JP2020016259A - 緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 減衰力のチューニングを容易にできるとともに、コストの上昇を低減できるフロントフォークを提供する。【解決手段】 緩衝器Dがリザーバタンク2内に液室L3を区画するフリーピストン3と、フリーピストン3を液室L3側へ附勢するガス室Gと、緩衝器本体1のシリンダ10内から液室L3へ向かう液体の流れに抵抗を与える圧側減衰要素V4を迂回するバイパス路Bと、フリーピストン3と連動してバイパス路Bを開閉する開閉弁Vとを備える。【選択図】 図1
Description
本発明は、緩衝器の改良に関する。
従来、緩衝器の中には、シリンダと、このシリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、このピストンに連結されて端部がシリンダ外へと突出するピストンロッドと、伸側室と圧側室との間を移動する液体の流れに抵抗を与える減衰要素と、ピストンが所定のストローク領域内にある場合に減衰要素を迂回して伸側室と圧側室とを連通するバイパス路とを備えるものがある(例えば、特許文献1)。
上記構成によれば、緩衝器が伸縮してピストンがシリンダ内を移動すると、液体が減衰要素を通って伸側室と圧側室との間を移動して、減衰要素の抵抗に起因する減衰力が発生する。さらに、このような緩衝器の伸縮時にピストンが所定のストローク領域内にある場合には、伸側室と圧側室との間を移動する液体の一部がバイパス路を通って減衰要素を迂回できるが、ピストンが所定のストローク領域外にある場合には減衰要素を迂回できなくなる。
このため、緩衝器の伸縮時にピストンが所定のストローク領域を超えた場合には、ピストンが所定のストローク領域内にある場合と比較して減衰要素を通過する液体の流量が多くなって緩衝器の発生する減衰力が大きくなる。このように、緩衝器の中には、シリンダ内のピストン位置に応じて発生する減衰力の大きさが変わる位置依存の減衰力特性をもつものがある。
例えば、特開昭61−179435号公報に記載の緩衝器では、シリンダの内周に軸方向に沿って形成された溝によりバイパス路を形成したり、シリンダに軸方向に所定の間隔をあけて形成された一対の孔と、これらの孔に連通するシリンダとその外周に設けられた外筒との間の隙間又はシリンダ外に設けられたパイプとを利用してバイパス路を形成したりしている。
この例のように、バイパス路を形成するためシリンダに溝又は孔を形成する等、緩衝器本体の内部に及ぶ加工を要する場合には、既存の緩衝器に後から位置依存の減衰力特性をもたせるのが極めて難しい。そこで、本発明は、そのような問題を解決するために創案されたものであり、位置依存の減衰力特性を後からでも追加しやすくできる緩衝器の提供を目的とする。
上記課題を解決する緩衝器は、リザーバタンク内に液室を区画するフリーピストンと、フリーピストンを液室側へ附勢する附勢要素と、緩衝器本体のシリンダ内から液室へ向かう液体の流れに抵抗を与える減衰要素を迂回するバイパス路と、フリーピストンと連動してバイパス路を開閉する開閉弁とを備える。
上記構成によれば、緩衝器が位置依存の減衰力特性をもち、発生する圧側の減衰力を緩衝器本体におけるシリンダ内のピストン位置に応じて変えられる。さらに、緩衝器本体の内部に手を加えずに緩衝器に位置依存の減衰力特性を付加できる。このため、緩衝器に位置依存の減衰力特性をもたせる場合、既存の緩衝器の緩衝器本体をそのまま利用できるので、位置依存の減衰力特性を後からでも追加し易くできる。
また、上記緩衝器では、フリーピストンが前記液室を拡大する方向へ所定以上移動した場合に開閉弁が前記バイパス路を閉じるように設定されているとよい。当該構成によれば、緩衝器の収縮量が多くなった場合にバイパス路を閉じて発生する圧側の減衰力を大きくできるので、緩衝器の最収縮時の衝撃を小さくできる。
また、上記緩衝器では、開閉弁がスリーブと、このスリーブ内に摺動自在に挿入されるスプールとを有し、スリーブがフリーピストンに連結され、スプールがリザーバタンクに対して位置決めされるとよい。当該構成によれば、フリーピストンと連動してバイパス路を開閉する開閉弁の構成を簡易にできる。
また、上記緩衝器がリザーバタンクに対するスプールの軸方向位置を調節するアジャスタを備えているとよい。当該構成によれば、開閉弁でバイパス路を開閉するタイミングを変更できる。
また、上記緩衝器がリザーバタンクと縦並びに配置されるサブシリンダと、スリーブ外へと突出するスプールの一端に設けられてサブシリンダ内を摺動するサブピストン部と、サブピストン部との間に液体の充填された温度補償室を区画してアジャスタで駆動されるサブフリーピストンとを備えるとよい。
上記構成によれば、緩衝器内の液体の温度変化によってフリーピストンの位置が変化したとしても、これに合わせてスプールの位置も自然と変化するので、液温変化に伴い開閉弁でバイパス路を開閉するタイミングがずれるのを抑制できる。
上記緩衝器がサブシリンダの外周に隙間をあけて設けられ、先端がサブシリンダの先端よりも突出した位置にある筒状のケースと、このケースの先端を塞ぐキャップとを備え、そのキャップにサブフリーピストンが摺動自在に挿入される中央凹部と、この中央凹部の開口縁に形成されてサブシリンダの先端が当接する環状の支承部と、この支承部の周囲に上記隙間に通じる空隙を形成する外周凹部と、上記空隙とケース外を連通するエア抜き通路が形成されるとともに、アジャスタとエア抜き通路を塞ぐ栓部材とが装着されるとよい。
上記構成によれば、緩衝器を液中組立するための大掛かりな装置を使用せずに、温度補償室内に液体を充填してエアが残留するのを防止できる。
