JP2012215190A - キャップ構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 エア給排手段の後端の二輪車におけるハンドルへの干渉の危惧を低減させると共に、キャップ部材における重量の軽減化と部品コストの低減化を可能にする。
【解決手段】 車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11に車体側チューブ1内へのエアの封入およびエアの解放を可能にするエア給排手段2を有してなるキャップ構造において、キャップ部材11は、厚肉の円板状体からなり車体側チューブ1内に対向する下半側に環状となる抉り部11dを有し、車体側チューブ1外に対向する上半側の肉部に抉り部11dに連通するエア給排手段2を有し、このエア給排手段2は、軸線を縦方向となるキャップ部材11における軸線に対してこのキャップ部材11における上半側の外周側部からこのキャップ部材11の下半側の軸芯部に向けて傾斜させてなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11に車体側チューブ1内へのエアの封入およびエアの解放を可能にするエア給排手段2を有してなるキャップ構造において、キャップ部材11は、厚肉の円板状体からなり車体側チューブ1内に対向する下半側に環状となる抉り部11dを有し、車体側チューブ1外に対向する上半側の肉部に抉り部11dに連通するエア給排手段2を有し、このエア給排手段2は、軸線を縦方向となるキャップ部材11における軸線に対してこのキャップ部材11における上半側の外周側部からこのキャップ部材11の下半側の軸芯部に向けて傾斜させてなる。
【選択図】 図1
Description
この発明は、キャップ構造に関し、特に、二輪車の前輪側に装備されて走行中の振動を吸収する緩衝器たるフロントフォークの上端部におけるキャップ構造の改良に関する。
二輪車の前輪側に装備されて走行中の振動を吸収する緩衝器たるフロントフォークにあっては、多くの場合に、車体側チューブの上端開口をキャップ部材で閉塞しながらこのキャップ部材にフロントフォーク内にエアを封入するエア給排手段たる、たとえば、エアバルブを設ける。
そして、このときの、キャップ部材にエアバルブを有するキャップ構造としては、従来から特許文献1および特許文献2、すなわち、図4および図5に示す提案がある。
なお、図4(A)および図5(A)は、それぞれエアバルブVを有するキャップ部材Cの縦断面図であり、図4(B)は、キャップ部材Cの底面図であり、図5(B)は、エアバルブVを有するキャップ部材Cの平面図である。
先ず、特許文献1に開示されているところは、図4(A)に示すように、キャップ部材Cの下半側に、図4(B)に示すように、環状となる抉り部C1を形成することで、キャップ部材Cの肉を減らし、キャップ部材Cにおける部品重量を低減する。
しかし、この図4に示すところによる場合には、図4(A)に示すように、軸線が図中に仮想線で示す上下方向となるキャップ部材Cの軸線に沿うように配設されるエアバルブVにあって、図中での上端たる後端がキャップ部材Cの上端上方に突出し易くなり、たとえば、エアバルブVの後端を上方に位置決められる二輪車のハンドルに干渉させ易くする。
ところで、図6に示すキャップ構造も、キャップ部材CにエアバルブVを有するが、このキャップ構造にあっては、図6(A)の縦断面図に示すように、肉部C2に図中に仮想線で示す上下方向に延びるキャップ部材Cの軸線に沿ってエアバルブVを設け得るから、エアバルブVを肉部C2に埋没させることが可能になり、たとえば、エアバルブVの後端が上方に位置決められる二輪車のハンドルに干渉することを回避できる。
このとき、この図6に示すキャップ部材Cにあっては、図6(B)に示すように、底面側からいわゆるC形になる抉り部C1を形成して肉を減らし、キャップ部材Cにおける重量の軽減化を図るが、エアバルブVを設けるための肉部C2を残して抉り部C1を形成するについては、型成形であれ、切削加工であれ、手間を要し、キャップ部材Cにおける部品コストを高くする。
そこで、特許文献2に開示の提案をなし得るが、この特許文献2が開示するところは、図5(A)に示すように、エアバルブVがキャップ部材Cにいわゆる斜めの配設される。
ちなみに、この図5に示すところにあって、エアバルブVは、図中に仮想線で示す軸線がキャップ部材Cの上半側の軸芯部から、たとえば、放射方向の斜め下方に向けて延びるように配設される。
