JP2006200119A - 軽量で耐薬品性に優れた弾性網状構造体 - Google Patents

軽量で耐薬品性に優れた弾性網状構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】比重が0.94g/cm3以下の低密度ポリエチレン樹脂よりなるので、取り扱い性や用途制限の少ない軽量で、耐薬品性に優れた弾性網状構造体であり、各種クッション材、特には倉庫から運動場へ運びやすい運動用着地マット等に好適なクッションに適した材料を提供できる。
【解決手段】300デシテックス以上の連続線状体を曲がりくねらせランダムループを形成し、夫々のループを互いに溶融状態で接触せしめて、接触部の大部分を融着させてなる三次元ランダムループ接合構造体であり、主として連続線状体は比重が0.94g/cm3以下の低密度ポリエチレン樹脂よりなる弾性網状構造体。
【選択図】図1

Description

本発明は、家具、ベッド等の寝具、車両用座席、船舶用座席等に適した耐久性とクッション性を有する軽量で耐薬品性に優れた網状構造体に関する。
現在、家具、ベッド等の寝具、電車、自動車等のクッション材で、発泡ウレタン、非弾性捲縮繊維詰綿、及び非弾性捲縮繊維を接着した樹脂綿や硬綿などが使用されている。
しかしながら、発泡−架橋型ウレタンはクッション材としての耐久性は良好だが、透湿透水性に劣り蓄熱性があるため蒸れやすく、かつ、熱可塑性では無いためリサイクルが困難となり焼却される場合、焼却炉の損傷が大きく、かつ、有毒ガス除去に経費が掛かる。このため埋め立てされることが多くなったが、地盤の安定化が困難なため埋め立て場所が限定され経費も高くなっていく問題がある。また、加工性は優れるが製造中に使用される薬品の公害問題などもある。また、熱可塑性ポリエステル接着詰綿では繊維間が固定されていないため、使用時形態が崩れたり、繊維が移動して、かつ、捲縮のへたりで崇高性の低下や弾力性の低下が問題になる。これらのクッション材は重いことから、運動用マットなどの大型クッション材にした場合は重量が重く、移動するのに多人数を要する問題もある。
ポリエステル繊維を接着剤で接着した樹脂綿、例えば接着剤にゴム系を用いたもの(例えば、特許文献1,2,3参照)、又、架橋性ウレタンを用いたもの(例えば、特許文献4参照)がある。これらのクッション材は耐久性に劣り、且つ、熱可塑性でなく、単一組成でもないためリサイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑さや製造中に使用される薬品の公害問題などもある。
ポリエステル硬綿を用いているもの(例えば、特許文献5,6参照)があるが、熱接着繊維の繊維成分が脆い非晶性のポリマーを用いるため接着部分が脆く、使用中に接着部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの耐久性に劣る問題がある。
また、改良法として、交絡処理する方法(例えば、特許文献7参照)が提案されているが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大きい問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しにくい問題もある。このため、接着部分を柔らかい、且つ変形しても回復するポリエステルエラストマーを用いた熱接着繊維を用いたクッション材が提案されている(例えば、特許文献8参照)。この繊維構造物に使われる接着成分のポリエステルエラストマーは融点を低くする為に、ハードセグメントの酸成分にテレフタル酸を50〜80モル%含有し、ソフトセグメントとしてのポリアルキレングリコールの含有量が30〜50重量%を含有させ、他の酸成分組成としてイソフタル酸等を含有し非晶性が増加させて融点を180℃以下にし、且つ低溶融粘度として熱接着部分の形成を良くしてアメーバー状の接着部を形成しているが、芯部にポリエチレンテレフタレートを使った芯鞘型の複合繊維であるため、反発性が高く、体型にフィットしたものとなりにくいという問題があり、また、複合紡糸繊維を使用することや、再加熱し溶融接着する工程を必要とするためコストが高くなるという問題もある。
土木工事用に使用する熱可塑性のオレフィン網状体が提案されている(例えば、特許文献9参照)が、細い繊維から構成したクッションとは異なり表面が凸凹でタッチが悪く、素材が直鎖状オレフィンのためクッション性に劣ったものであった。また、塩化ビニールを使った網状構造体が玄関マット用などに提案されているが、圧縮変形しやすく回復性に劣ったものであり、且つ燃焼時に有毒なハロゲン化水素が発生する等クッション材には不適当な構造体である。