本発明の緩衝器によれば、位置依存の減衰力特性を後からでも追加しやすくできる。
以下に本発明の実施の形態の緩衝器について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品を示す。
図1に示す本発明の一実施の形態に係る緩衝器Dは、鞍乗型車両の車体と後輪との間に介装される。鞍乗型車両とは、鞍に跨るような姿勢で乗車するタイプの車両全般のことであり、鞍乗型車両にはオートバイ、スクータ、バギー、スノーモービル等が含まれる。
なお、本発明に係る緩衝器の取付対象は、鞍乗型車両に限らず適宜変更できる。例えば、車室を備えた車両に本発明に係る緩衝器を利用してもよい。また、車種によっては車体と前輪との間等、車体と後輪との間以外に本発明に係る緩衝器を取り付けてもよい。さらには、構造物等の車両以外に本発明に係る緩衝器を利用してもよい。
つづいて、本発明の一実施の形態に係る緩衝器Dの具体的な構造について説明する。図1に示すように、緩衝器Dは、シリンダ10と、このシリンダ10内に摺動自在に挿入されるピストン11と、先端がピストン11に連結されて末端がシリンダ10外へと突出するピストンロッド12とを有する緩衝器本体1と、この緩衝器本体1に接続されるリザーバタンク2とを備えている。
また、緩衝器本体1におけるシリンダ10と、そのシリンダ10外へ突出するピストンロッド12の末端には、それぞれブラケット13,14が取り付けられている。そして、ピストンロッド12がシリンダ10から下方へ突出した状態で、シリンダ10がブラケット13を介して車体に連結され、ピストンロッド12がブラケット14を介して車軸に連結される。
このようにして緩衝器本体1は車体と車軸との間に介装される。そして、鞍乗型車両が凹凸のある路面を走行する等して後輪が上下に振動すると、ピストンロッド12がシリンダ10に出入りして緩衝器本体1が伸縮し、ピストン11がシリンダ10内を上下(軸方向)に移動する。このように緩衝器本体1が伸縮することを、緩衝器Dが伸縮するともいう。
なお、緩衝器本体1の取付方向は適宜変更できる。例えば、ピストンロッド12をシリンダ10の上方へ突出させた状態で緩衝器本体1を車体と車軸との間に介装してもよい。このように、取付状態での緩衝器本体1の向きは図示する限りではないが、説明の便宜上、図1に示す緩衝器本体1の上下を単に「上」「下」という。
緩衝器本体1において、ピストンロッド12が突出するシリンダ10の下端は環状のヘッド部材(図示せず)で塞がれている。また、その反対側のシリンダ10の上端はボトム部材(図示せず)で塞がれている。このようにしてシリンダ10内は密閉空間とされており、そのシリンダ10内がピストン11でピストンロッド12側の伸側室L1とピストン11側の圧側室L2とに区画されている。これら伸側室L1と圧側室L2には、それぞれ作動油等の液体が充填されている。
そして、ピストン11には、伸側室L1と圧側室L2とを連通する伸側通路P1と圧側通路P2が形成されている。伸側通路P1には伸側減衰要素V1が設けられている。この伸側減衰要素V1は、伸側通路P1を通過する液体の流れに抵抗を与える。その一方、圧側通路P2には圧側バルブV2が設けられている。この圧側バルブV2は、緩衝器Dの収縮時に圧側通路P2を開き、その圧側通路P2を圧側室L2から伸側室L1へ向かう液体の流れを許容するが、緩衝器Dの伸長時には圧側通路P2を閉塞した状態に維持される。
伸側減衰要素V1としては、双方向流れを許容するオリフィス又はチョーク、一方向流れのみを許容するリーフバルブ又はポペットバルブ等のバルブ、或いは、これらの組合せ等を利用できる。また、本実施の形態では、圧側バルブV2がチェックバルブであるが、圧側室L2から伸側室L1へ向かう液体の流れに抵抗を与える減衰バルブであってもよい。
つづいて、リザーバタンク2は、車体に取り付けられる。そのリザーバタンク2内には、フリーピストン3が摺動自在に挿入されており、リザーバタンク2内がそのフリーピストン3で液室L3とガス室Gとに仕切られている。液室L3には、シリンダ10内の液体と同じ液体が充填されるとともに、ガス室Gには、エア又は窒素ガス等の気体が圧縮された状態で封入されている。
このため、フリーピストン3は、ガス室Gの圧力によって液室L3を縮小する方向へ常に附勢されている。換言すると、ガス室Gは、フリーピストン3を液室L3側へ附勢する附勢要素として機能して、フリーピストン3を介して液室L3を加圧する。以下の説明では、フリーピストン3がガス室Gの圧力に抗して液室L3を拡大する方向へ移動することを前進、ガス室Gの圧力を受けて液室L3を縮小する方向へ移動することを後退とする。
なお、附勢要素の構成は、ガス室Gに限らず適宜変更できる。例えば、附勢要素は、コイルばね等のばね、ゴム等の弾性部材、又はこれらの組み合わせであってもよい。このような附勢要素によってフリーピストン3を介して加圧される液室L3は、吸込通路P3、排出通路P4、及びバイパス路Bによりシリンダ10内の圧側室L2と接続される。
吸込通路P3には、吸込バルブV3が設けられている。この吸込バルブV3は、チェックバルブであり、緩衝器Dの伸長時に吸込通路P3を開き、その吸込通路P3を液室L3から圧側室L2へ向かう液体の流れを許容するが、緩衝器Dの収縮時には吸込通路P3を閉塞した状態に維持される。また、排出通路P4には、圧側減衰要素V4が設けられている。この圧側減衰要素V4は、調節式であり、排出通路P4を通過する液体の流れに抵抗を与えるとともに、その抵抗を大小調節できるようになっている。
