JP2006219133A - 電気制御ブレーキシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】電気制御ブレーキシステムの改良を図る。
【解決手段】主制御装置300には、コンピュータを主体とする3つのCPU302,304,306が含まれる。3つのCPU302,304,306には、それぞれ、バッテリ312,314,316が接続される。また、3つのCPU302,304,306から各車輪のブレーキ10〜16に設けられた電動アクチュエータ制御装置44〜50に、それぞれ、要求制動力を表す情報が出力される。その結果、バッテリ312〜316の1つあるいは2つに異常が生じても、主制御装置300によるブレーキ作動力の制御が可能となる。
【選択図】図8

Description

本発明は、電源から供給される電気エネルギの制御によって、ブレーキの作動状態を制御するブレーキ制御装置を含む電気制御ブレーキシステムに関するものである。
特許文献1には、上述の電気制御ブレーキシステムの一例が記載されている。この電気制御ブレーキシステムは、車輪の回転を抑制するブレーキと、電源と、その電源から供給される電気エネルギを制御することによって前記ブレーキの作動状態を制御するブレーキ制御装置とを含むものである。ブレーキは、液圧により作動させられるものであり、ブレーキ制御装置は、電磁弁と、その電磁弁のソレノイドへの供給電気エネルギを制御することによって液圧を制御するコンピュータを主体とする制御部とを含むものである。制御部によって供給電気エネルギが制御されることによってブレーキの作動状態が制御される。
上述の電気制御ブレーキシステムにおいて、設けられた電源は1つであり、その電源から電磁弁へ電気エネルギが供給されるようにされていた。そのため、電源の出力が低下した場合や電磁弁と電源とを接続する電気回路が外れてしまった場合等には、電磁弁が作動不能となってしまうという問題があった。
特開平5−158742号公報
本発明は、以上の事情を背景として、電気制御ブレーキシステムの改良を図ることを課題としてなされたものである。
課題を解決するための手段および効果
請求項1に係る電気制御ブレーキシステムは、車輪の回転を抑制するブレーキと、電源と、その電源から供給される電気エネルギを制御することによって前記ブレーキの作動状態を制御するブレーキ制御装置とを含む電気制御ブレーキシステムであって、前記ブレーキ制御装置が、コンピュータを主体とする3つ以上の制御部を含み、前記3つ以上の制御部の各々に対応して前記電源が1つずつ以上、合計3つ以上設けられたものである。
本項に記載の電気制御ブレーキシステムにおいては、3つ以上の電源のうちの少なくとも1つが正常であれば、残りの電源に異常が生じても、正常な電源に対応する制御部は作動可能であり、ブレーキの作動状態を制御することができる。
また、1つの制御部に対して複数の電源を設けることもできる。それら複数の電源の少なくとも1つが正常である限り、制御部は作動可能であり、ブレーキの作動状態を制御することができる。例えば、1つの制御部に複数の電源が並列に接続された電気回路を設ければ、複数の電源から独立に電気エネルギが供給可能となる。
特許請求可能な発明
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組を、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
(1)車輪の回転を抑制するブレーキと、電源と、その電源から供給される電気エネルギを制御することによって前記ブレーキの作動状態を制御するブレーキ制御装置とを含む電気制御ブレーキシステムであって、
前記ブレーキ制御装置が、コンピュータを主体とする3つ以上の制御部を含み、前記3つ以上の制御部の各々に対応して前記電源が1つずつ以上、合計3つ以上設けられたことを特徴とする電気制御ブレーキシステム(請求項1)。
(2)前記電源が、前記制御部のうちの1つに独立に電気エネルギを供給可能に複数設けられた(1)項に記載の電気制御ブレーキシステム。
(3)当該電気制御ブレーキシステムが、前後左右の各輪を含む車両に搭載され、前記ブレーキが、前記前後左右の各輪毎に設けられ、車輪とともに回転するブレーキ回転体にそれぞれ摩擦部材を押し付ける電動アクチュエータを含み、前記3つ以上の電源のうちの2つが、それぞれ、左前輪の電動アクチュエータと右前輪の電動アクチュエータとに、それぞれ、別個独立に接続され、前記3つ以上の電源から前記2つの電源を除いた電源のうちの1つが、前記左後輪の電動アクチュエータと右後輪の電動アクチュエータとの両方に接続された(1)項または(2)項に記載の電気制御ブレーキシステム(請求項2)。
左右前輪電動アクチュエータにそれぞれ電源が設けられている。したがって、少なくとも1つの電源が正常であれば、前輪ブレーキを作動させることができる。
前輪電動アクチュエータと後輪電動アクチュエータとには、それぞれ、別個の電源から電気エネルギが供給される。したがって、前輪電動アクチュエータと後輪電動アクチュエータとが共に作動不能となる事態が発生する恐れが、従来に比較して大幅に低減する。
(4)当該電気制御ブレーキシステムが、電動アクチュエータにより作動させられるパーキングブレーキを含み、前記左右後輪のブレーキの電動アクチュエータに接続された前記1つの電源に、さらに、前記パーキングブレーキ用の電動アクチュエータが接続された(3)項に記載の電気制御ブレーキシステム(請求項3)。
(5)前記ブレーキが、左,右後輪とともに回転するブレーキ回転体に摩擦部材をそれぞれ押し付ける後輪電動アクチュエータを2つ含み、前記電源が、前記2つの後輪電動アクチュエータの各々に対応して1つずつ設けられた(1)項または(2)項に記載の電気制御ブレーキシステム。
後輪電動アクチュエータの各々に対応して電源が設けられる。これら電源は、前輪電動アクチュエータへの電気エネルギを供給する前輪アクチュエータ用電源としても、前輪アクチュエータ用電源とは別の電源としてもよい。
(6)前記ブレーキが、左右前輪の回転をそれぞれ抑制する左,右前輪ブレーキと、左右後輪の回転をそれぞれ抑制する左,右後輪ブレーキとを含み、前記ブレーキ制御装置が、前記左,右前輪ブレーキの作動状態を制御する左,右前輪ブレーキ制御部と前記左,右後輪ブレーキの作動状態を制御する左,右後輪ブレーキ制御部とを含み、かつ、前記電源が、前記左,右前輪ブレーキ制御部各々に独立に電気エネルギを供給可能な左前輪制御用電源および右前輪制御用電源と、左,右後輪ブレーキ制御部の両方に電気エネルギを供給可能な後輪制御用共通電源とを含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム(請求項4)。
前輪ブレーキ制御部には、複数の電源から独立に電気エネルギが供給され得る。したがって、複数の電源のうちの少なくとも1つの電源が正常であれば、前輪ブレーキ制御部は前輪ブレーキを制御することができる。一部の電源に出力が低下する等の異常が生じても、前輪ブレーキ制御部を正常に作動させることができるのである。
車両の制動においては、前輪ブレーキの方が後輪ブレーキより重要である。そのため、前輪ブレーキ制御部に、複数の電源から独立に電気エネルギが供給され得るようにすることは、後輪ブレーキ制御部に、供給され得るようにすることより有効である。
ブレーキが電動アクチュエータを含み、ブレーキ制御装置が、電動アクチュエータへの供給電気エネルギを制御する電動アクチュエータ制御装置と、その電動アクチュエータ制御装置に供給電気エネルギの値や要求ブレーキ力を表す情報等を供給する主制御装置との両方を含む電気制御ブレーキシステムにおいては、前輪ブレーキ制御部,後輪ブレーキ制御部は、主制御装置に含まれるものであっても、電動アクチュエータ制御装置に含まれるものであってもよい。
(7)当該電気制御ブレーキシステムが、電動アクチュエータにより作動させられるパーキングブレーキを含み、前記後輪制御用共通電源に、さらに、前記パーキングブレーキ用の電動アクチュエータを制御するパーキングブレーキ制御部に接続された(6)項に記載の電気制御ブレーキシステム。
(8)前記ブレーキが、2つの第1,第2後輪ブレーキを含み、前記ブレーキ制御装置が、前記第1後輪ブレーキを制御する第1後輪ブレーキ制御部と前記第2後輪ブレーキを制御する第2後輪ブレーキ制御部とを含み、前記第1後輪ブレーキ制御部が前記複数の電源のうちの1つに接続され、第2後輪ブレーキ制御部が、前記複数の電源のうちの前記第1後輪ブレーキ制御部に接続された電源とは異なる電源に接続された(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
第1後輪ブレーキ制御部と第2後輪ブレーキ制御部とは、それぞれ別の電源に接続される。これら電源は、前記前輪ブレーキ制御部に接続された複数の電源のうちの2つである。
(9)前記3つ以上の制御部の各々が、互いに代替え可能なものである(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム(請求項5)。
制御部の各々から出力された指令に基づいて供給電気エネルギが制御された結果、ブレーキの作動状態がほぼ同じになれば、制御部がほぼ同じものであると考えることができる。ブレーキの制御に対して、ほぼ同じ制御指令が出力されるものなのである。具体的には、複数の制御部の各々に、同じ情報が入力された場合に出力される情報がほぼ同じである場合には、ブレーキの作動状態がほぼ同じになる。制御部において実行されるプログラム(記憶されているプログラム)が同じである場合、ハード回路が同じである場合等が該当する。また、入力情報が同じでなくても、出力情報がほぼ同じになる場合もある。多種類の入力情報に基づいて出力された情報と、少種類の入力情報に基づく出力情報とがほぼ同じになる場合もあるのである。多種類の入力情報に基づけば、細やかなブレーキ制御が行われ、少種類の入力情報に基づけば概略的なブレーキ制御が行われることになるが、いずれのブレーキ制御が行われても、ブレーキの作動状態が大きく異なることはない。