ウレタンの代替品として、ポリオレフィン樹脂と酢酸ビニル樹脂、酢ビエチレン共重合体、又はスチレンブタジエンスチレンとの混合物からなるクッション材も検討されている(例えば、特許文献10)。しかしこれはウレタンに比べて沈み込みが少なく、25%圧縮時応力が高い、圧縮と除圧時の応力差が小さいので反発性が高すぎる、他成分と混合されているので耐光性が悪い、比重が大きく重たくなりやすい等の問題がある。
ポリエステル系の熱可塑性弾性樹脂からなる連続線状体を曲がりくねらせランダムループを形成し、夫々のループを互いに溶融状態で接触せしめて、接触部の大部分を融着させてなる三次元ランダムループ接合構造体が提案されているが、比重が1.3g/cm3以上が一般的であるため重くなりやすく、また耐薬品性に劣るため製造管理時や使用時に注意しなくてはならないという問題がある。
特開昭60−11352号公報 特開昭61−141388号公報 特開昭61−141391号公報 特開昭61−137732号公報 特開昭58−136828号公報 特開平3−249213号公報 特開平4−245965号公報 WO91/19032号公報 特開昭47−44839号公報 特開2003−250667号公報
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、耐久性、クッション性の優れた蒸れ難い網状構造体であって、主として連続線状体は比重が0.94g/cm3以下の低密度ポリエチレン樹脂よりなる軽量で、耐薬品性に優れた弾性網状構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。即ち本発明は
1.300デシテックス以上の連続線状体を曲がりくねらせランダムループを形成し、夫々のループを互いに溶融状態で接触せしめて、接触部の大部分を融着させてなる三次元ランダムループ接合構造体であり、主として連続線状体は比重が0.94g/cm3以下の低密度ポリエチレン樹脂よりなる弾性網状構造体。
2.網状構造体の見掛密度が0.005〜0.2g/cm3であることを特徴とする上記1に記載の弾性網状構造体。
3.ヒステリシスロスが35%〜70%であることを特徴とする上記1または2に記載の弾性網状構造体。
4.耐光試験において、試験前後での圧縮硬さ保持度が5等級中4級以上であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の弾性網状構造体。
5.網状構造体の0℃における25%圧縮硬さが、20℃における25%圧縮硬さ対比で150%以下であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の弾性網状構造体。
6.網状構造体の0℃における50%圧縮硬さが、20℃における50%圧縮硬さ対比で150%以下であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の弾性網状構造体。
7.ランダムループの直径が50mm以下であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の弾性網状構造体。
8.網状構造体の厚みが3mm以上であることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の弾性網状構造体。
9.クッション用であることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の弾性網状構造体。
である。
本発明による弾性網状構造体は、主として連続線状体は比重が0.94g/cm3以下の低密度ポリエチレン樹脂よりなるので、取り扱い性や用途制限の少ない軽量で、耐薬品性に優れた弾性網状構造体であり、各種クッション材、特には倉庫から運動場へ運びやすい運動用着地マット等に好適なクッションを提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいう弾性網状構造体とは75%圧縮・除圧のテストにおいて測定される弾性回復率が95%以上のものを意味する。弾性回復率は好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上である。従来の実質直鎖状のポリエチレンやポリプロピレンで作られた場合、弾性回復率は80%前後であって、20%前後の歪みが残ったものとなってしまうので、これらは本発明において弾性網状構造体に含めない。
