JP2006213539A - 圧電磁器組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械的強度に優れ、さらに電気特性Qmaxが優れた圧電磁器組成物を得る。
【解決手段】 Pbα[(Mn1/3Nb2/3xTiyZrz]O3 …式(1)
(式(1)中、0.95<α<1.01、
0.04≦x≦0.16、
0.48≦y≦0.58、
0.32≦z≦0.42、
x+y+z=1である。
なお、式(1)中、α、x、y及びzはそれぞれモル比を表す。)で示される主成分を有する焼結体からなり、この焼結体における破断面の50%以上の領域の破断形態が、粒内破断であることを特徴とする圧電磁器組成物。
【選択図】図3

Description

本発明は、レゾネータ等に好適な圧電磁器組成物に関し、特に機械的強度、加えて電気特性を向上した圧電磁器組成物に関する。
現在実用化されている圧電磁器組成物のほとんどは、室温付近において正方晶系または菱面体晶系のPZT(PbZrO3−PbTiO3固溶体)系やPT(PbTiO3)系などのペロブスカイト構造を有する強誘電体から構成されている。また、これらの組成に対してPb(Mg1/3Nb2/3)O3やPb(Mn1/3Nb2/3)O3等の第三成分を置換し、あるいは様々な副成分を添加することにより、多種多様な要求特性への対応が図られている(例えば特許文献1(特開2000−103674号公報)、特許文献2(特開2003−128462号公報))。
圧電磁器組成物は電気エネルギと機械エネルギを自由に変換し取り出せる機能を有しており、レゾネータ、フィルタ、アクチュエータ、着火素子あるいは超音波モータなどとして使用されている。例えば、圧電磁器組成物をレゾネータとして使用する場合、電気特性としてのQmax(Qmax=tanθ:θは位相角)が大きいことが要求される。
特開2000−103674号公報 特開2003−128462号公報
さらに、圧電磁器組成物を搭載した製品は様々な環境下で使用されるため機械的強度も重要な特性の一つとして挙げられる。特にレゾネータは、発振周波数調整のため製造段階でラップ研磨などの加工工程を経るために、機械的強度が高いことが必要である。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、機械的強度の高い圧電磁器組成物を提供することを目的とする。さらに本発明は、電気特性Qmaxを低下させることなく機械的強度の高い圧電磁器組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、機械的強度向上を目的として検討を行っている過程で、基本組成の一致する圧電磁器組成物であっても、破断形態が異なる場合があることを知見した。この破断形態には、粒界破断と粒内破断の2つの形態が存在する。ここで、圧電磁器組成物を構成する結晶粒の粒界に沿って破断が進行することを、粒界破断という。また、圧電磁器組成物を構成する結晶粒自体が破壊して破断が進行することを、粒内破断という。
そして、粒界破断する圧電磁器組成物に比べて粒内破断する圧電磁器組成物の方が機械的強度に優れることを知見した。しかも、この粒内破断を起こした機械的強度の高い圧電磁器組成物は、優れた電気特性Qmaxを得ることができる。
本発明は以上の検討結果を基礎とするものであって、
Pbα[(Mn1/3Nb2/3xTiyZrz]O3 …式(1)
(式(1)中、0.95<α<1.01、
0.04≦x≦0.16、
0.48≦y≦0.58、
0.32≦z≦0.42、
x+y+z=1である。
なお、式(1)中、α、x、y及びzはそれぞれモル比を表す。)で示される主成分を有する焼結体からなり、焼結体における破断面の50%以上の領域の破断形態が、粒内破断であることを特徴とする。本発明において、破断面の70%以上の領域、さらには90%以上の領域が粒内破断を示すことが好ましい。
本発明の圧電磁器組成物のように粒内破断を示す焼結体を得るためには、副成分を選択すること、上記式(1)で示される主成分のαを特定することが有効である。焼結体からなる圧電磁器組成物を得る場合、種々の目的に基づいて副成分を添加する。この副成分の種類によって、破断形態を粒内破断とすることができる。具体的には、副成分としてAl及び/又はScから選択される1種又は2種の元素を用いると、破断形態を粒内破断とするのに有効である。この元素は、当該酸化物換算で0.01〜15.0wt%の範囲で含有させることができる。また、上記式(1)において、αを0.95<α<1.01の範囲にすると破断形態を粒内破断とするのに効果的であり、好ましくは0.96≦α≦1.00の範囲である。
