JP2006220707A - 液晶表示素子の製造方法および該方法によって製造された液晶表示素子 - Google Patents

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【課題】 着色状態と消色状態との間でのコントラストが高く、しかも十分な応答速度および白色度を発揮する液晶表示素子を効率よく製造する方法、および該方法によって製造された液晶表示素子。
【解決手段】 コレステリック液晶に自己組織型ゲル化剤を含有させてなる液晶組成物を真空注入法により空セル中に注入して液晶表示素子を製造する製造方法において、真空注入時に、前記液晶組成物のコレステリック相から等方相への相転移温度(TC−I)またはゾル−ゲル転移温度(TS−G)の少なくとも一方の温度以上の温度に液晶組成物を加熱することを特徴とする液晶表示素子の製造方法、および該方法によって製造された液晶表示素子。
【選択図】なし

Description

本発明は液晶表示素子の製造方法および該方法によって製造された液晶表示素子に関する。
従来より、ネマチック液晶にカイラル剤を添加することにより、室温においてコレステリック相を示すようにしたカイラルネマチック液晶組成物を用いた液晶表示素子が知られている。そのような液晶表示素子は基本的には、透明電極を有する一対の基板間にカイラルネマチック液晶組成物が挟持されてなり、電極間に高低のパルス電圧(駆動電圧)を印加するによって液晶をプレーナ(PL;着色)状態とフォーカルコニック(FC;消色)状態またはホメオトロピック(Homeo;消色)状態とに切り替えて表示が行われる。特に、PL状態では特定のピーク波長の光が選択反射されるようになっている。
このような表示素子においては白黒表示や広視野角表示を目的として、ネマチック液晶組成物にポリマーおよび重合開始剤を含有させ、一旦、表示素子を作製した後で、紫外線(UV)照射などを行ってポリマーを重合させる技術が報告されている(例えば、非特許文献1)。
しかしながら、上記技術では十分に重合を行ったとしても、未反応モノマーが残存するため、着色状態と消色状態との間でのコントラストが低下した。特に、PL状態で白を表示し、FC状態またはHomeo状態で黒を表示する黒白表示方式の場合には、上記の問題は顕著であった。さらに着色状態と消色状態との間での応徳速度やPL状態での白色度が十分ではなかった。
コントラストを向上させる手段として、PL状態における比較的広い波長域での反射率を上げて白表示時での白色度を向上させる方法が知られている。しかしながら、そのような方法ではPL状態における比較的広い波長域での反射率を上げるための材料選択が難しかったり、広い波長域で反射率を上げるために、セルギャップを大きくする必要があるので、駆動電圧の観点から問題となった。
一方、液晶表示素子の製造方法として、液晶組成物を液晶表示素子の空セルに真空注入し、その後注入孔を塞ぐ方法が知られている。そのような方法において、液晶組成物の流動性が低い場合には、注入に比較的長時間を要するので、液晶組成物を適度に加熱して流動性を高めることが一般に行われている。液晶組成物の加熱は、信頼性の観点から、液晶組成物のコレステリック相から等方相への相転移温度およびゾル−ゲル転移温度のいずれの温度よりも低い温度で行われるのが一般的である。
R.Q.Ma、外1名、"SID 97 DIGEST"、p.101〜104
本発明は、着色状態と消色状態との間でのコントラストが高く、しかも十分な応答速度および白色度を発揮する液晶表示素子を効率よく製造する方法、および該方法によって製造された液晶表示素子を提供することを目的とする。
本発明は、コレステリック液晶に自己組織型ゲル化剤を含有させてなる液晶組成物を真空注入法により空セル中に注入して液晶表示素子を製造する製造方法において、真空注入時に、前記液晶組成物のコレステリック相から等方相への相転移温度(TC−I)またはゾル−ゲル転移温度(TS−G)の少なくとも一方の温度以上の温度に液晶組成物を加熱することを特徴とする液晶表示素子の製造方法、および該方法によって製造された液晶表示素子に関する。
本発明の液晶表示素子の製造方法では、コレステリック液晶と自己組織型ゲル化剤を混合してなる液晶組成物を空セルに真空注入する際に、液晶組成物のコレステリック相から等方相への相転移温度(TC−I)またはゾル−ゲル転移温度(TS−G)の少なくとも一方の温度以上の温度に液晶組成物を加熱することで、コレステリック液晶の配向状態を均一にすることができる。そのため、表示特性(コントラスト・明るさ)および駆動特性(応答速度)を向上させることができる。
また本発明においてゲル化された液晶組成物は通常の液晶材料では考えられないほど低い流動性を有しているため、滴下法や貼り合せ法では均一なギャップを面内で実現することが難しく、組成物の温度を上げることで流動性を上げる効果が、通常液晶よりも劇的に大きく、注入効率を劇的に向上させることができる。
(製造方法)