本発明の弾性網状構造体は、主として熱可塑性樹脂からなる300デシテックス以上の連続線状体を曲がりくねらせ多数のループを形成し、各々のループを互いに溶融状態で接触させ、接触部の大部分が互いに融着して三次元ランダムループからなる網状構造を形成している。このことで、非常に大きい応力で、大変形を与えても、融着一体化した三次元ランダムループからなる網状構造全体が変形して応力を吸収し、応力が解除されると、構造体は少し時間をかけて元の形態に回復することができる。公知のポリエステル、ポリアミド、直鎖状ポリオレフィン等の樹脂からなる連続線状体で構成された網状構造体をクッション材に用いた場合、連続線状態の繊度が大きかったり、あるいは網状構造体の見掛密度が高い場合などは網状構造体がクッション性を有さなくなりやすく、たとえ有したとしても塑性変形を生じたり、あるいは破壊されたりし、このような回復が起こらない。融着していない場合は、形態保持が出来ず、構造体が一体で変形しないため、応力集中による疲労現象が起こり耐久性が劣ると同時に、形態が変形してしまうので好ましくない。本発明のより好ましい融着の程度は、接触部分が全て融着した状態である。
なお本発明の連続線状体の繊度は300デシテックス以下では強度が低くなり反発力が低下するので好ましくない。本発明の連続線状体の好ましい繊度は反発力の得られる400デシテックス以上100000デシテックス以下であり、100000デシテックス以上では線状体の構成本数が少なくなり圧縮特性が悪くなるので使用部分が限定される場合がある。より好ましくは500〜50000デシテックスである。断面形状は特に限定されないが、細い繊度の連続線状体とする場合、異形断面や中空断面は反発力が向上するので好ましい。
また、連続線状体の三次元ランダムループ接合構造体でない場合、例えば鞘部に低融点ポリマーを用いた複合繊維や接着繊維と混合した短繊維からなる綿構造体を熱処理して接着させたような場合は、アメーバー状に接合し二次元的には均整のとれた広がりと繊維の方向性を有しているが、厚み方向に並ぶ繊維はほとんど無く、剪断方向の回復力のみ利用し、繊維軸方向の回復力を利用できておらず、平面物体の弾性を示し、変位の二乗に比例するバネ変形のごとく、反発性の大きいものとなってしまうので好ましくない。
本発明の弾性網状構造体を形成する熱可塑性樹脂よりなる連続線状体は、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂と組み合わせた複合形態としてもよい。複合形態としては、線状体自身を複合化した場合として、シース・コア型、サイドバイサイド型、偏心シース・コア型等の線状体が挙げられる。
弾性網状構造体層を複合化(一体接着構造)したものとして、エラストマー層/非エラストマー層/エラストマー層のサンドウィッチ構造、エラストマー層/非エラストマー層の2層構造、マトリックスのエラストマー層の内部に部分的に非エラストマー層を配した複合化構造が挙げられる。
本発明の弾性網状構造体は、要求性能との関係で、ループの大きさの異なるもの、デシテックスの異なるもの、組成の異なるもの、密度の異なるもの等の夫々の網状構造体を適宜選択し、積層あるいは混合してもよい。
更には、積層構造体表面に必要に応じ熱接着層(低融点熱接着繊維又は低融点熱接着フィルム)を配して、側地やワディング層と接着一体化して座席用クッションとする方法や硬わたクッション(好ましくはエラストマー使いの熱接着繊維からなるもの)をワディング層として併用して側地と熱接着一体化してクッションとすることも包含する。
本発明の弾性網状構造体を構成するポリマーは比重が0.94g/cm3以下の低密度ポリエチレン樹脂であることが好ましく、特にはエチレンと炭素数3以上のαオレフィンからなるエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂からなることが好ましい。本発明の弾性網状構造体はこれらのポリエチレン樹脂からなるため、耐薬品性に優れるという特性が得られる。本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体は、特開平6−293813号公報に記載されている共重合であることが好ましく、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンを共重合してなるものである。ここで、炭素数3以上のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1などが挙げられ、好ましくはブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1である。また、これら2種類以上を用いることもでき、これらα−オレフィンは通常1〜40重量%共重合される。
