JP2006223763A - 内視鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】先端部の光学部材近傍における薬品耐性をより高めることができる内視鏡を提供する。
【解決手段】 照明光学系の最先端に設けられており外周面に半田流れ性の良い金属皮膜が形成されているカバーレンズ25と、このカバーレンズ25の外周面に嵌合する内周面を備え、この内側面に半田流れ性の良い金属皮膜が形成されていて、外周面には外方フランジ51aが形成されている筒状の枠部材51と、カバーレンズ25と枠部材51とを接合する半田52と、挿入部の先端部に設けられた先端部本体31と、先端部本体31を被覆するものであって、オートクレーブ耐性に優れた絶縁性の樹脂により形成され、枠部材51の外側面とインサート成型される先端部カバー32と、を備えた内視鏡。
【選択図】図5

Description

本発明は、挿入部の先端部に光学系を備える内視鏡に関する。
内視鏡は、医療用分野や工業用分野などにおいて広く用いられるようになっていて、一般に、被検体内へ挿入するための細長の挿入部を備えて構成されている。この挿入部の先端部には、被検部位を照明するための照明光学系や、この照明光学系により照明された被検部位の像を結像するための観察光学系などが設けられている。そして、観察光学系の結像位置に、光学内視鏡であればイメージガイドの先端面が、電子内視鏡であればCCD等の撮像素子が、それぞれ配置されている。
一方、内視鏡は、挿入部の可撓性に応じて、硬性内視鏡と軟性内視鏡とに分類される。これらの内の軟性内視鏡は、挿入部が可撓性を備えているが、該挿入部の先端部には、例えば金属などの硬質な素材で形成された先端部本体が設けられている。そして、この先端部本体に対して、上述したような光学系のレンズやレンズを保持するためのレンズ枠が固定されるようになっている。さらに、金属等で形成されている先端部本体を外部に対して絶縁するために、絶縁性の樹脂等で形成された先端部カバーが、先端側から先端部本体に対して取り付けられる。
このような構成において、光学系のレンズを先端部本体に固定する技術は、従来より種々のものが提案されている。
例えば、特開2000−135196号公報の段落番号[0069]〜[0073]には、レンズをレンズ枠に対して半田接合して固定し、このレンズ枠を先端部本体に対して半田接合する技術が記載されている。そして、レンズおよびレンズ枠が固定された先端部本体に対して、先端部カバーが接着固定されるようになっている。
同様に、特開2002−85326号公報の段落番号[0066]には、レンズを枠体に半田固定して、その枠体を先端部本体に固定する技術が記載されている。
また、特開2003−180621号公報の段落番号[0045]〜[0047]には、先端光学部材であるレンズと、レンズ枠と、を半田によって接合する技術が記載されている。
特開2000−135196号公報の段落番号[0069]〜[0073] 特開2002−85326号公報の段落番号[0066] 特開2003−180621号公報の段落番号[0045]〜[0047]
上記特開2000−135196号公報に記載されたような技術は、上述したように、レンズおよびレンズ枠が固定された先端部本体に対して、先端部カバーを接着固定するものとなっている。しかし、内視鏡の外部に露呈する接着部分は、消毒剤などの薬液に頻繁に浸漬されるために、該薬液によって浸食されることがある。そこで、こうした薬液に対する耐久性が高くなるように改良された接着剤が種々開発されているが、それにも関わらず、長期間に渡る繰り返しの薬液浸漬に伴って、接着部分が浸食されて縮退し気密性、水密性が損なわれるのを、完全に防ぐのは困難である。こうして、薬液に対するより高い耐性を備えた接合方法が望まれていた。
また、上記特開2002−85326号公報に記載のものでは、半田付けを行っている部分は、薬液に対する耐久性を向上することができるが、それ以外の部分については依然として薬液に対する十分に高い耐久性を備えているとはいえない。
同様に、上記特開2003−18062号公報に記載のものでは、半田付けされているレンズとレンズ枠との接合部分の耐久性は高いが、これらと先端部カバーとの接合部分の耐久性については考慮されていない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、先端部の光学部材近傍における薬品耐性をより高めることができる内視鏡を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、第1の発明による内視鏡は、1つ以上の光学部材を有する光学系と、前記光学系における1つ以上の光学部材の内の少なくとも最も先端側に配設された光学部材の外側面の少なくとも一部に嵌合する内側面を備え該内側面において前記光学部材の外側面と半田接合されるようになされた筒状の枠部材と、挿入部の先端部に設けられた先端部本体と、前記先端部本体を被覆するものであって絶縁性素材により形成され前記枠部材の外側面と直接的かつ一体的に結合されるようになされた先端部カバーと、を具備したものである。
