JP2006200094A - 強化繊維基材、プリフォーム、複合材料およびその製造方法 - Google Patents

強化繊維基材、プリフォーム、複合材料およびその製造方法 Download PDF

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保 鈴木
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Abstract

【課題】
一方向性基材を並行方向に並べる際にできる基材間の隙間を、成形品の段階まで適正な間隔に保つことができ、なおかつ、一方向性基材を複数枚積み重ねた積層体の状態でも高い柔軟性を維持できる強化繊維基材を提供する。
【解決手段】
一方向に並行するように引きそろえられた複数本の強化繊維糸条を、該強化繊維糸条に交差するように延在した補助糸により拘束することにより平面形態を保持した少なくても二枚の一方向性基材を含む強化繊維基材であって、該強化繊維糸条方向に並行な端部を持つ一方向性基材同士が、互いに重なり合わず、該端部の位置で、接続手段により繋がれていることを特徴とする強化繊維基材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、強化繊維糸条が部分的に欠落した樹脂リッチや強化繊維糸条のシワ等の材料欠点が少なく、力学強度に優れた複合材料が安定して得られる強化繊維基材、およびそれを積層したプリフォーム、ならびにそれらにマトリックス樹脂を含浸した複合材料、およびその製造方法に関するものである。
従来より、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させた複合材料は、優れた力学特性および軽量化の要求特性を満たすことから、主に航空・宇宙や、スポーツ用途に用いられてきた。これら複合材料の生産性に優れた成形法として、例えば、レジン・トランスファー・モールディング(RTM)成形法や真空注入成形法等が挙げられる。かかる成形法では、マトリックス樹脂が含浸されていない、ドライな強化繊維基材を複数枚積層したものを成形型に配置し、低粘度の液状マトリックス樹脂をこれに注入することにより、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させて複合材料を成形する。
ここで、強化繊維基材の積層作業としては、得ようとする複合材料の形状が比較的大面積で単純な平板状である場合は、成形型の上に強化繊維基材を直接一枚ずつ型形状に沿わせつつ所定の枚数積層してゆく方法をとる場合もあるが、このような場合を除いては、ドライ基材特有の柔軟性の高さを生かした効率的な方法として、一旦平坦な広いテーブルの上で基材を複数枚積層して積層体を形成した後、所定の形状に裁断し、これを成形型上に移動し、ここで型形状に沿わせて基材を配置する方法が用いられている。また、場合によっては、積層体を所定の形状に裁断した後、成形型の前に一旦予備賦形型(プリフォーム型)の上に移動し、ここで型形状に沿わせて基材を変形させた状態で、接着性の樹脂やススティッチ糸等により積層した基材同士を結合して形状を固定したプリフォームを作成した後に、これを改めて成形型に配置する方法をとる場合もある。
これらRTM成形法や真空注入成形法で使用される強化繊維基材としては、ほぼ同等のトータル繊度である経糸と緯糸の2方向の糸で織組織を形成した二方向性織物が、取り扱い性や材料物性の等方性に優れていることから汎用的に使用されるが、特に航空機の一次構造材のように高い力学特性を求められる場合には、このような二方向性織物では織り組織に起因する強化繊維の屈曲(クリンプ)部への応力集中から十分な力学特性が得られないため、適用されることは少ない。代わって、一方向に並行するように引きそろえた複数本の強化繊維糸条を、強化繊維糸条に交差するように延在した繊度の低い補助糸により拘束することで平面形態を保持し、強化繊維のクリンプを抑えた一方向性基材、例えば、強化繊維糸条からなる経糸に比べ、十分に繊度の低い補助糸を低い密度で緯糸として織り込んだ一方向性織物や、補助糸として不織布を使用し、補助糸を強化繊維糸条表面に貼り付けたもの等が好ましく使用される。
このような一方向性基材を用いて、前述の基材積層作業をする場合、単に一方向性基材が所定の厚さになるまで積み重ねれば良いというものではない。すなわち、一方向性基材では強化繊維糸条の方向が一方向に限定されているため、力学特性の異方性が高く、実際に構造部材として使用する際には強化繊維の方向が基材面方向に擬似的に等方となるように、各層で基材の方向を一定角度ずつずらして積み重ねてゆく必要がある。