本発明は、液晶組成物を真空注入法により空セル中に注入して液晶表示素子を製造する方法において、真空注入時に、液晶組成物のコレステリック相から等方相への相転移温度(以下、単に「TC−I」(℃)と示す)またはゾル−ゲル転移温度(以下、単に「TS−G」(℃)と示す)の少なくとも一方の温度以上の温度に液晶組成物を加熱する。本発明において液晶組成物は、後で詳述されるように、コレステリック液晶に自己組織型ゲル化剤を含有させてなるものであって、素子の液晶層中、ゲル化剤分子が水素結合によって相互作用するので、液晶分子が均一に配向し難いが、真空注入時に液晶組成物を上記温度に加熱することによって、液晶分子が均一に配向するため、表示特性(コントラスト・明るさ)および駆動特性(応答速度)を向上させることができる。均一に配向させることにより、液晶分子が理想的なプレーナ及びフォーカルコニック配向をするため、両配向状態でのコントラストや応答特性に効果的である。また上記水素結合等によって液晶組成物の流動性は低下するが、加熱によって液晶組成物の流動性は向上するため、液晶セルへの注入効率が向上する。上記温度への加熱による液晶分子配向の均一化の詳細なメカニズムは明らかではないが、以下のメカニズムに基づくものと考えられる。すなわち、上記温度に加熱することでゲル化剤・液晶材料共に分子間の相互作用が弱くなり、流動性が増した状態でセル中に注入される。その状態から徐冷することによりゆっくりと配向膜の配向になじんでいくため、均一な配向状態になっている配向膜に沿う形で均一な配向状態となり、その状態で冷却されて均一な配向が固定化される。
真空注入時の加熱温度がTC−IおよびTS−Gのいずれの温度よりも低いと、液晶組成物の流動性が低いために液晶セルヘの注入ができないか、注入に非常に時間がかかる。また注入できたとしても、ゲル化剤の分散度合いが悪く、液晶分子の配向も不均一となるため、表示特性・駆動特性にばらつきが発生し、コントラストは低くなり、PL時の白色度パラメーターは増大し、応答速度は遅くなる。
本発明において真空注入時とは、液晶組成物が現実に空セル内に注入され始めてから完了するまでの時を意味する。従って、いわゆる脱気工程および注入工程からなる真空注入法において、真空注入時に達成されるべき上記所定温度は、注入工程のみにおいて達成されればよいが、操作性の観点から脱気工程から継続して達成されることが好ましい。またアニール時に上記所定温度への加熱処理を行なっても、液晶−配向膜界面付近の液晶分子への影響が少ないため、液晶分子の配向均一化効果は十分に得られない。アニールとは、液晶パネル完成後(封止後)に液晶材料の配向を均一に揃えるために一度転移点以上の温度まで加熱して冷却(徐冷)することである。
真空注入時における加熱は液晶組成物に対して行われればよいが、液晶分子の配向状態をより均一にする観点からは、液晶組成物だけでなく、空セルも加熱することが好ましい。
空セルとは、液晶組成物が注入されていないこと、および液晶組成物を注入するための注入孔がふさがれていないこと以外、液晶表示素子と同様の構成を有するものである。空セルは、例えば、後述する液晶表示素子の所定の構成部材が形成された2枚の基板を、それらの部材形成面が互いに対向するように重ね合わせ、加熱または/および加圧により結合することによって作製可能である。
本発明の好ましい実施形態においては、真空注入時の加熱温度を、TC−IまたはTS−Gのいずれか高い方の温度以上の温度であって、TC−I+20(℃)以下の温度にする。すなわち、真空注入時の加熱温度(以下、単に「T」(℃)と示す)はTC−IおよびTS−Gとの関係において、以下の関係を満たす。加熱温度が高すぎると、液晶成分が一部揮発して選択反射のピーク波長が変化するだけでなく、表示特性・駆動特性にばらつきが発生し、コントラストは低くなり、PL時の白色度パラメーターは増大し、応答速度も変化する。
S−G≦TC−I≦T≦TC−I+20;または
C−I≦TS−G≦T≦TC−I+20。
本実施形態において表示特性・駆動特性の観点からより好ましくは、TとTC−IとTS−Gとは以下の関係を満たす。
S−G≦TC−I+1≦T≦TC−I+10;または
C−I≦TS−G+1≦T≦TC−I+15。
本発明の別の好ましい実施形態においては、真空注入時の加熱温度を、TC−IとTS−Gとの間の温度にする。すなわち、TはTC−IおよびTS−Gとの関係において、以下の関係を満たす。
S−G≦T≦TC−I;または
C−I≦T≦TS−G
本実施形態において表示特性・駆動特性の観点からより好ましくは、TとTC−IとTS−Gとは以下の関係を満たす。
S−G+1≦T≦TC−I−5;または
C−I+1≦T≦TS−G−1。
液晶組成物のTC−IおよびTS−Gは示差走査熱量測定(DSC測定)によって測定可能である。例えば、本発明の液晶組成物試料(試料Aという)を一旦150℃まで昇温した後、降温速度5℃/分にて降温しながら、吸熱量を測定すると、DSC曲線においてピークが2つ現れる。また、ゲル化剤を添加しないこと以外、試料Aと同様の組成を有する液晶組成物試料(試料Bという)のDSC曲線を、試料Aと同様の方法で測定する。両者の試料のDSC曲線を比較すると、TC−Iピークが一致する。詳しくは、試料AのDSC曲線における前記2つのピークのうち、試料BのDSC曲線におけるピークと一致するピークがTC−Iピークであり、それらの一致は通常、±0.5℃の精度で達成される。一方、試料AのDSC曲線における一致しない方のピークをTS−Gピークとする。なお、DSC曲線におけるピークとは、温度を下げていったとき、当該曲線の接線の傾きが正または負からそれぞれ負または正に変わるときの凸部分を指すものとする。
本発明の好ましい具体例を図1を用いて詳しく説明する。
