JP2006206346A - ガラスモールド用金型並びにこれを用いた光学素子の成形装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工が容易でありながら、成形品である光学素子が型から取り出せなくなってしまうことのないガラスモールド用金型を提供すること、また、当該ガラスモールド用金型を用いた光学素子の成形装置並びに成形方法を提供すること。
【解決手段】胴型23は、光学素材の熱膨張係数以下の所定の低熱膨張係数素材から形成されているから、収縮量は光学素子50の収縮量より小さくなる。このため、境界部NCにおいて、成形面23aが光学素子50の側面を外側に押し付ける所謂焼き嵌めの状態になることがなく、逆に隙間ができ、問題なく光学素子50を取り出すことができる。一方、境界部MS側については、光学素子50を下方から支持するのみであり、光学素子50の取り出しにおいて問題は生じない。
【選択図】図3
【解決手段】胴型23は、光学素材の熱膨張係数以下の所定の低熱膨張係数素材から形成されているから、収縮量は光学素子50の収縮量より小さくなる。このため、境界部NCにおいて、成形面23aが光学素子50の側面を外側に押し付ける所謂焼き嵌めの状態になることがなく、逆に隙間ができ、問題なく光学素子50を取り出すことができる。一方、境界部MS側については、光学素子50を下方から支持するのみであり、光学素子50の取り出しにおいて問題は生じない。
【選択図】図3
Description
本発明は、非球面レンズ等を成形する際に用いるガラスモールド用金型及びこれを用いた光学素子の成形装置並びに成形方法に関する。
従来、ガラスモールドによる光学素子の成形方法において、成形金型には、ガラスが軟化する温度(概ね500℃以上)に耐えうる素材、例えば、超硬合金を代表するタングステン合金や、シリコンカーバイドを代表するセラミックを主に使用している。
ところが、近年、ガラス素材の軟化温度の低温化が進み、金属系金型の使用が可能となっている。ここで、金属系金型とは、例えば、母材にステンレス系金属を用い、表面にニッケル、リン等による無電解メッキを施したもの等であり、超硬合金やセラミックに比べ加工が容易である。これによって低コスト・短納期で光学素子が製作可能である。(特許文献1参照)。
特開2003−277078号公報
しかしながら、金属系金型は、一般に、熱膨張率がガラス素材より大きいため、例えば、成形・冷却後周辺部材であるスリーブの内径が成形品より収縮し、成形品である光学素子が取り出せなくなってしまうという問題がある。尚、超硬合金やセラミックを用いた場合、これらの素材は、一般に、熱膨張率がガラス素材より小さいため、冷却後の取り出しに問題は生じないが、金属系金型に比べ材質は硬く、光学素子の表面を形成する成形面等の加工性には問題が残る。
従って、本発明は、加工が容易でありながら、成形品である光学素子が型から取り出せなくなってしまうことのないガラスモールド用金型を提供することを目的とする。また、本発明は、当該ガラスモールド用金型を用いた光学素子の成形装置並びに成形方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の発明に係るガラスモールド用金型は、光学素子の上面を成形する上型と、光学素子の下面を成形する下型と、光学素子の材料となる光学素材の熱膨張係数以下の所定の熱膨張係数を有する低熱膨張素材から形成され光学素子の側面を成形する胴型とを備える。
本発明においては、ガラスモールド用金型が備える上型、下型及び胴型によって、光学素子の上面、下面及び側面がそれぞれ成形される。この際、胴型が、光学素材の熱膨張係数以下の所定の熱膨張係数を有する低熱膨張素材から形成されていることにより、例えば、成形された光学素子が冷却後、側面を成形する胴型の収縮により取り出せなくなることを回避できる。尚、上型や下型は、胴型の熱膨張係数よりも大きな熱膨張係数を有する多様な材料で形成することができる。
