JP2006206427A - 多孔表面陶磁器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水の蒸散による冷却効果を利用する冷却エレメントや装置に好適に用いられ、従来の陶磁器と機械的強度がほぼ変わらない多孔表面陶磁器を提供しようとする。
【解決手段】表面の少なくとも一部に多孔質層が形成された陶磁器であって、該多孔質層はセラミック粒子が粟おこし状に連続気孔を有して焼結により結合されてなり導水性を有するものである、多孔表面陶磁器である。多孔質層は、セラミック粒子が釉剤を介して結合されてなるものであり得る。また、多孔質層が、セラミック粒子と釉剤と焼失性粒子とを含む焼成前駆体の層を焼成してなるものであり得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は多孔質セラミックス製品に関し、より詳しくは多孔表面を有する陶磁器に関するものである。
旧来連続気孔を有する多孔質な陶磁器素地を作成するさまざまな方法が知られている。粗粒な骨材を用いる方法、素焼のように焼結が進行しない条件によって焼成する方法、原料に炭酸カルシウム等の熱分解性の物質を添加する方法、原料に可燃物質を添加する方法(例えば、特許文献1参照)等である。本発明においては多孔質な陶磁器素地を作成する技術を、素地ではなく、陶磁器表面に多孔質層を形成させるための方法として応用している。
一方、冷風装置に多孔質陶器を応用した提案としては、水容器に自然保冷機能を持たせた冷風扇がある(例えば、特許文献2参照)。同提案においては、送気冷却用貯留水槽に水に対する浸透性材料(例えば素焼土器)を用いている。また同提案においては冷気冷却用貯留水槽の外側に蒸発シート(例えば不職布)を取り付け、その一部を貯留水槽内の水に垂らしサイフォンの原理により外側の蒸発シートへ導いている。
送気冷却用貯留水槽に素焼土器のような水に対する浸透性材料を用い場合は、冷却性能を上げるため蒸発量を多くしようとすると、貯留水槽の壁を浸透する水量が増して漏水が多くなり、貯留水量の減り方が大きくなるという問題がある。また、蒸発シートを用いた場合、貯留水槽が使用時やその前後に手で掴むなどの操作がなされない場合は特に問題ないが、このような操作がなされる場合はシートとの接着を考慮する必要があり、シートの耐久性や貯留水槽の壁面との絶えず湿潤状態での接着性や接着力の耐久性に問題がある。
また、冷風装置に多孔質陶器を応用した冷風扇の提案がなされている(例えば、特許文献3参照)。同提案においては水の気化部に吸水性のセラミック体が用いられている。しかし同提案は気化熱を奪われる空気(冷風)にカビ・細菌が混入しないようにするために光半導体触媒シートを用いることを主な課題としている。セラミック体ハニカム状のものであり、セラミック体への水の供給のためセラミック体の前後面及び上面にスポンジその他の吸水性のあるシート状の吸水部材を貼付することがなされている。
シート状の吸水部材を貼付は、セラミック体の表面との絶えず湿潤状態での接着性や接着力の耐久性に問題がある。また、吸水部材はハニカム状のセラミック体の長孔(通路)まで水を運ぶ役目をするものの、吸水部材そのものが水の蒸散により冷却されることを役目としているわけではなく、セラミック体の長孔内での気化熱が冷却に寄与する構成となっている。長孔の内面は平滑であり、表面積が大きいとはいえず効率的な水の蒸散は期待できない。
特開平10−130073号公報 特開平6−129655号公報 特開平9−292137号公報
このように、従来の多孔質セラミックスは、素地そのものを多孔質化することにより、気体及び液体の分離及びろ過材、触媒及びバイオリアクターの担体等として用いられてきた。しかし緻密な素地と比較すると、多孔質な素地には機械的な強度が低いという欠点があった。
古くから陶磁器素地の表面に釉を形成させることが行なわれている。しかし通常の釉はガラス質であるため、素地に対する防水や、洗浄を容易ならしめる効果は有するものの、液体の浸透及び吸収という機能は有さなかった。釉は、陶磁器素地の表面に熔着した、薄い珪酸塩混合物である。
液体の浸透及び吸収材としては、前述のようにポリウレタン製のスポンジ等の樹脂製品、布や不織布等の繊維製品、紙等のパルプ製品、灯芯用のガラス繊維等が広く用いられている。しかし、それらには耐熱性、または耐薬品性等に劣るという欠点があった。
そこで本発明者は、素地の機械的な強度が高く、液体の浸透性及び吸収性に優れた多孔質層を表面に有し、且つ耐熱、耐薬品性に優れた製品を提供すべく鋭意検討を重ねた結果本発明に至ったのである。
本発明の要旨とするところは、表面の少なくとも一部に多孔質層が形成された陶磁器であって、該多孔質層はセラミック粒子が焼結によりアワオコシ状に結合されて連続気孔を有してなりかつ導水性を有するものである、多孔表面陶磁器であることにある。
前記多孔質層は、前記セラミック粒子が釉剤を介して結合されてなるものであり得る。
前記多孔質層は、セラミック粒子と釉剤と焼失性粒子とを含む焼成前駆体の層を焼成してなり得る。
前記陶磁器は施釉面を有し得、該施釉面の表面に前記多孔質層が形成され得る。
前記多孔表面陶磁器においては、前記陶磁器が、底壁と該底壁周縁部から立設する側壁とを備える容器形状部を備え得、前記側壁の内外面の上部、及び、該内外面それぞれに連なる前記側壁の上縁部表面、に前記多孔質層が形成され得る。
前記多孔表面陶磁器においては、前記陶磁器が、周側壁を有する外側容器部を備え得、該外側容器部は前記容器形状部と前記底壁を共有し得、該周側壁は前記側壁を囲んで前記底壁の周縁から立設し得、該周側壁と前記側壁との間に空間が形成され得る。
前記多孔表面陶磁器においては、前記陶磁器が、前記側壁の上縁部の少なくとも一部で外側下方に折り返されて下方に延出された折り返し部を有し得、該折り返し部の上面に前記多孔質層が形成され得る。
前記多孔表面陶磁器においては、前記容器形状部に植木が植生され得る。
前記多孔表面陶磁器は水貯留用容器の中がわに載置され得る。
前記多孔表面陶磁器においては、前記容器形状部に生け花が活けられ得る。
前記容器形状部は、水を受ける受け容器の上または中がわに載置され得る。
前記陶磁器の下方または外側面下部近傍には、水を受ける受け部が設けられ得る。
前記陶磁器の下方または外側面下部近傍には、水を貯留する貯留部が設けられ得る。
前記容器形状部には水が貯留され得る。
また、本発明の要旨とするところは、前記多孔表面陶磁器からなる灯芯であることにある。
前記灯芯は、上方に開口され燃料を貯留することとなる容器形状をなし得、内周面に前記多孔質層が形成され得る。
前記灯芯と前記容器に貯留された蝋とを備えるろうそくが構成され得る。
前記多孔表面陶磁器からなり、上部開口を封止する座部を備え前記側壁に貫通孔が形成されたスツールが構成され得る。
また、本発明の要旨とするところは、被風冷部と、水貯め部と、該水貯め部に貯留された水を該被風冷部に導水する導水路部と、該被風冷部に向けて風を送る送風機と、を含んで構成される冷風発生器であって、前記被風冷部、前記水貯め部、前記導水路部から選択されるものが前記多孔表面陶磁器を含んでなる冷風発生器であることにある。
前記導水路部を含む前記多孔表面陶磁器と前記被風冷部とは一体に成形され得る。
前記被風冷部と前記水貯め部とは一体に成形され得る。
また、本発明の要旨とするところは、周壁を備える前記水貯め部と該水貯め部の下方に位置する筒部とを含んで構成された、前記多孔表面陶磁器を備え、前記周壁の内外面及び上縁部表面に前記多孔質層が形成され、該筒部の筒壁に貫通孔が形成され、該筒部の該貫通孔の近傍の表面及び該表面に連なって該筒部の上縁部表面に前記多孔質層が形成されて該筒部の該貫通孔の近傍が前記被風冷部となり、該筒部の上縁部に形成された多孔質層と前記周壁の外面に形成された多孔質層とが連接して前記導水路部が形成され、該筒部に前記送風機が内蔵された前記冷風発生器であることにある。
