、それに応じて、ロールバイト直下の油膜厚も線形に変化することを示している。従って、ロールバイト直下の油膜厚を焼付きや滑りが生じないような適切な範囲に制御するためには、圧延機の出側油膜厚に対して適切な範囲を規定し、当該出側油膜厚の測定値に基づいて、当該出側油膜厚が当該適切な範囲に収まるように、圧延油の供給を制御すればよい。本発明は、これを基本原理とするものである。
この方法によれば、直接測定された油膜厚に基づいて圧延油の供給制御が行われるため、例えば特許文献1に記載の技術のように事前に取得された相関に基づく圧延油の供給制御に比べて、より適切に圧延油の供給を制御することが可能となると考えられる。また、この方法によれば、出側油膜厚を測定し、その測定値に基づいて当該出側油膜厚を直接制御するので、例えば特許文献2に記載の技術のように油膜厚以外の物理量によって潤滑状態を感知して圧延油の供給制御を行う方法に比べて、より適切に圧延油の供給を制御することが可能となると考えられる。
以下、本発明を実現するための好適な一実施形態について詳細に説明する。
(2.圧延油供給システムの構成)
図2を参照して、本発明の好適な一実施形態に係る圧延油供給システムの構成について説明する。図2は、本実施形態に係る圧延油供給システムの一構成例を示す図である。
図2では、鋼板2に対する冷間圧延用の圧延機10に対して、本実施形態に係る圧延油供給システム1が適用された場合における構成例を示している。圧延機10は、冷間圧延用の圧延機であり、例えば冷間タンデム圧延機を構成する任意の一基の圧延機である。圧延機10は、上下一対の作業ロール111、112と、作業ロール111、112の上下にそれぞれ設置され作業ロール111、112を支持するバックアップロール113、114と、を有する。このように、圧延機10は、4本のロールを備える、いわゆる4重圧延機の構成を有する。圧延機10における作業ロール111、112間の間隔(ロールギャップ)は、圧延条件に応じて適宜調整されており、鋼板2は、圧延機10を通過することにより薄く延ばされ、所望の板厚になるように加工され得る。
なお、図2では、簡単のため、圧延機10の構成のうち、本実施形態に係る圧延油供給システム1について説明するために必要な構成のみを主に図示している。実際には、圧延機10は、図示する構成以外にも、一般的な冷間圧延用の圧延機が備える各種の構成を有し得る。図示を省略している構成については、一般的に知られている各種の構成を適用可能であるため、説明を省略する。また、圧下位置やロール速度等、圧延時における圧延機10の制御についても、各種の公知の方法が用いられてよいため、その詳細な説明は省略する。
また、圧延機10の具体的な装置構成は図示する例に限定されない。本実施形態に係る圧延油供給システム1は、一般的な各種の冷間圧延用の圧延機に対して適用可能なものである。従って、圧延機10は、一般的な冷間圧延用の圧延機と同様に構成されればよく、その具体的な構成は任意であってよい。例えば、圧延機10は、4重圧延機に限定されず、例えば6重圧延機等、他の構成であってもよい。
また、圧延機10が圧延する材料は鋼板2に限定されず、本実施形態に係る圧延油供給システム1は、各種の金属材料の圧延に対して適用されてよい。
本実施形態に係る圧延油供給システム1は、第1のエマルションを貯留する第1のエマルションタンク122と、圧延機10の入側に設置され、鋼板2及び圧延機10の作業ロール111、112に第1のエマルションタンク122内の第1のエマルションを供給する第1のエマルションノズル121と、第2のエマルションを貯留する第2のエマルションタンク132と、圧延機10の入側に設置され、鋼板2及び圧延機10の作業ロール111、112に第2のエマルションタンク132内の第2のエマルションを供給する第2のエマルションノズル131と、圧延機10の出側に設置され、鋼板2の表面上の油膜厚を測定する油膜厚計140と、圧延機10の入側におけるエマルションの供給を制御する制御装置150と、から主に構成される。図示するように、本実施形態では、圧延機10に対して圧延油供給システム1が適用されることにより、圧延油を供給するためのノズル(第1のエマルションノズル121及び第2のエマルションノズル131)、圧延機10、並びに油膜厚計140が、圧延方向の上流側から下流側に向かってこの順に並べられた、圧延ラインが構成され得る。
