JP2006200367A - 自動二輪車用エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】クランクケースの一部を構成する下部ケースの第1および第2支持壁にメインシャフトが回転自在に支承され自動二輪車用エンジンにおいて、部品点数および組付工数の低減を図りつつクランクシャフトおよびメインシャフト間の軸間距離を短縮する。
【解決手段】第1支持壁187には、メインシャフト31の一端に装着される第1軸受197を嵌合、保持する第1軸受孔198が設けられ、第2支持壁188には、第1軸受孔198に嵌合、保持された第1軸受197にメインシャフト31の一端を嵌合させるまでメインシャフト31をその他端側から潜らせることを可能とした第2軸受孔199が設けられ、第2軸受200が、メインシャフト31の一端を第1軸受197に嵌合した後に該メインシャフト31にその他端側から嵌装されるようにして第2軸受孔199に嵌合、保持される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、相互に結合される上部ケースおよび下部ケースで構成されるクランクケースに、クランクシャフトと、該クランクシャフトと平行なカウンタシャフトとが回転自在に支承され、前記クランクシャフトおよび前記カウンタシャフトと平行な軸線を有するメインシャフトが、該メインシャフトの軸線に沿って間隔をあけて前記下部ケースに設けられる第1および第2支持壁に回転自在に支承される自動二輪車用エンジンに関する。
クランクケースを構成するようにして相互に結合される上部ケースおよび下部ケースの結合面間に、クランクシャフトと、該クランクシャフトと平行なカウンタシャフトが回転自在に支承され、クランクシャフトおよびカウンタシャフト間の軸間距離を短縮するためにクランクシャフトおよびカウンタシャフト間に対応する位置で下部ケースにメインシャフトが回転自在に支承されるようにした自動二輪車用エンジンが、たとえば特許文献1によって既に知られている。
特公平2−43886号公報
ところで、上述のようにクランクケースの下部ケースにおいて上部ケースとの結合面以外の部分でメインシャフトを回転自在に支承する構造では、軸受を一対の半割り部で構成することが難しいので、上記特許文献1で開示されたものでは、下部ケースに設けられた一対の支持壁のうちメインシャフトの組付け時に該メインシャフトを挿入せしめる側の支持壁に、複数変速段の歯車列の一部を構成するようにしてメインシャフトに設けられる複数のメインギヤのうち最大径のメインギヤよりも大径である貫通孔が設けられており、その貫通孔に嵌合、固定される軸受ホルダと、メインシャフトとの間に軸受を介装せしめるようにしている。
しかるに、上述のように軸ホルダを嵌合、固定するための貫通孔が支持壁に設けられる構成では、比較的大径である貫通孔を設ける必要があることから、メインシャフト以外のシャフトとメインシャフトとの間の間隔を短くするには限界があり、しかも下部ケースには、シフトドラムやオイルポンプ等の軸受を必要とする補機が配設されるので、クランクシャフトおよびメインシャフト間の軸間距離を小さくすることが困難であり、上記特許文献1で開示されたエンジンでは、チェーンを介してクランクシャフトからの動力をメインシャフト側に伝達するようにしている。また軸受ホルダを用いる構成では、軸受ホルダの分だけ部品点数が多くなり、メインシャフトの組付けも煩雑となる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、部品点数および組付工数の低減を図りつつ、クランクシャフトおよびメインシャフト間の軸間距離を短くし得るようにした自動二輪車用エンジンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、相互に結合される上部ケースおよび下部ケースで構成されるクランクケースに、クランクシャフトと、該クランクシャフトと平行なカウンタシャフトとが回転自在に支承され、前記クランクシャフトおよび前記カウンタシャフトと平行な軸線を有するメインシャフトが、該メインシャフトの軸線に沿って間隔をあけて前記下部ケースに設けられる第1および第2支持壁に回転自在に支承される自動二輪車用エンジンにおいて、前記第1支持壁には、前記メインシャフトの一端に装着される第1軸受を嵌合、保持する第1軸受孔が設けられ、第2支持壁には、第1軸受孔に嵌合、保持された第1軸受に前記メインシャフトの一端を嵌合させるまで前記メインシャフトをその他端側から潜らせることを可能とした第2軸受孔が設けられ、第2軸受が、前記メインシャフトの一端を第1軸受に嵌合した後に該メインシャフトにその他端側から嵌装されるようにして第2軸受孔に嵌合、保持されることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記メインシャフトの周囲に補機が配置されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成に加えて、前記補機であるオイルポンプが、前記クランクシャフトまたは前記メインシャフトに連動して作動するようにして、前記クランクシャフトおよび前記メインシャフトの軸線をそれぞれ通る鉛直面間に配置されることを特徴とする。
さらに請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に加えて、第1バンクと、自動二輪車への搭載状態で第1バンクよりも後方側に配置される第2バンクとが相互にV型をなすようにして前記クランクケースの上部ケースに連設され、前記上部ケースのうち前記カウンタシャフトを上方から覆う天井壁部が、第2バンクのシリンダブロックが有するシリンダボアの軸方向略中間部で前記シリンダブロックの後部に連設されることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、第1軸受孔に嵌合、保持された第1軸受にメインシャフトの一端を嵌合させるまでメインシャフトをその他端側から潜らせることを可能とした第2軸受孔が第2支持壁に設けられ、メインシャフトの一端を第1軸受に嵌合した後にメインシャフトにその他端側から嵌装される第2軸受が第2軸受孔に嵌合、保持されるので、第2軸受孔を従来設けられていた貫通孔よりも小径とすることが可能であり、したがってクランクシャフトおよびメインシャフト間の軸間距離を短くすることができ、自動二輪車の前後に沿う方向でエンジンの小型化を図ることができる。しかも従来必要としていた軸受ホルダが不要となるので、部品点数を低減することが可能となるとともに、軸受ホルダの組付けが不要となるので組付け工数の低減を図ることができる。
また請求項2記載の発明によれば、メインシャフトの周囲に配置した補機およびメインシャフト間の距離を短くし、エンジンをより一層小型化することができる。
請求項3記載の発明によれば、クランクシャフトおよびメインシャフト間に生じるスペースを利用してオイルポンプを配置することができ、しかもオイルポンプを駆動するクランクシャフトまたはメインシャフトに近接配置して、クランクシャフトまたはメインシャフトと、オイルポンプとの間の動力伝達機構をコンパクト化することができる。
さらに請求項4記載の発明によれば、カウンタシャフトを第2バンクのシリンダブロックに近づけて配置することができ、自動二輪車の前後方向に沿ってエンジンをより一層小型化することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1〜図15は本発明の一実施例を示すものであり、図1はV型エンジンの一部切欠き側面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図1の3−3線に沿う断面図、図4はメインシャフトの下部ケースへの組付け手順を説明するための断面図、図5は図2の5−5線断面図、図6は図2の6−6線断面図、図7は図1の7矢視図、図8は図2の要部拡大図、図9は図8の9−9線拡大断面図、図10はシャフトホルダおよび規制板の分解斜視図、図11は図1の11−11線拡大断面図、図12は図1の12−12線拡大断面図、図13は図1の13−13線拡大断面図、図14はフィードポンプによるオイルの流れを示すために図1と同一方向から見たエンジン本体の縦断面図、図15はスカベンジングポンプによるオイルの流れを示すための図14に対応したエンジン本体の縦断面図である。
