JP2006216980A - 半導体装置の作製方法 - Google Patents

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舜平 山崎
Naoto Kusumoto
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Satoshi Teramoto
聡 寺本
Kenji Fukunaga
健司 福永
Tadayoshi Miyamoto
忠芳 宮本
Atsushi Yoshinouchi
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Abstract

【課題】半導体装置として、高い特性が得られる結晶性半導体薄膜を用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】実効溶融領域においてレーザーアニールが施された時のみを処理時間として見なすため、スレッシュホールド幅の積算値を処理時間として考える。即ち、実効溶融領域でレーザーアニールを行っている時間の積算値が処理時間となる。この時間を100〜5000nsecとすることにより、必要とする結晶性を有する結晶性半導体薄膜を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本明細書で開示する発明は、レーザー光の照射により、半導体薄膜に対するアニール(レーザーアニール)を行う方法に関する。レーザーアニールの目的としては、非晶質薄膜の結晶化、結晶性薄膜の結晶性改善、導電性を付与する不純物元素の活性化等が含まれる。
近年、ガラス基板上に半導体薄膜を成膜し、この半導体薄膜を利用して薄膜トランジスタを構成する技術が知られている。この技術は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置を構成するために必要とされている。
アクティブマトリクス型の液晶表示装置は、マトリクス状に配置された画素電極のそれぞれに薄膜トランジスタを配置し、この薄膜トランジスタでもって、画素電極に出入りする電荷を制御する構成を有している。
このアクティブマトリクス型の液晶表示装置を作製するには、マトリクス状に数十万以上の薄膜トランジスタを集積化する必要がある。
薄膜トランジスタとしては、高い特性が得られる結晶性珪素膜を用いたものが好ましい。特に結晶性珪素膜を用いた場合、周辺駆動回路も同一ガラス基板上に薄膜トランジスタでもって構成することができる。このような構成とすると、作製工程の簡略化、作製コストの低減、装置全体の小型化、といった有意性を得ることができる。
しかしながら、現在アクティブマトリクス型の液晶表示装置において表示にムラが生じたり、縞模様が出てしまうということが問題となっている。特に、この縞模様はレーザーアニール工程を経て形成された液晶表示装置において顕著に見られる現象であり、画像表示の際に視覚的な外観を極めて害するものである。
このような縞模様は点欠陥や線欠陥とは異なり、液晶表示装置の駆動条件によって視覚的に確認出来たり出来なかったりするものである。従って、本発明者らは、例えば薄膜トランジスタの破壊や配線等の短絡による永久的なものではなく、別の要因で発生する現象であると考えた。
そして、液晶表示装置を様々な角度から解析した結果、薄膜トランジスタのオン電流(選択時に流れる電流)のばらつきが縞模様の発生に大きく影響することが判明した。
例えば、アクティブマトリクス型液晶表示装置において薄膜トランジスタが選択時にある時、活性層のソース領域(データ線と接続)とドレイン領域(画素電極と接続)との間にはオン電流が流れ、液晶に対してある電圧が印加された状態(充電状態)となる。
従って、オン電流が極端に小さい場合には画素電極に対する電荷の充電が不十分となる場合が生じてくる。このように充電が飽和状態とならない状態では、所望の階調表示が不可能となるため、そのような画素領域が縞模様となって観測されることになる。
また、薄膜トランジスタがオン状態からオフ状態(またはオフ状態からオン状態)に切り換わった直後、画素電極に書き込まれた電圧が僅かに下がる現象が見られる。この時変動した電圧はフィードスルー電圧と呼ばれるものである。
このフィードスルー電圧によっても画素電極に充電された電荷量が変化するため、フィードスルー電圧もまた、縞模様を顕在化させる要因となりうる。
しかし、通常、このフィードスルー電圧はそれを補償するような電流(ここではフィードスルー補償電流と呼ぶ)がソース/ドレイン間を流れて緩和される。このフィードスルー補償電流は薄膜トランジスタがオン状態からオフ状態(またはその逆)に切り換わる僅かな時間に流れる電流である。
本発明者らは試作した薄膜トランジスタについて解析を行った結果、オン電流が大きい程、このフィードスルー補償電流も大きくなる、即ちフィードスルー電圧が緩和されやすくなることを確認した。
以上の解析結果をまとめると、従来から問題とされてきた液晶表示装置における縞模様は薄膜トランジスタのオン電流のばらつきに起因するものであり、そのばらつきを解決することが縞模様を解決する最良の策であることが判明した。
さらに、本発明者らは上記充電不足による縞模様の発生についてシミュレーションを行なった。シミュレーションは約0.2pF の画素容量(液晶間の容量と補助容量とを加えたもの)を99.6% 以上に充電するのに必要な時間を求めて行った。
なお、この結果の判定は、VGAの場合において帰線期間が5μsであることから、マージンを考えて2μsで充電できるか否かを基準とした。
その結果、しきい値が2V程度の薄膜トランジスタの場合、オン電流(ドレイン電圧Vd=14V、ゲイト電圧Vg=10Vの時)は3μA以上が必要であることを確認した。
以上のような経過を経て、本発明者らは上記オン電流に大きな影響を与える半導体層(この場合は結晶性珪素膜)の結晶性を改善することが必要不可欠であるという結論に達することとなった。
上記結晶性珪素膜は非晶質珪素膜を加熱処理やレーザー光の照射または両者を併用させた手段により結晶化させて得ることができる。特に、結晶化または結晶性改善の手段としてレーザー光を用いる方法(以下、レーザー結晶化とよぶ)は低温で結晶性の優れた結晶性珪素膜を得られる点で有効である。
この低温で結晶性珪素膜を得られるメリットは、安価なガラス基板上に高性能な薄膜トランジスタを形成できる点であり、今後不可欠な結晶化手段となることは間違いない。
レーザー光を用いる方法においては、レーザー光としてパルス発振型のエキシマレーザーが多く用いられている。エキシマレーザーとは所定の種類のガスに対して高周波放電を行うことによって、ある特殊な励起状態をつくり出し、紫外光領域の波長を有するレーザー発振を行わせる方式である。
しかしながら、レーザー光の照射により結晶性珪素膜を形成する場合、非晶質珪素膜の形成からレーザーアニール処理を終えるまでの工程間に含まれる諸パラメータに影響されて、形成される結晶性珪素膜の結晶性の再現性が必ずしも良くないことが問題となっている。
工程間に含まれる諸パラメータとはレーザー結晶化に対して影響を与えうる因子であり、結晶性を左右する不確定因子である。これには非晶質珪素膜の膜厚のような間接的なものと、レーザーの照射エネルギーのような直接的なものとがある。
例えばエキシマレーザーはパルス毎の発振において照射エネルギーにばらつきが生じてしまうことが問題となっている。また、このようなレーザー照射エネルギーのばらつきやレーザー光を重ね合わせた場合のエネルギー分布のばらつきなどが結晶性の不均一性を招くことが知られている。
例えば、本発明者らが使用するレーザー装置は線状にビーム加工したレーザー照射面を重ね合わせて処理を行うため、そのエネルギー分布の不均一性がそのままオン電流のばらつきとなり、横縞模様となって画像表示領域に現れる。
以上のように、縞模様は液晶表示装置を製品化する上で致命的な問題点であり、早急な解決が求められる。しかしながら、その原因であるオン電流のばらつきを全く招かない結晶性を有する結晶性珪素膜を現状のレーザー装置で形成することは殆ど不可能に近い。
このことは、レーザー結晶化による低温ポリシリコン技術を用いた液晶表示装置の発展にとって大きな律速点となっているのである。
本明細書で開示する発明は、上記問題点を解決すべく均一性、再現性に優れたレーザーアニールを実施する技術およびそのための装置を提供することを課題とする。そして、その技術を応用して縞模様の発生しない高画質な液晶表示装置を作製する技術を提供することを課題とする。
本明細書で開示する発明の構成は、
絶縁表面を有する基体上に非晶質半導体薄膜を成膜する第1の工程と、
パルス発振型の線状のレーザー光の照射および/または加熱処理を施すことにより前記非晶質半導体薄膜を結晶性半導体薄膜へ変成せしめる第2の工程と、