第1のエマルションは、例えば濃度が1〜2(%)程度の、一般的に冷間圧延において潤滑に用いられるエマルションである。圧延時には、第1のエマルションノズル121から、所定の量の第1のエマルションが常時供給される。
第2のエマルションは、例えば濃度が10(%)程度の、第1のエマルションよりも濃度の高いエマルションである。本実施形態では、当該第2のエマルションの供給量を調整することによって、圧延機10の出側油膜厚(すなわち、間接的にロールバイト直下の油膜厚)を制御する。
ここで、例えば、第1のエマルションの供給量を増加させたとしても、第1のエマルションの濃度は比較的小さいことから、供給される圧延油の量自体が劇的に増加する訳ではなく、また、ロールの回転によって一定の時間に鋼板2と作業ロール111、112の間に巻き込まれるエマルションの量には限界があるため、出側油膜厚に対する感度は小さいと考えられる。また、第1のエマルションの濃度を変化させようとする場合には、第1のエマルションタンク122内に貯留されている第1のエマルションの濃度を変化させる必要があるため、短時間でその濃度を変更することは難しく、出側油膜厚の制御を高応答に行うことは困難である。このように、第2のエマルションを用いずに、第1のエマルションの供給量及び/又は濃度等によって出側油膜厚を制御しようとしても、当該出側油膜厚を効果的に制御できない可能性がある。
そこで、上記の理由から、本実施形態では、第1のエマルションよりも高濃度の第2のエマルションの供給経路を、第1のエマルションの供給経路とは別系統の供給経路として用意しておき、当該第2のエマルションの供給量を制御することによって、出側油膜厚を制御することとした。より高濃度の第2のエマルションを用いることにより、より高感度に、より高応答に出側油膜厚を制御することが可能となる。
油膜厚計140としては、例えば、赤外線照射方式の油膜厚計等、圧延機10の近傍であっても比較的高精度にオンラインで鋼板2の表面上の油膜厚を測定可能なものが用いられる。本実施形態において好適に用いられる油膜厚計140の一例を、図3に示す。図3は、油膜厚計140の一構成例、及び当該油膜厚計140による油膜厚の測定原理を示す図である。
図3に示すように、油膜厚計140は、赤外線光源141と、赤外線検出器142と、から構成される。赤外線光源141から鋼板2の表面上の油膜3に赤外線が照射される。照射された赤外線は、油膜3を通過し、鋼板2の表面で反射され、赤外線検出器142によって検出される。赤外線が油膜3を通過する際の減衰率は、圧延油の油種に応じて一定であるため、照射した赤外線のエネルギーと、検出された赤外線のエネルギーとの差から、赤外線が油膜3を通過した距離、すなわち、油膜3の厚みが検出され得る。
なお、このような構成を有する赤外線照射方式の油膜厚計140としては、例えば、AMEPA社の油膜厚計を用いることができる。当該AMEPA社の油膜厚計については、「Bilstein, W.; Enderle, W.; Moreas, G.; Oppermann, D.; Routschek, T.; Van De Velde, T.:,「Two Systems for On-Line Oilfilm and Surface Roughness Measurement for Strip Steel Production」, Steel Rolling Conference, 19-21, Juni 2006, Paris, France.」を参考にすることができる。
油膜厚計140は、所定の間隔で随時、圧延機10の出側油膜厚を測定し、その測定値を制御装置150に送信する。