まず、図1(A)に示すように、空セル21と液晶皿22に入れたカイラルネマチック液晶組成物23を、ヒーター(24,25,26)、温度センサー28および温度制御系29等の加熱手段により所定温度に加熱しつつ、真空槽27内を脱気する(脱気工程)。脱気によって達成される槽内の圧力は、後の注入工程で液晶組成物が空セル内に注入されれば特に制限されず、通常は1〜1×10−5Pa、好ましくは1×10−1〜1×10−5Paである。温度センサーは、空セルの外側表面上であってヒーター(25,26)とヒーター(24)との間に配置されることが好ましい。
脱気が完了した後は、図1(B)に示すように、空セル21の注入孔(図示せず)を液晶組成物23に浸した後、空セル21および液晶組成物23の上記所定温度を維持しつつ、真空槽27内を常圧に戻すことによって、空セル21内に液晶組成物23を注入する。
液晶組成物が注入された液晶セルは、通常、徐冷した後、注入孔を封止する。徐冷時の降温速度は、液晶セルが室温程度まで冷却されれば特に制限されないが、配向性・コスト等の観点から、通常は1〜10℃/分、好ましくは1〜3℃/分である。封止材は、後述のシール材と同様の材料が使用可能であり、特にフォトレック(積水化学社)等の光硬化性接着剤が好ましく使用される。
(液晶表示素子)
図2は、本発明の方法によって製造された一実施形態の液晶表示素子を示す概略断面図である。図2に示す液晶表示素子は、一対の基板1、2間に液晶層(液晶組成物)11が挟持されてなる構造を有する。図2において、基板1、2のそれぞれの表面には、互いに平行な複数の帯状に形成された透明電極3、4が設けられている。透明電極3と透明電極4とは互いに交差するように向かい合わされて配置されている。電極3、4上には絶縁性薄膜5がコーティングされている。さらに、絶縁性薄膜5の上には配向膜7が形成されている。10はスペース保持部材と両基板の接着部材とを兼ねる高分子構造物、13は同様にスペース保持部材としてのスペーサーである。12は液晶組成物11をセル内部に封じこめるためのシール材である。また光を入射させる側と反対側の基板2の外面(裏面)には、必要に応じて黒色の可視光吸収層9が設けられる。なお、可視光吸収層9を設ける代わりに、基板2自体が可視光吸収性を有するものを用いても良い。
以下、液晶表示素子の主要な構成部材について詳しく説明する。
(基板)
図2において基板1、2はいずれも透光性を有しているが、上記の液晶表示素子に用いることができる一対の基板は、少なくとも一方の基板(少なくとも、光を入射させる側の基板1)が透光性を有していればよい。透光性を有する基板としては、ガラス基板、ならびにポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレートおよびポリエチレンテレフタレート等の樹脂からなるフレキシブル基板を使用することができる。素子の軽量化の観点からはフレキシブル基板を使用することが好ましい。一対の基板のうち少なくとも一方の基板、好ましくは両方の基板としてフレキシブル基板を用いると、軽量で薄型の素子を作製でき、また破損(割れ)を抑えることができる。
(電極)
電極3、4としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide:インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電膜や、アルミニウム、シリコン等の金属電極、あるいはアモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等の光導電性膜等を用いることができる。図2に示す液晶表示素子においては、既述の通り、透明基板1、2の表面に互いに平行な複数の帯状の透明電極3、4が形成されており、これらの電極3、4は互いに交差するように向かい合わされている。電極をこのように形成するには、例えば基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。
(絶縁性薄膜)
原理上必須のものではないが、電極間の短絡を防止したり、液晶表示素子のガスバリア性に対する信頼性を向上させたりするために、電極3、4の少なくとも一方に絶縁性薄膜5が形成されていることが好ましい。絶縁性薄膜5としては、例えば、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウムやそのアルコキシド等から成る無機膜やポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の有機膜を例示できる。これらの材料を用いて蒸着法、スピンコート法、ロールコート法などの公知の方法によって形成することができる。さらに、絶縁性薄膜は高分子構造物に用いる高分子樹脂と同じ材料を用いて形成することもできる。
(配向膜)
配向膜7も原理上必須のものではないが、素子の安定化などのために設けておくことが好ましい。配向膜が形成される場合、電極上に絶縁性薄膜が形成されているときは当該絶縁性薄膜上に、電極上に絶縁性薄膜が形成されていないときは電極上に形成される。配向膜7としては、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂等の有機膜や、酸化シリコン、酸化アルミニウム等の無機膜が例示される。これらの材料を用いて形成した配向膜は、ラビング処理等を施してもよい。さらに、配向膜は高分子構造物に用いる高分子樹脂と同じ材料を用いて形成することもできる。
(スペーサー)