また、一方向性基材は、生産性や取扱い性の点から、強化繊維糸条に直交する方向に一定の幅を持ち、強化繊維糸条が基材長手方向に連続したロール巻の形態を有していることが一般的であり、一方向性基材積層作業において、得ようとする積層体の最大幅が、一方向性基材の幅以下である場合を除いては、一方向性基材の幅が不足するため、積層作業でいうところの同一層内で、複数枚の一方向性基材を強化繊維糸条に平行方向に並べてゆく作業が必要となる。
特に前述のとおり、一方向性基材では各層で一方向性基材の方向をずらして積層する都合上、梁部材に適用するような長細い積層体を作る場合でさえも、一方向性基材幅が不足となり、一方向性基材を平行方向に並べる作業が多く発生する。このとき、一方向性基材同士が重なりあったり、大きな隙間ができたりすると、後にマトリックス樹脂を注入して複合材料としたときに、この重なり、あるいは隙間の部分を挟んで、上下層の強化繊維糸条に盛りあがり、あるいは沈み込みが生じ、強化繊維糸条が屈曲した形となり、この結果、二方向性織物を用いた場合と同様、屈曲部への応力集中が生じ、力学特性が低下するという問題が発生する。かかる問題は、雄型と雌型のいずれも成形型を用いる場合より、雄型と雌型の一方のみ成形型を用い、もう一方に柔軟なバッグ材を用いる場合に顕著に発生する。また、基材間に隙間が多くできる場合は、単純に強化繊維の含有率が低い複合材料となってしまい、狙った物性が発現できないという問題となる。
これを防止するためには、同一層内で一方向性基材を並べる際の位置精度を向上させることが当然効果的であり、例えば、前述のように、一旦平坦なテーブル上に一方向性基材を積層することで位置精度は向上するが、例え、ここで良好な一方向性基材間の隙間を確保できたとしても、この後の裁断、移送および成形型への配置の工程で基材を取り扱う際に不均一な力が働き、一方向性基材にずれが生じ、容易に一方向性基材間の隙間が狂ってしまい、複合材としたときの力学特性の保証ができないという問題が生じる。
かかる問題に対し、複数枚のシート状の一方向性基材をその補強繊維糸条が所望の方向を向くように重ね合わせ、その積層体の厚み方向に補強繊維からなる縫い糸でスティッチする方法(特許文献1参照)や、強化繊維シート表面に付着させた樹脂により各層同士を接着させる方法(特許文献2参照)を、平坦な積層体の状態に適用することで、一方向性基材のずれを防止することはできるが、これではドライ基材本来の高い柔軟性が損なわれ、成形型もしくはプリフォーム型に配置した際、湾曲形状のある部分で上下層間の経路差により基材にしわが発生し、成形された複合材料が本来の強度を発現できないという問題が発生する。
特公昭64−11455号公報 特開2003−82117号公報
本発明の目的は、上記問題点を改善し、一方向性基材を並行方向に並べる際にできる一方向性基材間の隙間を、成形品の段階まで適正な間隔に保つことができ、なおかつ、一方向性基材を複数枚積み重ねた積層体の状態でも高い柔軟性を維持できる強化繊維基材、さらにはその強化繊維基材を積層して互いを結合することで形状を保持したプリフォーム、ならびにそれらにマトリックス樹脂を含浸、硬化した複合材料およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の提供する強化繊維基材は、一方向に並行するように引きそろえられた複数本の強化繊維糸条を、該強化繊維糸条に交差するように延在した補助糸により拘束することにより平面形態を保持した少なくても二枚の一方向性基材を含む強化繊維基材であって、該強化繊維糸条方向に並行な端部を持つ一方向性基材同士が、互いに重なり合わず、該端部の位置で、接続手段により繋がれていることを特徴とする強化繊維基材である。
本発明の強化繊維基材の好ましい態様によれば、上記の一方向性基材は、経糸を強化繊維糸条とし緯糸を補助糸とする一方向性織物である。または、上記の一方向性基材は、一方向に並行するように引きそろえられた複数本の強化繊維糸条に、補助糸として粗布を貼り付けた粗布貼付シートである。
本発明の強化繊維基材の好ましい態様によれば、上記の接続手段は、糸条を用いた縫合によるものであり、その縫合の形態がかがり縫いであることである。
本発明の強化繊維基材の好ましい態様によれば、上記の接続手段は、糸条を一方向性基材表面に接着したもの、または、フィルム状物を一方向性基材表面に接着したものである。