さらに、本発明の要旨とするところは、前記多孔表面陶磁器からなり周壁を備える水貯め部と、他の前記多孔表面陶磁器からなり該水貯め部を載置する筒部とを含んで構成され、前記周壁の内外面に前記多孔質層が形成され、該筒部の筒壁に貫通孔が形成され、該筒部の該貫通孔の近傍の表面及び該表面に連なって該筒部の上縁部表面に前記多孔質層が形成されて該筒部の該貫通孔の近傍が前記被風冷部となり、該筒部の上縁部に形成された多孔質層と前記周壁外面の下縁部に形成された多孔質層とが接触して前記導水路部が形成され、該筒部に前記送風機が内蔵された前記冷風発生器であることにある。
前記冷風発生器においては、前記水貯め部が外周壁を備え得、前記周壁が該外周壁の下周縁から該外周壁の内側に向けて延出し次いで立ち上がり得、該周壁の上縁が閉曲線形状をなし得る。
旧来の多孔質陶器は素地自体が多孔質であったため気孔率を高くするほど製品全体の機械的強度が低下した。したがって製品形状の自由度や使用条件に制約があった。これに対して、本発明の多孔表面陶磁器は素地が緻密であり機械的強度が高いため、製品形状の自由度や使用条件が一般的な陶磁器製品と同等となった。また旧来の多孔質陶器素地よりもさらに気孔率が高い多孔質層を製品の表面に形成させても、製品全体の機械的強度はさほど低下しなくなった。
本発明において、液体の移動が、主として毛細管現象、サイフォンの原理、引力による落下によって多孔質層中でなされる。電動ポンプ等を必要としないため動力源を必要とせず、広範な場所において使用が可能であり、しかも環境負荷が低い液体の移動技術を提供することが可能である。
本発明によると、水の蒸散による冷却効果を利用する冷却エレメントや装置に好適に用いられ、従来の陶磁器と機械的強度がほぼ変わらない多孔表面陶磁器が提供される。
本発明によると、水の蒸散による冷却効果を利用する冷却エレメントとして好適に用いられ、外観が陶磁器の質感と高級感と有し、室内空間にも調和し易く、また釉薬や彫刻等による加飾の自由度も高い多孔表面陶磁器が提供される。
多孔質セラミックを用いた旧来の分離及び濾過装置の部材は、素地自体が多孔質であるため部材全体の機械的強度が低いという欠点を有していたのに対して、本発明の多孔表面陶磁器を用いた濾過装置の部材は緻密で機械的強度が高い素地の外面、または同素地により作成された管の内面に設けた多孔質層により、液体の分離及びろ過を可能ならしめるものである。したがって部材全体の機械的強度が低下しないという効果がもたらされる。
現在市販されている冷風装置の保水部材にはモータ等の動力により水が供給されているのに対して、本発明の冷風装置においては保水部材となる多孔質層に毛細管現象、サイフォンの原理、引力による落下により水が供給されるため、モータの消費電力と駆動部から発生する騒音の低減を計る効果を有する。
現在市販されている冷風装置は主として樹脂により構成されており、その外観は風格に欠けるものである。しかし本発明の冷風装置は主として陶磁器により構成されているため、その外観は高級感を有し、室内空間にも調和し易く、また釉薬や彫刻等による加飾の自由度も高い。
本発明によると、一般的な灯油ストーブ等の液体燃料用や蝋等の固型燃料用の灯芯として用いられ、ガラス繊維の織布でできた従来のものが、使用時にガラス繊維が劣化するため一定期間の使用後に、はさみで灯芯を切り揃える必要があるのに対して、耐火度が高く、その耐用期限は半永久的な灯芯が提供される。この本発明の灯芯を使用した液体燃料の気化及び燃焼装置の部材においては、陶磁器表面の比較的薄い多孔質層において気化及び燃焼が進行するため、不完全燃焼による油煙や煤の発生が少ない。また、燃焼に伴い素地が加熱されるため、多孔質層中の液体燃料の気化が加速される効果がある。
本発明による多孔表面陶磁器からなる容器に蝋を入れてなるろうそくは環状の幻想的な炎を生じさせることができる。さらに、この容器外観が陶磁器の質感と高級感とを有し、室内空間にも調和し易く、また釉薬や彫刻等による加飾の自由度も高いので、きわめて高級感のあるキャンドルグッズとなる。
本発明に関わる表面に多孔質層を有する陶磁器製品の実施の形態について詳しく説明する。本発明においては、陶磁器素地の表面に、粒度が調整され、且つ焼成により粒子間の気孔が閉塞することのない骨材を主成分とする泥漿を塗布し適正な温度によって製品を焼成する。焼成時に素地は焼結が進行し、焼成後に機械的強度が高い緻密質に変化する。しかし素地の表面に施された泥漿は焼結が進行せず、連続気孔を有する多孔質層に変化することを見出し本発明に至った。
図1に示すように、本発明の多孔表面陶磁器2は、表面の少なくとも一部に多孔質層4が形成された陶磁器であり、陶磁器基体6の表面にこの多孔質層4が形成されている。なお、本明細書の図面において同一の機能を有する部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。また、本明細書においては、多孔表面陶磁器は図1に示す構成を有する、機器や器具や用具や部材としての陶磁器、あるいは図1に示す構成を有する陶磁器材料を意味するものとする。即ち陶磁器のある一部分が図1に示す構成を有する場合の、その一部分を構成する陶磁器材料をも意味するものとする。
陶磁器基体6は、従来の陶磁器と同様の坏土を焼成して得られる通常の陶磁器と同様の材質のものである。多孔質層4は、セラミック粒子8が釉剤10を介してアワオコシ状に連続気孔7を有して焼結により結合されてなるものである。釉剤は、陶磁器の表面に熔着されると釉となる物質である。
多孔表面陶磁器2は陶磁器基体6となる素地に、セラミック粒子と釉剤とを含む泥漿を掛けて、多孔質層の前駆体となし、次いでその泥漿を掛けた素地を焼成して得られる。これにより、前駆体が素地とともに焼成されてセラミック粒子が隣接の粒子同士の接触部で釉剤を介して焼結されて粒子のアワオコシ状の結合態様を有する多孔質層4と陶磁器基体6が形成される。
素地は、焼成前の素地であっても、素焼がなされた素地であっても、締め焼きが終了した素地であっても良い。また、素地は施釉された陶磁器であってもよい。この場合、施釉
は素地表面の少なくとも多孔質層4が形成されるべき領域になされていることが好ましい。
多孔質層4は、セラミック粒子が隣接の粒子同士の接触部で焼結されてアワオコシ状に連続気孔7を有して結合されてなるものであってもよい。この場合、多孔表面陶磁器2は陶磁器基体6となる素地に、セラミック粒子を含む泥漿を掛けて、多孔質層の前駆体となし、次いでその泥漿を掛けた素地を焼成して得られる。これにより、前駆体が素地とともに焼成されて多孔質層4と陶磁器基体6が形成される。
本発明の多孔表面陶磁器を得る具体的な方法の一例としては、例えば、素焼をした陶磁器素地の表面に、分級された比較的粗粒な使用済み碍子の粉末を骨材とする泥漿を塗布し乾燥後に焼成する方法が挙げられる。素地はほとんど吸水性を有さず、機械的強度が高い緻密な状態に焼結したが、泥漿を塗布した部分には骨材と骨材の隙間に連続気孔を有する多孔質層が形成される。碍子の粉末の平均粒径は、0.1〜1mmであることが好ましい。
また、本発明の多孔表面陶磁器を得る具体的な方法の他の一例としては、素焼をした陶磁器素地の表面に、耐火粘土を主成分とする泥漿を塗布し乾燥後に焼成する方法が挙げられる。素地はほとんど吸水性を有さず、機械的強度が高い緻密な状態に焼結するが、泥漿を塗布した部分は耐火度の高さゆえに焼結が進行せず、連続気孔を有する多孔質層が形成される。
