JP2006207752A - 油圧緩衝器 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダンパ内へリザーバから作動油の浸入があっても、ダンパ内の圧力を所望の圧力に維持できるようにした油圧緩衝器を提供する。
【解決手段】ダンパーシリンダの端部にキャップ6を結合し、アキュムレータをキャップに結合したコネクティングロッド5と、コネクティングロッドの外周に嵌合して固定したガイド4と、ガイドの端部内周とダンパーシリンダの内周及びキャップの中空部内周とにスライド自在に挿入した中空なフリーピストン30と、このガイドの外側に固定した弾性隔壁部材20と、弾性隔壁部材の内側とキャップ内にそれぞれ画成され相互に連通する気体室7,9と、弾性隔壁部材の外側に画成した油室8とで構成し、又キャップとフリーピストンとの間にリターンスプリング10を介在し、更に上記リザーバと上記油室とを上記フリーピストンのスライドに伴って連通又は遮断させる通孔19をダンパーシリンダに形成した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動二輪車の車体と車軸間に介装されて路面からの振動を減衰する緩衝器とフォークを兼ねたフロントフォークの使用に適する油圧緩衝器に関し、特に、ダンパーシリンダ内に組込んだアキュムレータを改良した油圧緩衝器に関する。
一般に、二輪車用ダンパ内臓型フロントフォーク等の油圧緩衝器では、例えば、特許文献1に示すように、ダンパーシリンダ内にアキュムレータを設けてダンパ内における内圧を補償するものが知られている。
即ち、このアキュムレータは、一般に気体室内の気体圧を適宜に設定することで伸長時にダンパ内に負圧を発生させず、安定した所定の圧側減衰力を発生できるようにしている。
上記特許文献1に示す油圧緩衝器は、図3の実施図面に示すように、アウターチューブ41と、アウターチューブ41内に挿入したインナーチューブと、各チューブ内に挿入したダンパーシリンダ42と、ダンパーシリンダ42内の上部に設けたアキュムレータA1を有している。
そして、このアキュムレータA1は、キャップ43側に結合したコネクティング44とガイド45とにそれぞれ両端を結合した弾性隔壁部材たるプラダ46と、プラダ46内に画成した気体室47と、プラダ46の外側に設けた油室48とで構成されている。
それゆえ、気体室47における内圧を適宜に設定することで、油圧緩衝器たるダンパP内臓型フロントフォークが伸び切り状態にあるときにもダンパにおける内圧を負圧にせず、したがって、フロントフォークが伸び切り状態から収縮作動を開始する当初から、ダンパによって所定の圧側減衰力を発生し得ることになる。
実公平4−525D2号公報(実用新案登録請求の範囲(2),同(4))
しかしながら、上記の弾性隔壁部材46を有するアキュムレータA1の構造をみると、ダンパが伸縮作動するとき、リザーバの作動油がピストンロッド摺動部等を介してダンパ内に浸入することがある。
このため、ダンパ内の作動油量が増加すると、ダンパ内の圧力は上昇し、その作動油量が著しく多くなったときは、フロントフォークの収縮作動時の抵抗が大きくなって乗心地を悪くさせることになるし、また、高圧作用でダンパ内のオイルシール等が損傷する恐れもある。
この発明は、このような現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、ダンパ内へリザーバから作動油の浸入があっても、ダンパ内の圧力を所望の圧力に維持できるようにしたダンパ内蔵型フロントフォークへの利用に最適となる油圧緩衝器を提供することである。