以上説明したように、本発明によれば、機械的強度に優れ、さらに電気特性Qmaxが優れた圧電磁器組成物を得ることができる。
<破断形態>
はじめに、本発明の圧電磁器組成物の最たる特徴である破断形態について説明する。
本発明は、破断面の50%以上の領域の破断形態が粒内破断であることを要求するが、好ましくは破断面の70%以上の領域、さらに好ましくは90%以上の領域が粒内破断を示す。
図3〜図5は、後述する実施例1の試料No.4、7及び8の焼結体の破断面をSEM(Scanning Electron Microscopy)で観察した像を示す。図3に示す試料No.4は、破断面のほぼ全ての領域が粒内破断を示した例である。粒内破断をした破断面は、結晶粒を明確に観察することができないために、視覚的に平滑的な表面を有している。図5に示す試料No.8は、破断面のほぼ全ての領域が粒界破断を示した例である。粒界破断をした破断面は、破断した粒界を観察することができる。このように、粒内破断か粒界破断かはその破断面を観察することにより視覚的に識別することができる。
破断形態は、破断面の全領域が粒内破断又は破断面の全領域が粒界破断の場合に限らず、図4に示す試料No.7のように、粒内破断と粒界破断とが混在する場合もある。この場合、破断面の所定面積における粒界破断の領域又は粒内破断の領域の面積率を求める。図3の例は粒内破断の面積率が100%、また図5の例は粒界破断の面積率が100%となる。図4の例は、本発明者らの測定によると、面積率で65%が粒内破断を示している。本発明における粒界破断又は粒内破断の面積率は、破断面の30×30μmの面積について少なくとも3視野観察し、その平均で特定するものとする。
<化学組成>
次に、本発明による圧電磁器組成物の組成について説明する。
本発明の圧電磁器組成物は、Pb、Zr、Ti、Mn、Nbを主成分とするペロブスカイト化合物を含み、以下の式(1)で示される主成分を有する。ここでいう化学組成は焼結後における組成をいう。
Pbα[(Mn1/3Nb2/3xTiyZrz]O3 …式(1)
式(1)中、0.95<α<1.01、
0.04≦x≦0.16、
0.48≦y≦0.58、
0.32≦z≦0.42、
x+y+z=1である。
なお、式(1)中、α、x、y及びzはそれぞれモル比を表す。
次に、式(1)中におけるα、x、y及びzの限定理由を説明する。
Pb量を示すαは、0.95<α<1.01の範囲とする。αが0.95以下では、緻密な焼結体を得ることが困難となる。一方、αが1.01以上になると、破断の形態が粒界破断となり、機械的強度を向上することが困難となる。よって、αは、0.95<α<1.01の範囲とする。αは、0.96≦α≦1.00とすることが好ましく、0.98≦α≦1.00とすることがより好ましい。
Mn量及びNb量を示すxは、0.04≦x≦0.16の範囲とすることが好ましい。xが0.04未満では、電気特性Qmaxが小さくなる。一方、xが0.16を超えると、良好な耐熱性を得ることができなくなる。よって、xは、0.04≦x≦0.16の範囲とする。xは、0.05≦x≦0.14とすることが好ましく、0.06≦x≦0.11とすることがより好ましい。
Ti量を示すyは、0.48≦y≦0.58の範囲とする。yが0.48未満では、良好な耐熱性を得ることができない。一方、yが0.58を超えると良好な温度特性を得ることが困難になる。よって、yは、0.48≦y≦0.58の範囲とする。yは、0.49≦y≦0.57とすることが好ましく、0.50≦y≦0.55とすることがより好ましい。
Zr量を示すzは、0.32≦z≦0.42の範囲とする。zが0.32未満又は0.42を超えると良好な温度特性が得られなくなる。よって、zは、0.32≦z≦0.42の範囲とする。zは、0.33≦z≦0.42とすることが好ましく、0.34≦z≦0.40とすることがより好ましい。