本発明の多孔表面陶磁器が円柱形の棒状である場合、その棒の下端を水中に浸すと、水が多孔質層に浸透及び吸収され、毛細管現象により多孔質層の一定の高さまで上昇する。
また、この棒の下端を、顔料を混ぜた水の中に浸すと、水と顔料が多孔質層に浸透及び吸収され、毛細管現象により多孔質層の一定の高さまで上昇する。その際、顔料は多孔質層の表面に横縞状の模様を描いた。多孔質層において顔料は分離され、液体クロマトグラフィと同様な現象が観察される。
多孔表面陶磁器2は本明細書において詳述される各種の用途に適した形状に成形されたものが用いられるが、図1には、多孔表面陶磁器の基本的な構造を示す。
例えば、図2に示すように、本発明の多孔表面陶磁器2pが略「への字形」の棒状である場合、この棒の「へ」の一の端部11を水中に浸すと、水は多孔質層に浸透及び吸収され、毛細管現象により「へ」の一の辺13を斜め上に上昇し、やがて「へ」の他の辺15を斜め下に下降し「へ」の他の端部17から滴下する。一の端部11に水を供給し続ける限り、サイフォンの原理により他の端部17への水の移動が継続する。
本発明の多孔表面陶磁器が「への字形」の管状であり、その管の内面に多孔質層が形成されている場合、「へ」の短辺の下端の開口部を水に浸すと、水は毛細管現象により管内の多孔質層を上昇し、やがて「へ」の長辺の内部へ移動し、「へ」の長辺の下端の開口部から滴下する。
このように、本発明においては、陶磁器表面に形成された多孔質層は、この多孔質層に浸透した水が毛管現象あるいはサイフォンの原理により多孔質層の面方向に移動するという導水性を有する。
素地の原料としては、カオリン、粘土、雲母、陶石等の可塑性原料、長石、珪石、炭酸カルシウム、マグネサイト、アルミナ、陶磁器粉末等の非可塑性原料、鉄等の金属および二酸化チタン等の金属酸化物、有機及び無機の可塑性付与剤、分散剤、凝集剤を用いることができるが、これらに限定されるものではない。陶磁器の製作に用いられる原料なら何を用いても良いし、これらの調合割合も特に限定されるものではない。
本発明において、陶磁器の表面に、導水性に優れた、連続気孔を有する多孔質層を形成させるためには、泥漿に用いられるセラミック粒子として比較的粒度が粗い骨材を使用することが好ましい。また、素地よりも耐火度が高く、焼結が進行しにくい無機材料や、炭酸カルシウム等の熱分解性の無機物や、有機物の粉末等の可燃物質を泥漿に添加して用いることが好ましい。さらにこれらの原料を組み合わせて使用してもよい。なかでも、泥漿に有機物の粉末等の焼失性の粒子を添加することにより、良好な導水性を有する多孔質層4が得られる。即ち、連続気孔を有する多孔質層が、セラミック粒子と釉剤と焼失性粒子とを含む焼成前駆体の層を焼成してなる場合、良好な導水性を有する多孔質層4が得られる。
セラミック粒子となるべき原料としては、長石、珪石等の岩石の粒子、炭酸カルシウム、マグネサイト、アルミナ、陶磁器粉末等の非可塑性原料、鉄等の金属および二酸化チタン等の金属酸化物、ガラス粉末などが挙げられるが、焼結によりアワオコシ構造が形成されるものであればこれらに限定されない。
本発明において、連続気孔を有する多孔質層を形成させるための泥漿の原料としては、セラミック粒子のほかに、カオリン、粘土、雲母、陶石等の可塑性原料、コークス粉、樹脂粉末等の有機の可燃物質、有機及び無機の可塑性付与剤、分散剤、凝集剤を用いることができるが、これらに限定されるものではない。陶磁器の製作に用いられる原料なら何を用いても良いし、これらの調合割合も特に限定されるものではない。
本発明においては、焼成により隣接の骨材の粒子同士が接点で焼結されてアワオコシ構造が形成される。あるいは、骨材と釉薬とが混合された泥漿を用い、焼成により骨材の粒子同士が接点で釉剤を介して焼結されてアワオコシ構造が形成される。骨材の粒子同士が接点で釉剤を介して焼結された構造は、焼結を骨材粒子同士が直接焼結される温度以下の温度で行うことができ、焼結時に骨材が極端に変形されず、骨材粒子間の間隙がつぶされずに保たれるので、多孔質層4に導水性が良好な連続孔が形成されてより好ましい。
釉薬は釉剤を含む処理液である。釉剤は陶磁器の表面に熔着されて釉となる物質からなる施釉用の材料である。本発明においては釉剤として、鉛釉、アルカリ釉、アルカリ−石灰釉、石灰釉、長石釉、ホウ酸釉など通常の釉剤を用いることができる。また釉剤はこれらに限定されない。
多孔質層4よる液体の浸透及び吸収の性能は、泥漿中の無機成分の濡れ性、粒径、粒形、耐火度、製品の焼成条件、添加物の量と粒度、無機添加物の熱分解性、有機添加物の焼失性により決定される。液体の浸透性及び吸収性に優れた毛細管を形成させることも可能であり、また、液体の含浸性及び保持性に優れた気孔を形成させることも可能である。
本発明において、製品の部位によって異なる粒度及び成分の原料を用いて多孔質層を形成させても良いし、異なる粒度及び成分の原料を用いて多孔質層を多層構造にしても良い。
本発明において、素地の表面に泥漿を施す方法としては、浸し掛け、流し掛け、噴霧掛け等がある。また、多孔質層を形成させるための方法であるならば、泥漿ではなく乾燥した原料粉末を濡れた状態の素地に吹き付ける等の方法や、練り土状の原料を素地に貼り付ける等の方法を選ぶことも可能である。
本発明において、素地の表面に形成される多孔質層の厚みはとくに限定されない。マイクロメートルオーダーの厚みであっても、ミリメートルオーダーの厚みであっても、センチメートルオーダーの厚みであっても良い。また、製品の部位によって厚みが異なっていても良い。
本発明において、素地の表面の多孔質層に浸透、吸収及び含浸、保持させる液体は、水であっても、薬液であっても、各種物質の水溶液であっても、油脂であっても、各種物質を油脂に溶かし込んだものであっても、有機または無機の溶剤であっても、各種物質を溶剤に溶かし込んだものであっても良い。液体であれば何を用いても良いし、不溶性粒子を含む懸濁液であっても良い。また、これらを組み合わせても良いし、その調合割合も特に限定されるものではない。
本発明において、素地の表面の多孔質層に浸透及び吸収させる液体の移動は、上から下への落下方向であっても、水平方向であっても、斜め上または斜め下方向であっても、毛細管現象による下から上への方向であっても、サイフォンの原理により一度上へ揚げてから下へ落とす方向であっても可能である。
本発明において、素地の表面の多孔質層に浸透させた液体を気化させる方法としては、大気中で自然に気化させても良いし、送風機等を用いても良いし、外部または内部から熱を加えても良い。
実験例1
本発明の多孔表面陶磁器の導水効果を調べる実験を行った。多孔表面陶磁器として図2に示す略「への字形」の棒状の試料44を作成した。試料は、「への字形」の棒状の陶磁器基体46の表面の一部分に多孔質層4が形成されてなる。
まず、信楽粘土を原料として陶磁器基体46の形状に成形、乾燥し、800℃で素焼きし、素地を作成した。次いで、この素地の表面全般に通常の方法で釉薬を塗布し1200℃で本焼きした。釉薬としては土灰釉を用いた。つぎに、この本焼きされた陶磁器基体46の、多孔質層4が形成されるべき表面領域に泥漿を塗布し1250℃で焼成した。多孔質層4の厚さは1mmであった。
泥漿は、粒径0.5mmアンダーのセラミック粒子100重量部、土灰釉5重量部、平均粒径50μmの球状中空の樹脂粉末(松本油脂製薬株式会社製、商品名 F50E)5重量部に適量の水を加えて粘度を調整し作った。セラミック粒子としては、碍子の粉砕物を用いた。
試料44の径は10mm、短辺の長さL1は50mm、長辺の長さL2は100mmであった。折れ曲がりの角度αは120度であった。
