JP2006267366A - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低消費電力で、良好な白黒表示を長期にわたり維持可能な液晶表示素子の効率的な製造方法を提供すること。
【解決手段】 一対の基板間にカイラルネマチック液晶と自己組織化型ゲル化剤を主たる成分とする液晶組成物を含む液晶層を設けてなる液晶表示素子の製造方法において、前記液晶層は、前記カイラルネマチック液晶と前記自己組織化型ゲル化剤とを前記基板の上で接触させることにより形成されること。
【選択図】 図1

Description

本発明は液晶表示素子の製造方法に関する。
液晶表示素子は、基本的に一対の基板とこれら基板の間に挟持された液晶層とを含んでいる。この液晶層に駆動電圧を印加することで液晶分子の配列を制御し、液晶表示素子に入射する光を変調して目的とする画像の表示を行う。液晶表示方式には様々なものが提案されている。近年、ネマチック液晶にカイラル材料を添加することにより、室温においてコレステリック相を示すようにしたカイラルネマチック液晶組成物を用いた液晶表示素子が研究されている。このような液晶表示素子の電極間に高低のパルス電圧(駆動電圧)を印加することにより、液晶をプレーナ(PL)状態とフォーカルコニック(FC)状態又はホメオトロピック(Homeo)状態とに切り替えて表示が行われる。特に、PL状態では特定のピーク波長の光が選択的に反射されるようになっている。そして、係るパルス電圧の印加を停止した後でも、PL状態、FC状態又はHomeo状態が維持される、いわゆる双安定性或いはメモリー性を示し、電圧の印加を停止した後も表示を保つことが可能となる。
このような液晶表示素子においては、白黒表示や広視野角表示を目的として、カイラルネマチック液晶組成物に重合可能なモノマーと重合開始剤を加え紫外線(UV)照射によりモノマーを重合させる技術が報告されている(非特許文献1参照)。
また、高い白色度や広い視野角を得る目的で、ネマチック液晶にゲル化剤を添加した液晶表示素子も知られている。この液晶表示素子の製造方法としては、一対の基板の一方にゲル化剤を配置し、その後液晶を注入するというものである(特許文献1参照)。
特開2003−43524号公報 R.Q.Ma、外1名、"SID 97 DIGEST"、p.101−104
しかしながら、前記非特許文献1に記載の技術では、モノマーの重合を未反応モノマーが残存しないように完全に行うことは難しい。そのため、液晶表示素子の使用時において、残存している未反応モノマーが太陽光や室内の蛍光灯などに起因する紫外線により徐々に反応し、その結果、液晶表示素子の表示性能が変化するという問題が生じていた。すなわち、表示色が変化したり、PL状態とFC状態、又はHomeo状態との間でのコントラストが低下するという問題があった。特に、PL状態で白を表示し、FC状態またはHomeo状態で黒を表示する黒白表示方式の場合には、上記の問題は顕著であった。
コントラストを向上させる手段として、PL状態における比較的広い波長域での反射率を上げて、白表示時での白色度を向上させる方法が知られている。しかしながら、そのような方法では、PL状態における比較的広い波長域での反射率を上げるための材料の選択が難しかったり、又、広い波長域で反射率を上げるために、セルギャップを大きくする必要があるので、駆動電圧が高くなるという問題があった。
また、前記特許文献1では、ネマチック液晶を用いているため、白色度、視野角での向上はあるが、双安定性がないため、経済性に劣るという問題がある。
本発明者は、カイラルネマチック液晶にゲル化剤を添加した液晶層を用いて、高い白色度と広い視野角を持つ、経済性に優れた液晶表示素子が得られる可能性があると考えた。
それで、ゲル化剤とカイラルネマチック液晶を混合した液晶組成物を作製した後、一般的に知られている真空注入法や滴下法で液晶表示素子の作製を試みた。しかし、この方法では、液晶組成物の流動性が低下してしまい液晶表示素子を作製することができなかった。ゲル化剤とカイラルネマチック液晶を含む液晶組成物の真空注入時や滴下時に、セルや滴下ノズルを加熱する方法も検討した。しかし、この方法では加熱装置や加熱装置を制御する装置を用いる必要があり、製造コストが高くなるという問題があった。
また、ゲル化剤を用いた液晶表示素子の製造方法として知られている前記特許文献1に記載の方法を検討したが、コントラストにばらつきが見られるという問題があった。これは、特許文献1に記載の方法では、一方の基板にゲル化剤を配置した後、基板を貼り合わせ、その後で液晶を真空注入するというものである。そのため、真空注入時にゲル化剤又はゲル化剤に含まれる不純物が気化し、ゲル化剤とカイラルネマチック液晶との配合比が変化することで、表示特性に影響したものと考えられた。
本発明は、カイラルネマチック液晶の特長である双安定性を維持し、低消費電力で、良好な白黒表示を長期にわたり維持可能な液晶表示素子の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意研究を重ねたところ、以下の手段により、前記課題を解決することができた。
請求項1に係る液晶表示素子の製造方法は、一対の基板の間にカイラルネマチック液晶と自己組織化型ゲル化剤を主たる成分とする液晶組成物を含む液晶層を設けてなる液晶表示素子の製造方法において、前記自己組織化型ゲル化剤を前記一対の基板の少なくとも一方の基板の上に適用する工程、前記カイラルネマチック液晶を前記自己組織化型ゲル化剤を適用した前記基板又は他方の基板の上に適用する工程、前記一対の基板を前記カイラルネマチック液晶及び前記自己組織化型ゲル化剤を覆うように貼り合わせる工程、とを含むことを特徴とするものである。
請求項2に係る液晶表示素子の製造方法は、請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法において、前記一対の基板の一方は、プラスチックフィルムであり、前記カイラルネマチック液晶と前記自己組織化型ゲル化剤のいずれか一方を前記一対の基板の一方に適用する工程、前記カイラルネマチック液晶と前記自己組織化型ゲル化剤の内の他方を前記一対の基板の一方に適用した前記カイラルネマチック液晶と前記自己組織化型ゲル化剤のいずれか一方の上に適用する工程、前記一方の基板に適用した前記カイラルネマチック液晶及び前記自己組織化型ゲル化剤を覆うように前記他方の基板を前記一方の基板に貼り合わせる工程、とを含むことを特徴とするものである。