以上の主成分を有する本発明による圧電磁器組成物は、副成分としてAl及びScから選択される1種又は2種の元素を含有することが好ましい。この2つの元素は、破断形態を粒内破断にするのに効果的な元素である。また、この2つの元素は、電気特性Qmaxに優れる圧電磁器組成物を得る上でも有効である。この2つの元素は、式(1)のPbα[(Mn1/3Nb2/3xTiyZrz]O3に対して当該元素の酸化物換算で0.01〜15.0wt%、好ましくは0.05〜5.00wt%、さらに好ましくは0.20〜1.50wt%とする。この2つの元素の酸化物とは、一般的にAl23、Sc23である。なお、副成分としてはAlを用いるのが最も好ましい。
本発明による圧電磁器組成物に副成分としてSiO2を含有させてもよい。SiO2は焼結体の強度を向上させる上で有効であるとともに、その添加量を多くすると破断形態を粒内破断にするのに有効である。SiO2を添加する場合において、好ましいSiO2量は、式(1)のPbα[(Mn1/3Nb2/3xTiyZrz]O3に対して0.005〜0.15wt%、より好ましいSiO2量は0.01〜0.12wt%、さらに好ましいSiO2量は0.01〜0.10wt%である。
<製造方法>
次に、本発明による圧電磁器組成物の好ましい製造方法について、その工程順に説明する。
(原料粉末、秤量)
主成分の原料として、酸化物または加熱により酸化物となる化合物の粉末を用いる。具体的にはPbO粉末、TiO2粉末、ZrO2粉末、MnCO3粉末、Nb25粉末等を用いることができる。原料粉末は式(1)の組成となるように、それぞれ秤量する。
次に、秤量された各粉末の総重量に対して、副成分としてAl及びScから選択される1種又は2種の元素の酸化物粉末を上記した量だけ添加する。副成分の原料粉末としてはAl23粉末、Sc23粉末を用いることができる。これら副成分に加え、SiO2を含有させる場合には、さらにSiO2粉末を準備する。各原料粉末の平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲で適宜選択すればよい。
なお、上述した原料粉末に限らず、2種以上の金属を含む複合酸化物の粉末を原料粉末としてもよい。
(仮焼)
主成分及び副成分の原料粉末を湿式混合した後、700〜950℃の範囲内で所定時間保持する仮焼を行う。このときの雰囲気はN2又は大気とすればよい。仮焼の保持時間は0.5〜5時間の範囲で適宜選択すればよい。
なお、主成分の原料粉末と副成分の原料粉末を混合した後に、両者をともに仮焼に供する場合について示したが、副成分の原料粉末を添加するタイミングは上述したものに限定されるものではない。例えば、まず主成分の粉末のみを秤量、混合、仮焼及び粉砕する。そして、仮焼粉砕後に得られた主成分の粉末に、副成分の原料粉末を所定量添加し混合するようにしてもよい。
(造粒・成形)
粉砕粉末は、後の成形工程を円滑に実行するために顆粒に造粒される。この際、粉砕粉末に適当なバインダ、例えばポリビニルアルコール(PVA)を少量添加し、かつこれらを十分に混合し、その後350μmのメッシュを通過させて整粒することにより造粒粉末を得る。次いで、造粒粉末を200〜300MPaの圧力で加圧成形し、所望の形状の成形体を得る。
(焼成)
成形時に添加したバインダを除去した後、1100〜1250℃の範囲内で所定時間成形体を加熱保持し焼結体を得る。このときの雰囲気はN2又は大気とすればよい。加熱保持時間は0.5〜4時間の範囲で適宜選択すればよい。
(分極処理)
焼結体に分極処理用の電極を形成した後、分極処理を行う。分極処理は、50〜300℃の温度で、1.0〜2.0Ec(Ecは抗電界)の電界を焼結体に対して0.5〜30分間印加する。
分極処理温度が50℃未満になると、Ecが高くなるため分極電圧が高くなり、分極が困難になる。一方、分極処理温度が300℃を超えると、絶縁オイルの絶縁性が著しく低下するため分極が困難となる。よって、分極処理温度は50〜300℃とする。好ましい分極処理温度は60〜250℃、より好ましい分極処理温度は80〜200℃である。
また、印加する電界が1.0Ecを下回ると分極が進行しない。一方、印加する電界が2.0Ecを超えると実電圧が高くなって焼結体がブレークしやすくなり、圧電磁器組成物の作製が困難となる。よって、分極処理の際に印加する電界は1.0〜2.0Ecとする。好ましい印加電界は1.1〜1.8Ec、より好ましい印加電界は1.2〜1.6Ecである。
分極処理時間が0.5分未満となると、分極が不十分となって十分な特性を得ることができない。一方、分極処理時間が30分を超えると分極処理に要する時間が長くなり、生産効率が劣る。よって、分極処理時間は0.5〜30分とする。好ましい分極処理時間は0.7〜20分、より好ましい分極処理時間は0.9〜15分である。