前記結晶性半導体薄膜に対して一導電性を付与する不純物元素を注入する第3の工程と、
前記不純物元素をレーザー光の照射および/または加熱処理により活性化せしめる第4の工程と、
を少なくとも有する半導体装置の作製過程において、
前記第2および第4の工程において前記レーザー光のレーザーエネルギーのピーク値、半値幅およびスレッシュホールド幅がいずれも基準値の概略±3%以内に分布していることを特徴とする。
本発明者らは、従来の問題点を鑑みて、前述のような非晶質珪素膜の膜厚のごとき不確定因子が多数絡み合った結果、レーザー結晶化後にそれらが結晶性の不均一性といった形で顕在化すると考えた。
従って、本発明の主旨はレーザー結晶化工程に直接的または間接的に影響を与える工程間の諸パラメータのばらつきを最低限に抑えることにある。また、それらばらつきを抑えると共に、不確定因子を可能な限り排除することにある。
例えば、パルス発振型の線状のレーザー光の照射による結晶性珪素膜の作製工程において、図1に示すようなレーザー光の照射エネルギーのばらつき(照射時間に対する照射エネルギーのばらつき)が観測される。
図1に示すデータは、レーザー発振器から発振されたパルス毎のレーザー光の出力(レーザーエネルギーまたは照射エネルギー)のばらつき(照射経過時間に対する照射エネルギーの変動)を示すものである。また、光学系により適切なビーム形成を行った場合、このばらつきは、そのままショット毎の被照射面における照射エネルギー密度のばらつきに対応する。
即ち、ここでは照射エネルギーをそのまま縦軸としているが、エネルギー密度に換算して表すこともできる。また、このレーザー出力はレーザーエネルギーのピーク値(最大値)を示すものである。
この図1において重要なのは、レーザー出力のピーク値が640mJ を中心に概略±3%以内に分布している、即ちある基準値(最適値)から±3%以内に分布している事である。なお、発明者らが今回使用するレーザー装置では、レーザー出力が640mJ の時、単位面積に照射されるエネルギー密度は約250mJ/cm2 である。
本発明者らの研究結果より、上記範囲以上のばらつきを有するようなレーザーアニールを行うとアニール効果にばらつきが出たり、面内における均一性が悪化することが判っている。
なお、レーザーアニールの均一性をより高める必要がある場合は、多少調整の煩雑化やコスト高となる可能性があるが、レーザー出力の分布を±2 %、好ましくは±1.5 %以内に抑えることが有効となる。
従って、図1に示す様にパルス発振毎のレーザー出力のばらつきを±3 %、好ましくは±2 %、さらに好ましくは±1.5 %の範囲内に分布させることが半導体膜のアニールに際しては好ましいものとなる。特に線状のレーザー光によって大面積をアニールする場合には好ましい。
また、上述した様なピーク値のばらつきを抑えるだけでなく、他のレーザー結晶化工程に関わる諸パラメータのばらつきを抑え、かつ、レーザー結晶化の際に不確定因子を可能な限り排除することが前述のような横縞模様をなくすためには必要となる。
また他の発明の構成は、
絶縁表面を有する基体上の半導体薄膜に対してパルス発振型の線状のレーザー光を照射するレーザー照射装置であって、
前記レーザー光を発振する手段と、
前記レーザー光を発振する手段に接続したガスプロセッサーと、
前記レーザー光の一部を検出してその検出結果を前記レーザー光を発振する手段にフィードバックし、前記レーザー光の出力を制御するコントロールユニットと、
前記レーザー光を線状に加工する光学系手段と、
前記半導体薄膜を加熱する手段と、
を少なくとも有し、
前記レーザー光のレーザーエネルギーのピーク値、半値幅およびスレッシュホールド幅がいずれも基準値の概略±3%以内に分布していることを特徴とする。
また他の発明の構成は、
絶縁表面を有する基体上の半導体薄膜に対してパルス発振型の線状のレーザー光を照射するレーザー照射装置であって、
前記レーザー光を発振する手段と、
前記レーザー光を発振する手段に接続したガスプロセッサーと、
前記レーザー光の一部を検出してその検出結果を前記レーザー光を発振する手段にフィードバックし、前記レーザー光の出力を制御するコントロールユニットと、
前記レーザー光を線状に加工する光学系手段と、
前記半導体薄膜を加熱する手段と、
前記半導体薄膜を加熱する手段以外に設けられた補助加熱装置と、
を少なくとも有し、
前記レーザー光のレーザーエネルギーのピーク値、半値幅およびスレッシュホールド幅がいずれも基準値の概略±3%以内に分布していることを特徴とする。
ここで、本発明に使用したレーザー装置の概略を図7を用いて説明する。図7に示すレーザー装置は、図1で示したような範囲にレーザーエネルギーを分布させるために必要となる。
図7において、レーザー照射室701は、レーザー発振器702から照射され、光学系706により断面形状が線状に加工されたパルスレーザービームを、ミラー707で反射させ、石英で構成された窓708を介して被処理基体709に照射する機能を有している。
レーザー発振器702から発振されるレーザー光としてはKrFエキシマレーザー(波長248nm)、XeClエキシマレーザー(波長308nm)、キセノンランプ励起のNd:YAGレーザーの第4高調波(波長265nm)等の紫外光領域の波長を有するレーザー光を用いることができる。
そして、レーザー発振器702にはガスプロセッサー703が接続されている。このガスプロセッサー703はレーザー発振器702内において生成されたハロゲン化物(KrFエキシマレーザーならばフッ化物、XeClエキシマレーザーならば塩化物)を除去するための励起ガス精製装置に相当する。
また、上記レーザー発振器702と光学系706との間にはハーフミラー704が設置され、そこでレーザー出力光の一部が取り出されコントロールユニット705で検出される。コントロールユニット705は、検出されたレーザーエネルギーの変動に対応してレーザー発振器702の放電パワーを制御する。
また、被処理基体709は、基体支持台710上に設けられたステージ711上に配置され、基体支持台710内に設置されたヒーターによって、所定の温度(300 〜650 ℃)に保たれる。このステージ711には熱電対712が配置され、その測定結果を直ちにフィードバックしてヒーターを制御する構成となっている。
さらに、雰囲気制御が可能なレーザー照射室701は、減圧、排気手段として、真空排気ポンプ713を有する。この真空排気ポンプ713はターボ分子ポンプやクライオポンプといった高真空に対応できるものである。
また、気体供給手段として、バルブを介してO2 (酸素)ガスボンベに接続された気体供給管714と、バルブを介してHe(ヘリウム)ガスボンベに接続された気体供給管715を有する。ここで使用されるガスの純度は99.99999%(7N)以上が望まれる。
上記構成のレーザー照射室701内において基体支持台710は、移動機構716によって、線状レーザービームの線方向に対して直角方向に移動され、被処理基体709上面に対しレーザービームを走査しながら照射することを可能とする。
ゲイトバルブ717は被処理基体709を搬入または搬出するための出入り口であり、外部に設置された基体搬送室へと連結されている。
また、図7中の光学系706の内部でパルスレーザービームが線状に加工される過程の概略を図8を用いて以下に説明する。
まず、レーザー発振器から発振されたレーザー光は光学レンズ801と802で構成される光学系によって、所定のビーム形状と所定のエネルギー密度の分布を有したレーザー光に成形される。
そしてこのレーザー光は2つのホモジナイザー803と804によってそのビーム内におけるエネルギー密度の分布が補正される。
ホモジナイザー803は、最終的に線状に成形されるレーザービームの幅方向におけるビーム内エネルギー密度の補正を行なう役割を担っている。
また、ホモジナイザー804は、最終的に線状に成形されるレーザービームの長手方向におけるビーム内エネルギー密度の補正を行なう役割を担っている。レーザービームは、長手方向に10cm以上も引き延ばされるので、このホモジナイザー35の光学パラメータの設定は慎重に行なう必要がある。
805と806と808で示されるのは、レーザービームを線状に成形する役割を担う光学レンズであり、807はミラーである。
本実施例に示す構成においては、ホモジナイザー804を12個のシリンドリカルレンズ(幅5mm)で構成し、入射するレーザー光をおよそ10分割するものとしている。
即ち、ホモジナイザーは、内側の10個のシリンドリカルレンズが主に利用されるように、レーザー光に対して多少の余裕をもって配置されている。
本実施例においては、最終的に照射される線状のレーザー光の長手方向の長さは12cmである。