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサー13が設けられる。スペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。例えば、ボール状のガラスやセラミックス粉、あるいは有機材料からなる球状粒子が挙げられる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。なお、基板間のギャップをより均一に保持するためには、図2に示すように、スペーサー13と高分子構造物10との両方を設けることが好ましいが、いずれか一方のみを設けてもよい。スペーサーの直径は高分子構造物を形成する場合はその高さ以下とし、素子が完成したときに高分子構造物と同じ高さになるようにする。高分子構造物の有無によらず、スペーサーの直径がセルギャップの厚み、すなわち液晶組成物からなる液晶層の厚みに相当する。
(液晶層)
液晶層11を構成する液晶組成物はコレステリック液晶に自己組織型ゲル化剤を含有させてなるものである。本実施形態において、かかる液晶組成物は、得られる表示素子のプレーナー時の分光分布曲線(波長−反射率曲線)において選択反射のピーク波長が500〜700nm、特に550〜650nmの波長範囲に存在するように調製されることが好ましく、当該液晶組成物の含有成分や含有割合を調整して、調製される。選択反射のピーク波長が上記範囲に存在せず、選択反射のピーク波長が500nm未満であったり、または700nmを超えると、プレーナー時の反射率が低下するために高コントラストを達成することが困難になる。
なお、ピークとは分光分布曲線において短波長側から波長を大きくしていく場合に、当該曲線の接線の傾きが正から負に変わるときの凸部分を指し、当該凸部分の頂点の波長をピーク波長というものとする。
また、プレーナー時とは、素子が選択反射のピーク波長において最大の反射率を示すときのパルス電圧を素子に対して印加した状態の時を意味し、このときの素子から測定された波長−反射率曲線をプレーナー時の分光分布曲線という。
選択反射のピーク波長とは、液晶層が選択反射を行う波長域において最大の反射率を示す波長であり、プレーナー時の分光分布曲線にピークが1つだけ含まれる場合は、そのピーク波長が選択反射のピーク波長に相当する。2つ以上のピークが含まれる場合、最大の反射率を示すピーク波長が選択反射のピーク波長に相当するものとして差し支えない。複数ピークが存在する場合(例えば、550〜600nmに主ピーク、400〜450nmに副ピーク、さらに500〜550nmに主ピークよりも小さい第3のピークが現れる場合)、主に液晶層の散乱を反映している反射率の小さいピークが短波長側に現れるからである。
本明細書中、白色度は以下の方法によって得られる色度座標上の距離により評価している。
プレーナー状態の表示素子から分光分布曲線を測定し、当該分光分布曲線から色度座標(x,y)を求め、D65標準(白色:x=0.3127,y=0.329)からの距離(d)を算出する。距離(d)は白さを表すひとつのパラメーターであり、距離が小さいほど白色であることを示す。本明細書では、距離(d)を白色度パラメーターと呼ぶことにする。
本実施形態において使用されるゲル化剤は自己組織型に属するものであり、詳しくはUV照射等の他の手段なしに、当該ゲル化剤を添加・混合するだけで、自ら組織化し、擬似網目構造を形成し得るものである。自己組織型のゲル化剤を添加することにより、他の手段なしに、添加前よりもコレステリック液晶の流動性を低下させて、当該粘度を増大させ得る。そのような自己組織型のゲル化剤を含有させるため、本実施形態の液晶表示素子は着色状態と消色状態との間でのコントラストが高く、しかも十分な応答速度および白色度を発揮する。そのような効果が得られる詳細なメカニズムは明らかではないが、ゲル化剤分子が液晶組成物中において分子レベルで均一に分散され易く、水素結合による擬似網目構造を形成するため、当該網目構造がより細かな緻密性と適度な柔軟性とを有することに基づくものと考えられる。また、広い波長域にわたって反射率を向上させる方法に比べると、セルギャップを厚くする必要がないので低い印加電圧で駆動が行え、材料選択にも制約が少ない。さらに、ゲル化剤を添加しない素子に比べて広視野角表示が行えるという特徴も有している。
自己組織型ゲル化剤は自己分子間で水素結合を形成可能な有機化合物であり、例えば、少なくとも分子間水素結合性基を有する有機化合物、好ましくは分子間水素結合性基およびアルキレン基を有する有機化合物が挙げられる。分子間水素結合性基とともにアルキレン基を有する有機化合物をゲル化剤として使用するとアルキレン基同士の分子間力によって擬似網目構造の形成が促進される。
分子間水素結合性基は当該基を含有分子間で水素結合を形成可能な基であれば特に制限されず、例えば、アミド結合基(−NHCO−)等が挙げられる。
分子間水素結合性基は分子内に1個以上、好ましくは2個以上含有されることが望ましい。
アルキレン基は長鎖アルキレン基(以下、Reということがある)であり、詳しくは炭素数4以上、好ましくは6〜20の2価飽和炭化水素基であり、好ましくは直鎖状ポリメチレン基(−(CH−)である。
アルキレン基は分子内に1個以上、好ましくは2個以上含有されることが望ましい。
ゲル化剤は少なくとも分子間水素結合性基、好ましくは分子間水素結合性基およびアルキレン基を有する有機化合物である限り、その構造は特に制限されない。
そのようなゲル化剤として、例えば、下記一般式(I)で表される脂環族アミド系化合物、下記一般式(II)〜(IV)で表される脂肪族アミド系化合物、および下記一般式(V)で表される脂肪族ウレア系化合物等が挙げられる。