それゆえ、この図5に示すキャップ構造の場合には、エアバルブVがキャップ部材Cに斜めに配設されるから、エアバルブVにおけるキャップ部材Cの肉部C2に対する連結長さを大きく採れて、エアバルブVの配設状態を保障し易くなると共に、エアバルブVが傾斜する分、エアバルブVの後端がキャップ部材Cの上端の上方に大きく突出し得なくなり、たとえば、二輪車におけるハンドルに干渉し難くする。
上記した特許文献2に開示の提案、すなわち、図5に示すところにあっては、エアバルブVのキャップ部材Cに対する配設状態を保障し易くすると共に、エアバルブVの後端をキャップ部材Cの上端の上方に大きく突出させない点で、基本的に不具合がある訳ではないが、実施を勘案すると、些かの不具合があると指摘される可能性がある。
すなわち、図5に示すところにあっては、エアバルブVを傾斜させる分、エアバルブVの後端をキャップ部材Cの上端の上方に大きく突出させないようにし得るが、その一方で、エアバルブVのキャップ部材Cへの取り付け性やエアバルブVにおける後端に対するプラグなどの連結性を向上させるために、図5(B)に示すように、キャップ部材Cの上半側に上端側から平面視でほぼ半月状になるなどの抉り部C1を設ける必要がある。
そして、このキャップ部材Cにおける上半側の抉り部C1は、キャップ部材Cを型成形する際における型抜き性で不利になり易く、また、キャップ部材Cを切削加工で形成する際に手間が掛かり易くなり、いずれにしてもキャップ部材Cにおける部品コストの低減を期待できなくする。
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、たとえば、エアバルブからなるエア給排手段の後端の二輪車におけるハンドルへの干渉の危惧を低減させると共に、キャップ部材における重量の軽減化と部品コストの低減化を可能にするキャップ構造を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、この発明によるキャップ構造の構成を、基本的には、車体側チューブの上端開口を閉塞するキャップ部材に上記車体側チューブ内へのエアの封入およびエアの解放を可能にするエア給排手段を有してなるキャップ構造において、上記キャップ部材は、厚肉の円板状体からなり上記車体側チューブ内に対向する下半側に環状となる抉り部を有し、上記車体側チューブ外に対向する上半側の肉部に上記抉り部に連通する上記エア給排手段を有し、このエア給排手段は、軸線を縦方向となる上記キャップ部材における軸線に対してこのキャップ部材における上半側の外周側部からこのキャップ部材の下半側の軸芯部に向けて傾斜させてなるとする。
それゆえ、この発明にあっては、車体側チューブの上端開口を閉塞するキャップ部材が車体側チューブ内に対向する下半側に環状となる抉り部を有するから、この下半側に抉り部を有しない場合に比較して、キャップ部材における重量の軽減を可能にする。
また、この発明にあっては、エア給排手段がキャップ部材の上半側たる肉部に配設されてキャップ部材の下半側の抉り部に連通するから、このエア給排手段によって車体側チューブ内に任意のエア圧のエアを封入し得る。
そして、この発明にあっては、エア給排手段が軸線を縦方向となるキャップ部材における軸線に対してキャップ部材における上半側の外周側部からキャップ部材の下半側の軸芯部に向けて傾斜させるから、エア給排手段がキャップ部材に対して斜めに配設され、エア給排手段がキャップ部材に斜めに配設される分、エア給排手段における後端のキャップ部材の上端からの突出量を小さく抑えることが可能になる。
つまり、キャップ部材の上半側となる肉部にあって、エア給排手段が軸線を縦方向となるキャップ部材における軸線に対して傾斜させる場合には、エア給排手段が軸線を縦方向となるキャップ部材における軸線に沿うように縦にする場合に比較して、キャップ部材の上端からのエア給排手段における後端の突出量を小さくできる。
したがって、この発明にあっては、エア給排手段における後端のキャップ部材の上端からの突出量を小さくでき、このキャップ構造が上端部に具現化されたフロントフォークが二輪車の前輪側に装備されるとき、エア給排手段の後端がハンドルと干渉することをいたずらに危惧させず、また、飛び石の衝突などによるエア給排手段の故障をいたずらに危惧させない。
また、エア給排手段がキャップ部材の上半側となる肉部に配設されるのにあって、エア給排手段が軸線を縦方向となるキャップ部材における軸線に対して傾斜させるから、エア給排手段が軸線を縦方向となるキャップ部材における軸線に沿うように縦にする場合に比較して、キャップ部材に対する連結長さを大きく採れ、エア給排手段のキャップ部材に対する連結状態を保障し易くなると共に、キャップ部材における下半側の抉り部をより深くすることが可能になり、キャップ部材における