このような圧側減衰要素V4としては、双方向流れを許容するオリフィス又はチョーク、一方向流れのみを許容するリーフバルブ又はポペットバルブ等のバルブ、或いは、これらの組合せ等を利用できる。そして、例えば、オリフィス又はチョークの開口面積、或いは、バルブを閉じ方向へ附勢するばねのイニシャル荷重の変更等により、液体の流れに付与する抵抗を大小調節できる。なお、圧側減衰要素V4は、必ずしも調節式でなくてもよい。
つづいて、バイパス路Bには、開閉弁Vが設けられている。この開閉弁Vは、フリーピストン3と連動してバイパス路Bを開閉する。より具体的には、緩衝器Dの最伸長時におけるフリーピストン3の位置を基準位置としたとき、開閉弁Vは、フリーピストン3の基準位置から液室L3を拡大する方向への前進量(以下、単に「移動量」という)が所定以上となるとバイパス路Bを閉じるように設定されている。
上記構成によれば、ピストンロッド12がシリンダ10から退出し、ピストン11がシリンダ10内を下方へ移動して伸側室L1を圧縮する緩衝器Dの伸長時には、伸側室L1の液体が伸側通路P1を通って圧側室L2へと移動する。さらに、緩衝器Dの伸長時には、吸込バルブV3が開き、シリンダ10から退出したピストンロッド12体積分の液体が吸込通路P3を通って液室L3から圧側室L2へと供給される。
このような緩衝器Dの伸長時において、伸側通路P1を伸側室L1から圧側室L2へと向かう液体の流れに対しては、伸側減衰要素V1により抵抗が付与される。このため、緩衝器Dの伸長時には伸側減衰要素V1の抵抗に起因する伸側の減衰力が発生し、その伸側の減衰力によって緩衝器Dの伸長作動が抑制される。
さらに、緩衝器Dの伸長時には、液体が液室L3から圧側室L2へと移動して液室L3内の液体が減少する。すると、フリーピストン3がガス室Gの圧力を受けて液室L3側へ後退し、液室L3の容積を縮小させる。このように、緩衝器Dの伸長時には、シリンダ10から退出するピストンロッド12の体積分がリザーバタンク2で補償される。
反対に、ピストンロッド12がシリンダ10内へと侵入し、ピストン11がシリンダ10内を上方へ移動して圧側室L2を圧縮する緩衝器Dの収縮時には、圧側バルブV2が開き、圧側室L2の液体が圧側通路P2を通って伸側室L1へと移動する。さらに、緩衝器Dの収縮時には、シリンダ10内へ侵入したピストンロッド12体積分の液体が排出通路P4を通って圧側室L2から液室L3へと排出される。
このような緩衝器Dの収縮時において、排出通路P4を圧側室L2から液室L3へと向かう液体の流れに対しては、圧側減衰要素V4により抵抗が付与される。このため、緩衝器Dの収縮時には圧側減衰要素V4の抵抗に起因する圧側の減衰力が発生し、その圧側の減衰力によって緩衝器Dの収縮作動が抑制される。
そして、排出通路P4を通過する液体の流れに付与される抵抗が大きくなるように圧側減衰要素V4を調節すれば、緩衝器Dの発生する圧側の減衰力が大きくなる。逆に、排出通路P4を通過する液体の流れに付与される抵抗が小さくなるように圧側減衰要素V4を調節すれば、緩衝器Dの発生する圧側の減衰力が小さくなる。
さらに、緩衝器Dの収縮時には、液体が圧側室L2から液室L3へと移動して液室L3内の液体が増加する。すると、フリーピストン3がガス室Gの圧力に抗してガス室G側へ前進し、液室L3の容積を拡大させる。このように、緩衝器Dの収縮時には、シリンダ10内へ侵入するピストンロッド12の体積分がリザーバタンク2で補償される。
そして、最伸長状態から収縮する緩衝器Dの収縮量が所定よりも少なく、フリーピストン3の移動量が所定未満となる所定のストローク領域H内にピストン11がある場合には、開閉弁Vがバイパス路Bを開いている。このため、緩衝器Dの収縮行程で所定のストローク領域H内にピストン11がある場合には、圧側室L2から液室L3へと向かう液体の一部が圧側減衰要素V4を迂回してバイパス路Bを通る。
その一方、最伸長状態から収縮する緩衝器Dの収縮量が所定よりも多くなり、ピストン11が所定のストローク領域Hから脱して上側(圧側のストロークエンド側)へと移動すると、フリーピストン3の移動量が所定以上となって開閉弁Vがバイパス路Bを閉じる。このため、所定のストローク領域H外にピストン11がある場合には、圧側室L2から液室L3へ向かう液体がバイパス路Bを通過できず、圧側減衰要素V4を迂回できなくなる。
このため、緩衝器Dの収縮時にピストン11が所定のストローク領域Hを超えて圧側のストロークエンド側へと移動した場合には、ピストン11が所定のストローク領域H内にある場合と比較して圧側減衰要素V4を通過する液体の流量が多くなり、発生する圧側の減衰力が大きくなる。
さらに、本実施の形態では、ピストン11が圧側のストロークエンド付近に移動したときに開閉弁Vでバイパス路Bを閉じて、大きな圧側の減衰力が発生するようになっている。このため、その大きな圧側の減衰力で緩衝器Dの収縮速度を確実に減速させてから緩衝器Dを最収縮させられるので、緩衝器Dの最収縮時の衝撃を小さくできる。
つづいて、本実施の形態では、リザーバタンク2、吸込バルブV3、圧側減衰要素V4、及び開閉弁Vがユニット化されてリザーバタンクユニットUが構成されている。そして、そのリザーバタンクユニットUがホース4で緩衝器本体1と接続されており、緩衝器本体1とリザーバタンク2との間を行き来する液体がそのホース4を通過する。
図2には、本実施の形態のリザーバタンクユニットUの具体的な構造を示している。リザーバタンクユニットUの取付方向も図示する限りではなく、適宜変更できるが、説明の便宜上、図2に示すリザーバタンクユニットUの上下を単に「上」「下」という。