請求項3に係る液晶表示素子の製造方法は、請求項1又は2に記載の液晶表示素子の製造方法において、前記一対の基板を貼り合わせた後に、前記液晶組成物の液晶相−等方相間の相転移点又はゾル−ゲル転移点のどちらか高い方の温度以上に、貼り合わせた前記一対の基板を加熱する工程を含むことを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、カイラルネマチック液晶と自己組織化型ゲル化剤を基板の上で接触させるので、予め両者を混合する必要がない。このため、粘性の高い液晶組成物を扱う必要がなく、よって、従来用いられていた加温装置や、温度制御などが不必要となる。また、真空状態で注入する必要もないので、自己組織化型ゲル化剤に含まれる不純物や自己組織化型ゲル化剤そのものの気化による組成変化もないので、良好な白黒表示が可能で、且つ濃度ムラのない表示を長期にわたって形成できる液晶表示素子を製造することができる。
請求項2に記載の発明によれば、基板の少なくとも一方をプラスチックフィルムとし、基板の一方にカイラルネマチック液晶(又は自己組織化型ゲル化剤)を適用し、その上に自己組織化型ゲル化剤(又はカイラルネマチック液晶)を適用し、その上に他方の基板を貼り合わせる工程を採用するので、液晶表示素子を連続的に製造することができ、生産性が飛躍的に向上する。
請求項3に記載の発明によれば、カイラルネマチック液晶と自己組織化型ゲル化剤を含む液晶組成物を特定温度以上に加熱する工程を含むので、カイラルネマチック液晶と自己組織化型ゲル化剤を含む液晶組成物が均一な混合物となり、良好な表示特性を示す液晶表示素子を製造することができる。
図1は本発明の液晶表示素子の製造方法によって製造される液晶表示素子の一例の断面構造を示す概略図である。図1に示す液晶表示素子は、一対の基板1、2間に液晶層(液晶組成物)11が挟持されてなる構造を有する。図1において、基板1、2のそれぞれの表面には、互いに平行な複数の帯状に形成された透明電極3と透明電極4とが設けられている。透明電極3と透明電極4とは互いに交差するように向かい合って配置されている。透明電極3と透明電極4の上には絶縁性薄膜5が設けられ、絶縁性薄膜5の上には配向膜7が設けられている。
符号10はスペース保持部材と上下基板1、2の接着部材とを兼ねる高分子構造物、符号13は同様にスペース保持部材としてのスペーサである。符号12は液晶組成物11をセル内部に封じこめるためのシール材である。また、光が入射する側(すなわち、液晶表示素子の観察側)と反対側の基板2の外面(裏面)には、必要に応じて黒色の可視光吸収層9が設けられる。可視光吸収層9を設ける代わりに、基板2自体として可視光吸収性を有する基板を用いても良い。また、基板2上に設けられる絶縁性薄膜、配向膜、電極、あるいはこれらのうち複数を可視光を吸収するように不透明化するあるいは、基板2よりも液晶層11の側に可視光吸収層を設けることもできる。
以下、液晶表示素子の主要な構成部材について説明する。
(基板)
図1においては、基板1、2はいずれも光を透過する基板を例として用いているが、少なくとも一方(光が入射する側の基板1)が光を透過する基板であればよい。光を透過する基板としては、ガラス基板又は、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート等のフレキシブルなプラスチック基板を使用することができる。液晶表示素子の軽量化という観点から、フレキシブルなプラスチック基板を使用することが好ましい。一対の基板のうち少なくとも一方の基板、好ましくは両方の基板としてフレキシブルなプラスチック基板を用いることにより、液晶表示素子を連続的に製造することができる、軽量で薄型の液晶表示素子が得られる、液晶表示素子の破損(割れ)を抑えることができる、といった利点がある。
(電極)
電極3、4としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide:インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電膜や、アルミニウム、シリコン等の金属電極、あるいはアモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide:ビスマスシリコン酸化物)等の光導電性膜等を用いることができる。図1に示す液晶表示素子においては、既述の通り、透明基板1、2の表面に互いに平行な複数の帯状の透明電極3、4が形成されており、これらの電極3、4は互いに交差するように向かい合わされている。電極をこのように形成するには、例えば基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。
(絶縁性薄膜)
電極間の短絡を防止したり、液晶表示素子のガスバリア性に対する信頼性を向上させるために、電極3、4の少なくとも一方に絶縁性薄膜5を形成することが好ましい。絶縁性薄膜5としては、例えば、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウムやそのアルコキシド等からなる無機膜及びポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の有機膜を挙げることができる。これらの材料を用いて蒸着法、スピンコート法、ロールコート法などの公知の方法によって絶縁性薄膜を形成することができる。また、絶縁性薄膜は後記する高分子構造物に用いる高分子樹脂と同じ材料を用いて形成することもできる。
(配向膜)