試料44の折れ曲がりの部分を上に突状態として長辺の水平に対する角度を40度とし、試料44の短辺50(一の辺13)の下端を水(蒸留水)に浸した。水が多孔質層48に浸透及び吸収され、毛細管現象により短辺50を斜め上に上昇し、やがて長辺52(他の辺15)を斜め下に下降し長辺52の下端から滴下した。短辺50の下端が水に浸されている限り、長辺52からの水の滴下が継続した。滴下量は1滴/2秒であった。
実験例2
泥漿として、粒径0.5mmアンダーのセラミック粒子100重量部、土灰釉5重量部に適量の水を加えて粘度を調整し作った。セラミック粒子としては、碍子の粉砕物を用いたほかは実験例1と同様にして棒状の試料44を作成し、短辺50の下端を水に浸した。長辺52からの水の滴下量は1滴/4秒であり、焼失性の樹脂粉末が泥漿に添加されている実験例1の場合のほうがサイフォン効果による導水効果が大であることが見出された。
本明細書における多孔質層の導水性の有無は、陶磁器基体46に全面に多孔質層を形成し、実験例1の態様で多孔質層に導水させたときの水の滴下速度で判定することができる。滴下速度が1滴/6秒以上のとき、この多孔質層は導水性を有する多孔質層である。
本発明の多孔表面陶磁器は植木鉢に適用して、手をかけることなく鉢内の用土の湿り気を好適に維持することができる。この態様の1例を図3に示す。図3において、植木鉢20は、底壁31を共有する内側容器(容器形状部)32と、外側容器部34との二重壁構造容器の構造を有し、内側容器32の側壁131の内外面及び上縁部表面に多孔質層4bが形成されている。底壁31の中央には水抜き穴35が形成されている。このように陶磁器基体6bの表面の一部分に多孔質層4bが形成されている。水抜き穴35は植生の態様によっては必ずしも必要でない場合もある。
外側容器部34の周側壁135は側壁131を囲んで底壁31の周縁から立設し、周側壁135と側壁131との間に空間39が形成される。
内側容器32は植木鉢の形状をなし、用土36を入れて植物38が植生される。空間39に水40が貯留される。図4の内側容器32の上縁60近傍aの拡大図にも示すように、水40は多孔質層4bを導水路部として矢印320mの方向に内側容器32の外壁面から内側容器32の上縁60を経由して内側容器32の内壁面に達し、次いで用土36に吸収される。内側容器32の外周の多孔質層4bが、外周の上の部分で大気に露出されることになり、この露出部分から水が蒸散して内側容器32が冷却される効果を伴った植木鉢が得られる。
外側容器部34の高さと内側容器32の高さとの比率は略1:1であるが、例えば1:2〜1:10と外側容器部34の高さが内側容器32の高さより低くされてもよい。この場合は、内側容器32の外周の多孔質層4bの大部分が外周の上の部分で大気に露出されることになり、この露出部分から水が蒸散して内側容器32が冷却される効果が大きい。
内側容器32の周壁が通常の素焼き陶器からなる態様にあっては、水40が周壁に浸透して周壁を通過し、用土36に達するが、このような態様においては、時間当りに周壁を通過する量が多く、用土36の水分が過剰になりやすい。また、貯留された水40の減少速度が速く、空間39への頻繁な水の補充が必要となる。
これに対して、本発明の多孔表面陶磁器による植木鉢20においては、多孔質層4bを通じて少量の一定量の水が絶えず用土36に供給されるので、用土36の適切な湿り気が維持されるとともに空間39への頻繁な水の補充を必要としない。
本発明の多孔表面陶磁器を植木鉢に適用した他の態様を図5に示す。図5において、植木鉢70は容器形状をなし、底壁72と底壁72の上部に設けられた中底板74と、底壁72の周縁から立設する側壁77を備えてなる二重底構造の陶磁器基体6cの表面の一部分に多孔質層4cが形成されてなる。多孔質層4cは、側壁77の内外面及び上縁部に形成されている。底壁72と側壁77とは一体に成形されている。
植木鉢70の中底板74の上部に用土36を入れて植物38が植生される。中底板74と底壁72の間の空間79に水40が貯留される。
植木鉢70においては、多孔質層4cを通じて空間79に貯留された水40から少量の一定量の水が絶えず用土36に供給されるので、用土36の適切な湿り気が維持されるとともに空間79への頻繁な水の補充を必要としない。
本発明の多孔表面陶磁器を植木鉢に適用したさらに他の態様を図6に示す。図6において、植木鉢構造80は、水貯留用容器82と、水貯留用容器82の中がわに載置された植木鉢形状の多孔表面陶磁器4aとから構成される。多孔表面陶磁器4aの底面は水抜き穴を有しない。多孔質層4dが、多孔表面陶磁器4aの陶磁器基体6dの側壁77aの内外面及び上縁部に形成されている。
多孔表面陶磁器4aに用土36を入れて植物38が植生される。水貯留用容器82に水40を貯留する。水40は多孔質層4dを導水路部として多孔表面陶磁器4aの外壁面から多孔表面陶磁器4aの上縁100を経由して多孔表面陶磁器4aの内壁面に達し、次いで用土36に吸収される。
植木鉢構造80においては、多孔質層4dを通じて少量の一定量の水が絶えず用土36に供給されるので、用土36の適切な湿り気が維持されるとともに水貯留用容器82への頻繁な水の補充を必要としない。
本発明の多孔表面陶磁器を花瓶用の水容器に適用した態様を図7に示す。図7において、本発明の花瓶構造90が、水受け容器92と、水受け容器92に載置され生け花104が活けられる花瓶形状の水容器95とから構成される。水容器95は陶磁器基体6aと陶磁器基体6aの表面に設けられた多孔質層4dとで構成される。水容器95の底部が水受け容器92の中がわに位置するように水容器95が水受け容器92の上縁98で支承される。
本発明の多孔表面陶磁器を花瓶に適用した態様を図8に示す。図8において、本発明の花瓶構造100が、水受け容器102と、水貯留用容器102の内底に載置された水容器95とから構成される。多孔質層4dは水容器95の周壁の内外面及び上縁部表面に設けられている。
花瓶構造90、花瓶構造100においては、生け花104を活けるための活け水106が多孔表面陶磁器94の周壁の内面において多孔質層4dに接しており、活け水106は周壁の内面から多孔質層4dを導通して水容器95の上縁部表面を経由して周壁の外面に達する。周壁の外面で活け水106の一部が蒸散し、残余が周壁の外面下端部に達し、そこから水貯留用容器92あるいは水貯留用容器102の中に滴下もしくは流下する。
この周壁の外面における水の蒸散により水容器95の周壁が冷却され、これにより活け水106の温度の外気による過度の上昇が防止され、活け水106の温度を適温に維持することができる。
陶磁器基体6aは施釉されていることが好ましい。施釉により過剰な水分が水容器95の周壁に浸透して直接周壁外面に達して蒸散あるいは下方に流下し、活け水106が短時間で目減りすることが防止される。
本発明においては、床面が濡れることを厭わなければ、水容器95を直接床面に載置して花瓶として用いことができる。
図9に示すように、水容器95は水受け容器102と一体に成形されてもよい。また、図10に示すように、多孔質層4dが水容器95の周壁面に形成されていてもよい。また、図11に示すように、周壁面に形成される多孔質層4dの面積や面形状を選択することにより、多孔質層4dを導通する水の量や多孔質層4dの表面から蒸散する水の量を調整することができる。
水容器95は、花瓶のみならず、その中に貯留された水を外気より低い温度に維持する目的に広く用いることができる。通常の素焼きの甕にも蒸散による冷却効果があるとされているが、本発明においては、素焼きの甕においては水が周壁に浸透して外部に漏出するので、周壁そのものが多孔質体からなるため、周壁の強度を高めることが難しい。また、適度な浸透性を得るための材料の選定や焼き具合がデリケートである。