また、第2の発明による内視鏡は、上記第1の発明による内視鏡において、前記先端部本体が金属により先端部カバーとは別体に形成されたものであり、前記先端部カバーは、前記先端部本体の先端面に取り付けられたものである。
さらに、第3の発明による内視鏡は、上記第1の発明による内視鏡において、前記先端部本体が、絶縁性素材により、前記先端部カバーと一体に形成されたものである。
第4の発明による内視鏡は、上記第3の発明による内視鏡において、前記光学系が有する光学部材は複数であって、前記枠部材は、前記光学系における複数の光学部材の内の一部の光学部材が取り付けられるものであり、前記先端部本体は、さらに、前記光学系における複数の光学部材の内の他の一部の光学部材を保持するための保持部が絶縁性素材により一体に形成されたものである。
第5の発明による内視鏡は、上記第1の発明による内視鏡において、前記枠部材が、前記先端部カバーに対してインサート成型されることにより、直接的かつ一体的に結合されたものである。
第6の発明による内視鏡は、上記第1の発明による内視鏡において、前記光学系における1つ以上の光学部材の内の少なくとも最も先端側に配設された光学部材の外側面には半田流れ性の良い金属皮膜が形成されており、前記枠部材の内側面には半田流れ性の良い金属皮膜が形成されている。
第7の発明による内視鏡は、上記第6の発明による内視鏡において、前記光学部材の外側面に形成された半田流れ性の良い金属皮膜は50〜500μm厚のCr金属皮膜とこのCr金属皮膜に積層される600〜3000μm厚のNi金属皮膜とこのNi金属皮膜に積層される100〜1000μm厚のAu金属皮膜とを有して構成され、前記枠部材の内側面に形成された半田流れ性の良い金属皮膜は1〜6μm厚のNi金属皮膜とこのNi金属皮膜に積層される0.06〜0.6μm厚のAu金属皮膜とを有して構成されている。
第8の発明による内視鏡は、上記第1の発明による内視鏡において、前記絶縁性素材が、オートクレーブ耐性に優れた絶縁性の樹脂である。
本発明の内視鏡によれば、先端部の光学部材近傍における薬品耐性をより高めることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施形態1]
図1から図8は本発明の実施形態1を示したものであり、図1は内視鏡の外観を示す斜視図、図2は挿入部先端部の先端面側を示す要部拡大斜視図、図3は挿入部先端部の内部における鉗子チャンネルと観察光学系とを含む部分の断面図、図4は挿入部先端部の内部における照明光学系を含む部分の断面図、図5は照明光学系と先端部本体と先端部カバーとの接続構造を示す要部断面図、図6は光学系と先端部本体と先端部カバーとの接続構造の変形例1を示す要部断面図、図7は光学系と先端部本体と先端部カバーとの接続構造の変形例2を示す要部断面図、図8は光学系と先端部本体と先端部カバーとの接続構造の変形例3を示す要部断面図である。
本実施形態においては、内視鏡として、観察光学系の結像位置に撮像素子を配置して構成される医療用の電子内視鏡を例に挙げて説明する。
図1に示すように、内視鏡1は、体腔内に挿入される細長の挿入部2と、この挿入部2の基端側に設けられた操作部3と、この操作部3から延出されるコネクタコード(あるいはユニバーサルコード)4と、を備えている。
挿入部2は、先端側から基端側に向かって順に、先端部5と、湾曲自在の湾曲部6と、長尺で可撓性(軟性)を有する軟性管部7と、を有して構成されている。
操作部3には、術者が把持するための把持部3aが設けられている。さらに、操作部3における把持部3aの術者から見た後方位置には、湾曲部6を湾曲する操作を行うための湾曲操作レバー8が設けられている。この湾曲操作レバー8には、挿入部2内を挿通されている図示しない操作ワイヤの一端が固定されており、該操作ワイヤの他端は湾曲部6の先端に固定されている。従って、術者がこの湾曲操作レバー8を操作して操作ワイヤを牽引すると、湾曲部6が上下に湾曲される。こうして、湾曲操作レバー8の操作により、先端部5を所望の方向に向けることができるようになっている。
また、操作部3における把持部3aの術者から見た手前側には、鉗子等の処置具を挿入するための鉗子挿入口9が設けられている。この鉗子挿入口9から挿入された処置具は、挿入部2の内部に設けられている鉗子チャンネル26(図2、図3参照)内を挿通されて、先端部5の開口部となる鉗子口27(図2、図3参照)から突出される。この状態で処置具を操作することにより、患部組織を採取する処置等を行うことができる。