配向膜7は、液晶表示素子の安定化などのために設けることが好ましい。配向膜7を形成する場合、電極3、4上に絶縁性薄膜5が形成されているときは絶縁性薄膜5上に、電極3、4上に絶縁性薄膜が形成されていないときは電極3又は4上に形成する。配向膜7の材料としては、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂等の有機膜や、酸化シリコン、酸化アルミニウム等の無機膜を挙げることができる。これらの材料を用いて形成した配向膜7は必要に応じてラビング処置等を施してもよい。また、配向膜7は後記する高分子構造物に用いる高分子樹脂と同じ材料を用いて形成することもできる。
(スペーサ)
一対の基板1、2間には、基板間のギャップを均一に保持するため、スペーサ13が設けられる。スペーサ13としては、樹脂または無機酸化物の球状粒子を例示できる。例えば、ボール状のガラスやセラミックス粉、または有機材料からなる球状粒子が挙げられる。また、球状粒子の表面に熱可塑性樹脂がコーティングされている固着スペーサも好適に用いられる。基板間のギャップをより均一に保持するために、図1に示すように、スペーサ13と高分子構造物10の両方を設けることが好ましい。スペーサ13の直径は、高分子構造物10を設ける場合は、高分子構造物10の高さ以下とし、液晶表示素子が完成したときに高分子構造物と同じ高さになるようにする。高分子構造物の有無によらず、スペーサの直径がセルギャップの厚みに相当する。
(液晶層)
液晶層11は、カイラルネマチック液晶及び自己組織化型ゲル化剤を含む液晶組成物からなる。本実施形態においては、液晶組成物は、液晶表示素子の選択反射のピーク波長が500〜700nm、特に550〜650nmとなるように、液晶組成物中のカイラルネマチック液晶と自己組織化型ゲル化剤の含有割合を調整することが好ましい。ピーク波長が500nm未満または700nmを超えると、プレーナー時の反射率が低下するので高コントラストを達成することが困難になる。
本発明において、自己組織化型ゲル化剤とは、UV照射等の他の手段を施すことなしに、カイラルネマチック液晶に添加、混合するだけで、自ら組織化し擬似網目構造を形成し得るゲル化剤であり、分子間で水素結合し得る有機化合物である。自己組織化型ゲル化剤をカイラルネマチック液晶に添加することにより、カイラルネマチック液晶の流動性を低下させて、粘度を増大させ得る。本発明の製造方法によって得られる液晶表示素子は、自己組織化型ゲル化剤をカイラルネマチック液晶に添加するので、良好な白黒表示が可能で、且つ初期の表示色及び優れたコントラストを長期に亘って維持可能であるという顕著な効果が得られる。
このような顕著な効果が得られる詳細なメカニズムは明らかではない。自己組織化型ゲル化剤の分子が、液晶組成物中において分子レベルで均一に分散され易く、水素結合による擬似網目構造を形成するため、網目構造がより細かな緻密性と適度な柔軟性とを有することに基づくものと考えられる。また、広い波長域にわたって反射率を向上させる方法に比べると、セルギャップを厚くする必要がないので、低い印加電圧で駆動が行え、材料の選択にも制約が少ない。さらに、自己組織化型ゲル化剤を添加しない液晶表示素子に比べて、広視野角表示が行えるという特長も有している。
自己組織化型ゲル化剤は分子間で水素結合し得る有機化合物であり、例えば、分子構造中に、分子間で水素結合し得る基とアルキレン基を有する有機化合物が好ましい。分子間で水素結合し得る基と共にアルキレン基を有する有機化合物を、カイラルネマチック液晶のゲル化剤として使用すると、アルキレン基同士の分子間力によって擬似網目構造の形成が促進されるものと考えられる。
分子間で水素結合し得る基としては、例えば、2価のアミド基(−NHCO−)等が挙げられる。分子間で水素結合し得る基は、分子内に1個以上、好ましくは2個以上含有されることが望ましい。
アルキレン基としては長鎖アルキレン基が好ましく、例えば炭素数4以上、好ましくは6〜20のアルキレン基であり、より好ましくは直鎖状ポリメチレン基(−(CH2n−)である。アルキレン基は分子内に1個以上、好ましくは2個以上あることが好ましい。
自己組織化型ゲル化剤は、分子間で水素結合し得る基、好ましくは分子間で水素結合し得る基とアルキレン基を有する有機化合物である限り、その構造は特に制限されない。そのような自己組織化型ゲル化剤としては、例えば、下記一般式(I)で表される脂環族アミド系化合物、下記一般式(II)〜(IV)で表される脂肪族アミド系化合物、及び下記一般式(V)で表される脂肪族ウレア系化合物等が挙げられる。
Figure 2006267366
一般式(I)中、R1はアルキル基、アリールオキシ基またはアリールアルコキシ基であり、これらの基はシアノ基等の置換基を有してもよい。アルキル基は、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基である。アリールオキシ基は、炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
アリールアルコキシ基としては、例えば炭素数6〜14のアリール基1〜2個が、炭素数1〜3のアルコキシ基に置換されてなる基が好ましい。例えば、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルプロポキシ基、ビフェニリルメトキシ基、ビフェニリルエトキシ基、ビフェニリルプロポキシキ基等が挙げられる。
好ましいR1はアルキル基またはアリールオキシ基である。
Reは長鎖アルキレン基であり、例えば炭素数4以上、好ましくは6〜20のアルキレン基であり、好ましくは直鎖状ポリメチレン基(−(CH2n−)である。アルキレン基は分子内に1個以上、好ましくは2個以上含有されることが好ましい。mは、1〜3の整数、好ましくは2である。ひとつの式中に同一の基が複数個ある場合、それらの基はそれぞれ独立して所定の範囲内から選択されればよい(以下、同様である)。
一般式(I)で表される脂環族アミド系化合物の好ましい具体例として、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2006267366
一般式(II)〜(IV)において、R2は前記R1と同義であるが、好ましいR2は、アリールアルコキシ基である。R3は、炭素数1〜3の2価のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基等が挙げられる。R3は置換基を有していてもよく、置換基として、例えば、以下の基が挙げられる。これらの基の中でも炭素数3〜5の分枝状アルキル基が好ましい。
