JP2006222159A - 高出力増幅回路 - Google Patents

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【課題】 高周波パターンの特性インピーダンスを変えることなく、高周波パターンの電流容量を大きくすることのできる高出力増幅回路を提供する。
【解決手段】 大電流の流れる部分では、2層目導体パターンを削除し、3層目導体パターン122を高周波パターン121aのグランドとして使用することにより、高周波パターン121aとグランド層3層目導体パターンで挟まれた絶縁体層131の厚さが厚くなり、特性インピーダンスを変えることなく高周波パターン121aのパターン幅を広くすることが出来、電流容量を大きくすることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、通信システムなどに用いられる高周波回路装置、特に送信系などに使用され大電流の流れるFET等の半導体素子を用いた高出力増幅回路に関する。
FET等の半導体素子の高出力化が進むと電流増加は必須であり、バイアス回路や高周波信号ラインのパターンに大電流を流すため、パターンの電流容量を大きくする必要がある。
前記パターンの電流容量を大きくするためには、特開平10−242600号公報に示されるように、補助パターンを追加しパターン幅を広くするか、パターンの上に導体を貼って導体厚を厚くすることによって、パターンの断面積を大きくしなければならない。
特開平10−242600号
しかし、高周波回路においては、高周波信号を伝送路の入力側から出力側へ効率よく伝送するために、伝送路の入出力の整合をとる必要がある。そのため、高周波パターンのインピーダンスを、ある特定値のインピーダンス(特性インピーダンスという。例えば、高周波伝送系では50Ω系が一般的である)に設定する必要がある。上記特性インピーダンスは、絶縁体層厚、絶縁体の誘電率、パターン幅、導体厚などにより決まるため、高周波パターンの電流容量を大きくするために補助パターンを追加しパターン幅を広くすると、高周波パターンの特性インピーダンスが変化し、高周波性能を満足できない。また、パターンの上に導体を貼って導体厚を厚くしてパターンの断面積を大きくした場合、追加工が必要となり、余計な手間とコストがかかってしまうばかりでなく、高周波パターンの特性インピーダンスが少しずれてしまうため、高周波性能の調整が必要となる。
本発明は、前記した問題を解決するために、多層基板において大電流を流す必要のある部分の高周波パターンのグランド層を2層目より下の層にもってくることにより、絶縁体層厚を厚くし、特性インピーダンスを変えることなく高周波パターンのパターン幅を広くするようにした。これにより、高周波性能を悪化させることなく、高周波パターンの電流容量を大きくすることのできる高出力FET回路を提供することを目的とする。
本発明にかかる高出力増幅回路は、金属膜層及び絶縁体層を多層に積層してなる回路基板にFET素子を実装し形成される高出力増幅回路であって、入力信号ラインに接続され高周波信号が入力されるゲート端子、出力信号ラインに接続され上記高周波信号が電力増幅された高周波信号が出力されるドレイン端子、回路グランドに接続されるソース端子を有するFET素子と、上記入力信号ラインを表面の金属膜層に設けられる狭い幅の入力信号パターンとこの入力信号パターンに対向し表面からの第2の金属膜層に設けられる入力接地パターンとで形成し、上記出力信号ラインを表面の金属膜層に設けられる上記入力信号パターンより広い幅の出力信号パターンとこの出力信号パターンに対向し表面からの第3以上の金属膜層に設けられる出力接地パターンとで形成し、上記入力および出力接地パターンをスルーホールを介して回路グランドに接続した回路基板とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の構成では、大電流を流す必要のある高周波パターンの特性インピーダンスを変えることなく電流容量を大きくすることができるため、別途高周波性能の調整をする必要がないばかりでなく、パターンの上に導体を貼るような追加工も必要ないため、手間とコストを抑えることが出来る。また、大電流を流す必要のない部分では、従来通り高周波パターンのグランド層を2層目に持ってくることによって3層目以下の層を制御回路用などとして使用することが出来るため、基板の小型化への効果も期待できる。また、大電流を流す必要のある部分に別途絶縁体層厚の厚い基板を準備する必要がなく、1枚の多層基板で高出力FET回路を実現できるため低コストにもつながる。
実施例1.