先ず図1において、自動二輪車に、たとえば5気筒のV型エンジンが搭載されており、該エンジンのエンジン本体15は、自動二輪車の左右方向に延びる軸線を有するクランクシャフト16を回転自在に支承するクランクケース17と、自動二輪車の進行方向に沿う前方側でクランクケース17に結合される第1シリンダブロック18Aと、第1シリンダブロック18Aの上端結合面21Aに結合される第1シリンダヘッド19Aと、第1シリンダヘッド19Aの上端結合面22Aに結合される第1ヘッドカバー20Aと、自動二輪車の進行方向に沿う後方側でクランクケース17に結合される第2シリンダブロック18Bと、該第2シリンダブロック18Bの上端結合面21Bに結合される第2シリンダヘッド19Bと、第2シリンダヘッド19Bの上端結合面22Bに結合される第2ヘッドカバー20Bとを備える。
前記クランクケース17は、上部ケース17aおよび下部ケース17bが相互に結合されて成るものであり、前記クランクシャフト16は上部ケース17aおよび下部ケース17b間で回転自在に支承される。しかも第1および第2シリンダブロック18A,18Bは上部ケース17aに一体に形成される。
而して自動二輪車の進行方向前方に向けて前上がりとなるように傾斜してクランクケース17に連設される3気筒の第1バンク23Aが、第1シリンダブロック18A、第1シリンダヘッド19Aおよび第1ヘッドカバー20Aで構成され、第1バンク23Aとともに上方に向けて開いたV型をなすようにして第1バンク23Aの後方側でクランクケース17に連設される2気筒の第2バンク23Bが、第2シリンダブロック18B、第2シリンダヘッド19Bおよび第2ヘッドカバー20Bで構成される。
図2を併せて参照して、第1バンク23Aの第1シリンダブロック18Aには、クランクシャフト16の軸線に沿う方向に並ぶ3つのピストン24…が摺動自在に嵌合され、第2バンク23Bの第2シリンダブロック18Bには、クランクシャフト16の軸線に沿う方向に並ぶ2つのピストン24…が摺動自在に嵌合され、両バンク23A,23Bの各ピストン24…は、クランクシャフト16が備えるクランクピン16a…にコネクティングロッド29…を介して共通に連結される。
図3を併せて参照して、上部ケース17aには、クランクシャフト16の軸方向に間隔をあけて配置される4つの上部ジャーナル壁180,180…が一体に形成されており、下部ケース17bには、前記各上部ジャーナル壁180,180…に個別に対応した4つの下部ジャーナル壁181,181…が一体に形成される。而してクランクシャフト16が備える4つのジャーナル部16b,16b…は上部ジャーナル壁180,180…および下部ジャーナル壁181,181…間で回転自在に支承されるものであり、各ジャーナル部16b,16b…の両側に配置される一対ずつの結合ボルト182,182…で上部ジャーナル壁180,180…および下部ジャーナル壁181,181…が相互に結合される。しかも各結合ボルト182,182…は下方から下部ケース部材17bに挿通されて上部ケース部材17aに螺合される。
上部ジャーナル壁180,180…および下部ジャーナル壁181,181…が相互に結合されることで、クランクケース17内には、第1および第2バンク23A,23Bにおける気筒配列方向一端(自動二輪車の進行方向前方を向いた状態では左端)の気筒に対応する第1クランク室183と、第1バンク23Aにおける気筒配列方向中央の気筒に対応する第2クランク室184と、第1および第2バンク23A,23Bにおける気筒配列方向他端(自動二輪車の進行方向前方を向いた状態では左端)の気筒に対応する第3クランク室185とが形成されることになり、第1および第2バンク23A,23Bにおける気筒配列方向一端の気筒のピストン24…は第1クランク室183に配置されるクランクピン16aにコネクティングロッド29…を介して連結され、第1バンク23Aにおける気筒配列方向中央の気筒のピストン24は第2クランク室184に配置されるクランクピン16aにコネクティングロッド29を介して連結され、第1および第2バンク23A,23Bにおける気筒配列方向他端の気筒のピストン24…は第3クランク室185に配置されるクランクピン16aにコネクティングロッド29…を介して連結される。
また上部および下部ケース17a,17bは、第1〜第3クランク室183〜185の周囲に配置される複数の結合ボルト186,186…によって結合されるものであり、これらの結合ボルト186,186…は、その配設位置に応じた長さを有して下部ケース17bに下方から挿通され、上部ケース17aに螺合される。
クランクケース17の下部すなわち下部ケース17bの下部にはオイルパン25が結合されており、クランクケース17には、前記第1〜第3クランク室183〜185と、それらのクランク室183〜185の後方側および下方側に位置するようにしてクランクケース17およびオイルパン25で形成される変速機室27とを区画する隔壁28が設けられる。
前記第1〜第3クランク室183〜185の後方側で変速機室27には、常時噛合い式の歯車変速機30が収納されるものであり、この歯車変速機30は、クランクシャフト16と平行な軸線を有するメインシャフト31およびカウンタシャフト32間に、選択的な確立を可能とした複数変速段たとえば6段の第1速〜第6速歯車列G1〜G6が設けられて成るものであり、カウンタシャフト32は、クランクケース17を構成する上部ケース17aおよび下部ケース17bの結合面間で回転自在に支承されるようにしてクランクシャフト16よりも後方側に配置され、メインシャフト31は、クランクシャフト16およびカウンタシャフト32間に対応する部分でクランクケース17の下部ケース17bに回転自在に支承され、このメインシャフト31にはクランクシャフト16からの動力がクラッチ34を介して入力される。
ところで、下部ケース17bには、自動二輪車の進行方向前方を向いた状態で左側に配置される第1支持壁としての左側支持壁187と、前記進行方向前方を向いた状態で右側に配置される第2支持壁としての右側支持壁188とが、メインシャフト31およびカムシャフト32の軸線に沿う方向で前記変速機室27の両端を規定するようにして設けられるものであり、上部ケース17aにも、下部ケース17bの左側支持壁187および右側支持壁188にそれぞれ対応した支持壁が設けられる。而してカウンタシャフト32の一端側は、クランクケース17の左側支持壁187…を回転自在に貫通して外側方に突出され、カウンタシャフト32の他端部はクランクケース17の右側支持壁188…で回転自在に支承される。しかもクランクケース17の左側支持壁187…から突出したカウンタシャフト32の端部には駆動スプロケット35が固定され、図示しない後輪に動力を伝達するための無端状のチェーン36が駆動スプロケット35に巻き掛けられる。
また上部および下部ケース17a,17bは、変速機室27の周囲に配置される複数の結合ボルト189…,190…によっても結合されるものであり、各結合ボルト189…,190…の長さは、その配設位置に応じた適宜設定される。しかもカウンタシャフト32よりもクランクシャフト16側に配置される結合ボルト189…は、上方の第2バンク23B側から締めつけ作業を行うことを避けて下部ケース17bに下方から挿通され、上部ケース17aに螺合されるのに対し、カウンタシャフト32に関してクランクシャフト16と反対側に配置される結合ボルト190…は、上方からの締めつけ作業を容易に行い得るので、上部ケース17Aに上方から挿通され、下部ケース17bに螺合される。
ところで上部ケース17aには、カウンタシャフト32を上方から覆うようにして上方に膨らんだ円弧状の天井壁部179が、図1で示すように形成されており、この天井壁部179は、第2バンク23Bのシリンダブロック18Bでのピストン24の摺動範囲の略中間部で該シリンダブロック18Bに一体に連結される。
メインシャフト31には、第1速歯車列G1の一部を構成する第1速用メインギヤ191が一体に設けられるとともに、第2速歯車列G2〜第6速歯車列G2〜G6の一部をそれぞれ構成する第2速〜第6速用メインギヤ192〜196が相対回転不能に装着されており、第1速用〜第6速用メインギヤ191〜196は、メインシャフト31の一端側か第2速用メインギヤ192、第6速用メインギヤ196、第3速用メインギヤ193、第4速用メインギヤ194、第5速用メインギヤ195および第1速用メインギヤ191の順に並んで配置される。
下部ケース17bにおける左側支持壁187には、メインシャフト31の一端が第1軸受としてのニードルベアリング197を介して回転自在に支承されるものであり、前記左側支持壁187の内面には、ニードルベアリング197の外輪197aを嵌合させる有底の第1軸受孔198が設けられる。一方、下部ケース17bにおける右側支持壁188は、メインシャフト31が回転自在に貫通するものであり、メインシャフト31の中間部を貫通せしめるようにして右側支持壁188に設けられる第2軸受孔199の内周およびメインシャフト31の外周間には、第2軸受としてのボールベアリング200が介装される。