Figure 2006267366
Reは一般式(I)におけるReと同義である。R4は、前記R1と同義であるが、好ましいR4は、アルキル基である。R5は、前記R3と同義であるが、好ましいR5は、置換基を有しないアルキレン基であ
る。nは0〜3の整数であり、好ましくは0〜1の整数である。
一般式(II)〜(IV)で表される脂肪族アミド系化合物の好ましい具体例として、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2006267366
一般式(V)中、R6は前記R4と同義である。Reは、一般式(I)におけるReと同義である。前R7は、前記R5と同義である。
一般式(V)で表される脂肪族ウレア系化合物の好ましい具体例として、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2006267366
これらの化合物は、公知の合成方法に従って合成することができる。
上記の中で好ましい自己組織化型ゲル化剤は、一般式(I)で表される脂環族アミド系化合物である。
自己組織化型ゲル化剤の含有量は、本発明の目的を達成できる限り特に制限されるものではなく、例えば、カイラルネマチック液晶及び自己組織化型ゲル化剤の合計量に対して0.2〜4.0質量%が適当である。この範囲に設定されると、黒表示時のY値を低減することができ、結果としてコントラストをより有効に向上できる。
自己組織化型ゲル化剤を含有するカイラルネマチック液晶は、室温においてコレステリック相を示すものである。カイラルネマチック液晶としては、ネマチック液晶とカイラル剤からなる液晶混合物を使用することができる。
ネマチック液晶としては、従来から液晶表示素子の分野で知られているネマチック液晶を使用することができる。このようなネマチック液晶としては、例えば、液晶性エステル化合物、液晶性ピリミジン化合物、液晶性シアノビフェニル化合物、液晶性トラン化合物、液晶性フェニルシクロヘキサン化合物、液晶性ターフェニル化合物、フッ素原子、フルオロアルキル基、シアノ基等の極性基を有する他の液晶性化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
カイラル剤としては、液晶表示素子の分野で従来から知られている種々のものが使用可能である。例えば、コレステリック環を有するコレステリック化合物、ビフェニル骨格を有するビフェニル化合物、ターフェニル骨格を有するターフェニル化合物、2つのベンゼン環がエステル結合によって連結されてなる骨格を有するエステル化合物、シクロヘキサン環がベンゼン環に直接的に連結されてなる骨格を有するシクロヘキサン化合物、ピリミジン環がベンゼン環に直接的に連結されてなる骨格を有するピリミジン化合物、2つのベンゼン環がアゾキシ結合またはアゾ結合によって連結されてなる骨格を有するアゾキシまたはアゾ化合物等が挙げられる。
カイラル剤の含有量は、特に制限されず、カイラルネマチック液晶及び自己組織化型ゲル化剤の合計量に対して3〜40質量%である。
液晶組成物には、紫外線吸収剤等の添加剤を添加してもよい。紫外線吸収剤は、液晶組成物の紫外線劣化、例えば経時に伴なう退色や応答性の変化等を防止するものであり、例えば、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、サリシレート化合物等の材料が使用可能である。
液晶組成物は所望により、イオン交換樹脂や吸着剤等と接触させ精製することにより水分や不純物を除去することが好ましい。
(シール材)
シール材12は液晶組成物11が基板1、2の間から外に漏れないように封入するためのものである。シール材の素材としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、光硬化性接着剤等を使用することができる。
(高分子構造物)
高分子構造物10は、円柱状体、楕円柱状体、四角柱状体など、形状は任意であり、また、その配置はランダムであっても、格子状などの規則性を有するものであってもよい。このような高分子構造物10を設けることにより、基板1、2間のギャップを一定に保つことが容易になり、また、液晶表示素子自身の自己保持性を高めることができる。特に、ドット形状の高分子構造物を一定間隔で配置すると、表示性能を均一化しやすい。高分子構造物10の高さはセルギャップの厚み、すなわち液晶組成物からなる液晶層11の厚みに相当する。
液晶層11を挟持する基板1、2としてフレキシブルなプラスチック基板を用いる場合に、高分子構造物10を設けることが特に効果的である。フレキシブルな基板を用いることにより液晶層の厚みが不均一になるのを防止することができるからである。球状粒子であるスペーサと高分子構造物を併用し、高分子構造物に上下の基板1、2を接着する接着部材としての機能を持たせると、液晶層11の厚みの均一化に特に有効である。
高分子構造物10を形成するには、シール材と同じ素材のものを用いても良い。また、紫外線硬化型モノマーからなるフォトレジスト材料などの光硬化性樹脂材料を所望の厚さで基板1又は2の最表面膜(絶縁性薄膜、配向膜)に塗布し、これにマスクを通して紫外線を照射しパターン露光を行い、未硬化部分を除去するいわゆるフォトリソグラフィ法を用いることができる。
また、熱可塑性樹脂を適当な溶剤に溶解し高分子構造物10を形成してもよい。この場合、スクリーン版やメタルマスク等を用いて熱可塑性樹脂溶液をスキージで押し出すことにより基板上に印刷を行う印刷法、デイスペンサ法、熱可塑性樹脂溶液をノズルの先から基板上に吐出して形成するインクジェット法、熱可塑性樹脂溶液を平板あるいはローラー上に供給した後、基板表面に転写する転写法などにより高分子構造物10を形成することができる。
(散乱層)
散乱層(図示せず)を基板1の表面(図中、上面)または基板2と可視光吸収層9との間に設けてもよい。散乱層を設けることにより、白表示時の散乱度合いが上がり、刺激純度が向上する。散乱層の素材としては、例えば、製品名FT−014(ポラテクノ社製)などが挙げられる。