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、アウターチューブ内にダンパーシリンダを結合し、アウターチューブとダンパーシリンダ間にリザーバを設け、ダンパーシリンダ内にアキュムレータを設けている油圧緩衝器において、ダンパーシリンダの端部に中空部を備えたキャップを結合し、アキュムレータをキャップに結合したコネクティングロッドと、コネクティングロッドの外周に嵌合して固定したガイドと、ガイドの端部内周とダンパーシリンダの内周及びキャップの中空部内周とにスライド自在に挿入した中空なフリーピストンと、このガイドの外側に固定した弾性隔壁部材と、弾性隔壁部材の内側とキャップ内にそれぞれ画成され相互に連通する気体室と、弾性隔壁部材の外側に画成した油室とで構成し、又キャップとフリーピストンとの間にリターンスプリングを介在し、更に上記リザーバと上記油室とを上記フリーピストンのスライドに伴って連通又は遮断させる通孔をダンパーシリンダに形成したことを特徴とする。
各請求項の発明によれば、アキュムレータ内の油室の作動油が熱膨張したり、ダンパ内へ作動油が流入したりして作動油量が増加し、この状態で圧縮作動して弾性隔壁部材が最収縮してもフリーピストンがリターンスプリングに抗して移動し、アキュムレータ側の油室をリザーバ側に通孔を介して連通するから、油室内の余剰の作動油がリザーバ側に排出され、減衰力が安定し、圧縮時の作動抵抗が異常に大きく発生することが無く、油圧緩衝器自体に無理な負荷がかかるのを防止できる、その結果内部のシール等の部材を損傷するのが防止され、作動油の洩れを防止できる。
以下、本発明の実施の形態を図にもとづいて説明するが、本発明に係る油圧緩衝器たるダンパ内臓型フロントフォークは、図1に示すように、アウターチューブ1内にダンバーシリンダ2を挿入して結合し、アウターチューブ1とダンパーシリンダ2間にリザーバRを設け、ダンパーシリンダ2内にアキュムレータAを設けているものである。
そして、本発明では、ダンパーシリンダ2の端部に中空部を備えたキャップ6を結合し、アキュムレータAをキャップ6に結合したコネクティングロッド5と、コネクティングロッド5外周に嵌合して固定したガイド4と、ガイド4の端部内摺とダンパーシリンダ2の内周及びキャップ6の中空部内周にスライド自在に挿入した中空なフリーピストン30と、ガイド4の外側に固定した弾性隔壁部材20と、弾性隔壁部材20の内側とキャップ6内にそれぞれ画成され且つ上記フリーピストン30の中空部を介して相互に連通する気体室7,9と、弾性隔壁部材20の外側に画成した油室8とで構成している。
又、キャップ6とフリーピストン30との間にリターンスプリング10を介在し、更に上記リザーバRと上記油室8とを上記フリーピストン30のスライドに伴って連通又は遮断させる通孔19をダンパーシリンダ2に形成している。
この場合、フリーピストン30の外周にシールD1,D2を設けながら当該フリーピストン30をキャップ6とダンパーシリンダ2の内周に摺接させている。
シールD1,D2は、フリーピストンの外周環状溝内に嵌合しており、シールD2を嵌合している環状溝は傾斜した通孔30Aに連通している。
更に、ガイド4の筒状本体4B内周とコネクティングロッド5の外周との間にシールD3を設けている。
以下更に詳しく説明するが、図1乃至図2は、本発明の一実施の形態を示し、この油圧緩衝器は、自動二輪車用のダンパ内臓型フロントフォークとして適用したものである。
このフロントフォークは、図1に示すように車体側チューブたるアウターチューブ1内に車輪側チューブたるインナーチューブ(図示せず)が摺動自在に挿入され、各チューブ内にダンパ11を内蔵し、ダンパ11内上方にアキュムレータAを設けたものである。
ダンパ11は、ダンパーシリンダ2と、ダンパーシリンダ2内にピストンを介して挿入されたピストンロッド(図示せず)と、ピストンと隔壁部材27とで画成された油室12と、隔壁部材27の上方に画成されたアキュムレータAと、隔壁部材27に設けられてアキュムレータAと油室12とを連通する伸側油路13及び圧側油路14と、油路13,14の途中にそれぞれ開閉自在に設けた伸側チェックバルブ15及び圧側チェックバルブ16とを備えている。