本実施の形態において、リザーバタンクユニットUにおけるリザーバタンク2は、内部にフリーピストン3が摺動自在に挿入されるリザーバシリンダ20と、このリザーバシリンダ20の下端を塞ぐリザーバキャップ21と、リザーバシリンダ20の上端を塞ぐ環状のジョイント部材22とを有している。そして、リザーバシリンダ20内におけるフリーピストン3から見て下側にガス室Gが形成され、上側に液室L3が形成されている。
また、ジョイント部材22の側方には、ホース4の接続口22aが形成されるとともに、その反対側に吸込バルブV3と圧側減衰要素V4を収容するバルブハウジング23が取り付けられている。図2に示す圧側減衰要素V4は、積層リーフバルブを有して構成されている。その一方、吸込バルブV3は、積層リーフバルブの外周部に離着座する環状のディスクバルブと、このディスクバルブを積層リーフバルブ側へ附勢するばねとを有して構成されている。しかし、圧側減衰要素V4及び吸込バルブV3の構成はこの限りではなく、適宜変更できる。
また、ジョイント部材22の上端外周には、筒状のケース50が螺合されており、そのケース50の上端がキャップ51で塞がれている。さらに、そのケース50の内側に位置するジョイント部材22の上部には、上方へ開口する凹部22bが形成されており、その凹部22bに環状のホルダ6が嵌合されている。そして、このホルダ6とキャップ51との間にサブシリンダ5が介装されている。
このように、サブシリンダ5とケース50は内外二重に配置されており、これらサブシリンダ5及びケース50とリザーバシリンダ20とがジョイント部材22を挟んで縦並びに配置されている。縦並びとは、複数の部材が互いの軸方向の延長上に配置される並び方をいい、上記構成によれば、内外二重に配置されるサブシリンダ5とケース50とが、リザーバタンク2とそれぞれ縦並びに配置されているともいえる。
また、ケース50の上端を塞ぐキャップ51には、下方へ開口する中央凹部51aが形成されており、その中央凹部51aの開口縁にサブシリンダ5の上端が当接する環状の支承部51bが形成されている。換言すると、サブシリンダ5の上端が中央凹部51a内に開口するようになっている。
その中央凹部51a内には、サブフリーピストン7が摺動自在に挿入されている。そして、このサブフリーピストン7にはキャップ51に螺合されたアジャスタボルト52の先端が当接しており、このアジャスタボルト52によって中央凹部51a内でのサブフリーピストン7の軸方向位置を調節できるようになっている。
また、本実施の形態の開閉弁Vは、筒状のスリーブ8と、このスリーブ8内に摺動自在に挿入されるスプール9とを有して構成されるスプールバルブであり、ジョイント部材22とホルダ6の中心部を軸方向へ貫通し、リザーバシリンダ20の内側からサブシリンダ5の内側にかけて設けられている。
より具体的には、スリーブ8は、ジョイント部材22及びホルダ6の内側に軸方向へ移動自在に挿通されるとともに下端がフリーピストン3に連結されてこのフリーピストン3とともにリザーバタンク2内を上下(軸方向)に動く。そして、スリーブ8の上端がサブシリンダ5内に開口しており、スリーブ8内はサブシリンダ5内と連通されている。
また、スリーブ8において液室L3内に挿入される部分には、上下(軸方向)に所定の間隔をあけてスリーブ8の肉厚を径方向へ貫通する第一、第二の横孔8a,8bが形成されている。そして、上側(ジョイント部材22側)に位置する第一の横孔8aがスプール9で開閉される。その一方、下側(フリーピストン3側)に位置する第二の横孔8bは、開放された状態に維持される。
また、スプール9は、スリーブ8内を摺動して第一の横孔8aを開閉する弁体部9aと、外径がこの弁体部9aの外径よりも小さく、下端が弁体部9aに連結されるとともに上端がスリーブ8から上方へ突出する軸部9bと、この軸部9bの上端に連結されてサブシリンダ5内を摺動するサブピストン部9cとを含む。
そして、そのサブピストン部9cによってサブシリンダ5内がスリーブ8側の中間室L4と、キャップ51側の温度補償室L5とに仕切られており、これら中間室L4と温度補償室L5にはそれぞれ液体が充填されている。前述のように、サブシリンダ5の上端はキャップ51の中央凹部51a内に開口し、その中央凹部51a内にはサブフリーピストン7が摺動自在に挿入されている。
このため、図2に示すようにサブフリーピストン7が中央凹部51aの下端(開口端)より上側(奥)に位置する場合、温度補償室L5がその中央凹部51a内におけるサブフリーピストン7の下端位置まで延びる。換言すると、温度補償室L5は、キャップ51とサブシリンダ5とで囲われる空間の、サブピストン部9cとサブフリーピストン7との間に形成される。
また、スリーブ8内は、スプール9の弁体部9aによって上下に仕切られており、スリーブ8の内側であってその弁体部9aの下側にできる空間は、前述の第二の横孔8bを介して液室L3と常に連通されている。これにより、スリーブ8内でのスプール9の摺動動作が保障されるとともに、ガス室Gにより加圧される液室L3内の圧力がスプール9を押し上げる方向へ作用する。
このため、アジャスタボルト52を回転操作してサブフリーピストン7の軸方向位置を上下にずらすと、サブフリーピストン7とスプール9との距離が温度補償室L5によって保たれたまま、リザーバタンク2に対するスプール9の位置が上下に変化する。そして、アジャスタボルト52の回転操作を停止すると、スプール9がその位置で止まる。
このように、本実施の形態では、リザーバタンク2に対するスプール9の位置をアジャスタボルト52で任意の位置へ移動させるとともに、その任意の位置でスプール9を位置決めできる。なお、リザーバタンク2に対するスプール9の位置を調節するためのアジャスタの構成は、アジャスタボルト52に限らず適宜変更できる。