また、操作部3から延出されたコネクタコード4の先端部には、光源接続部10と、画像処理装置接続部11と、を有するコネクタ12が設けられている。
コネクタ12の先端側に設けられた光源接続部10は、挿入部2、操作部3、およびコネクタコード4内を挿通されているライトガイド45(図4参照)の一端を接続するライトガイドコネクタ等を含んで構成されていて、図示しない光源装置に着脱自在に接続されるようになっている。そして、光源接続部10と光源装置とが接続された状態においては、光源装置から発生された照明光が、この光源接続部10を介して、ライトガイド45へ伝送され、該ライトガイド45により挿入部2の先端側へ伝送されるようになっている。
また、コネクタ12の側部に設けられた画像処理装置接続部11は、ビデオプロセッサ等の図示しない画像処理装置に接続するための接続部である。先端部5に配設されている後述するCCD35(図3参照)からの映像信号が、画像処理装置接続部11を介して画像処理装置へ伝送され処理されて、画像処理装置に接続されたモニタ等に表示されるようになっている。
図2に示すように、挿入部2の先端部5の先端面21には、被検部位の光学像を後述するCCD35に結像するための観察光学系22における第1レンズ22aと、被検部位を照明する照明光学系24の先端部分を覆うカバーレンズ25と、前記鉗子挿入口9に連通する鉗子チャンネル26の出口側の開口部となる鉗子口27と、が露呈している。
図3および図4に示すように、先端部5は、硬質な素材、例えば金属により略円柱形状に形成された先端部本体31を備えており、この先端部本体31の内部には、観察光学系22を配置するための挿入方向に沿った透孔31aと、鉗子チャンネル26を配置するための同挿入方向に沿った透孔31bと、照明光学系24を配置するための同挿入方向に沿った透孔31cと、が形成されている。
透孔31aに配設される観察光学系22は、保持部たるレンズ支持部材33,34により支持された状態で、該透孔31aに取り付けられるようになっている。
この観察光学系22は、先端側から基端側に向かって順に、前記第1レンズ22aと、第2レンズ22bと、第3レンズ22cと、第4レンズ22dと、第5レンズ22eと、を光学部材として含んで構成されている。
これらのレンズの内の、第1〜第4レンズ22a〜22dは、例えば金属等の硬質な素材により筒状に形成された枠体としてのレンズ支持部材33に固着されており、このレンズ支持部材33が、上述したように、先端部本体31に取り付けられて、半田付けや接着により固定されている。なお、レンズ支持部材33の先端側と後述する先端部カバー32との間は、必要に応じて接着剤等により充填される。また、第5レンズ22eは、やや大径であるために、このレンズ支持部材33の基端側に外嵌される第2のレンズ支持部材34に固着されている。
このような観察光学系22の結像位置には、撮像素子たるCCD(電荷結合素子)35の撮像面が配置されており、結像された光学像を電気信号に変換するようになっている。このCCD35は、電気回路基板36に実装されており、この電気回路基板36からは信号線37が延設されて、挿入部2、操作部3、コネクタコード4を介して、上述した画像処理装置接続部11へ接続されるようになっている。
また、透孔31b内には、先端側鉗子口口金38が半田付けや接着等により固定されており、この先端側鉗子口口金38の基端側の外側に、中空で可撓性を有するチャンネルチューブ39が挿入されて接着剤等で固定されている。このチャンネルチューブ39の湾曲部分の外周には、金属により形成された螺旋状のチャンネルコイル44が外嵌されていて、該チャンネルチューブ39の座屈を防止したり曲げ耐性を向上したり操作力量を低減したりするなどの機能を果たすようになっている。
さらに、透孔31c内には、ファイババンドルでなるライトガイド45が挿通されており、この透孔31cの先端側の拡径された部分に、前記カバーレンズ25が、後で詳しく説明するような構造によって枠部材51を介して取り付けられている。また、ライトガイド45の透孔31c内における基端側は、保護筒46により覆われており、この保護筒46の基端側において、ライトガイド45を覆うチューブ47が外側から挿入されている。このライトガイド45は、挿入部2、操作部3、コネクタコード4を介して、上記光源接続部10に接続されている。そして、光源装置からの照明光は、ライトガイド45によって、先端部5へ導かれる。その後、ライトガイド45の先端面から出射された照明光は、カバーレンズ25を介して、前方へ拡開して出射され、被検部位側を照明するようになっている。
