JP2006206365A - セラミック粉末の製法、セラミック粉末、セラミック焼結体並びに電子部品 - Google Patents

セラミック粉末の製法、セラミック粉末、セラミック焼結体並びに電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】微粉末であっても焼結したときに添加成分の固溶量を抑制できるセラミック粉末、およびそのようなセラミック粉末を用いて作製されるセラミック焼結体およびその製法と、並びに、前記セラミック焼結体を具備する電子部品を提供する。
【解決手段】6面体を基本的な結晶構造第1セラミック粉末1と、該第1セラミック粉末1とは組成の異なる第2セラミック粉末3とを撹拌容器内に投入した後、前記第1セラミック粉末1および第2セラミック粉末3の両粉末に、直流電場、又は100Hz以下の交流電場を印加しながらメカノケミカル反応法を適用して得られ、前記第1セラミック粉末1の表面からの厚み10nm以内に、第2セラミック粉末3との反応層5が形成され、平均粒径を200nm以下としたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、セラミック粉末の製法、セラミック粉末、セラミック焼結体並びに電子部品に関し、特に、セラミックコンデンサや圧電素子などに用いられるセラミック粉末およびその製法、セラミック焼結体並びに電子部品に関する。
現在、セラミック焼結体は、積層セラミックコンデンサや圧電素子など、あるいは配線基板の絶縁層として幅広く用いられている。
このようなセラミック焼結体に用いられるセラミック粉末は、通常、以下のような工程を経て調製される。例えば、安価な原料を調達できかつ量産に適しているとされる固相法を用いて得られるセラミック粉末は、まず、金属酸化物や炭酸化合物など種々の素原料粉末を、求めるセラミック焼結体の組成比率になるように配合し、次いで、これらの粗原料粉末に含まれる揮発成分を除去するための仮焼が行い、セラミック粉末の機能性制御のために、主成分のセラミック粉末に対して、添加剤成分を固溶させた仮焼粉末を調製している。その後、この仮焼物を粉砕して所定の粒度分布に調整され用いられている(例えば、非特許文献1)。
また、近年、電子部品用セラミックスとして小型高容量化がめざましい積層セラミックコンデンサに用いられる誘電体粉末は、例えば、下記の特許文献2によれば、主成分のチタン酸バリウム粉末と添加物とを混合し、その混合粉末をメカノケミカル反応法により調製することが開示されている。このように、チタン酸バリウム粉末などのセラミック粉末に上記メカノケミカル反応法を適用すると、チタン酸バリウムの主成分粉末に対して副成分である添加物を均一に固溶させることができるとされている。
セラミック工学ハンドブック 日本セラミック協会編 技報堂出版 P153〜154 特開平10−158059号公報
しかしながら、非特許文献1に記載のように、固相法によって得られるセラミック粉末は、上記のように、用いる金属酸化物や炭酸化合物などの種々の素原料粉末を、求めるセラミック焼結体の組成比率になるように配合した後に、高温でこれらの粗原料粉末に含まれる揮発成分を除去するために、通常、配合した素原料粉末を高い温度で一括して仮焼を行うために、添加した成分によっては、拡散速度の違いによって、主成分のセラミック粉末に対して、添加剤成分の拡散長が大きくなり、主成分であるセラミック粉末の特性が却って低下するという問題があった。
次に、上記特許文献2に記載のメカノケミカル反応法により得られるチタン酸バリウム粉末は、原料粉末の平均粒径が1μm以上である場合には、添加剤を主原料粉末に層状に形成できるなど効果があるが、主原料粉末の大きさが1μmよりも小さくなると、過度の機械的な力により、得られる合成粉末が変形されやすく、このような強い機械的な力のために、得られる粉末の結晶性が低下し、磁器の比誘電率を高くできないという問題があった。
