JP2006207069A - 絹不織布 - Google Patents
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Abstract
【課題】 不織布製造工程で使用されている設備を使用し、連続生産を継続する上で支障となる風綿が発生し難く、かつ、厚み斑や穴空きなどの製品不良が低減された、操業性および製品品質が共に安定な状態で連続生産可能な絹不織布を提供する。
【解決手段】 JIS L 1015に準じて測定される残留捲縮率が5〜20%、捲縮弾性率が50%以上、捲縮数8〜22個/25mmである絹原綿を含む絹不織布。
【解決手段】 JIS L 1015に準じて測定される残留捲縮率が5〜20%、捲縮弾性率が50%以上、捲縮数8〜22個/25mmである絹原綿を含む絹不織布。
Description
本発明は、絹不織布に関するものである。
絹製品は、その独特の風合いや特性から衣類のみならず様々な用途に広く用いられている。また、近年では、絹製品として、生糸製造工程で生じるくず糸やくずまゆなどを原料とした絹を含有する不織布も提案されている。
例えば、特許文献1には、絹含有不織布を安定生産する方法が開示されている。ここでは、絹原料に捲縮処理を施すことで、タンブラー乾燥などの乾燥処理時に生じる塊や綿の絡みが抑制できるため、不織布製造工程での開繊が円滑に行える旨記載されている。また、特許文献2には、絹短繊維からなるウェブとメッシュ状織物とを積層した絹不織布が開示されている。
特開2002‐20958号公報
特開2003‐105661号公報
ところで、絹繊維は、蚕の飼育状態や原糸の産地などにより固有の特徴を有する。したがって、特許文献1に記載されているような捲縮処理法(精錬処理後、上下攪拌しながらボイル温度で浸漬処理し、続く乾燥工程でタンブラー乾燥を使用した強制乾燥を行う)では、絹原綿の捲縮強力にバラツキが生じる。かかる捲縮強力のバラツキは、同一種の原糸を使用した場合にも同様に発生する。また、上記処理法では、元来絹繊維が有する天然のクリンプ程度の捲縮効果しか得られないため、近年の不織布製造工程で採用されている高速のカード工程において、捲縮が伸びて風綿が生じ、ウェブに不良(ウェブの厚み斑、ウェブ切れ・穴空きなど)が発生し易くなる。
尚、特許文献2では、クリンパー機台により施したクリンプに水溶性ポリマーを付与して捲縮状態を固定する旨記載されているが、かかるポリマー成分は、ウェブ形成後に除去する必要があり、生産工程を煩雑にする。また、絹以外の繊維層を含む場合もあり、かかる不織布では、絹本来の風合いが得られ難い傾向がある。
さらに、絹を原料とする不織布では、繊維に含まれるセリシン量が多いと絹の光沢感やしなやかさが得られ難く、また、用途によってはセリシンに由来する腐敗臭が問題となる場合もある。さらに、残留セリシン量の低減により、原料費が上昇するのは勿論のこと、繊度が小さくなるため、カード工程通過性が悪くなり、生産性低下に伴うコストの上昇も生じるといった問題もあった。
このように、絹不織布、特に絹含有量の多い不織布(例えば、絹100%の不織布など)の製造は困難であり、その供給については必ずしも十分とは言えず、絹不織布の製造・安定供給については更なる改善の余地があった。
本発明は、上述のような状況のもとなされたものであって、その目的は、従来の不織布製造工程で使用されている設備を使用して、操業性および製品品質が共に安定な状態で連続生産できる絹不織布を提供することにある。
上記問題を解決し得た本発明の絹不織布とは、JIS L 1015に準じて測定される残留捲縮率が5〜20%、捲縮弾性率が50%以上、捲縮数8〜22ケ/25mmである絹原綿を含むところに要旨を有するものである。以下、残留捲縮率、捲縮弾性率および捲縮数を併せて捲縮特性という場合がある。