以上の様な構成を採用すると、線状レーザー光の長手方向におけるエネルギー密度のムラを是正することができ、均一なアニールを半導体材料に対して与えることができる。
本明細書で開示する発明を実施することで、パルス発振型の線状のレーザー光を用いた大面積の半導体薄膜に対するアニールの効果をより均一で再現性の高いものとすることができる。
例えば、アクティブマトリクス型の表示装置の作製においてエキシマレーザーによるレーザーアニールの効果のばらつきによる問題を解決することができる。即ち、画像表示の際に問題となっていた縞模様を改善し、高画質な液晶表示装置を作製することが可能となる。
また、本明細書で開示する発明は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置のみではなく、アクティブマトリクス型を有するEL型の表示装置やその他フラットパネルディスプレイに利用することができる。
パルス発振型のエキシマレーザーを用いて、半導体膜に対するアニールを行うに際して、レーザー結晶化工程に間接的または直接的に影響を与える諸パラメータのばらつき分布を限定する。この様にすることで、得られる結晶性珪素膜の均一性を高くすることができる。また、その再現性を高くすることができる。
本実施例は、本明細書に開示する発明を踏まえて薄膜トランジスタを作製する場合の例を示す。図2に本実施例に示す薄膜トランジスタの作製工程を示す。
なお、本実施例におけるレーザーアニール工程の役割は、非晶質珪素膜の結晶化および活性層に注入された不純物イオンの活性化を促進することにある。
まず、201で示されるガラス基板上に下地膜202として酸化珪素膜をスパッタ法またはプラズマCVD法により、2000Åの厚さに成膜する。特に、人工石英ターゲットを用いたスパッタ法によると、後に形成する結晶性珪素膜の個々の結晶粒径が大きくなり、結晶性の良い活性層を形成することができる。
次に非晶質珪素膜203をプラズマCVD法または減圧熱CVD法で成膜する。非晶質珪素膜203の膜厚は100 〜2000Å(好ましくは100 〜1000Å、代表的には、200 〜500 Å) であれば良く、基体面内における膜厚分布は±5%以内、好ましくは±2.5%以内とする。
基体面内の膜厚を制御する手段については、ガス圧力や基体間距離など各種成膜条件の兼ね合いで変化するので一概には言えない。しかし、例えば被処理基体の端ではガス流の変化等の影響で膜厚分布が悪くなることを考慮して、予め基体よりも大きいサセプターを用意し、膜厚分布の良い領域のみに被成膜基体が納まるような構成とすると容易に均一性の高い非晶質珪素膜を得ることができる。
非晶質珪素膜の膜厚のばらつきは、そのまま結晶性珪素膜の結晶性のばらつきにも繋がるので好ましくない。従って、上記範囲内のばらつきに止めておけば均一性の良い結晶性珪素膜を得ることができる。
また、膜質の緻密さや後に得られる結晶性珪素膜の結晶性を考えた場合、非晶質珪素膜203の成膜手段として減圧熱CVD法を用いることが好ましい。
この場合、成膜ガスとしてはジシラン(Si2 6 )やトリシラン(Si3 8 )等を用いればよい。また、成膜温度は420 〜500 ℃の温度範囲で行う。本実施例では、ジシランを用いて450 ℃の成膜温度で500 Åの非晶質珪素膜を成膜する。なお、この成膜温度(基体面内における温度)は膜質および膜厚の均一性を高めるために±1 ℃以内とする。
通常、この成膜温度はヒーター等の加熱手段により行なわれるが、被処理基体が大型化すると枚葉式が主流となるため、その場合にはランプアニールによる加熱手段が温度分布の均一性をとるには有効である。
ヒーターによる場合もランプアニールによる場合も基体を支持するステージ(サセプターを含む)に熱電対を設置して、その測定結果をフィードバックして温度制御を行なえば良い。
こうして、図2(A)に示す状態が得られる。この状態が得られたら、非晶質珪素膜203に対してレーザー光の照射による結晶化工程を行なう。レーザー結晶化工程は前述したような図7で示される構成を有するレーザー装置を用いて行なう。
なお、レーザー光としてはXeCl、KrF、ArF等を励起ガスとして用いたエキシマレーザーやNd:YAGレーザーの第4高調波等を利用することができるが、本実施例ではKrFエキシマレーザー(波長248nm )を使用する。なお、光学系や発振器に与える負担をさらに小さくする必要がある場合、KrFエキシマレーザーより波長が長く、その光子エネルギーの弱いXeClエキシマレーザー(波長308nm )が有効である。
まずレーザーアニールの処理雰囲気はヘリウムを含有した雰囲気とする。ヘリウムは比熱が小さく、熱伝導度に優れる特徴を有する。この事は後に基体温度を正確に制御するために極めて有効である。
また、酸素を含んだ雰囲気でのレーザーアニールは、処理の際に自然酸化膜が形成されて珪素膜表面を保護するため珪素膜表面の荒れを抑えることができる。この荒れを抑えることは薄膜トランジスタを完成した際に良好なMOS界面を形成する上で非常に有効である。
そこで、本実施例では酸素とヘリウムを1:1の割合で気体供給管714、715から導入し、酸素ガスとヘリウムガスを混合した雰囲気とし、1 〜760torr のガス圧力でレーザーアニールを行う。
このような構成とすると、被処理基体の面内温度分布を正確に制御し、かつ珪素膜表面の荒れを最小限に抑えることが可能となる。
また、この際導入する酸素ガスやヘリウムガスを7Nを超える純度を有するものとするとレーザー照射の際に不純物が膜内に混入することを避ける意味で好ましい。
また、レーザー照射を行なっている間はレーザー照射室701内のガス純度を確保するために雰囲気ガスの循環を行なうと効果的である。例えば、常に新しいガスを導入して古いガスを排気しても良いし、ガスプロセッサー等を設置して常に雰囲気ガスの精製を行なうようにしても良い。
また、上記雰囲気を形成するに際して、予めレーザー照射室701内のC(カーボン)元素やN(窒素)元素を極力除去することが望ましい。C元素やN元素等の化合物であるNH3 、CO、CO2 などは半導体デバイスに悪影響を与える因子となりうるからである。
さらに、C元素やN元素は珪素膜表面にSiCX やSiNX といった硬い被膜を形成する可能性もあり、後にソース/ドレイン領域においてコンタクト不良を引き起こすことが懸念される。
上記理由により、まずレーザー照射室701内を10-6torr以下の高真空に引いた後に酸素ガスとヘリウムガスを導入することが望ましい。このように予めレーザー照射室701の内部を極力清浄な状態としておくことで、C元素、N元素をその組成に含む不純物の濃度を1ppm以下とすることができる。
なお前述のように、本実施例で用いるレーザー装置は、レーザー照射室701の真空引きをターボ分子ポンプやクライオポンプ等、高真空に対応した真空排気ポンプ713で行うため、極めて清浄な真空状態を形成することができる。
次にレーザ─処理温度(基体温度)であるが、これは被処理基体709を保持するステージ711ごと基体支持台710に内蔵されたヒーターにより300 〜650 ℃の温度範囲で制御する。
本実施例では、基体温度を450 ℃±5℃以内(好ましくは±2 ℃以内)とする。温度制御の際、このような範囲内に納めることは結晶性の均一性を高めるために重要である。また、本発明者らの研究では結晶性そのものも向上することが確認されている。
結晶性の均一性が高まるのは、基体温度を上げておくとレーザー照射エネルギーにある程度の余裕(マージン)を稼ぐことができるため、高出力状態で不安定となるようなレーザー装置においては、レーザー照射エネルギーのばらつきを抑制することができるからである。
なお、この温度制御はステージ711に設置された熱電対712による測定結果をフィーバックしつつ行なう。また、前述にようにヘリウムを含有した雰囲気であるため基体温度の制御が容易になっている。
ところで、レーザー光の照射エネルギー密度は結晶性珪素膜の結晶性によって最適値が異なるため、本発明者らは予め実験的な条件出しを行なって最適値を求めている。
本実施例では、非晶質珪素膜203を結晶化するために230mJ/cm2 のエネルギー密度のレーザー光を照射する。また、レーザー光の走査速度は 2.4mm/s、周波数は40Hzとしている。
本実施例で用いるレーザー光はパルス発振型の装置から発せられるものであり、複数パルスが重ね合わされつつ被照射面(この場合は珪素膜表面)を走査するものである。
ここで1パルス毎のレーザーエネルギーの分布について、図11を用いて説明する。なお、図11は理想的な1パルスのレーザー波形のみを表し、他の波形は省略している。また、横軸はパルス幅であり単位は時間である。縦軸はレーザーエネルギー(密度で表しても良い)であり単位は任意である。