これに対して、メカノケミカル反応における機械的な力を低く抑えた場合には、粉末間におけるメカノケミカル反応が進まず、主成分のセラミック粉末の表面への添加成分の固溶が少なく、この場合、添加成分が主成分のセラミック粉末に十分に担持されずに存在するために、この添加成分を起点とした粒成長や異種結晶の生成により、このような場合にもセラミック焼結体の特性の低下を招くという問題があった。
従って、本発明は、微粉末であっても焼結したときに添加成分の固溶量を抑制できるセラミック粉末およびその製法と、そのようなセラミック粉末を用いて作製されるセラミック焼結体、並びに、前記セラミック焼結体を具備する電子部品を提供することを目的とする。
本発明のセラミック粉末の製法は、(1)6面体を基本的な結晶構造とする第1セラミック粉末と、該第1セラミック粉末とは組成の異なる第2セラミック粉末とを撹拌容器内に投入した後、前記第1セラミック粉末および第2セラミック粉末の両粉末に、直流電場、又は100Hz以下の交流電場を印加しながらメカノケミカル反応法を適用して得られことを特徴とする。
また本発明のセラミック粉末は、(2)前記第1セラミック粉末の表面からの厚み10nm以内に、第2セラミック粉末との反応層が形成され、平均粒径を200nm以下としたことを特徴とする。
上記セラミック粉末では、(3)第1セラミック粉末が、Ba、SrおよびCaのうちの1種以上の元素と、Ti、ZrおよびHfのうちの少なくとも1種以上の元素と、酸素とから構成される金属酸化物であり、第2セラミック粉末が、少なくともMg、Mn、Siおよび希土類元素のうちの少なくとも1種の元素と酸素とから構成される金属酸化物であること、(4)第1セラミック粉末の結晶構造の格子定数比c/aが1.008以上であることが望ましい。
本発明のセラミック焼結体は、(5)上記のセラミック粉末を成形し、焼成して得られ、平均粒径が300nm以下のペロブスカイト型結晶構造を有する第1セラミック粒子により構成されてなり、かつ、前記第1セラミック粒子の表面からの厚み20nm以内の反応層に、前記第1セラミック粒子とは組成の異なる第2セラミック粉末の元素が存在することを特徴とする。
上記セラミック焼結体では、(6)第1セラミック粒子の結晶構造の格子定数比c/aが1.008以上であることが望ましい。
また本発明の電子部品は、(7)誘電体層の主面上に導体層を具備する電子部品であって、前記誘電体層が上記のセラミック焼結体からなることを特徴とする。
本発明にかかるセラミック粉末は、直流電場、又は100Hz以下の交流電場を印加しながらメカノケミカル反応法を適用して得られたものである。このような製法によって得られたセラミック粉末は、従来の固相法のような高温での仮焼を伴わないことから、拡散速度の大きい添加剤成分であっても主成分のセラミック粉末に対する拡散長の拡大を抑制でき、これにより主成分であるセラミック粉末の特性を維持した高特性の微粒のセラミック粉末を得ることができる。
また、本発明のセラミック粉末を用いて形成されるセラミック焼結体は、上記のように添加成分の拡散長が抑制されたものであり、かつ、添加成分のほとんどが主成分であるセラミック粉末に担持され固溶されているために、この添加成分を起点とした粒成長や異種結晶の生成をも低減でき、これによってもセラミック焼結体の特性(例えば、格子定数c/a、機能特性など)を高めることができる。
さらに、本発明のセラミック焼結体を用いて形成される電子部品は、上記したように、添加成分の拡散長が抑制され、かつ、添加成分を起点とした粒成長や異種結晶の生成をも低減できたものであるために、優れた特性を有する電子部品を提供できる。