分極処理は、上述した温度に加熱された絶縁オイル、例えばシリコンオイル浴中で行う。なお、分極方向は所望の振動モードに応じて決定する。ここで、振動モードを厚みすべり振動としたい場合には、分極方向を図1(a)に示した方向とする。厚みすべり振動とは、図1(b)に示すような振動である。
圧電磁器組成物は、所望の厚さまで研磨された後、振動電極が形成される。次いで、ダイシングソー等で所望の形状に切断された後、圧電素子として機能することとなる。
本発明における圧電磁器組成物は、レゾネータ、フィルタ、共振子、アクチュエータ、着火素子あるいは超音波モータ等の圧電素子の材料として好適に用いられる。
主成分の出発原料として、酸化鉛(PbO)粉末、酸化チタン(TiO2)粉末、酸化ジルコニウム(ZrO2)粉末、炭酸マンガン(MnCO3)粉末、酸化ニオブ(Nb25)粉末を準備した。また、副成分の出発原料として、酸化シリコン(SiO2)粉末、酸化アルミニウム(Al23)粉末、酸化スカンジウム(Sc23)粉末、炭酸マンガン(MnCO3)粉末及び酸化クロム(Cr23)粉末を準備した。この原料粉末を表1に示す組成となるように秤量し、純水中、ボールミル(ZrO2ボール使用)を用いて10時間の湿式混合を行った。得られたスラリーを十分に乾燥させた後、プレス成形した。その後、大気中、800〜950℃で2時間保持する仮焼を行った。仮焼体が平均粒径0.7μmになるまでボールミルにより微粉砕した後、微粉砕粉末を乾燥させた。乾燥させた微粉砕粉末に、バインダとしてPVA(ポリビニルアルコール)を適量加え、造粒した。1軸プレス成形機を用いて造粒粉末を245MPaの圧力で成形した。得られた成形体に対して脱バインダ処理を行った後、大気中、1150〜1250℃で2時間保持する焼成を行って焼結体(試料)を得た。
以上で得られた焼結体について、3点曲げ強さ(σb3)の測定を行った。測定方法は以下の通りである。
焼結体試料の両面をラップ盤で厚み0.32mmに平面加工した後にダイシングソーで縦×横=7.2mm×2.5mmに切断加工した測定試料を用いた。測定は、INSTRON社製強度試験器(モデル5543)を用いた。そして、3点曲げ強さ(σb3)は、JIS R 1601に従い、下記(2)式より算出した。その結果を表1に示す。
σb3=L3(P2−P1)/4wt3(yb2−yb1)…(2)
P:荷重(N)、
L:支持ロール間距離(m)、
w:試験片の幅(m)、
t:試験片の厚さ(m)、
b:荷重点の正味の変位量(m)
また、3点曲げ強さを測定した試料の破断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察して、破断形態を特定した。その結果を表1に併せて示す。なお、SEM観察による破断形態の特定は、上述した基準に基づいて行った。つまり、破断面の50%以上の領域の破断形態が粒内破断の試料を「粒内破断」と認定し、破断面の50%以上の領域の破断形態が粒界破断の試料を「粒界破断」と認定した。その結果を表1に示す。なお、表1の「粒内破断」の欄の数値は、粒内破断を示している領域の面積率(%)を示している。
次に、電気特性Qmaxを測定した。測定結果を表1に示す。なお、測定は以下に従った。
試料の両面をラップ盤で厚み0.5mmに平面加工した後に、ダイシングソーで縦×横=15mm×5.0mmに切断加工し、その両端部(5.0mm方向)に分極用の仮電極を形成した。その後、温度150℃のシリコンオイル槽中で3kV/mmの電界を15分間印加する分極処理を行った。なお、分極方向は図1(a)に示した方向とした。その後、仮電極を除去した。なお、仮電極除去後の試料のサイズは縦15mm×横4.0mm×厚さ0.5mmである。再度ラップ盤でおよそ厚さ0.3mmまで研磨し、真空蒸着装置を用いて図2に示すように試験片1の表裏両面(研磨された両面)に振動電極2を形成した。振動電極2は厚さ0.01μmのCr下地層と厚さ2μmのAgとから構成される。なお、振動電極2の重なりは1.5mmとした。
続いて、以上の試験片1から縦4mm×横0.7mm×厚さ0.3mmの圧電素子を切り出して電気特性Qmaxの測定用試料とした。電気特性Qmaxの測定にはインピーダンスアナライザ(アジレントテクノロジー社製4294A)を使用し、4MHz付近で測定した。電気特性Qmaxは共振周波数frと反共振周波数faの間でのQ(=tanθ,θ:位相角(deg))の最大値を表し、レゾネータとして重要な特性の一つであり、電気特性Qmaxが大きいほど低電圧駆動に寄与する。