(10)当該電気制御ブレーキシステムが、複数の車輪を含む車両に搭載され、前記ブレーキが、前記複数の車輪にそれぞれ設けられるとともに、各輪とともに回転するブレーキ回転体にそれぞれ摩擦部材を押し付ける電動アクチュエータをそれぞれ含み、前記ブレーキ制御装置が、(a)前記複数の車輪のブレーキに対応してそれぞれ設けられ、前記電動アクチュエータをそれぞれ制御する電動アクチュエータ制御装置と、(b)前記複数の車輪の各々に対する要求ブレーキ力に関連する要求ブレーキ力関連量を決定し、その要求ブレーキ力関連量を表す要求情報を、前記複数の電動アクチュエータ制御装置の各々に出力する前記制御部としての3つの主制御装置とを含む(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム(請求項6)。
3つ以上の制御部すべてがそれぞれ別々の電源に接続されるとは限らず、3つ以上の制御部のうちの2つ以上の制御部が共通の電源に接続されてもよい。
(11)前記電動アクチュエータ制御装置の各々が、前記3つの主制御装置の各々から供給された要求ブレーキ関連量に基づき、多数決により妥当であると決まる要求値に対応する実ブレーキ力が得られるように、それに対応する前記電動アクチュエータを制御するアクチュエータ制御部を含む(10)項に記載の電気制御ブレーキシステム(請求項7)。
(12)前記3つの主制御装置の各々が、前記複数の電動アクチュエータ制御装置の各々の異常を検出する異常検出部を含み、前記ブレーキ制御装置が、前記3つの主制御装置のうちの2つにおいて異常であるとされた場合に、その電動アクチュエータ制御装置が異常であるとする回路を含む(10)項または(11)項に記載の電気制御ブレーキシステム(請求項8)。
(13)前記ブレーキ制御装置が、前記3つ以上の制御部のうちの少なくとも1つに異常が生じたことを検出する制御部異常検出装置を含む(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
制御部異常検出装置は、(1)項ないし(12)項に記載の制御部とは別個に設けられた異常検出のためのコンピュータを含むものであっても、(1)項ないし(12)項に記載の制御部のうちの少なくとも1つに含まれるものであってもよい。(1)項ないし(12)項の制御部各々を、互いに異常か否かを監視するもの、すなわち、相互監視機能付きの制御部とすれば、コンピュータの数を増やす必要がなくなる。
複数の制御部が互いに実質的に同じものであれば、これら制御部各々から出力される出力情報はほぼ同じになるはずである。そのため、これらの出力情報がほぼ同じであれば、各制御部は正常であるとすることができる。それに対して、これらの出力情報が大きく異なる場合には、少なくとも1つの制御部が異常であるとすることができる。また、出力情報が互いに異なる制御部のうち出力情報が適正範囲外の大きさであるものを、異常であるとすることができる。さらに、入力情報に基づいて異常を検出することもできる。例えば、複数の制御部が同じ検出装置からの検出信号に基づいて入力情報を取得する場合には、取得された入力情報の値に基づいて制御部が正常であるか否かを検出することができるのである。複数の制御部が互いに異なるものである場合には、それぞれの出力情報が予め定められた関係を保つか否かに基づいて異常を検出することができる。
また、制御部が3つ以上含まれる場合には、多数決の原理あるいは2つの出力情報の複数の比較結果等に基づいて、異常な制御部を特定することが可能であるが、制御部が2つの場合には、いずれの制御部が異常であるかを特定することが困難な場合がある。2つの制御部各々からの出力情報を比較した結果、いずれも適正範囲内にあり、かつ、これらの差が大きい場合が一例である。この場合には、例えば、主制御部と副制御部とを予め決めておき、副制御部が異常であるとされるようにすることもできる。
(14)前記制御部が複数のCPUを含み、前記制御部異常検出装置が、これら複数のCPUの少なくとも1つに異常が生じたことを検出するCPU異常検出装置を含む(13)項に記載の電気制御ブレーキシステム。
1つの制御部に含まれる複数のCPUのうちの少なくとも1つに異常が生じたことがCPU異常検出装置によって検出される。CPU異常検出装置は、前項に関して述べたように、これらCPUに含まれるものであっても、異常検出のための別個のコンピュータを含むものであってもよい。制御部が2つのCPUを含む場合には、2つのCPUのうちの一方をメインCPU,他方をサブCPUとすることができる。
ブレーキ制御装置が、制御部をn個含み、これら制御部の各々がm個ずつのCPUを含む場合には、ブレーキ制御装置には、合計n×m個のCPUが含まれることになる。これらn×m個のCPUをそれぞれ相互監視機能を有するものとし、これら相互監視結果に基づけば、n個の制御部各々が異常であるか否かを検出することができる。この場合、相互監視結果を、すべて同等に扱うこともできるが、優先順位に従って扱うこともできる。また、n×m個のCPUにおける2つずつのすべての組において、相互監視が行われるようにしても、選択的に決められた組においてのみ行われるようにしてもよい。
(15)前記ブレーキ制御装置が、前記複数の制御部のうちの予め定められた条件を満たすものが正常である場合に、当該電気制御ブレーキシステムの制御を継続し、正常でない場合に、当該電気制御ブレーキシステムの制御を停止する一部異常時制御継続装置を含む(1)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
制御部が複数設けられているため、一部の制御部が異常となってもブレーキの作動状態の制御を継続して行うことができるが、予め定められた条件を満たすだけの制御部が正常でなくなった場合には、制御を停止する方がよく、あるいは停止せざるを得ない。「予め定められた条件」は、例えば、単純に正常な制御部の数とすることも、互いに代替可能である複数の制御部の1つあるいは設定数以上のものが正常であること等とすることもできる。互いに代替可能である複数の制御部のすべてが異常になれば、制御を停止せざるを得ないが、1つのみが正常であっても、制御を停止させる方がよい場合もある。1つが正常であれば制御を継続させることは可能なのであるが、フェールセーフ等の観点から制御を停止させる方がよい場合もあるのである。一部異常時制御継続装置は、例えば、後述するように、電源スイッチ装置を切断状態に切り換えたり、電源スイッチ装置を切断状態に切り換えたりするスイッチ制御装置を含むものとすることができる。ブレーキ制御装置や電気アクチュエータへ電気エネルギが供給されないようにすれば、当該電気制御ブレーキシステムの作動が中止させられる。
また、制御装置対応スイッチ装置を、上述の電源スイッチ装置と直列に電源と電動アクチュエータとの間あるいは電源とブレーキ制御装置との間に設け、複数の制御部のうちの予め定められた条件を満たすものが正常である場合には接続状態に保ち、正常でない場合には、切断状態に切り換えるスイッチ制御装置を含むものとすることもできる。
(16)車輪の回転を抑制するブレーキと、電源と、その電源から供給される電気エネルギを制御することによって前記ブレーキの作動状態を制御するブレーキ制御装置とを含む電気制御ブレーキシステムにおいて、
前記電源と前記ブレーキ制御装置との間に、ブレーキ操作部材の制動操作に伴って、切断状態から接続状態に切り換えられるスイッチ装置を設けたことを特徴とする電気制御ブレーキシステム。
電源とブレーキ制御装置との間に設けられたスイッチ装置は、ブレーキ操作部材の制動操作に伴って切断状態から接続状態に切り換えられ、それによって、ブレーキ制御装置が作動させられる。電気制御ブレーキシステムが作動させられるのである。したがって、従来の電気制御ブレーキシステムにおけるように、イグニッションスイッチのOFF状態でブレーキ操作部材が制動操作された場合には、マニュアルブレーキが作動するようにすることが不可欠ではなくなり、また、ブレーキ操作部材の制動操作状態におけるイグニッションスイッチの操作に伴ってブレーキ力が変化することを回避することができる。このスイッチ装置は、後述するアクチュエータ個別スイッチ装置,制御装置対応スイッチ装置に対して、電源スイッチ装置と考えることもできる。
なお、ブレーキ制御装置は、電気エネルギの制御によりブレーキの作動状態を制御するものであるが、作動状態は、電気エネルギ量の増減制御により制御されてもよく、電気エネルギが供給される状態と供給されない状態との切換えにより制御(ON─OFF制御)されてもよい。電気エネルギ量の制御には、電気エネルギ量を0とする制御、すなわち、電気エネルギの供給を停止させる制御も含まれる。
本項に記載の電気制御ブレーキシステムには、(1)項ないし(15)項に記載の技術的特徴を採用することができる。
(17)前記ブレーキが、車輪とともに回転するブレーキ回転体に摩擦部材を押し付ける電動モータを含み、前記ブレーキ制御装置が、その電動モータに電源から供給される電気エネルギを制御する電動モータ制御装置を含む(16)項に記載の電気制御ブレーキシステム。
本項に係る電気制御ブレーキシステムは、本発明の望ましい一実施態様である。この電気制御ブレーキシステムは、電動ブレーキシステムと考えることができる。ブレーキが液圧で作動するものである場合には、電気制御ブレーキシステムが不作動の場合に、マニュアルブレーキが作動するようにすること、あるいはマニュアルブレーキが作動する状態と電気制御ブレーキが作動する状態との切換えが比較的容易であるが、電動ブレーキシステムでは比較的面倒であるため、本発明は電動ブレーキシステムに適用して特に効果的なものである。
(18)前記ブレーキが、車輪とともに回転するブレーキ回転体に摩擦部材を押し付ける電動アクチュエータを含み、当該電気制御ブレーキシステムが、電源と電動アクチュエータとの間に設けられ、前記ブレーキ操作部材の制動操作に伴って切断状態から接続状態に切り換えられるスイッチ装置を含む(16)項または(17)項に記載の電気制御ブレーキシステム。