上述したような先端部本体31の先端側には、先端部カバー32が例えば接着等により取り付けられている。この先端部カバー32は、オートクレーブ耐性に優れた絶縁性の樹脂を素材として形成されており、具体的な素材名としては、例えば、ポリフェニルサルフォン、ポリサルフォン等が挙げられる。
さらに、先端部本体31の基端側には、湾曲部6の最先端を構成する第1の節輪40が外嵌される。そして、先端部本体31と第1の節輪40を含む湾曲部6との全体を外側から覆うように、水密かつ気密で柔軟性を有する外皮チューブ41が被覆される。
この外皮チューブ41の先端部は、先端部カバー32よりも基端側となる先端部本体31の外周側において、テグス42を巻回することにより、該先端部本体31に対して固定されている。さらに、このテグス42を覆うように、接着剤等で構成される接着層43が形成されている。この接着層43は、先端部カバー32の表面から外皮チューブ41の表面に渡って十分に肉厚となるように形成されており、薬品等の浸食にも耐え得るように構成されている。従って、挿入部2の先端部5は、側面側において十分な水密性および気密性が保たれている。
次に、図5を参照して、照明光学系24のカバーレンズ25と、先端部本体31と、先端部カバー32と、の接続構造について説明する。
カバーレンズ25は、上述したように枠部材51を介して、先端部カバー32に取り付けられるようになっている。
まず、カバーレンズ25は、硝材を用いて、光学面を有する略短円柱形状に形成された光学部材であり、外周面には半田流れ性の良い金属皮膜が形成されている。この半田流れ性の良い金属皮膜は、具体的には、例えば、50〜500μm厚のCr金属皮膜と、このCr金属皮膜に積層される600〜3000μm厚のNi金属皮膜と、このNi金属皮膜に積層される100〜1000μm厚のAu金属皮膜と、を有して構成されている。
また、枠部材51は、例えば金属やセラミック等の硬質な素材により、略短円筒形状に形成された部材である。この枠部材51の内周面は、カバーレンズ25を嵌合し得る形状となっており、該内周面の軸方向長さは、カバーレンズ25の外周面の軸方向長さをカバーし得る長さとなっている。従って、カバーレンズ25の外周面は、略全面が、枠部材51の内周面に嵌合可能となっている。そして、枠部材51の内周面には、半田流れ性の良い金属皮膜が形成されている。この半田流れ性の良い金属皮膜は、具体的には、例えば、1〜6μm厚のNi金属皮膜と、このNi金属皮膜に積層される0.06〜0.6μm厚のAu金属皮膜と、を有して構成されている。また、枠部材51は、外周面の軸方向途中位置から外方フランジ51aを突設している。
そして、カバーレンズ25と枠部材51とは、半田52を用いて、水密かつ気密となるように接合されている。ここに、半田52としては、金錫半田(例えば、Au80−Sn20、あるいはAu10−Sn90など)を用いている。こうして、鉛を使用していない半田を用いることにより、環境等に配慮した構成となっている。そして、半田52は、カバーレンズ25の外周面と枠部材51の内周面とに形成された金属被膜の作用により、全周面に渡ってほぼ均一に流れ、カバーレンズ25の外周面の全面を、枠部材51の内周面に対して接合する。このような半田52の均一性、およびカバーレンズ25の全外周面における接合により、カバーレンズ25は、不均一な接合の場合や外周面の部分的な接合の場合に発生し得るような不均一な応力を受けることはなくなる。これにより、従来は、カバーレンズ25を構成する硝材として、強度や配光などの観点から、例えば応力に対する歪みや割れが発生しにくい硝材を選択しなければならなかったのに比して、より広範囲の硝材を選択することが可能となる。従って、コストを削減したり、光学性能の向上を図ったり、軽量化を図ったりすることができる。
上述したような枠部材51は、先端部カバー32に対して、インサート成型により、直接的かつ一体的に結合されている。ここに、「直接的」とは、他の部材、接着剤、半田などを介していないことを意味している。このとき、外方フランジ51aは、枠部材51が、先端部カバー32に対して、挿入軸の方向に位置ずれするのを防止するものとなっている。なお、ここでは外方フランジ51aとしたが、例えば挿入軸周りの位置ずれをも防止するために、枠部材51の外周面から複数の突起を突設するようにしても構わない。
図5に示すような構成における水密性および気密性は、次のように保たれている。
まず、カバーレンズ25と枠部材51との間は、半田52により、高い薬品耐性をもって、水密性および気密性を保持している。
次に、枠部材51と先端部カバー32との間は、インサート成型により接合されているために、薬品により浸食されるような中間的な部分(例えば、従来の接着部分等)が存在せず、高い薬品耐性をもって、水密性および気密性を保持している。