本発明では、このレーザーエネルギーを精密に制御することが最も重要であり、この制御が得られる結晶性珪素膜の結晶性を直接的に左右する。
レーザーエネルギーで精密に制御すべきパラメータとしてはピーク値、半値幅、スレッシュホールド幅が挙げられる。これらのパラメータについて図11を用いて以下に説明する。
まず、ピーク値Emax は図11に示す様にレーザーエネルギーの最大値である。ただし、図11は理想的な波形で示してあるが、実際のピーク値は照射時間内において大きくばらつくことが一般的な問題となっている。そして、このピーク値のばらつきは被照射面に照射されるエネルギー密度のばらつきとして結晶性に大きな影響を与える。
次に半値幅であるが、半値幅とはレーザーエネルギーがピーク値Emax の半分の値(1/2 Emax で表される)をとった時のパルス幅(単位は時間)に相当する。換言すれば、1パルスのレーザーアニールを行った際の平均パルス幅に相当する。従って、一般的には半値幅をパルス幅として議論することが多い。
次にスレッシュホールド幅とはレーザーエネルギーがスレッシュホールド値(溶融しきい値とも呼ばれ、ここではEthで表される)をとった時のパルス幅(単位は時間)に相当する。このスレッシュホールド幅は半値幅の1/4 〜1/2 の値である。
上記スレッシュホールド値(溶融しきい値)とは、それ以上のレーザーエネルギーで被照射面(この場合、珪素膜表面)を照射した時に被照射面の溶融が開始するしきい値である。従って、スレッシュホールド幅の範囲内では常に被照射面を溶融させるに足るエネルギーを持つレーザー光が照射されることになる。
本明細書では、図11においてスレッシュホールド幅の範囲内を珪素膜を溶融させる実効的なエネルギー領域、即ち実効溶融領域と呼ぶこととする。従って、本発明において、この実効溶融領域を精密に制御することがレーザー結晶化工程のばらつきを抑制する最も重要な要素である。
そこで、上記実効溶融領域を制御する上でピーク値Emax 、半値幅、スレッシュホールド幅のばらつきの制御が必要不可欠となる。そのため、本発明で提案するようにピーク値Emax 、半値幅およびスレッシュホールド幅を±3%以内、好ましくは±1.5%以内に制御することが重要となる。
本実施例においてピーク値Emax のばらつきの制御は、図7に示されるレーザー発振器702から発振されるレーザー光の一部をハーフミラー704によって取り出し、コントロールユニット705において検出されるエネルギーに基づいて行なわれる。
また、前述のように基体温度を上げて結晶化に必要なレーザーエネルギーにマージンを与えておくことは、ピーク値Emax のばらつきを抑制する上で非常に効果的である。
また、半値幅およびスレッシュホールド幅の制御には図7の702で示されるレーザー発振器内における励起ガス(Kr、FやXe、Cl等)の純度が非常に重要となる。これは、励起ガスの純度が落ちるとレーザー光の発振自体がふらつくため、レーザーパルスの立ち上がりに影響を及ぼすからである。
従って、通常、例えばKr、FといったガスをNe等の不活性ガスで希釈してレーザー発振器702内に導入するが、これらガスは7Nを超える純度を有するものであることがレーザー光のふらつきをなくすために望ましい。
また、純度の高い励起ガスを用いた場合においても、長時間使用する間にハロゲン化物が生成され、これがレーザー発振器702内のガスの純度を落とす原因となっている。
そこで、本実施例で用いるレーザー装置には、レーザー発振器702に対してガスプロセッサー703を接続することで励起ガスの純度を保っている。ガスプロセッサー703はレーザー発振器702内の励起ガスを循環させて、極低温の捕獲媒体を用いて上記ハロゲン化物を捕獲除去する精製装置に相当する。
以上のように、本実施例で使用する図7で示すような構成のレーザー装置を用いることで、ピーク値Emax 、半値幅およびスレッシュホールド幅を±3%以内、好ましくは±1.5%以内に制御することが可能となる。
このようなピーク値Emax 、半値幅およびスレッシュホールド幅の精密な制御を行うことで、実効溶融領域の精密な制御が可能となる。即ち、常に均一なレーザーエネルギーで被照射面のレーザーアニールを行うことができるため、結晶性にばらつきのない均一性に優れた結晶性珪素膜を得ることが可能となる。
本実施例では、以上の様に精密な制御の施されたレーザーアニールを珪素膜表面の任意の単位面積内において100 〜5000nsec照射する。この時間は本発明者らが実験から明らかにした、必要とする結晶性を得るための処理時間である。
ただし、本発明者らは実効溶融領域においてレーザーアニールが施された時のみを処理時間として見なすため、スレッシュホールド幅の積算値を処理時間として考える。従って、スレッシュホールド幅をtn とすると、処理時間との関係は数1のように表すことができる。
Figure 2006216980
即ち、実効溶融領域でレーザーアニールを行っている時間の積算値が処理時間となる。例えば、本実施例によるレーザーアニールは半値幅が30〜40nsecであり、スレッシュホールド幅( 実効溶融領域で照射している時間) は10〜20nsecとなっている。
また、横幅0.9mm の線状レーザーを走査速度2.4mm/s で重ね合わせつつ走査するため、単位面積あたり約15回(上述に数1においてm=15となる)のレーザーパルス照射を行うことになる。従って、本実施例において実効溶融領域によるレーザー照射時間は150 〜300nsec となっている。
なお、レーザーパルスの周波数を上げたり、走査速度を遅くすることで単位面積あたりの照射回数を増やし、適宜実効溶融領域でのレーザー照射時間を調節することが可能である。
以上の様にしてレーザーアニールを行うことで、図2(B)に示すような結晶性珪素膜204を得ることができる。この結晶性珪素膜204は、精密な制御を施されたレーザーアニールにより形成されるものであるため、極めて均一性、再現性に優れている。
なお、均一性に優れるとは最終的にアクティブマトリクス型の電気光学装置を構成した場合に表示ムラや縞模様が発生しないレベルまたはロット毎の特性ばらつきが実用上問題とならないレベルとなっていることを意味している。
また、結晶性珪素膜204の内部のC元素やN元素はレーザーアニールを行う際に徹底的に排除されているので、その界面付近濃度は2×1019cm-3以下、バルク内濃度は5×1018cm-3以下となっている。
この濃度はSIMS分析(二次イオン質量分析)の最小値でもって求められる値である。また、ここでいうバルクとは界面付近以外の膜の内部を指す。
次に得られた結晶性珪素膜204に対してパターニングを行い、薄膜トランジスタの活性層となる島状半導体層205を形成する。(図2(C))
なお、本実施例では、レーザーアニールを行った後に活性層を形成する例を示すが、活性層を形成した後にレーザー光の照射を行ってもよい。
この場合、微小な面積に対するアニールとなるので、所定の効果を得るために必要とされるレーザー光の出力を下げることができる。即ち、レーザー出力のマージンに余裕を持たせることでばらつきを抑制することができる。
活性層(島状半導体層)205を得たら、活性層205を覆ってゲイト絶縁膜206として機能する酸化珪素膜を成膜する。ここではゲイト絶縁膜206として、プラズマCVD法によって1000Å厚の酸化珪素膜を成膜するが、窒化珪素膜やSiOX Y で示される酸化窒化珪素膜であっても良い。
次にゲイト電極を構成するための図示しないアルミニウム膜を3000Åの厚さに成膜する。このアルミニウム膜中には、後の工程においてヒロックやウィスカーの発生を抑制する目的でスカンジウムを0.2 重量%含有させる。
ヒロックやウィスカーは、加熱が行われる工程において、アルミニウムの異常成長によって形成される針状あるいは刺状の突起物のことである。これらは、電極や配線のショート(短絡)を招く原因となり好ましくない。
また、ゲイト電極を構成する材料として、他の導電性材料を用いることも可能である。
次に図示しないレジストマスクを配置し、このマスクを用いて図示しないアルミニウム膜をパターニングする。こうして、ゲイト電極207を構成する基となるパターンを形成する。ゲイト電極を構成するためのパターンを形成したら、先の図示しないレジストマスクを配置した状態で陽極酸化膜の形成を行なう。
ここでは、電解溶液として3%のショウ酸を含んだ水溶液を用いる。この陽極酸化工程は、上記水溶液中において、図示しないアルミニウム膜のパターンを陽極とし、白金を陰極として電極間に電流を流して行う。このようにすることにより、アルミニウム膜のパターンの露呈した表面に陽極酸化膜208を形成する。
この工程で形成される陽極酸化膜208は、多孔質状(ポーラス状)を有している。またここでは、図示しないレジストマスクが存在するためにパターンの側面に208で示されるようにこの多孔質状の陽極酸化膜が形成される。