重量の軽減化に一層寄与する。
重量の軽減化に一層寄与する。
その結果、この発明によれば、エア給排手段の後端の二輪車におけるハンドルへの干渉の危惧を低減させると共に、キャップ部材における重量の軽減化と部品コストの低減化を可能にする。
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるキャップ構造を具現化するフロントフォーク(符示せず)は、図1に示すように、二輪車の前輪側に装備されて、走行中の振動を吸収する緩衝器として機能する。
このとき、フロントフォークの上端側部にはアッパーブラケットBが連結され、このアッパーブラケットBは、二輪斜の車体側(符示せず)にステアリングシャフトSを介して連結されると共に、ハンドルHを連結させる。
このことから、フロントフォークの上端は、ハンドルHの下方に近隣することが多く、したがって、フロントフォークの上端からいわゆる障害物と目されるものが可能な限りに突出しない方が好ましいことになる。
ところで、フロントフォークは、図2に示すように、車体側チューブ1と車輪側チューブ(図示せず)とからなるフォーク本体内に正立型のダンパ(図示せず)を有してなり、このダンパがフォーク本体の伸縮に同期して伸縮することで所定の減衰作用を具現化する。
このとき、ダンパは、図示しないが、シリンダ体内に摺動可能に収装されてロッド体Rに保持されるピストン体を有しており、このピストン体は、シリンダ体内にロッド側室とピストン側室とを画成すると共に、両室の連通を許容する減衰手段を有してなる。
そして、このダンパがフォーク本体の伸縮に同期して伸縮するとき、減衰手段を介して両室が連通し、減衰手段によって所定の減衰作用が具現化される。
ちなみに、フォーク本体は、図示するところでは、車体側チューブ1が小径のインナーチューブからなり、車輪側チューブが大径のアウターチューブからなる正立型に設定されているが、この発明によるキャップ構造の具現化にあっては、これに代えて、図示しないが、車体側チューブ1が大径のアウターチューブからなり、車輪側チューブが小径のインナーチューブからなる倒立型に設定されても良い。
また、この種のフロントフォークにあっては、附勢手段の附勢力によって伸長方向に附勢されるが、附勢手段としては、懸架スプリングの他にフォーク本体内に封入されるエアがあり、図示するフロントフォークでは、後述するエア給排手段たる、たとえば、エアバルブ2が利用されて、フォーク本体内に所定のエア圧のエアが封入される。
なお、フォーク本体内に封入されるエアのエア圧についてだが、たとえば、フォーク本体が最伸長状態にあるときに大気圧以上とされる場合には、フォーク本体が最伸長状態から収縮作動を開始する当初から、たとえば、ダンパに設定通りの減衰作用を具現化させることが可能になる点で有利となる。
ところで、フォーク本体にあっては、車体側チューブ1における上端開口がキャップ部材11で閉塞され、このキャップ部材11は、上下方向の中間部の外周に形成の環状溝11a(図3参照)にシール12を有しながら下端部の外周に形成の螺条11bを車体側チューブ1の上端部の内周に形成の螺条1aに螺合させて連結される。
そして、この発明にあって、キャップ部材11は、車体側チューブ1内、すなわち、フォーク本体内へのエアの封入および解放を可能にするエア給排バルブたるエアバルブ2を有して、この発明によるキャップ構造を構成する。
また、この発明にあって、キャップ部材11は、前記したダンパを構成して車体側チューブ1の軸芯部に臨在されるロッド体Rの上端部を螺着させ、結果として、ロッド体Rを車体側チューブ1の軸芯部に垂設させる。
ところで、キャップ部材11は、基本的には、厚肉の円板状体からなり、軸芯部に下方に突出する軸部を有し、この軸部をダンパにおけるロッド体Rの上端部を螺着させるロッド体取り付け部11cに設定する。
なお、このロッド体取り付け部11cにダンパにおけるロッド体Rの上端部を螺着するときには、ロックナットNの併用でロッド体Rのキャップ部材11に対する連結状態が保障される。
一方、このキャップ部材11は、厚肉の円板状体からなるままだと、重量が大きくなり、フロントフォークにおける重量の軽減化に寄与し得ないので、可能な限りの重量の軽減化が図られる。