本発明の強化繊維基材は、その強化繊維基材をロール状の巻物に形成して強化繊維基材巻物とすることができ、また、上記の強化繊維基材を少なくとも2層以上積層し、かつ、積層した基材の各層同士を少なくとも部分的に結合してプリフォームとすることができる。
本発明の上記の強化繊維基材または上記のプリフォームに、マトリックス樹脂を含浸せしめ複合材料とすることができる。本発明の上記の複合材料は、上記の強化繊維基材または上記のプリフォームを、少なくとも雄型および雌型を含む2つからなる成形型、あるいは少なくとも雄型または雌型のいずれかとバッグ材とからなる成形型内に配置し、これに液状のマトリックス樹脂を含浸させて形成することにより製造することができる。
本発明の強化繊維基材によれば、複数枚の一方向性基材同士を強化繊維に平行方向に並べ、接続手段により繋いでいるため、一方向性基材の幅の限界を超えた大面積で、かつ均質な強化繊維基材を得ることができ、複合材料の製造工程で、強化繊維基材、もしくは強化繊維基材の積層体に裁断、移送、成形型への配置等の作用を加えた際に、強化繊維基材を構成する一方向性基材間の隙間に狂いが生じることがなく、そのため、強化繊維基材の積層体では各層同士を固定する必要がなく、型へ柔軟に沿わせることができる。その結果、前記強化繊維基材を使用するプリフォームは、しわのない均質なものが得られる。また、前記強化繊維基材またはプリフォームを使用する複合材料は、均質で力学特性が良好なものを得ることができる。さらに、前記強化繊維基材を一旦、一定幅のロール巻き体とすることで、強化繊維基材の積層作業を大幅に効率化することができる。
以下、本発明の強化繊維基材等を具体化した実施の態様を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の強化繊維基材の一態様を説明するための概略斜視図である。図1において、一方向性基材として、強化繊維糸条1からなる経糸に、経糸と比べ十分にトータル繊度が低く、かつ織り密度の低い緯糸を補助糸2として織り込んだ織物を一方向性基材3として用い、二枚の一方向性基材3、3の強化繊維糸条1方向に平行な端部同士を、互いが重なりあわないよう、接続手段である縫合糸4で縫いつけることで繋いだ強化繊維基材5を示している。
図2は、別の実施態様であり、本発明の強化繊維基材の他の一態様を説明するための概略斜視図である。図2において、一方向性基材7として、粗布を補助糸6とし、粗布を強化繊維糸条1の表面に貼り付けた粗布貼付シートを用い、接続手段として貼付糸8を二枚の粗布貼付シートからなる一方向性基材7、7間に渡るように、シート表面に接着した強化繊維基材5が示されている。
図3は、さらに別の実施態様であり、本発明の強化繊維基材の他の一態様を説明するための概略斜視図である。図3において、一方向性基材として、図1と同様、織物を一方向性基材3、3に用い、接続手段としてフィルム9を一方向性基材3、3の端部表面に貼り付けた強化繊維基材5が示されている。
使用する強化繊維糸条1としては、特にその種類に制限はないが、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、有機繊維(例えば、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、フェノール繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維等)、金属繊維またはセラミック繊維、これらの組み合わせ等が挙げられる。中でも、炭素繊維は、比強度および比弾性率に優れ、耐吸水性に優れるので、航空機の構造部材のように、高い力学特性を安定して求められる部材には特に適している。
補助糸2または補助糸6の種類としては任意のものを使用することができるが、強化繊維基材の密度の安定性の面から成形時の加熱等により収縮しにくいものが好ましく、例えば炭素繊維やガラス繊維や、アラミド繊維、ポリアミド繊維(特にPOY:高速紡糸による半延伸糸)、PBO繊維、PVA繊維、PE繊維等の有機繊維等を単独または組み合わせて使用することができ、これらは合糸加工、撚加工、ウーリ加工、倦縮加工等の二次加工がされたものでもよい。