この多孔質状の陽極酸化膜208の膜厚(成長距離)は、3000Åとする。この多孔質状の陽極酸化膜の膜厚でもってオフセットゲイト領域を形成することができる。なお陽極酸化膜208の膜厚の制御は、陽極酸化時間によって制御することができる。
次に図示しないレジストマスクを除去し、再度の陽極酸化を行なう。この工程においては、3%の酒石酸を含んだエチレングリコール溶液をアンモニアで中和したものを電解溶液として用いる。
ここでは、多孔質状の陽極酸化膜208の内部に電界溶液が侵入するので、209で示されるようにゲイト電極207に接する状態で緻密で強固な膜質を有する陽極酸化膜209が形成される。
この工程で形成される陽極酸化膜209は、陽極酸化時の印加電圧を調整することにより、その厚さを制御することができる。ここでは、陽極酸化膜209の膜厚は900 Å厚とする。
この緻密な膜質を有する陽極酸化膜209の膜厚を厚くすると、その厚さの分で後にオフセットゲイト領域を形成を行うことができる。しかし、ここではその厚さが薄いので、オフセットゲイト領域の形成に際する寄与は無視する。
こうして、図2(C)に示す状態を得る。図2(C)に示す状態を得たら、ソース及びドレイン領域を構成するための不純物イオンの注入を行なう。ここでは、Nチャネル型の薄膜トランジスタを作製するためにP(リン)イオンの注入を行なう。また、そのドーズ量は1×1015原子/cm2 とする。
なお、Pチャネル型の薄膜トランジスタを作製する場合には、B(ボロン)イオンの注入を行う。
図2(C)の状態で不純物イオンの注入を行なうと、210と211の領域に不純物イオンが注入される。また212と213の領域には不純物イオンの注入がされない。この212と213の領域は、ゲイト電極207による電圧印加が行われないため、チャネル形成領域として機能しないオフセットゲイト領域として機能する。
また、214で示される領域がチャネル形成領域として機能する領域となる。このようにして、図2(D)に示す状態を得る。
上記不純物イオンの注入が終了したら、レーザー光の照射を行い、不純物イオンの注入された領域の活性化とイオンの衝撃によって損傷した領域のアニール(以下、レーザー活性化と呼ぶ)を行う。
このレーザー活性化工程もレーザー結晶化工程と同じ装置で同様の精密な制御を施すことで均一性の高いアニール効果を得ることができる。ただし、レーザー照射の際の被処理基体の加熱温度はアルミニウム膜でなるゲイト電極207の耐熱性を考慮して決定しなくてはならない。
従って、本実施例では基体温度を200 ℃に加熱してレーザー活性化工程を行なうこととする。勿論、ゲイト電極207が他の耐熱性の高い材料であれば、その耐熱性に応じて基体温度を上げることは可能である。
また、活性層205の結晶性および不純物イオンの注入量によってレーザー活性化におけるレーザー照射条件も変化するため、予め実験的な条件出しを重ねて最適値を求めておく必要がある。本実施例では、160mJ/cm2 のエネルギー密度でレーザー照射を行なうこととする。
図2(D)に示す状態を得たら、層間絶縁膜215として、窒化珪素膜や酸化珪素膜を成膜する。層間絶縁膜215としては、窒化珪素膜と酸化珪素膜との積層膜を利用してもよい。また窒化珪素膜と樹脂膜との積層膜を利用してもよい。
層間絶縁膜215を成膜したら、コンタクトホールの形成を行う。そして、ソース電極216とドレイン電極217の形成を行なう。このようにして図2(E)に示す薄膜トランジスタを完成させる。
以上の様にして作製された薄膜トランジスタは、その心臓部である活性層の結晶性が極めて均一性に優れたものであるため、安定した動作を実現する高性能なものとなる。
また、このようにして作製されたNチャネル型薄膜トランジスタは、ドレイン電圧Vd=14V 、ゲイト電圧Vg=10V の駆動条件化下において、しきい値が1.5V程度であり、オン電流が10〜15μA の良好な電気特性を示すものであった。
本実施例では、実施例1における非晶質珪素膜の結晶化を加熱処理により行なう例を示す。また、その際、結晶化を助長する金属元素を利用する例を示す。勿論、金属元素を用いずに結晶化させるのであっても構わない。
従って、本実施例ではレーザーアニールを行なうことで加熱処理により形成した結晶珪素膜の結晶性をさらに改善することを目的とする。
なお、結晶化方法以外の構成は実施例1と同様であるので本実施例においては図3を用いて実施例1と異なる点のみを記載する。
まず、301で示される基体上に下地膜302として酸化珪素膜をスパッタ法またはプラズマCVD法により、2000Åの厚さに成膜する。
次に非晶質珪素膜303をプラズマCVD法または減圧熱CVD法で200 〜500 Åの厚さに成膜する。この非晶質珪素膜303は実施例1同様、膜厚の基体面内におけるばらつき分布を±5%以内、好ましくは±2.5%以内とする。
非晶質珪素膜303を成膜したら、酸素雰囲気中においてUV光を照射し、非晶質珪素膜303の表面に極薄い酸化膜(図示せず)を形成する。この酸化膜は、後に金属元素を導入する際の溶液塗布工程で溶液の濡れ性を改善するためのものである。(図3(A))
次に非晶質珪素膜303の結晶化を助長する金属元素の導入を行なう。この技術についての詳細は、本発明者らによる特開平6-232059や同7-321339号公報に記載されている。
本実施例では、この結晶化を助長する金属元素としてNi(ニッケル)を利用する。Ni以外には、Fe、Co、Cu、Pd、Pt、Au等を利用することができる。
ここでは、ニッケル酢酸塩溶液を用いてNi元素の導入を行なう。具体的には、まず所定のNi濃度(ここでは10ppm(重量換算))に調整したニッケル酢酸塩溶液を非晶質珪素膜303の表面に滴下する。こうしてニッケル酢酸塩溶液の水膜304が形成された状態とする。(図3(B))
次に図示しないスピンコーターを用いてスピンドライを行い、余分な溶液を吹き飛ばす。この溶液塗布工程により非晶質珪素膜303上の図示しない酸化膜上には極薄いニッケル層が形成された状態となる。
そして、この状態で不活性雰囲気または水素を含有した不活性雰囲気において500 〜700 ℃、代表的には600 ℃の温度で4時間の加熱処理を行なうことにより結晶性珪素膜305を得る。(図3(C))
この時、加熱処理の温度は基体面内において±5 ℃以内、好ましくは±2 ℃以内とすることが重要である。なぜならば、この加熱処理による結晶化が結晶性珪素膜の粒内の結晶性を決めることになるからである。
この場合においても、実施例1同様、基体を支持するサセプターに熱電対等の温度測定用素子を設けて基体温度をモニタリングすることで精密な温度制御を行なうことが必要である。
次に結晶性珪素膜305を得たら、結晶性を改善するためのレーザー光の照射を行う。このレーザーアニールは実施例1で説明したレーザー結晶化工程と同様の精密な制御を施す必要がある。また、実施例1同様に図7で示される構成を有するレーザー装置を用いて行なう。
このレーザーアニール工程は結晶性珪素膜に対して紫外光領域のレーザー照射を行い、結晶性珪素膜を一旦溶融させた後、再結晶化させて結晶性の改善を図るものである。
従って、結晶性珪素膜は非晶質珪素膜に比べて紫外光領域の波長の光を吸収しにくいため、より大きなエネルギーのレーザー光を照射する必要がある。このレーザーエネルギーは、結晶性珪素膜の結晶性が良い程大きな値とする必要があり、実験的な条件出しによって決定される。なお、本実施例では260mJ/cm2 のエネルギー密度でレーザー照射を行なうこととする。(図3(D))
以上のようにして、レーザー照射により結晶性を大幅に改善した結晶性珪素膜306を得ることができる。こうして得られた結晶性珪素膜306もまた、実施例1同様に均一性と再現性に優れたものとなる。
本実施例では、実施例1(図2参照)に示す薄膜トランジスタの作製工程を改良し、LDD(ライトドープドレイン)領域を備えた薄膜トランジスタを作製する場合の例を示す。
まず、実施例1に示した作製工程に従って、図2(D)に示す不純物の注入工程までを行う。
次に多孔質状の陽極酸化膜208を除去する。そして、再度の不純物イオンの注入を行う。この不純物イオンの注入は、ソース領域210とドレイン領域211を形成するために行った先の不純物イオンと同一の不純物イオンを、そのドーズ量を下げて行う。
この結果、212と213で示される領域に対してソース及びドレイン領域に比較して低濃度に不純物イオン(例えばPイオン)が注入される。こうして212と213の領域に低濃度不純物領域が形成される。ここで、ドレイン領域211側の低濃度不純物領域213が一般的にLDD(ライトドープドレイン)領域と称される領域なる。