本項に記載のスイッチ装置は、前記電源スイッチ装置と共通のものとしても、別個のものとしてもよい。共通のものとする場合には、電源に対して電動モータ制御装置と電動アクチュエータとが並列に設けられた電気回路において、これらの接続部より電源側にスイッチ装置が設けられることになる。
(19)前記スイッチ装置が、直列に配設された複数のスイッチを含むことを特徴とする(16)項ないし(18)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
複数のスイッチが直列に設けられているため、少なくとも1つのスイッチが接続状態から切断状態に切り換えられれば、切断状態に切り換え不能なスイッチがあっても、スイッチ装置を切断状態に切り換えることができる。そのため、ブレーキ制御装置や電動アクチュエータに、無用な電気エネルギが供給され続けることを回避することができる。
本項に記載の技術的特徴は、ブレーキ操作部材の制動操作に伴って切断状態から接続状態に切り換えられるスイッチ装置のみならず、イグニッションスイッチのON操作に伴って切断状態から接続状態に切り換えられるスイッチ装置に採用したり、後述する電源とブレーキ制御装置との間の電源スイッチ装置や、電源と電動アクチュエータとの間の電源スイッチ装置のみならず、複数の電動モータ各々に対応して設けられるアクチュエータ個別スイッチ装置,ブレーキ制御装置が正常であるか異常であるかに基づいて切り換えられる制御装置対応スイッチ装置等に採用したりすることができ、いずれの場合においても、同様の効果を享受することができる。
(20)当該電気制御ブレーキシステムが、複数の車輪を含む車両に搭載された場合において、前記ブレーキが、複数の車輪毎に設けられ、車輪とともに回転するブレーキ回転体に摩擦部材をそれぞれ押し付ける電動モータを複数含み、当該電気制御ブレーキシステムが、前記複数の電動モータ各々と前記電源との間に、それぞれ、これらの間を接続状態と切断状態とに切り換え可能なアクチュエータ個別スイッチ装置を複数含む(1)項ないし(19)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
アクチュエータ個別スイッチ装置が電動モータ毎に設けられているため、電動モータ毎に、電源との間を接続状態にしたり切断状態にしたりすることができる。例えば、アクチュエータ個別スイッチ装置は、電動モータに異常が生じた場合に切断状態に切り換えられるようにすることができる。異常な電動モータに対応するアクチュエータ個別スイッチ装置を切断状態とし、正常な電動モータに対応するアクチュエータ個別スイッチ装置を接続状態に保てば、異常な電動モータのみを非作動状態とし、正常な電動モータを作動状態に保つことができ、正常な電動モータによりブレーキを作動させることができる。一部の電動モータの異常に起因して、すべての電動モータを非作動状態にする必要がなくなるのである。アクチュエータ個別スイッチ装置は、電動モータへの供給電気エネルギを制御する電動モータ制御装置や駆動回路に異常が生じた場合に切断状態に切り換えられるようにすることもできる。
なお、複数の電動モータが電源に対して互いに並列に接続されている場合には、アクチュエータ個別スイッチ装置は、各々の電動モータに対応する電動モータ個別回路に設けられることになる。
(21)前記アクチュエータ個別スイッチ装置が、直列に設けられた2つのスイッチを含み、一方のスイッチが、当該アクチュエータ個別スイッチ装置に対応する電動モータの異常時に切断状態に切り換えられ、他方のスイッチが、前記電動モータを制御する電動モータ制御装置の異常時に切断状態に切り換えられる(20)項に記載の電気制御ブレーキシステム。
アクチュエータ個別スイッチ装置は、電動モータと電動モータ制御装置とのいずれか一方の異常時に切断状態に切り換えられることになる。
(22)前記ブレーキが、車輪とともに回転するブレーキ回転体に摩擦部材を押し付ける電動アクチュエータを含み、前記ブレーキ制御装置が、前記車輪の要求ブレーキ力に関連する要求ブレーキ力関連量を決定し、その要求ブレーキ力関連量を表す要求情報を出力する主制御装置と、その主制御装置から出力された要求情報に基づいて前記電動アクチュエータを制御するとともに、実際に得られたブレーキ力に関連する実ブレーキ力関連量を表す実情報を出力する電動アクチュエータ制御装置とを含む(1)項ないし(21)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
主制御装置と電動アクチュエータ制御装置との間においては、通信が行われる。主制御装置から電動アクチュエータ制御装置へは要求ブレーキ力関連量を表す要求情報が出力され、電動アクチュエータ制御装置から主制御装置へは実ブレーキ力関連量を表す実情報が出力される。要求ブレーキ力関連量は、要求ブレーキ力自体としたり、電動アクチュエータへの供給電気エネルギ量としたりすることができる。実ブレーキ力関連量としては、実際に得られたブレーキ力、摩擦パッドがブレーキ回転体を押す押す押圧力、電動アクチュエータに加わる負荷を表す量(実際に流れる電流量)等が該当する。
(23)前記電動アクチュエータ制御装置を、前記主制御装置と別体のものとするとともに、ばね上の電動アクチュエータ近傍部に設け、かつ、前記主制御装置と電動アクチュエータ制御装置との間の通信を、CAN(Car Area Network) を利用して行われるようにした(22)項に記載の電気制御ブレーキシステム。
主制御装置と電動アクチュエータ制御装置とを一体的に設ければ、これらの間の通信を速やかに、確実に行うことができる。しかし、これらを一体的に構成すると、記憶容量を大きくしたり、入出力ポートを大きくしたりしなければならなず、ブレーキ制御装置のコストが高くなる。
主制御装置と電動アクチュエータ制御装置とを別体とし、遠く離して設けると、これらの間の通信に長時間を要し、制御遅れが生じる。また、電動アクチュエータが電動アクチュエータ制御装置からの指令に基づいて制御されることを考慮すると、これらを一体的に設けることが望ましいが、ばね下に設けられる電動アクチュエータに合わせて電動アクチュエータ制御装置もばね下に設けると電動アクチュエータ制御装置に加わる振動等が大きく望ましくない。そこで、電動アクチュエータ制御装置をばね上の、電動アクチュエータ近傍部に設け、電動アクチュエータ制御装置と主制御装置との間の通信がCANを利用して行われるようにしたのである。CANを利用して通信を行えば、多重通信が可能となるため、短時間に多くの情報を送信することが可能となる。その結果、主制御装置と電動アクチュエータ制御装置との間の通信を速やかに行うことが可能となり、制御遅れが生じることを回避することができる。また、これらは両方ともばね上に設けられているため、これらの間の通信においてノイズが問題となることは少ない。さらに、電動アクチュエータ制御装置がばね上に設けられるため、大きな振動が加えられることを回避することができる。なお、CANはLAN(Local Area Network) の一種である。
(24)前記主制御装置が、前記電動アクチュエータ制御装置から供給された実情報に基づいて前記電動アクチュエータ制御装置の異常を検出する異常検出装置を含む(22)項または(23)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
実情報に対応する実ブレーキ力関連量が、適正範囲外の大きさである場合には、その実情報を出力した電動アクチュエータ制御装置は異常であるとすることができる。また、主制御装置において決定された要求ブレーキ力関連量と実ブレーキ力関連量とに基づいて異常を検出することもできる。これらの不一致の程度が設定程度以上である場合、例えば、要求ブレーキ力と実ブレーキ力との差が設定差以上である場合には、異常であるとすることができるのである。異常検出装置は、前述のアクチュエータ個別スイッチ装置とともに設けると有効である。
(25)前記ブレーキが、車輪とともに回転するブレーキ回転体にそれぞれ摩擦部材を押し付ける電動アクチュエータを含み、当該電気制御ブレーキシステムが、前記電源に対して前記電動アクチュエータと前記ブレーキ制御装置とが互いに並列に接続された電気回路を含み、かつ、その電気回路の電源と電動アクチュエータとを接続する部分と電源とブレーキ制御装置とを接続する部分との共通部分に前記スイッチ装置が設けられた(1)項ないし(24)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
(26)当該電気制御ブレーキシステムが、前記電気回路の、前記電動アクチュエータに専用部分である電動アクチュエータ専用回路の途中に設けられ、前記ブレーキ制御装置の異常時に切断状態に切り換えられる制御装置対応スイッチ装置を含む(25)項に記載の電気制御ブレーキシステム。
本項に記載の電気制御ブレーキシステムにおいては、電源,電源スイッチ装置,制御装置対応スイッチ装置,電動アクチュエータが直列に配設されることになる。電源スイッチ装置が接続状態にあっても、制御装置対応スイッチ装置が切断状態にあれば、電源から電動アクチュエータへ電気エネルギが供給されることはない。
電動アクチュエータが複数設けられている場合には、電源に対して、複数の電動アクチュエータを含む電動アクチュエータ群と前記ブレーキ制御装置とが互いに並列に設けられ、その電動アクチュエータ群と電源とを接続する電動アクチュエータ専用回路において、各電動アクチュエータが電動アクチュエータ個別回路によって互いに並列に接続されることになる。この制御装置対応スイッチ装置は、電動アクチュエータ専用回路の電動アクチュエータ個別回路への分岐点より電源側に設けられ、アクチュエータ個別スイッチ装置が、電動アクチュエータ個別回路に設けられることになる。
(27)前記制御装置対応スイッチ装置が、互いに並列に配設された複数のスイッチを含むとともに、前記ブレーキ制御装置が、前記複数のスイッチの各々に対応するコンピュータを主体とする複数の制御部と、それら複数の制御部のうちの1つが異常である場合に、前記複数のスイッチのうちで異常な制御部に対応するものを切断状態に切り換えるスイッチ制御装置とを含む(26)項に記載の電気制御ブレーキシステム。