Figure 2006220707
式(I)中、Rはアルキル基、アリールオキシ基またはアリールアルコキシ基であり、これらの基はシアノ基等の置換基を有していてもよい。
アルキル基は炭素数1〜3のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びsec−プロピル基等が挙げられる。
アリールオキシ基は炭素数6〜14のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
アリールアルコキシ基は炭素数6〜14のアリール基1〜2個が、炭素数1〜3のアルコキシ基に置換されてなる1価の基であり、例えば、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルプロポキシ基、ビフェニリルメトキシ基、ビフェニリルエトキシ基、ビフェニリルプロポキシキ基等が挙げられる。
好ましいRはアルキル基またはアリールオキシ基である。
Reは前記長鎖アルキレン基(Re)と同様の基であり、好ましい基も前記Reと同様である。
mは1〜3の整数、好ましくは2である。
ひとつの式中に同一の基が複数個ある場合、それらの基はそれぞれ独立して所定の範囲内から選択されればよい(以下、同様である)。
そのような脂環族アミド系化合物(I)の好ましい具体例として、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2006220707
式(II)〜(IV)中、共通する基は同様の基を意味する。
は前記Rと同様の基である。好ましいRはアリールアルコキシ基である。
は炭素数1〜3の2価のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基等が挙げられる。Rは置換基を有していてもよく、置換基として、例えば、以下の基が挙げられるが、それらの中でも炭素数3〜5の分枝状アルキル基が好ましい。
Figure 2006220707
Reは前記長鎖アルキレン基(Re)と同様の基であり、好ましい基も前記Reと同様である。
は前記Rと同様の基である。好ましいRはアルキル基である。
は前記Rと同様の基である。好ましいRは置換基を有しないアルキレン基である。
nは0〜3、好ましくは0〜1の整数である。
そのような脂肪族アミド系化合物(II)〜(IV)の好ましい具体例として、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2006220707
式(V)中、Rは前記Rと同様であり、好ましい基も前記Rと同様である。
Reは前記長鎖アルキレン基(Re)と同様の基であり、好ましい基も前記Reと同様である。
は前記Rと同様であり、好ましい基も前記Rと同様である。
そのような脂肪族ウレア系化合物(V)の好ましい具体例として、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2006220707
これらの化合物は公知の合成方法に従って合成することができる。
上記の中で好ましいゲル化剤は脂環族アミド系化合物(I)である。
ゲル化剤の含有量は本発明の目的を達成できる限り特に制限されるものではなく、例えば、コレステリック液晶およびゲル化剤の合計量に対して1.0〜4.0重量%が適当である。この範囲に設定されると、黒表示時のY値を低減することができ、結果としてコントラストをより有効に向上できる。
ゲル化剤が含有されるコレステリック液晶は室温においてコレステリック相を示すものであり、例えば、ネマチック液晶とカイラル剤からなるカイラルネマチック液晶が使用可能である。
ネマチック液晶としては、特に制限されず、従来から液晶表示素子の分野で知られているネマチック液晶が使用可能である。そのようなネマチック液晶材料としては、例えば、液晶性エステル化合物、液晶性ピリミジン化合物、液晶性シアノビフェニル化合物、液晶性トラン化合物、液晶性フェニルシクロヘキサン化合物、液晶性ターフェニル化合物、ならびにフッ素原子、フルオロアルキル基およびシアノ基等の極性基を有する他の液晶性化合物、およびそれらの混合物等が挙げられる。
カイラル剤としては、液晶表示素子の分野で従来から知られている種々のものが使用可能である。例えば、コレステリック環を有するコレステリック化合物、ビフェニル骨格を有するビフェニル化合物、ターフェニル骨格を有するターフェニル化合物、2つのベンゼン環がエステル結合によって連結されてなる骨格を有するエステル化合物、シクロヘキサン環がベンゼン環に直接的に連結されてなる骨格を有するシクロヘキサン化合物、ピリミジン環がベンゼン環に直接的に連結されてなる骨格を有するピリミジン化合物、2つのベンゼン環がアゾキシ結合またはアゾ結合によって連結されてなる骨格を有するアゾキシまたはアゾ化合物等が挙げられる。
カイラル剤の含有量は、特に制限されず、通常、コレステリック液晶およびゲル化剤の合計量に対して3〜40重量%である。
液晶組成物には、紫外線吸収剤等の添加剤をさらに添加してもよい。
紫外線吸収剤は、液晶組成物の紫外線劣化、例えば経時に伴なう退色や応答性の変化等を防止するものである。例えば、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、サリシレート化合物等の材料が使用可能である。添加量は、コレステリック液晶およびゲル化剤の合計量に対して、5重量%以下、好ましくは3重量%以下である。