一方向性基材3または7としては、図1〜3に示したような一方向性の織物や粗布貼付シートが、生産上、強化繊維糸条の配向精度が良く、強化繊維基材としての実績も多いことから、好ましいが、特に限定するものではなく、一方向に並行するように引きそろえた複数本の強化繊維糸条を、前記強化繊維糸条に交差するように延在した補助糸により拘束することで平面形態を保持したものであれば、編物、組物等、他の形態でもよい。少なくとも補助糸が強化繊維糸条に比べ繊度が十分に小さく、使用比率が低く、力学特性の異方性の高い基材を用いた方が、強化繊維方向に平行にのびる基材同士の接続部での材料物性の連続性が高くなり、より均質な強化繊維基材、ひいては均質な複合材料が得られる。
また、一方向性基材の目付としては、後の工程にて型形状に沿わせて基材を変形する際の型沿い性の面や、液状マトリックス樹脂の含浸の面、力学特性の面等から、50〜500g/m2、より好ましくは100〜350g/m2、更に好ましくは150〜250g/m2の範囲とすることが好ましい。また、その厚みは、0.1〜0.8mm、より好ましくは0.15〜0.7mm、更に好ましくは0.2〜0.6mmの範囲内であるのが好ましい。
特に、図1または図3のように、一方向性基材に一方向性の織物を用いる場合、経糸である強化繊維糸条1のトータル繊度は、300〜5000texの範囲内であるものが好ましい。トータル繊度がかかる範囲より小さいと、織物での交錯点が多すぎ、クリンプが大きくなるだけでなくその数も多くなり、力学特性に劣る場合がある。一方、トータル繊度がかかる範囲より大きいと、織物での交錯点が少なすぎ、形態安定性に劣る場合がある。
また、一方向性の織物において、緯糸である補助糸2は、強化繊維糸条1と補助糸2との交錯点での強化繊維糸条1の屈曲(クリンプ)を小さくして本発明の強化繊維の特性を最大限に発現させるために、強化繊維糸条1のトータル繊度の1/5以下、より好ましくは1/10以下であるのが好ましい。その具体的なトータル繊度は、用いる強化繊維糸条および補助糸の種類、織物目付により異なるが、例えば、強化繊維糸条として800texのものを用いて200g/m2の織物とする場合、補助糸の好ましいトータル繊度は1〜100tex、より好ましくは10〜50texの範囲内である。かかる補助糸2の織密度は、布帛の形態安定、クリンプの影響の最小限化のため、0.3〜6本/cmの範囲内であるのが好ましく、より好ましくは1〜4本/cmの範囲内である。
一方、図2のように、一方向性基材に粗布貼付シートを用いる場合、貼付する粗布の形態としては目の粗い布状のものであれば特に制限するのもではないが、例えば、不織布、織物および編物等が挙げられ、特に不織布は安価でありながら形態の安定した低目付のものを選択し易い。粗布の目付としては、粗布添付シート全体の目付の内に粗布が占める割合が、好ましくは2〜10%であり、より好ましくは3〜5%である。目付をこのように設定することにより、補助糸により強化繊維糸条を拘束して平面形態を保持する機能を持ちながら、強化繊維の比率を高く保ち、複合材料として高い力学特性を発現することができる。
また、粗布6を貼り付ける面としては、片面のみでも良いし、表裏両面に貼り付けてもよい。
かかる粗布6を強化繊維糸条1に貼り付ける方法としては、例えば、ナイロンやポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシや不飽和ポリエステルやフェノール等の熱硬化性樹脂、その他、各種の樹脂成分を溶媒に溶かしたもの等の接着成分を粗布6、または強化繊維糸条1に新たに付着して両者を張り合わせる方法があげられるが、接着成分の分だけ目付が増加することとなり、より好ましい方法としては、粗布自身の材質を、ポリアミドをはじめとする熱可塑性の樹脂とし、熱融着により接着する方法が、不要な成分の付加を必要としないため好ましい態様である。
一方向性基材同士を接続する接続手段としては、図1のように縫合糸4により縫合したものが、一方向性基材3、3同士を強固に繋ぐことができ、強化繊維糸条1に直行する方向に、一方向性基材3、3同士を引き離す力が強く働いても外れにくい。縫合の形態としては特に限定するものではないが、図4のように一旦二枚の一方向性基材3、3を互いに重ねて端部の位置を揃えつつ、JIS−L0120(1984)に示される縁かがり縫い(特に表示記号501〜505)を行い、端部同士を縫い合わせ、その後、重なりを開いて一枚の平面にする方法が、容易に隙間精度を高くでき、高い縫合の強度が得られる。
縫合糸4としては、縫合作業での擦過や引張に耐え、縫合後に一方向性基材同士の隙間を維持できるものであれば特に限定するものではないが、縫合による接続部も含めて、強化繊維基材としての特性を最大限に発現させるためには、一方向性の織物に用いる緯糸としての補助糸2と、材質、形態、繊度等の点で同等のものを用いることが好ましい。