例えば、制御装置対応スイッチ装置に含まれるスイッチも、ブレーキ制御装置に含まれる制御部も、ともに2個である場合に、一方の制御部の異常時に一方のスイッチが切断状態に切り換えられ、他方の制御部の異常時に他方のスイッチが切断状態に切り換えられるようにする。制御装置対応スイッチ装置は、少なくとも一つの制御部が正常である間接続状態に保たれ、すべての制御部が異常になると切断状態に切り換えられる。
(28)当該電気制御ブレーキシステムが、複数の電源を備え、そのうちの1つの電源を含む前記電気回路において、前記スイッチ装置が、前記電気回路の前記共通部分に設けられた主スイッチと、その主スイッチを、励磁に応じて切断状態から接続状態に切り換える複数のコイルと、それら複数のコイルを前記複数の電源にそれぞれ接続する複数のコイル接続回路と、それら複数のコイル接続回路にそれぞれ設けられ、前記ブレーキ操作部材の制動操作に伴って切断状態から接続状態に切り換えられる複数のブレーキスイッチとを含む(25)項ないし(27)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
主スイッチは、複数のコイルのうちの少なくとも1つが励磁されると、接続状態に切り換えられる。また、複数のコイル各々は、互いに異なる電源に接続されている。したがって、複数の電源のうちの少なくとも1つが正常であれば、主スイッチを接続状態に切り換えることができる。主スイッチが接続状態に切り換え不能になる確率を小さくすることができるのである。
(29)当該電気制御ブレーキシステムが、複数の電源を含むとともに、これら複数の電源のうちの1つと、前記電動アクチュエータと、前記ブレーキ制御装置とを含む電気回路を複数含み、かつ、前記スイッチ装置が、前記複数の電気回路各々に設けられた主スイッチと、その主スイッチに対応して設けられ、励磁により主スイッチを切断状態から接続状態に切り換えるコイルと、そのコイルと当該電気回路に含まれる電源とをそれぞれ接続するコイル接続回路と、そのコイル接続回路に設けられ、前記ブレーキ操作部材の制動操作に伴って切断状態から接続状態に切り換えられるブレーキスイッチとを含む(25)項ないし(28)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
本項に記載の電気制御ブレーキシステムにおいては、電源を異にする複数の電気回路が備えられている。一の電気回路に含まれる電源に出力低下等の異常が生じた場合には、ブレーキ操作部材が制動操作されても、その電源に対応する主スイッチが接続状態に切り換えられることはないが、他の電気回路に含まれる電源が正常であれば、その電源が正常である電気回路の主スイッチは接続状態に切り換えられる。
(30)前記ブレーキ制御装置が、前記ブレーキ操作部材の制動操作に伴って作動させられる機械的ブレーキの作動をブレーキ操作部材に連携させる連携状態と、ブレーキ操作部材から分離する分離状態とに切り換え可能な切換装置と、その切換装置を、当該電気制御ブレーキシステムの異常時に、分離状態から連携状態に切り換える切換装置制御装置とを含む(1)項ないし(29)項のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
切換装置が分離状態にある間は、ブレーキ操作部材が制動操作されても機械的ブレーキは作動させられないが、連携状態にある間に制動操作されれば、機械的ブレーキが作動させられ、車輪の回転が抑制される。切換装置が、電源に異常が生じた場合、ブレーキ制御装置に異常が生じた場合等に分離状態から連携状態に切り換えられれば、異常時に正常時と同じブレーキ操作部材を操作することによってブレーキを作動させることができる。
本項の技術的特徴は、(1)項ないし(29)項に記載の特徴からも独立に採用可能である。
(31)前輪および後輪を含む車両において、前記前輪および後輪の回転を抑制するブレーキシステムであって、
前記前輪とともに回転するブレーキ回転体に摩擦部材を電動アクチュエータの駆動により押し付けることにより、前輪の回転を抑制する前輪電動ブレーキと、 前記前輪電動アクチュエータに独立に電気エネルギを供給可能な複数の電源と、
これら複数の電源の少なくとも1つから前記前輪電動アクチュエータに供給される電気エネルギを制御することによって、前記前輪電動ブレーキの作動状態を制御する電動ブレーキ制御装置と
を含むことを特徴とする電動ブレーキシステム。
(32)複数の車輪を含む車両において、複数の車輪各々の回転を、電動アクチュエータの駆動により抑制する電動ブレーキシステムに、
前記複数の電動アクチュエータの各々と1つの電源との間に、これらの間をそれぞれ接続状態と切断状態とに切り換え可能なアクチュエータ個別スイッチ装置をそれぞれ設けたことを特徴とする電動ブレーキシステム。
以下、図1〜3に記載の電気制御ブレーキシステムは本発明の実施形態ではない。しかし、本発明の一実施例である図8〜10に記載の電気制御ブレーキシステムについての説明において必要であるため、削除しないで、記載を残す。
電気制御ブレーキシステムは、図1〜3に示すように、左右前・後輪各々に設けられた電動ブレーキ10,12,14,16と、これらブレーキの作動状態を制御するブレーキ制御装置18とを備えている。前輪側に設けられた電動ブレーキ10,12はディスクブレーキであり、左右前輪と共に回転するブレーキディスクに摩擦パッドが電動モータ22,24の駆動により押し付けられることにより回転が抑制される。後輪側に設けられた電動ブレーキ14,16はドラムブレーキであり、左右後輪と共に回転するドラムにシューに設けられたブレーキライニングが電動モータ30,32の駆動により押し付けられることにより回転が抑制される。左右後輪には、電動パーキングブレーキ33,34も設けられている。電動パーキングブレーキ33,34は、電動パーキングブレーキスイッチ35の操作によって駆動される電動モータ36によって作動させられるが、電気系統の異常時等には、ブレーキペダル38の操作に伴って作動させられる。
上記電動モータ22,24,30,32,36は、ブレーキ制御装置18によって制御される。ブレーキ制御装置18は、電気制御ブレーキシステム全体を制御する主制御装置42と、電動モータ22,24,30,32,36をそれぞれ制御する電動モータ制御装置44,46,48,50,52と、駆動回路54,56,58,60,62とを含むものであり、これらは、2つの電源としてのバッテリ64,66の少なくとも一方から供給される電気エネルギによって作動させられる。主制御装置42は、第1制御装置68と第2制御装置70とを含む。
図2に示すように、2つのバッテリ64,66にはオルタネータ72の作動によって電気エネルギが蓄えられる。バッテリ64には、12ボルトの電気エネルギが蓄えられ、バッテリ66には、36ボルトの電気エネルギが蓄えられる。
バッテリ64を含む電気回路73においては、バッテリ64に対して、制御装置群〔第1制御装置68,前輪用の電動モータ制御装置44,46、駆動回路54,56、左後輪用の電動モータ制御装置48,駆動回路58および電動パーキングブレーキ用の電動モータ制御装置52,駆動回路62〕と、12ボルト用電動モータ群〔左後輪用の電動モータ30,電動パーキングブレーキ用の電動モータ36〕と、36ボルト用電動モータ群〔前輪用の電動モータ22,24〕とが互いに並列に接続される。また、それぞれ制御装置群,12ボルト用電動モータ群,36ボルト用電動モータ群において、それぞれが並列に接続されている。したがって、第1制御装置68,前輪用電動モータ制御装置44,・・・電動モータ30,電動モータ22,24がバッテリ64に対してそれぞれ並列に接続されることになる。バッテリ64と36ボルト用電動モータ群との間には、DC/DCコンバータ75が設けられ、バッテリ64の電気エネルギが36ボルトに昇圧されて供給される。なお、上述の各制御装置には、バッテリ64の電気エネルギが電源回路75aを経て供給される。電源回路75aにおいて、CPU等に供給される電圧が予め定められた設定範囲内となるように調節される。また、電動モータには駆動部75bを経て供給される。駆動部75bは1つ以上のトランジスタ等を含むのであり、トランジスタの制御により制御された電流が供給される。
また、バッテリ66を含む電気回路74においては、制御装置群〔第2制御装置70、前輪用の電動モータ制御装置44,46、駆動回路54,56、右後輪用の電動モータ制御装置50,駆動回路60、電動パーキングブレーキ用の電動モータ制御装置52,駆動回路62〕と、36ボルト用電動モータ群〔前輪用の電動モータ22,24〕と、12ボルト用電動モータ群〔右後輪用の電動モータ32,電動モータ36〕とが並列に接続されている。制御装置群,12ボルト用電動モータ群には、バッテリ66の電気エネルギが12ボルトにDC/DCコンバータ77によって降圧されて、供給される。
このように、前輪側に設けられた電動モータ22,24(電動アクチュエータ)、電動モータ制御装置44,46および駆動回路54,56(前輪ブレーキ制御部)には、バッテリ64とバッテリ66との両方がそれぞれ並列に接続されることとなり、これらバッテリ64,66からそれぞれ独立に電気エネルギが供給可能とされている。そのため、これらバッテリ64,66のいずれか一方に異常が生じても、他方が正常であれば、前輪ブレーキを作動させることが可能である。電動パーキングブレーキ33,34についても同様である。電動モータ36,電動モータ制御装置52,駆動回路62には、バッテリ64,66が並列に接続されているため、バッテリ64,66のいずれか一方に異常が生じても、電動パーキングブレーキを作動させることができる。
また、主制御装置42に含まれる2つの第1,第2制御装置68,70には、それぞれ別のバッテリ64,66が接続されている。第1制御装置68にはバッテリ64が接続され、第2制御装置70にはバッテリ66が接続されているのである。そのため、一方のバッテリ64,66の出力が低下する等の異常に起因して、そのバッテリに対応する制御装置が作動不能になっても、それに連動して他方の制御装置が作動不能になることが回避され、正常なバッテリに対応する制御装置を正常に作動させることができ、電動ブレーキを制御することが可能となる。後述するように、これらの2つの第1,第2制御装置68,70はいずれも各電動ブレーキへの制動要求値を出力するものであり、ほぼ同じ制御指令を供給するものなのである。互いに代替可能なものなのである。