(セルギャップ)
液晶表示素子におけるセルギャップ、すなわち液晶組成物からなる液晶層11の厚みが大きくなるほど白表示時の反射率は大きくなるが、駆動電圧や黒表示時の反射率も大きくなる。セルギャップの厚みは概ね2〜50μm程度であるが、好ましくは3〜15μmである。セルギャップを3〜15μmとすることにより、比較的低い印加電圧でも高コントラストを達成できる。
(製造方法)
本発明による液晶表示素子の製造方法の好ましい実施形態について説明する。
基板1、2に電極3、4をパターニングし、その上に絶縁性薄膜5を塗布した後、配向膜7を形成する。次に、基板1又は基板2にシール材12及び高分子構造物10を形成し仮硬化する。次に、基板1又は基板2の一方にスペーサ13を散布し、そのスペーサ13を散布した基板又はもう一方の基板に自己組織化型ゲル化剤を適用する。自己組織化型ゲル化剤の適用量は、カイラルネマチック液晶及び自己組織化型ゲル化剤の合計量に対して0.2〜4.0質量%となるようにする。
自己組織化型ゲル化剤の適用は、自己組織化型ゲル化剤のみの散布でも良いし、自己組織化型ゲル化剤を溶媒に溶かした溶液の塗布散布、又は印刷でも良い。また、スペーサに自己組織型ゲル化剤を吸着させて散布しても良い。溶液で散布又は印刷したものについては、溶媒を蒸発をさせるために基板を加温する、又は室温状態で一定時間放置することが必要となる。
本発明における自己組織化型ゲル化剤を適用、カイラルネマチック液晶を適用の「適用」とは、自己組織化型ゲル化剤又はカイラルネマチック液晶を基板上に一定量を塗布又は散布又は印刷することをいう。
次に、自己組織化型ゲル化剤を散布した基板又はもう一方の基板にカイラルネマチック液晶を必要量適用する。
基板に適用したカイラルネマチック液晶及び自己組織化型ゲル化剤を覆うように、上記のようにして作製した基板1及び基板2を貼り合わせ、圧力をかけた状態でシール材12及び高分子構造物10を本硬化し上下基板1、2を接着する。
基板をプラスチックフィルムとし、基板の一方にカイラルネマチック液晶(又は自己組織化型ゲル化剤)を適用し、その上に自己組織化型ゲル化剤(又はカイラルネマチック液晶)を適用し、その上に他方の基板を貼り合わせる工程を採用する場合、一方の基板上に順次、スペーサの散布、自己組織化型ゲル化剤の散布、カイラルネマチック液晶の滴下を連続的に行い、対向するもう一方のプラスチックフィルム基板をローラで加圧しながら貼り合わせることにより、ガラス等のハードな基板に比べ、生産性は著しく向上する。
貼り合わせた後、非観察面側に可視光吸収層8を印刷し、さらに自己組織化型ゲル化剤とカイラルネマチック液晶からなる液晶組成物の液晶相−等方相間の相転移点又はゾル−ゲル転移点のどちらか高い方の温度以上に加熱し、次に常温まで冷却することで液晶表示素子を作製することができる。
液晶組成物の液晶相−等方相間の相転移点又はゾル−ゲル転移点のどちらか高い方の温度以上に加熱することにより、自己組織化型ゲル化剤がカイラルネマチック液晶の中にネットワーク状に分散した状態とすることができる。
加熱条件は、特に規定はないが、昇温速度は製造効率を上げるため、可能な限り速い方が良い。保持温度は、液晶相−等方相間の相転移点、又はゾル−ゲル転移点のどちらか高い方の温度よりも5〜30℃高い温度、好ましくは、10〜20℃高い温度である。保持時間は、5〜30分、好ましくは5〜15分である。
次の冷却工程としては、液晶組成物の液晶相−等方相間の相転移点及びゾル−ゲル転移点を含む所定の温度域において徐冷することが好ましい。液晶組成物の液晶相−等方相間の相転移点及びゾル−ゲル転移点を含む所定の温度域において徐冷することにより、自己組織化型ゲル化剤がカイラルネマチック液晶の中にネットワーク状に十分に分散した状態のままで固定化することができる。その結果、コントラストの高い白黒表示を長期にわたって維持することが可能となる。この理由については、自己組織化型ゲル化剤が液晶の配向を助けることが一因であると考えられる。また、液晶の分光反射特性を広い波長域で反射率を向上させたものとする(すなわち選択反射ピーク形状が可視光領域全体にわたってブロードとなるようにする)従来の方法に比べて、セルギャップを狭くでき、駆動電圧を低くすることができる。
徐冷条件については、徐冷速度は、10〜300℃/時間、好ましくは、30〜200℃/時間である。徐冷は液晶相−等方相間の相転移点またはゾル−ゲル転移点のどちらか高い方の温度から、どちらか低い方の温度を含む温度範囲まで徐冷することが好ましい。それ以外の温度域においては、1200℃/時間以上の急冷を行っても良い。
このような加熱工程及び冷却工程を採用することにより、自己組織化型ゲル化剤とカイラルネマチック液晶との混合性も良くなる。その結果、コントラストが高く、視認性の良い液晶表示素子を作製することができる。
(表示方法)
以上の構成からなる液晶表示素子では、電極3、4に駆動回路20からパルス電圧を印加することで表示が行われる。例えば、液晶層11をPL状態とFC状態との間で切り替えることによって表示を行うPL−FC駆動方式を採用してもよい。また、液晶層11をPL状態とHomeo状態との間で切り替えることによって表示を行うPL−Homeo駆動方式を採用してもよい。
例えば、PL−FC駆動方式では、比較的高いエネルギーのパルス電圧(電圧値が大きい、パルス幅が広い等)を印加することで、液晶がPL状態となり、液晶分子の螺旋のピッチと屈折率に基づいて決まる波長の光を選択的に反射する。一方、比較的低いエネルギーのパルス電圧(電圧値が小さい、パルス幅が狭い等)を印加することで、液晶がFC状態となり、透明になる。
いくつかの駆動波形が提案されている。例えば、比較的低い電圧を長く印加することで液晶をFC状態にリセットした後に、所望の部分のみPL状態に変化させるような駆動波形が提案されている。また、高い電圧を印加した状態から急激に電圧をオフすることによって液晶をPL状態にリセットした後に、所望の部分のみFC状態に変化させるような駆動波形が提案されている。さらには、リセットパルスを印加し液晶をHomeo状態にした後、最終的に得ようとする表示状態に応じた大きさの選択パルスを印加し、最後に選択した状態を確立するためのパルスを印加する3つのステージからなる駆動波形などを採用することも提案されている。