各不純物注入領域を形成したら実施例1と同様なレーザー活性化を施すのであるが、本発明者らの研究により低濃度不純物領域(特にLDD領域)はレーザーエネルギーのばらつきの影響を反映しやすいことが判っている。
従って、本発明を踏まえて精密な制御を施したレーザーアニールを行なうことは均一性に優れた低濃度不純物領域、延いては均一な電気特性を有する薄膜トランジスタを作製する上で極めて有効な手段である。
この後、図2(E)に示す工程を経ることによって、薄膜トランジスタを完成させる。
LDD領域はオフセットゲイト領域と同じような機能を有している。即ち、チャネル形成領域とドレイン領域との間における強電界を緩和し、OFF動作時におけるリーク電流の値を減少させる機能を有している。また、Nチャネル型の薄膜トランジスタであれば、ホットキャリアの発生を抑制し、ホットキャリアによる劣化の問題を抑制する機能を有している。
本実施例は本発明を利用して作製した薄膜トランジスタ(TFT)を備えたアクティブマトリクス型液晶表示装置を構成した例を示すものである。画素領域に配置される画素TFTと周辺駆動回路に配置される回路TFTの作製工程の概略を図4を用いて説明する。
なお、作製工程間における諸パラメータのばらつき等に関する制御は実施例1と同様であるので、本実施例では敢えて説明は行わない。本実施例では、実施例1で説明した本発明の構成をふまえて回路TFTおよび画素TFTの作製工程を示すこととする。
まず、コーニング7059等に代表されるガラス基板401を用意する。勿論、石英基板や絶縁表面を有した半導体材料を用いても構わない。次に、酸化珪素膜でなる下地膜402を2000Åの厚さに成膜する。下地膜402の成膜はスパッタ法やプラズマCVD法によれば良い。
その上に、図示しない100 〜1000Åの厚さの非晶質珪素膜をプラズマCVD法や減圧熱CVD法により形成する。本実施例では、減圧熱CVD法により500 Åの厚さに成膜する。
次に、図示しない非晶質珪素膜を適当な結晶化方法により結晶化する。この結晶化は550 〜650 ℃、1 〜24hrの加熱処理や、248 、265 、308nm の波長を持つレーザー光の照射で行う。この時、両方法を併用しても良いし、結晶化の際に結晶化を助長する元素( 例えばNi)を添加しても良い。
次に、前記非晶質珪素膜を結晶化して得られた結晶性珪素膜をパターニングして、島状の半導体層でなる活性層403、404を形成する。
その上に、1200Åの厚さのSiOX Y で示される酸化窒化珪素膜405をプラズマCVD法により成膜する。この酸化窒化珪素膜405は後にゲイト絶縁膜として機能する。なお、酸化珪素膜や窒化珪素膜を用いても良い。
次に、0.2 重量%のスカンジウムを添加したアルミニウム膜406をDCスパッタ法により4000Åの厚さに成膜する。スカンジウムの添加はアルミニウム膜表面にヒロックやウィスカーが発生するのを抑制する効果がある。このアルミニウム膜406は、後にゲイト電極として機能する。
また、アルミニウム膜の代わりに他の金属系材料、例えば、Mo、Ti、Ta、Cr等を用いても良いし、ポリシリコンやシリサイド系材料のような導電性を有する膜を用いても構わない。
次に、電解溶液中でアルミニウム膜406を陽極として陽極酸化を行う。電解溶液としては、3%の酒石酸のエチレングリコール溶液をアンモニア水で中和して、PH=6.92に調整したものを使用する。
また、白金を陰極として化成電流5mA、到達電圧10Vとして処理する。
こうして形成される図示しない緻密な陽極酸化膜は、後にフォトレジストとの密着性を高める効果がある。また、電圧印加時間を制御することで膜厚を制御することができる。(図4(A))
こうして、図4(A)の状態が得られたら、アルミニウム膜406をパターニングして、後のゲイト電極の原型を形成する。そして、2度目の陽極酸化を行い、多孔質の陽極酸化膜407、408を形成する。(図4(B))
電解溶液は3%のシュウ酸水溶液とし、白金を陰極として化成電流2〜3mA、到達電圧8Vとして処理する。
この時陽極酸化は基体に対して平行な方向に進行する。また、電圧印加時間を制御することで多孔質の陽極酸化膜407、408の長さを制御できる。
さらに、専用の剥離液でフォトレジストを除去した後、3度目の陽極酸化を行う。この時、電解溶液は3%の酒石酸のエチレングリコール溶液をアンモニア水で中和して、PH=6.92に調整したものを使用する。そして、白金を陰極として化成電流5〜6mA、到達電圧100Vとして処理する。
この際形成される陽極酸化膜409、410は、非常に緻密、かつ、強固である。そのため、ド−ピング工程などの後工程で生じるダメージからゲイト電極411、412を保護する効果を持つ。また、強固な陽極酸化膜409、410はエッチングされにくいため、コンタクトホールを形成する際にエッチング時間が長くなる問題がある。そのため、1000Å以下の厚さにするのが望ましい。
次に、図4(B)に示す状態で、イオンドーピング法により活性層403、404に不純物を注入する。例えば、Nチャネル型TFTを作製するならば不純物としてP(リン)を、Pチャネル型TFTを作製するならば不純物としてB(ボロン)を用いれば良い。
このイオン注入によって回路TFTのソース/ドレイン領域413、414および画素TFTのソース/ドレイン領域415、416が自己整合的に形成される。
次に、多孔質の陽極酸化膜407、408を除去して再度イオン注入を行う。この時のドーズ量は前回のイオン注入よりも低いドーズ量で行う。
このイオン注入によって回路TFTの低濃度不純物領域417、418、チャネル形成領域421および画素TFTの低濃度不純物領域419、420、チャネル形成領域422が自己整合的に形成される。
図4(C)に示す状態が得られたら、次にKrFエキシマレ−ザ−光の照射及び熱アニ−ルを行う。本実施例では、レ−ザ−光のエネルギ−密度は160 〜170mJ/cm2 とし、熱アニ−ルは300 〜450 ℃1hrで行う。この工程により、イオンド−ピング工程で損傷を受けた活性層403、404の結晶性を改善することができる。
次に、第1の層間絶縁膜423として窒化珪素膜(酸化珪素膜でもよい)をプラズマCVD法により3000〜5000Åの厚さに成膜する。この層間絶縁膜423は多層構造としても差し支えない。(図4(D))
第1の層間絶縁膜423を成膜したら、回路TFTのソース領域413、ゲイト電極411、ドレイン領域414および画素TFTのソース領域415上の層間絶縁膜をエッチングしてコンタクトホールを形成する。
そして、アルミニウムを主成分とする材料とチタンとの積層膜で回路TFTのソース電極424、ゲイト電極425、ドレイン電極426および画素TFTのソース電極427を形成する。
次に、第2の層間絶縁膜428として窒化珪素膜(酸化珪素膜でもよい)をプラズマCVD法により3000〜5000Åの厚さに成膜する。この層間絶縁膜428は多層構造としても差し支えない。(図4(E))
第2の層間絶縁膜428を成膜したら、画素TFTのドレイン領域416上の層間絶縁膜をエッチングしてコンタクトホールを形成し、透明導電性膜でなる画素電極429を形成する。このようにして、図4(E)に示すような回路TFTおよび画素TFTが形成される。
以上で説明した回路TFTおよび画素TFTを配置したアクティブマトリクス型液晶表示装置の概略図を図5に示す。図5において501はガラス基板、502は水平走査回路、503は垂直走査回路である。
画像信号は外部から入力端子504を通して取り込まれ、水平・垂直走査回路502、503により制御される画素TFTをスイッチング素子として画素電極に送られる。そして、画素電極と対向基板との間に挟み込まれた液晶の電気光学特性を変化させて画素領域504に画像表示を行う。なお、506は対向基板へ所定の電圧を印加するためのコモン電極である。
従って、前述の図4で示したような回路TFTは、Nチャネル型とPチャネル型とを相補型に組み合わせたCMOS構造として水平・垂直走査回路502、503を構成することができる。
また、画素TFTは画素領域504の拡大図507に示す様に、マトリクス状に交差したゲイト配線およびソース配線の各交点に配置し、画素電極に出入りする電荷量を制御するスイッチング素子とすることができる。
以上の構成でなる図5で示す装置は、概略上記説明したような動作で画像表示を行うものであり、周辺回路の動作周波数は3MHz以上、表示部のコントラスト比は100以上を示すコンパクトで高性能なパネルである。
本実施例で示すアクティブマトリクス型液晶表示装置は、回路TFTおよび画素TFTの活性層が極めて均一性および再現性に優れた結晶性を有するものであるため、全ての薄膜トランジスタの特性が均一である。
特に、画素TFTの特性が均一であることは画像表示の際に横縞模様が発生しなくなるため、工業上、非常に有益な効果を生むことになる。