また、図2のように、貼付糸8のような糸を一方向性基材3、3表面に貼り付けたものも、これを実施する作業工程としては簡便ながら、一方向性基材間の隙間を正確に保つことができる。使用する貼付糸8としては、縫合糸4と同様に、一方向性の織物に用いる緯糸としての補助糸2と同等のものを用いるのが良い。
さらに、貼付糸8を単独の糸条に限らず、不織布、織物、編物等の粗布の形態で用いると、貼り付け作業での取扱いも容易となる上、より高い接合強度が得られる。この場合、使用する粗布としては、粗布貼付シートに使用するような粗布と、材質、形態、目付等の点で同様のものを用いると、複合材料としたときに、安定した高い力学特性が期待できる。
また、図3のように、接続手段として一方向性基材3表面にフィルム状物9を貼り付けたものも、一方向性基材3、3間隙間を確実に維持することができ、接着も確実なものとしやすい。しかしながら、この場合は後のマトリックス樹脂を含浸させる工程で樹脂の流れを阻害しないためと、複合材料となったときの接続部での物性変化を最小限とするため、フィルム状物9の幅を極力狭くするか、フィルム状物9に穴を空ける等の処置をすることが好ましい。
フィルム状物9の材質としては、例えはアラミド、ポリアミド、PET、PP、PE、PVCおよびPVDC等があげられるが、後に成形の段階で注入されるマトリックス樹脂との接着性が悪いと、複合材料としたときに、強化繊維基材の層間強度低下を招くため、マトリックス樹脂との接着性の良いものを選択するのが良い。
フィルム状物9の厚さとしては、接続部分において強化繊維基材としての連続性を確保するためにも、必要最低限に薄いものが良いが、薄過ぎると作業性が悪化するため、3〜50μm程度であることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
また、貼付糸やフィルム状物を一方向性基材表面に貼り付ける際には、例えば、ナイロンやポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシや不飽和ポリエステルやフェノール等の熱硬化性樹脂、その他、各種の樹脂成分を溶媒に溶かしたもの等の接着成分を貼付糸やフィルム状物、または一方向性基材に新たに付着して両者を張り合わせる方法が挙げられるが、 より好ましくは、特開2003−82117号公報に開示されているような、基材同士を接着することと、層間の高靱性化効果を主目的として、基材表面にあらかじめ付着させてある、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂を加熱することで貼付糸やフィルム状物を付着させる方法や、逆に、貼付糸やフィルム状物そのものを熱可塑性樹脂とし、これを加熱して基材に貼り付ける方法が、新たな材料を添加することによる力学特性低下の危険性を最小限とでき、好ましい態様である。
同様に、接続手段として用いる材料は、一方向性基材の構成要素と同一のものとする、例えば、接続手段の縫合糸や貼付糸やフィルム状物を、強化繊維糸条を拘束する補助糸と同材質のものとすると、新たな材料を添加することによる力学特性低下の危険性を最小限とできる。接続手段として用いる糸やフィルム状物は、多量に使用すると、接続部での材料物性の連続性が損なわれるため、最小限の量とすることが好ましい。
また、本発明の強化繊維基材の形態としては、複数枚の一方向性基材同士を繋いで一枚の強化繊維基材とした後、これをロール状の巻物とすることが、保管、取り扱いに便利で好ましい態様である。
図5〜図7にそれらの例であり、いずれも本発明の強化繊維基材巻物の一態様を説明するための概略斜視図である。図5では、強化繊維糸条が一方向性基材長手方向に対し90°、図6では45°、図7では、一方向性基材長手方向に対し強化繊維糸条が平行、すなわち0°の傾きを持った強化繊維基材巻物10を示す。各図中の一方向性基材上の細線は強化繊維糸条の方向を示し、太線で示したのは一方向性基材同士の接続部11である。このように、強化繊維糸条の方向が一定角度ずつずれた多種のロール状の巻物を準備することで、一方向性基材積層作業の際には、これらの巻物から強化繊維基材をテーブル上に延反してゆくだけで、各層で強化繊維の方向を一定角度ずつずらした積層体を得ることができ、一方向性基材積層作業が効率化できる。しかしながら、必ずしも強化繊維基材をロール巻き体の形態とする必要はなく、一方向性基材積層作業の課程で、一方向性基材を同一層内で平行方向に並べてゆきながら、随時一方向性基材同士を接続手段により繋いでいっても良い。