図1は、本発明のセラミック粉末を示す模式図である。本発明にかかるセラミック粉末は、ペロブスカイト型結晶構造に代表される6面体を基本的な結晶構造とする第1セラミック粉末1の表面からの厚み10nm以内に、第2セラミック粉末2の成分との反応層3が形成され、平均粒径を200nm以下としたことを特徴とする。セラミック粉末の平均粒径が200nm以下であると、例えば、積層セラミックコンデンサの誘電体層の薄層化にとって有利である。この場合、セラミック粉末について高い結晶性を有し、高機能性を発揮するという理由から40nm以上であることが好ましい。一方、セラミック粉末の平均粒径が200nmよりも大きい場合には、上記利点を有するセラミック焼結体に比較して、誘電体層の薄層化や高強度化に向かないものとなる。
また、本発明では、第1セラミック粉末の表面からの厚み10nm以内に第2セラミック粉末の成分が固溶し、反応相を形成していることが重要である。添加成分がこのように薄い層に存在するように形成されると、粒子の基本的な結晶構造を崩すことなくその主成分のセラミック粉末が有する基本的な特性を引き出すことができる。反応相としては第1セラミック粉末と第2セラミック粉末との化合物、第1セラミック粉末および第2セラミック粉末の構成成分どうしの反応生成物、第1セラミック粉末中への第2セラミック粉末中の成分の固溶物などが挙げられる。その第2セラミック粉末の成分が固溶している厚みはセラミック粉末の焼結性向上や誘電特性の温度特性を高めるという理由から4nm以上であることが望ましい。
本発明における第2セラミック粉末の成分が固溶している拡散長は分析電子顕微鏡によって測定でき、この場合、分析データにおいてセラミック粉末の表面から内部にかけての濃度分布を示す曲線に対する接線と、一方のセラミック粉末の内部から表面にかけての濃度分布を示す曲線に対する接線との交点によって求められるものである。従って、本発明にかかるセラミック粉末においては、第2セラミック粉末の成分が少なからず第1セラミック粉末の内部に固溶している場合もある。
そして、本発明にかかる第1セラミック粉末は、Ba、SrおよびCaのうちの1種以上の元素と、Ti、ZrおよびHfのうちの少なくとも1種以上の元素と、酸素とから構成される金属酸化物であり、特に、誘電体粉末として高誘電率を示すBaTiOや、BaサイトにCaまたはSrの一種類以上が原子比で0.2以下の割合で固溶し、一方、TiサイトにZr、Hfの一種類以上が原子比で0.2以下の割合で固溶した複合酸化物などがより好ましいものである。
一方、第2セラミック粉末は、少なくともMg、Mn、Siおよび希土類元素(Yを含む)のうちの少なくとも1種の元素と酸素とから構成される金属酸化物であるが、このうち希土類元素(RE)として、Y、Yb、Dy、Hoが、例えば、第1セラミック粉末の比誘電率の向上および比誘電率の温度特性の安定性という点でより好ましい。
その組成は、Re:0.5〜2、Mg:0.05〜0.3、Mn:0.05〜0.3、Si:0.5〜3(質量%)、(残部が第1セラミック粉末)の範囲であることが望ましい。
上記Ca、SrおよびZr、Hfの固溶は、誘電体の相変態点をシフトする影響があり、温度特性を平坦化にする効果がある。また、第2セラミック粉末の成分中、Siはガラスを生成し焼成を促進する。希土類元素とMg、Mnは、Siの拡散を抑制し、粒成長を防止する効果および温度特性改善の効果がある。
また、本発明に係る第1セラミック粉末の結晶構造の格子定数比c/aは、第1セラミック粉末の正方晶率を高めて比誘電率を高めるという理由から1.008以上であることが望ましい。
本発明のセラミック粉末を調製する方法は、上述した第1セラミック粉末および第2セラミック粉末の両粉末を撹拌容器内に投入した後、この両粉末に、直流電場、又は100Hz以下の交流電場で発生するプラズマ印加によるメカノケミカル反応法を適用するものである。
本発明にかかるメカノケミカル反応法は、従来の機械的な力のみで行っていたメカノケミカル反応法に比較して、機械的な力に加えて、電場によるプラズマの誘起により、混合される原料粉末間においてプラズマによるエネルギーをも付加できることにより粉末間の反応性をより高めることができる。