制御装置150は、油膜厚計140によって測定された圧延機10の出側油膜厚の測定値に基づいて、第2のエマルションの供給量を制御する。具体的には、制御装置150は、圧延機10の出側油膜厚の測定値が適切かどうかを判断し、その判断結果に応じて、第2のエマルションの供給量を制御する。本実施形態では、第2のエマルションタンク132から第2のエマルションノズル131への第2のエマルションの供給経路に流量調整弁133が設けられており、制御装置150は、当該流量調整弁133の開閉を制御することにより、第2のエマルションの供給量を制御することができる。なお、制御装置150による当該判断処理及び当該判断処理の結果に基づく第2のエマルションの供給量の制御は、油膜厚計140によって出側油膜厚が測定されるタイミングで、随時行われてよい。
ここで、ロールバイト直下の油膜厚が薄すぎる場合には、潤滑が不足し、焼付き等の不良が発生する一方、ロールバイト直下の油膜厚が厚すぎる場合には、潤滑が過剰であり、滑り等の不良が発生すると考えられる。つまり、ロールバイト直下の油膜厚には、これらの不良を生じさせないような適切な範囲が存在し得る。
一方、図1を参照して説明したように、ロールバイト直下の油膜厚と、出側油膜厚との間には線形な相関が存在する。従って、出側油膜厚に対して、焼付き及び滑り等の不良を生じさせないような適切な範囲を設定することが可能である。
そこで、本実施形態では、出側油膜厚の適切な範囲として、当該出側油膜厚の下限値tb及び上限値tuを設定する。そして、出側油膜厚の測定値と、当該下限値tb及び上限値tuとの関係に応じて、当該出側油膜厚が適切かどうかを判断する。
具体的には、制御装置150は、出側油膜厚の下限値tb及び上限値tuを設定し、当該出側油膜厚の測定値がこの下限値tbと上限値tuの間に収まっている場合には、当該出側油膜厚が適切であると判断する。この場合には、制御装置150は、現在の第2のエマルションの供給状態を維持する。
一方、制御装置150は、出側油膜厚の測定値が、下限値tb以下である場合には、第2のエマルションを供給する。この際、第2のエマルションの供給量としては、例えば、事前に、様々な圧延潤滑条件における第2のエマルションの供給量と出側油膜厚の増加量との関係を実験等によって取得して制御装置150がアクセス可能な記憶装置(図示せず)に格納しておき、制御装置150が、当該関係に基づいて、出側油膜厚が下限値tbよりも大きくなるような適切な供給量を決定すればよい。
また、制御装置150は、出側油膜厚の測定値が、上限値tu以下である場合には、第2のエマルションの供給を停止する。これにより、第1のエマルションのみが供給されている状態になるため、時間の経過とともに、出側油膜厚が上限値tuよりも小さくなるように制御されることとなる。
ここで、出側油膜厚の下限値tb及び上限値tuの具体的な設定方法の一例について説明する。例えば、当該下限値tbは、鋼板2に焼付きを生じさせない最小の油膜厚として設定され得る。また、例えば、当該上限値tuは、滑りを生じさせない最大の油膜厚として設定され得る。
例えば、本実施形態では、下限値tbを、下記数式(1)によって定義する。ここで、η(mm2/s)は圧延油の粘度である。粘度ηは、圧延油に固有の値であるが、温度に応じて変化し得る。また、αは圧延潤滑条件に応じて決定される係数である。下限値tbを1/ηに比例する値として定義しているのは、粘度ηが大きければ、油膜厚が薄くても焼付きは生じ難いと考えられるからである。
また、例えば、本実施形態では、上限値tuを、下記数式(2)によって定義する。ここで、βは圧延潤滑条件に応じて決定される係数である。上限値tuを1/ηに比例する値として定義しているのは、粘度ηが大きければ、油膜厚が薄くても滑りは生じやすいと考えられるからである。
本実施形態では、例えば、操業上想定され得る様々な圧延潤滑条件において事前に試験を行い、各圧延潤滑条件における油膜の温度及び係数α、βを求め、例えば上述した記憶装置にこれらを対応付けて格納しておく。また、使用することが想定される様々な圧延油についての温度に応じた粘度ηの値も、事前に文献値等から求め、当該記憶装置に格納しておく。なお、一例として、常温において粘度η=30(mm2/s)である圧延油を用いて、本発明者らが実際に試験を行った結果、板温度が120℃となるような圧延潤滑条件においては、α=0.02、β=0.05との結果が得られた。ここで、板温度に注目しているのは、油膜厚は鋼板2の厚みに対して十分に薄いと考えられるため、板温度を圧延油の温度とみなしても問題はないからである。
