JP2006201458A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘導加熱を利用した定着装置において、電力制御幅の広いインバータ、高調波を抑制し、フィルタ構造を簡素化した装置を提供する。
【解決手段】インバータ装置、ゼロクロス検知手段、ゲート信号制御手段、定着コイル、定着スリーブ、サーミスタより成り、インバータ出力1200Wに対し、400W〜1200Wまでを多段階の制御とし、600W以下をOFF、ONデューティ制御とする。また、装置のDC電源を供給しているDC安定化電源のスイッチング制御フィードバックに、同期信号としてゼロクロス検知信号を入力し、ゼロクロスパルス毎にフィードバックをかけることで、低圧電源に流入する電流自体も入力商用交流のゼロクロス信号に同期して変動し、1周期単位にしか変動しないようにする手段を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式を利用した画像形成装置に関し、スイッチング電源及び定着器の制御方法に関するものである。
便宜上、複写機・プリンタ等の画像形成装置に具備させる、トナー画像を被記録材に加熱定着させる像加熱装置(定着装置)を例にして説明する。
画像形成装置において、電子写真プロセス・静電記録プロセス・磁気記録プロセス等の適宜の画像形成プロセス手段部で被記録材(転写材シート・エレクトロファックスシート・静電記録紙・OHPシート・印刷用紙・フォーマット紙など)に転写方式あるいは直接方式にて形成担持させた目的の画像情報の未定着画像(トナー画像)を被記録材面に永久固着画像として加熱定着させる定着装置としては熱ローラ方式の装置が広く用いられていた。近時はクイックスタートや省エネルギーの観点からベルト加熱方式の装置が実用化されている。また電磁誘導加熱方式の装置も提案されている。
a)熱ローラ方式の定着装置
これは、定着ローラ(加熱ローラ)と加圧ローラとの圧接ローラ対を基本構成とし、該ローラ対を回転させ、該ローラ対の相互圧接部である定着ニップ部を画像定着すべき未定着トナー画像を形成担持させた被記録材を導入して挟持搬送させて、定着ローラの熱と、定着ニップ部の加圧力にて未定着トナー画像を被記録材面に熱圧定着させるものである。
定着ローラは、一般に、アルミニウムの中空金属ローラを基体(芯金)とし、その内空に熱源としてのハロゲンランプを挿入配設してあり、ハロゲンランプの発熱で加熱され、外周面が所定の定着温度に維持されるようにハロゲンランプへの通電が制御されて温調される。
特に、最大4層のトナー画像層を十分に加熱溶融させて混色させる能力を要求される、フルカラーの画像形成を行う画像形成装置の定着装置としては、定着ローラの芯金を高い熱容量を有するものにし、またその芯金外周にトナー画像を包み込んで均一に溶融するためのゴム弾性層を具備させ、そのゴム弾性層を介してトナー画像の加熱を行っている。また、加圧ローラ内にも熱源を具備させて加圧ローラも加熱・温調する構成にしたものもある。
しかし、熱ローラ方式の定着装置は画像形成装置の電源をオンにして同時に定着装置の熱源であるハロゲンランプに通電を開始しても、定着ローラの熱容量が大きく、定着ローラ等が冷え切っている状態時から所定の定着可能温度に立ち上がるまでにはかなりの待ち時間(ウエイトタイム)を要し、クイックスタート性に欠ける。また画像形成装置のスタンバイ状態時(非画像出力時)も何時でも画像形成動作が実行できるようにハロゲンランプに通電して定着ローラを所定の温調状態に維持させておく必要があり、電力消費量が大きい等の問題があった。
このようなハロゲンランプを用いた定着装置においてのヒータ制御は、ローラの熱容量が大きいためにOFF/ONを行っても直ぐに温度に反映される事は無く、一定の温度リップルを許容して温度によりOFF/ONする制御で必要充分であった。また、ハロゲンランプの定格電圧範囲内で使用する必要があることからあまり頻繁なOFF/ON制御を行うと、ハロゲンランプに印加される平均電圧が定格電圧を下回ることとなり、ランプ内部での化学反応であるハロゲンサイクルが成立しなくなるため、極端な寿命低下を引き起こすなどの問題点があった。