この場合、粉末に対して誘起エネルギーをあらゆる方向から連続的に供給でき、かつ用いる粉末の粒径や反応性に対しても、周波数や電力、それによる熱量などの操作条件を制御しやすいという点で交流電場が好ましく、その場合、特に、周波数は10〜100Hzがより好ましい。
本発明によれば、従来の固相法で行われる湿式混合から仮焼、粉砕までの工程を、乾式混合とメカノケミカル反応で置き換えることによって固相法における仮焼時の第1セラミック粉末に対する第2セラミック粉末の成分の拡散長を抑制できる。また、このような処理により、本発明の第1、第2セラミック粉末が均一分散したセラミック粉末を得ることができる。
また、本発明にかかるメカノケミニカル反応法では、プラズマを用いることでメカノケミカル反応をより低温化できる方法であるが、温度としては50℃以下の室温付近の温度で行うことがより好ましい。これにより、過度の固溶長増加がさけられる。このため得られる粉末の粒成長を抑制できより微粒化した粉末を得ることができる。
また、本発明にかかるメカノケミカル反応法では、プラズマ発生の安定性という点で不活性ガスを媒体とする低酸素濃度雰囲気下で行うことが好ましい。
また反応時の容器(撹拌子)の回転速度は、粉末の分散性を高めるという点で毎分1000回以上であることが好ましい。なお、撹拌時間はセラミック粉末の担持や固溶の程度によって調製される。
そして、本発明によれば、上述のように、仮焼や粉砕工程を省いて調製できることから、焼成後のセラミック粒子の平均粒径を、前記第1セラミック粉末の平均粒径に対して、1.1〜1.5倍の粒径比の範囲に制御できる。本発明では、このように元の第1セラミック粉末の粒径に近い粉末が得られることから、粒径のより小さい原料粉末を選択することにより、得られるセラミック粉末をより微粒なものにできる。
また、本発明のセラミック粉末は、上述のように室温付近でのメカノケミカル反応により合成されるものであるが、同時にプラズマ処理を伴うことから当該粉末に対する原料である素原料粉末の残存物や不純物を揮発させることができ、それらの残留濃度を合計で0.1%以下にできる。この結果、当該セラミック粉末の粒内において、例えば、OH基などの不純物に基づく四角空隙型結晶欠陥の生成をも抑制できる。
また、本発明の製法では、原料粉末を混合しながら反応させるために混合物内の反応を均一にすることが可能となり、例えば、原料である第1セラミック粉末と第2セラミック粉末が局所的に残留することがなく、その構成比(第1セラミック粉末/第2セラミック粉末比)のバラツキを0.005以下に抑えることができる。
さらには、従来、固相法で行われていた、湿式混合、乾燥、造粒、仮焼、解砕という5つの工程を一挙に行うことができるため製造コストを著しく削減できる。
また、この発明に係るセラミック粉末は、固相法や液相法などの従来法により調製されるセラミック粉末よりも粒度分布が均一となり、微粒かつ無欠陥化も可能である。
なお、本発明のセラミック粉末は、上記のような誘電体セラミックスの他に、第1セラミック粉末として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素、およびチタン酸アルミニウムなど、一般に構造用として用いられるセラミックス粉末にも適用できる。
上記したように、本発明にかかるセラミック粉末は第1セラミック粉末と第2セラミック粉末との固着力が高いことから、このようなセラミック粉末により形成されるセラミック焼結体は、第1セラミック粉末の周囲に存在する反応性の高い第2セラミック粉末同士が焼結しやすくなる。このため、セラミック粉末を成型、焼成した際に、セラミック焼結体における平均粒径をもとのセラミック粉末の平均粒径の1.5倍以下に制御できる。
こうして、本発明にかかるセラミック粉末を用いることにより、主結晶粒子の結晶性と添加物の固溶量を制御して高機能のセラミック焼結体を形成することができる。