しかもボールベアリング20における外輪200aの外径すなわち第2軸受孔199の内径は、メインシャフト31に相対回転不能に設けられる第1〜第6速用メインギヤ191〜196のうち最大径である第6速用メインギヤ196よりも小径、この実施例では第5速用メインギヤ195よりも小径に形成されるものである。
メインシャフト31を下部ケース17bに組付けるにあたっては、先ず図4(a)で示すように、左側支持壁187の第1軸受孔198にニードルベアリング197の外輪197aを嵌合、保持するとともに、第1〜第6速用メインギヤ191〜196が設けられるメインシャフト31を、その他端側から第2軸受孔199に潜らせる。この際、メインシャフト31に一体に形成されている第1速用メインギヤ191は、第2軸受孔199内に挿入されねばならず、第2軸受孔199の内径は第1速用メインギヤ191を挿入せしめるに足る値を有するように設定される。また第1速用メインギヤ191を第2軸受孔199に挿入した状態で、メインシャフト31の一端を、第1軸受孔198に嵌合、保持されたニードルベアリング197に嵌合し得るように、メインシャフト31の一端ならびに第5速用メインギヤ195の第1速用ギヤ191側端部間の長さL2が、ニードルベアリング198および第2軸受孔199の内端間の長さL1よりも短く設定される。
次いで図4(b)で示すように、ニードルベアリング197に一端が嵌合されたメインシャフト31の中間部が第2軸受孔199を貫通した状態で、メインシャフト31にその他端側からボールベアリング200を嵌装せしめ、該ボールベアリング200の外輪200aを、図4(c)で示すように、第2軸受孔199に外方側から嵌合させる。
而して右側支持壁188の内面には、前記第2軸受孔199の内端から内方側に突出して前記外輪200aの一端を受ける突部201が一体に形成される。また右側支持壁188の外面には、前記外輪200aの外端に当接する支持板202がねじ部材203によって締結されるものであり、ボールベアリング200は、前記突部201および前記支持板202によって軸方向の移動が規制されるようにして、メインシャフト31の外周および第2軸受孔199の内周間に介装されることになる。
図2および図3に注目して、クランクシャフト16の一端部は、クランクケース17が備える上部および下部ジャーナル壁180…,181…のうち自動二輪車の進行方向前方を向いた状態では左端に位置する上部および下部ジャーナル壁180,181から突出されており、このクランクシャフト16の他端部には、発電機44のアウターロータ45が固定される。また前記アウターロータ45とともに発電機44を構成するインナーステータ46が、発電機44を覆うようにしてクランクケース17の左側支持壁に結合される発電機カバー47に固定される。また前記アウターロータ45には一方向クラッチ48を介してギヤ49が連結されており、このギヤ49は、図示しない始動用モータに連動、連結される。
またクランクシャフト16の他端部は、クランクケース17が備える上部および下部ジャーナル壁180…,181…のうち自動二輪車の進行方向前方を向いた状態では右端に位置する上部および下部ジャーナル壁180,181から突出されており、クランクケース17の外方でクランクシャフト16の他端部には比較的大径であるプライマリドライブギヤ41が固定され、このプライマリドライブギヤ41に噛合するプライマリドリブンギヤ42が、ダンパばね43を介してクラッチ34のクラッチアウタ38に連結される。而してクラッチ34は、メインシャフト31との相対回転を不能としたクラッチインナ37と、メインシャフト31との相対回転が可能であるクラッチアウタ38とを備える従来周知の多板式クラッチである。
図5において、第1バンク23Aの第1シリンダヘッド19Aにおいて、両バンク23A,23Bの内方側に臨んで開口する吸気ポート151…と、吸気ポート151…と反対側の側壁に開口する排気ポート152…とが各気筒毎に設けられており、各吸気ポート151…毎に一対の吸気弁51A…と、各排気ポート152…毎に一対の排気弁52A…とが、閉弁方向にばね付勢されつつ開閉作動可能として第1シリンダヘッド19Aに配設される。しかも各吸気弁51A…の頂部に閉塞端内面を当接させる有底円筒状の吸気弁側リフタ53A…ならびに各排気弁52A…の頂部に閉塞端内面を当接させる有底円筒状の排気弁側リフタ54A…が、吸気弁51A…および排気弁52A…の開閉作動方向に摺動することを可能として第1シリンダヘッド19Aに嵌合される。
しかも第1シリンダヘッド19Aと、第1シリンダヘッド19Aに締結される吸気側カムホルダ153とで、各吸気弁側リフタ53A…の閉塞端外面に摺接する複数の吸気側カム55A…を有する吸気側カムシャフト56Aがクランクシャフト16と平行な軸線まわりに回転可能に支承され、第1シリンダヘッド19Aと、第1シリンダヘッド19Aに締結される排気側カムホルダ154とで、各排気弁側リフタ54A…の閉塞端外面に摺接する複数の排気側カム57A…を有する排気側カムシャフト58Aがクランクシャフト16と平行な軸線を有する回転可能に支承される。
図6を併せて参照して、第2バンク23Bの第2シリンダヘッド19Bには、各気筒毎に一対ずつの吸気弁51B…および排気弁52B…が、閉弁方向にばね付勢されて開閉作動可能に配設されており、各吸気弁51B…の頂部に当接する吸気弁側リフタ53B…に、クランクシャフト16と平行な軸線まわりに回転可能な吸気側カムシャフト56Bの吸気側カム55B…が摺接され、各排気弁52B…の頂部に当接する排気弁側リフタ54B…に、クランクシャフト16と平行な軸線まわりに回転可能な排気側カムシャフト58Bの排気側カム57B…が摺接される。
図7において、第1バンク23Aの第1ヘッドカバー20Aには、各気筒の中心部に対応する位置で図示しない点火プラグを挿通するための3つのプラグ挿通孔155,156,157が、自動二輪車の進行方句前方を向いた状態で右側から左側に順に等間隔をあけて設けられる。また第1ヘッドカバー20Aの上面において、各プラグ挿通孔155〜157よりも後方側には、それらのプラグ挿通孔155〜157の配列方向に長い横断面形状を有する取付け筒部158が一体に突設されており、該取付け筒部158内には、自動二輪車の進行方向前方を向いた状態で右側から順に等3つの取付け凹部159,160,161が、取付け筒部156の側壁上面と面一な上面を有する仕切り壁158a,158bを相互間に形成するようにして設けられる。
而して前記取付け凹部159〜161のうち取付け凹部159,160が、プラグ挿通孔155,156にそれぞれほぼ対応する位置に配置されるのに対し、取付け凹部161は、プラグ挿通孔156,157間の中間部にほぼ対応する位置に配置される。すなわち前記取付け凹部159〜161の中間位置にある取付け凹部160と、該取付け凹部160の右側に配置される取付け凹部159との間の距離が、前記中間位置にある取付け凹部160と、該取付け凹部160の左側に配置される取付け凹部161との間の距離よりも大きく設定されており、取付け凹部160,161が相互に近接して配置される。
各取付け凹部159〜161には、リード弁162が取付けられたリング状の支持部材163がそれぞれ圧入されるとともに、複数の小孔164…(図4参照)を有して有底円筒状に形成されるプロテクト部材165が、前記リード弁162よりも内方に位置するようにして圧入される。
前記取付け筒部158には、該取付け筒部158を上方から覆うようにしてキャップ166が締結されるものであり、このキャップ166には、図2で示すように、取付け筒部158の仕切り壁158a,158bに上方から当接する仕切り壁166a,166bが設けられ、それらの仕切り壁166a,166bには、同軸の連通孔167,168が設けられる。またキャップ166には、前記連通孔167,168と同軸に延びる接続筒部169が一体に突設されており、この接続筒部169には、二次空気を導く管路(図示せず)が接続される。すなわちキャップ166および取付け筒部158間には二次空気が導入される。
また第1ヘッドカバー20Aには、前記取付け凹部159〜161の閉塞端内面に開口する二次空気通路170,171,172が設けられるものであり、二次空気通路170,171は、プラグ挿通孔155,156間に配置され、二次空気通路172は、プラグ挿通孔156,157間に配置される。
一方、第1シリンダヘッド19Aには、図5で示すように、各気筒の排気ポート152…に下端部を開口して上方に延びる二次空気通路173…が設けられており、それらの二次空気通路173…の上端は位置決めピンを兼ねるようにして第1ヘッドカバー20Aおよび第1シリンダヘッド19A間に挟持される接続管174…を介して第1ヘッドカバー20Aの各二次空気通路173…に連通する。