またOFF/ON制御における突入電流により商用電源電圧が配線設備の回路インピーダンスにより低下してしまい、フリッカといった問題を発生することから、特にヒータON時には注意してONする必要があった。
特許文献5には複数の発熱体を有する定着装置において、複数の発熱体のうち、1つの発熱体への通電を開始しようとするときに他の発熱体が既に通電状態にある場合、前記他の発熱体を停止動作、通電動作の順で通電制御するとともに、両発熱体が同時に通電状態とならないように、前記一つの発熱体を通電動作、動作停止の順で通電動作し、その後、前記発熱体が通電状態となるように通電制御することが提案されている。
また、発熱体の電力制御にインバータ電源を用いてヒータON/OFF時にインバータの出力電圧を変化させ、突入電流を防止する方式などが考案されている。また、最近ではランプ自体の改善が行われ、広い定格電圧範囲に対応するランプや、突入電流を抑えたランプなどが考案、実用化されている。
b)フィルム加熱方式の定着装置
フィルム加熱方式の定着装置は、例えば特許文献1・特許文献2・特許文献3・特許文献4公報等に提案されている。
即ち、加熱体としての一般にセラミックヒータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に耐熱性フィルム(定着フィルム)を挟ませてニップ部を形成させ、該ニップ部のフィルムと加圧ローラとの間に画像定着すべき未定着トナー画像を形成担持させた被記録材を導入してフィルムと一緒に挟持搬送させることでニップ部においてセラミックヒータの熱をフィルムを介して被記録材に与え、またニップ部の加圧力にて未定着トナー画像を被記録材面に熱圧定着させるものである。
このフィルム加熱方式の定着装置は、セラミックヒータ及びフィルムとして低熱容量の部材を用いてオンデマンドタイプの装置を構成することができ、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすればよく、画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く(クイックスタート性)、スタンバイ時の消費電力も大幅に小さい(省電力)等の利点がある。
また、発熱体としてセラミックヒータを用いた定着装置では特許文献6のように、入力商用電源のゼロクロスタイミングを検出するゼロクロス検出手段を有し、ゼロクロスタイミングからヒータ通電を行う時間を計算あるいは予め定められたテーブルによって算出し、通電位相角制御を行う方式が提案されている。また、商用交流電源のうち、1波を制御単位として通電するか通電しないかの比率により電力制御を行う、波数制御と呼ばれる手法でヒータへの供給電力を制御する制御方法が実用化されている。
c)電磁誘導加熱方式の定着装置
特許文献7には、磁束により定着ローラに電流を誘導させてジュール熱によって発熱させる誘導加熱定着装置が開示されている。これは、誘導電流の発生を利用することで直接定着ローラを発熱させることができて、ハロゲンランプを熱源として用いた熱ローラ方式の定着装置よりも高効率の定着プロセスを達成している。
しかしながら、磁場発生手段としての励磁コイルにより発生した交番磁束のエネルギーが定着ローラ全体の昇温に使われるため放熱損失が大きく、投入エネルギーに対する定着エネルギーの密度が低く効率が悪いという問題点があった。
そこで、定着に作用するエネルギーを高密度で得るために発熱体である定着ローラに励磁コイルを接近させたり、励磁コイルの交番磁束分布を定着ニップ部近傍に集中させたりして、高効率の定着装置が考案された。誘導加熱方式においては励磁コイルに高周波電流を流し、被加熱体となる加熱ローラに高周波電磁界を与えて渦電流を発生させる必要があるため、高周波インバータ装置を誘導加熱定着の電源として用いている。本方式における電力の制御は、高周波インバータの回路方式により多少異なる。例えば最もシンプルな1石式電圧共振インバータ回路では、最大出力を100%出力として、10%刻みで40%程度までの出力制御を行い、それ以下の電力が必要になる場合には必要に応じて(温度に応じて)OFF/ONを行っていた。この1石式電圧共振インバータ回路の問題であった小出力領域の制御性を高めた2石式電圧部分共振インバータの提案がされており、出力100%から10%まで連続可変とした方式が提案されている。