隔壁部材27には伸側チェックバルブ15と圧側減衰バルブ16とを設けていれば使用可能であるが、後述するように可変絞り25を設けても良い。
アキュムレータAは、ダンパーシリンダ2の端部におけるキャップ6に結合したコネクティングロッド5と、このコネクティングロッド5の外周に嵌合されると共にコネクティグロッド5の両端のおけるストップリング5Aとフランジ5Bとで固定した筒状のガイド4と、ガイド4の外側に固定した弾性隔壁部材20と、弾性隔壁部材20の内側に画成した気体室7と、弾性隔壁部材20の外側に画成した油室8とから構成されている。
アウターチューブ1の上端部内側にダンパーシリンダ2の上端部が螺合され、ダンパーシリンダ2の上端部内側に中空部を備えたキャップ6が螺着されている。
キャップ6の中央にはコネクティングロッド5が結合され、このコネクティングロッド5の外周にガイド4が嵌合されている。
ガイド4は、筒部本体4Bと、本体4Bの両端の厚肉基部4A,4Dと、上方の肉厚基部4Aに形成されて気体室7に連通する連通路23とを備えている。
ガイド4の端部である上方の厚肉部4A内にはシールを介してフリーピストン30の端部がスライド自在に挿入され、このヒリーピストン30は更にシールD1,D2を介してダンパーシリンダ2内周とキャップ6の内周に摺接している。
キャップ6とフリーピストン5の内周段部との間にはリターンスプリング10が介装されると共に気体室9が画成され、この気体室9はフリーピストン30の中空部と上記の連通路23を介してアキュムレータA側の気体室7に連通している。
ダンパーシリンダ2の上端部には半径方向の通孔19が形成され、この通孔19はアウターチューブ1とダンパーシリンダ2との間に画成されたリザーバ3に連通し、フリーピストン5が図上左行した時アキュムレータAの油室8をリザーバ3に接続するようになっている。
即ち、ダンパーシリンダ2の左端部の拡径部2A内側にはシールD1,D2間に位置する隙間18が形成され、フリーピストン30が図上左方にスライドし、右方のシールD2が拡径部2Aの内周に対向した時シールD2が拡径し、その内側の隙間と通孔30Aと隙間18及び通孔19とを介してアキュムレータA側の油室8がリザーバ3に連通するようになっている。
上記のフロントフォークによれば、圧縮作動では、アウターチューブ1とダンパーシリンダ2が図上右行し、油室12が収縮し、ピストンロッド浸入体積分の作動油が圧側減衰バルブ16を介してアキュムレータAの油室8内に侵入することによって圧側減衰力を発生し、このとき弾性隔壁部材20が収縮する。
伸長作動時にはアウターチューブ1とダンパーシリンダ2とが図上左行し、この時油室12が拡大し、アキュムレータAの油室8からチェックバルブ15を介してピストンロッド退出分の作動油が油室12に供給され、このとき弾性隔壁部材20は気体室7の内圧で押圧されて膨張し、またこのとき、ピストンロッドに結合したピストンに設けた減衰バルブ(図示せず)により伸側減衰力を発生する。
リザーバRからダンパ11に作動油が浸入しない伸縮作動では弾性隔壁部材20の収縮、膨張によって、油室12側に生じるピストンロッド侵入体積分の油量変化が補償される。
しかし、リザーバRからダンパ11内に作動油が浸入し、ダンパ11内の作動油が増加すると圧縮作動時に油室8内の内圧が昇圧し、フリーピスト30に対する図中左方向の推力が大きくなってリターンスプリング10の抗力以上に達するとフリーピストン30がキャップ6の中空部内周とダンパーシリンダ2の内周に沿ってスライドし、図上左行する。
このとき、シールD2が拡径部2Aに対向する位置まで移動すると、図2に示すように、シールD2が外径方向に拡径し、シールD2の内周側が拡径し、通孔30A、隙間18及び通孔19を介してリザーバRに連通し、余剰の作動油がリザーバRに回収される。