また、先端部カバー32は、先端部本体31に対して例えば接着により接合されるが、該接合部分の外周側には、外皮チューブ41と、巻回されているテグス42と、十分な厚さの接着層43と、が形成されている。従って、先端部カバー32と先端部本体31との接合部分においても、高い薬品耐性をもって、水密性および気密性が保持されている。
なお、この図5に示す構成においては、枠部材51が挿入部2の先端面21に露呈しているが、該枠部材51を金属等で形成する場合には、内部と外部とを絶縁することが望ましいために、露呈しないように形成すると良い。例えば、枠部材51の先端面側を先端部カバー32内に埋め込むようにインサート成型しても良いし、他の絶縁部材を用いて枠部材51の先端面側を被覆するようにしても構わない。これにより、内視鏡1の静電気特性を向上することができる。
次に、図6を参照して、光学系と先端部本体と先端部カバーとの接続構造の変形例1について説明する。
図5に示した例は、単一のレンズでなるカバーレンズ25を、枠部材51を介して先端部カバー32に高い薬品耐性をもって水密および気密に取り付けるものであったが、この変形例1は、複数のレンズを、枠部材51Aを介して先端部カバー32に高い薬品耐性をもって水密および気密に取り付けるものとなっている。
すなわち、光学系は、先端側から基端側に向かって順に、第1レンズ53a、第2レンズ53b、第3レンズ53c、第4レンズ53dを光学部材として含んで構成されている。
また、枠部材51Aは、これらのレンズ53a〜53dを保持し得る筒状部材であり、外周面から外方フランジ51Aaを突設している。
そして、光学系を構成するレンズ53a〜53dの内の、少なくとも最先端の第1レンズ53aは、外周面に半田流れ性の良い金属皮膜が形成されている。また、枠部材51Aの少なくとも該第1レンズ53aを嵌合する内周面部分にも、半田流れ性の良い金属皮膜が形成されている。こうして、第1レンズ53aと枠部材51Aとは、半田52を用いて上述したように接合されている。なお、第2レンズ53b〜第4レンズ53dは、同様に半田を用いて枠部材51Aと接合しても良いし、あるいは接着により枠部材51Aと接合しても構わない。なぜならば、第1レンズ53aと枠部材51Aとの半田52を用いた接合により、既に、高い薬品耐性をもった水密性および気密性が確保されているためである。
さらに、枠部材51Aが、先端部カバー32に対して、インサート成型により直接的かつ一体的に結合されているのは上述と同様である。
このように、枠部材は単一の光学部材を取り付けるに限るものではなく、複数の光学部材を取り付けることも可能となっている。
続いて、図7を参照して、光学系と先端部本体と先端部カバーとの接続構造の変形例2について説明する。
この変形例2における枠部材51Bは、内周面側の構成や、内周面側においてカバーレンズ25を半田52により接合する構成については、図5に示した枠部材51と同様である。ただし、この枠部材51Bは、外周面側に、外方フランジに代えて、周溝51Baが形成されている。このような枠部材51Bを先端部カバー32に対してインサート成型すると、先端部カバー32側の樹脂が該周溝51Ba内を充填するために、先端部カバー32側の凸部が該周溝51Baと嵌合している状態となる。こうして、この変形例2は、先端部カバー32側が凸、枠部材51B側が凹となっていて、図5に示したような、先端部カバー32側が凹、枠部材51B側が凸となっているものとは逆の関係となっている。このような構成によっても、枠部材51Bの先端部カバー32に対する軸方向のずれを防止することが可能となる。なお、この図7に示すような構成においても、周溝51Baに代えて複数の凹部を枠部材51Bに設けることにより、挿入軸周りの位置ずれをも防止するようにしても構わない。
図8は光学系と先端部本体と先端部カバーとの接続構造の変形例3を示す要部断面図である。
この変形例3における枠部材51Cは、内周面側の構成や、内周面側においてカバーレンズ25を半田52により接合する構成については、図5に示した枠部材51と同様である。ただし、この枠部材51Cは、外周面側に、外方フランジに代えて、雄ねじ51Caを形成している。そして、先端部カバー32側に雌ねじ32Caを形成し、これら雄ねじ51Caと雌ねじ32Caとを螺合することにより、枠部材51Cと先端部カバー32とを直接的かつ一体的に結合するようになっている。このように、枠部材51Cと先端部カバー32との直接的かつ一体的な結合は、インサート成型によってのみなされるものではなく、その他の各種の手段を用いることも可能となっている。
さらに、特に図示はしないが、光学系と先端部本体と先端部カバーとの接続構造の変形例4について説明する