これらの駆動方式では、液晶表示素子のメモリー性を利用して電圧印加を停止した後も表示状態を維持することができる。可視光吸収層9を設けることにより、FC状態では黒色を表示することができる。
また、例えば、PL−Homeo駆動方式では、高い電圧を印加した状態から急激に電圧をオフするなどしてPL状態を実現する一方、高い電圧を印加し続けることにより液晶をHomeo状態に保つことができる。この方法は、Homeo状態での透明度がFC状態のそれよりも高くなり、コントラスト向上に有利ではある。可視光吸収層9を設けるとHomeo状態では黒色を呈するが、表示を維持するために電圧を印加し続ける必要がある。
本実施形態の製造方法によって得られる液晶表示素子が有し得る分光分布曲線の一例を図2に実線で示す。実線の分光分布曲線は450〜600nmにおける反射率の変動が小さく、具体的には、450〜600nmにおける反射率の最大値σmaxと最小値σminとが平均値σaveに対して1%以内になっており、白表示とみなすことができる。
(Y値測定)
液晶表示素子に対して図3に示すパルス(この駆動波形では、前段のパルスで液晶をPL状態にリセットしている)を印加し、電圧−Y値曲線(以下、V−Y曲線という)を求める。詳しくは、図3のパルスにおける区間(X)の電圧(V)を±20〜±50Vまで変化させながら、図3に記載の測定ポイントでの液晶表示素子の分光分布曲線(波長−反射率曲線)及びY値(Y)を分光測色器(CM3700d;コニカミノルタ(株)社製)により複数回繰り返し測定し、V(電圧の絶対値)−Y(Y値)曲線を作成する。V−Y曲線の一例を図4に示す。V−Y曲線において、最大のY値(Ymax)を示す状態をPL状態、最小のY値(Ymin)を示す状態をFC状態とする。
(白色度(刺激純度)の測定)
Y値測定と同時に、PL状態の表示素子から分光分布曲線を分光測色器(CM3700d;コニカミノルタ(株)社製)により測定し、この分光分布曲線から色度座標(x,y)を求めて刺激純度を算出する(D65標準値(白色:x=0.3127,y=0.329)を用いた)。刺激純度は白さを表すひとつのパラメーターであり、刺激純度が小さいほど白色であることを示す。
(実施例1)
ITO膜を形成したガラス基板(表面抵抗10Ω/□、板厚0.7mm)100mm×150mmを2枚作製し、それぞれ液晶表示素子用の基板1、2とした。それぞれの基板1、2のITO膜を形成した面側に、配向膜としてポリイミド(JSR社製AL−2022)を80nmの厚さに印刷した。次に、基板1にシール材12を図5に示すような形状に印刷した。シール材12としては、光硬化性の樹脂(WorldRock型番72A14:協立化学産業(株)製)を厚さ8μm、幅500μmにスクリーン印刷した。その後、基板1上にスペーサとして、ミクロパールSP−205−KA(積水ファインケミカル(株)製)5.5μmを散布した。さらにその上に、自己組織化型ゲル化剤として、一般式(I)で表される脂環族アミド系化合物に例示した化合物(2)を0.001g散布し、次にネマチック液晶(BL006;メルク(株)製、屈折率異方性:0.286、誘電率異方性:17.3、粘度:71mP・s、NI点:113℃)63質量部とカイラル剤(CB15;メルク(株)製)35質量部とを混合したカイラルネマチック液晶を0.05g滴下した。
このようにして作製した基板1と基板2を貼り合わせ、一定圧力を加えた状態でUV照射装置(SEN LIGHT CORP.社製 型番:HCP−5)で10mW/cm2、15minの条件でシール材を硬化し、基板1、2を接合した。この時、シール材12上のスペーサ粒子はシール材12中に埋め込まれ、セルギャップは5.5μmであった。次に、光吸収層としてカーボンブラックを含む黒色塗料を基板2のITO膜を形成した面側と反対の面に形成した。
また、予めカイラルネマチック液晶と自己組織化型ゲル化剤との混合物のゾルゲル転移温度と液晶−等方相転移温度をDSC測定装置型番6200(セイコーインスツルメンツ(株)製)で測定したところ、ゾルゲル転移温度は83℃であり、液晶−等方相転移温度は101℃であることを確認した。
以上のようにして作製したものをオーブンに入れ、80℃で10分間加熱した。その後、冷却速度0.5℃/分で80℃から25℃まで徐冷し、実施例1の図1に示す構成を持つ液晶表示素子(但し、高分子構造物と絶縁性薄膜は省略した)を作製した。同様な方法で、合計10サンプルの液晶表示素子を作製した。
この液晶表示素子を25℃の条件下で、先に示した測定方法により、Y値及び刺激純度を測定し、その平均値を求めた。Y値max=19.5%、刺激純度=4.0%であった。10サンプルの刺激純度は3.5%〜4.5%の範囲にあり、刺激純度のバラツキも少なく、良好な白色度と製造再現性を示した。また、この中の一つのサンプルについて、前記測定を10、000回行ったところ、その間の刺激純度の変化は、4.0%から4.3%に変化しただけであり、長期間にわたって安定した白色度を示していることを確認した。
(実施例2)
実施例1において、オーブンの温度を80℃から120℃に代えた以外は、実施例1と同様な方法で液晶表示素子を作製した。
この液晶表示素子を25℃の条件下で、先に示した測定方法により、Y値及び刺激純度を測定し、その平均値を求めた。Y値max=18.5%、刺激純度=2.5%であった。また、10サンプルの刺激純度は2.1%〜2.9%の範囲にあり、刺激純度のバラツキも少なく、非常に良好な刺激純度と製造再現性を示した。また、この中の一つのサンプルについて、前記測定を10,000回行ったところ、その間の刺激純度の変化は、6.0%から6.4%に変化しただけであり、長期間にわたって安定した刺激純度を示していることを確認した。
(比較例1)