即ち、上記のセラミック粉末を成形し、焼成して得られるセラミック焼結体を構成するペロブスカイト型結晶構造を有する第1セラミック粒子は、平均粒径が300nm以下であるものであり、かつ、前記第1セラミック粒子の表面からの厚み20nm以内に、前記第1セラミック粒子とは組成の異なる第2セラミック粉末の元素との反応層が存在することを特徴とするものである。この場合、反応層の領域が狭いことから、前記セラミック粉末の場合と同様に、主結晶粒子本来の機能性を維持して特性を発現できる。これにより平均粒径が300nm以下であると、小型あるいは薄層化したセラミック焼結体を形成しやすく、また、高強度化も可能である。
平均粒径が300nmよりも大きい場合には、小型あるいは薄層化したセラミック焼結体を形成しにくく、誘電体層では絶縁性が低下しやすい。また、セラミック焼結体の強度も低下する。
また、本発明にかかるセラミック焼結体では、第2セラミック粉末の元素が存在する拡散長である表面からの厚みを20nm以下とすることで、主成分であるコア部の第1セラミック粒子の特性を高めることができ、かつ粒界相の温度特性を高めることができる。反対に第2セラミック粉末の元素が存在する拡散長である表面からの厚みを20nmよりも大きくすると、コア部の第1セラミック粒子の特性が低下するばかりか粒界相の絶縁性をも低下する。
この場合、セラミック粒子を構成する成分の分布はセラミック粉末の元素の分布評価と同じように測定される。
本発明に係るセラミック粉末では、特に、誘電体粒子としての高誘電率化という理由から第1セラミック粒子の結晶構造の格子定数比c/aが1.008以上であることが好ましい。
図2は、本発明に係る電子部品の代表例である積層セラミックコンデンサを示す断面模式図である。
本発明の電子部品10は、誘電体層11の主面上に導体層13を具備する構造を基本とし、複数の誘電体層11と導体層13とが交互に積層されたものであり、前記誘電体層11が上記本発明のセラミック焼結体からなることを特徴とする。
上述のように、本発明にかかるセラミック粒子はコア部および表面付近の成分濃度が大きく異なり、第2セラミック成分の濃度の傾斜が大きいものであれば、第1セラミック粒子の特性および焼結性が高く、機能性セラミックとしての特性をより高くできる。
なお、本発明の電子部品は、本発明にかかるセラミック粉末に有機系のバインダ等を添加してシートなどの成形体を形成し、このシートの表面に導体ペーストを所定形状のパターンに印刷して形成される。次いで、導体パターンを印刷したシートを複数積層して成形体を形成する。
成形後に脱バインダ処理を行い、その後、酸化雰囲気、還元雰囲気、あるいは不活性雰囲気中のいずれかの雰囲気で焼成する。
なお、酸化雰囲気以外の雰囲気で焼成した後には、酸素分圧10Pa以上の雰囲気で再度熱処理することが好ましい。
ここで本発明のセラミック焼結体を作製する焼成温度は1100℃以下であることが望ましい。1100℃を超える温度で焼成すると、粒成長と添加剤の固溶が進みすぎるためである。焼成温度は特に1000℃以下が望ましい。
なお、導体パターンを付与しないセラミック焼結体のみの場合であっても同じような焼成温度を採ることができる。
(実験例1)
まず、表1に示す第1セラミック粉末と、予備混合し粉砕した第2セラミック粉末とを表1に示す組成比でメカノケミカル反応装置の容器に投入した。
アルゴン雰囲気中で30℃以下に温度制御した容器内に60Hzの交流電場を印加させながら、毎分3000回転の回転速度で4時間の攪拌混合によるプラズマ・メカノケミカル(MCB)処理を行った。得られたセラミック粉末について以下の評価を行った。