この共重合体は、特定のメタロセン化合物と有機金属化合物を基本構成とする触媒系を用いてエチレンとα−オレフィンを共重合することによって得ることができる。
比重が0.94g/cm3を越える原料を用いると、クッション材が硬くなってしまいやすく好ましくない。より好ましくは0.935g/cm3以下であり、さらには0.93g/cm3以下が一層好ましい。下限としては強度保持の観点から0.8g/cm3以上、より好ましくは0.85g/cm3以上が好ましい。
この共重合体は熱溶融性を有することが好ましい。熱溶融性を有すれば、再溶融により再生が可能となるためリサイクルが容易となる。
本発明の弾性網状構造体はヒステリシスロスが35%以上、大きくとも70%以下であることが好ましい。ヒステリシスロスが大きいということは解放後の戻りの力が弱いということであり、例えば体重をかけたときに均一に力がかかることから疲れにくくなる効果がある。ヒステリシスロスが35%未満で有れば回復力が大きく、本発明の目的とするソフトな反発性ではないため好ましくない。70%を越えると、弾性を感じることができなくなるので好ましくない。より好ましくは40〜60%、さらには45%〜55%が一層好ましい。共重合ポリエステルでは応力歪み曲線の応力が全体的に低くなってしまうため、大きなヒステリシスロスは得られない。
本発明の弾性網状構造体は耐光試験において、試験前後での圧縮硬さ保持度が5等級中4級以上、さらには5級以上が一層好ましい。また、カーボンアーク燈にて500時間暴露試験をした後の耐光劣化評価でも、元の網状構造を留めていることが好ましい。カーボンアーク燈500時間の暴露は、一般に、1年間屋外に放置した場合と同等の紫外線照射量になると言われている。
リサイクル性からその他の素材が混じっていない弾性網状構造体をむき出しにした商品が開発されてきており、その場合、従来の共重合ポリエステルや共重合ポリアミドでは屋外放置時にクッション性が低下しやすいことや黄変しやすいという問題があった。本発明の弾性網状構造体は、好ましくはポリエチレン系樹脂を用いることで、この課題を解決することができる。
本発明の弾性網状構造体の0℃における25%圧縮硬さが、20℃における25%圧縮硬さ対比で150%以下、より好ましくは140%以下、さらには130%以下が一層好ましい。本発明の弾性網状構造体の特徴は低温時でも適度な弾性を有するところにあり、公知の弾性網状構造体はポリエステル系共重合物が主体であって、それらは常温時(20〜30℃)に適度な弾性を有するように設計されており、0℃前後ではクッション性が劣ってしまう。特に25%圧縮したときの応力を意味する圧縮硬さは、クッション体として使用する場合における、体重をかけ始める風合いを示しており、そのクッション体の柔らかさのイメージに大きく影響する指標である。常温時に対し、低温時の圧縮硬さが50%以上上昇すると、風合いの違和感が顕著になるため好ましくない。
本発明の弾性網状構造体の0℃における50%圧縮硬さが、20℃における50%圧縮硬さ対比で150%以下、より好ましくは140%以下、さらには130%以下が一層好ましい。50%圧縮したときの応力を意味する圧縮硬さは、クッション体として使用する場合における、体重をかけている時の風合いを示している。常温時に対し、低温時の圧縮硬さが50%以上上昇すると、硬くなりすぎるためクッション体として不適当である。
本発明の弾性網状構造体はランダムループの直径が50mm以下、より好ましくは40mm以下、さらには30mm以下が一層好ましい。50mmを越えると厚み方向にループが広がり空隙率に斑が出来やすくなりクッション性の斑になる場合がある。
本発明の弾性網状構造体は見掛密度が下限として0.005g/cm3以上、より好ましくは0.007g/cm3以上、さらには0.01g/cm3以上が一層好ましい。上限としては0.2g/cm3以下、より好ましくは0.1g/cm3以下、さらには0.08g/cm3以下が一層好ましい。見掛密度が0.005g/cm3 未満では、反発力が失われるのでクッション材に不適当であり、0.2g/cm3 を越えると弾発性が強くなり、座り心地が悪くなるので、クッション材には不適当なものとなる。