ITO膜を形成したガラス基板(表面抵抗10Ω/□、板厚0.7mm)100mm×150mmを2枚作製し、基板1、2とした。基板1、2のITO膜を形成した面側に配向膜としてポリイミド(JSR社製AL−2022)を80nmの厚さに印刷した。次に基板1にシール材12として、光硬化性の樹脂(WorldRock型番72A14:協立化学産業(株)製)を用い、図6に示すように、2カ所に開口部A(開口幅20mm)、開口部B(開口幅20mm)を設けた形状で、厚さ8μm、幅500μmにスクリーン印刷した。
その後、基板1上にスペーサとして、ミクロパールSP−205−KA(積水ファインケミカル(株)製)5.5μmを散布し、その後基板2と貼り合わせて、UV照射装置(SEN LIGHT CORP.社製 型番:HCP−5)で10mW/cm2、15minの条件でシール材を硬化し空セルを作製した。
次にネマチック液晶(BL006;メルク(株)製、屈折率異方性:0.286、誘電率異方性:17.3、粘度:71mP・s、NI点:113℃)63質量部、カイラル剤(CB15;メルク(株)製)35質量部、及び一般式(I)で表される脂環族アミド系化合物に例示した化合物(2)を2質量部混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調製した。このカイラルネマチック液晶組成物のゾルゲル転移温度と液晶−等方相転移温度をDSC測定装置型番6200(セイコーインスツルメンツ(株)製)で測定したところ、ゾルゲル転移温度は、83℃であり、液晶−等方相転移温度は、101℃であることを確認した。
上記で作製した空セルをホットプレート上で120℃に保ち、開口部Aにカイラルネマチック液晶組成物を滴下し、表面張力を利用して、カイラルネマチック液晶組成物を空セル内部に浸透させた。この時、浸透による空セルへのカイラルネマチック液晶組成物の充填に30分間を要した。その後、常温まで冷却した後、開口部を封止し液晶表示素子とした。
以上のようにして作製したものをオーブンに入れ、120℃で10分間加熱した。その後、冷却速度0.5℃/分で120℃から25℃まで徐冷し、実施例1の図1に示す構成を持つ液晶表示素子(但し、高分子構造物と絶縁性薄膜は省略した)を作製した。同様な方法で、合計10サンプルの液晶表示素子を作製した。
この液晶表示素子を25℃の条件下で、先に示した測定方法により、Y値及び刺激純度を測定し、その平均値を求めた。Y値max=17.9%、刺激純度=4.4%であった。また、10サンプルの刺激純度は3.9%〜4.9%の範囲にあり、刺激純度のバラツキも大きくなく、ある程度の白色度と製造再現性を示した。
しかし、この方法では、表面張力によりカイラルネマチック液晶組成物をセルに充填するため、注入のために時間がかかりすぎ、生産性に劣るという問題点があった。
(比較例2)
比較例1において、シール材12の形状を図7のように開口部を1カ所にした以外は、比較例1と同様な方法で空セルを作製した。この空セルを真空注入装置(島津製作所(株)製、型番TMP SOURCE EI150を元にした試作装置)に移し、0.27Paまで減圧した後、比較例1と同様な方法で作製したカイラルネマチック液晶組成物の入った真空注入装置内の注入皿にこの空セルの開口部Aを漬け、120℃に加温し、その後、真空装置内部の圧力を大気圧に戻した。この時、真空法による空セルへのカイラルネマチック液晶組成物の充填に20分間を要した。その後、常温まで冷却した後、開口部を封止し、液晶表示素子とした。
以上のようにして作製したものをオーブンに入れ、120℃で10分間加熱した。その後、冷却速度0.5℃/分で120℃から25℃まで徐冷し、実施例1の図1に示す構成を持つ液晶表示素子(但し、高分子構造物と絶縁性薄膜は省略した)を作製した。同様な方法で、合計10サンプルの液晶表示素子を作製した。
この液晶表示素子を25℃の条件下で、先に示した測定方法により、Y値及び刺激純度を測定し、その平均値を求めた。Y値max=17.5%、刺激純度=12.1%であった。また、10サンプルの刺激純度は8.2%〜13.8%の範囲にあった。
このように比較例1に比べ、カイラルネマチック液晶組成物を充填する時間は、短くなり、生産性の向上は認められたが、刺激純度の点で劣っている。また、10サンプルの刺激純度バラツキも大きく、表示性能の再現性に問題があることがわかった。
(比較例3)
比較例1において、自己組織化型ゲル化剤を添加しなかった他は、比較例1と同様な方法で液晶表示素子を作製した。
この液晶表示素子を25℃の条件下で、先に示した測定方法により、Y値及び刺激純度を測定し、その平均値を求めた。Y値max=16.8%、刺激純度=15.8%であった。また、10サンプルの刺激純度は14.9%〜16.7%の範囲にあった。
このように比較例1に比べて、白色度の点で劣っていることがわかる。
(比較例4)
比較例2において、自己組織化型ゲル化剤を添加しなかった他は、比較例2と同様な方法で液晶表示素子を作製した。
この液晶表示素子を25℃の条件下で、先に示した測定方法により、Y値及び刺激純度を測定し、その平均値を求めた。Y値max=16.8%、刺激純度=15.8%であった。また、10サンプルの刺激純度は14.9%〜16.7%の範囲にあった。
比較例3と比較例4の表示特性が同じ特性を示していることから、自己組織化型ゲル化剤を添加しない場合には、液晶組成物のセルへの充填方法の違いは見られていない。一方、自己組織化型ゲル化剤を添加した比較例1と比較例2の場合で表示特性が異なっている。このことから、比較例2において、真空下でセルに液晶組成物を注入するときに、カイラルネマチック液晶組成物中の自己組織化型ゲル化剤に含まれる不純物、あるいは、自己組織化型ゲル化剤そのものが気化することに起因して、カイラルネマチック液晶との配合比が変化し、そのために表示特性が劣化したものと考えられる。
(実施例3)
実施例1において、自己組織化型ゲル化剤の散布を基板2の方に散布した以外は、実施例1と同様な方法で液晶表示素子を作製した。
この液晶表示素子を25℃の条件下で、先に示した測定方法により、Y値及び刺激純度を測定し、その平均値を求めた。Y値max=19.5%、刺激純度=5.2%であった。また、10サンプルの刺激純度は4.5%〜5.5%の範囲にあり、刺激純度のバラツキも少なく、良好な白色度と製造再現性を示した。また、この中の一つのサンプルについて、前記測定を10、000回行ったところ、その間の刺激純度の変化は、5.0%から6.3%に変化しただけであり、長期間にわたって安定した白色度を示していることを確認した。