つづいて、スリーブ8の内側であって弁体部9aの上側の軸部9bの外周にできる筒状の隙間はサブシリンダ5内の中間室L4に連通されている。そして、図2に示すように、第一の横孔8aと軸部9bとが対向し、第一の横孔8aが開放された状態では、液室L3と中間室L4とがスリーブ8と軸部9bとの間の筒状の隙間を介して連通される。
しかし、図2に示す状態からフリーピストン3が前進してスリーブ8が下降することにより第一の横孔8aと弁体部9aとが対向し、第一の横孔8aが閉塞された状態では、スリーブ8と軸部9bとの間の隙間を介した液室L3と中間室L4との連通が遮断される。
さらに、本実施の形態では、弁体部9aがスリーブ8の内周に摺接する開閉部9dと、この開閉部9dの上側に連なり、外径が開閉部9dの外径よりも小さく軸部9bの外径よりも大きい絞り部9eとを含む。このため、開閉部9dが第一の横孔8aに対向して第一の横孔8aを閉じ切るより前に、絞り部9eが第一の横孔8aに対向し、第一の横孔8aを通過する液体の流れを絞るようになっている。
なお、弁体部9aの構成は上記の限りではなく、適宜変更できる。例えば、絞り部9eの外周形状を開閉部9dに接近するに従って拡径するようにテーパ形状にしてもよく、絞り部9eを廃するとしてもよい。
つづいて、中間室L4は、ホルダ6の内周に周方向に沿って形成される環状溝(符示せず)によりホルダ6とスリーブ8との間に形成された内周側環状隙間60と連通されている。さらに、ホルダ6とジョイント部材22との間には、ホルダ6の外周に周方向に沿うように外周側環状隙間61が形成されるとともに、ホルダ6には内周側環状隙間60と外周側環状隙間61とを連通する通孔6aが形成されている。
また、ジョイント部材22には、外周側環状隙間61とホース4の接続口22aとをつなぐ第一の連通路22cと、バルブハウジング23の通路23aと協働して外周側環状隙間61と吸込バルブV3及び圧側減衰要素V4とをつなぐ第二の連通路22dと、バルブハウジング23の通路23bと協働して吸込バルブV3及び圧側減衰要素V4と液室L3とをつなぐ第三の連通路22eとが形成されている。
さらに、ホルダ6には、複数のシールリング(符示せず)が装着されており、中間室L4、外周側環状隙間61、又は第一、第二の連通路22c,22dの液体がケース50とサブシリンダ5との間(後述の補助室L6)へ漏れ出たり、液体が第二、第三の連通路22d,22eを通らずに内周側環状隙間60と液室L3との間を行き来したりするのを防いでいる。
このため、緩衝器Dの収縮時にシリンダ10外へと流出した液体は、ホース4を通って接続口22aから第一の連通路22cへと流入し、外周側環状隙間61、第二の連通路22d、圧側減衰要素V4、及び第三の連通路22eをこの順に通って液室L3へと移動する。
また、図2に示すように、第一の横孔8aが開放されている場合には、第一の連通路22c内へ流入した液体の一部が外周側環状隙間61、通孔6a、内周側環状隙間60、中間室L4、スリーブ8とスプール9の軸部9bとの間の筒状の隙間、第一の横孔8aをこの順に通って液室L3へと移動する。
そして、前述のように緩衝器Dの収縮時に液体がシリンダ10内から液室L3へと移動してその液室L3内の液体が増え、フリーピストン3がガス室Gの圧力に抗して下向きに移動(前進)すると、このフリーピストン3とともにスリーブ8が下降してスプール9がスリーブ8から退出する。
このようにスプール9がスリーブ8から退出すると、スリーブ8内での弁体部9aの相対的な位置が高くなる。そして、その弁体部9aの開閉部9dによって第一の横孔8aが塞がれると、スリーブ8内を介したシリンダ10内と液室L3との連通が遮断されて圧側減衰要素V4を通過する液体の流量が増える。
このことから分かるように、本実施の形態のリザーバタンクユニットUでは、ホルダ6の通孔6a、内周側環状隙間60、中間室L4、スリーブ8とスプール9の軸部9bとの間の筒状の隙間、及び第一の横孔8aを有してバイパス路Bが構成されている。
そして、ピストン11が所定のストローク領域H内にある場合には、フリーピストン3の移動量が所定未満となって開閉弁Vがバイパス路Bを開いている。しかし、ピストン11が所定のストローク領域Hを超えて上側(圧側室L2側)へ移動した場合には、フリーピストン3の下側への移動量が所定以上となって開閉弁Vがバイパス路Bを閉じる。
このため、緩衝器Dの収縮量が多くなってピストン11が所定のストローク領域Hを超えると、ピストン11が所定のストローク領域H内にある場合と比較して、圧側減衰要素V4を通過する液体の流量が多くなり、緩衝器Dの発生する圧側の減衰力が大きくなる。
また、本実施の形態では、スプール9の弁体部9aが開閉部9dと絞り部9eとを含み、開閉部9dによって第一の横孔8aが完全に塞がれるよりも前に絞り部9eが第一の横孔8aと対向して、この第一の横孔8aを通過する液体の流れが絞られる。このため、バイパス路Bの閉塞を境にした圧側の減衰力の急変が抑制される。
さらに、本実施の形態では、アジャスタボルト52でリザーバタンク2に対するスプール9の位置を変更できる。そして、このスプール9の位置の変更を変更すれば、バイパス路Bを閉塞するタイミングを変えられる。
具体的には、アジャスタボルト52を捻じ込んでリザーバタンク2に対するスプール9の位置を下げると、フリーピストン3が初期位置にある場合のスリーブ8内での弁体部9aの位置が下がって弁体部9aが第一の横孔8aから離れる。これにより、バイパス路Bを閉じるのに要するフリーピストン3の移動量が多くなり、緩衝器Dの収縮行程でのバイパス路Bを閉じるタイミングが遅くなる。つまり、スプール9位置を下げる前後を比較すると、スプール9位置を下げた後の方がピストン11の位置が圧側のストロークエンドに近い位置でバイパス路Bを閉じられる。