図1〜3に、本発明の一実施例にかかる高出力FET回路の概略構成を示す。図において、1は多層基板であり、図2、3に示すように両表面層(表面の第1層111、121と裏面の第6層116、126)の他、内層(第2層112から第5層115、125)にも金属膜層を有する6層の多層基板を一例として示した。2はFET素子であり、高周波信号入力側のゲート端子2aと高周波信号出力側のドレイン端子2bの2信号端子を備える。ソース端子は図示されていないが、FET素子2のパッケージグランドに接続されている。
111aは金属膜の表面層(第1層)に形成された信号入力側の高周波パターン、121aは同じく表面層に形成された信号出力側の高周波パターン、111bは入力側のバイアスパターン、121bは出力側のバイアスパターンである。131は金属膜層に挟まれた絶縁体層である。11は入力側の多層基板の一部を、12は出力側の多層基板の一部をそれぞれ示す。ここで、FET2を実装した6層多層基板1の大電流を流す必要のない部分11と大電流を流す必要のある部分12は、図1に表示されていない部分でつながっているものとする(一枚の基板で構成されている)が、2つに分かれた別基板でも良い。また、多層基板1の層数は6層に限るものではない。なお、図1の実装図においては、後述するFET2のバイアス回路を形成するキャパシタンス、インダクタンス等の回路部品、これら部品実装に関連するグランドパターンについては記載を省略している。
入出力信号ラインの高周波パターン111a、121aの両側には、基板各層のグランド間を相互に接続するスルーホールが形成されている。例えば、本実施例では、後述するように入力側のパターン111aとの間でマイクロストリップラインを形成するグランド層は第2層112に設けられている(図2参照)。このパターン111aとグランドである第2層112とでマイクロストリップラインが形成される。一方、出力側のパターン121aに対応するグランド層は第3層123に設けられており(図3参照)、このパターン121aとグランドである第3層123とでマイクロストリップラインが形成される。この第2層と第3層のグランド層がスルーホールにより接続されている。図2に示すようにスルーホールの第2層と第3層間の内壁には金属膜が形成されており、グランド間が接続されることとなる(図2中スルーホールの太線部分が金属膜形成部分。本図では、第1層と第2層の間の内壁には金属膜が形成されていない)。なお、この入出力信号ラインを形成するグランド間を接続するスルーホールは、図に示すようにマイクロストリップライン両側であって、FET素子に接近させて設けることが望ましい。これは、入出力間のグランド電流の経路を最短とするためである。
図2に示すように、本実施例の高出力FET回路は、高出力FET2のゲート端子2aが接続されている大電流を流す必要のない部分11(以下、「多層基板入力部」ともいう)では、高周波パターン111aやバイアス回路111bなどで構成されている1層目導体パターン111、上記高周波パターンのグランド層である2層目導体パターン112、制御回路や電源回路、グランド層などに使用する3層目導体パターン113、4層目導体パターン114、5層目導体パターン115、回路全体の共通グランド層(筐体グランド)である6層目導体パターン116と各導体パターン間に挿入されている絶縁体層131から構成されている。第2,3,6層の各グランドは上述のスルーホールにより相互に接続されている。なお、図では基板全体を貫通する貫通スルーホールを示しているが、必要層のみを接続するインナースルーホールでも構わない。
また、図3に示すように、高出力FET2のドレイン端子2bが接続されている大電流を流す必要のある部分12(以下、「多層基板出力部」ともいう)では、2層目導体パターンを削除し、高周波パターン121aやバイアス回路121bなどで構成されている1層目導体パターン121、高周波パターン121aのグランド層である3層目導体パターン123、制御回路や電源回路、グランド層などに使用する4層目導体パターン124、5層目導体パターン125、回路全体の共通グランド層である6層目導体パターン126と各導体パターン間に挿入されている絶縁体層131から構成されている。第3,6層の各グランドは上述のスルーホールにより接続されている。なお、図では基板全体を貫通する貫通スルーホールを示しているが、必要層のみを接続するインナースルーホールでも構わない。