特開昭63−313182号公報 特開平2−157878号公報 特開平4−44075号公報 特開平4−204980号公報 特許第3279465号明細書 特許第3397607号明細書 実開昭51−109739号公報
しかしながら、従来の方式では定着装置の温度制御によって、入力商用交流電源から画像形成装置に流れる電流が変動し、さらに画像形成装置の動作に伴うスイッチング電源の出力負荷変動による電流変動も加算されるために、入力商用交流より画像形成装置に流入する電流は不連続な成分を持つひずみ波となり、高次の高調波成分を持ってしまうという問題点があった。また、電源端子に現れる雑音端子電圧も増大してしまう問題点があり、これら高調波の低減と雑音端子電圧の低減のために大きなフィルタを設ける必要があるなどの問題点があった。
そこで、装置の電流変動の不連続な成分をなくし、雑音端子電圧を低く抑え、かつ高調波ノイズを少なく出来る電源制御手段及び定着器温度制御手段を提案する。
上記目的を達成するため、本出願に係る第一の発明は、誘導加熱を利用した定着装置において、ゼロクロス検知手段からのゼロクロス周期に同期して定着装置の電力を制御することにより、定着温度制御の制御範囲を広げるとともに、高調波及び雑音端子電圧といったノイズの発生を抑える事が可能となるものである。
本出願に係る第二の発明は、誘導加熱を利用した定着装置において、ゼロクロス検知手段からのゼロクロス周期に同期して定着装置の電力を制御することにより、定着温度制御による入力商用電源からの電流に不連続点のない、極めて高調波の発生の少ない定着電源を供給する事が可能となり、フィルタ回路を簡素化することが可能となる。
本出願に係る第三及び第四の発明は、画像形成装置のモータや高圧といった各部の動作に対して電力を供給するスイッチングDC電源部に本制御を適用することにより、入力商用電源からの電流に不連続点のない、ノイズ発生の少ない電源及び定着電源を供給する事が可能となり、フィルタ回路を簡素化することが可能となるものである。
本発明によれば、誘導加熱定着装置において、電力制御幅の広い定着装置を提供可能になるとともに、電源高調波や雑音といったノイズの発生が少なく、フィルタ回路を簡素化した電源装置を提供することが可能となる。
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
・高周波インバータ装置
図1に、実施例1を最も良く説明する図を示す。以下に回路の動作について説明を行う。図1において、100はスイッチング部、101はスイッチング素子、102は逆導通ダイオード、103は定着励磁コイル、104は共振コンデンサ、105はフィルタコンデンサ、106はインダクタ、107はダイオードブリッジであり、ダイオードブリッジ107、インダクタ106、フィルタコンデンサ105により交流入力から両波整流を行うとともに高周波フィルタを行うよう構成されている。108はリレー、109は101でスイッチングされたスイッチング電流を検出するカレントトランスである。110は電流検出回路、111はフィルタ回路、112は定電流制御回路、113は電流値設定回路、114はON幅指示回路、115はON幅制御回路、116はOFF幅決定回路、117は過電流保護回路、118は出力フリップフロップ、119は安全回路である。200は定着器ユニット部を示しており電気部品構成としては前述した定着励磁コイル103と定着加熱スリーブの温度を検出する温度検出サーミスタ202と過昇温を検出するサーモスイッチ201を有している。301のブロックはON時間とOFF時間を決定するON,OFF時間タイマ回路、300はスイッチング制御回路、400はCPUを含む制御回路、500はゼロクロス検知回路である。