反対に、アジャスタボルト52を回し抜いてリザーバタンク2に対するスプール9の位置を上げると、フリーピストン3が初期位置にある場合のスリーブ8内での弁体部9aの位置が上がって弁体部9aが第一の横孔8aに接近する。これにより、バイパス路Bを閉じるのに要するフリーピストン3の移動量が少なくなり、緩衝器Dの収縮行程でのバイパス路Bを閉じるタイミングが早くなる。つまり、スプール9位置を上げる前後を比較すると、スプール9位置を上げた後の方がピストン11の位置が圧側のストロークエンドから離れた位置でバイパス路Bを閉じられる。
また、本実施の形態では、スプール9との間に液体の充填された温度補償室L5を形成するサブフリーピストン7をアジャスタボルト52で駆動するようになっている。このため、緩衝器D内の液温が上昇して液室L3内の液体の体積が増え、フリーピストン3の位置が下がった場合には、液温の上昇により温度補償室L5内の液体の体積も増えてスプール9の位置も下がる。反対に、緩衝器D内の液温が低下して液室L3内の液体の体積が減少し、フリーピストン3の位置が上がった場合には、液温の低下により温度補償室L5内の液体の体積も減ってスプール9の位置も上がる。
このように、本実施の形態では、液温変化が生じてもフリーピストン3とスプール9との相対的な位置関係の変化(以下、単に「相対変化」という)が抑制される。前述のように、スリーブ8はフリーピストン3とともに動くので、液温変化に起因するスリーブ8とスプール9との相対関係の変化が抑制されるともいえる。このため、例えば、冷温環境下で静止していた緩衝器Dが作動を開始して液温が高温になる場合等、液温変化が大きい場合であってもバイパス路Bを閉塞するタイミングが略一定になる。
つまり、内部に温度補償室L5が形成されるサブシリンダ5の内径は、液温変化が生じたときにフリーピストン3とスプール9の移動量がなるべく等しくなるよう、使用する液体の種類及び量、並びに、フリーピストン3の径等を考慮して決定されている。
また、本実施の形態のでは、リザーバタンク2と縦並びに配置されるサブシリンダ5の外周に筒状のケース50が設けられていて、これらの間にできる筒状の隙間を温度補償室L5に液体を充填するための補助室L6として利用できるようになっている。
より詳しくは、ケース50の上端を塞ぐキャップ51には、前述のように中央凹部51aが形成されてその内部にサブフリーピストン7が挿入されるとともに、中央凹部51aの開口縁にサブシリンダ5の上端が当接する支承部51bが形成されている。そして、アジャスタボルト52は、サブフリーピストン7を中央凹部51aの開口端まで押し下げられるようになっている。
さらに、キャップ51には、補助室L6に通じる空隙Sを支承部51bの外周に周方向に沿って形成する外周凹部51cと、この外周凹部51cによってできる環状の空隙Sとケース50外とを連通するエア抜き通路51dが形成されており、そのエア抜き通路51dを栓部材53で閉塞できるようになっている。
また、ケース50の上端は、サブシリンダ5の上端よりも高い位置にある。このように、ケース50において反リザーバタンク側の端となるケース50の先端は、サブシリンダ5において反リザーバタンク側の端となるサブシリンダ5の先端から突出してリザーバタンク2から離れた位置にある。
そして、サブシリンダ5内に挿入されたスプール9の上側に液体を充填して温度補償室L5を形成する場合、先ず、図3(a)に示すように、キャップ51をケース50から取り外し、スプール9の位置を最も下げておく。そして、液面がサブシリンダ5の上端を超えるまで液体を注ぐ。次に、図3(b)に示すように、栓部材53が取り外されて、サブフリーピストン7を中央凹部51aの開口端まで下げた状態にしたキャップ51をケース50に捻じ込んでゆく。
このとき、中央凹部51aの開口がサブフリーピストン7で塞がれており、中央凹部51a内にエアが入らないようになっている。そして、液中に侵入する支承部51bとサブフリーピストン7によって押しのけられた液体は、外周凹部51cによって支承部51bの外周にできる空隙Sへ逃げ、エア抜き通路51dからケース50外へと溢れ出る。このとき、ケース50内のエアが液体とともにケース外へと排出される。そして、キャップ51を締め終った後に栓部材53でエア抜き通路51dを塞ぐと、温度補償室L5に液体が充填された状態で温度補償室L5が密閉される。
このように、本実施の形態では、ケース50内の液中でサブシリンダ5の先端とキャップ51の支承部51bとを接合し、温度補償室L5を密閉している。これにより、緩衝器D全体を液中組立するための大掛かりな装置を使用しなくても、温度補償室L5内にエアが残留するのを防止しつつ温度補償室L5を密閉できる。
以下に、本実施の形態の緩衝器Dの作用効果について説明する。
本実施の形態に係る緩衝器Dは、シリンダ10と、このシリンダ10内に摺動自在に挿入されるピストン11と、一端がピストン11に連結されて他端がシリンダ10外へと突出するピストンロッド12とを有する緩衝器本体1と、リザーバタンク2と、このリザーバタンク2内に摺動自在に挿入されてリザーバタンク2内に液室L3を区画するフリーピストン3と、このフリーピストン3を液室L3側へ附勢するガス室(附勢要素)Gとを備える。
さらに、本実施の形態に係る緩衝器Dは、シリンダ10内から液室L3へ向かう液体の流れに抵抗を与える圧側減衰要素(減衰要素)V4と、この圧側減衰要素V4を迂回してシリンダ10内と液室L3とを連通するバイパス路Bと、フリーピストン3と連動してそのバイパス路Bを開閉する開閉弁Vとを備える。