即ち、リザーバRからダンパ11内に作動油が浸入して油室8内の作動油体積が増加しても、フリーピストン30のスライドにより余剰の作動油がリザーバ3側に排出されるので、油室8内の内圧上昇よってフロントフォークの圧縮作動抵抗が大きくなって乗心地を悪くすることが防止できる。
上記作動中スライドするのはフリーピストン30のみであるから、可動質量が小さくフリーピストン30自体の動きはスムースとなる。
更に、弾性隔壁部材20がスライドせず、ダンパンパーシリンダ2と摺接しないから、ゴムその他の弱い材料で成形しても耐久性を損なうことがない。
次に、隔壁部材27は、ダンパーシリンダ2の内周の任意の位置に固定していても良いが、図1に示すように、この隔壁部材27をコネクティングロッド5に結合しても良い。
即ち、コネクティングロッド5の端部に油室8とダンパーシリンダ2内の油室12とを画成する隔壁部材27を設け、当該隔壁部材27に上記二つの油室8、12を連通する伸側油路13と圧側油路14と絞り流路24とを設けている。
更に、伸側油路13と圧側油路14とに上記したように、それぞれ伸側チェック弁15と圧側減衰バルブ16とを開閉自在に設け、絞り流路24内に可変絞り25を開閉自在に設け、更に、絞り流路24内に可変絞り25を開閉自在に設けている。
この為、アキュムレータAの構成部材と隔壁部材27とをカートリッジ式に組付け、解体が可能となり、可変絞り25を介して遠隔的に所望の減衰力を調節できる。
更に、上記図1の実施形態では上記のように、ガイド4に弾性隔壁部材20の内側気体室7とキャップ6内の気体室7とを連通する連通路23を形成しているが、当該連通路23の数,長さ,内径を絞り効果が出るように又は絞り効果が出ないように設定することにより所望の減衰力をその都度調節することもできる。
本発明の一実施の形態に係るフロントフォークの一部縦断正面図である。 図1の最圧縮時の断面図である。 従来のフロントフォークの一部縦断正面図である。
符号の説明
A アキュムレータ
R リザーバ
1 アウターチューブ
2 ダンパーシリンダ
4 ガイド
5 コネクティングロッド
6 キャップ
8 油室
10 リターンスプリング
20 弾性隔壁部材
24 絞り通路
25 可変絞り
30 フリーピストン

Claims (3)

  1. アウターチューブ内にダンパーシリンダを結合し、アウターチューブとダンパーシリンダ間にリザーバを設け、ダンパーシリンダ内にアキュムレータを設けている油圧緩衝器において、ダンパーシリンダの端部に中空部を備えたキャップを結合し、アキュムレータをキャップに結合したコネクティングロッドと、コネクティングロッドの外周に嵌合して固定したガイドと、ガイドの端部内周とダンパーシリンダの内周及びキャップの中空部内周とにスライド自在に挿入した中空なフリーピストンと、このガイドの外側に固定した弾性隔壁部材と、弾性隔壁部材の内側とキャップ内にそれぞれ画成され相互に連通する気体室と、弾性隔壁部材の外側に画成した油室とで構成し、又キャップとフリーピストンとの間にリターンスプリングを介在し、更に上記リザーバと上記油室とを上記フリーピストンのスライドに伴って連通又は遮断させる通孔をダンパーシリンダに形成したことを特徴とする油圧緩衝器。
  2. フリーピストンの外周にシールを設けて当該フリーピストンをキャップとダンパーシリンダの内周に摺設させている請求項1の油圧緩衝器。
  3. コネクティングロッドの端部に油室とダンパーシリンダ内の油室とを画成する隔壁部材を設け、当該隔壁部材に上記二つの油室を連通する伸側油路と圧側油路と絞り流路とを設け、上記伸側油路と圧側油路とにそれぞれ伸側チェックバルブと圧側減衰バルブとを開閉自在に設け、絞り流路内に可変絞りを開閉自在に設けている請求項1又は2の油圧緩衝器。
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