これに対して本発明においては、陶磁器基体6aは多孔質体である必要がないため、周壁の強度を高めるように作ることができ、かつ多孔質層の厚さや孔径を周壁の強度にかかわりなく設定できるので、例えば素焼きの甕に比べて多くの水を蒸散あるいは滴下や流下させることができる。
さらに、本発明においては、このような水容器により、図12に示すような、水を滴下させ観賞したり水を供給したりする水滴下装置133をつくることができる。図12の縦断面を有する回転体形状水容器120、喩えるならば、富士山の山頂付近のような形状を有する、本発明の多孔表面陶磁器からなる回転体形状水容器120を作成し、その陶磁器基体6eの表面に多孔質層4eを形成させた。中央の窪み128に水40を入れると、水は毛細管現象により上昇し、やがてサイフォンの原理により円錐台状筒体130の外面を下降した。喩えるならば、富士山の噴火口に水を入れると、水は火口壁を伝わって矢印320eの方向に山頂まで上昇し、さらに裾野へ向かって下降した。中央の窪み128に水を供給し続ける限り水の移動は継続した。
図12は本発明の実施の形態における液体を移動させる器具217の一例である回転体形状水容器120でもある。ここで、本明細書において液体を移動させる器具とは、液体の移動を楽しむ噴水等も含まれ、回転体形状水容器120は滴下する水を楽しむ。
図12に示すように、本実施の形態の液体を移動させる器具217は、液体貯留部145(窪み128)を形成する底面部141と、この底面部141の外周から上方に延びて形成された側壁142と、この側壁142上方の外周縁から底面部141より低い位置まで下方斜めそとがわに延びて形成された壁部143(円錐台状筒体130)と、また、底面部141に形成された高台144を有している。液体貯留部145は鉢形であってもよい。
底面部141の内面と側壁142の内面、壁部143の一部表面に多孔質層4eが形成されている。多孔質層4eは壁部143の全面に形成されていてもよい。
液体貯留部145の液体が側壁142の多孔質層4eの毛細管を通じて液体が上昇し、壁部143の多孔質層4eの毛細管を通じて液体が下降して液体を移動する。
また、前記の方法で多孔質層4eの骨材の粒度を変えることにより、液体の分離、ろ過を行う。
また、壁部143の外周の形状は長さを変え波状等に加工して、液体の移動箇所を固定してもよい
液体を移動させる器具217を複数個、あるいは図13に示す多段冷却装置223のように、液体を移動させる器具217a及び器具217aと略相似の同じような形態の器具217b〜eを多段に積み重ねて使用してもよい。この場合はある壁部143の下縁からその下方の壁部143の外周面に順次水を滴下させることができて水の移動が観賞できる。最下段の器具217eは水受け皿222の内底面に載置されている。
多段冷却装置223は強制的な送風を行わなくとも、壁部143における多孔質層4の表面からの水分の蒸散により気化熱が奪われて自然冷却される。自然冷却により、例えば、壁部143の初期の表面温度が24℃であるものが6分後には20℃になり、貯留された水40は、自然放置による場合、25時間で半減する。また、液体を移動させる器具217や多段冷却装置223を室内に置物等として設置することにより、室内の湿度を高める加湿効果が得られる。
さらに、図14に示すように、液体を移動させる器具217sを円筒状のスツール形状に成形して、エクステリア用のスツール370として用いることができる。器具217sは、陶磁器基体6xからなる、円筒部360と円筒部360の下部開口を封止する底壁362と円筒部360の上部開口を封止する座部364とで構成される。円筒部360の周壁には複数の貫通孔366が形成されている。円筒部360の内周壁面及び底壁362の内壁面に多孔質層4が形成されている。座部364の上面は暖かい触感を得るために発泡セラミックの層368でカバーされている。円筒部360の内部に留置された水40が、多孔質層4に浸透しさらに多孔質層4の表面から蒸散して気化熱を奪うことにより、周囲の温度を下げて冷感が得られる。スツール370は周囲側壁が角筒形であってもよい。
さらに、本発明の多孔表面陶磁器は送風機等の送風機と組み合わせて冷風発生器を得ることができる。この態様の一例を図15に示す。図15において、冷風発生器300はフック形に曲げられた棒状の多孔表面陶磁器2iと、水貯め部306と、不図示の送風機とを含んで構成される。多孔表面陶磁器2iは複数本が互いに平行に配されてフック部311を上にして基盤308上に立設されている。多孔表面陶磁器2iは、フック部311における先端部313が水貯め容器312(水貯め部306)に貯留された水40に浸漬されている。多孔表面陶磁器2iの表面には多孔質層444が形成されている。多孔表面陶磁器2iの下がわの直線部分が被風冷部302となっている。被風冷部は風を受けてあるいは自然に表面から液体が蒸散するときの気化熱により冷却される部分である。この態様においては、不図示の送風機による矢印320方向の風を受けて被風冷部302が冷却され冷風が発生する。
フック部311の多孔質層444が水を水貯め部306から被風冷部302に導水する導水路部304となっている。
本発明の多孔表面陶磁器を送風機と組み合わせて冷風発生器を得る他の態様の一例を図16に示す。図16において、冷風発生器300aは板状の多孔表面陶磁器2jと、水貯め部306jと、不図示の送風機とを含んで構成される。多孔表面陶磁器2jは上がわで斜めに折り曲がった板形状をなし、基盤308j上に立設されている。水貯め部306jは本発明の多孔表面陶磁器2jjからなる略矩形形状の容器であり、一の側壁330が斜め上方に向けて外向きに傾斜している。側壁330の内壁面に多孔質層444aが形成されている。
多孔表面陶磁器2jの表面には多孔質層444jが形成されている。多孔表面陶磁器2
jの下がわの立直板部分334が被風冷部302jとなっている。不図示の送風機による矢印320j方向の風を受けて被風冷部302jが冷却され冷風が発生する。
立直板部分334には複数の貫通長孔336が形成されている。
水貯め部306jに貯留された水40が、多孔質層444aに浸透して一の側壁330に沿って上昇し、一の側壁330の上縁340から、上縁340で折り下がった板部333に沿って下降して、板部333の先端から、多孔表面陶磁器2jの上がわの折り曲がった板形の部分342に水滴344となって滴下する。一の側壁330の内壁面及び板部333に形成された多孔質層444jj及び折り曲がった板形の部分342の部分の多孔質層444jが水を水貯め部306jから被風冷部302jに導水する導水路部304jとなっている。
本発明の多孔表面陶磁器を送風機と組み合わせて冷風発生器を得るさらに他の態様の一例を図17に示す。図17において、冷風発生器300bは有底円筒状の多孔表面陶磁器2kと、不図示の送風機とを含んで構成される。多孔表面陶磁器2kの外周壁面には周方向に一巡する複数のフランジ346が設けられている。
多孔表面陶磁器2kの内壁面及びフランジ346の表面を含む外周壁面には、多孔質層444kが形成されている。多孔質層444kは多孔表面陶磁器2kの表面に縦縞状に形成されてもよい。
多孔表面陶磁器2kの筒状部分が水貯め部306kとなっている。水貯め部306kに貯留された水40が多孔質層444kに浸透して内壁350に沿って上昇し、内壁350の上縁352から多孔表面陶磁器2kの外周壁に形成された多孔質層444kを経由してフランジ346の表面に形成された多孔質層444kに達する。内壁350に形成された多孔質層444k及び多孔表面陶磁器2kの外周壁の部分の多孔質層444kが水を水貯め部306kから被風冷部302kに導水する導水路部304kとなっている。
フランジ346が被風冷部302kとなっており、不図示の送風機による矢印320k方向の風を受けて被風冷部302kが冷却され冷風が発生する。