上記構成によれば、緩衝器Dの収縮時にシリンダ10に侵入したピストンロッド12体積分の液体がシリンダ10内から液室L3へと移動するとともに、その液体の流れに対して圧側減衰要素(減衰要素)V4で抵抗を与えて、その抵抗に起因する圧側の減衰力が発生する。また、この緩衝器Dの収縮時に液体がシリンダ10内からリザーバタンク2へと移動すると、フリーピストン3がリザーバタンク2内を前進して液室L3を拡大する。
このように、緩衝器Dの収縮時には、シリンダ10内をピストン11が移動するとともに、フリーピストン3がリザーバタンク2内を移動する。そして、開閉弁Vは、そのフリーピストン3に連動してバイパス路Bを開閉するので、ピストン11位置に応じてバイパス路Bを開閉するといえる。
また、そのバイパス路Bは、圧側減衰要素V4の迂回路であるので、開閉弁Vがバイパス路Bを開放する所定のストローク領域H内にピストン11がある場合には、シリンダ10内から液室L3へと向かう液体の一部が圧側減衰要素(減衰要素)V4を迂回してバイパス路Bを通過できる。これに対し、ピストン11が所定のストローク領域Hを超えるとバイパス路Bが開閉弁Vで遮断され、圧側減衰要素V4を通過する液体の流量が増えるので、発生する圧側の減衰力が大きくなる。
このように、上記構成によれば、緩衝器Dが位置依存の減衰力特性をもち、発生する圧側の減衰力をシリンダ10内のピストン11位置に応じて変えられる。 さらに、位置依存の減衰力特性を付与するためのバイパス路Bがシリンダ10内と液室L3とを連通し、そのバイパス路Bをフリーピストン3に連動する開閉弁Vで開閉している。
このため、緩衝器本体1の内部に手を加えずに緩衝器Dに位置依存の減衰力特性を付加できる。よって、上記構成によれば、緩衝器に位置依存の減衰力特性をもたせる場合、既存の緩衝器の緩衝器本体をそのまま利用できるので、位置依存の減衰力特性を後からでも追加しやすくできる。
さらに、本実施の形態では、フリーピストン3及びガス室(附勢要素)Gを内部に収容するリザーバタンク2と、圧側減衰要素V4と、開閉弁Vとを有してリザーバタンクユニットUが構成されていて、このリザーバタンクユニットUと緩衝器本体1とがホース4で接続されている。そして、リザーバタンク2と緩衝器本体1の間を行き来する液体がそのホース4を通過するようになっている。
このため、位置依存の減衰力特性をもたず、ホースで緩衝器本体に接続されるリザーバタンクを備えた既存の緩衝器に位置依存の減衰力特性をもたせる場合には、その既存の緩衝器のリザーバタンクをリザーバタンクユニットUに交換するだけでよい。よって、位置依存の減衰力特性を緩衝器に追加するのが一層容易である。しかし、リザーバタンクユニットUと緩衝器本体1との接続方法はホース4に限らず適宜変更できる。例えば、ブラケット又はパイプ等を利用してもよい。
また、本実施の形態の開閉弁Vは、フリーピストン3が液室L3を拡大する方向へ所定以上前進(移動)した場合にバイパス路Bを閉じるようになっている。このため、緩衝器Dの収縮量が多くなった場合にバイパス路Bを閉じて緩衝器Dの発生する圧側の減衰力を大きくできるので、緩衝器Dの最収縮時の衝撃を小さくできる。
さらに、本実施の形態の開閉弁Vは、スリーブ8と、このスリーブ8内に摺動自在に挿入されるスプール9とを有している。そして、スリーブ8がフリーピストン3に連結される。その一方、スプール9は、リザーバタンク2に対して位置決めされる。当該構成によれば、フリーピストン3と連動してバイパス路Bを開閉する開閉弁Vの構成を簡易にできる。
また、本実施の形態の緩衝器Dは、リザーバタンク2に対するスプール9の軸方向位置を調節するアジャスタボルト(アジャスタ)52を備えている。このため、開閉弁Vでバイパス路Bを開閉するタイミング(ピストン位置)を変更できる。
さらに、本実施の形態の緩衝器Dは、リザーバタンク2と縦並びに配置されるサブシリンダ5と、スリーブ8外へと突出するスプール9の一端に設けられてサブシリンダ5内を摺動するサブピストン部9cと、このサブピストン部9cとの間に液体の充填された温度補償室L5を区画し、アジャスタボルト(アジャスタ)52で駆動されるサブフリーピストン7とを備える。
上記構成によれば、液温上昇により液室L3内の液体の体積が増えてフリーピストン3の位置が下降した場合には、温度補償室L5内の液体の体積も増えてスプール9の位置も下降する。反対に、液温低下により液室L3内の液体の体積が減ってフリーピストン3の位置が上昇した場合には、温度補償室L5内の液体の体積も減ってスプール9の位置も上昇する。
このように、上記構成によれば緩衝器D内の液体の温度変化によってフリーピストン3の位置が変化したとしても、これに合わせてスプール9の位置も自然と変化するので、液温変化に伴い開閉弁Vでバイパス路Bを開閉するタイミングがずれるのを抑制できる。
特に、本実施の形態の緩衝器Dのように、シリンダ10に出入りするピストンロッド12体積に応じて動くフリーピストン3に連動して開閉弁Vがバイパス路Bを開閉する場合、フリーピストン3の移動量に対するピストン11の移動量が大きい。このため、温度変化に伴うフリーピストン3の変位がそのままスリーブ8とスプール9との相対変位となった場合、温度変化によってバイパス路Bを開閉するタイミング(ピストン位置)が大きくずれてしまう可能性がある。よって、フリーピストン3に連動して開閉弁Vがバイパス路Bを開閉する場合には、温度補償室L5を設けるのが特に有効である。
また、本実施の形態の緩衝器Dは、サブシリンダ5の外周に隙間をあけて設けられ、先端がサブシリンダ5の先端よりも突出した位置にある筒状のケース50と、このケース50の先端を塞ぐキャップ51とを備えている。そして、ケース50とサブシリンダ5との間の隙間が補助室L6となっている。