そして、圧延油の供給を制御する際には、制御装置150は、実際の圧延潤滑条件における鋼板2の板温度を理論計算又はシミュレーション等によって計算する。そして、当該板温度を圧延油の温度とみなして、当該圧延潤滑条件及び温度に応じた係数α、β及び粘度ηの値を当該記憶装置から取得し、上記数式(1)、(2)を用いて出側油膜厚の下限値tb及び上限値tuを算出する。そして、制御装置150は、算出した下限値tb及び上限値tuを用いて、上述した出側油膜厚が適切かどうかの判断処理を行うことができる。
以上、図2を参照して、本実施形態に係る圧延油供給システム1の構成について説明した。なお、以上説明した実施形態では、出側油膜厚の下限値tbを焼き付きを生じさせない最小の油膜厚として設定し、上限値tuを滑りを生じさせない最大の油膜厚として設定していたが、本実施形態はかかる例に限定されない。当該下限値tb及び当該上限値tuを設定するための基準は、必ずしも焼付き及び滑りの発生でなくてもよい。つまり、出側油膜厚の下限値tb及び上限値tuは、焼付き及び滑り以外の、鋼板2と作業ロール111、112との潤滑状態に起因して生じ得る各種の不良も考慮して、鋼板2に不良を生じさせないような油膜厚として、適宜設定されてよい。
また、上記の実施形態では、制御装置は、出側油膜厚が測定される度に、その測定値を下限値tb及び上限値tuそれぞれ比較することにより、現在の出側油膜厚の測定値が適切な範囲に収まっているかどうかを判断していたが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、現在の出側油膜厚の測定値が一旦下限値tb以上かつ上限値tu以下の適切な範囲に収まった後は、制御装置150は、当該出側油膜厚の測定値が一定になるように、第2のエマルションの供給量を制御してもよい。
ここで、圧延油供給システム1を構成する各部材としては、一般的に用いられている汎用的な部材が用いられてよい。例えば、制御装置150は、演算処理を実行可能な装置であればよく、その具体的な構成は任意であってよい。例えば、制御装置150は、CPU(Central Processing Unit)等の各種のプロセッサや、プロセッサとメモリ等の記憶素子がともに搭載された制御基板等であってよい。また、制御装置150は、例えばPC(Personal Computer)等の一般的な情報処理装置であってもよい。あるいは、制御装置150は、1台の装置でなくてもよく、複数の装置が協働することにより実現されてもよい。制御装置150を構成するプロセッサが所定のプログラムに従って動作することにより、上述した制御装置150の各種の機能が実現され得る。
また、上述したような制御装置150の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することが可能である。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等であり得る。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
(3.効果の確認)
ここで、本発明者らは、以上説明した本実施形態に係る圧延油供給システム1において、圧延機10の入側エマルションの測定値ではなく、出側油膜厚の測定値を用いて圧延油の供給を制御することの有効性について確認するために、以下の実験を行った。
まず、本発明者らは、図2に示す構成において、圧延機10の出側の代わりに、圧延機10の入側に油膜厚計140を設け、当該油膜厚計140によって入側エマルション厚を測定した。そして、この入側エマルション厚の測定値が一定になるように第2のエマルションの供給量を制御した。
この結果を図4に示す。図4は、入側エマルション厚の測定値に基づく第2のエマルションの供給量の制御の前後における、当該入側エマルション厚の測定結果を示すグラフ図である。図4では、第2のエマルションの供給量を制御する前における入側エマルション厚の測定値を示すグラフ図(図中(a))と、第2のエマルションの供給量を制御している最中における入側エマルション厚の測定値を示すグラフ図(図中(b))と、を並べて図示している。いずれのグラフ図においても、横軸に時間を取り、縦軸に入側エマルション厚の測定値を取り、両者の関係をプロットしている。