このような液晶組成物は各材料を所定の比率で混合して得られる。
液晶組成物は所望により、イオン交換樹脂・吸着剤等と接触させて精製を行ない水分や不純物を除去した後で、素子の製造に用いるとよい。
(シール材)
シール材12は液晶組成物11が基板1、2の間から外に漏れないように封入するためのものであり、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいは光硬化性接着剤等を使用することができる。
(高分子構造物)
高分子構造物10は、円柱状体、楕円柱状体、四角柱状体など、形状はどのようなものでもよく、また、その配置はランダムであってもよいし、格子状などの規則性を有するものであってもよい。このような高分子構造物を設けることにより、基板間ギャップを一定に保つことが容易になり、また、液晶表示素子自身の自己保持性を高めることができる。特に、ドット形状の高分子構造物を一定間隔で配置すると、表示性能を均一化しやすい。高分子構造物の高さはセルギャップの厚み、すなわち液晶組成物からなる液晶層の厚みに相当する。液晶層を挟持する基板としてフレキシブルな樹脂製基板を用いる場合に高分子構造物を設けることが特に効果的である。基板がフレキシブルであることにより液晶層の厚みが不均一になるのを防止することができるからである。球体のスペーサと高分子構造物とを併用し、高分子構造物に上下基板を接着する接着部材としての機能を持たせると液晶層の厚みの均一化に特に有効である。
高分子構造物を形成するには、紫外線硬化型モノマーからなるホトレジスト材料などの光硬化性樹脂材料を用いて、所望の厚さで基板の最表面膜(絶縁性薄膜、配向膜)に塗布し、これにマスクを通して紫外線を照射するなどしてパターン露光を行い、未硬化部分を除去するいわゆるフォトリソグラフィ法を用いることができる。
また、熱可塑性樹脂を適当な溶剤に溶かした樹脂材料などを用いて、熱可塑性樹脂からなる高分子構造物を形成してもよい。この場合、スクリーン版やメタルマスク等を用いて熱可塑性樹脂材料をスキージで押し出すことにより基板上に印刷を行う印刷法や、デイスペンサ法やインクジェット法などの、樹脂材料をノズルの先から基板上に吐出して形成する方法、あるいは、樹脂材料を平板あるいはローラー上に供給した後、これを基板表面に転写する転写法などにより高分子構造物を配置することができる。
(散乱層)
散乱層(図示せず)を基板1の表面(図中、上面)または/および基板2と可視光吸収層9との間に設けてもよい。散乱層を設けることによって、白表示時の散乱度合いが上がり、白色度が向上する。散乱層としては、例えば、製品名FT−014(ポラテクノ社製)などが挙げられる。
(セルギャップ)
液晶表示素子におけるセルギャップの厚み、すなわち液晶組成物からなる液晶層の厚みは、大きくなるほど白表示時の反射率は大きくなるが、駆動電圧や黒表示時の反射率も大きくなる。よって、セルギャップの厚みは2〜50μmであってよいが、3〜15μmが好ましい。そのような好ましい範囲とすることにより、比較的低い印加電圧でも高コントラストを達成できるという効果をより有効に得ることができるためである。
(表示方法)
以上の構成からなる液晶表示素子では、電極3、4に駆動回路20からパルス電圧を印加することで表示が行われる。例えば、液晶層をプレーナー状態とフォーカルコニック状態との間で切り替えることによって表示を行うPL−FC駆動方式を採用してもよいし、または液晶層をプレーナー状態とホメオトロピック状態との間で切り替えることによって表示を行うPL−Homeo駆動方式を採用してもよい。
例えば、PL−FC駆動方式では、比較的高いエネルギーのパルス電圧(電圧値が大きい、パルス幅が大きい等)を印加することで、液晶がプレーナー状態となり、液晶分子のらせんのピッチと屈折率に基づいて決まる波長の光を選択的に反射する。一方、比較的低いエネルギーのパルス電圧(電圧値が小さい、パルス幅が小さい等)を印加することで、液晶がフォーカルコニック状態となり、透明状態となる。いくつかの駆動波形が提案されており、例えば、比較的低い電圧を長く印加することで液晶をフォーカルコニック状態にリセットした後に所望の部分のみプレーナ状態に変化させる駆動波形、高い電圧を印加した状態から急激に電圧をオフすることによって液晶をプレーナ状態にリセットした後に所望の部分のみフォーカルコニック状態に変化させる駆動波形、リセットパルスを印加し液晶をホメオトロピック状態にした後、最終的に得ようとする表示状態に応じた大きさの選択パルスを印加し、最後に選択した状態を確立するためのパルスを印加する3つのステージからなる駆動波形などを採用することができる。これらの駆動方式では液晶表示素子のメモリー性を利用して電圧印加停止後も表示を維持することができる。なお、可視光吸収層9を設けると、フォーカルコニック状態では黒色を表示することになる。
また例えば、PL−Homeo駆動方式では、高い電圧を印加した状態から急激に電圧をオフするなどしてプレーナ状態を実現する一方、高い電圧を印加し続けることにより液晶をホメオトロピック状態に保つ。ホメオトロピック状態での透明度がフォーカルコニック状態のそれよりも高くなり、コントラスト向上に有利ではある(可視光吸収層9を設けるとホメオトロピック状態ではやはり黒色を呈する)が、表示を維持するために電圧を印加し続ける必要がある。