本発明の弾性網状構造体は厚みが3mm以上、より好ましくは10mm以上、さらには20mm以上が一層好ましい。3mm未満では変形のストロークが短くなりすぎて底付き感がでてしまいやすくなるため好ましくない。製造装置の関係から、上限としては300mm以下であり、好ましくは200mm以下、さらには150mm以下が一層好ましい。
本発明の弾性網状構造体はクッション用であることが好ましい。本発明の弾性網状構造体をクッション材に用いる場合、その使用目的、使用部位により使用する樹脂、繊度、ループ径、嵩密度を選択する必要がある。例えば、表層のワディングに用いる場合は、ソフトなタッチと適度の沈み込みと張りのある膨らみを付与するために、低密度で細い繊度、細かいループ径にするのが好ましく、中層のクッション体としては、共振振動数を低くし、適度の硬さと圧縮時のヒステリシスを直線的に変化させて体型保持性を良くし、耐久性を保持させるために、中密度で太い繊度、やや大きいループ径が好ましい。また、三次元構造を損なわない程度に成形型等を用いて使用目的にあった形状に成形して側地を被せ車両用座席、船舶用座席、ベッド、椅子、家具等に用いることが出来る。もちろん、用途との関係で要求性能に合うべく、他の詰物体、例えば短繊維集合体からなる硬わたクッション材、不織布と組み合わせて用いることも可能である。また、ポリマーの製造過程から成形体に加工する任意の段階で難燃化、防虫抗菌化、耐熱化、撥水撥油化、着色、芳香等の機能付与を薬剤添加等の処理加工ができる。
次に本発明の製法について述べる。本発明において一般的な溶融押出機を用いて溶融した例えば特開昭55−120626号公報等の公知の方法で得た熱可塑性樹脂を融点より10〜80℃高い温度に加熱して溶融状態とし、複数のオリフィスを持つノズルより下向きに吐出させ、自然降下させループを形成させる。このときノズル面と樹脂を固化させる冷却媒体上に設置した引取りコンベアとの距離、樹脂の溶融粘度、オリフィスの孔径と吐出量などによりループ径と線状体の繊度がきまる。冷却媒体上に設置した間隔が調整可能な一対の引取りコンベアで溶融状態の吐出線状体を挟み込み停留させることでループが発生し、オリフィスの孔間隔を発生ループが接触できる孔間隔にしておくことで発生したループを互いに接触させ、接触することでループがランダムな三次元形態を形成しつつ接触部は融着する。次いでランダムな三次元形態を形成しつつ接触部が融着した連続線状体を連続して冷却媒体中に引込み固化させ網状構造体を形成する。次いで所望の長さや形状に切断して必要に応じ積層成形加工してクッション材に用いる。本発明は熱可塑性樹脂を融点より10〜80℃高い温度に加熱して溶融状態として複数のオリフィスを持つノズルより下向きに吐出させる。熱可塑性樹脂を融点より10℃未満高い温度では吐出された線状体が冷えて流動しにくくなり線状体同士の接触部の融着が不充分になり好ましくない。他方、融点より80℃を越える温度で溶融させると熱可塑性樹脂の溶融粘度が低下しすぎランダムループのループ径が不安定となり三次元形態を形成しにくくなるので好ましくない。吐出時の溶融温度を熱可塑性樹脂の融点より30〜50℃高い温度とすることで溶融粘度を比較的高く維持できるため、ループ形成が良好なためランダムな三次元形態を形成し易くかつ接触部は融着しやすい状態を保持できるので好ましい。
本発明の方法に於ける好ましい実施形態としては、ランダムな三次元形態を形成しつつ接触部が融着した連続線状体を連続して冷却媒体中に引込み固化させ網状構造体を形成するとき冷却媒体の温度を20℃前後のアニーリング温度とすることがあげられる。
本発明のクッション用網状構造体を構成する連続線状体のループ径と線状体の繊度はノズル面と樹脂を固化させる冷却媒体上に設置した引取りコンベアとの距離、樹脂の溶融粘度、オリフィスの孔径と吐出量などにより決まる。例えば熱可塑性樹脂の吐出量を少なくしたり、吐出時の溶融粘度を低くする条件では、線状体の繊度が細くなり、且つランダムループの平均ループ直径も小さくなる。また、ノズル面と樹脂を固化させる冷却媒体上に設置した引取りコンベアとの距離を短くすれば、線状体の繊度は少し太くなり、且つランダムループの平均ループ直径も大きくなる。このような条件を組み合わせて本発明の好ましい範囲である連続線状体の繊度が500デシテックスから50000デシテックス、ランダムループの平均直径を50mm以下、より好ましくは2〜25mmとなるように条件をきめるのが望ましい。上記コンベアの間隔を調整することで、融着した網状体が溶融状態でいる間で厚み調節が可能となり、更には挟まれた面がフラット化された所望の厚みのものが得られる。コンベア速度が速すぎると、融着するまでに冷却され、接触部が融着されなくなる。また、速度が遅過ぎると溶融物が滞留し過ぎ、密度が高くなるので、本発明の好ましい所望の見掛密度となるようにコンベアの間隔やコンベア速度を設定するのが望ましい。かくして得られる本発明の網状構造体は、クッション材とした場合、従来の短繊維の集合体からなるクッション材では見られない優れたソフト反発性を有する。このように好ましい例をあげたが、これらに限定されるものではない。