また、本実験中に、鋼板2においてヒートスクラッチ及び滑りが生じた。図4では、ヒートスクラッチが生じた時刻Thと、滑りが生じた時刻Tsを、併せて図示している。
図4(a)に示すように、第2のエマルションの供給量を制御する前において、入側エマルション厚の測定値と、ヒートスクラッチ及び滑りの発生との間には、明確な関係は見られなかった。また、図4(b)に示すように、この入側エマルション厚の測定値が一定になるように第2のエマルションの供給量を制御したところ、外乱が多く、供給量が適切かどうかの判断ができなかった。また、第2のエマルションの供給量を制御しても、ヒートスクラッチ及び滑りが発生していた。
当該結果から、入側エマルション厚の測定値とロールバイト直下の油膜厚との間の相関が小さいこと、及び、そのため、当該入側エマルション厚の測定値に基づいて第2のエマルションの供給量を制御したとしても、ヒートスクラッチ及び滑りを効果的に抑制できないことが確認できた。なお、入側エマルション厚の測定値とロールバイト直下の油膜厚との間の相関が小さいのは、エマルションは、圧延油及び水が混合されたものであるため、その膜厚の測定値とロールバイト直下での圧延油の油膜厚との相関を取ろうとしても、外乱が大きすぎるからであると考えられる。
次に、本発明者らは、図2に示す構成において、図4に示す結果を得た場合と同じ圧延潤滑条件において、油膜厚計140によって圧延機10の出側油膜厚を測定した。そして、この出側油膜厚の測定値が一定になるように第2のエマルションの供給量を制御した。
この結果を図5に示す。図5は、出側油膜厚の測定値に基づく第2のエマルションの供給量の制御の前後における、当該出側油膜厚の測定結果を示すグラフ図である。図5では、図4と同様に、第2のエマルションの供給量を制御する前における出側油膜厚の測定値を示すグラフ図(図中(a))と、第2のエマルションの供給量を制御している最中における出側油膜厚の測定値を示すグラフ図(図中(b))と、を並べて図示している。いずれのグラフ図においても、横軸に時間を取り、縦軸に出側油膜厚の測定値を取り、両者の関係をプロットしている。また、図4と同様に、図5においても、ヒートスクラッチが生じた時刻Th及び滑りが生じた時刻Tsを併せて図示している。
図5(a)を参照すると、第2のエマルションの供給量を制御する前において、圧延中にヒートスクラッチ及び滑りが生じているが、出側油膜厚が比較的薄くなったタイミングでヒートスクラッチが発生し、出側油膜厚が比較的厚くなったタイミングで滑りが生じていることが分かる。このように、出側油膜厚の測定値と、ヒートスクラッチ及び滑りの発生との間には、明確な関係が見られた。
また、図5(b)に示すように、出側油膜厚の測定値に基づいて、当該出側油膜厚が一定になるように第2のエマルションの供給量を制御した結果、当該出側油膜厚がほぼ一定になるような制御が実現できていることが分かる。また、この制御を行っている間、ヒートスクラッチ及び滑りは発生しなかった。
以上、本発明者らが行った実験の結果について説明した。以上説明したように、圧延機10の入側エマルション厚ではなく、出側油膜厚の測定値に基づいて第2のエマルションの供給量を制御することにより、制御自体も安定して行うことができるとともに、ヒートスクラッチ及び滑りの発生も好適に抑制し得ることが確認できた。
(4.圧延油供給方法)
図6を参照して、図2に示す本実施形態に係る圧延油供給システム1において実行される圧延油供給方法の処理手順について説明する。図6は、本実施形態に係る圧延油供給方法の処理手順の一例を示すフロー図である。
図6を参照すると、本実施形態に係る圧延油供給方法では、まず、油膜厚計140によって、圧延機10の出側油膜厚が測定される(ステップS101)。
次に、制御装置150によって、圧延機10の出側油膜厚の測定値が、油膜厚の下限値tb以下であるかどうかが判断される(ステップS103)。