そして、キャップ部材11における重量の軽減化を図る代表的な方策としては、構成素材自体が鉄材と比較すれば軽量となるアルミ材が選択されるほか、このアルミ材を選択しながらでも、可能な限りにいわゆる肉を落す方策がある。
そこで、この発明にあっては、車体側チューブ1がアルミ材で形成される場合には、このキャップ部材11もアルミ材で形成されるとし、なおかつ、図3にも示すように、前記した軸部たるロッド体取り付け部11cを突設させる下半側に、すなわち、車体側チューブ1内たるフォーク本体内に対向する下半側に環状に形成の抉り部11dを有することで肉を落して、重量の軽減化に寄与する。
ちなみに、キャップ部材11における重量の軽減化を図る上からは、キャップ部材11がアルミ材でなく鉄材からななる場合であっても、重量の軽減化に寄与する上で、下半側に抉り部11dを形成することが有効である。
また、抉り部11dが環状に形成される場合には、キャップ部材11に対して抉り部11dを形成する際の作業性で有利になる。
つまり、前記した図6に示すように、キャップ部材Cにおいて、エア給排手段たる、たとえば、エアバルブ2を配設するための肉部C2を図中で上下方向となるキャップ部材Cの軸線方向に残すように抉り部C1をC形に形成する場合には、いわゆる抉り過ぎを回避するための監視はもちろんのこと、その操作が必須になる分、作業性に劣る不具合を招く。
それに対して、この発明のように、抉り部11dを環状に形成する場合には、いわゆる抉り過ぎを危惧する必要がないことはもちろんのこと、抉り過ぎを回避するための監視作業も不要にし、キャップ部材11に対して抉り部11dを形成する際の作業性で有利になり、部品コストの低減化に寄与する。
また、このキャップ部材11を型利用で形成する場合に、型抜き性を良くし、この点からも、部品コストの低減化に寄与する。
以上のように、下半側に抉り部11dが形成されるキャップ部材11にあっては、車体側チューブ1内に対向する側と反対側となる車体側チューブ1外に対向する上半側が肉部11eとされる。
そして、この肉部11eにエアバルブ2が配設され、このエアバルブ2は、上記した抉り部11dに連通して、外部からの所定のエア圧となるエアの車体側チューブ1内、つまり、フォーク本体内への封入を許容する。
ちなみに、エアバルブ2は、外部からの所定のエア圧となるエアのフォーク本体内への封入を許容するのが主たるところであるが、エアの封入を許容することからすれば、図示しないが、たとえば、封入されるエア圧の調整のためにエアを解放することを可能にするようにも設定される。
なお、エアバルブ2は、外周にシール21を有して、キャップ部材11に配設されたとき、つまり、図示するところでは、螺着されたとき、キャップ部材11との間で自動的にシール機能を発揮するように構成される。
ところで、このエアバルブ2は、キャップ部材11における肉部11eに開穿される斜めの透孔11f、つまり、エアバルブ2の軸線a(図2参照)を中心にして開穿される透孔11fに螺着されることで肉部11eに配設される。
すなわち、エアバルブ2は、軸線aをキャップ部材11における縦方向となる軸線c(図2参照)に対して傾斜させながらキャップ部材11における上半側の外周側部からキャップ部材11の下半側の軸芯部に向けて延在させてなる、つまり、キャップ部材11に斜めに配設される。
そのため、キャップ部材11は、エアバルブ2を配設させる斜めの透孔11fを開穿させるが、この透孔11fをキャップ部材11における上半側の外周側部からキャップ部材11の下半側の軸芯部に向けて開穿し易くするため、キャップ部材11における上半側の外周側部に面部11gを面取り加工してなる。
すなわち、面部11gは、キャップ部材11の上半側の外周側部における任意個所が縦方向となるキャップ部材11における軸線cに対して傾斜する面となるように面取り加工され、この面部11gから上記の透孔11fが開穿されると共に、この面部11gにエアバルブ2の後端が露呈されあるいは突出する。
そして、透孔11fの図2中で下端となる先端が上記した抉り部11dに連通することで、エアバルブ2による外部からのエア圧の抉り部11d、つまり、フォーク本体内へのエア圧の流入が可能とされる。
以上のように、この発明によるキャップ構造にあっては、先ず、エアバルブ2が、たとえば、前記した特許文献1に開示されているようにキャップ部材11に対して垂直に、すなわち、車体側チューブ1の軸線方向となる縦方向に連結されてエアバルブ2の後端をキャップ部材11の上端の上方に大きく突出させるのに比較して、エアバルブ2がキャップ部材11に斜めに配設される分、エアバルブ2の後端におけるキャップ部材11の上端の上方への突出量を小さく抑えることが可能になる。