冷風発生器300、300a、300bにおいては、水貯め部に代えて圧力水を導入した管先から被風冷部に水を滴下あるいは流下させる態様であってもよい。
被風冷部302kの表面には多孔質層444kが形成されていることが好ましいが、この表面は単なる粗面などの濡れ性が良好な面であってもよい。図17に示す態様は、水貯め部306k、導水路部304k、被風冷部302kが一体となって1個の多孔表面陶磁器2kとなっているので、構造がコンパクトで成形が容易であり好ましい。
本発明の多孔表面陶磁器を送風機と組み合わせて冷風発生器を得るまたさらに他の態様の一例を図18に示す。図18において、冷風発生器150は本発明の多孔表面陶磁器からなる容器体152と送風機154とを含んで構成される。容器体152は、縦断面が「Hの字型」となる回転体の形状、即ち、下部の筒部155の上に寸胴の鉢が存在する形状をなし、この鉢形状の部分が水貯め部156となっている。下部の筒部155の筒壁には複数の貫通孔158が形成されている。また、筒部155の筒壁の内外周表面及び水貯め部156の内外表面には破線で示される多孔質層4fが形成れている。水貯め部156に水40を入れると、水は毛細管現象とサイフォンの原理により水貯め部156の外周壁である周壁181の内表面に形成された多孔質層4fに浸透し、周壁181の外表面に形成された多孔質層4f及び筒部155の外表面上部の領域に形成された多孔質層4fが導水路部209となって、水が筒部155の外表面の貫通孔158近傍の領域の多孔質層4fに導かれる。
筒部155の内部空間に設置された送風機154を運転し貫通孔158に向けて矢印320tの方向に送風すると、筒部155の筒壁の貫通孔158の近傍が被風冷部163となり、多孔質層4fに浸透した水の気化が促進され、気化熱が奪われることにより容器体152全体の温度が低下するとともに、貫通孔158から極めて冷涼な風が放出される。
冷風発生器150は、水貯め部156と筒部155とが別体で、水貯め部156が筒部155に載置された態様であってもよい。
本発明の多孔表面陶磁器を用いた冷風発生器のさらにまた他の態様の一例を図19に示す。図19において、冷風発生器160は、本発明の多孔表面陶磁器からなり、図19に示す縦断面を有する回転体、すなわち寸胴の傘立てのような形状の有底の筒胴部(筒部)162を備える。筒胴部162の筒壁には複数の貫通孔158が形成されている。また、筒胴部162には、筒胴部162の上部の開口部分に蓋するように貯水鉢161が載置されている。貯水鉢161は他の多孔表面陶磁器からなり、筒状の外周壁164と、外周壁164の下周縁から内側に向けて延出し次いで自身の中心部に向けて立ち上がる周壁166と、外周壁164の上部開口部分に蓋する蓋168とから構成される。周壁166が自身の中心部において開口されることにより、貯水鉢161にはドーナツ状の窪み169が形成される。貯水鉢161が水40を窪み169に貯蔵する水貯め部156aとなっている。周壁166の上縁は環状である。
周壁166の内壁面と中心部の開口縁部表面と外壁面とには破線で示される多孔質層4gが形成されている。さらに、貯水鉢161の下縁部173表面にも周壁166の外壁面に連なって多孔質層4gが形成されている。多孔質層4gは貯水鉢161の表面に縦縞状に形成されてもよい。また、筒胴部162の内周壁面と上縁部表面に破線で示される多孔質層4hが形成されている。多孔質層4hは筒胴部162の表面全域に形成されてもよい。
筒胴部162に貯水鉢161が載置された状態で、筒胴部162の上縁部において多孔質層4gと多孔質層4hとが接触状態となり、この接触により導水路部207が形成されて多孔質層4gに浸透している水が多孔質層4hに移行し、さらに、貫通孔158の近傍の筒胴部162の内壁面に達する。
筒胴部162の内部空間に設置された送風機154を運転し貫通孔158に向けて矢印320xの方向に送風すると、筒胴部162の壁の貫通孔158の近傍が被風冷部163aとなり、多孔質層4hに浸透した水の気化が促進され、気化熱が奪われることにより筒胴部162全体の温度が低下するとともに、貫通孔158から極めて冷涼な風が放出される。
筒部155や筒胴部162は円筒形であることが製作上好ましいが角筒形であってもよい。周壁166の上縁は楕円形や多角形や星形やひょうたん形などの閉曲線形状に開口されていてもよい。
冷風発生器150、冷風発生器160においては、水貯め部156や貯水鉢161の内壁面に形成された多孔質層4fあるいは多孔質層4gに浸透した水が被風冷部163あるいは被風冷部163aに滴下されるような滴下導水路部を有する構成であってもよい。あるいは、水貯め部156や貯水鉢161に代えて圧力水を導入した管先から被風冷部163あるいは被風冷部163aに水を滴下させる態様であってもよい。
被風冷部163あるいは被風冷部163a、の表面には多孔質層4fあるいは多孔質層4gのような多孔質層が形成されていることが好ましいが、これら表面は単なる粗面などの濡れ性が良好な面であってもよい。
冷風発生器150、冷風発生器160の構成は、水貯め部156あるいは貯水鉢161、導水路部207あるいは導水路部209、被風冷部163あるいは被風冷部163aが一体となって1あるいは2個の多孔表面陶磁器のそれぞれの部位にまとめて形成されているので、構造がコンパクトで成形が容易であり、最も好ましい。
冷風発生器160は、導水路部207及び導水路部207に連なる被風冷部163aの多孔質層4hが送風機154の送風部(プロペラ)179に面し、送風機154からの風がじかに多孔質層4hに当るので冷却効果に優れる。
本発明の冷風発生器で発生する冷風は高湿度であり、本発明の冷風発生器は室内の湿度を高める加湿器の機能を兼ね備える。
さらにまた、本発明の多孔表面陶磁器は一般的な灯油ストーブ等の液体燃料用の灯芯として好適に用いることができる。また蝋等の固型燃料用の灯芯として好適に用いることができる。
ガラス繊維の織布でできた従来のものが、使用時にガラス繊維が劣化するため一定期間の使用後に、はさみで灯芯を切り揃える必要があるのに対して、耐火度が高く、その耐用期限は半永久的な灯芯が提供される。この本発明の灯芯を使用した液体燃料の気化及び燃焼装置の部材においては、陶磁器表面の比較的薄い多孔質層において気化及び燃焼が進行するため、不完全燃焼による油煙や煤の発生が少ない。また、燃焼に伴い素地が加熱されるため、多孔質層中の液体燃料の気化が加速される効果がある。
また、本発明の多孔表面陶磁器を図20に示すような筒状の容器200に成形し、容器200の内壁面及び上縁部表面に多孔質層4を形成させ、この容器の中に液体燃料202を入れて燃焼させると、上縁部表面でリング状に炎を生じさせることができる。
図21に示すように、すり鉢状の容器204に蝋のような固型燃料206を入れて燃焼させると、容器204の内周壁面と固型燃料206の上面との境界でリング状に幻想的に炎を生じさせることができる。さらに、この容器は外観が陶磁器の質感と高級感とを有し、室内空間にも調和し易く、また釉薬や彫刻等による加飾の自由度も高いので、この容器に蝋のような固型燃料を入れてなるろうそくは、室内装飾用の高級感に富むキャンドルグッズとして好適に用いられる。多孔質層は容器表面に縞状に形成されてもよい。この場合は、とびとびに、多孔質層が形成された部分から炎が生じ、さらに装飾効果が高まる。