101のスイッチング素子及び102の逆導通ダイオードとしては、パワー用電力スイッチ素子が最適であり、FETもしくはIGBT(+逆導通ダイオード)により構成している。共振電流を制御する為、定常時の損失及びスイッチ損失が小さいもので、なおかつ高耐圧、大電流タイプのものが良い。
商用交流電源入力を受け、リレー108を介して整流回路107にAC電源が印加されると、両波整流ダイオード107により、脈流化DC電圧を生成する。
スイッチング素子101がスイッチングを行うようにゲート信号を駆動する事により励磁コイル103と共振コンデンサ104で形成された共振回路に交流パルス電圧が印可される。この結果、スイッチング素子101の導通時には励磁コイルに脈流化DC電圧が印可され、励磁コイル103のインダクタンスと抵抗により定まる電流が流れはじめる。ゲート信号に従ってスイッチング素子101がターンオフすると、励磁コイル103は電流を流し続けようとするため、励磁コイル103の両端に共振コンデンサ104と励磁コイル103により定まる共振回路の尖鋭度Qにより定まるピーク電圧を持つ、フライバック電圧と呼ばれる高電圧が発生する。この電圧は整流後の脈流化DC電圧を中心に正弦波振動し、そのままオフ状態を保っておくと脈流化DC電圧に収束する。
フライバック電圧の振幅が大きく、スイッチ素子101のドレイン(以下Dと表記)端子(またはコレクタ端子 以下Cと表記)の電圧がソース(以下Sと表記)端子(またはエミッタ(以下Eと表記)端子)電圧より低くなる期間は逆導通ダイオード102がターンオンし、電流は逆導通ダイオード102を通じてコイルに流入する。この期間中はスイッチ素子101のD−S端子間(またはC−E端子間)の電圧は0Vにクランプされることになる。この期間にスイッチ素子101をオンすれば、スイッチ素子101は電圧を背負うことなくターンオン可能なことが一般に知られており、ZVS(Zero Voltage Switching)と呼ばれている。この様な駆動方法によりスイッチ素子101のスイッチングに伴う損失は最小とすることができ、効率が良くノイズの少ないスイッチングを可能としている。
・PID制御
本実施例では、一例として温度制御をデジタルPID制御により行う場合に関して記述する。定着器200において、定着温度の検出はサーミスタ202により行っている。サーミスタ202は定着ニップよりも上流側に相当する部位に、定着スリーブ内側に圧接して配置されており、定着スリーブ内面温度を測定するように構成している。サーミスタ202の温度に伴う抵抗値の変化を検出回路により電圧に変換し、制御回路に伝達する。制御回路にて検出電圧をA/D変換し、予め定められた電圧−温度変換テーブルにより温度に変換、予め定められた目標温度との差として検出する。この検出結果に基づいて計算を行い、次に出力すべき電力を算出する。計算の手法は一般的にPID制御と呼ばれる手法に基づいている。
すなわち、目標温度と現在の温度の温度差に比例する、比例項により決定されるパラメータと、これまでの誤差の積分値に比例する積分項により決定されるパラメータと、今回の変化量に比例する微分パラメータと、サンプリング間隔により出力量を決定するものである。PID演算に拠らず、PI制御としても良い。また、サーミスタのA/D値への取り込みはノイズ等の誤差の影響を避けるため、RCフィルタ回路を通してA/Dコンバータに接続し、さらにA/Dサンプリング回数は演算に用いるサンプリング周期より高速に行い、平均値を取っても良い。平均値を取る具体的な例を以下に述べる。
PIDの演算サンプリング時間は20msとし、A/Dコンバータは1ms周期でサンプリングを行う。A/Dコンバータの10回のサンプリングデータのうち、最大値と最小値を除いた8つのデータを平均し、平均した値をPID演算用の演算データとする事で、本体各部の動作や電源に重畳されたスパイク電圧等の影響を効果的に排除することが可能となる。