そして、エアバルブ2の後端の突出量を小さく抑えることが可能になるから、このキャップ構造を車体側チューブ1に具現化したフロントフォークが二輪車に装備されるとき、エアバルブ2の後端とハンドルとの干渉をいたずらに危惧させず、また、飛び石の衝突などによるエアバルブ2の故障をいたずらに危惧させない。
また、このキャップ構造にあっては、エアバルブ2がキャップ部材11に対して斜めに連結されるから、エアバルブ2がキャップ部材11に対して縦に連結される場合に比較して、エアバルブ2におけるキャップ部材11に対する連結長さを大きくでき、エアバルブ2のキャップ部材11に対する連結状態を保障し易くなる。
そしてまた、このキャップ構造にあっては、キャップ部材11における肉を落として、キャップ部材11における重量軽減化を可能にするのはもちろんだが、エアバルブ2を斜めに配設してエアバルブ2におけるキャップ部材11に対する連結長さを大きく採れるから、キャップ部材11における下半側の抉り部11dをより深くすることが可能になり、キャップ部材11の重量の軽減化に一層寄与する。
ところで、特開2005−30534号公報に開示されているところでは、キャップ部材にいわゆる縦に連結されているエアバルブの後端部がキャップ部材の上端から大きく突出しない。
これは、あらかじめキャップ部材の上端をその外周側の部材の上端より上方に向けて大きく突出させておき、その状態からキャップ部材の内側に凹みを形成し、この凹みにエアバルブを位置決め、したがって、エアバルブの後端がキャップ部材の上端より上方に向けて大きく突出しない外観を呈するようにするからである。
しかし、この発明では、キャップ部材11の上端を外周側部の上端より上方に向けて大きく突出させるようなことはしておらず、その意味では、いたずらにキャップ部材11の上端を上方に位置決めていない。
そして、上記の公報に開示のように、キャップ部材の上端をいたずらに上方に位置決める場合には、たとえば、フロントフォークにおけるフォーク本体の実質寸法を小さくする不具合が招来される。
しかし、この発明では、キャップ部材11の上端をいたずらに上方に位置決めないので、フロントフォークにおけるフォーク本体の実質寸法を小さくする不具合を招来しない。
そして、フロントフォークにおけるフォーク本体の実質寸法を小さくする不具合を招来しない中で、エアバルブ2がキャップ部材11に対していわゆる斜めに連結されることで、ハンドルへの干渉や飛び石の衝突などの不具合を招来し難くしている。
上記したところからすると、この発明のキャップ構造にあって、エアバルブ2は、図2および図3に示すところからも明らかなように、前記した特許文献2に開示されている場合と異なり、キャップ部材11の図2および図3中での左半分となる部位に配設されることになり、キャップ部材11の図中での右半分となる部位を占有せずして開放する。
このとき、図示しないが、エアバルブ2が配設されているキャップ部材11の上端の平面視では、エアバルブ2が円形となる平面のほぼ1/4を占有するのみで、残りのほぼ3/4を開放している。
それに対して、前記した特許文献2、すなわち、図5に開示されているところでは、エアバルブ2がキャップ部材Cの軸芯部から放射方向に配設され、また、半月状の抉り部C1を上半側に形成するから、円形となる平面のほぼ全部を占有しており、開放する部位が殆どない。
それに対して、この発明にあっては、図3に示すように、いわゆる開放されている部位に、たとえば、エア抜きビス3を配設することが可能になる。
このとき、このエア抜きビス3は、軸線b(図2参照)がキャップ部材11の軸線c方向に沿うように、キャップ部材11の上半側となる肉部11eで縦方向に延在され、この軸線bを軸芯にして開穿され下半側の抉り部11dに連通する透孔11hに配設される。
そして、このエア抜きビス3は、シール31を有してキャップ部材11における肉部11eに配設されるが、本来的にはビスであることから、後端部たる丸頭3aの突出量は大きくなく、たとえば、二輪車におけるハンドルへの干渉を危惧させない。
以上のように、この発明によるキャップ構造にあっては、エアバルブ2がキャップ部材11に斜めに配設されるが、より具体的には、キャップ部材11にあって、エアバルブ2におけるキャップ部材11に対する配設方向、すなわち、軸線aの方向が、キャップ部材11における軸線c、すなわち、軸芯を通過する設定がいわゆる見た目を良くしたり、カバー22やプラグを連結したりする操作上から好ましいと言い得る。