以下に、実施例を例示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中における特性値の測定及び評価は下記のようにおこなった。
(1)繊度
試料を20cm×20cmの大きさに切断し、10か所から線状体を採集する。10か所で採集した線状体の40℃での比重を密度勾配管を用いて測定する。更に、上記10か所で採集した線状体の断面積を顕微鏡で30倍に拡大した写真より求め、それより線状体の長さ10000m分の体積を求める。得られた比重と体積を乗じた値を繊度(線状体10000m分の重量)とする。(n=10の平均値)
(2)融着
試料を目視判断で融着しているか否かを接着している繊維同士を手で引っ張って外れないか否かで外れないものを融着していると判断する。
(3)圧縮硬さ保持度
試料を20cm×20cmの大きさに切断したサンプルを2つ用意し、その内の一つを屋外に2週間放置し、もう一方を冷暗所で2週間保管した。それぞれのサンプルの硬さ、風合いの変化を5等級で下記のように相対評価した。
5級:全然変わらない、4級:わずかに回復戻りが悪くなる、
3級:回復戻りが悪くなる、2級:指で押さえても戻らない、1級:もろく壊れた
(4)カーボンアーク燈による耐光劣化評価
試料として7cm×15cmの大きさに切断したサンプルを用意し、サンシャインウェザ−メ−タ−を使用して、JIS L−0843のA法に準じて、放射照度38.5W/m2(300nm〜400nm)、照射温度63±3℃でサンプルに500時間照射を行った。照射後のサンプルの網状構造が保持されているかどうかを下記のように評価した。
○:元の網状構造を維持している
×:網状構造が崩れ、形態を留めていない
(5)試料厚み及び見掛嵩密度
試料を15cm×15cmの大きさに切断し、無荷重で24時間放置した後、4か所の高さを測定して平均値を試料厚みとする。また試料厚みから体積を求め、試料の重さを体積で除した値で示す。(それぞれn=4の平均値)
(6)ランダムループの平均直径
試料を20cm×20cmの大きさに切断し、長手方向に形成した不規則な形状のランダムループの360°旋回点までの描いたループの内接円と外接円の平均の直径を求めた。(n=20の平均値)
(7)弾性回復率
試料を20cm×20cmの大きさに切断し、20℃の環境下に1時間放置し、25℃の環境下にあるオリエンテックス社製テンシロンにてφ150mm圧縮板にて、50mm/minの速度で75%圧縮し、ホールドタイム無しで、同速度で元の位置まで圧縮板を戻し、圧縮前の厚み(a)及び圧縮・除圧後の厚み(b)から下記式により求める。
弾性回復率(%)=b/a×100
(8)20℃における25%もしくは50%圧縮硬さ
試料を20cm×20cmの大きさに切断し、無荷重で24時間放置した後、20℃の環境下に1時間放置し、20℃の環境下にあるオリエンテックス社製テンシロンにてφ150mm圧縮板にて50mm/minの速度で25%もしくは50%圧縮し、その際の荷重を測定した。(n=3の平均値)
(9)0℃における25%もしくは50%圧縮硬さ
試料を20cm×20cmの大きさに切断し、無荷重で24時間放置した後、氷水の中に1時間浸漬し、3分以内に20℃の環境下にあるオリエンテックス社製テンシロンにて同じく氷水の中に1時間浸漬したφ150mm圧縮板にて50mm/minの速度で25%もしくは50%圧縮し、その際の荷重を測定した。(n=3の平均値)
(10)ヒステリシスロス
試料を20cm×20cmの大きさに切断し、20℃の環境下に1時間放置し、25℃の環境下にあるオリエンテックス社製テンシロンにてφ150mm圧縮板にて、50mm/minの速度で75%圧縮し、ホールドタイム無しで、同速度で元の位置まで圧縮板を戻し(一回目の応力歪み曲線)、続けてホールドタイム無しで同作業(圧縮と戻し)を繰り返す(二回目の応力歪み曲線)。二回目の圧縮時応力曲線の示す圧縮エネルギー(WC)、二回目の除圧時応力曲線の示す圧縮エネルギー(WC‘)とし、下記式に従ってヒステリシスロスを求める。
ヒステリシスロス(%)=(WC−WC‘)/WC×100