(実施例4)
実施例3において、オーブンの温度を80℃から120℃に代えた以外は、実施例3と同様な方法で液晶表示素子を作製した。
この液晶表示素子を25℃の条件下で、先に示した測定方法により、Y値及び刺激純度を測定し、その平均値を求めた。Y値max=18.2%、刺激純度=2.3%であった。また、10サンプルの刺激純度は2.1%〜3.2%の範囲にあり、刺激純度のバラツキも少なく、非常に良好な刺激純度と製造再現性を示した。また、この中の一つのサンプルについて、前記測定を10、000回行ったところ、その間の刺激純度の変化は、2.3%から2.9%に変化しただけであり、長期間にわたって安定した白色度を示していることを確認した。
(実施例5)
実施例1において、ガラス基板の代わりにPES基板(スミライトFTST−5352:住友ベークライト(株)製、厚さ100μm)を使用し、貼り合わせ方法として、図8に示すように基板1をステージ30上に配置し、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング(株)製)を用いて、カイラルネマチック液晶を滴下しながらローラ31により加圧して、貼り合わせた他は、実施例1と同様な方法で液晶表示素子を作製した。
以上のようにして作製したものをオーブンに入れ、80℃で10分間加熱した。その後、冷却速度0.5℃/分で120℃から25℃まで徐冷し、実施例1の図1に示す構成を持つ液晶表示素子(但し、高分子構造物と絶縁性薄膜は省略した)を作製した。同様な方法で、合計10サンプルの液晶表示素子を作製した。
この液晶表示素子を25℃の条件下で、先に示した測定方法により、Y値及び刺激純度を測定し、その平均値を求めた。Y値max=19.5%、刺激純度=5.6%であった。また、10サンプルの刺激純度は4.7%〜5.8%の範囲にあり、刺激純度のバラツキも少なく、良好な刺激純度と製造再現性を示した。また、この中の一つのサンプルについて、前記測定を10、000回行ったところ、その間の刺激純度の変化は、5.6%から6.5%に変化しただけであり、長期間にわたって安定した白色度を示していることを確認した。
(実施例6)
実施例5において、オーブンの温度を80℃から120℃に代えた以外は、実施例5と同様な方法で液晶表示素子を作製した。
この液晶表示素子を25℃の条件下で、先に示した測定方法により、Y値及び刺激純度を測定し、その平均値を求めた。Y値max=18.7%、刺激純度=2.1%であった。また、10サンプルの刺激純度は2.0%〜3.1%の範囲にあり、刺激純度のバラツキも少なく、非常に良好な白色度と製造再現性を示した。また、この中の一つのサンプルについて、前記測定を10、000回行ったところ、その間の刺激純度の変化は、2.1%から2.5%に変化しただけであり、長期間にわたって安定した刺激純度を示していることを確認した。
以上の結果から、実施例1〜6は、ともに良好な白色度と繰り返し再現性があった。特に実施例2,4,6については、作製した液晶表示素子に液晶相−等方相間の相転移点又はゾル−ゲル転移点のどちらか高い方の温度以上に加熱したので非常に白色度の良い結果であった。比較例1は、良好な白色度を示すが生産性に劣る。また、比較例2は、自己組織化型ゲル化剤の配合比が変化するためにサンプルの表示特性のバラツキが生じていると考えられる。また、比較例3、4については、自己組織化型ゲル化剤を添加していないため、白色度が低下している。
本発明の実施形態である液晶表示素子の一例の概略断面図である。 液晶表示素子が有し得る分光分布曲線の一例である。 実験例で用いた駆動波形の例を示す図である。 プレーナー状態及びフォーカルコニック状態を設定するためのV−Y曲線の一例を示す。 液晶表示素子におけるシール材の塗布形状を示す図である。 液晶表示素子におけるシール材の塗布形状を示す図である。 液晶表示素子におけるシール材の塗布形状を示す図である。 液晶表示素子の製造方法の一実施形態を示す図である。
符号の説明
1、2 基板
3、4 透明電極
5 絶縁性薄膜
7 配向膜
8 可視光吸収層
10 高分子構造物
11 液晶層(液晶組成物)
12 シール材
13 スペーサ
20 駆動回路
30 ステージ
31 ローラ
A、B 開口部

Claims (3)

  1. 一対の基板の間にカイラルネマチック液晶と自己組織化型ゲル化剤を主たる成分とする液晶組成物を含む液晶層を設けてなる液晶表示素子の製造方法において、
    前記自己組織化型ゲル化剤を前記一対の基板の少なくとも一方の基板の上に適用する工程、前記カイラルネマチック液晶を前記自己組織化型ゲル化剤を適用した前記基板又は他方の基板の上に適用する工程、前記一対の基板を前記カイラルネマチック液晶及び前記自己組織化型ゲル化剤を覆うように貼り合わせる工程、とを含むことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  2. 前記一対の基板の一方は、プラスチックフィルムであり、前記カイラルネマチック液晶と前記自己組織化型ゲル化剤のいずれか一方を前記一対の基板の一方に適用する工程、前記カイラルネマチック液晶と前記自己組織化型ゲル化剤の内の他方を前記一対の基板の一方に適用した前記カイラルネマチック液晶と前記自己組織化型ゲル化剤のいずれか一方の上に適用する工程、前記一方の基板に適用した前記カイラルネマチック液晶及び前記自己組織化型ゲル化剤を覆うように前記他方の基板を前記一方の基板に貼り合わせる工程、とを含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
  3. 前記一対の基板を貼り合わせた後に、前記液晶組成物の液晶相−等方相間の相転移点又はゾル−ゲル転移点のどちらか高い方の温度以上に、貼り合わせた前記一対の基板を加熱する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示素子の製造方法。
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