バッテリ64,66それぞれに対応して電源スイッチ装置78,79が設けられている。電源スイッチ装置78は、互いに並列に設けられた2つのリレー80,82aを含む。リレー80は、イグニッションスイッチ84がON操作されると励磁されるコイル86と、コイル86の励磁によりOFF状態からON状態に切り換えられる接断部(主スイッチ)88とを含むものであり、リレー82aは、ブレーキスイッチ90がON状態に切り換えられるとバッテリ64にコイル回路を介して接続されるコイル92aと、コイル92aの励磁によりOFF状態からON状態に切り換えられる接断部(主スイッチ)94aとを含むものである。 リレー80において、コイル86は、イグニッションスイッチ64がON状態に切り換えられるとバッテリ64に接続され、電流が供給されることにより励磁される。リレー82aにおいて、ブレーキスイッチ90は、ブレーキペダル38の操作に連動して機械的にON状態とOFF状態とに切り換えられるものである。ブレーキペダル38の制動操作に伴ってブレーキスイッチ90がON状態にされると、コイル92aはバッテリ64に接続され、電流が供給されることにより励磁される。このように、電源スイッチ装置78は、イグニッションスイッチ84のON操作とブレーキペダル38の制動操作とのいずれか一方に伴ってON状態に切り換えられ、ブレーキ制動操作が解除されるとともにイグニッションスイッチ84がOFF操作されると、OFF状態に切り換えられる。そのため、例えば、イグニッションスイッチ84がOFF状態にあってもブレーキペダル38の制動操作によって電気制御ブレーキシルテムを作動させることができる。イグニッションスイッチがON操作されない状態でマニュアルブレーキが作動するようにブレーキシステムを構成することが不可欠ではなくなる。また、ブレーキペダル38の操作中に、イグニッションスイッチ84が操作されても、ブレーキ力が変化させられることがなく、運転者が違和感を感じることが回避される。電源スイッチ装置79も同様に、互いに並列に設けられた2つのリレーを80,82bを含むものであるが、リレー82bに含まれるコイル92bは、ブレーキペダル38が操作されるとバッテリ66に接続され、励磁されるものであることを除いて同様に、作動させられる。
このように、リレー82a,bに含まれるコイル92a,bは、それぞれ異なるバッテリ64,66に接続されている。その電気回路73,74に含まれるバッテリにそれぞれ接続されているのである。そのため、バッテリの出力が低下する等の異常が生じてコイル86が励磁されない場合には、そのバッテリに対応する電源スイッチ装置が、ブレーキペダル38の制動操作に伴ってON状態に切り換えられることがないが、他方の電源スイッチ装置は制動操作に伴ってON状態に切り換えることができる。コイル92が同じバッテリに接続されている場合には、そのバッテリに出力低下等の異常が生じた場合にはブレーキペダル38の制動操作に伴って電源スイッチ装置をON状態に切り換えることができなくなってしまうが、本実施形態におけるように、異なるバッテリに接続されている場合には、正常なバッテリに接続されたコイルを励磁させることができ、電源スイッチ装置をON状態に切り換えることが可能となる。
また、ブレーキスイッチ90は、それぞれ、直列に設けられた2つのスイッチ96,98を含むものであり、これらスイッチ96,98は、ブレーキペダル38の操作に連動して切り換えられるのである。上記コイル92aは、2つのスイッチ96a,98aがともにON状態になった場合に限って励磁される。換言すれば、一方のスイッチが何らかの原因で、ON状態からOFF状態に切り換え不能な固着状態になった場合にも、他方のスイッチが正常であり、OFF状態に切り換えられれば、接断部94aをOFF状態に切り換えることができる。イグニッションスイッチ84がOFF状態にある場合に、電源スイッチ装置78を確実にOFF状態に切り換えることができる。電動スイッチ装置79においても同様に、スイッチ96b,98bのいずれか一方がOFF状態に切り換えられれば、接断部94bがOFF状態に切り換えられる。電動モータ等に無用な電気エネルギが供給され続くことを回避し得、バッテリから無用な電気エネルギが放出され続くことを回避することができる。
バッテリ64を含む電気回路73における、12ボルト用電動モータ群,36ボルト用電動モータ群各々の専用回路101,102の途中、すなわち、バッテリ64(電源スイッチ装置78)と12ボルト用電動モータ群との間、電源スイッチ装置78と36ボルト用電動モータ群との間には、それぞれ、制御装置対応スイッチ装置104,106が設けられている。制御装置対応スイッチ装置104は、互いに並列に設けられた2つのリレー108,110を含むものであり、リレー108,110の少なくとも一方がON状態にある場合はON状態とされ、両方がOFF状態になるとOFF状態とされる。リレー108は、第1制御装置68に異常が生じた場合にOFF状態に切り換えられ、リレー110は、第2制御装置70に異常が生じた場合にOFF状態に切り換えられる。すなわち、制御装置対応スイッチ装置104は、第1,第2制御装置68,70の両方に異常が生じた場合はOFF状態とされるが、少なくとも一方が正常である場合には、ON状態に保たれる。制御装置対応スイッチ装置106も同様に、互いに並列に配設された2つのリレー112,114を含み、これらリレー112,114は、リレー108,110と同様に作動させられる。
バッテリ66を含む電気回路74の12ボルト用電動モータ群に対する専用回路122、36ボルト用電動モータ群の専用回路123には、それぞれ、制御装置対応スイッチ装置124,126が設けられている。制御装置対応スイッチ装置124は互いに並列に配設された2つのリレー128,130を含み、制御装置対応スイッチ装置126は、2つのリレー132,134を含む。これらは、上述の制御装置対応スイッチ装置104,106と同じ構造のものであるため、説明を省略する。
電動モータ22,24,30,32,36の各々には、それぞれに対応するモータ個別スイッチ装置140,141,142,143,144が設けられている。電気回路73,74の並列回路の各個別回路、すなわち、電動モータ個別回路145,146,147,148,149の各々に設けられているのである。モータ個別スイッチ装置140は、直列に配設された2つのリレー150a,152aを含む。一方のリレー150aは、後述するが、電動モータ制御装置44に異常が生じた場合にOFF状態に切り換えられるものであり、他方のリレー152aは、当該電動モータ22に異常が生じた場合にOFF状態に切り換えられるものである。したがって、モータ個別スイッチ装置140は、それに対応する電動モータ制御装置44と電動モータ22との少なくとも一方に異常が生じた場合にOFF状態に切り換えられることになる。モータ個別スイッチ装置は、電動ブレーキ専用スイッチ装置,車輪専用スイッチ装置と考えることもできる。
他のモータ個別スイッチ装置141,142,143,144についても同様に、それぞれリレー150b,152b、リレー150c,152c、リレー150d,152d、リレー150e,152eを含むものであり、対応する電動モータ制御装置46,48,50,52と電動モータ24,30,32,36との少なくとも一方に異常が生じた場合にOFF状態に切り換えられる。
このように、モータ個別スイッチ装置を、電動モータ(アクチュエータ)毎に、換言すれば、車輪のブレーキ毎に設ければ、電動モータ毎にバッテリとの接続・切断を切り換えることができる。異常な電動モータを非作動状態とし、他の正常な電動モータを作動状態に保つことができる。5つの電動モータのうちの一部に異常が生じても、すべての電動モータを非作動状態にする必要がなく、正常な電動モータによってブレーキの作動を行うことができる。
主制御装置42に含まれる第1制御装置68は、図3に示すように、2つのCPU160,162、EEPROM164、通信部166、A/D変換部168等を含むものであり、第2制御装置70も同様に、2つのCPU170,172、EEPROM174、通信部176、A/D変換部178等を含むものである。第1制御装置68に含まれる2つのCPU160,162のうちの一方のCPU160が第1メインCPUで、他方のCPU162が第1サブCPUであり、第2制御装置70に含まれる2つのCPU170,172のうちの一方のCPU170が第2メインCPUで、他方のCPU172が第2サブCPUである。これらCPU160,162,170,172各々において、それぞれブレーキペダル38の操作ストローク,踏力等に基づいて要求制動力が演算により求められる。第1メインCPU160においては、操作ストーク,踏力に加えて、車両状態量(車輪速度,車両加速度,ヨーレート,操舵角,シフトポジション等)等も考慮して要求制動力が求められるが、第1メインCPU160において求められる要求制動力は、他のCPU162,170,172において求められる要求制動力とほぼ同じである。
このように、第1メインCPU160,第1サブCPU162を含む第1制御装置68と、第2メインCPU170,第2サブCPU172を含む第2制御装置70とは互いに実質的に同じものである。そのため、バッテリ64,66のいずれか一方に異常が生じても他方が正常であれば、正常であるバッテリに対応して設けられた制御装置の作動により、要求制動力を求めることができる。ブレーキの作動状態を制御することができるのである。