また、第2の発明は、第1の発明に係るガラスモールド用金型において、光学素材が、低融点ガラスである。この場合、光学素材の軟化温度を低温に設定することができるので、ガラスモールド用金型の上型や下型に用いることのできる素材の自由度が増し、例えば、金属系金型の使用が可能となる。尚、ここで低融点ガラスとは、軟化温度が450℃以下のものを意味するものとする。
また、第3の発明は、第1及び第2の発明に係るガラスモールド用金型において、低熱膨張素材が、超硬合金及びセラミックの少なくともいずれか1つを含む。この場合、胴型の熱膨張係数を十分に小さくすることができる。
また、第4の発明は、第3の発明に係るガラスモールド用金型において、超硬合金が、タングステン合金を含み、セラミックが、シリコンカーバイドを含む。この場合、低熱膨張素材として所望の熱膨張係数を有する超硬合金及びセラミックを得ることができる。また、胴型を、ガラスモールド用の部材として十分な耐熱性及び耐圧性を有するものとすることができる。
また、第5の発明は、第1から第4の発明に係るガラスモールド用金型において、上型及び下型の少なくとも一方が、金属系素材により形成される。この場合、上型及び下型に用いる材料の自由度が増し、例えば、低コストのものや、加工が容易なものが選択可能である。
また、第6の発明は、第5の発明に係るガラスモールド用金型において、上型及び下型の少なくとも一方が、成形面を形成する無電解メッキ層を有する。この場合、上型又は下型の成形面の加工が容易となり、光学素子の上面又は下面として非球面や多球面といった種々の複雑な面を比較的低コストで高精度に成形することができる。
また、第7の発明は、第6の発明に係るガラスモールド用金型において、無電解メッキ層が、ニッケル、リン及びタングステンのうち少なくともいずれか1つを含む。この場合、例えば、上型又は下型を、ステンレス系金属の母材上にニッケル、リン及びタングステンのいずれかを含む無電解メッキ層を施すものとすることで、成形面の加工を切削によって行うことができる。
また、第8の発明は、第1から第7の発明に係るガラスモールド用金型において、上型及び下型が、光学素子の上面及び下面の少なくとも一方に不連続面を形成させる。この場合、成形面の加工性から、光学素子の上面又は下面に段差状の滑らかでない不連続な面を形成させることも容易であり、これにより、例えば、フレネルレンズ等が作製可能である。
また、第9の発明は、第1から第8の発明に係るガラスモールド用金型において、低熱膨張素材の熱膨張係数が、3〜6×10−6/Kであり、金属系素材の熱膨張係数が、8〜18×10−6/Kである。この場合、光学素子材料である光学素材の熱膨張係数に比して、低熱膨張素材の熱膨張係数は十分小さいので、金属系素材の熱膨張係数が大きいにも拘らず、光学素子を損なうことなく取り出すことができる。
また、第10の発明は、第1から第9の発明に係るガラスモールド用金型において、胴型が、下型外縁の上部で位置決めされる。この場合、成形前における胴型のアライメントを確実に達成することができる。
また、上記課題を解決するために、第11の発明に係る光学素子の成形装置は、第1から第10の発明のいずれかのガラスモールド用金型と、光学素子のプリフォームを上型及び下型の間に保持した状態のガラスモールド用金型の温度を調整する温度制御装置と、プリフォームをガラスモールド用金型とともに加圧することにより光学素子を成形する加圧装置とを備える。この場合、当該成形装置は、上述した本発明のガラスモールド用金型を用いているので、種々の光学素子を比較的容易に作製でき、かつ、冷却後に当該光学素子が取り出せなくなってしまうことがない。
また、上記課題を解決するために、第12の発明に係る光学素子の成形方法は、光学素子の光学素材からなるプリフォームを、当該プリフォームの被成形面が第1から第10の発明のいずれかのガラスモールド用金型の上型及び下型の成形面に対向するように配置する工程と、光学素子を、真空下及び不活性ガスで充填された雰囲気下のいずれかで加熱する工程と、加熱された状態のプリフォームに上型及び下型の少なくとも一方を押圧し、当該上型及び下型の成形面の形状をそのプリフォームの被成形面に転写する工程と、プリフォームが所定の温度以下に徐冷するまで上記押圧した状態を保つ工程と、上記所定の温度以下に冷却したプリフォームを離型する工程とを有する。この場合、当該方法により、種々の光学素子を比較的容易に作製でき、かつ、冷却後に当該光学素子が取り出せなくなってしまうことがない。