演算結果は、PWM出力またはD/A信号出力として制御回路400より出力され、この信号に基づいて高周波インバータ装置の出力を制御する。
・PWM制御
高周波インバータ装置の出力制御の一例としてPWMによるON時間、OFF時間の制御について説明する。
図3に、PWM制御部であるオン、オフ時間タイマ回路の図を示す。図において、301は基準電源、302はON幅決定用定電流回路、303はOFF幅決定用定電流回路、115−1はON時間制御用コンパレータ、116−1はOFF幅制御用コンパレータ、304はONタイマコンデンサ、305はOFFタイマコンデンサ、308はONタイマ放電トランジスタ、309はOFFタイマ放電トランジスタである。
ON幅決定用定電流回路302によりONタイマコンデンサ304へ定電流で充電を開始すると、ONタイマコンデンサ302の両端電圧が時間に伴って直線的に上昇する。このONタイマコンデンサ302の両端電圧を監視し、ON幅制御用コンパレータ115−1により予め定められた基準値との比較を行う。ONタイマコンデンサ302の電圧が基準値を超えるとコンパレータが動作し、ステアリングフリップフロップ118が動作し、ONタイマ放電トランジスタ308がONし、ONタイマコンデンサ302を放電する。一方でステアリングF/F118により、OFFタイマコンデンサ305の放電を行っているトランジスタ309をOFFにし、OFFタイマコンデンサ305への充電を開始する。OFFタイマコンデンサ305の充電電流は、ONタイマコンデンサ304の充電と同様に定電流源回路303より充電しており、OFFタイマコンデンサ305の電圧が予め定められた基準値を超えるとOFFタイマコンデンサ305の両端電圧を監視しているOFF時間制御用コンパレータ116−1が動作し、OFFタイマコンデンサ305を放電するトランジスタ309がONとなり、OFFタイマコンデンサ305の放電を開始する。
このような一連の動作を繰り返すことによりON時間、OFF時間の制御を行う構成となっている。このようにオン時間中にメインスイッチ素子以外の素子がオン動作を行わなくする為にオン時間中はオフ時間制御部を停止し、オフ時間中はオン時間制御部を停止する、ステアリングフリップフロップ118により順次時間幅を制御されたオン時間、オフ時間を繰り返し出力していく。オフ時間制御用コンパレータ116−1の比較基準電圧は固定とし、ON時間決定用コンパレータ115−1の基準電圧を先程の制御回路出力により得るよう構成する事で、OFF時間固定のON時間制御を行うようにしている。
・ゼロクロス検知回路
次にゼロクロス検知回路の1例を示す。図4−aは、半波整流によるゼロクロス検知回路である。401は商用交流電源、402は装置のスイッチング電源の整流回路であるダイオードブリッジ、403はトランス、404はスイッチ素子及び逆導通ダイオード、405、406はゼロクロス検出抵抗、409はトランジスタ、410はフォトカプラのLEDを示す。装置の電源スイッチがONになると、スイッチング制御回路が起動抵抗より流入する電流により作動し、スイッチ素子404がONする。この結果、トランス403に電流が流れ、補助巻線411に起電力が発生し、スイッチング制御回路に電源電圧を供給するとともにフォトカプラのLED410に電流を供給し、LED410は発光するため、フォトトランジスタ412がONし、ゼロクロス信号はLoになる。商用交流電圧のL側がN側よりも高電圧の時には、ゼロクロス検出抵抗405、406により分圧された電圧がトランジスタのベース−エミッタ間とベース抵抗に印加される。L側の電圧がトランジスタがONする電圧以上になるとLEDに流れていた電流はトランジスタ409を流れ、LED410はOFFとなる。
結果、フォトトランジスタ412はOFFとなり、ゼロクロス端子の出力電圧はHighとなる。商用交流電源の周期に従って、一連の動作が繰り返され、その結果商用交流電源の電圧波形に従ってゼロクロス位置をエッジとしたパルスを得ることになる。