このような第1バンク23A側の二次空気供給構造によれば、第1ヘッドカバー20Aに設けられる接続筒部158、ならびに該接続筒部158に取付けられるキャップ166をコンパクト化することができる。
また第2バンク23Bにあっては、第2バンク23B側の2気筒に二次空気を供給するために、図1で示すように、第2ヘッドカバー20Bに接続筒部175が突設され、該接続筒部175にキャップ176が取付けられる。而して、接続筒部175およびキャップ176の形状が、第1バンク23A側の接続筒部168およびキャップ166とは異なるものの、リード弁の配設構造ならびにリード弁から排気ポートまで二次空気を導く通路構造は、上記第1バンク23A側と同様に構成される。
再び図6において、第1バンク23Aにおける吸気側および排気側カムシャフト56A,58Aには、クランクシャフト16の回転動力が伝動手段50Aを介して伝達され、また第2バンク23Bにおける吸気側および排気側カムシャフト56B,58Bには、クランクシャフト16の回転動力が伝動手段50Bを介して伝達される。
第1バンク23A側の伝動手段50Aは、吸気側および排気側カムシャフト56A,58Aの一端部に固定される吸気側および排気側従動スプロケット59A,60Aと、クランクシャフト16の回転に連動する第1バンク用駆動スプロケット61Aと、第1バンク用駆動スプロケット61Aならびに吸気側および排気側従動スプロケット59A,60Aに巻き掛けられる無端状のカムチェーン62Aと、カムチェーン62Aの緊張側外周に接するチェーンガイド部材80Aと、カムチェーン62Aの弛緩側外周に接するチェーンテンショナ81Aと、カムチェーン62Aと反対側からチェーンテンショナ81Aに当接するテンショナリフタ83Aとを備え、第2バンク23B側の伝動手段50Bは、吸気側および排気側カムシャフト56B,58Bの一端部に固定される吸気側および排気側従動スプロケット59B,60Bと、クランクシャフト16の回転に連動する第2バンク用駆動スプロケット61Bと、第2バンク用駆動スプロケット61Bならびに吸気側および排気側従動スプロケット59B,60Bに巻き掛けられる無端状のカムチェーン62Bと、カムチェーン62Bの緊張側外周に接するチェーンガイド部材80Bと、カムチェーン62bの弛緩側外周に接するチェーンテンショナ81Bと、カムチェーン62Bと反対側からチェーンテンショナ81bに当接するテンショナリフタ83Bとを備える。
一方、クランクケース17における右側支持壁の外方でクランクシャフト16の他端部の上方には、クランクシャフト16と平行な軸線まわりに回転する第1バンク用駆動スプロケット61Aおよび第2バンク用駆動スプロケット61Bが配置されており、クランクシャフト16の他端側で第1バンク23Aの第1シリンダブロック18A、第1シリンダヘッド19Aおよび第1ヘッドカバー20Aには、カムチェーン62Aを走行させるチェーン通路63Aが形成され、クランクシャフト16の他端側で第2バンク23Bの第2シリンダブロック18B、第2シリンダヘッド19Bおよび第2ヘッドカバー20Bには、カムチェーン62Bを走行させるチェーン通路63Bが形成される。
図8を併せて参照して、クランクシャフト16の他端部には、プライマリドライブギヤ41よりも小径に形成されるアイドラドライブギヤ64が、クランクシャフト16および歯車変速機30間に介設されるクラッチ34に外周を対向させるようにして、プライマリドライブギヤ41よりも軸方向外方に設けられる。またアイドラドライブギヤ64に噛合するアイドルギヤ65が、クランクシャフト16と平行な軸線を有するアイドルシャフト66に回転自在に支承される。しかも第1バンク用駆動スプロケット61Aおよび第2バンク用駆動スプロケット61Bは、プライマリドライブギヤ41に外周の少なくとも一部を対向させるようにして、アイドルギヤ65にその軸方向内方側で同軸に連設される。
第1バンク用駆動スプロケット61Aおよび第2バンク用駆動スプロケット61Bは、それらの駆動スプロケット61A,61Bに共通である単一の前記アイドルギヤ65に一体に形成されるものであり、第1バンク23A側の吸気側および排気側カムシャフト56A,58Aを駆動すべく、それらのカムシャフト56A,58Aに固定される吸気側および排気側従動スプロケット59A,60A、第1バンク用駆動スプロケット61Aおよびカムチェーン62Aと、第2バンク23B側の吸気側および排気側カムシャフト56B,58Bを駆動すべく、それらのカムシャフト56B,58Bに固定される吸気側および排気側従動スプロケット59B,60B、第2バンク用駆動スプロケット61Bおよびカムチェーン62Bとが、クランクシャフト16の軸方向他端側で相互に隣接して配設されることになる。
図9を併せて参照して、前記アイドルシャフト66は、その中間部の偏心軸部66aと、偏心軸部66aの軸線からオフセットした同一軸線を有して偏心軸部66aの両端に連なる支軸部66b,66cとを一体に有するものであり、前記アイドルギヤ65、第1バンク用駆動スプロケット61Aおよび第2バンク用駆動スプロケット61Bは、前記偏心軸部66aに一対のニードルベアリング67,67を介して回転自在に支承される。
しかもアイドルシャフト66は、支軸部66b,66cの軸線まわりの回動、すなわち偏心軸部66aの軸線からオフセットした軸線まわりの回動を可能として、クランクケース17に支持されるものであり、自動二輪車の進行方向前方を向いた状態での前記クランクケース17の右側支持壁に締結されるシャフトホルダ68にアイドルシャフト66の一端側の支軸部66bが回動可能に支持され、前記クランクケース17の右側支持壁にアイドルシャフト66の他端側の支軸部66cが回動可能に支持される。
図10を併せて参照して、シャフトホルダ68は、円板状の支持部68aと、該支持部68aの周方向複数箇所たとえば3箇所から外側方に張り出す支持腕部68b…とを一体に有するものであり、各支持腕部68b…の先端部が、カムチェーン62A,62Bの走行に支障を来さない箇所でボルト69…によってクランクケース17の右側支持壁に固定される。前記支持部68aの中央部には円形の支持孔70が設けられ、アイドルシャフト66の一端側の支軸部66bが支持孔70に回動可能に嵌合、支持される。しかもアイドルシャフト66の一端側の支軸部66bの先端部は、たとえば相互に平行な一対の平坦面66d…を外周に有するようにして非円形の横断面形状を有するように形成される。
シャフトホルダ68における支持部68aの外方には、円形の規制板71が配置されており、この規制板71の中央部には、前記支軸部66bの先端部を相対回転不能に嵌合せしめる規制孔72が、支軸部66bの先端部の横断面形状に対応した形状を有するようにして設けられ、支軸部66bには、規制板71に拡径頭部73aを係合させるようにしてボルト73が螺合される。すなわち支軸部66bに規制板71が固定される。
また規制孔72の周囲のたとえば2箇所で規制板71には、前記支軸部66bの軸線を中心とする円弧状の長孔74,74が設けられており、それらの長孔74,74に挿通されるボルト75,75がシャフトホルダ68の支持部68aに螺合される。
而してボルト75…を締めつけた状態では、アイドルシャフト66が支軸部66b,66cの軸線まわりに回動することは阻止されるのであるが、ボルト75…を緩めることにより、アイドルシャフト66を支軸部66b,66cの軸線まわりに回動すること、すなわち偏心軸部66aの軸線からオフセットした軸線まわりにアイドルシャフト66を回動することが許容されることになる。
またクランクケース17の右側壁には、クラッチ34を覆うとともにクランクシャフト16の一端部および前記シャフトホルダ68を覆うカバー76が、第1および第2バンク23A,23Bのシリンダブロック18A,18Bに連なるようにして結合される。
図6に注目して、第1バンク用駆動スプロケット61Aおよび第2バンク用駆動スプロケット61Bは、矢印77で示す方向に回転するものであり、第1バンク23A側では、カムチェーン62Aの第1バンク用駆動スプロケット61Aおよび排気側従動スプロケット60A間すなわち両バンク23A,23Bの外側に対応する部分が弛緩側、カムチェーン62Aの吸気側従動スプロケット59Aおよび第1バンク用駆動スプロケット61A間すなわち両バンク23A,23Bの内側に対応する部分が緊張側となり、第2バンク23B側では、カムチェーン62Bの第2バンク用駆動スプロケット61Bおよび排気側従動スプロケット60B間すなわち両バンク23A,23Bの外側に対応する部分が弛緩側、カムチェーン62Bの吸気側従動スプロケット59Bおよび第2バンク用駆動スプロケット61B間すなわち両バンク23A,23Bの内側に対応する部分が緊張側となる。