ステップS103で、圧延機10の出側油膜厚の測定値が油膜厚の下限値tb以下であると判断された場合には、ロールバイト直下の油膜厚が比較的薄い状態であり、焼付きが生じる恐れがあることを示している。従って、この場合には、ステップS105に進み、制御装置150からの制御により、第2のエマルションノズル131から、鋼板2及び作業ロール111、112に対して第2のエマルションが供給される。すなわち、別系統のエマルションノズルから、より高濃度のエマルションが供給される。これにより、ロールバイト直下の油膜厚を、焼付きを生じさせないようなより厚い値に制御することができる。
一方、ステップS103で、圧延機10の出側油膜厚の測定値が油膜厚の下限値tbよりも大きいと判断された場合には、ロールバイト直下の油膜厚が、焼付きを生じさせる恐れがあるような薄い油膜厚ではないことを意味している。従って、この場合には、ステップS105をスキップし、ステップS107に進む。ステップS107では、制御装置150によって、圧延機10の出側油膜厚の測定値が、油膜厚の上限値tu以上であるかどうかが判断される。
ステップS107で、圧延機10の出側油膜厚の測定値が油膜厚の上限値tu以上であると判断された場合には、ロールバイト直下の油膜厚が比較的厚い状態であり、滑りが生じる恐れがあることを示している。従って、この場合には、ステップS109に進み、制御装置150からの制御により、第2のエマルションノズル131からの第2のエマルションの供給が停止される。すなわち、別系統のエマルションノズルからの、より高濃度のエマルションの供給が停止される。これにより、ロールバイト直下の油膜厚を、滑りを生じさせないようなより薄い値に制御することができる。
一方、ステップS107で、圧延機10の出側油膜厚の測定値が油膜厚の上限値tuよりも小さいと判断された場合には、ロールバイト直下の油膜厚が、滑りを生じさせる恐れがあるような厚い油膜厚ではないことを意味している。従って、この場合には、ステップS107をスキップし、一連の処理を終了する。
本実施形態に係る圧延油供給方法では、圧延中に、以上説明したステップS101〜ステップS109に示す処理が所定の間隔で繰り返し実行される。つまり、オンラインで測定された油膜厚に基づいて圧延油の供給が適宜制御され、ロールバイト直下の油膜厚が、焼付き及び滑りを生じさせないような適切な範囲に制御される。このように、本実施形態によれば、直接測定された油膜厚の値に基づいて圧延油の供給が制御されるため、より高精度にロールバイト直下の油膜厚を制御することが可能となる。
(5.変形例)
以上説明した圧延油供給システム1では、エマルション潤滑が行われていたが、本実施形態はかかる例に限定されない。本実施形態では、ニート潤滑を行うための圧延油供給システムが構成されてもよい。
本実施形態の一変形例として、図7を参照して、ニート潤滑を行うための圧延油供給システムの構成について説明する。図7は、本実施形態の一変形例である、ニート潤滑を行うための圧延油供給システムの一構成例を示す図である。
図7では、鋼板2に対する冷間圧延用の圧延機10に対して、本変形例に係る圧延油供給システム1aが適用された場合における構成例を示している。圧延機10の構成は、上述した実施形態と同様のものを用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。
本変形例に係る圧延油供給システム1aは、ニートを貯留するニートタンク162と、圧延機10の入側に設置され、鋼板2及び圧延機10の作業ロール111、112にニートタンク162内のニートを供給するニートノズル161と、圧延機10の出側に設置され、鋼板2の表面上の油膜厚を測定する油膜厚計140と、圧延機10の入側におけるニートの供給を制御する制御装置150と、から主に構成される。このように、圧延油供給システム1aでは、圧延機10の入側においてニートが供給され、当該圧延機10においてニート潤滑が行われる。