図1は、本発明の一実施形態に係る光学素子の成形装置を概念的に説明する側方断面図である。本実施形態に係る成形装置100は、本体フレーム1と、チャンバ2と、赤外線ランプ3と、ミラー4と、熱電対5、6と、モールド用金型30を含む成形部20と、上軸7と、下軸8と、駆動装置9とを備える。これらのうち、赤外線ランプ3と、ミラー4と、熱電対5、6とは、成形部20の温度を調整するための温度制御装置となっている。また、上軸7と、下軸8と、駆動装置9とは、成形部20を上下から加圧する加圧装置となっている。成形部20は、成形の対象であるプリフォームPFを保持するモールド用金型30と、モールド用金型30の周辺部材である一対のスリーブ24と、上側のスリーブ24に埋設されて下端が当該スリーブ24から突起する位置決めピン25とを備える。このうち、モールド用金型30は、上型21と、下型22と、胴型23とによって形成される。
本体フレーム1は、各構成要素を収めるとともに装置全体を支持するフレームである。チャンバ2は、光学素子の成形にあたって、光学素子及びその周辺部材の雰囲気を閉じ込めて制御するための空間を形成する。温度制御装置である赤外線ランプ3、ミラー4及び熱電対5、6のうち、赤外線ランプ3とミラー4とは、チャンバ2の外部からモールド用金型30等を加熱するための手段であり、赤外線ランプ3によって発生する輻射熱がチャンバ2内に伝達されることによって、チャンバ2内を光学素子形成に必要な温度まで上昇させる。この際、ミラー4によって輻射熱が有効利用されることにより、モールド用金型30等の温度を効率的に上昇させることができる。熱電対5、6は、上型21及び下型22の周辺における温度を測定する。尚、熱電対5、6は、図示を省略する制御装置に接続されており、モールド用金型30の温度を常時監視することができるようになっている。この制御装置は、赤外線ランプ3の駆動回路も有しており、熱電対5、6の出力に基づいてモールド用金型30を光学素子形成過程(具体的には、プリフォームPFの軟化、型押し及び徐冷)において目標温度に制御するためのプログラム等を有している。
成形部20は、モールド用金型30を含む光学素子成形の要部である。モールド用金型のうち、上型21は、プリフォームPFを上側から押圧して光学素子の上面を成形し、下型22は、プリフォームPFを下側から押圧して光学素子の下面を成形し、胴型23は、プリフォームPFを周囲から保持して光学素子の側面を成形する(成形過程等についての説明は図2を用いて詳述する)。スリーブ24は、モールド用金型30の周辺に配置され、モールド用金型30の上型21と下型22とをそれぞれ上軸7及び下軸8の台座部7a、8aに保持する。位置決めピン25は、上型21と下型22との合わせ位置を決定するためのピンである。以上のモールド用金型30において、上型21と下型22とは、金属系素材によって形成されている。一般に、金属系素材の熱膨張係数は、プリフォームPFに用いる素材の熱膨張係数に比して大きい。一方、胴型23は、超硬合金やセラミックといったプリフォームPFに用いる素材より熱膨張係数の小さい素材によって形成されている。これにより、以下に詳述するが、成形品すなわち光学素子の所謂焼き嵌めを防止することができる。