要求制動力の値は、同一制御装置内におけるメイン,サブのCPUの間、互いに異なる制御装置における2つのメインCPUの間,2つのサブCPUの間で,それぞれ比較される。これらがほぼ同じ(一致あるいは妥当な範囲内の値)である場合には、各CPUは正常であるとされる。また、同一制御装置内におけるメイン,サブのCPUの間においては、ウオッチドッグによる監視,ストロークセンサ180からの入力値、踏力センサ182からの入力値を比較することによる監視も行われている。なお、上述の車輪速度,車両加速度,ヨーレート等は、それぞれ車輪速センサ,加速度センサ,ヨーレートセンサ等によりそれぞれ検出されるが、これらセンサを、車両状態検出装置183としてまとめて図に示す。
主制御装置42は、OR回路184,186,188とAND回路190,192,194,196とを備えている。OR回路184には、第1メインCPU160,第1サブCPU162,AND回路192が接続され、これら各々から出力される信号のうちの少なくとも1つが異常信号である場合には、前述のリレー108,112,128,132に含まれるコイルを消磁する。また、図示しない警告ランプを点滅させ、異常であることを運転者に知らせる。第1サブCPU162が異常である場合、第1メインCPU160が異常である場合、第1メイン,サブの2つのCPU160,162の両方が異常である場合の3つのうちの少なくとも1つが満たされた場合に、これらリレーがOFF状態に切り換えられるのである。
また、OR回路186には、第2メインCPU170,第2サブCPU172,AND回路190が接続され、第2サブCPU172が異常である場合、第2メインCPU170が異常である場合、第2メイン,サブのCPU170,172の両方が異常である場合の3つのうちの少なくとも1つが満たされた場合に、前述のリレー110,114,130,134がOFF状態に切り換えられる。
このように、リレー108,112,128,132は、第1制御装置68に異常が生じた場合にOFF状態に切り換えられ、リレー110,114,130,134は、第2制御装置70に異常が生じた場合にOFF状態に切り換えられることになる。したがって、スイッチ装置104,106,124,126は、第1制御装置68と第2制御装置70との少なくとも一方が正常である場合は、ON状態に保たれ、両方が異常である場合にOFF状態に切り換えられることになる。
前述のように、第1制御装置68と第2制御装置70とのいずれか一方に異常が生じても、スイッチ装置104,106,124,126はON状態に保たれるため、各電動モータ22,24,30,32,36には、電気エネルギが供給され得る。各電動モータ制御装置44,46,48,50,52との間には、スイッチ装置は設けられていないため、異常が生じても、電気エネルギは供給される。したがって、第1制御装置68と第2制御装置70とのいずれか一方に異常が生じても、ブレーキの作動状態を制御することが可能なのである。
主制御装置42と各電動モータ制御装置44,46,48,50,52との間においては通信が行われる。主制御装置42から各電動モータ制御装置へは、要求制動力を表す情報(制動要求値)が供給され、電動モータ制御装置から主制御装置42へは、実際に得られた実制動力を表す情報(実制動値),電動モータの状態を表す情報(温度情報,フェール信号)が供給される。制動要求値は、第1制御装置68、第2制御装置70からそれぞれ1つずつ、すなわち、上述の第1メインCPU160,第2メインCPU170において決定された要求制動力を表す制動要求値がそれぞれ出力される。各電動モータ制御装置においては2つの制動要求値が入力されることになるが、第1メインCPU160が正常である場合には、第1メインCPU160において決定された制動要求値が採用される。電動モータ制御装置は、制動要求値に応じて駆動回路を制御する。また、実際に得られた実制動力が、電動モータ制御装置に対応する電動モータに実際に流れる電流等に基づいて推定され、それを表す実制動値が主制御装置42に供給される。主制御装置42においては、入力された実制動値に基づいて各電動モータ制御装置が正常であるか否かが判定される。
これらの間においては、CAN(Car Area Network )によって通信が行われる。そのため、多くの情報を短時間に多量に送信することが可能となる。CAN通信においては、一方向に送信される複数の情報を重ねて送信したり、両方向に送信される情報を一度に送信したりすることができるのである。
前記AND回路194,196、OR回路188は、電動モータ制御装置44,46,48,50,52各々に対応して、それぞれ5つずつ、すなわち、5系統ずつ(AND回路194a,194b,194c,194d,194e、AND回路196a,196b,196c,196d,196e、OR回路188a,188b,188c,188d,188e)設けられているが、図には、これらを代表して1つだけ記載した。以下、電動モータ制御装置44に対応して設けられたAND回路194a,196a、OR回路188aについての作動を説明する。AND回路194aは、第1メインCPU160,第1サブCPU162の両方で電動モータ制御装置44が異常であると判定された場合に電動モータ制御装置異常信号を出力し、AND回路196aは、第2メイン,ザブのCPU170,172の両方で電動モータ制御装置44が異常であると判定された場合に電動モータ制御装置異常信号を出力する。OR回路188aにおいては、入力される信号の少なくとも一方の信号が異常信号である場合にリレー150aをOFF状態に切り換える。また、上述の場合と同様に、警告ランプを点滅させる。すなわち、電動モータ制御装置の各々は、第1,第2制御装置68,70の少なくとも一方の両CPUにおいて異常であると判定された場合に異常であるとされ、それに対応するリレー150がOFF状態に切り換えられ、モータ個別スイッチ装置がOFF状態に切り換えられるのである。
このように、電動モータ制御装置が異常であるとされた場合には、その電動モータ制御装置に対応する電動モータへ電気エネルギが供給されなくなる。正常な電動モータ制御装置に対する電動モータへの電気エネルギは供給されるため、電動モータを制御することができる。1つの電動モータ制御装置が異常である場合に、すべての電動モータへ電気エネルギが供給されなくなることがないのであり、正常な電動モータ制御装置の制御によりブレーキの作動状態を制御することができる。
図3に示すように、電動モータ制御装置46は、主制御装置42から供給される制動要求値に基づいて駆動回路56を制御する。電動モータ24には、駆動回路56により制御された電流が供給される。本実施形態においては、電動モータ24への供給電流についてはPWM制御が行われるため、電動モータ制御装置46から駆動回路56に、PWM制御に必要なデューティ比、周波数等を表す情報が出力され、前述のように駆動部75bに含まれる1つ以上のトランジスタを制御することにより、電動モータ24への供給電流が制御される。
電動モータ24には、ステータに対するロータの相対位置をホール素子を使用して検出するエンコーダ200,ステータのコイルに流れる電流を検出する電流センサ202,ステータのコイルの温度を検出する温度センサ204,モータの駆動に伴って摩擦パッドへ加えられる押圧力を検出する押圧力センサ206等が設けられている。押圧力センサ206は、ロータの回転に伴って前進・後退させられるロッドに加えられる押圧力(摩擦パッドに加えられる加圧力)を検出するものである。エンコーダ200によって検出された相対位置に基づいて供給電流が制御される。
これらエンコーダ200,電流センサ202,温度センサ204,押圧力センサ206からの出力信号は、電動モータ制御装置46に供給される。本実施形態においては、前述のように、電流センサ202によって検出された電流に基づいて実制動力が推定され、それを表す情報である実制動力値が、制御装置42に出力される。また、電動モータ24への供給電流においては、押圧力センサ206によって検出された押圧力のフィードバック制御が行われる。さらに、温度センサ204によって検出された温度が予め定められた設定温度より高い場合あるいは温度変化が設定勾配より大きい場合には、電動モータ24が異常であるとされて、リレー152bがOFF状態に切り換えられる。モータ個別スイッチ装置141がOFF状態に切り換えられ、電動モータ24はバッテリ64からもバッテリ66からも遮断され、電気エネルギが供給されないことになる。
このように、モータ個別スイッチ装置は、電動モータの都合により、電動モータ毎に切り換えられる。そのため、異常な電動モータのみが非作動状態とされるが、正常な電動モータは作動状態に保たれる。正常な電動モータによりブレーキを作動させることが可能となり、一部の電動モータに異常が生じたからといってすべての電動モータを非作動状態とする必要がなく、ブレーキを正常に作動させることができる。
他の電動モータ制御装置44,48,50,52についても同様である。
本実施形態においては、ディスクブレーキ用に設けられた電動モータ22,24はブラシレスDCモータであり、ドラムブレーキ用に設けられた電動モータ30,32、電動パーキングブレーキ用の電動モータ36は直流モータである。ブラシレスDCモータにおいては、ステータにU相,V相,W相のコイルが形成され、それぞれに供給される電流のON,OFFがエンコーダ200の出力信号に基づいて制御される。ブラシレスDCモータとすることにより、ブラシが不要となるため、耐久性を向上させることができる。
また、前輪用に設けられた電動モータ22,24が36ボルト用のものであり、後輪用に設けられた電動モータ30,32が12ボルト用のものである。その結果、前輪の方が後輪より大きな制動力を得ることができる。
本実施形態においては、電動モータ制御装置が車体側部材の車輪の近傍に設けられている。主制御装置と電動モータ制御装置との間、電動モータ制御装置と駆動回路との間においては、情報の通信が行われる。そのため、主制御装置と電動モータ制御装置との間も、電動モータ制御装置と駆動回路との間も短い方が望ましい。主制御装置と電動モータ制御装置とを一体化すれば、通信距離を短くできるが、記憶容量を大きくしたり、多くの入出力ポートが必要となる等コストが高くなる。また、駆動回路と電動モータとの間の距離が長くなり、望ましくない。 それに対して、駆動回路と電動モータ制御装置とを、主制御装置から離して設けると、主制御装置と電動モータ制御装置との間の距離が長くなり、通信に要する時間が長くなる。また、駆動回路はばね下に設けなければならないが電動モータ制御装置もばね下に設けると大きな振動が加わり、望ましくない。