Figure 2006213539
表1に示す結果より、以下のことが判明した。
破断形態が粒内破断の焼結体は、破断形態が粒界破断の焼結体に比べて3点曲げ強さの値が大きく、機械的強度に優れていることがわかる。つまり、粒界破断を起こしている焼結体の3点曲げ強さは150N/mm2が上限であるのに対して、粒内破断を起こしている焼結体は160N/mm2以上の3点曲げ強さを示し、200N/mm2を超える3点曲げ強さを得るものもある。
試料No.1〜3より、酸化アルミニウム(Al23)及び酸化スカンジウム(Sc23)は、破断形態を粒内破断とするのに効果的な物質である。加えて、酸化アルミニウム(Al23)及び酸化スカンジウム(Sc23)は、電気特性Qmaxの向上の点でも好ましい物質である。
試料No.4〜6より、酸化アルミニウム(Al23)の添加量が増えると3点曲げ強さが向上しかつ電気特性Qmaxも向上する。また、酸化アルミニウム(Al23)は、1.0wt%を超える範囲まで添加することが可能である。
試料No.7及び8より、酸化シリコン(SiO2)も添加量を0.06wt%と多くすれば、焼結体の破断形態を粒内破断とすることができる。しかも、この粒内破断を起こした焼結体は電気特性Qmaxも100を超えている。
試料No.9〜12より、主成分の組成を示す式(1)中のαの値も破断形態に影響を与えることがわかる。つまり、αが0.950を超え、1.010未満の範囲とすることにより、粒内破断を起しやすくなる。
試料No.13〜15、さらに試料No.4〜6より、酸化アルミニウム(Al23)を副成分として添加すると粒内破断を起こし、かつ3点曲げ強さが200N/mm2を超えており、機械的強度向上に好適な物質である。しかも、試料No.13〜15は、電気特性Qmaxも高い。
実施例1と同様の主成分及び副成分の原料粉末を準備し、実施例1と同様に圧電磁器組成物である焼結体試料を作製した。得られた焼結体について、実施例1と同様に3点曲げ強度、破断形態の特定及び電気特性Qmaxを測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2006213539
表2に示すように、いずれの焼結体も破断形態が粒内破断を示し、3点曲げ強さも175N/mm2を超えている。
また、3点曲げ強さは、主成分の組成を示す式(1)のαが0.995の場合に最も強くなる。これに対して、電気特性Qmaxは、αが小さいほど高い値を示している。したがって、実際の製造にあたっては、要求される特性に以上の測定結果を照らし合わせて組成を特定する必要がある。
分極方向を説明するための図である。 上下両面に振動電極が形成された状態の試験片の断面図である。 試料No.4の焼結体の破断面をSEMで観察した像を示す。 試料No.7の焼結体の破断面をSEMで観察した像を示す。 試料No.8の焼結体の破断面をSEMで観察した像を示す。
符号の説明
1…試験片、2…振動電極

Claims (4)

  1. Pbα[(Mn1/3Nb2/3xTiyZrz]O3 …式(1)
    (式(1)中、0.95<α<1.01、
    0.04≦x≦0.16、
    0.48≦y≦0.58、
    0.32≦z≦0.42、
    x+y+z=1である。
    なお、式(1)中、α、x、y及びzはそれぞれモル比を表す。)で示される主成分を有する焼結体からなり、
    前記焼結体における破断面の50%以上の領域の破断形態が、粒内破断であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  2. 前記焼結体における破断面の70%以上の領域の破断形態が、粒内破断であることを特徴とする請求項1に記載の圧電磁器組成物。
  3. 副成分として、Al及びScから選択される1種又は2種の元素を、当該酸化物換算で0.01〜15.0wt%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電磁器組成物。
  4. 前記式(1)におけるαが0.96≦α≦1.00であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧電磁器組成物。
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