実施例1〜実施例4では、プレーナ型薄膜トランジスタを作製する例を示したが本発明により構成される活性層は、プレーナ型に限らずあらゆるタイプの薄膜トランジスタに応用することが可能である。
本実施例では、その一例として逆スタガ型薄膜トランジスタを構成した例を説明する。このような逆スタガ型薄膜トランジスタは特開平5-275452、または特開平7-99317 号公報に記載された技術により形成することができる。従って、本実施例の詳細な条件、被膜の厚さ等は上記公報を参考にすると良い。
また、敢えて説明は行わないがレーザーアニールに影響を与える因子に対しては実施例1同様の制御を行うこととする。
まず、図6(A)において601は絶縁表面を有する基体である。その上には導電性材料でなるゲイト電極602が形成される。このゲイト電極602は後の珪素膜の結晶化を考慮して耐熱性に優れた材料であることが望ましい。
また、耐圧を高めるために公知の技術である陽極酸化法によりゲイト電極602の表面および側面に陽極酸化膜を形成してもよい。さらに、この陽極酸化法により形成した陽極酸化膜を利用してLDD領域またはHRD領域を設ける構成としても良い。この技術に関しては本発明者らによる特開平7-169974号公報に記載されている。
次に、ゲイト絶縁膜として機能する酸化珪素膜603をプラズマCVD法により形成し、その上に図示しない非晶質珪素膜を減圧熱CVD法により形成する。この図示しない非晶質珪素膜は実施例1で示した手段により結晶化され、活性層を構成する結晶性珪素膜604となる。(図6(A))
次に、結晶性珪素膜604が得られたらパターニングを行い、活性層605を構成する島状半導体層を形成する。
次に、活性層605を覆って図示しない窒化珪素膜を成膜する。そして、窒化珪素膜上に図示しないレジストマスクを設け、裏面露光法によりパターニングして選択的に窒化珪素膜をエッチング除去する。
こうして形成された窒化珪素膜でなる島状パターン606は後のイオン注入工程においてマスク材として機能することになる。
こうして図6(B)の状態が得られる。この状態が得られたら、一導電性を付与する不純物を露出した活性層605に対して注入する。この工程は公知のイオン注入法によればよい。イオン注入後はレーザーアニール等により不純物イオンの活性化を行う。このレーザーアニールも本発明を踏まえて行うことは言うまでもない。
こうして、活性層にはソース領域607、ドレイン領域608が形成される。また、島状パターン606によってイオン注入されなかった領域はチャネル形成領域609となる。(図6(C))
図6(C)の状態が得られたら、層間絶縁膜として酸化珪素膜610をプラズマCVD法により形成する。そして、ソース領域607およびドレイン領域608に達するコンタクトホールを形成する。
そして、導電性材料でなるソース電極611およびドレイン電極612を形成して、図6(D)に示すような逆スタガ型薄膜トランジスタが完成する。
以上の様に、逆スタガ型薄膜トランジスタに対しても本発明は十分応用することができる。逆スタガ型薄膜トランジスタは活性層の下方にゲイト電極602が配置されているため、不純物イオンの活性化等にレーザーアニールを用いる場合、ゲイト電極602に遮蔽されることなく活性層全域に渡って均一な処理を行うことができるという利点を持つ。
また、その構造上に理由から基体601からの汚染等に強く、信頼性の高いトランジスタを構成できる利点がある。
実施例1〜実施例5で説明したような薄膜トランジスタにおけるゲイト電極およびゲイト線の材料は、何もアルミニウム膜のみに限ったものではない。
ゲイト電極としては、Mo、Ti、Ta、Cr、W等の他の導電性材料を用いても構わない。また、一導電性を付与した結晶性珪素膜をゲイト電極とすることも可能である。
特に、結晶性珪素膜をゲイト電極とした場合、活性層と同等の耐熱性を有するため、製造工程における加熱処理の温度範囲のマージンが上がる点で有利である。
例えば、逆スタガ構造において活性層を構成する結晶性珪素膜を形成するもしくはその結晶性を改善する際に、ゲイト電極の耐熱性が高いことはゲイト電極材料の拡散等の恐れがなく好ましい。
実施例1〜実施例6で説明したような薄膜トランジスタは絶縁体表面のみでなく、導電性被膜や半導体デバイス上に形成された層間絶縁膜の上に形成する構成であってもよい。
例えば、シリコン基板上に形成されたICのような集積化回路の上に本発明を利用した薄膜トランジスタを形成する三次元構造を有する集積化回路を構成することも可能である。
このような三次元構造を有する集積化回路は、半導体デバイスを立体的に構築するため、占有面積を小さく抑えつつ大規模な集積化回路を構成できる利点がある。このことは、今後進められるデバイスサイズの微細化の中でますます重要性を増すことであろう。
本実施例では、レーザー照射の際に、レーザー光を走査する直前の領域と直後の領域に対して補助加熱を行なう例を示す。
図9に示すのは、図7に示したレーザー装置の一部に視点を絞った概略図である。従って、図7に示す構成と異なる点以外の符号は図7と同様のものを用いることとする。
まず、光学系により線状に加工されたレーザー照射光901は基板に対して概略垂直な方向に入射して、縁表面を有する基体902上に成膜された非晶質珪素膜903に照射される。
そして、レーザー光901の照射はステージ711を904で示される方向に移動させながら行うことで非晶質珪素膜903の全面に対して行なわれる。この方法は、生産性を高くすることができ、極めて有用な方法である。
実施例1と異なる点は、本実施例ではレーザー光901の照射が行われる領域(線状の領域を有する)の直前の領域(この領域も線状あるいは長方形を有する)と直後の領域(この領域も線状あるいは長方形を有する)が、補助加熱装置905、906によって加熱される点である。
補助加熱装置905、906は、電源907から供給される電流によってジュール加熱が行われることによって発熱する。また、補助加熱装置905、906は可能な限り、レーザー光901が照射される領域領域に隣接して配置することが必要である。
補助加熱装置905、906には、非晶質珪素膜903を所定の温度に加熱するように電流を流す。この温度は、できる限り高い温度とする必要があるが、基体902の耐熱性を考慮する必要がある。本発明者らの知見によれば、例えばガラス基板を用いる場合、その歪点以下の温度で可能な限り高い温度とするのが望ましい。
また、この際、補助加熱装置905、906によって非晶質珪素膜903を加熱する温度は、ステージ下部に設けられている基体支持台710に内蔵されたヒーターの加熱温度よりも50〜100 ℃高い温度とする。
また、この際、補助加熱装置905、906にも熱電対等を設置して精密な温度制御を行い、温度分布を基準値の±3 ℃( 好ましくは1 ℃) 以内とする。この温度制御は珪素膜が結晶化する過程において大きな影響を与えるため、慎重に行なう必要がある。
レーザー光901が照射されるとレーザー光901の照射された領域の非晶質珪素膜903は瞬間的に溶融されるが、当該領域の周辺領域も補助装置905、906によって加熱されているため、レーザー光901が照射されてから固化するまでの時間を伸ばすことができる。
従って、レーザー光901の照射がゆっくりと走査されながら行われることで急激な相変化がなくなるので、膜内における応力が緩和され、基体面内において均一性の高い結晶性珪素膜を得ることが可能となる。
本実施例は、実施例8に示した構成における補助加熱装置905、906を赤外光のランプ加熱による手段とした例を示す。図10に本実施例に示すレーザー光の照射装置の概要を示す。なお、基本的な構成は図9と同様であるので同じ符号を用いることとする。
本実施例では、レーザー光901が走査されながら照射される領域の前後には、ハロゲンランプ11、12からの赤外光が照射される。赤外光はガラス基板には吸収されにくく、珪素膜には吸収され易いので、珪素膜(この場合は非晶質珪素膜903)を選択的に加熱することができる。
この赤外光ランプを用いた加熱は、基体902が耐熱性の比較的低いガラス基板であっても、非晶質珪素膜903のみを1000℃程度の温度(表面温度)に加熱することが可能である。
しかし、熱膨張の関係でガラス基板からの剥離やクラックの発生が存在するので、適性な加熱条件は実験的に得る必要がある。一般的には、赤外光ランプ11、12からの加熱は、非晶質珪素膜903の表面温度が700 〜900 ℃程度となるようにして行う。
本実施例に示すような構成としても、実施例7同様、急激な相変化がなくなるので、膜内における応力が緩和され、基体面内において均一性の高い結晶性珪素膜を得ることが可能となる。
本実施例では、実施例1においてレーザー照射の際に被処理基体709を加熱する手段としてランプアニールを用いる例を示す。