繊維の捲縮形態は、製品としての不織布の形態安定性のみならず、不織布製造工程における高速のカード工程に対しても大きく影響する。すなわち、カード工程を通過する際、繊維に働く力により捲縮が伸びてしまうと、該カード内において繊維同士の絡みが低下し、風綿が生じる。そして、この風綿の塊が再びカード内に戻ると、ウェブに局部的な厚み斑が生じ、繊維量が過多となる箇所ではウェブが切れてしまったり、カード内に繊維が蓄積して、ウェブの穴空きの原因となる。
本発明者らは、かかる観点から検討を重ねた結果、繊維特性として残留捲縮率および捲縮弾性率が特に重要であることを見出し、本発明を完成したのである。すなわち、上記特性を有する絹原綿を含む不織布は、カード工程が高速であっても、繊維に施された捲縮が保存されるため、連続生産を継続する上で支障となる風綿の発生が少なく、ウェブの不良(厚み斑、ウェブ切れ・穴空き)が少ないものとなる。
上記絹原綿は機械捲縮加工が施されたものであるのが好ましい。また、上記絹原綿の繊度は0.8〜5.5dtexであるのが望ましい。
さらに、絹の有する風合いや特性を確保する観点からは、上記絹原綿の含有量が70質量%以上であるのが好ましい。
本発明の絹不織布は、従来の不織布製造設備での連続生産が可能であることに加えて、ウェブ斑やウェブ切れなどの不良の発生が少なく、操業性および製品品質共に安定なものである。
本発明の絹不織布は、洋服の芯地などの衣料用をはじめとして、保温材、防音材、電気絶縁材、濾過布、スピーカー振動板などの工業資材、おむつやマスクなどの衛生用品、手術着、シーツ類、湿布剤基布といった医療品などさまざまな用途に好適に用いられる。
本発明の絹不織布とは、JIS L 1015に準じて測定される残留捲縮率が5〜20%、捲縮弾性率が50%以上、捲縮数8〜22ケ/25mmである絹原綿を含むところに特徴を有するものである。
まず、上記残留捲縮率とは、繊維に所定の荷重をかけたときの長さと、荷重を取り除いた後の長さとから算出される値である。すなわち、所定荷重負荷後の繊維に残留する捲縮の程度を示すものであり、残留捲縮率の値が小さい場合は、荷重負荷前に比べて、繊維に存在する捲縮の割合が少ないことを意味する。高速カードの通過性を確保し、連続生産を継続する観点からは、繊維の残留捲縮率は5%以上であるのが好ましく、より好ましくは7%以上であり、20%以下であるのが好ましく、より好ましくは18%以下である。残留捲縮率が低すぎる場合には、捲縮が伸びて風綿が発生し、ウェブ品位が低下するおそれがあり、一方、高すぎる場合には、カード工程通過後に残留する捲縮により、ウェブ内で繊維が偏り、ウェブ斑を生じる場合がある。
本発明においては、上記残留捲縮率に加えて、捲縮弾性率も不織布製造におけるカード工程の通過性を判断する基準として採用する。すなわち、捲縮弾性率が高い場合には荷重の負荷後も繊維がある程度の捲縮を有していると判断できる。高速カードの通過性を確保し、連続生産を継続する観点からは、繊維の捲縮弾性率は50%以上であるのが好ましく、より好ましくは55%以上である。捲縮弾性率の上限は特に限定されないが、好ましくは85%である。捲縮弾性率が低すぎる場合には風綿の発生により、ウェブ品位が低下する場合があり、一方、高すぎる場合には、ウェブに斑が生じることがある。
本発明の絹不織布に含まれる絹繊維の捲縮数は、絹繊維25mmあたり8個以上であり、好ましくは12個以上であり、22個以下、より好ましくは20個以下である。上記捲縮数は、絹繊維の単位長さ当たりに存在するクリンプの個数を意味するものである。捲縮数が上記範囲内であれば、高速のカード工程でも、風綿が発生することのない程度に繊維同士の交絡が確保されるため、カード工程通過性、ひいては製品品質の低下を抑制できる。
上記特性を有する絹原綿は、予め精錬処理された絹スライバーもしくは絹フィラメントに予備加熱を施した後、機械捲縮加工を施し、このとき付与した捲縮状態を続く熱処理工程でセットすることにより得ることができる。