本実施形態の液晶表示素子が有し得る分光分布曲線の一例を図3に実線で示す。実線の分光分布曲線は450〜600nmにおける反射率の変動が小さく、具体的には、450〜600nmにおける反射率の最大値σmaxと最小値σminとが平均値σaveに対して5%以内、特に1%以内になっている。そして、全体として白色度パラメーター(d)が0.01以下の範囲にある。このような分光分布曲線を示す場合、広範囲の波長光を比較的一様に反射でき白色度を小さくできるので、白表示とみなすことができる。
次に本実施形態の液晶表示素子が有し得る分光分布曲線の別の例を図3に点線で示す。点線の分光分布曲線は、500〜650nmの範囲、特に550〜600nmの範囲により大きなピーク(図中:Pの部分)を有している以外は実線で示すものと同様である。実線で示す分光分布曲線との差で表される上記ピーク部分が存在することにより、全体としての白色度パラメーター(d)は0.01より大きく0.04以下の範囲となっている。このような分光分布曲線を示す場合、Y値(PL)は実線の場合より大きくなり、高いコントラストを得ることができる。
すなわち、PL表示時に「白さ」を優先する場合は実線を選択し、PL表示時に「明るさ(高いコントラスト)」を優先する場合は点線を選択する。
(Y値(PL;着色状態)およびY値(FC;消色状態)の測定)
表示素子に対して図4に示すパルス(この駆動波形では前段のパルスで液晶を一旦プレーナ状態にリセットしている)を印加し、電圧−Y値曲線(以下、V−Y曲線という)を求める。詳しくは図4のパルスにおける区間(X)の電圧(V)を±20〜±50Vまで変化させながら図4に記載の測定ポイントでの素子の分光分布曲線(波長−反射率曲線)およびY値(Y)を分光測色器(CM3700d;コニカミノルタセンシング社製)により複数回繰り返し測定し、V(電圧の絶対値)−Y(Y値)曲線を作成する。V−Y曲線の一例を図5に示す。V−Y曲線において最大のY値(Ymax)を示す伏態をプレーナー状態(PL)、最小のY値(Ymin)を示す状態をフォーカルコニック状態(FC)とする。それらのときのY値をそれぞれY値(PL)、Y値(FC)とする。この場合、コントラストはY値(PL)/Y値(FC)で表すことができる。
(応答速度の測定)
リセットパルスの後に印加する印加パルスのパルス値を変化させながらV−Y曲線を作成し、最も高いコントラスト比を示すパルス幅を応答速度とした。
以下、「部」は「重量部」を意味するものとする。
(実施例1)
ネマチック液晶(BL035;メルク社製)60部、カイラル剤(MLC6427;メルク社製)36部、および前記化学式(2)で表されるゲル化剤2部を、100℃で15分間混合後、室温にて10分間混合し、カイラルネマチック液晶組成物Aを得た。カイラルネマチック液晶組成物AのTC−Iは85℃であり、選択反射のピーク波長は580nmであった。また、カイラルネマチック液晶組成物AのTS−Gは71℃であった。
得られた液晶組成物及びギャップ5.5μmの空セル(20mm×20mm)を用いて、図2に示す表示素子(但し、高分子構造物と絶縁性薄膜は省略した)を作製した。空セルのセルギャップは5.5μmであった。
まず、図1(A)に示すように、真空槽27内で、空セル21と液晶皿22に入れたカイラルネマチック液晶組成物23とをヒーター(24,25,26)、温度センサー28および温度制御系29により90℃に加熱しつつ、真空槽27内を脱気した。真空槽27内の圧力は1×10−4Paであった。次いで、図1(B)に示すように、空セル21の注入孔(図示せず)を液晶組成物23に浸した後、空セル21および液晶組成物23の脱気時温度を維持しつつ、真空槽27内を常圧に戻すことによって、空セル21内に液晶組成物23を注入した。注入時間は約10分であった。液晶組成物が注入された液晶セルを取り出し、当該セルを降温速度2℃/分で徐冷後、フォトレック(積水化学社)を用いて注入孔を封止し、液晶表示素子を製造した。液晶表示素子の液晶物性値を測定し、表に示した。各値の測定温度は25℃であった(以下、同様とする)。
ただし、液晶セルを作成する際に使用した部材は以下の通りである。
・基板:ガラス0.7mm
・ITOシート抵抗値:10Ω/□
・配向膜:可溶性ポリイミド(JSR社製 AL−2022)
・配向膜厚み:60nm
・スペーサー:積水ファインケミカル社製 ミクロパール5.5μm
・シール材:住友ベークライト社製 スミライトERS−2400(主剤)、ERS−2840(硬化剤)
(実施例2)
空セルおよび液晶組成物の加熱温度を80℃に設定したこと以外、実施例1と同様の方法により液晶表示素子を製造した。注入時間は約20分であった。液晶表示素子の液晶物性値を測定し、表に示した。
(比較例1)
空セルおよび液晶組成物の加熱温度を50℃に設定したこと以外、実施例1と同様の方法により液晶表示素子を製造した。注入時間は約45分であった。液晶表示素子の液晶物性値を測定し、表に示した。
注入温度が液晶組成物のTC−IおよびTS−Gよりも低かったため、ゲルが液晶中に均一に分散せずムラができたために表示特性・応答特性共に悪くなった。
(比較例2)
空セルおよび液晶組成物の加熱温度を30℃に設定したこと以外、実施例1と同様の方法により液晶表示素子を製造した。注入時間は約1時間であった。液晶表示素子の液晶物性値を測定し、表に示した。
注入温度が液晶組成物のTC−IおよびTS−Gよりも低かったため、ゲルが液晶中に均一に分散せずムラができたために表示特性・応答特性共に悪くなった。
(比較例3)