上軸7と、下軸8と、駆動装置9とは、加圧装置として、光学素子の成形のために必要とされる所定の圧力を成形部20に与える。上軸7は、本体フレーム1の天井部に上端側で固定されており、モールド用金型30の上半分を固定するための円板状の台座部7aを下端側に有する。下軸8は、本体フレーム1の床部に延びており、本体フレーム1の底部に設けられた駆動装置9に下端側に接続されており、モールド用金型30の下半分を固定するための円板状の台座部8aを上端側に有する。駆動装置9は、油圧等により下軸10を適当な力で上下方向に移動させることにより、モールド用金型30に所望の圧力を加えることができる。モールド用金型30の上型21と下型22とは、それぞれスリーブ24を介して、上軸7の台座部7aと、下軸8の台座部8aとに保持・固定されている。上軸7と下軸8とは、酸化防止のためのN2などの不活性ガスをチャンバ2内に供給するためのガス供給路7b、8bをそれぞれ備える。これらのガス供給路7b、8bは、図示を省略する通路を介してスリーブ24内にも延びている。尚、上軸7を本体フレーム1の天井部に固定せず、こちらにも同様の駆動装置を設け、上軸7を上下方向に移動させることができるものとしてもよい。
以下、本実施形態に係る成形装置100の動作について説明する。まず、駆動装置9により、下軸8を下降させる。しかる後、光学素子の光学素材である球形等のプリフォームPFをその被成形面が下型22の成形面22aに対向するように配置する。この際、予め、プリフォームPFは加工完了での形状を考慮した体積にしている。プリフォームPFを配置した後、下軸8を駆動装置9によって上昇させる。この際、上軸7及び下軸8のガス供給路7b、8bからN2などの不活性ガスが供給され、チャンバ2内部は、不活性ガスで充填された雰囲気となる。次に、赤外線ランプ3への通電により、赤外線がチャンバ2を透過し、チャンバ2内部にある成形部20及びプリフォームPFが所定温度に加熱される。ここで、プリフォームPFのガラス温度を直接測定することは難しいため、熱電対5、6によって上型21及び下型22の周辺にあるスリーブ24の温度を測定し、当該ガラス温度が転移点以上の変形可能な温度に達する時間を監視する。変形可能な時間に達したところで、プリフォームPFを所定時間、転移点以上の所定温度に所定時間保持した後、駆動装置9により下軸8を上昇させ、スリーブ24にセットされた位置決めピン25により、上型21と下型22とのずれを矯正し、プリフォームPFから成形される光学素子の芯出しを行う。これにより、プリフォームPFが所定の圧力でずれることなく上下から押圧され、上型21及び下型22の成形面21a、22aの形状がプリフォームPFの被成形面に転写されるとともに、プリフォームPFが外周に伸びて胴型23により成形される光学素子の外径を定める側面が成形される。つまり、プリフォームPFがモールド用金型30によって変形され、冷却工程を経て光学素子が完成する。この間、プレス加工されたプリフォームPFが徐冷され、転移点以下になるまで上型21及び下型22の間に押圧された状態が保たれる。プレス加工されたプリフォームPFが徐冷によって転移点以下に冷却された後、駆動装置9により下軸8を下降させ、上型21をプリフォームPFが変形した光学素子から分離する。以上により成形された光学素子は、必要な偏芯精度を確保し、かつ、外形寸法も満足するものとなっている。
尚、本実施形態では、チャンバ2内に不活性ガスを供給・充填することによって光学素子成形時の酸化防止を行っているが、真空ポンプ等によってチャンバ2内を真空雰囲気にして脱酸素状態に保つことによっても酸化防止可能である。
図2(a)、(b)は、本実施形態に係る光学素子の成形過程を説明するための図である。図2(a)は、プリフォームPFが加圧される前の状態の成形部20を示す。ここで、プリフォームPFの光学素材は、低融点ガラスである。低融点ガラスとは、軟化温度が450℃以下のものを意味するものとする。低融点ガラスの組成は様々であるが、例えば、Al2O3、SiO2、P2O5、CaO、ZnO、BaOなどの成分が含まれる。
光学素材の軟化温度を低温に設定することで、モールド用金型30の上型21及び下型22の材料として金属系素材を用いることが可能となる。これにより、型材料として超硬合金やセラミックを用いた場合に比べ、コストを下げることができるだけでなく、上型21及び下型22の作製において、光学素子の表面を成形する成形面21a、22aの加工が容易となる。従って、非球面レンズの表面形成等複雑な面形成も容易となり、また、短期作製も可能となる。