而して、クランクケース17には、第1バンク23A側のカムチェーン62Aの緊張側外周に接するチェーンガイド部材80A、第1バンク23A側のカムチェーン62Aの弛緩側外周に接するチェーンテンショナ81A、第2バンク23B側のカムチェーン62Bの緊張側外周に接するチェーンガイド部材80B、ならびに第2バンク23B側のカムチェーン62Bの弛緩側外周に接するチェーンテンショナ81Bが取付けられる。
第1バンク23A側のチェーンガイド部材80Aにおいて第1バンク用駆動スプロケット61A側の端部204は、第1バンク用駆動スプロケット61Aの外周のうちカムチェーン62Aが巻き掛けられる部分の少なくとも一部を外側方から覆うように形成されるものであり、この実施例では、第1バンク用駆動スプロケット61Aの下方側に回り込むように形成される。
図11を併せて参照して、第2バンク23B側のチェーンガイド部材80Bには、第1バンク23A側のチェーンガイド部材80Aの前記端部204およびクランクケース17間に先端部が挟まれる支持部205が設けられており、チェーンガイド部材80Aの前記端部204およびチェーンガイド部材80Bの前記支持部205は、第1および第2バンク用駆動スプロケット61A,61B側の近傍斜め下方で相互に重なって配置される。
しかも前記アイドルシャフト66を支持するシャフトホルダ68が備える3つの支持腕部68b…には、クランクケース17の上部ケース17aに一体に突設された円筒状の支持ボス78…に当接する円筒部68c…が一体に突設されており、円筒部68c…に挿通されて支持ボス78…に螺合されるボルト69…を締めつけることでシャフトホルダ68がクランクケース17の上部ケース17aに固定されるのであるが、前記支持腕部68b…の1つは、相互に重なった前記端部204および前記支持部205をクランクケース17との間に挟む位置に配置されるものであり、チェーンガイド部材80Aの前記端部204およびチェーンガイド部材80Bの前記支持部205は、前記円筒部68cおよび支持ボス78で支持される。
しかも両チェーンガイド部材80A,80Bの上部は、両バンク23A,23Bにおける第1および第2シリンダヘッド19A,19Bの内壁に当接、支持される。
第1バンク23A側のチェーンテンショナ81Aは、両バンク23A,23Bの外側に対応する部分でカムチェーン62Aの弛緩側外周に凸曲面を摺接させるようにして弓形に形成され、第2バンク23B側のチェーンテンショナ81Bは、両バンク23A,23Bの内側に対応する部分でカムチェーン62Bの弛緩側外周に凸曲面を摺接させるようにして弓形に形成される。それらのチェーンテンショナ81A,81Bのクランクシャフト16側の一端部は、枢軸82A,82Bを介してクランクケース17に回動可能に支承される。
第1および第2バンク23A,23Bのチェーンテンショナ81A,81Bには、カムチェーン62A,62Bの弛緩側に張りを与えるべく、カムチェーン62A,62Bと反対側からテンショナリフタ83A,83Bが当接するものであり、それらのテンショナリフタ83A,83Bは、両バンク23A,23Bのシリンダヘッド19A,19Bにそれぞれ設けられる。
すなわち第1バンク23Aのテンショナリフタ83Aは、両バンク23A,23Bの外側に対応する部分で第1シリンダヘッド19Aに設けられ、第2バンク23Bのテンショナリフタ83Bは、両バンク23A,23Bの内側に対応する部分で第2シリンダヘッド19Bに設けられる。
前記テンショナリフタ83A,83Bは、円筒状のケース84A,84Bと、ケース84A,84Bの一端から突出するとともに突出方向に付勢されるプッシュロッド85A,85Bとを備える従来周知のものであり、プッシュロッド85A,85Bの先端をカムチェーン62A,62Bの外周に接触させるようにして前記ケース84A,84Bが、第1および第2シリンダヘッド19A,19Bに設けられた取付け孔87A,87Bに嵌合され、ケース84A,84Bの中間部から半径方向外方に張り出すフランジ86A,86Bが第1および第2シリンダヘッド19A,19Bに締結される。
しかも第1バンク23A側において第1シリンダヘッド19の上端結合面22Aからテンショナリフタ83Aまでの距離LAが、第2バンク23B側において第2シリンダヘッド19Bの上端結合面22Bからテンショナリフタ83Bまでの距離LBよりも小さく設定される。
また第2バンク23Bの第2シリンダヘッド19Bからのテンショナリフタ83Bの突出部は、外方に向かうにつれて第2シリンダヘッド19Bの上端結合面22Bに近づくように傾斜して配置され、第1バンク23Aの第1シリンダヘッド19Aからのテンショナリフタ83Aの突出部は、外方に向かうにつれて第1シリンダヘッド19Aの上端結合面22Aから遠ざかるように傾斜して配置される。
図12〜図15を併せて参照して、変速機室27の下部には、共通なオイルポンプ軸90を有するフィードポンプ91およびスカベンジングポンプ92から成る補機としてのオイルポンプ93が配置されるものであり、このオイルポンプ93のポンプハウジング94は、クランクケース17に設けられる隔壁28に下方から取付けられる。
前記ポンプハウジング94は、ハウジング主体95と、該ハウジング主体95を両側から挟む第1および第2カバー96,97とが、複数のボルト98…で締めつけられて成るものであり、ハウジング主体95に一体に設けられて上方に延びる取付け部95aが前記隔壁28に締結され、前記オイルポンプ軸90は、ポンプハウジング94を回転自在に貫通する。しかもオイルポンプ軸90の一端部にはポンプ用被動スプロケット99が固定されており、図2で示すように、プライマリドリブンギヤ42とともに回転するようにしてクランクケース17の外方でメインシャフト31に支承されるポンプ用駆動スプロケット100と、前記ポンプ用被動スプロケット99とに無端状のチェーン101が巻き掛けられる。したがってフィードポンプ91およびスカベンジングポンプ92は、クランクシャフト16に連動するメインシャフト31からの動力伝達により駆動されることになる。
フィードポンプ91およびスカベンジングポンプ92は、トロコイド式のものであり、フィードポンプ91は、前記ハウジング主体95および第1カバー96間に、オイルポンプ軸90に固定されるインナーロータ102と、該インナーロータ102に噛み合うアウターロータ103とが収納されて成り、スカベンジングポンプ92は、前記ハウジング主体95および第2カバー97間に、オイルポンプ軸90に固定されるインナーロータ104と、該インナーロータ104に噛み合うアウターロータ105とが収納されて成る。
ポンプハウジング94における第1カバー96には、フィードポンプ91にオイルを吸入するための吸入通路106が設けられており、この吸入通路106の少なくとも上流部は上下に延びるように形成され、吸入通路106の上流端は下方に向けて開口するようにして第1カバー96の下端に開口する。
前記フィードポンプ91は、オイルパン25内に配設されるオイルストレーナ107を介してオイルパン25内のオイルを吸入するものであり、該オイルストレーナ107が前記吸入通路106に接続される。
オイルストレーナ107のケーシング108は、上下一対の部材が結合されて成るものであり、偏平なケーシング主部108aと、ケーシング主部108aから上方に延びる接続管部108bと、下方に向かうにつれて次第に小径となるようにしてケーシング主部108aから下方に延びるとともに下端に吸い込み口110が形成される吸い込み管部108cとを備えるものであり、ケーシング108の下部は漏斗状に形成される。
前記接続管部108bの上端部は、前記吸入通路106の上流端に環状のシール部材109を介して嵌合されるものであり、ケーシング108の上端部が、クランクケース17の隔壁28に取付けられるポンプハウジング94の第1カバー96に支持される。すなわち上端部がクランクケース17側にポンプハウジング94を介して上端部が支持されるケーシング108の下部が漏斗状に形成され、ケーシング108の下端に吸い込み口110が形成される。
ところで、図13で示すように、自動二輪車の進行方向後方から見てオイルパン25は下部を狭めた略V字状に形成されており、オイルストレーナ107のケーシング108は、自動二輪車の進行方向後方から見て、ケーシング主部108aおよび接続管部108bをオイルパン25の右側支持壁寄りとし、吸い込み管部108cをオイルパン25の左右方向ほぼ中央に配置した形状に形成されている。
前記ケーシング108の下部における吸い込み管部108cの側面には、上下に長い板状であるとともに下方に向かうにつれてケーシング108からの突出量を大とするように形成された複数たとえば4つのストレーナ支持部112,112…が一体に形成されており、各ストレーナ支持部112,112…は、オイルパン25の底部に突設された支持突部113,113…にそれぞれ当接、支持される。