空セルおよび液晶組成物の加熱温度を110℃に設定したこと以外、実施例1と同様の方法により液晶表示素子を製造した。注入時間は約10分であった。液晶表示素子の液晶物性値を測定し、表に示した。
注入温度が高すぎたため液晶成分が一部揮発して波長が変化し、その他の物性値も変化したと考えられる。
(実施例3)
ネマチック液晶(BL035;メルク社製)58部、カイラル剤(CB15;メルク社製)40部、および前記化学式(2)で表されるゲル化剤2部を、100℃で15分間混合後、室温にて10分間混合し、カイラルネマチック液晶組成物Bを得た。カイラルネマチック液晶組成物BのTC−Iは65℃であり、選択反射のピーク波長は580nmであった。また、カイラルネマチック液晶組成物BのTS−Gは72℃であった。
上記カイラルネマチック液晶組成物Bを用いたこと、および空セルおよび液晶組成物の加熱温度を85℃に設定したこと以外、実施例1と同様の方法により液晶表示素子を製造した。注入時間は約15分であった。液晶表示素子の液晶物性値を測定し、表に示した。
(実施例4)
空セルおよび液晶組成物の加熱温度を68℃に設定したこと以外、実施例3と同様の方法により液晶表示素子を製造した。注入時間は約25分であった。液晶表示素子の液晶物性値を測定し、表に示した。
(比較例4)
空セルおよび液晶組成物の加熱温度を40℃に設定したこと以外、実施例3と同様の方法により液晶表示素子を製造した。注入時間は約48分であった。液晶表示素子の液晶物性値を測定し、表に示した。
注入温度が液晶組成物のTC−IおよびTS−Gよりも低かったため、ゲルが液晶中に均一に分散せずムラができたために表示特性・応答特性共に悪くなった。
(比較例5)
空セルおよび液晶組成物の加熱温度を90℃に設定したこと以外、実施例3と同様の方法により液晶表示素子を製造した。注入時間は約10分であった。液晶表示素子の液晶物性値を測定し、表に示した。
結果として、注入温度が高すぎたため液晶成分が一部揮発して波長が変化し、その他の物性値も変化したと考えられる。
Figure 2006220707
本発明において採用する真空注入法の一例を説明するための概略見取り図である。 本発明の方法で製造される液晶表示素子の一例の概略断面図である。 液晶表示素子が有し得る分光分布曲線の一例である。 実験例で用いた駆動波形の例を示す図である。 プレーナー状態およびフォーカルコニック状態を設定するためのV−Y曲線の一例を示す。
符号の説明
1:2:基板、3:4:電極、5:絶縁性薄膜、7:配向膜、9:可視光吸収層、10:高分子構造物、11:液晶層(液晶組成物)、12:シール材、21:空セル、22:液晶皿、23:液晶組成物、24:25:26:ヒーター、27:真空槽、28:温度センサー、29:温度制御系。

Claims (11)

  1. コレステリック液晶に自己組織型ゲル化剤を含有させてなる液晶組成物を真空注入法により空セル中に注入して液晶表示素子を製造する製造方法において、真空注入時に、前記液晶組成物のコレステリック相から等方相への相転移温度(TC−I)またはゾル−ゲル転移温度(TS−G)の少なくとも一方の温度以上の温度に液晶組成物を加熱することを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  2. 加熱温度が、TC−IまたはTS−Gのいずれか高い方の温度以上の温度であって、TC−I+20(℃)以下の温度であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
  3. 加熱温度が、TC−IとTS−Gとの間の温度であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
  4. 加熱後に徐冷することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示素子の製造方法。
  5. ゲル化剤が分子内に分子間水素結合性基を2個以上、およびアルキレン基を2個以上有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示素子の製造方法。
  6. 分子間水素結合性基が2価のアミド結合基であることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子の製造方法。
  7. ゲル化剤の含有量がコレステリック液晶とゲル化剤の合計量に対して1.0〜4.0重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液晶表示素子の製造方法。
  8. コレステリック液晶がネマチック液晶およびカイラル剤からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液晶表示素子の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法によって製造された液晶表示素子。
  10. プレーナー時の分光分布曲線において選択反射のピーク波長が500〜700nmの波長範囲に存在することを特徴とする請求項9に記載の液晶表示素子。
  11. プレーナー状態とフォーカルコニック状態との間で切り替えることによって表示を行うことを特徴とする請求項9または10に記載の液晶表示素子。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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