そこで、電動モータ制御装置を、ばね上で、かつ、駆動回路に近い位置に設けたのである。この場合、電動モータ制御装置と主制御装置との間の距離は長くなるが、両方ともばね上に位置することになるため、ノイズがそれほど大きくなることはない。また、これらの間の通信が、CANを利用して行われるため、高速に多量の情報を送信することが可能となり、距離が長くても通信に要する時間がそれほど長くなることはないのである。電動モータ制御装置に大きな振動が加わることを回避し得る。なお、駆動回路もばね上に設けることもできる。
本電気制御ブレーキシステムは、図4〜6に示すストロークシミュレータ230を備えている。ストロークシミュレータ230は、ブレーキペダル38に設けられたものである。ブレーキペダル38は、その基端部232において回動軸線回りに回動可能に取付け装置234によって取り付けられている。取付け装置234は、トーションバー236,連結部238等を含むものである。トーションバー236の一端部が車体側部材に固定されるとともに、他端部が連結部238を介してブレーキペダル38に相対回動不能(操作初期時を除く)に係合させられる。ブレーキペダル38の回動に伴ってトーションバー236にねじりが加えられ、ブレーキペダル38の操作力に応じた操作ストロークが得られる。
トーションバー236の他端部に固定された連結部238は、図5に示すように、円盤状を成したものである。連結部238においては、凸部240が回動中心に設けられ、2つのピン241,242が中間部に設けられている。これらに対応して、ブレーキペダル38の基端部232においては、回動中心に連結穴244が設けられるとともに、連結部238と対向する側の中間部に円弧状の2つの長溝245,246が設けられている。連結穴244に凸部240が嵌合さられ、長溝245,246にそれぞれピン241,242が係合させられることにより、これらが連結される。長溝246は長溝245より短いものであり、長溝245の内部には弾性部材248が装着されている。
ブレーキペダル38が操作されていない場合には、各ピン241,242が各長溝245,246の下流側の端部に位置する状態で連結される。ブレーキペダル38が操作されると、ピン241,242が長溝245,246内を相対回動させられる。この間、ブレーキペダル38が操作されても、トーションバー236にねじりが加えられることは殆どないが、弾性部材248が変形させられることにより操作力に応じた操作ストロークが得られる。ピン242が長溝246の上流側の端部に当接させられ、その後、操作されると、ブレーキペダル38の回動に伴ってトーションバー236にねじりが加えられ、操作力に応じた操作ストロークが得られることになる。このように、ブレーキペダル38の操作初期とそれ以外の場合とで、操作フィーリングを異ならせることができ、現実に近い操作フィーリングを得ることができる。
本実施形態においては、前述のストロークセンサ180,踏力センサ182は、ストロークシミュレータ230に設けられている。トーションバー236の車体側部材に対する相対回転角度に基づいてストロークが検出され、トーションバー236の表面歪みに基づいて踏力が検出される。
本電気制御ブレーキシステムが搭載された自動車には、マニュアル式の緊急ブレーキ装置250が設けられている。緊急ブレーキ装置250は、ブレーキペダル38と、左右後輪に設けられたパーキングブレーキ33,34と、パーキングブレーキ33,34を作動させる第1ワイヤ252と、切換装置としての操作力伝達装置254と、ブレーキペダル38の制動操作により引っ張り力が加えられる第2ワイヤ256とを含むものである。第1ワイヤ252は、摩擦部材としてのブレーキライニングをドラムに押圧する力を発生させるものであり、一端部が操作力伝達装置254に接続され、他端部がリンク257に接続されている。リンク255には、パーキングブレーキ33,34を作動させる第3ワイヤ258が接続されており、第1ワイヤ252が引っ張られることにより第3ワイヤ258が引っ張られ、パーキングブレーキ33,34が作動させられる。
操作力伝達装置254は、ブレーキペダル38の操作力を第1ワイヤ252に選択的に伝達させる装置であり、前記第1ワイヤ252が接続された第1かみ合い部260と、第2ワイヤ256が接続された第2かみ合い部262と、常には、第1かみ合い部260を第2かみ合い部262から離脱する方向に付勢する第1スプリング264と、これら第1,第2かみ合い部260,262を嵌合させたり、離脱させたりするアクチュエータ270とを含むものである。
アクチュエータ270は、プランジャ274と、ソレノイド276と、スプリング278とを含むものであり、常には、ソレノイド276が励磁されることにより、プランジャ274が引き込まれた状態にあり、第1,第2かみ合い部260,262が互いに離脱する状態とされている。この状態においては、2つのワイヤ252,256は互いに分離された状態にある。ソレノイド276が消磁されると、スプリング278の付勢力によってプランジャ274が突出させられ、第1かみ合い部260が第1スプリング264の付勢力に抗して第2かみ合い部262に嵌合させられる。この状態においては、第1ワイヤ252と第2ワイヤ256とが互いに連携させられる。
ソレノイド276は、前述のように、電気系統に異常が生じた場合、主制動装置42や電動モータ制御装置に異常が検出された場合等に電流が供給されなくなることにより消磁される。ブレーキペダル38の操作力に応じた引張力が、第2ワイヤ256,第1ワイヤ252,リンク257,第3ワイヤ258を介してブレーキライニングに伝達され、パーキングブレーキ33,34が作動させられる。また、通常時においては、パーキングスイッチ35が操作されると、電動モータ36の駆動により第4ワイヤ280が引っ張られ、パーキングブレーキ33,34が作動させられる。リンク257により、第1ワイヤ252と第4ワイヤ280とのいずれか一方が引っ張られると、第3ワイヤ258が引っ張られるようにされている。
このストロークシミュレータ230,緊急ブレーキ装置250については、本願出願人によって先に出願された特願平10─319137号の明細書に詳述されているため、詳細な説明は省略する。
次に、本発明の一実施例である電気制御ブレーキシステムについて図8〜10に基づいて説明する。上記実施形態における電気制御ブレーキシステムと同様のものは同じ符号を付して説明を省略する。
本実施例における電気制御ブレーキシステムにおいては、主制御装置300が、3つのCPU302,304,306、それぞれに対応するEEPROM308、A/D変換部309等を含んでいる。また、CPU302,304,306の各々には、図9に示すように、それぞれ、バッテリ312,314,316が接続されている。バッテリ312,314,316の各々にはオルタネータ317によって電気エネルギが蓄えられる。バッテリ312,314は、12ボルトの電気エネルギと36ボルトの電気エネルギとの両方を蓄え得るものであり、バッテリ316は、12ボルトの電気エネルギを蓄えるものである。バッテリ312,314においては、一方の端子から36ボルトの電気エネルギが供給され、中間端子から12ボルトの電気エネルギが供給されるようにされている。
バッテリ312を含む電気回路318においては、バッテリ312に第1制御装置群〔第1CPU302,左前輪用の電動モータ制御装置44,駆動回路54〕と左前輪の電動モータ22とがそれぞれ接続され、バッテリ314を含む電気回路320においては、第2制御装置群〔第2CPU304,右前輪用の電動モータ制御装置46,駆動回路56〕と右前輪の電動モータ24とがそれぞれ接続され、バッテリ316を含む電気回路322においては、第3制御装置群〔第3CPU304,左右後輪用の電動モータ制御装置48,50,駆動回路58,60および電動パーキングブレーキ用の電動モータ制御装置52,駆動回路20〕と電動モータ群〔左右後輪の電動モータ30,32および電動パーキングブレーキ用の電動モータ36〕とがそれぞれ接続されている。バッテリ312,314,316の電気エネルギは、それぞれ、第1,第2,第3CPU302,304,306に独立に供給される。そのため、少なくとも1つのバッテリが正常であれば、他のバッテリが異常であっても、それに対応するCPUを作動させることができ、ブレーキの作動状態を制御することができる。
電源スイッチ装置330は、イグニッションスイッチ332a,b,ブレーキスイッチ334の少なくとも一つがON状態にされるとON状態に切り換えられ、イグニッションスイッチ332a,b,ブレーキスイッチ334がOFF状態にされるとOFF状態に切り換えられるものである。イグニッションスイッチ332a,b,ブレーキスイッチ334の少なくとも一つがON状態とされれば、コイル336が励磁させられ、接断部338がON状態に切り換えられるのである。ブレーキスイッチ334は、上記実施形態における場合と同様に、直列に配設された2つのスイッチを含むものであり、いずれか一方がOFF状態にされれば、OFF状態とされる。図において、イグニッションスイッチ332a,bが並列に2つ設けられているが、これは運転者によって操作する部分が2か所あるわけではなく、1つのイグニッションスイッチの操作に連動して2つのスイッチが切り換えられるのである。
本実施形態においては、イグニッションスイッチ332aがバッテリ312に接続され、イグニッションスイッチ332bがバッテリ314に接続され、ブレーキスイッチ334がバッテリ316に接続されている。そのため、バッテリ312,314のいずれか一方が正常である場合には、運転者のイグニッションスイッチのON操作に伴って、電源スイッチ装置330をON状態に切り換えることができる。同様に、バッテリ316が正常であれば、ブレーキペダル38の制動操作に伴ってON状態に切り換えることができる。