しかも各ストレーナ支持部112,112…は、自動二輪車の進行方向に対して直交するようにして吸い込み管部108cの左右に配置されるとともに、吸い込み管部108cの前後に配置されている。
またオイルパン25の前記右側側壁には、前記ケーシング108におけるケーシング主部108aの右側下部に当接する支持突部114が一体に突設される。
図14および図15に注目して、前記ポンプハウジング94におけるハウジング主体95には、フィードポンプ91からオイルを吐出するための吐出通路115が設けられており、この吐出通路115は、クランクケース17の隔壁28に設けられるオイル通路116に連通される。しかもポンプハウジング94のケーシング主体95および第1カバー96間には、オイルポンプ軸90と平行な軸線を有するリリーフ弁117が、前記吐出通路115の吐出圧が所定値以上となったときに開弁して吐出通路115を流通するオイルの一部をフィードポンプ91の吸い込み側に逃がすようにして装着される。
前記隔壁28に設けられたオイル通路116を流通するオイルは、図14の矢印で示すように、クランクケース17に取付けられるオイルフィルタ118を通過して浄化された後、クランクケース17に取付けられるオイルクーラ119に導入されて冷却される。
また前記隔壁28には、クランクシャフト16と平行に延びるメインギャラリ120が設けられており、オイルクーラ119からメインギャラリ120に導かれたオイルは、2つに分岐される。而して、一方のオイルは隔壁28に設けられたオイル通路121に導かれ、オイル通路122を経て歯車変速機30におけるメインシャフト31およびカウンタシャフト32への第1〜第6速歯車列G1〜G6の軸支部に供給されるとともに、変速機室27の上部に臨んでクランクケース17に設けられたノズル123から歯車変速機30に向けて噴射される。
メインギャラリ12から分岐した他方のオイルは、クランクケース17に設けられた複数のオイル通路124…から上方に送られ、クランクシャフト16を支承する複数の軸受部の潤滑に用いられる。また前記オイル通路124…は、両バンク23A,23Bの連設部でクランクシャフト16と平行に延びるようにしてクランクケース17の上部に設けられている上部オイルギャラリ125に連通しており、上部オイルギャラリ125に接続されるノズル126…により両バンク23A,23Bにおける各気筒のピストン24…に向けて噴射され、第1および第2バンク23A,23Bのシリンダブロック18A,18Bおよびシリンダヘッド19A,19Bには、前記上部オイルギャラリ125からのオイルをシリンダヘッド19A,19Bおよびヘッドカバー20A,20B間に配設される動弁機構側にオイルを導くオイル通路127A,127Bが設けられる。
さらにクランクシャフト16の他端部に対応する部分で右カバー76の内面には、図8で明示するように、クランクシャフト16側に突出した筒部128が一体に設けられており、この筒部128内に突入する円筒部129aを有するボルト129がクランクシャフト16の一端部に同軸に螺合され、前記筒部128および円筒部129a間には環状のシール部材130が介装される。而して前記筒部128内には、前記シール部材130でシールされるオイル室131が前記円筒部129aの端部を臨ませるよにして形成され、前記オイル室131には、図示しないオイル通路を経て前記メインギャラリ120からのオイルが供給される。
しかも前記ボルト129には、クランクシャフト16の内部に設けられた内部オイル通路132を前記オイル室131に通じさせる連通路133が同軸に設けられ、内部オイル通路132に導入されたオイルは、クランクシャフト16が備えるクランクピン16a…およびコネクティングロッド29…の大端部間の潤滑に供される。
図15に注目して、隔壁28の下部には、クランク室26内の下部に落下したオイルを収集するオイル収集孔138が第1〜第3クランク室183,184,185の下部にそれぞれ通じるようにして設けられる。一方、ポンプハウジング94において隔壁28に取付けられる取付け部95aを一体に有するハウジング主体95には、スカベンジングポンプ92にオイルを吸入するための吸入通路139が前記オイル収集孔138に対応して設けられる。
しかも第1バンク23Aの気筒配列方向中央の気筒に対応する第2クランク室184に通じるオイル収集孔138と、前記ハウジング主体95に設けられた吸入通路139との間には、オイル収集孔138から吸入通路139へのオイルの流通だけを許容するリード弁140が配設される。
またポンプハウジング94における第2カバー96には、スカベンジングポンプ92から吐出されるオイルを導く吐出通路141が設けられており、この吐出通路141は、その下流端から歯車変速機30側に向けてオイルを吐出するようにして第2カバー96に形成される。
図12に注目して、前記オイルポンプ93に対応する部分でクランクケース17の左側支持壁にはウォータポンプ142のポンプケース143が取付けられるものであり、ポンプケース143から一端を突出させるようにしてウォータポンプ142が備えるウォータポンプ軸144は、前記オイルポンプ93のオイルポンプ軸90と同軸に配置される。しかもオイルポンプ軸90の他端に突設される突部90aが、前記ウォータポンプ軸144の一端に設けられる係合凹部144aに係脱可能に係合される。すなわちオイルポンプ93におけるフィードポンプ91およびスカベンジングポンプ92が、メインシャフト31からの動力伝達により駆動されるとともに、ウォータポンプ142もメインシャフト31からの動力伝達により駆動されることになる。
しかもオイルポンプ93は、図1で示すように、クランクシャフト16の軸線を通る鉛直面P1と、メインシャフト31の軸線を通る鉛直面P2との間に配置され、前記メインシャフト31の軸線を通る鉛直面P2に関してオイルポンプ93とは反対側には、補機であるシフトドラム39が歯車変速機30の一部を構成するようにして配置されており、オイルポンプ93およびシフトドラム39は、メインシャフト31の周囲に配置される。
次にこの実施例の作用について説明すると、第1バンク23Aにおける吸気弁51A…および排気弁52A…を開閉駆動するための吸気側および排気側カムシャフト56A,58Aには吸気側および排気側従動スプロケット59A,60Aが設けられ、クランクシャフト16から動力が伝達されるアイドルギヤ65ととともに回転する第1バンク用駆動スプロケット61Aと、前記吸気側および排気側カムシャフト56A,58Aとには無端状のカムチェーン62Aが巻き掛けられ、第2バンク23Bにおける吸気弁51B…および排気弁52B…を開閉駆動するための吸気側および排気側カムシャフト56B,58Bには吸気側および排気側従動スプロケット59B,60Bが設けられ、前記アイドルギヤ65ととともに回転する第2バンク用駆動スプロケット61Bと、前記吸気側および排気側カムシャフト56B,58Bとには無端状のカムチェーン62Bが巻き掛けられるのであるが、クランクシャフト16には、エンジンの動力を歯車変速機30側に伝達するプライマリドライブギヤ41と、該プライマリドライブギヤ41よりも小径に形成されるとともにプライマリドライブギヤ42よりも軸方向外方に配置されるアイドラドライブギヤ64とが設けられ、該アイドラドライブギヤ64に噛合する前記アイドルギヤ65が、クランクシャフト16と平行な軸線を有してエンジン本体15のクランクケース17に支持されるアイドルシャフト66に回転自在に支承され、前記第1および第2バンク用駆動スプロケット61A,61Bは、プライマリドライブギヤ41に外周の少なくとも一部を対向させるようにしつつアイドルギヤ65にその軸方向内方側で同軸に連設されている。
すなわち比較的大径であるプライマリドライブギヤ41よりも小径としてクランクシャフト16に設けられるアイドラドライブギヤ64にアイドルギヤ65を噛合せしめ、プライマリドライブギヤ64に外周の少なくとも一部を対向させるようにして第1および第2バンク用駆動スプロケット61A,61Bが、アイドルギヤ65にその軸方向内方側で同軸に連設されることになるので、クランクシャフト16およびアイドルシャフト66間の軸間を小さくし、V型エンジンの小型化に寄与することができる。
またプライマリドライブギヤ41を噛合せしめるプライマリドリブンギヤ42が、アイドラドライブギヤ64の外周に対向する位置に配置されてクランクシャフト16および歯車変速機30間に介設されるクラッチ34に連結されるので、クランクシャフト16およびクラッチ34をクランクシャフト16側に近接配置することを可能とし、クラッチ34の軸線およびクランクシャフト16の軸間距離を小さくしてV型エンジンの小型化により一層寄与することができる。