図4は本発明の実施例にかかるFET回路の概略ブロック図を示す。図ではFET素子2は、単一の素子として示しているが、本発明のような大出力を要するものでは、複数の素子を並列接続(ゲート、ドレイン、ソースの各端子を並列に接続)し大出力を供給できる構成とする。入力側のバイアス系を構成するキャパシタンスC1とインダクタンスL1は、本回路が使用される周波数帯で大きなインピーダンスとなるようパラメータ値が設定されており、使用周波数帯で入力信号パターン111aからみて、バイアス系をほぼオープン状態とみなすことができる。出力側のバイアス系を構成するキャパシタンスC2とインダクタンスL2も同様である。キャパシタンスC1、C2はチップコンデンサや導体パターン(λ/4オープンスタブ)により構成される。また、インダクタンスL1、L2は導体パターンや周波数が低い場合には巻き線コイルにより構成される。
図5はFET素子2の筐体への実装構造断面図である。(a)は、筐体へ直接実装されるFET素子の場合であり、多層基板1に穴部を設けその中にFET素子を落とし込み筐体へ直接実装する。多層基板は回路グランドである第6層が筐体への実装面となる。この場合、FETのソース端子はFETパッケージを通して筐体に接続され、回路グランドと接続されることとなる。また、入出力信号ラインのグランドは、図に示すスルーホールを介して相互に接続される。(b)は表面実装タイプのFET素子であり、基板表面のグランド層(第1層)にFET素子を実装する。この第1層のグランド層はスルーホールを介して第6層の回路グランドに接続されている。従って、FETのソース端子はFETパッケージ、第1層のグランド、スルーホール、第6層のグランドを通して筐体に接続され、回路グランドと接続されることとなる。また、入出力信号ラインのグランドは、図に示すスルーホールを介して相互に接続される。
(この場合、FET下のスルーホールでグランドが共通化されているので、(a)の場合のように、信号ライン下のスルーホールは特に必要ではない。FET下のスルーホールにより2層目と3層目のグランドもつながっており、この経路がグランド経路の最短長となる。)
上記高周波パターン111a、121aのパターン幅(w)は、周知の次のマイクロストリップラインの特性インピーダンス導出式を適用することにより求められる。
=(87/√(ε+1.41))*ln(5.98h/0.8w+t)
:高周波パターンの特性インピーダンス[単位:Ω]
ε:絶縁体層の比誘電率
h:高周波パターンとグランド層導体パターンで挟まれた絶縁体層の厚さ[単位:m]
w:高周波パターンの幅[単位:m]
t:高周波パターンの導体の厚さ[単位:m]
/、*:除算、乗算
√():()内の平方根
ln():()内の自然対数
上記導出式によると、特性インピーダンス(Z)、絶縁体層の比誘電率(ε)、高周波パターンの導体の厚さ(t)が決まった値の時、高周波パターンの幅(w)は高周波パターンとグランド層導体パターンで挟まれた絶縁体層の厚さ(h)が厚いほど広くなることが分かる。この関係は近似的に次のように表される。上式においてZとεを一定値とすると、lnの()内数値が一定、つまり、5.98h/0.8w+t=K(ここでKは一定数)なる関係となる。パターン導体の厚さtは、パターン幅wに比べ十分に小さい(典型的には、w=0.7mmに対し、t=0.02mmなど)ことから、上記関係は、近似的に5.98h/0.8w≒Kとなる。これは絶縁体層の厚さhとパターン幅wが比例関係(h∝wの関係)にあることを示す。