一方、胴型23は、光学素材の熱膨張係数以下の所定の熱膨張係数を有する低熱膨張素材から形成されている。具体的な低熱膨張素材としては、例えば、タングステン合金を代表する超硬合金やシリコンカーバイドを代表するセラミックを主成分として用いればよい。尚、図2(a)のように、胴型23は、スリーブ24を利用して下型22の外縁の上部で位置決めされる。
プリフォームPFのプレス時には、図2(b)のように、プリフォームPFがモールド用金型30各部の内面に密着し、上型21の成形面21aによって光学素子の上面が形成され、下型22の成形面22aによって光学素子の下面が形成され、胴型23の成形面23aによって光学素子の側面が形成される。
ここで、胴型23の材料としては低熱膨張素材を用いている一方、上型21及び下型22の材料としては、例えば、ステンレス系金属を母材とし、その表面にニッケル、リン又はタングステン等を代表とする無電解メッキ層を被膜して構成されるもの等を含む金属系素材を用いている。一般に、金属系素材の熱膨張率は比較的高く、本実施形態では、低熱膨張素材の熱膨張係数を3〜6×10−6/Kとするのに対し、金属系素材の熱膨張係数を8〜18×10−6/Kとする。これは、プリフォームPFの材料である低融点ガラスの熱膨張係数に対し、低熱膨張素材の熱膨張係数は低く、金属系素材の熱膨張係数は高いことを示している。低熱膨張素材の熱膨張係数を十分小さくすることにより、金属系素材の熱膨張係数が大きいにも拘らず、光学素子を損なうことなくモールド用金型30から取り出すことができる。
図3は、成形された光学素子50とモールド用金型30との冷却後の状態を説明するための拡大図であり、特に、冷却後、駆動装置9により、下軸8が下降し、プリフォームPFの変形によって得た光学素子50から上型21を分離したところを示している。下型22の成形面22aと光学素子50の下面との境界部分を境界部(Mold Surface)MSとし、胴型23の成形面23aと光学素子50の側面との境界部分を境界部NCとする。
図2(b)で見られるように、成形時においては、プリフォームPFが、モールド用金型30の各面に密に接することで光学素子50の各面が成形されているが、冷却により、成形された光学素子50及びモールド用金型30の双方ともそれぞれ固有の熱膨張係数に応じて収縮する。つまり、収縮量はそれぞれを形成する材料ごとに異なる。従って、図3に示すように、各境界部MS、NCにおいて、光学素子50の各面と成形面22a、23aとは位置がずれた状態となる。この際、特に、光学素子50の側面において、上述した熱膨張係数の関係から、胴型23の収縮量は光学素子50の収縮量より小さくなる。このため、境界部NCにおいて、成形面23aが光学素子50の側面を外側に押し付ける所謂焼き嵌めの状態になることがなく、逆に隙間ができ、問題なく光学素子50を取り出すことができる。一方、境界部MS側については、光学素子50を下方から支持するのみであり、光学素子50の取り出しにおいて問題は生じない。従って、下型22は、収縮量が光学素子50より大きいものであってもかまわない。
図4は、本実施形態の変形例であり、光学素子50が不連続面を有する場合について示したものである。ここで、上型121において、成形面121aは、光学素子50の上面に不連続面を形成させるように加工されている。このような不連続面を有する光学素子としては、例えば、フレネルレンズが挙げられる。本変形例の場合も、図3の場合と同様、下型22の成形面22aと光学素子50の下面との境界部MSは、光学素子50の取り出しにおいて問題は生じない一方、胴型23の成形面23aと光学素子50の側面との境界部NCには、隙間ができるので問題なく光学素子50を取り出すことができる。また、上型121の成形面121aと光学素子50の上面との関係については、光学素子50が大きく収縮する前に離型が行われるので、図4のように光学素子50から上型121を分離することができる。