また第1バンク23A側の第1バンク用駆動スプロケット61A、吸気側従動スプロケット59A、排気側従動スプロケット60Aおよびカムチェーン62Aと、第1バンク23AとともV型をなす第2バンク23B側の第2バンク用駆動スプロケット61B、吸気側従動スプロケット59B、排気側従動スプロケット60Bおよびカムチェーン62bとが、クランクシャフト16の軸方向一端側で相互に隣接して配設され、第1および第2バンク用駆動スプロケット61A,61Bが、それらの駆動スプロケット61A,61Bに共通な単一のアイドルギヤ65に一体に形成されているので、クランクシャフト16の軸線に沿う方向でV型エンジンの小型化に寄与することができ、しかもエンジン部品点数の低減を図ることができる。
さらに偏心軸部66aを有するアイドルシャフト66が、偏心軸部66aの軸線からオフセットした軸線まわりの位置を調整可能としてクランクケース17に支持され、アイドルギヤ65がニードルベアリング67…を介して偏心軸部66aに回転自在に支承されているので、アイドルギヤ65の回転軸線を調整してアイドラドライブギヤ64およびアイドルギヤ65間のバックラッシを低減することを可能としつつ、第1および第2バンク用駆動スプロケット61A,61Bおよびアイドルギヤ65の大径化を防止して、アイドルシャフト66およびクランクシャフト16間の軸間距離をより一層小さくすることができる。
また第1および第2バンク23A,23Bにおいて、カムチェーン62A,62Bに摺接されるチェーンテンショナ81A,81Bには、カムチェーン62A,62Bに張りを与えるようにしてそれらのカムチェーン62A,62Bと反対側からテンショナリフタ83A,83Bが当接され、それらのテンショナリフタ83A,83Bは第1および第2バンク23A,23Bにおける第1および第2シリンダヘッド19A,19Bに設けられるのであるが、両テンショナリフタ83A,83Bの一方、この実施例では両バンク23A,23Bのうち自動二輪車の進行方向前方側である第1バンク23Aのテンショナリフタ83Aが、両バンク23A,23Bの外側に対応する部分で第1シリンダヘッド19Aに設けられ、他方のテンショナリフタ23Bが、両バンク23A,23Bの内側に対応する部分で第2シリンダヘッド19Bに設けられ、第1シリンダヘッド19Aの上端結合面22Aから一方のテンショナリフタ83Aまでの距離LAが、第2シリンダヘッド19Bの上端結合面22Bから他方のテンショナリフタ83Bまでの距離LBよりも小さく設定されている。
したがって両バンク23A,23Bの内側に対応する部分で第2シリンダヘッド19Bに設けられるテンショナリフタ83Bを極力下方位置に配置して、両バンク23A,23B間でのデッドスペースを極力小さくすることができる。
また第2シリンダヘッド19Bからの前記他方のテンショナリフタ83Bの突出部が、第2シリンダヘッド19Bの上端結合面22Bに近づくように傾斜して配置されるので、両バンク23A,23B間でのデッドスペースをより一層小さくすることができるとともに、テンショナリフタ83Bの第2シリンダヘッド19Bへの上方からの取付けを容易とし、取付け性を高めることができる。
さらに第1シリンダヘッド19Aからの前記一方のテンショナリフタ83Aの突出部が、第1シリンダヘッド19Aの上端結合面22Aから遠ざかるように傾斜して配置されるので、両バンク23A,23Bの外側に配置されるテンショナリフタ83Aの第1シリンダヘッド19Aからの突出を抑えてエンジンの小型化に寄与することができるとともに、エンジンの周囲に配置される補機の配置スペースを確保することができる。
第1バンク23Aの伝動手段50Aにおいて、チェーンガイド部材80Aの第1バンク用駆動スプロケット61A側の端部204は、第1バンク用駆動スプロケット61Aの外周のうちカムチェーン62Aが巻き掛けられる部分の少なくとも一部を外側方から覆うように形成されている。このため第1バンク用駆動スプロケット61Aへの巻き掛け部分でカムチェーン62Aのばたつきが生じることを抑えることができ、カムチェーン62Aをチェーンガイド部材80Aで安定して案内することができる。しかもチェーンガイド80Aの前記端部204は、組付け時にカムチェーン62Aが第1バンク用駆動スプロケット61Aから脱落しないようにカムチェーン62Aの第1バンク用駆動スプロケット61Aへの巻き掛け状態を保持することができ、組付け性の向上を図ることができる。
しかもV型をなす第1および第2バンク23A,23Bの一方である第1バンク23Aの伝動手段50Aにおけるチェーンガイド部材80Aが上述のように構成されるので、第1および第2バンク23A,23Bに対応して同軸上に配置される第1および第2バンク用駆動スプロケット61A,61Bにそれぞれカムチェーン62A,62Bが巻き掛けられることに起因してカムチェーン62A,62Bのばたつきが生じ易いV型エンジンにおいても、少なくとも第1バンク用駆動スプロケット61Aへの巻き掛け部分でカムチェーン62Aのばたつきが生じることを抑えることができ、組付け性の向上を図ることができる。
またチェーンガイド部材80Aの第1バンク用駆動スプロケット61A側の端部204が、第1バンク用駆動スプロケット61Aの下方側に回り込むように形成されるので、第1バンク用駆動スプロケット61Aへの巻き掛け部分でカムチェーン62Aを、より広い範囲にわたってチェーンガイド部材80Aの端部204で覆うことができる。しかもチェーンガイド部材80Aの前記端部204が、第1バンク用駆動スプロケット61Aの近傍でエンジン本体15のクランクケース17に設けられる支持ボス78と、ボルト69で該支持ボス78に締結されるシャフトホルダ68の円筒部68cとで支持されるので、第1バンク用駆動スプロケット61Aへの巻き掛け部分でカムチェーン62Aのばたつきが生じることをより効果的に抑えることができる。
また第1バンク23Aの伝動手段50Aにおいて、チェーンガイド部材80Aの前記端部204が第2バンク23Bの伝動手段50Bのカムチェーン62Bを跨ぐようにして第1バンク用駆動スプロケット61Aの下方側に回り込むように形成されるので、V型エンジンにおいても第1バンク用駆動スプロケット61Aへの巻き掛け部分でカムチェーン62Aのばたつきが生じることをより効果的に抑えることができる。
また第1バンク23A側の伝動手段50Aにおけるチェーンガイド部材80Aの前記端部204と、第2バンク23B側の伝動手段50Bのチェーンガイド部材80Bに設けられる支持部205とが、相互に重ねられるとともに前記支持ボス78および前記シャフトホルダ68の円筒部68cで支持されるので、部品点数を低減することが可能となるとともに、組付け時やメンテナンス等の分解時に、両バンク23A,23Bのチェーンガイド80A,80Bの取付けおよび取り外しが容易となり、手間が省ける。
さらに第1および第2バンク用駆動スプロケット61A,61Bは、クランクシャフト16と平行な軸線を有するとともにクランクシャフト16に連動して回転するアイドルギヤ65に設けられるので、スペース的に余裕のある箇所にアイドルギヤ65を配置することにより、チェーンガイド部材80A,80Bの形状をレイアウトの影響を受けずに自由に設定することができる。しかもクランクシャフト16に駆動スプロケットが設けられる場合に比べると、前記駆動スプロケット61A,61Bの小型化が可能であり、チェーンガイド部材80Aの第1バンク用駆動スプロケット61A側の端部の大型化を回避しつつ、カムチェーン62Aの第1バンク用駆動スプロケット61Aへの巻き掛け部分をより広い範囲にわたって覆うことができる。
またクランクケース17の下部に、エンジン本体15の各部に供給するためのオイルを貯留するオイルパン25が設けられており、このオイルパン25内に配設されるオイルストレーナ107のケーシング108の上端部がクランクケース17側に支持されており、下部が漏斗状に形成されるケーシング108の下端に吸い込み口110が形成されているが、オイルストレーナ107のケーシング108の下部側面に、上下に長い板状の複数のストレーナ支持部112…が一体に形成され、各ストレーナ支持部112…がオイルパン25の底部に当接、支持されている。
したがって各ストレーナ支持部112…で、補強リブの機能を果たすようにしてケーシング108の下部の強度を高めることが可能となり、しかもオイルストレーナ107の上端部を支持するクランクケース17側の支持強度を特に高めることを不要としてオイルストレーナ107の支持強度を高めることが可能であり、エンジンの大型化、重量増大および部品点数の増加を回避しつつオイルストレーナ107を強固に支持することができる。しかも各ストレーナ支持部112…が、オイルパン25内でのオイルの移動を規制する仕切り壁の機能も果たすので、オイルストレーナ107以外に仕切り壁をオイルパン25内に配設することを不要とし、これによっても部品点数を低減することができる。