上記機械的捲縮処理法としては、絹スライバー(1〜100g/m)を歯車のように噛み合っている一対の溝つきローラーの間に通してジグザグの形をつけるギヤー捲縮方式、絹スライバーを漏斗状の狭い穴へジグザグ状に折り曲げて押し込み、小さい穴の方から押し出すことによって絹繊維に屈曲をつける座屈方式など、合成繊維に捲縮を付与する方法として公知の方法を挙げることができる。尚、絹繊維は、絹繊維が元来有する外観や風合いなどその独特の特性に価値が認められてきたものであり、これまでは、上述のような機械的手法により捲縮を付与することは一般的には行われておらず、また、機械的手法により捲縮を付与しても、上述の特許文献2のように、ポリマーなどでちぢれ形状を固定しなければならない等、不織布製造工程が煩雑になるものであった。
本発明の絹不織布に採用可能な絹原料は特に限定されず、家蚕糸と野蚕糸のいずれも採用可能である。また、生糸を製造するときに生じるくずの絹繊維類およびくず繭などの副蚕糸も原料とすることができる。機械捲縮などで絹繊維の捲縮特性を調整することで、工程通過性、製品品位共に優れた絹不織布が得られるからである。尚、製品コストを低減する観点からは、副蚕糸を用いることが推奨される。
上記絹原綿の繊度は0.8dtex以上、5.5dtex以下であるのが好ましい。より好ましくは0.9dtex以上であり、さらに好ましくは1.0dtex以上、より好ましくは3dtex以下であり、さらに好ましくは2dtex以下である。
尚、絹原綿の繊度は、目的とする不織布の用途によって適宜決定すればよい。すなわち、繊維間の空隙が少ない密な不織布が求められる場合には、繊度が小さいものを使用すればよく、繊維間にある程度の空隙の存在が許容される場合であれば、繊度が大きいものを用いればよい。
上記絹繊維の繊維長さは、30mm以上であるのが好ましく、より好ましくは40mm以上であり、70mm以下であるのが好ましく、より好ましくは60mm以下である。繊維長が短すぎる場合には、たとえ、残留捲縮率、捲縮弾性率および捲縮数が上記範囲に含まれるものであっても、繊維同士の交絡状態を確保することが困難となる場合があり、ウェブ形成工程において風綿の発生を抑制し難い傾向があるからである。
上記絹原綿に含まれる残留セリシン量は特に限定されず、用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば、10質量%以下であるのが好ましい。より好ましくは5質量%以下である。残留セリシン量の調整は、従来公知の精錬処理法により行えばよい。
なお、絹繊維に残留するセリシン量は、絹糸の光沢や風合いに大きく影響する。したがって、通常、着物などの衣料品や美術工芸品といった用途に用いられる絹繊維では、精錬処理によって十分にセリシンが除去されている。
しかしながら、絹の短繊維を用いて不織布を製造する場合、残留セリシン量を過度に低減すると、繊度が小さくなるため、カード工程通過性が悪くなり、生産性低下に伴うコストの上昇が生じる。したがって、絹繊維にはある程度セリシンが残留している方が好ましい。一方、残留セリシン量が多い場合には、絹本来の特性(例えば光沢やしなやかさなど)が得られ難くなるのは勿論のこと、特定用途(例えば化粧用パフなどの衛生材料)においては、セリシンに由来する腐敗臭が問題となる場合がある。すなわち、製造面からは、ある程度のセリシン量を確保しておくのが好ましく、製品面からは、セリシン量は可能な限り低減するのが好ましいといった相反する要求があった。
本発明者らの検討によれば、上記捲縮特性を有する絹原綿を原料とすることで繊維間の絡合が十分に確保できるため、残留セリシン量が極低レベルにまで減量された場合であっても、良好なカード工程通過性で、製品品質の安定した絹不織布を得ることができる。また、セリシン量を低レベルにまで減量した絹繊維のみ(あるいは絹繊維の含有量が多い)での不織布化が可能であるため、絹が本来有する独特の光沢や風合いも十分に活かされた不織布が得られるのである。