図4−bに、全波整流によるゼロクロス検知回路の一例を示す。図4−bにおいて、501は商用交流電源、520は検出抵抗、523、524はフォトダイオード、525はフォトトランジスタである。本実施例では商用交流電源の電圧がLEDのON電圧以下となると発光が停止するため、商用交流電源の電圧がゼロクロスになる付近での短いパルスを得ることになる。
・インバータの最小ON幅
電力投入から時間が経過し、定着温度が上昇して目標温度に達すると、PIまたはPID制御による出力である電力指示値は小さな電力を示すようになる。本実施例ではオフ時間固定でオン時間にて電力を制御している。温度制御によりオン時間幅が短くなった場合、先に述べたようにフライバック電圧は脈流化DC電圧を基準電圧として振動を行う為に、特にオン時間幅が短い場合にはスイッチ素子のD−S(またはC−E)間の電圧が0Vまで下がりきることが出来ず、ZVS(Zero Voltage Switching)動作が実現できなくなってくる。
従って、ON幅の最小値に制限を設け、それ以下の出力が必要な場合には以下の制御を行う。
・ON幅が規定値以下となる場合の制御
ON幅が大きいときには先程述べたように多段階の電力ステップ制御が可能となる。具体例として制御幅が8ビット(255段階)で行う場合について述べる。最大出力1200Wの系において、約400〜1200Wまでの電力において、8ビットでは約5W刻みのきめ細かい電力制御を行う事が可能となる。しかしながらON幅が小さいときにはスイッチング周波数が高くなり、スイッチング損失が大きくなるため、また、シングルコンバータ装置ではON幅が小さくなったときに充分なフライバック電圧が得られないためにZVS(Zero Voltage Switching)が出来なくなる。従って、最小ON幅をZVS可能なON幅に制限し、スイッチング周期とは異なる長い周期でのOFF/ON制御が必要となる。
このような制御を行った波形を図5に示す。一例として出力33%以下(最大出力1200Wに対し400W)のときに通電位相角制御を行う場合を示す。
CPUはその動作クロックを分周した時間を基本波とし、基本波をカウントしていき予め設定された値となると割り込み処理を行うタイマ機能を有し、ゼロクロス検知回路からの信号により、このタイマをスタートさせる。出力指示はON幅最小値を33%とし、通電位相角100%とすることで出力電力を33%としている(図5−0)。先述したPID制御の結果、制御値が33%を下回る場合には、ON幅最小値を33%に固定とし、通電位相角を減少することで電力制御を行う。具体例として16.5%(通電位相角50%)のときの通電波形を図5−1に示す。タイマの時間をセットし、ゼロクロス信号よりタイマをスタートするとともに出力を開始する。予め設定された時間になりタイマより割り込みが入ると、出力をOFFにする。
このような一連の動作を繰り返す事で、通電位相角を制御する事が可能となる。ここでは一例として、ゼロクロスタイミングからONを開始するとともに計時し、時間が来たらOFFすることで通電位相角を制御したが、ゼロクロスタイミングからOFFを開始し、タイマにより定められた時間となったらON動作を行い、次のゼロクロスタイミングでOFFとするよう制御しても良い(図5−2)。また、ON,OFF時には一定のON時間でなく、ON幅を変化させることで、電源電流の大きな変動を無くす様に制御する事で、高調波の発生を抑制しても良い(図5−3,図5−4)。また、33%以上の出力を行う際にも、PID制御信号からの電力変更を、ゼロクロスタイミングで行うように構成しても良い。このようにすることで全ての制御範囲において不連続変化のない入力電流波形を有する定着装置を実現することが可能となる。
第1の実施例と重複した説明は省略する。また、本実施例でも出力制御は、最大出力1200W、最小ON時間は400W(33%出力)となると仮定する。33%以上の出力では実施例1と同じ制御である。以下に33%以下の出力を行う方法について説明する。