上記条件から、大電流を流す必要のある部分12では、2層目導体パターンを削除し、3層目導体パターン122を高周波パターン121aのグランドとして使用することにより、高周波パターン121aとグランド層3層目導体パターンで挟まれた絶縁体層131の厚さ(h)が厚くなり、特性インピーダンス(Z)を変えることなく高周波パターン121aのパターン幅(w)を広くすることが出来る。
上記構成によれば、高周波パターン121aは、特性インピーダンス(Z)を変えることなく電流容量を大きくすることが出来るため、別途高周波性能の調整を行う必要がない。さらに、高周波パターン121aのグランド層を4層目導体パターン124より下(5層目導体パターン125、6層目導体パターン126)に持ってくることで、さらに電流容量を大きくすることが出来る。また、大電流を流す必要のない部分11では、高周波パターン111aの電流容量を大きくする必要がないため、2層目導体パターン112を高周波パターン111aのグランドとして使用する。上記構成によれば、3層目導体パターン113も制御回路や電源回路、グランド層などに使用することが出来るため、基板の小型化への効果もある。また、本実施例の高出力FET回路は、1枚の多層基板において、大電流を流す必要のある部分12と大電流を流す必要のない部分11を構成することが出来るため、回路全体の小型化が出来る。
なお、上記説明では6層多層基板を例に挙げたが、導体層が3層以上あれば本実施形態の高出力FET回路は実現することが出来る。
また、上記説明ではFETを増幅素子として用いた場合を挙げたが、バイポーラトランジスタを増幅素子として用いてもよい。この場合には、FETとの対応から、一般的にベース端子が入力端子、コレクタ端子が出力端子となり、エミッタ端子はグランドに接地されることとなる。
本発明にかかるハイパワーFETを実装した6層高周波多層基板を例とした上面図である。 上記6層高周波多層基板のうち大電流を流す必要のない部分の断面図である。 上記6層高周波多層基板のうち大電流を流す必要のある部分の断面図である。 本発明にかかるハイパワーFETを用いた高出力増幅回路の概略ブロック図である。 本発明の高出力増幅回路のFETの実装断面図である。
符号の説明
1 高周波多層基板、 11 多層基板の大電流を流す必要のない部分(多層基板入力部)、 111 多層基板入力部における1層目導体パターン、 111a 多層基板入力部における高周波信号を伝播させる高周波パターン、 111b 多層基板入力部におけるバイアス回路パターン、 112〜116 多層基板入力部における2〜6層目導体パターン、 12 多層基板の大電流を流す必要のある部分(多層基板出力部)、 121 多層基板出力部における1層目導体パターン、 121a 多層基板出力部における高周波信号を伝播させる高周波パターン、 121b 多層基板出力部におけるバイアス回路パターン、 123〜126 多層基板出力部における3〜6層目導体パターン、 131 多層基板における絶縁体層、 2 ハイパワーFET、 2a ゲート端子、 2b ドレイン端子。

Claims (1)

  1. 金属膜層及び絶縁体層を多層に積層してなる回路基板にFET素子を実装し形成される高出力増幅回路であって、入力信号ラインに接続され高周波信号が入力されるゲート端子、出力信号ラインに接続され上記高周波信号が電力増幅された高周波信号が出力されるドレイン端子、回路グランドに接続されるソース端子を有するFET素子と、上記入力信号ラインを表面の金属膜層に設けられる狭い幅の入力信号パターンとこの入力信号パターンに対向し表面からの第2の金属膜層に設けられる入力接地パターンとで形成し、上記出力信号ラインを表面の金属膜層に設けられる上記入力信号パターンより広い幅の出力信号パターンとこの出力信号パターンに対向し表面からの第3以上の金属膜層に設けられる出力接地パターンとで形成し、上記入力および出力接地パターンをスルーホールを介して回路グランドに接続した回路基板とを備えたことを特徴とする高出力増幅回路。
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