この変形例4は、枠部材51の外周面を粗面として、先端部カバー32に設けた取付孔に圧入するようにしたものである。このときには、粗面に生じ得る摩擦力が、枠部材51の軸方向への位置ずれを防止するようになっている。
この変形例4も、枠部材51と先端部カバー32とを、インサート成型を用いることなく、直接的かつ一体的に結合する例となっている。
なお、上述では、挿入軸方向から見たときに円形をなす光学レンズおよび枠部材を例に挙げたが、もちろんこれに限るものではなく、例えば挿入軸方向から見たときに楕円形状をなす光学レンズおよび枠部材や、Dカット形状をなす光学レンズおよび枠部材などであっても構わない。このときには、各形状の光学レンズの外側面(つまり、周面になるとは限らないために、より一般的な「外側面」と表現している)と、同形状の枠部材の内側面と、が半田接合されることになる。
また、光学部材としては、光学レンズに限るものではなく、カバーガラスであっても良いし、その他の光学部材であっても構わない。
このような実施形態1によれば、枠部材を先端部カバーにインサート成型等により直接的かつ一体的に結合しているために、枠部材と先端部カバーとを接着した場合に比して、薬品に対する耐久性を高めることができ、より高い気密性や水密性を確保することが可能となる。
また、枠部材と光学部材とを半田接合しているために、接着剤を用いる場合に比して薬品浸漬の影響が小さくなり、より高い水密性および気密性を確保することが可能となる。
そして、光学部材は、枠部材に対して、長い軸方向長さで周面において半田付けされている(つまり、挿入軸方向の嵌合長が長い)ために、短い軸方向長さで周面において半田付けする場合に比して、半田接合後に光学部材に加わる応力を均一化し緩和することが可能となる。加えて、光学部材の外周面と、枠部材の内周面と、に半田流れ性の良い金属皮膜を形成してから半田付けを行っているために、より半田の広がりを均一化させることができる。こうして、より安定した光学性能を得ることが可能になるとともに、硝材をより広範囲のものから選択することが可能となり、製造コストを下げたり、光学性能を向上したり、より薄型化や軽量化を図ったりすることができる。
さらに、枠部材と光学部材とを半田接合しているために、先端部カバーを交換するときやチャンネルを交換するときなどのリペア時に、光学部材の脱落や破壊をより確実に防止することが可能となる。
[実施形態2]
図9および図10は本発明の実施形態2を示したものであり、図9は照明光学系と観察光学系の一部と先端部本体との接続構造を示す断面図、図10は照明光学系と先端部本体との接続構造を示す拡大断面図である。
この実施形態2において、上述の実施形態1と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
この実施形態2においては、先端部本体61は、上述した実施形態1における先端部本体31と先端部カバー32と、を一体に構成したものとなっている。そして、先端部本体61は、オートクレーブ耐性に優れた絶縁性の樹脂(上述したように、例えば、ポリフェニルサルフォン、ポリサルフォン等)を使用して、形成されている。
このような先端部本体61には、観察光学系22を配置するための挿入方向に沿った上記透孔31aと同様の透孔61aと、鉗子チャンネル26を配置するための同挿入方向に沿った透孔31bと同様の図示しない透孔と、照明光学系24を配置するための同挿入方向に沿った透孔31cと同様の透孔61cと、が形成されている。
このような構成の先端部本体61にカバーレンズ25を取り付けるための構成は、上述した実施形態1において先端部カバー32にカバーレンズ25を取り付けるための構成と同様となっている。
すなわち、カバーレンズ25は、枠部材51の内周面に半田付けされるようになっており、また枠部材51は外周面側において先端部本体61に対して例えばインサート成型により直接的かつ一体的に結合されている。
このような実施形態2によれば、上述した実施形態1とほぼ同様の効果を奏するとともに、別部材等を用いなくても、金属が外部に露呈することがないために、簡単な構成で静電気特性を向上することが可能となる。
[実施形態3]
図11は本発明の実施形態3を示したものであり、図11は照明光学系と観察光学系の一部と先端部本体との接続構造を示す断面図である。
この実施形態3において、上述の実施形態1,2と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
この実施形態3における先端部本体71は、上述した実施形態2における先端部本体61に対して、さらに、保持部たるレンズ支持部材33を一体に構成したものとなっている。このとき、先端部本体71を形成する素材は、上述と同様に、オートクレーブ耐性に優れた絶縁性の樹脂(上述したように、例えば、ポリフェニルサルフォン、ポリサルフォン等)である。