本発明の絹不織布は、絹繊維以外の他の繊維をブレンドしたものであってもよい。例えば、ポリエステル系、アクリル系、ポリアミド系などの合成繊維、レーヨンなどの再生繊維、木綿、麻、羊毛、絹(未捲縮)などの天然繊維が挙げられる。これらの中でも、レーヨンが好ましい。レーヨンは、吸湿性があり、絹とよく似た風合いを有しているからである。
但し、上記他の繊維の配合量は、絹繊維が有する特性が失われない程度とするのが好ましく、かかる観点からは、本発明の絹不織布中に占める絹原綿の割合は70質量%以上であるのが好ましい。より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。勿論、絹のみ(すなわち絹100質量%)からなる場合も本発明の好ましい実施態様に含まれる。尚、未捲縮の絹繊維であれば、絹不織布の50質量%程度までブレンドすることができる。しかしながら、得られる不織布の強度などを確保する観点からは上記範囲とするのが好ましい。
本発明の不織布は、厚みが0.15mm以上、より好ましくは0.3mm以上であり、1mm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.5mm以下である。また、本発明にかかる絹不織布の目付けは15g/m2以上であるのが好ましく、より好ましくは20g/m2以上であり、100g/m2以下であるのが好ましく、より好ましくは40g/m2以下である。
本発明の絹不織布の引っ張り強さは、0.3kgf/5cm以上、より好ましくは0.5kgf/5cm以上であり、15kgf/5cm以下であるのが好ましく、より好ましくは8kgf/5cm以下である。伸び率(%)は30%以上であるのが好ましく、より好ましく40%以上であり、200%以下であるのが好ましく、より好ましくは180%以下である。さらに、引裂き強さ(kgf/5cm)は0.3kgf/5cm以上であるのが好ましく、より好ましくは0.4kgf/5cm以上であり、1.0kgf/5cm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.8kgf/5cmである。なお、これらの物性値は後述の実施例に記載の方法で測定されるものである。
本発明の絹不織布は光沢も有している。上述のように、本発明によれば、残留セリシン量が極低レベルに減量された絹繊維を原料とすることが可能であるため、絹繊維の有する風合いや光沢感が十分に活かされた不織布が得られる。
次に本発明の絹不織布の製造方法について説明する。本発明の絹不織布を製造する方法は特に限定されないが、ウェブを空気中で形成する乾式法を採用するのが好ましい。また、得られたウェブを結合(絡合)させる方法は、物理的・化学的手法のいずれであってもよく、例えば、接着剤によりウェブ状態を維持する接着剤型、繊維同士の絡み合いを利用する機械的結合型、ノズルから噴出させた水流により繊維同士を絡合させる水流絡合型などが挙げられる。これらの中でも、十分な強度を有し、かつ、柔軟性に富んだ不織布が得られる水流絡合法を採用するのが好ましい。以下に、乾式法で形成したウェブを水流絡合法により結合して絹不織布を製造する方法について説明する。
まず、上記捲縮特性を有する絹原綿をカード工程へと供給する。カード工程は、その表面にのこぎり歯のような突起物を有する複数のローラーにより絹原綿を送りながらウェブ化する工程であり、前記ローラー表面の突起物に絹原綿を引っ掛け、これをある程度開繊しながら均一な厚みとなるようにローラー上に堆積させてウェブを形成する。尚、本発明の不織布は、上記捲縮特性を有する絹原綿を原料とするものであるので、上記カード工程において、高速カード(例えば、シリンダー表速が1500m/分以上)を使用する場合であっても、均一なウェブを連続して形成することができる。
得られたウェブは、当該ウェブを構成する繊維同士を三次元的に交絡させるため水流絡合工程へと送られる。水流絡合を行うスパンレース機へと送られたウェブは、スパンレース機に設けられた複数のノズルから噴出される高圧水流により繊維同士が絡合され、不織布化される。