3つのCPU302,304,306各々においては、図10に示すように、ストロークセンサ180によって検出された操作ストロークに基づいて要求制動力が求められ、要求制動力を表す制動要求値が各電動モータ制御装置に出力される。各電動モータ制御装置においては、多数決の原理により妥当であるとされる制動要求値に対応する実制動力が得られるように、電動モータへの供給電流が駆動回路を介してPWM制御される。
各電動モータ制御装置からは、上記実施形態における場合と同様に、実制動力値が供給される。これにより、各電動モータ制御装置が正常であるか否かが各CPU302,304,306の各々において判定される。異常である場合には、異常信号がAND回路340,342,344のうちの2つに出力される。上記実施形態における場合と同様に、上記AND回路340,342,344は、それぞれ、電動モータ制御装置44,46,48,50,52に対応して、5つずつ(5系統)設けられている(AND回路340a,340b,340c,340d,340e、AND回路342a,342b,342c,342d,342e、AND回路344a,344b,344c,344d,344e)が、図には代表して1つだけ記載した。なお、OR回路346についても同様に5系統ずつ設けられている(346a,346b,346c,346d,346e)。
第1CPU302はAND回路340,342に接続され、第2CPU304はAND回路340,344に接続され、第3CPU306はAND回路342,344に接続される。また、これらAND回路340,342,344はOR回路346に接続され、OR回路346に、少なくとも1つの異常信号が供給されると、対応するリレー150がOFF状態に切り換えられ、対応するモータ個別スイッチ装置がOFF状態に切り換えられる。上記実施形態における場合と同様に、電動モータ制御装置が異常であることが判定された場合には、それに対応するモータ個別スイッチ装置がOFF状態に切り換えられるのである。異常であるか否かは、多数決の原則に基づいて判定されるのであり、3つのCPUのうちの2つ以上のCPUによって異常であると判定された場合に、異常であるとされる。
例えば、電動モータ制御装置44が異常であると第1,第2CPU302,304で検出された場合には、AND回路340a,342aに異常信号が供給されるとともに、AND回路340a,344aに異常信号が供給される。その結果、AND回路340aからOR回路346aに異常信号が供給され、リレー150aがOFF状態に切り換えられる。
各CPU302,304,306の各々において求められた要求制動力が互いに比較され、異常であると判定された場合には、その異常であると判定されたCPUに対応する電気回路のコイル336が消磁され、接断部338がOFF状態とされる。異常か否かの判定はストロークセンサ180からの出力信号に基づいても行われる。
本電気制御ブレーキシステムにおいては、通信がLAN(Local Area Network )によって行われるが、これは、上記実施形態におけるCANと同じ形態である。なお、図10においては、電動パーキングブレーキについての電動モータ制御装置52を省略したが、他の電動モータ制御装置と同様に通信が行われる。
このように、本実施形態においては、CPUが3つ設けられているため、多数決の原理により、異常か否かの判定を容易に行うことができる。また、CPUがそれぞれバッテリに接続されているため、すべてのバッテリが異常でない限り、ブレーキを制御することができる。
なお、上記各実施形態においては、前輪側の電動モータがブラシレスDCモータとされ、後輪側の電動モータが直流モータとされたが、両方とも直流モータあるいはブラシレスDCモータとしてもよい。また、3相交流モータ,超音波モータ等他の種類のモータを採用することもできる。さらに、前輪ブレーキ,後輪ブレーキともに、36ボルト用の電動モータとしたり、12ボルト用電動モータとしたりすることもできる。また、前輪,後輪ともにディスクブレーキあるいはドラムブレーキとすることも可能である。その他、バッテリの個数,スイッチ装置の個数等は上記実施形態における場合に限らず、適宜変更することもできる。上記実施形態においては、電源スイッチ装置のブレーキスイッチ90と連動させられるスイッチが直列に2つ設けられていたが、3つ以上設けることもできる。さらに、スイッチ装置は、リレーを含むものに限らずトランジスタを含むものとする等有接点スイッチを含むものであっても無接点スイッチを含むものであってもよい。また、AND回路,OR回路の論理回路における判定等は、プログラムの実行に従って行われるようにすることもできる等いちいち例示しないが、本発明は、前述に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を施した態様で実施することができる。
電気制御ブレーキシステム全体を表す概念図である。 上記電気制御ブレーキシステムにおける電気回路図である。 上記電気制御ブレーキシステムにおける制御装置を表すブロック図である。 上記電気制御ブレーキシステムにおけるブレーキペダル周辺を表す斜視図である。 上記ブレーキペダル周辺の断面図である。 上記ブレーキペダル周辺の側面図である。 上記電気制御ブレーキシステムに含まれる切換装置を表す断面図である。 本発明の一実施形態としての電気制御ブレーキシステム全体を表す概念図である。 上記電気制御ブレーキシステムにおける電気回路図である。 上記電気制御ブレーキシステムにおける制御装置を表すブロック図である。
符号の説明
10,12,14,16,33,34:電動ブレーキ 18:ブレーキ制御装置 22,24,30,32,36:電動モータ 42,300:主制御装置 44,46,48,50,52:電動モータ制御装置 64,66:バッテリ 78,79:電源スイッチ装置 80,82:リレー 96,98:スイッチ 140,141,142,143,144:モータ個別スイッチ装置 150,152:リレー 160,162,170,172:CPU 270:切換装置 302,304,306:CPU 312,314,316:バッテリ 340,342,344:AND回路

Claims (8)

  1. 車輪の回転を抑制するブレーキと、電源と、その電源から供給される電気エネルギを制御することによって前記ブレーキの作動状態を制御するブレーキ制御装置とを含む電気制御ブレーキシステムであって、
    前記ブレーキ制御装置が、コンピュータを主体とする3つ以上の制御部を含み、前記3つ以上の制御部の各々に対応して前記電源が1つずつ以上、合計3つ以上設けられたことを特徴とする電気制御ブレーキシステム。
  2. 当該電気制御ブレーキシステムが、前後左右の各輪を含む車両に搭載され、前記ブレーキが、前記前後左右の各輪毎に設けられ、車輪とともに回転するブレーキ回転体にそれぞれ摩擦部材を押し付ける電動アクチュエータを含み、前記3つ以上の電源のうちの2つが、それぞれ、左前輪の電動アクチュエータと右前輪の電動アクチュエータとに、それぞれ、別個独立に接続され、前記3つ以上の電源から前記2つの電源を除いた電源のうちの1つが、前記左後輪の電動アクチュエータと右後輪の電動アクチュエータとの両方に接続された請求項1に記載の電気制御ブレーキシステム。
  3. 当該電気制御ブレーキシステムが、電動アクチュエータにより作動させられるパーキングブレーキを含み、前記左右後輪のブレーキの電動アクチュエータに接続された前記1つの電源に、さらに、前記パーキングブレーキ用の電動アクチュエータが接続された請求項2に記載の電気制御ブレーキシステム。
  4. 前記ブレーキが、左右前輪の回転をそれぞれ抑制する左,右前輪ブレーキと、左右後輪の回転をそれぞれ抑制する左,右後輪ブレーキとを含み、前記ブレーキ制御装置が、前記左,右前輪ブレーキの作動状態を制御する左,右前輪ブレーキ制御部と前記左,右後輪ブレーキの作動状態を制御する左,右後輪ブレーキ制御部とを含み、かつ、前記電源が、前記左,右前輪ブレーキ制御部各々に独立に電気エネルギを供給可能な左前輪制御用電源および右前輪制御用電源と、左,右後輪ブレーキ制御部の両方に電気エネルギを供給可能な後輪制御用共通電源とを含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
  5. 前記3つ以上の制御部の各々が、互いに代替え可能なものである請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
  6. 当該電気制御ブレーキシステムが、複数の車輪を含む車両に搭載され、前記ブレーキが、前記複数の車輪にそれぞれ設けられるとともに、各輪とともに回転するブレーキ回転体にそれぞれ摩擦部材を押し付ける電動アクチュエータをそれぞれ含み、前記ブレーキ制御装置が、(a)前記複数の車輪のブレーキに対応してそれぞれ設けられ、前記電動アクチュエータをそれぞれ制御する電動アクチュエータ制御装置と、(b)前記複数の車輪の各々に対する要求ブレーキ力に関連する要求ブレーキ力関連量を決定し、その要求ブレーキ力関連量を表す要求情報を、前記複数の電動アクチュエータ制御装置の各々に出力する前記制御部としての3つの主制御装置とを含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電気制御ブレーキシステム。
  7. 前記電動アクチュエータ制御装置の各々が、前記3つの主制御装置の各々から供給された要求ブレーキ関連量に基づき、多数決により妥当であると決まる要求値に対応する実ブレーキ力が得られるように、それに対応する前記電動アクチュエータを制御するアクチュエータ制御部を含む請求項6に記載の電気制御ブレーキシステム。
  8. 前記3つの主制御装置の各々が、前記複数の電動アクチュエータ制御装置の各々の異常を検出する異常検出部を含み、前記ブレーキ制御装置が、前記3つの主制御装置のうちの2つにおいて異常であるとされた場合に、その電動アクチュエータ制御装置が異常であるとする回路を含む請求項6または7に記載の電気制御ブレーキシステム。
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