本発明の多孔表面陶磁器を灯芯として用いた燃焼装置の態様の一例を図22の断面図に示す。ここで、本明細書において燃焼装置とは、液体燃料を気化させることにより燃焼させる部材も含まれる。図22のように耐熱陶器素地を用いた多孔表面陶磁器により底の無い円筒体170を作成し、円筒全体の表面に破線で示される多孔質層4を形成させる。灯油191が入った容器172に円筒体170の下端を浸すと、毛細管現象により灯油は口縁部まで矢印320hの方向に上昇する。口縁部に点火すると、口縁部において火は灯油が無くなるまで燃え続ける。円筒体170の側面に多数の穴を開けると円筒の内部に酸素が多く取りいれられるため燃焼の効率がさらに改善される。
図22に示すように、本実施の形態の燃焼装置177は、液体貯留部175が形成された容器172と、この容器172の中に、底壁部の一部に穴185が開いている円筒状の燃焼芯部材(円筒体)170を収容し、容器172の液体供給口184より燃焼芯部材170の先端部が飛び出した形状から成る。
燃焼芯部材170の一部表面、または全面に多孔質層4が形成されている。
液体貯留部175の液体燃料が燃焼芯部材170の多孔質層4の毛細管を通じて液体が矢印320hの方向に上昇し、燃焼芯部材170の先端186で空気と混ざり燃焼する。このように、燃焼芯部材170が灯芯として機能する。
また、燃焼芯部材170の形状は筒状に限られない。さらに、燃焼芯部材170の上部に空気取り入れ口187が設けられていると、燃焼効果がさらに優れたものになる。
また、先端部186を囲うように燃焼室が設けられていてもよい。
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、原料の種類や調合比、焼成条件等の製造方法に関し、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。
以下、本発明の実施例を、場合によっては図面を参照しつつ具体的に説明する。なお、発明の実施の形態は、本発明が実施される特に有用な形態としてのものであり、本発明がその実施の形態に限定されるものではない。
実施例1
本発明の多孔表面陶磁器として図3に示す植木鉢20を作成した。まず、信楽粘土を原料として陶磁器基体6bの形状に成形、乾燥し、800℃で素焼きし、素地を作成した。次いで、この素地の表面全般に通常の方法で釉薬を塗布し1200℃で本焼きした。釉薬には土灰釉を用いた。つぎに、この本焼きされた陶磁器基体6bの、多孔質層4bが形成されるべき表面領域に泥漿を塗布し1250℃で焼成した。
泥漿は、粒径0.5mmアンダーのセラミック粒子100重量部、土灰釉5重量部、平均粒径50μmの球状中空の樹脂粉末(エクスパンセル社製、商標EXPANCEL−551WE)5重量部を加え、さらに適量の水を加えて粘度を調整し作った。セラミック粒子としては、碍子の粉砕物を用いた。
得られた植木鉢20における多孔質層4bの厚さは1mmであった。多孔質層4bは、セラミック粒子がアワオコシ状に連続気孔を有して釉剤を介して焼結により結合されてなるものであった。
内側容器32に用土36を入れて植物38(ゴムの木)を植生した。多孔質層4bを通じて少量の一定量の水が絶えず用土36に供給されるので、用土36の適切な湿り気が維持されるとともに空間39への頻繁な水の補充を必要としなかった。
実施例2
図7に示す植木鉢構造80を作成した。まず、信楽粘土を原料として陶磁器基体6dの形状に成形、乾燥し、800℃で素焼きし、素地を作成した。つぎに、陶磁器基体6dの、多孔質層4dが形成されるべき表面領域に泥漿を塗布し1250℃で焼成し、多孔表面陶磁器4aを得た。
泥漿は平均粒径0.2mmの川砂100重量部、糊剤(CMC)5重量部、平均粒径50μmの球状中空の樹脂粉末(エクスパンセル社製、商標EXPANCEL−551WE)30重量部を加え、さらに水を加えて作った。
得られた多孔表面陶磁器4aにおける多孔質層4dの厚さは1mmであった。
多孔表面陶磁器4aに用土36を入れて植物38(さつき)を植生した。水貯留用容器82に水40を貯留した。水40は多孔質層4dを導水路部として多孔表面陶磁器4aの外壁面から多孔表面陶磁器4aの上縁100を経由して多孔表面陶磁器4aの内壁面に達し、次いで用土36に吸収された。
植木鉢構造80においては、多孔質層4dを通じて少量の一定量の水が絶えず用土36に供給されるので、用土36の適切な湿り気が維持されるとともに水貯留用容器82への頻繁な水の補充を必要としなかった。
実施例3
素地として、多孔質層4dが形成されるべき表面領域のみに施釉して本焼して得た陶器を用いたほかは実施例3と同様にして植木鉢構造を得た。この植木鉢構造においては、多孔質層4dを通じて少量の一定量の水が絶えず用土36に供給されるので、用土36の適切な湿り気が維持されるとともに水貯留用容器82への頻繁な水の補充を必要としなかった。また、多孔表面陶磁器4aの壁面から直接に用土に水が達することがないので、用土の湿り気状態が植生にとって最適に維持された。
実施例4
耐熱陶器素地により円筒型の容器を作成し、実施例1の方法により円筒の内面と口縁部に多孔質層を形成させて多孔表面陶磁器からなる容器を得た。容器の中に灯油を入れたところ、灯油は毛細管現象により口縁部まで上昇した。口縁部に点火したところ、火は口縁部において灯油が無くなるまで燃え続けた。
実施例5
耐熱陶器素地により湯飲み形の容器を作成し、実施例1の方法により容器の内面と口縁部に多孔質層を形成させて多孔表面陶磁器からなる容器を得た。容器の外周面には施釉により装飾模様を付けた。円筒の中に蝋をいれて暖めて蝋をとかして固まらせ、蝋の上面が水平になるように充填しろうそくを得た。点火により火は口縁部において環状の炎を作って幻想的に燃え続けた。
実施例6
図7に示す花瓶構造90を作成した。まず、信楽粘土を原料として水貯留用容器92の形状に成形、乾燥し、800℃で素焼きし、素地を作成した。次いで、この素地の表面全般に通常の方法で釉薬を塗布し1200℃で本焼きした。釉薬としては土灰釉を用いた。つぎに、この本焼きされた陶磁器基体6aの、多孔質層4dが形成されるべき表面領域に実施例1と同様の泥漿を塗布し1250℃で焼成した。得られた水貯留用容器92における多孔質層4dの厚さは1mmであった。
水貯留用容器92に水を入れて花瓶として使用した。多孔質層4dを通じて少量の一定量の水が絶えず水貯留用容器92の外側表面に供給されて蒸散するので表面温度が低下した。夏場に、同形の通常の花瓶の使用状態における表面温度が28.6℃であったのに対して、同一の外気条件で使用したこの花瓶構造90の水貯留用容器92の表面温度は20.8℃であった。
陶磁器表面の多孔質層による分離及びろ過機能により、上水道や電力の使用が不可能な条件において、簡易な水質浄化装置としての利用の可能性がある。
簡易な水質浄化装置としての利用に加え、サイフォンの原理により水を連続的に滴下させることにより、水生生物の飼育のための曝気装置としての利用の可能性がある。
図12に示す水滴下装置133の形状を多段式にし、陶磁器表面の多孔質層の表面積を増やすことにより、動力を必要としない簡易な加湿器具としての利用の可能性がある。
多孔表面陶磁器表面の多孔質層に芳香、消臭等の機能を有する液体を浸透、吸収させることにより、素地の機械的強度が高く、しかも機能を有する液体の気化が容易になされる器具としての利用の可能性がある。
多孔表面陶磁器表面の多孔質層による分離及びろ過機能と、液体燃料の気化及び燃焼装置の部材としての機能を組み合わせることにより、廃油及び使用済み調理油等を燃料とする燃焼装置としての利用の可能性がある。