また各ストレーナ支持部112…が、下方に向かうにつれてケーシング108からの突出量を大とするように形成されているので、吸い込み口110の近傍でオイルの流れを効果的に整流し、吸い込み口110へのオイルの吸い込み抵抗を小さく抑えて吸い込み効率の向上を図ることができる。
しかもストレーナ支持部112…が、自動二輪車の前後方向および左右方向にそれぞれ一対ずつ配置されるので、自動二輪車の車両の急加速や急減速に伴うオイルパン25内でのオイルの移動、ならびに自動二輪車の左右方向の動きに伴うオイルパン25内でのオイルの移動を、ストレーナ支持部112…で効果的に規制することができる。
さらに自動二輪車の進行方向から見てオイルパン25が下部を狭めた略V字状に形成されるので、下部を狭めた略V字状のオイルパン25の左右両側壁とオイルストレーナ107との間で、自動二輪車の急加速や急減速に伴ってオイルが前後に移動するのを効果的に防止することができる。
ところで、エンジン本体15のクランクケース17を構成すべく相互に結合される上部ケース17aおよび下部ケース17bの結合面間に、クランクシャフト16およびカウンタシャフト32が平行な軸線を有して回転自在に支承され、カウンタシャフト32との間に択一的に確立可能な複数変速段たとえば6段の歯車列G1〜G6が介設されるメインシャフト31は、該メインシャフト31の軸線に沿って間隔をあけて下部ケース17bに設けられる左側および右側支持壁187,188に回転自在に支承されるものである。
而して左側支持壁187には、メインシャフト31の一端に装着されるニードルベアリング197を嵌合、保持する第1軸受孔198が設けられ、右側支持壁188には、第1軸受孔198に嵌合、保持されたニードルベアリング197にメインシャフト31の一端を嵌合させるまでメインシャフト31をその他端側から潜らせることを可能とした第2軸受孔199が設けられ、ボールベアリング200が、メインシャフト31の一端を第1軸受197に嵌合した後に該メインシャフト31にその他端側から嵌装されるようにして第2軸受孔199に嵌合、保持される。
したがって第2軸受孔199を、メインシャフト31に設けられる複数のメインギヤ191〜196のうち最大径のものよりも大径として右側支持壁188に従来設けられていた貫通孔よりも小径とすることが可能であり、これによりクランクシャフト16およびメインシャフト31間の軸間距離を短くすることができ、自動二輪車の前後に沿う方向でエンジンの小型化を図ることができる。しかも従来のものでは前記貫通孔を塞ぐようにしてメインシャフト31の中間部を支承する軸受ホルダが必要となっていたのであるが、その軸受ホルダが不要となるので部品点数を低減することが可能となるとともに、軸受ホルダの組付けを不要とすることで組付け工数の低減を図ることができる。
またメインシャフト31の周囲には、シフトドラム39およびオイルポンプ93が配置されており、シフトドラム39およびオイルポンプ93と、メインシャフト31との間の距離を短くし、エンジンをより一層小型化することができる。
しかもオイルポンプ93は、メインシャフト31に連動して作動するようにして、クランクシャフト16およびメインシャフト31の軸線をそれぞれ通る鉛直面P1,P2間に配置されるので、クランクシャフト16およびメインシャフト31間に生じるスペースを利用してオイルポンプ93を配置することができ、しかもオイルポンプ93を駆動するメインシャフト31に近接配置して、メインシャフト31と、オイルポンプ93との間の動力伝達機構を、たとえばポンプ用駆動スプロケット100、ポンプ用被動スプロケット99およびチェーン101を用いるようにしてコンパクト化することができる。
さらにクランクケース17の上部ケース17aは、カウンタシャフト32を上方から覆う天井壁部179を有するのであるが、この天井壁部179が、第2バンク23Bにおけるシリンダブロック18Bへのピストン24の摺動方向中間部で前記シリンダブロック18Bに連設されているので、カウンタシャフト32を第2バンク23Bのシリンダブロック18Bに近づけて配置することができ、自動二輪車の前後方向に沿ってエンジンをより一層小型化することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとえば上記実施例では、オイルポンプ93のオイルポンプ軸90にメインシャフト31からチェーン101を用いて動力が伝達される構成としたが、クランクシャフト16からオイルポンプ軸90に直接動力が伝達される構成としてもよい。
V型エンジンの一部切欠き側面図である。 図1の2−2線断面図である。 図1の3−3線に沿う断面図である。 メインシャフトの下部ケースへの組付け手順を説明するための断面図である。 図2の5−5線断面図である。 図2の6−6線断面図である。 図1の7矢視図である。 図2の要部拡大図である。 図8の9−9線拡大断面図である。 シャフトホルダおよび規制板の分解斜視図である。 図1の11−11線拡大断面図である。 図1の12−12線拡大断面図である。 図1の13−13線拡大断面図である。 フィードポンプによるオイルの流れを示すために図1と同一方向から見たエンジン本体の縦断面図である。 スカベンジングポンプによるオイルの流れを示すための図14に対応したエンジン本体の縦断面図である。
符号の説明
16・・・クランクシャフト
17・・・クランクケース
17a・・・上部ケース
17b・・・下部ケース
18B・・・シリンダブロック
23A・・・第1バンク
23B・・・第2バンク
24・・・ピストン
31・・・メインシャフト
32・・・カウンタシャフト
39・・・補機であるシフトドラム
93・・・補機であるオイルポンプ
179・・・天井壁部
187・・・第1支持壁である左側支持壁
188・・・第2支持壁である右側支持壁
197・・・第1軸受であるニードルベアリング
198・・・第1軸受孔
199・・・第2軸受孔
200・・・第2軸受であるボールベアリング
P1,P2・・・鉛直面

Claims (4)

  1. 相互に結合される上部ケース(17a)および下部ケース(17b)で構成されるクランクケース(17)に、クランクシャフト(16)と、該クランクシャフト(16)と平行なカウンタシャフト(32)とが回転自在に支承され、前記クランクシャフト(16)および前記カウンタシャフト(32)と平行な軸線を有するメインシャフト(31)が、該メインシャフト(31)の軸線に沿って間隔をあけて前記下部ケース(17b)に設けられる第1および第2支持壁(187,188)に回転自在に支承される自動二輪車用エンジンにおいて、前記第1支持壁(187)には、前記メインシャフト(31)の一端に装着される第1軸受(197)を嵌合、保持する第1軸受孔(198)が設けられ、第2支持壁(188)には、第1軸受孔(198)に嵌合、保持された第1軸受(197)に前記メインシャフト(31)の一端を嵌合させるまで前記メインシャフト(31)をその他端側から潜らせることを可能とした第2軸受孔(199)が設けられ、第2軸受(200)が、前記メインシャフト(31)の一端を第1軸受(197)に嵌合した後に該メインシャフト(31)にその他端側から嵌装されるようにして第2軸受孔(199)に嵌合、保持されることを特徴とする自動二輪車用エンジン。
  2. 前記メインシャフト(31)の周囲に補機(39,93)が配置されることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車用エンジン。
  3. 前記補機であるオイルポンプ(93)が、前記クランクシャフト(16)または前記メインシャフト(31)に連動して作動するようにして、前記クランクシャフト(16)および前記メインシャフト(31)の軸線をそれぞれ通る鉛直面(P1,P2)間に配置されることを特徴とする請求項2記載の自動二輪車用エンジン。
  4. 第1バンク(23A)と、自動二輪車への搭載状態で第1バンク(23A)よりも後方側に配置される第2バンク(23B)とが相互にV型をなすようにして前記クランクケース(17)の上部ケース(17a)に連設され、前記上部ケース(17a)のうち前記カウンタシャフト(32)を上方から覆う天井壁部(179)が、第2バンク(23B)のシリンダブロック(18B)へのピストン(24)の摺動範囲の略中間部で前記シリンダブロック(18B)の後部に連設されることを特徴とする請求項1または2記載の自動二輪車用エンジン。
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