まず、TEM観察で平均粒径を測定した。また、ビーム径が1nmのエネルギー分散型分析(EDS)での組成分析を用いて、得られたセラミック粉末の成分分析を行った。添加物である第2セラミック粉末の構成元素は、第1セラミック粉末の周囲に単独で存在せず、ペロブスカイト型結晶粒子の表面に存在することが分かった。さらに、第2セラミック粉末の構成元素の存在幅をEDSにより評価した。また、X線回折によりペロブスカイト相のc/a比を測定した。上記評価結果を表1に示した。セラミック粉末およびセラミック粒子の平均粒径は、撮影した電子顕微鏡写真に対角線を引き、その対角線上にある粉末について長径と短径(中央部の幅)を測定して求めた。
次に、上記の製法により得られたセラミック粉末をプレス成形後、200MPaの圧力で静水圧加圧処理を行い、相対密度95%以上になるように温度を調整し、表2に示す温度で焼成した。得られたセラミック焼結体について以下の評価を行った。まず、セラミック焼結体の密度を測定した。次に、前記セラミック粉末と同様に、TEMによりセラミック粒子の粒径、および第2セラミック粉末からの添加剤成分の存在領域を測定した。セラミック焼結体の比誘電率および誘電特性の温度依存性をインピタンスアナライザーで測定した。結果を表2に示した。
比較例として、電場を印加しないメカノケミカル処理(MC)で得たセラミック粉末と、硝酸イットリウム溶液とチタン酸バリウム粉末を混合、中和沈澱後900℃仮焼で得たセラミック粉末(液相沈殿)およびそれを用いたセラミック焼結体を、本発明の試料と同様な評価を行い、この結果も表1、2に示した。
Figure 2006206365
Figure 2006206365
表1の結果から、本発明の電場を印加したメカノケミカル法により処理したセラミック粉末では、添加物の第2セラミック粉末の成分が第1セラミック粉末の表面に2〜4nmの領域にわたって均一に分散していた。
これに対して、電場を印加しない通常のメカノケミカル法で処理したセラミック粉末は、TEM観察した結果、ほぼ14〜30nmの領域にわたって第2セラミック粉末である成分が第1セラミック粉末中に拡散し、均一性は本発明の粉末にはおよばなかった。
次に、表2の結果から、本発明のセラミック粉末から得たセラミック焼結体は、すべて1100℃以下の温度で緻密に焼成でき、結晶の粒成長が抑制されていた。また、EDSより結晶粒界周辺の組成を分析した結果、添加物成分は粒界中心から20nm範囲内でしか検出できなかった。これは微粒で、添加剤が均一に分散した結果、低温焼成できたために、焼成中において、第2セラミック粉末の成分の第1セラミック粒子への固溶がわずかなレベルに抑制されたためである。
上記のセラミック焼結体はすべて2500以上の高い比誘電率を示した。また、すべての試料の温度特性はX5R(−40℃〜85℃の温度範囲において、比誘電率の温度変化率が±15%以内)を満足した。
これに対し、通常のメカノケミカル法処理の粉末から得たセラミック焼結体磁器および溶液沈澱法の粉末から得た磁器は、焼成温度がそれぞれ1130℃と1170℃を要したため、焼成中に結晶粒成長と添加剤成分の固溶が見られた。これらの試料の比誘電率は2000以下、温度特性はX5R特性も満足しなかった。
(実験例2)
次に、表1中試料No.3、7と12の誘電体粉末を用いて、積層セラミックコンデンサを作製した。セラミック粉末に有機系のバインダおよびエタノール等の有機溶剤を加え、スラリーを作製し、ドクターブレード法によってシート状に成形した。
次に、セラミックグリーンシート上にニッケルを主体とする導電性ペーストを印刷した。上記導電性ペースト膜が形成されたセラミックグリーンシートを複数積層し、窒素雰囲気中で脱バインダ処理後、還元性雰囲気中において、1000℃×2時間焼成し、焼結した積層体を得た。さらに、積層体の両端面上に、導電性ペーストを塗布し、窒素雰囲気において800℃加熱で焼き付け、積層セラミックコンデンサを得た。当電子部品の外形は、幅1.2mm、長さ2.0mmおよび厚さ1.0mmであり、誘電体層の厚みは1.5μmであった。また、誘電体セラミック層は100であった。各積層セラミックコンデンサの室温での容量を、1MHzの条件下で測定した。また、温度変化に対する静電容量の変化率を求めた。結果を表3に示す。