さらに、そのキャップ51には、内部にサブフリーピストン7が摺動自在に挿入される中央凹部51aと、この中央凹部51aの開口縁に形成されてサブシリンダ5の先端が当接する環状の支承部51bと、この支承部51bの周囲に補助室(隙間)L6に通じる空隙Sを形成する外周凹部51cと、空隙Sとケース50外を連通するエア抜き通路51dが形成されるとともに、アジャスタボルト(アジャスタ)52と、エア抜き通路51dを塞ぐ栓部材53が装着される。
上記構成によれば、サブフリーピストン7を中央凹部51aの開口端まで下げて中央凹部51a内へのエアの侵入を防ぎつつ、液中でサブシリンダ5の先端とキャップ51の支承部51bとを接合し、温度補償室L5を密閉できる。このため、ケース50内での液中組立が可能になるので、緩衝器D全体を液中組立するための大掛かりな装置を使用せずに温度補償室L5内に液体を充填してエアが残留するのを防止できる。
なお、外周凹部51cの形状は適宜変更できる。例えば、外周凹部51cは、キャップ51の外周端まで形成されているがこの限りではない。また、緩衝器Dの組立方法は上記の限りではなく、適宜変更できる。例えば、緩衝器を液中組立する場合には、ケース50を廃してもよく、この場合には緩衝器Dを小型化できる。さらには、温度補償室L5を廃し、アジャスタボルト52でスプール9を直接駆動してもよい。加えて、開閉弁Vのスプール9をフリーピストン3に連結するとともに、スリーブ8をリザーバタンク2に対して位置決めしてもよく、開閉弁Vの構成も適宜変更できる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、及び変更が可能である。
B・・・バイパス路、D・・・緩衝器、G・・・ガス室(附勢要素)、L3・・・液室、L5・・・温度補償室、L6・・・補助室(ケースとサブシリンダとの間の隙間)、S・・・空隙、V・・・開閉弁、V4・・・圧側減衰要素(減衰要素)、1・・・緩衝器本体、2・・・リザーバタンク、3・・・フリーピストン、5・・・サブシリンダ、7・・・サブフリーピストン、8・・・スリーブ、9・・・スプール、9c・・・サブピストン部、10・・・シリンダ、11・・・ピストン、12・・・ピストンロッド、50・・・ケース、51・・・キャップ、51a・・・中央凹部、51b・・・支承部、51c・・・外周凹部、51d・・・エア抜き通路、52・・・アジャスタボルト(アジャスタ)、53・・・栓部材
Claims (6)
- シリンダと、前記シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、一端が前記ピストンに連結されて他端が前記シリンダ外へと突出するピストンロッドとを有する緩衝器本体と、
リザーバタンクと、
前記リザーバタンク内に摺動自在に挿入されて前記リザーバタンク内に液室を区画するフリーピストンと、
前記フリーピストンを液室側へ附勢する附勢要素と、
前記シリンダ内から前記液室へ向かう液体の流れに抵抗を与える減衰要素と、
前記減衰要素を迂回して前記シリンダ内と前記液室とを連通するバイパス路と、
前記フリーピストンと連動して前記バイパス路を開閉する開閉弁とを備える
ことを特徴とする緩衝器。 - 前記開閉弁は、前記フリーピストンが前記液室を拡大する方向へ所定以上移動した場合に前記バイパス路を閉じる
ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。 - 前記開閉弁は、スリーブと、前記スリーブ内に摺動自在に挿入されるスプールとを有し、
前記スリーブは、前記フリーピストンに連結されており、
前記スプールは、前記リザーバタンクに対して位置決めされる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の緩衝器。 - 前記リザーバタンクに対する前記スプールの軸方向位置を調節するアジャスタを備えている
ことを特徴とする請求項3に記載の緩衝器。 - 前記リザーバタンクと縦並びに配置されるサブシリンダと、
前記スリーブ外へと突出する前記スプールの一端に設けられて前記サブシリンダ内を摺動するサブピストン部と、
前記サブピストン部との間に液体の充填された温度補償室を区画し、前記アジャスタで駆動されるサブフリーピストンとを備える
ことを特徴とする請求項4に記載の緩衝器。 - 前記サブシリンダの外周に隙間をあけて設けられ、先端が前記サブシリンダの先端よりも突出した位置にある筒状のケースと、
前記ケースの先端を塞ぐキャップとを備え、
前記キャップには、内部に前記サブフリーピストンが摺動自在に挿入される中央凹部と、前記中央凹部の開口縁に形成されて前記サブシリンダの先端が当接する環状の支承部と、前記支承部の周囲に前記隙間に通じる空隙を形成する外周凹部と、前記空隙と前記ケース外を連通するエア抜き通路が形成されるとともに、前記アジャスタと、前記エア抜き通路を塞ぐ栓部材が装着される
ことを特徴とする請求項5に記載の緩衝器。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2018137935A Pending JP2020016259A (ja) | 2018-07-23 | 2018-07-23 | 緩衝器 |
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2018
- 2018-07-23 JP JP2018137935A patent/JP2020016259A/ja active Pending
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