しかし、エアバルブ2におけるキャップ部材11に対する配設方向については、エアバルブ2が所定の機能を発揮する上で妨げにならない限りにおいて、任意とされて良く、図示しないが、たとえば、キャップ部材11における軸芯を通過せず、外れる場合には、キャップ部材11の軸芯部に、たとえば、アジャスタ類を配設するための空部A(図2中の仮想線図参照)の形成の上で有利になる。
前記したところでは、フォーク本体がダンパを内蔵してなるとしたが、この発明が意図するところからすれば、フォーク本体がダンパを内蔵しなくてもこの発明の具現化が可能とされるのはもちろんである。
そして、前記したところでは、キャップ部材11がエアバルブ2を有してなるとしたが、この発明が意図するところからすれば、エアバルブ2に代えて、フロントフォーク内に収装されるダンパが有するアクチュエータに外部の電源などを電気的に接続するコネクタなどの連結部材とされても良く、その場合の作用効果も異ならない。
キャップ部材における重量の軽減化と部品コストの低廉化に寄与しながらエア給排手段の装着を可能にし、しかも、エア給排手段の後端の二輪車におけるハンドルへの干渉の危惧を低減させて、二輪車の前輪を懸架する緩衝器たるフロントフォークへの利用に向く。
1 車体側チューブ
1a,11b 螺条
2 エア給排手段たるエアバルブ
3 エア抜きビス
3a 丸頭
11 キャップ部材
11a 環状溝
11c ロッド体取り付け部
11d 抉り部
11e 肉部
11f,11h 透孔
11g 面部
12,21,31 シール
22 カバーキャップ
A 空部
B アッパーブラケット
H ハンドル
N ロックナット
R ロッド体
S ステアリングシャフト
a エアバルブの軸芯線
b エア抜きビスの軸芯線
c キャップ部材の軸芯線
1a,11b 螺条
2 エア給排手段たるエアバルブ
3 エア抜きビス
3a 丸頭
11 キャップ部材
11a 環状溝
11c ロッド体取り付け部
11d 抉り部
11e 肉部
11f,11h 透孔
11g 面部
12,21,31 シール
22 カバーキャップ
A 空部
B アッパーブラケット
H ハンドル
N ロックナット
R ロッド体
S ステアリングシャフト
a エアバルブの軸芯線
b エア抜きビスの軸芯線
c キャップ部材の軸芯線
Claims (5)
- 車体側チューブの上端開口を閉塞するキャップ部材に上記車体側チューブ内へのエアの封入およびエアの解放を可能にするエア給排手段を有してなるキャップ構造において、
上記キャップ部材は、厚肉の円板状体からなり上記車体側チューブ内に対向する下半側に環状となる抉り部を有し、
上記車体側チューブ外に対向する上半側の肉部に上記抉り部に連通する上記エア給排手段を有し、
このエア給排手段は、軸線を縦方向となる上記キャップ部材における軸線に対してこのキャップ部材における上半側の外周側部からこのキャップ部材の下半側の軸芯部に向けて傾斜させてなることを特徴とするキャップ構造。 - 上記キャップ部材の上半側の外周側部における任意個所が縦方向となる上記キャップ部材における軸線に対して傾斜する面部となるように面取り加工され、この面取り加工された上記面部からエア給排手段を挿通させる透孔が開穿されると共に、上記面部にエア給排手段の後端が露呈されあるいは突出してなる請求項1に記載のキャップ構造。
- 上記エア給排手段の軸線が上記キャップ部材における軸芯を通過し、あるいは、上記キャップ部材における軸芯から外れてなる請求項1または請求項2に記載のキャップ構造。
- 上記キャップ部材が肉部にエア抜きビスを有してなる請求項1,請求項2または請求項3に記載のキャップ構造。
- 上記車体側チューブが二輪車における前輪側に装備されて走行中の振動を吸収するフロントフォークにおける上端側部材とされ、上記キャップ部材が上記フロントフォークの軸芯部に配設のダンパにおけるロッド体の上端部の連結を許容するロッド体取付部を軸芯部に有してなる請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載のキャップ構造。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2011
- 2011-03-31 JP JP2011079342A patent/JP2012215190A/ja active Pending
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