ここで、上型121及び下型22の材料として金属系素材が使えるので、例えば、上型121及び下型22は、金型母材としてステンレス系金属を用い、その表面をニッケル、リン又はタングステン等の無電解メッキ層によって被膜したものとしてもよい。この場合、成形面121a、22aの加工を切削によって行うことができるので、非球面や多球面といった種々の複雑な面を比較的低コストで高精度に成形することができる。
100…成形装置、 1…本体フレーム、 2…チャンバ、 3…赤外線ランプ、 4…ミラー、 5、6…熱電対、 7…上軸、 8…下軸、 9…駆動装置、 20…成形部、 30…モールド用金型、 21…上型、 22…下型、 23…胴型、 24…スリーブ、 25…位置決めピン、 21a、22a、23a…成形面、 50…光学素子、 PF…プリフォーム
Claims (12)
- 光学素子の上面を成形する上型と、
前記光学素子の下面を成形する下型と、
前記光学素子の材料となる光学素材の熱膨張係数以下の所定の熱膨張係数を有する低熱膨張素材から形成され、前記光学素子の側面を成形する胴型と
を備えるガラスモールド用金型。 - 前記光学素材は、低融点ガラスであることを特徴とする請求項1記載のガラスモールド用金型。
- 前記低熱膨張素材は、超硬合金及びセラミックの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか一項記載のガラスモールド用金型。
- 前記超硬合金は、タングステン合金を含み、前記セラミックは、シリコンカーバイドを含むことを特徴とする請求項3記載のガラスモールド用金型。
- 前記上型及び前記下型の少なくとも一方は、金属系素材により形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項記載のガラスモールド用金型。
- 前記上型及び前記下型の少なくとも一方は、成形面を形成する無電解メッキ層を有することを特徴とする請求項5記載のガラスモールド用金型。
- 前記無電解メッキ層は、ニッケル、リン及びタングステンのうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項6記載のガラスモールド用金型。
- 前記上型及び前記下型は、前記光学素子の上面及び下面の少なくとも一方に不連続面を形成させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項記載のガラスモールド用金型。
- 前記低熱膨張素材の熱膨張係数は、3〜6×10−6/Kであり、前記金属系素材の熱膨張係数は、8〜18×10−6/Kであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項記載のガラスモールド用金型。
- 前記胴型は、前記下型外縁の上部で位置決めされることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項記載のガラスモールド用金型。
- 請求項1から請求項10のいずれか一項記載のガラスモールド用金型と、
前記光学素子のプリフォームを前記上型及び下型の間に保持した状態の前記ガラスモールド用金型の温度を調整する温度制御装置と、
前記プリフォームを前記ガラスモールド用金型とともに加圧することにより前記光学素子を成形する加圧装置と
を備える光学素子の成形装置。 - 前記光学素子の光学素材からなるプリフォームを、当該プリフォームの被成形面が請求項1から請求項10のいずれか一項記載のガラスモールド用金型の前記上型及び下型の成形面に対向するように配置する工程と、
前記光学素子を、真空下及び不活性ガスで充填された雰囲気下のいずれかで加熱する工程と、
加熱された状態の前記プリフォームに前記上型及び下型の少なくとも一方を押圧し、当該上型及び下型の成形面の形状をそのプリフォームの被成形面に転写する工程と、
前記プリフォームが所定の温度以下に徐冷するまで前記押圧した状態を保つ工程と、
前記所定の温度以下に冷却した前記プリフォームを離型する工程と
を有する光学素子の成形方法。
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