WC=∫PdT(0%から75%まで圧縮したときの仕事量)
WC‘=∫PdT(75%から0%まで除圧したときの仕事量)
簡易的には例えば図1のような応力歪み曲線が得られたら、斜線部分の面積をWCとし、網掛け部分の面積をWC‘とする。その面積比を切り抜いた部分の重さから求めることができる。(n=3の平均値)
(実施例1)
メタロセン化合物を触媒としてヘキサン、ヘキセン、エチレンを公知の方法で重合し、得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(比重0.919g/cm3)を溶融して、幅50cm、長さ5cmのノズル有効面に孔径0.5mmのオリフィスを孔間ピッチ5mm間隔で配列したノズルより、該共重合体原料を単孔当たり0.7g/min溶融して吐出させ、ノズル面下250cmの位置に冷却水を配し、幅60cmのステンレス製エンドレスネットを平行に50mm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配した上に引取り、接触部分を融着させつつ、両面を挟み込みつつ毎分1.0mの速度で25℃の水中へ引込み固化させ、所定の大きさに切断して網状構造体を得た。得られた面がフラット化された網状構造体の特性を表1に示す。
(実施例2〜実施例6)
単孔吐出量、引取り速度、Nz孔間ピッチ、ノズル面−冷却水距離、エンドレスネット間隔を表2に示したように変更した以外は実施例1に従い、表1に記載の物性を有する、網状構造体を得た。
(比較例1)
エチレン・α−オレフィン共重合体の代わりにジメチルテレフタレート、ジメチルナフタレート、1・4ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコールからなるポリエーテルエステルブロック共重合体エラストマー(比重1.15g/cm3)を使用した以外は実施例1に従った。網状構造体の特性を表1に示す。
(比較例2)
エチレン・α−オレフィン共重合体の代わりにポリプロピレン(比重0.91g/cm3)を使用した以外は実施例1に従った。網状構造体の特性を表1に示す。
Figure 2006200119
Figure 2006200119
比重が軽く、耐薬品性に優れていることから、屋外の使用に適した弾性網状構造体であり、プール等に浮かべて、遊具として使用できる。
本発明の弾性網状構造体における圧縮・除圧テストの模式的なグラフである。

Claims (9)

  1. 300デシテックス以上の連続線状体を曲がりくねらせランダムループを形成し、夫々のループを互いに溶融状態で接触せしめて、接触部の大部分を融着させてなる三次元ランダムループ接合構造体であり、主として連続線状体は比重が0.94g/cm3以下の低密度ポリエチレン樹脂よりなる弾性網状構造体。
  2. 網状構造体の見掛密度が0.005〜0.2g/cm3であることを特徴とする請求項1に記載の弾性網状構造体。
  3. ヒステリシスロスが35%〜70%であることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性網状構造体。
  4. 耐光試験において、試験前後での圧縮硬さ保持度が5等級中4級以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の弾性網状構造体。
  5. 網状構造体の0℃における25%圧縮硬さが、20℃における25%圧縮硬さ対比で150%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の弾性網状構造体。
  6. 網状構造体の0℃における50%圧縮硬さが、20℃における50%圧縮硬さ対比で150%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の弾性網状構造体。
  7. ランダムループの直径が50mm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の弾性網状構造体。
  8. 網状構造体の厚みが3mm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の弾性網状構造体。
  9. クッション用であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の弾性網状構造体。
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