なお、エマルション潤滑の代わりにニート潤滑が行われること以外は、圧延油供給システム1aの構成は、上述した圧延油供給システム1の構成と同様であり得る。具体的には、圧延油供給システム1aは、圧延油供給システム1において、第1のエマルションノズル121、第1のエマルションタンク122、第2のエマルションノズル131及び第2のエマルションタンク132の代わりに、ニートノズル161及びニートタンク162が設けられたものに対応する。圧延油供給システム1aの他の構成は、圧延油供給システム1と同様であるため、ここでは重複する事項についてはその詳細な説明を省略する。
制御装置150の機能も、制御する対象がエマルションの供給量からニートの供給量に変更されること以外は、圧延油供給システム1における制御装置150の機能と同様である。すなわち、制御装置150は、油膜厚計140によって測定された圧延機10の出側油膜厚の測定値に基づいて、ニートの供給量を制御する。具体的には、制御装置150は、圧延機10の出側油膜厚の測定値が適切かどうかを判断し、その判断結果に応じて、ニートの供給量を制御する。本変形例では、ニートタンク162からニートノズル161へのニートの供給経路に流量調整弁163が設けられており、制御装置150は、当該流量調整弁163の開閉を制御することにより、ニートの供給量を制御することができる。
本変形例では、上述した実施形態と同様に、事前に行われた試験等の結果に基づいて、上記数式(1)、(2)を用いて、出側油膜厚について、焼き付きを生じさせないような下限値tb及び滑りを生じさせないような上限値tuが設定されている。そして、制御装置150は、出側油膜厚の測定値がこの下限値tbと上限値tuの間に収まっている場合には、当該出側油膜厚が適切であると判断し、現在のニートの供給状態を維持する。
一方、制御装置150は、出側油膜厚の測定値が下限値tb以下である場合には、出側油膜厚が当該下限値tbよりも大きくなるようにニートの供給量を増加させる。この際、ニートの供給量の増加量としては、例えば、事前に、様々な圧延潤滑条件におけるニートの供給量と出側油膜厚との関係を実験等によって取得して制御装置150がアクセス可能な記憶装置(図示せず)に格納しておき、制御装置150が、当該関係に基づいて、出側油膜厚が下限値tbよりも大きくなるような適切なニートの供給量の増加量を決定すればよい。
また、制御装置150は、出側油膜厚の測定値が上限値tu以下である場合には、ニートの供給量を減少させる。この場合におけるニートの供給量の減少量についても、上記の増加量と同様に、制御装置150は、事前に取得された様々な圧延潤滑条件におけるニートの供給量と出側油膜厚との関係に基づいて、出側油膜厚が上限値tuよりも小さくなるような適切なニートの供給量の減少量を適宜決定すればよい。
ここで、上述したように、第1のエマルションのような比較的低濃度のエマルションを用いて潤滑を行っている場合には、その供給量を変更したとしても、高応答に出側油膜厚を制御することは困難である。そのため、上述した実施形態では、より高濃度の第2のエマルションの供給経路を別途用意しておき、当該第2のエマルションの供給量を変更することにより出側油膜厚を制御していた。これに対して、本変形例では、圧延油の原液を用いたニート潤滑が行われるため、当該ニートの供給量を変更することにより、高応答に出側油膜厚を制御することが可能になる。従って、図示するように、圧延油供給システム1aにおいては、圧延油の供給経路を複数設ける必要はなく、ニートについての供給経路のみを設けることで、潤滑状態の制御を高応答に行うことが可能になる。
以上、本実施形態の一変形例に係る圧延油供給システム1aの構成について説明した。以上説明したように、本実施形態では、ニート潤滑を対象とした圧延油供給システム1aが構成されてもよい。
本発明の効果を確認するために、本発明を実際に操業が行われている冷間圧延機に対して適用し、以下の実験を行った。
以上説明した本実施形態に係るエマルション潤滑についての圧延油供給方法を、冷間タンデム圧延機の最終スタンドに適用し、実際に入側における第2のエマルションの供給量を制御しながら圧延を行った。実験の条件は以下の通りである。
エマルションの基油としては合成エステル油を用いた。また、第1のエマルションは、濃度1(%)で作成し、圧延中における供給量は、片面20(L/min)とした。また、第2のエマルションは、濃度10(%)で作成した。