Figure 2006206365
表3の結果から、本発明は、高い静電容量とX7R特性を満足する優れた温度特性の電子部品を提供できることが分かる。
本発明のセラミック粉末を示す模式図(又は電子顕微鏡写真)である。 本発明に係る電子部品の代表例である積層セラミックコンデンサを示す断面模式図である。
符号の説明
1 第1セラミック粉末
3 第2セラミック粉末
5 反応層
11 誘電体層
13 導体層

Claims (7)

  1. 6面体を基本的な結晶構造とする第1セラミック粉末と、該第1セラミック粉末とは組成の異なる第2セラミック粉末とを撹拌容器内に投入した後、前記第1セラミック粉末および第2セラミック粉末の両粉末に、直流電場、又は100Hz以下の交流電場を印加しながらメカノケミカル反応法を適用して得られることを特徴とするセラミック粉末の製法。
  2. 請求項1記載のセラミック粉末の製法により得られ、第1セラミック粉末の表面からの厚み10nm以内に、第2セラミック粉末との反応層が形成され、平均粒径を200nm以下としたことを特徴とするセラミック粉末。
  3. 第1セラミック粉末が、Ba、SrおよびCaのうちの1種以上の元素と、Ti、ZrおよびHfのうちの少なくとも1種以上の元素と、酸素とから構成される金属酸化物であり、第2セラミック粉末が、少なくともMg、Mn、Siおよび希土類元素のうちの少なくとも1種の元素と酸素とから構成される金属酸化物である請求項2に記載のセラミック粉末。
  4. 第1セラミック粉末の結晶構造の格子定数比c/aが1.008以上である請求項2又は3に記載のセラミック粉末。
  5. 請求項2乃至4のうちいずれか記載のセラミック粉末を成形し、焼成して得られ、平均粒径が300nm以下のペロブスカイト型結晶構造を有する第1セラミック粒子により構成されてなり、かつ、前記第1セラミック粒子の表面からの厚み20nm以内の反応層に、前記第1セラミック粒子とは組成の異なる第2セラミック粉末の元素が存在することを特徴とするセラミック焼結体。
  6. 第1セラミック粒子の結晶構造の格子定数比c/aが1.008以上である請求項5に記載のセラミック焼結体。
  7. 誘電体層の主面上に導体層を具備する電子部品であって、前記誘電体層が請求項5又は6に記載のセラミック焼結体からなることを特徴とする電子部品。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008072072A (ja) * 2006-09-15 2008-03-27 Taiyo Yuden Co Ltd 積層セラミックコンデンサ
JP2013219316A (ja) * 2011-07-05 2013-10-24 Canon Inc 圧電素子、積層圧電素子、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、超音波モータ、光学機器および電子機器
JP2015160803A (ja) * 2014-02-26 2015-09-07 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. ジスプロシウム酸化物複合体、複合誘電体粉末及び積層セラミック電子部品
JP2016117599A (ja) * 2014-12-18 2016-06-30 株式会社サムスン日本研究所 誘電体セラミックス粒子の製造方法および誘電体セラミックス
JP2019089705A (ja) * 2019-01-28 2019-06-13 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. 誘電体セラミックス粒子の製造方法および誘電体セラミックス

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