即ち、図7において710で示される基体支持台の内部にヒーターではなく強光を発する光源を配置し、その強光により被処理基体709の加熱を行なう構成とする。
上記光源としては、赤外光や紫外光を発するランプ光源を用いれば良い。このようなランプ照射による加熱は昇温・降温速度が速く、均一性の高いアニール効果を得られる点で有効な加熱手段である。
また、昇温・降温速度が速いことはスループットを大幅に向上させることを意味しており、生産性の面からも非常に有効である。
ただし、例えば赤外光ランプによる照射を行なう場合、ステージ711としてSiC被膜やSi被膜で被覆したガラスまたは石英基板など、赤外光を吸収しやすいような工夫を施したものを用いることが必要である。
また、当然ステージ711には熱電対等を設置して基体温度のモニタリングし、測定結果をフィードバックしてランプ光源から発する強光の強度を制御する構成とすることは言うまでもない。
以上のように、基体温度を制御性と均一性に優れたランプアニールによって制御する構成とすると、より均一性および再現性に優れたレーザーアニールを行なうことが可能である。
本実施例では図7に示すレーザー照射装置の光学系の構成例を示す。説明には図12を用いる。図12において、発振器(図示せず)から発振されたレーザー光は、ホモジナイザー21に入射する。ホモジナイザー21は、最終的に線状に形成されるレーザービームの幅方向における照射エネルギー密度の分布を補正する機能を有している。
22と23で示されるのは、最終的に線状に形成されるレーザービームの長手方向における照射エネルギー密度の分布を補正する機能を有しているホモジナイザーである。また、24で示されるホモジナイザーはホモジナイザー21と同様の機能を有している。
21、22、23、24で示されるホモジナイザーによって、照射エネルギー密度の分布を制御されたレーザー光は、25、26、27で示されるレンズでなるレンズ系に入射する。このレンズ系においては、まずレンズ25において、線状のレーザー光の長手方向へのビーム形成が行われる。即ち、レンズ25においてレーザー光の拡大が行われる。
またレンズ26、27において、線状のレーザー光の幅方向におけるビーム形成が行われる。即ち、レーザー光の収束が行われる。なお、28で示されるのはレーザー光の進行方向を変えるためのミラーである。
そしてミラー28で進行方向を変えられたレーザー光はレンズ29へと入射する。レンズ29もまた線状のレーザー光の幅方向におけるビーム形成を行うために設けられている。レンズ29を透過したレーザー光は、線状のレーザー光となって、被照射面30に照射される。
被照射面30は、例えば非晶質珪素膜の表面や、結晶性の助長が行われる結晶性珪素膜の表面に相当する。本実施例に示す構成においてもレーザー光のパルス毎における照射エネルギー密度のばらつきを図1で示すような範囲内に納めることが重要となる。
本実施例は、線状のレーザー光のビームの長手方向における照射エネルギー密度の均一性を高めた構成に関する。図13に本実施例におけるレーザー照射装置の光学系の概要を示す。
図13に示す装置は、図8に示す光学系をさらに改良したものである。具体的にはビーム形状の異方性に対応させて、ホミジナイザの配置数を異ならせたことに特徴がある。なお、図13において図8と同じ符号を付してある箇所の説明は図8と同一である。
即ち、照射エネルギー密度の均一性がより求められる線状のレーザー光の長手方向においては、804と31とで示される2つのホモジナイザーが配置されている。それに対して、照射エネルギー密度のそれほどの均一性が必要とされない線状レーザー光の幅方向における照射エネルギー密度を補正するホモジナイザーは803で示されるように1つしか配置されていない。
一般に線状のレーザー光は、その長手方向における照射エネルギーの密度分布が問題となる。一方で線状のレーザー光の幅方向における密度分布は、その幅が数mm程度と圧縮されるのでそれ程大きな問題とはならない。
従って、本実施例に示すように線状のレーザー光の長手方向における照射エネルギー密度を補正するホモジナイザーの数を増やし、その方向における照射エネルギー密度の分布をより均一化することは有用なものとなる。
レーザー照射エネルギー密度のパルス毎のばらつきを示す図。 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。 結晶性珪素膜の形成工程を示す図。 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。 アクティブマトリクス型液晶表示装置の概略を示す図。 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。 レーザー照射室の概略を示す図。 レーザー装置の光学系の概略を示す図。 レーザー装置の一部の概略を示す図。 レーザー装置の一部の概略を示す図。 レーザーエネルギーとパルス幅の関係を示す図。 レーザー装置の光学系の概略を示す図。 レーザー装置の光学系の概略を示す図。
符号の説明
201 ガラス基板
202 下地膜
203 非晶質珪素膜
204 結晶性珪素膜
205 活性層
206 ゲイト絶縁膜
207 ゲイト電極
208 多孔質状の陽極酸化膜
209 緻密な陽極酸化膜
210 ソース領域
211 ドレイン領域
212、213 低濃度不純物領域
214 チャネル形成領域
215 層間絶縁膜
216 ソース電極
217 ドレイン電極
501 ガラス基板
502 水平走査回路
503 垂直走査回路
504 入力端子
505 画素領域
506 コモン電極
701 レーザー照射室
702 レーザー発振器
703 ガスプロセッサー
704 ハーフミラー
705 コントロールユニット
706 光学系
707 ミラー
708 石英窓
709 被処理基体
710 基体支持台
711 ステージ
712 熱電対
713 真空排気ポンプ
714、715 気体供給管
716 移動機構
717 ゲイトバルブ
801、802 光学レンズ
803、804 ホモジナイザー
805、806 光学レンズ
807 ミラー
808 光学レンズ
905、906 補助加熱装置
907 電源
11、12 ランプ

Claims (7)

  1. 絶縁表面を有する基体上に非晶質半導体薄膜を成膜する工程と、
    パルス発振型の線状のレーザー光の照射を施すことにより前記非晶質半導体薄膜を結晶性半導体薄膜にする工程と、
    を有する半導体装置の作製方法において、
    前記レーザー光の照射は、被照射面の単位面積あたりに対して複数回断続的に行われ、前記被照射面の単位面積における照射時間は、前記レーザー光のスレッシュホールド幅の積算値で表され、前記照射時間は100〜5000nsecであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  2. 絶縁表面を有する基体上に非晶質半導体薄膜を成膜する工程と、
    パルス発振型の線状のレーザー光の照射を施すことにより前記非晶質半導体薄膜を結晶性半導体薄膜にする工程と、
    を有する半導体装置の作製方法において、
    前記非晶質半導体薄膜の膜厚は10〜100nmであり、
    前記レーザー光の照射は、被照射面の単位面積あたりに対して複数回断続的に行われ、前記被照射面の単位面積における照射時間は、前記レーザー光のスレッシュホールド幅の積算値で表され、前記照射時間は100〜5000nsecであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  3. 請求項1または請求項2において、前記非晶質半導体薄膜の基体面内における膜厚は基準値の±5%以内に分布していることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一において、前記レーザー光のスレッシュホールド幅の変動が基準値の±3%以内に分布していることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一において、前記レーザー光の照射エネルギーのピーク値、半値幅およびスレッシュホールド幅の変動がいずれも基準値の±3%以内に分布していることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一において、前記照射時間は150〜300nsecであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一において、前記レーザー光の照射は酸素とヘリウムを含有した雰囲気にて行われることを特徴とする半導体装置の作製方法。
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