圧延材としては鋼板を用いた。当該鋼板は普通鋼であり、その形状は、板厚1.00(mm)、板幅1000(mm)である。
圧延は、1800(mpm)まで加速し、その状態で10分間の定常圧延を行った後、減速して終了した。
以上の条件で、20本のコイルに対して圧延を行い、圧延後のコイルの状態を調査した。なお、比較のため、本実施形態に係る圧延油供給方法を適用せず(すなわち、入側における第2のエマルションの供給量の制御を行わず、第1のエマルションのみを一定量供給し続けた状態で)、同様の条件によって、20本のコイルに対して圧延を行った。
その結果、本実施形態に係る圧延油供給方法を適用しなかった場合には、20本のコイルのうちの4本のコイルにおいて、ヒートスクラッチが発生した。これは、第2のエマルションの供給制御を適切に行わなかったことにより、ロールバイト直下の油膜厚が薄くなり、焼付きが発生したことを示している。
一方、本実施形態に係る圧延油供給方法を適用した場合には、20本のコイルの全てにおいて、ヒートスクラッチは発生しなかった。これは、第2のエマルションの供給制御を適切に行ったことにより、ロールバイト直下の油膜厚を適切な厚みに制御することができ、焼付きの発生が効果的に抑制されたことを示している。
更に、本発明者らは、本実施形態に係る圧延油供給方法を適用した場合、及び適用しなかった場合の双方において、上記の条件において、ヒートスクラッチが発生するまで圧延速度を増加させる実験を行った。その結果、本実施形態に係る圧延油供給方法を適用しなかった場合には、1800(mpm)でヒートスクラッチが発生したのに対して、本実施形態に係る圧延油供給方法を適用した場合には、2300(mpm)まで圧延速度を増加させたところでヒートスクラッチが発生した。当該結果は、本実施形態に係る圧延油供給方法を適用することにより、圧延材の品質を確保しつつより高速で冷間圧延を実行可能であることを示している。
以上の結果から、本発明を適用することにより、冷間圧延においてロールバイト直下の油膜厚を適切に制御することができ、ヒートスクラッチの発生を防止し歩留まりを向上させることが可能となることが確認できた。また、本発明を適用することにより、圧延材の品質を確保しつつより高速で冷間圧延を行うことが可能となることが確認できた。ここで、従来、冷間圧延においては、ヒートスクラッチの発生を懸念して、必要以上に低速で圧延が行われることが多かった。これに対して、本発明を適用することにより、上記のように、圧延材の品質を確保しつつより高速で冷間圧延を実行することが可能となるため、生産性の向上に寄与することができる。
(6.補足)
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、出側油膜厚を調整するために第2のエマルションの供給量を制御していたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、第2のエマルションの代わりにニートの供給量を制御してもよい。また、第1のエマルションとは別系統の圧延油の供給経路が、複数設けられてもよい。この場合、例えば、当該複数の供給経路は、それぞれ、互いに異なる濃度のエマルションを供給可能に構成されてよく、制御装置150は、異なる濃度の複数のエマルションの供給量をそれぞれ制御してもよい。当該構成によれば、実質的に、追加的に供給するエマルションの濃度及び供給量をともに制御することが可能となるため、出側油膜厚をより緻密に制御することが可能となる。
また、例えば、上記実施形態では、本発明に係る圧延油供給方法及び圧延油供給システムが適用される対象を、冷間タンデム圧延機を構成する任意の一基の圧延機としていたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、本発明は、冷間タンデム圧延機を構成する複数の圧延機に対して同時に適用されてもよい。あるいは、本発明は、レバース圧延機に対して適用されてもよい。本発明に係る圧延油供給方法及び圧延油供給システムが適用される圧延機は、冷間圧延用の圧延機であればよく、その種類は限定されない。