この先端部本体71にも、観察光学系22を配置するための挿入方向に沿った上記透孔31aと同様の透孔71aと、鉗子チャンネル26を配置するための同挿入方向に沿った透孔31bと同様の図示しない透孔と、照明光学系24を配置するための同挿入方向に沿った透孔31cと同様の透孔71cと、が形成されている。
また、この実施形態おいては、観察光学系22における最も先端側に位置する第1レンズ22aが、少なくとも、上記カバーレンズ25と同様に、先端部本体71に対して取り付けられている。
すなわち、第1レンズ22aは、枠部材72を介して、先端部本体71に取り付けられるようになっている。
まず、第1レンズ22aの外周面には、半田流れ性の良い金属皮膜が形成されている。
次に、枠部材72は、内周面に半田流れ性の良い金属皮膜が形成されていとともに、外周面の軸方向途中位置から外方フランジ72aを突設している。
そして、第1レンズ22aと枠部材72とは、半田73を用いて、水密かつ気密となるように接合されている。
さらに、枠部材72は、先端部本体71に対して、インサート成型により、直接的かつ一体的に結合されている。
なお、観察光学系22の第2レンズ22bとこれよりも基端側の各レンズは、透孔71aへ取り付ける際に、半田、接着、その他の手段の何れを用いて取り付けるようにしても構わない。
このようにレンズ支持部材を先端部本体71に一体化することにより、カバーレンズ25と第1レンズ22aとの間の距離L2は、レンズ支持部材33を別体とした図9における距離L1に比して、より小さくすることが可能となる。
このような実施形態3によれば、上述した実施形態1,2とほぼ同様の効果を奏するとともに、観察光学系22の近傍部分も、薬品に対する耐久性を高めることができ、より高い気密性や水密性を確保することが可能となる。
また、レンズ支持部材が先端部本体に対して樹脂により一体形成されているために、先端面に金属部材が露呈することがなくなり、より一層、静電気特性を向上することができる。
そして、図9に示したようなレンズ支持部材が別体である場合に比して、照明光学系と観察光学系との距離をより小さくすることができ、先端部の細径化を図ることが可能となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
[付記]
以上詳述したような本発明の上記実施形態によれば、以下のごとき構成を得ることができる。
(1) 体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部の先端に設けられた先端部本体と、
貫通する孔部を備え、前記先端部本体を被覆するカバー部と、
前記孔部に係止される係止部を有する外周面と、中空の内周面と、を備えた筒状の枠部材と、
前記枠部材の内周面に半田接合される光学部材と、
を具備したことを特徴とする内視鏡。
(2) 体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部の先端に設けられた先端部本体と、
前記先端部本体を被覆する樹脂製のカバー部と、
前記カバー部に係止される係止部を有する外周面と、中空の内周面と、を備え、前記カバー部にインサート成型された筒状の枠部材と、
前記枠部材の内周面に半田接合される光学部材と、
を具備したことを特徴とする内視鏡。
(3) 体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部の先端に設けられ、貫通する孔部を備えた先端部本体と、
前記孔部に係止される係止部を有する外周面と中空の内周面とを備えた筒状の枠部材と、
前記枠部材の内周面に半田接合される光学部材と、
を具備したことを特徴とする内視鏡。
(4) 体腔内に挿入可能な挿入部と、
前記挿入部の先端に設けられた樹脂製の先端部本体と、
前記先端部本体に係止される係止部を有する外周面と中空の内周面とを備え、前記先端部本体にインサート成型された筒状の枠部材と、
前記枠部材の内周面に半田接合される光学部材と、
を具備したことを特徴とする内視鏡。
本発明は、挿入部の先端部に光学系を備える内視鏡に好適に利用することができる。
本発明の実施形態1における内視鏡の外観を示す斜視図。 上記実施形態1における挿入部先端部の先端面側を示す要部拡大斜視図。 上記実施形態1の挿入部先端部の内部における鉗子チャンネルと観察光学系とを含む部分の断面図。 上記実施形態1の挿入部先端部の内部における照明光学系を含む部分の断面図。 上記実施形態1において、照明光学系と先端部本体と先端部カバーとの接続構造を示す要部断面図。 上記実施形態1において、光学系と先端部本体と先端部カバーとの接続構造の変形例1を示す要部断面図。 上記実施形態1において、光学系と先端部本体と先端部カバーとの接続構造の変形例2を示す要部断面図。 上記実施形態1において、光学系と先端部本体と先端部カバーとの接続構造の変形例3を示す要部断面図。 本発明の実施形態2において、照明光学系と観察光学系の一部と先端部本体との接続構造を示す断面図。 上記実施形態2において、照明光学系と先端部本体との接続構造を示す拡大断面図。 本発明の実施形態3において、照明光学系と観察光学系の一部と先端部本体との接続構造を示す断面図。