目付けの高い絹不織布(密な不織布)を製造する場合には、段階的に目付けを増加させる方法も採用できる。たとえば、上述の方法でベースとなる不織布を作成した後、この不織布上に絹原綿などの不織布原料を積層して、上述したのと同様の方法でウェブを形成し、次いで水流交絡させて、不織布化すればよい。
以下、本発明の具体例を実施例によってさらに説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中における特性は下記方法により評価を行なった。
[残留捲縮率、捲縮弾性率、捲縮数]
JIS L 1015に準じて、絹原綿の残留捲縮率(%)、捲縮弾性率(%)、捲縮数(個/25mm)を測定した。
JIS L 1015に準じて、絹原綿の残留捲縮率(%)、捲縮弾性率(%)、捲縮数(個/25mm)を測定した。
[強力 (kgf/5cm)]
JIS L 1085に準じて、テンシロン試験機(エーアンドディー社製)を使用して、下記製造例で得られた絹不織布の引っ張り強さ(kgf/5cm)、伸び率(%)を測定した。
JIS L 1085に準じて、テンシロン試験機(エーアンドディー社製)を使用して、下記製造例で得られた絹不織布の引っ張り強さ(kgf/5cm)、伸び率(%)を測定した。
[引裂き強さ (kgf/5cm)]
JIS L 1096に準じて、テンシロン試験機(エーアンドディー社製)を使用して、下記製造例で得られた絹不織布の引裂き強さ[シングルタンク法](kgf/5cm)を測定した。
JIS L 1096に準じて、テンシロン試験機(エーアンドディー社製)を使用して、下記製造例で得られた絹不織布の引裂き強さ[シングルタンク法](kgf/5cm)を測定した。
製造例
精錬処理が施されたシルクスライバー(1〜100g/m、繊維長:50mm、残留セリシン量:1%)に、機械捲縮により捲縮加工を施し、絹原綿を調整した。得られた絹原綿から、捲縮の高い部分(絹原綿1)と、捲縮の低い部分(絹原綿2)とを採取して、これらの絹原綿捲縮特性を測定した。結果を表1に示す。
精錬処理が施されたシルクスライバー(1〜100g/m、繊維長:50mm、残留セリシン量:1%)に、機械捲縮により捲縮加工を施し、絹原綿を調整した。得られた絹原綿から、捲縮の高い部分(絹原綿1)と、捲縮の低い部分(絹原綿2)とを採取して、これらの絹原綿捲縮特性を測定した。結果を表1に示す。
次いで、得られた絹原綿1を原料として、高速カードによりウェブを形成し、次いで、スパンレース機(パーフォジェット社製)によって繊維同士を絡合させて、絹100%からなる不織布(目付け30g/m2)を製造した。得られた不織布の物性値を表2に示す。
未捲縮原綿を原料とした不織布では、カード工程での風綿の発生が著しく、連続生産を行うことは困難であった。特に、運転開始から5分経過した時点で、風綿の発生による設備に対するダメージが懸念されたため、運転を中止した。なお、この状態で運転を継続した場合には、ウェブ切れや穴開き、設備損傷などの不良が発生する。
これに対して、上記捲縮特性を有する絹原綿を使用した本発明の絹不織布は、カード工程においても風綿がほとんど発生せず、運転時間40分に亘って、連続1000mの不織布の製造が行うことができ、工程通過性・不織布品位ともに優れるものであった。
Claims (4)
- JIS L 1015に準じて測定される残留捲縮率が5〜20%、捲縮弾性率が50%以上、捲縮数8〜22個/25mmである絹原綿を含むことを特徴とする絹不織布。
- 上記絹原綿は機械捲縮加工が施されたものである請求項1に記載の絹不織布。
- 上記絹原綿の繊度が0.8〜5.5dtexである請求項1または2に記載の絹不織布。
- 上記絹原綿の含有量が70質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の絹不織布。
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