33%以下の出力を行うために、OFF/ON制御を行う。図6に、実施例2を最もよく示す定着電源への電流波形を示す。実施例1で説明したゼロクロスタイミング信号により、商用交流電源電圧の電源周期の複数波を一つの制御単位とし、1波に相当する周期を間引く、波数制御となっている。ここでは一例として4波を一つの制御周期とした例を示す。4波通電時は33%出力(400W)となる。4波通電、3波通電、2波通電、1波通電と、100W刻みでの制御が可能となる。ここでは一例として4波での説明を行っているが、よりきめ細かい電力量の調整を行うためには10波、20波での制御としてもかまわない。しかしながら、熱応答性との関係があり、制御周期を大きく取るとフィードバックに時間がかかるため、定着器の温度リップルが問題とならない値にする必要がある。制御周期としては1000ms以下であることが望ましく、実際には20ms〜800ms程度、商用交流の周期にして1波から40波程度の制御周期とするのが良い。
本発明の第3の実施例について説明する。図7に、本発明実施例3を最もよくあらわす図を示す。
ここでは重複する説明は省き、本実施例のみの部分を説明する。
図7において、701は画像形成装置の本体電源スイッチ、702はダイオードブリッジ、703はインダクタ、704はダイオード、705は電解コンデンサ、706はトランス、707はスイッチ素子、708は逆導通ダイオード、709、710は抵抗及びコンデンサであり、スイッチ素子707の両端に接続してスナバ回路を形成している。711は電流検出手段であり、カレントトランスや抵抗が用いられる。712は第2のスイッチ素子、713は第2のスイッチ素子両端に設けられた逆導通ダイオード、715、716は2次側整流ダイオード、717はチョークコイル、718は2次側電解コンデンサ、719は電圧検出回路であり、720、721は抵抗、723は3端子シリーズレギュレータである。724はフォトカプラPC1のLEDであり、722は抵抗である。720,721の抵抗で分圧された抵抗721の両端の電圧が3端子シリーズレギュレータ719内部にて設定される基準電圧となり、この電圧が目標値となるように719は抵抗721を介して電流を引き込む。この結果LED724に電流が流れ、LED724が発光する。従って、DC出力電圧が基準値を超えるとLED724が発光する事となる。LED724が発光するとフォトカプラPC1のフォトトランジスタ側725が導通し、スイッチング制御回路はこの信号を受けて出力電圧を落とすようスイッチ素子707のスイッチングパルスを制御する。このような一連の動作により、出力電圧が一定に保たれるよう構成されている。一方でコンデンサ705はスイッチ素子707及びトランス706に、安定したDC電源電圧を供給するために設けられており、本来この部分に流れる電流は、負荷変動によるコンデンサ端子間の電圧ドロップを補うものであるため、入力商用電源700の電圧波形とは異なるものとなる。
しかしながら、装置の負荷電力の増大に伴って、単純なコンデンサインプット型では大きなひずみ波を流してしまい、力率が悪化する。本実施例では入力商用電源電圧に沿った電流供給とするべく、力率改善回路(PFC回路)としてアクティブフィルタを設けた例を説明する。
図7のフィルタコンデンサ714と、インダクタ703と、スイッチ素子712、逆導通ダイオード713、逆阻止ダイオード704、脈流化DC電圧波形を検出する電圧検出手段729と、電解コンデンサの電圧を検出する手段727、スイッチング制御回路724によりPFC回路が構成されている。モータ駆動などに伴ってDC負荷が増大すると、先述した動作によりメインスイッチ制御回路が動作し、トランスに大きな電流を流す事となり、電解コンデンサ705の端子電圧が低下する。これを検知して、PFCスイッチ制御回路は、電解コンデンサ705の電圧を予め定められた電圧値となり、かつ、入力商用電源波形と相似の電流波形となるように第2のスイッチ素子を制御する。PFC回路の発振を避けるためにPFC回路のフィードバックの応答時間を40ms〜300ms程度と長く取るのが良い。先述したゼロクロス検知回路の検知パルスのタイミングでのみフィードバックをかけるよう構成することで、ゼロクロス周期で第2のスイッチ素子のスイッチング出力を変更する事が可能となる。この結果、負荷変動に伴う入力商用電源からの電流変動を、DC出力電圧のリップルに影響を与えることなく、入力交流電圧1周期毎に変動させることが可能となる。この結果、より高調波や端子雑音の少ない装置を構成する事が可能となる。