本発明の多孔表面陶磁器の構成を説明する断面模式図である。本発明の植物覆い具の態様の一例を示す斜視図である。 本発明の多孔表面陶磁器の機能を説明するための試料の構成を示す斜視模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器による植木鉢の構成の一例を示す断面模式図である。 図3に示す多孔表面陶磁器の内側容器の上縁近傍の拡大模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器による植木鉢の構成の他の一例を示す断面模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器による植木鉢の構成のさらに他の一例を示す断面模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器を花瓶用の水容器(花瓶)に適用した態様の一例を示す断面模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器を花瓶に適用した他の態様の一例を示す断面模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器を花瓶に適用したさらに他の態様の一例を示す断面模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器を花瓶に適用したまたさらに他の態様の一例を示す断面模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器による水容器の態様の他の一例を示す断面模式図であり、図11(a)と図11(b)とでは態様が異なる。 本発明の多孔表面陶磁器による水容器の態様のさらに他の一例を示す断面模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器による水容器を重畳した態様の一例を示す断面模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器による水容器を応用したストールの態様の一例を示す断面模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器を用いた冷風発生器の構成の一例を示す模式図であり、図15(a)は側面図一部断面図、図15(b)は正面図である。 本発明の多孔表面陶磁器を用いた冷風発生器の構成の他の一例を示す模式図であり、図16(a)は側面図一部断面図、図16(b)は上面図、図16(c)はこの冷風発生器における、被風冷部を備える多孔表面陶磁器の正面図である。 本発明の多孔表面陶磁器を用いた冷風発生器の構成のさらに他の一例を示す模式図であり、図17(a)は正面図、図17(b)は平面図である。 本発明の多孔表面陶磁器を用いた冷風発生器の態様の一例を示す断面模式図一部透視図である。 本発明の多孔表面陶磁器を用いた冷風発生器の態様の他の一例を示す断面模式図一部透視図である。 本発明の多孔表面陶磁器による灯芯を応用した容器を説明する断面模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器による灯芯を応用したろうそくの構成を説明する断面模式図である。 本発明の多孔表面陶磁器を灯芯として用いた燃焼装置の態様の一例を示す断面模式図である。
符号の説明
2、2p、2i、2j、2jj、2k:多孔表面陶磁器
4、4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h、444、444a、444j、444k、444jj:多孔質層
6、6a、6b、6c、6d、6e:陶磁器基体
8:セラミック粒子
10:釉
20:植木鉢
31:底壁
32:内側容器(容器形状部)
34:外側容器部
36:用土
38:植物
39:空間
40:水
70:植木鉢
72:底壁
74:中底板
77、77a、142:側壁
80:植木鉢構造
82:水貯留用容器
90:花瓶構造
92、102:水受け用容器
95:水容器
100:花瓶構造
102:水貯留用容器
104:花木
106:活け水
133:水滴下装置
120:回転体形状水容器
128:窪み
129:水
130:円錐台状筒体
131:側壁
145、145a:液体貯留部
141:底面部
143:壁部
144:台座壁部
150、160、300、300a、300b:冷風発生器
152:容器体
154:送風機
155:筒部
156、156a、306、306j、306k:水貯め部
158:貫通孔
161:貯水鉢
162:筒胴部(筒部)
163、163a、302、302j、302k:被風冷部
164:外周壁
166、181:周壁
168:蓋
169:窪み
170:円筒体(燃焼芯部材)
172:容器
173:下縁部
177:燃焼装置
175:液体貯留部
184:液体供給口
185:穴
204:容器
206:固型燃料
207、209、304、304j、304k:導水路部
217、217a:器具

Claims (10)

  1. 表面の少なくとも一部に多孔質層が形成された陶磁器であって、該多孔質層はセラミック粒子が焼結によりアワオコシ状に結合されて連続気孔を有してなりかつ導水性を有するものである、多孔表面陶磁器。
  2. 前記多孔質層が、セラミック粒子と釉剤と焼失性粒子とを含む焼成前駆体の層を焼成してなる請求項1に記載の多孔表面陶磁器。
  3. 前記陶磁器が、底壁と該底壁周縁部から立設する側壁とを備える容器形状部を備え、前記側壁の内外面の上部、及び、該内外面それぞれに連なる前記側壁の上縁部表面に前記多孔質層が形成された請求項1又は2に記載の多孔表面陶磁器。
  4. 前記陶磁器が、周側壁を有する外側容器部を備え、該外側容器部は前記容器形状部と前記底壁を共有し、該周側壁は前記側壁を囲んで前記底壁の周縁から立設し、該周側壁と前記側壁との間に空間が形成された請求項3に記載の多孔表面陶磁器。
  5. 前記陶磁器が、前記側壁の上縁部の少なくとも一部で外側下方に折り返されて下方に延出された折り返し部を有し、該折り返し部の上面に前記多孔質層が形成された請求項3に記載の多孔表面陶磁器。
  6. 請求項1又は2に記載の多孔表面陶磁器からなる灯芯。
  7. 被風冷部と、水貯め部と、該水貯め部に貯留された水を該被風冷部に導水する導水路部と、該被風冷部に向けて風を送る送風機と、を含んで構成される冷風発生器であって、前記被風冷部、前記水貯め部、前記導水路部から選択されるものが請求項1又は2に記載の多孔表面陶磁器を含んでなる冷風発生器。
  8. 周壁を備える前記水貯め部と該水貯め部の下方に位置する筒部とを含んで構成された、請求項1又は2に記載の多孔表面陶磁器を備え、前記周壁の内外面及び上縁部表面に前記多孔質層が形成され、該筒部の筒壁に貫通孔が形成され、該筒部の該貫通孔の近傍の表面及び該表面に連なって該筒部の上縁部表面に前記多孔質層が形成されて該筒部の該貫通孔の近傍が前記被風冷部となり、該筒部の上縁部に形成された多孔質層と前記周壁の外面に形成された多孔質層とが連接して前記導水路部が形成され、該筒部に前記送風機が内蔵された請求項7に記載の冷風発生器。
  9. 請求項1又は2に記載の多孔表面陶磁器からなり周壁を備える水貯め部と、他の請求項1又は2に記載の多孔表面陶磁器からなり該水貯め部を載置する筒部とを含んで構成され、前記周壁の内外面に前記多孔質層が形成され、該筒部の筒壁に貫通孔が形成され、該筒部の該貫通孔の近傍の表面及び該表面に連なって該筒部の上縁部表面に前記多孔質層が形成されて該筒部の該貫通孔の近傍が前記被風冷部となり、該筒部の上縁部に形成された多孔質層と前記周壁外面の下縁部に形成された多孔質層とが接触して前記導水路部が形成され、該筒部に前記送風機が内蔵された請求項7に記載の冷風発生器。
  10. 前記水貯め部が外周壁を備え、前記周壁が該外周壁の下周縁から該外周壁の内側に向けて延出し次いで立ち上がり、該周壁の上縁が閉曲線形状をなす、請求項9に記載の冷風発生器。
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