符号の説明
1…内視鏡
2…挿入部
3…操作部
3a…把持部
4…コネクタコード
5…先端部
6…湾曲部
7…軟性管部
8…湾曲操作レバー
9…鉗子挿入口
10…光源接続部
11…画像処理装置接続部
12…コネクタ
21…先端面
22…観察光学系
22a〜22e…レンズ(光学部材)
24…照明光学系
25…カバーレンズ(光学部材)
26…鉗子チャンネル
27…鉗子口
31,61,71…先端部本体
31a,61a,71a…透孔
31b…透孔
31c,61c,71c…透孔
32…先端部カバー
32Ca…雌ねじ
33,34…レンズ支持部材(保持部)
35…CCD
36…電気回路基板
37…信号線
38…先端側鉗子口口金
39…チャンネルチューブ
40…第1の節輪
41…外皮チューブ
42…テグス
43…接着層
44…チャンネルコイル
45…ライトガイド
46…保護筒
47…チューブ
51,51A,51B,51C,72…枠部材
51a,51Aa,72a…外方フランジ
51Ba…周溝
51Ca…雄ねじ
52,73…半田
53a〜53d…レンズ(光学部材)
代理人 弁理士 伊 藤 進

Claims (8)

  1. 1つ以上の光学部材を有する光学系と、
    前記光学系における1つ以上の光学部材の内の、少なくとも最も先端側に配設された光学部材の外側面の少なくとも一部に嵌合する内側面を備え、該内側面において前記光学部材の外側面と半田接合されるようになされた筒状の枠部材と、
    挿入部の先端部に設けられた先端部本体と、
    前記先端部本体を被覆するものであって、絶縁性素材により形成され、前記枠部材の外側面と直接的かつ一体的に結合されるようになされた先端部カバーと、
    を具備したことを特徴とする内視鏡。
  2. 前記先端部本体は、金属により、先端部カバーとは別体に形成されたものであり、
    前記先端部カバーは、前記先端部本体の先端面に取り付けられたものであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  3. 前記先端部本体は、絶縁性素材により、前記先端部カバーと一体に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  4. 前記光学系が有する光学部材は複数であって、
    前記枠部材は、前記光学系における複数の光学部材の内の一部の光学部材が取り付けられるものであり、
    前記先端部本体は、さらに、前記光学系における複数の光学部材の内の他の一部の光学部材を保持するための保持部が、絶縁性素材により一体に形成されたものであることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
  5. 前記枠部材は、前記先端部カバーに対してインサート成型されることにより、直接的かつ一体的に結合されたものであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  6. 前記光学系における1つ以上の光学部材の内の、少なくとも最も先端側に配設された光学部材の外側面には、半田流れ性の良い金属皮膜が形成されており、
    前記枠部材の内側面には、半田流れ性の良い金属皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
  7. 前記光学部材の外側面に形成された半田流れ性の良い金属皮膜は、50〜500μm厚のCr金属皮膜と、このCr金属皮膜に積層される600〜3000μm厚のNi金属皮膜と、このNi金属皮膜に積層される100〜1000μm厚のAu金属皮膜と、を有して構成され、
    前記枠部材の内側面に形成された半田流れ性の良い金属皮膜は、1〜6μm厚のNi金属皮膜と、このNi金属皮膜に積層される0.06〜0.6μm厚のAu金属皮膜と、を有して構成されていること特徴とする請求項6に記載の内視鏡。
  8. 前記絶縁性素材は、オートクレーブ耐性に優れた絶縁性の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
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