本発明第4の実施例について説明する。図8に、本発明実施例4を最もよくあらわす図を示す。
ここでは重複する説明は省き、本実施例のみの部分を説明する。
図8において、801は画像形成装置の本体電源スイッチ、802はダイオードブリッジ、803はインダクタ、804は電解コンデンサであり、802のダイオードブリッジ、803のインダクタとともに整流回路を形成するものである。805はトランス、806はスイッチ素子、807は逆導通ダイオード、808、809は抵抗及びコンデンサであり、スイッチ素子の両端に接続してスナバ回路を形成している。810は電流検出手段であり、カレントトランスや抵抗が用いられる。811、812は2次側整流ダイオード、813はチョークコイル、814は電解コンデンサ、816は電圧検出回路であり、817、818は抵抗、819は3端子シリーズレギュレータである。820はフォトカプラPC1のLEDであり、821は抵抗である。817,818の抵抗で分圧された818の電圧が3端子シリーズレギュレータ819の目標電圧が一定となるように819は抵抗821を介してLED820に電流を流す。この結果、LEDが発光し、フォトカプラPC1のフォトトランジスタ側822が導通してスイッチング制御回路のスイッチングパルスを制御する。このような動作において、ゼロクロス検知回路の出力により、ゼロクロス周期でスイッチング出力を変更する事により、入力交流電圧1周期毎に変動させるようにすることが可能となる。この結果、定着部分だけでなく、画像形成装置にDC電源電圧を供給しているスイッチング電源に対しても同様の制御を行うことで、より高調波や端子雑音の少ない装置を構成する事が可能となる。
本実施例1を最もよくあらわす図 図1のスイッチ部の双対回路図 ON時間、OFF時間制御回路をあらわす図 ゼロクロス検出回路の一例 本制御を行った際の動作波形 本発明の第2の実施例を行った際の動作波形 本発明の第3の実施例を最もよくあらわす図 本発明の第4の実施例を最もよくあらわす図
符号の説明
101 IGBT
102 逆導通ダイオード
103 定着(励磁)コイル
104 共振コンデンサ
105 フィルタコンデンサ

Claims (4)

  1. 電子写真を利用した画像形成装置において、特に誘導加熱を利用した定着装置において、定着電源としての高周波インバータを有し、定着電源への電力をオフ、オンする手段と、商用交流電源の電圧のゼロクロスを検知する手段を有し、ゼロクロス検知手段からのゼロクロス周期に応じて通電位相角制御を行う手段を有することを特徴とした画像形成装置。
  2. 誘導加熱定着の大電力制御時はインバータのON時間を制御する多段階制御、小電力側はオフ・オン制御とし、オフ・オン制御時にゼロクロスからの信号で同期して動く誘導加熱定着装置を備えたことを特徴とした画像形成装置。
  3. DC安定化電源を供給するスイッチング電源装置のスイッチング制御回路と、入力商用電源電圧のゼロクロスタイミングを検出するゼロクロス検知手段を有し、電源電圧に対するフィードバック回路にゼロクロス検出タイミングと同期を取る手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  4. 特に電源装置の力率改善手段としてスイッチング手段とインダクタ、及びコンデンサから成るアクティブフィルタを有し、電源精度を維持するメインスイッチング部と、力率改善動作として独立して動作する帰還回路を有するスイッチング力率改善手段の帰還回路にゼロクロス検出タイミングと同期を取る手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
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