本発明が提供するプリフォームは、かかる強化繊維基材を少なくとも2層以上積層し、かつ、積層した強化繊維基材を各層同士で少なくとも部分的に結合することで形状を保持したものである。一方向性基材同士を繋いだ強化繊維基材を使用することで、特に強化繊維基材を積み重ねた積層体をプリフォーム型に沿わせて変形させた際、強化繊維基材を各層同士で結合していなくても、強化繊維基材間の隙間が開くことがなく、積層体を型へ柔軟に沿わせることができ、ここで初めて積層した強化繊維基材を各層同士で結合することで、強化繊維糸条の分布状態が均質でしわがなく、形状の安定した良好なプリフォームを得ることができる。
強化繊維基材同士を結合する方法としては、接着成分により接着する方法や、縫合糸でスティッチを行う方法等があげられるが、全体を均質に結合でき、プリフォームの形態をより安定化できる点から前者が好ましく、この接着成分を、強化繊維基材表面にあらかじめ付着してある、層間の高靱性化効果をもたらす熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂とし、強化繊維基材積層体をプリフォーム型に沿わせた状態で加熱することで、強化繊維基材同士を結合することが、良好な力学特性を有する複合材料が得られるためさらに好ましい態様である。
本発明の複合材料は、上記方法で製造された強化繊維基材またはプリフォームに、液状のマトリックス樹脂を含浸させて成形することにより得ることができる。特に生産性が高く好ましい方法としては、注入成形法が挙げられる。かかる注入成形法の一つとして、RTMが挙げられる。RTMは、例えば、雄型および雌型により形成したキャビティに、強化繊維基材またはプリフォームを配置し、ここにマトリックス樹脂を加圧して注入する成形方法である。また、より好ましい注入成形方法として、真空アシストRTMが挙げられる。真空アシストRTMは、例えば、雄型または雌型のいずれかとバッグ材(例えば、ナイロンフィルム、シリコンラバー等の柔軟性を有するもの)により形成したキャビティを減圧し、大気圧との差圧にてマトリックス樹脂を注入する。この場合、キャビティ内の強化繊維基材に樹脂拡散媒体(メディア)を配置し、かかるメディアによりマトリックス樹脂の拡散・含浸を促進する。成形後には、複合材料からメディアを分離することが好ましい。
本発明の強化繊維基材とプリフォームは、マトリックス樹脂を含浸することにより、複合材料とすることができ、この複合材料は、優れた力学特性および軽量化の要求特性を満たすことから、主に航空・宇宙や、スポーツ用途に好適に用いられ、有用である。
図1は、本発明の強化繊維基材の一態様を説明するための概略斜視図である。 図2は、本発明の強化繊維基材の他の一態様を説明するための概略斜視図である。 図3は、本発明の強化繊維基材の他の一態様を説明するための概略斜視図である。 図4は、本発明の強化繊維基材の製造方法の一態様を説明するための強化繊維基材の概略斜視図である。 図5は、本発明の強化繊維基材巻物の一態様を説明するための概略斜視図である。 図6は、本発明の他の強化繊維基材巻物の一態様を説明するための概略斜視図である。 図7は、本発明の他の強化繊維基材巻物の一態様を説明するための概略斜視図である。
符号の説明
1:強化繊維糸条
2:補助糸(緯糸)
3:一方向性基材(織物)
4:縫合糸
5:強化繊維基材
6:補助糸(粗布)
7:一方向性基材(粗布貼付シート)
8:貼付糸
9:フィルム状物
10:強化繊維基材巻物
11:接続部

Claims (11)

  1. 一方向に並行するように引きそろえられた複数本の強化繊維糸条を、該強化繊維糸条に交差するように延在した補助糸により拘束することにより平面形態を保持した少なくても二枚の一方向性基材を含む強化繊維基材であって、該強化繊維糸条方向に並行な端部を持つ一方向性基材同士が、互いに重なり合わず、該端部の位置で、接続手段により繋がれていることを特徴とする強化繊維基材。
  2. 一方向性基材が、経糸を強化繊維糸条とし、緯糸を補助糸とする一方向性織物であることを特徴とする請求項1記載の強化繊維基材。
  3. 一方向性基材が、一方向に並行するように引きそろえられた複数本の強化繊維糸条に、補助糸として粗布を貼り付けた粗布貼付シートであることを特徴とする請求項1記載の強化繊維基材。
  4. 接続手段が、糸条を用いた縫合によることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の強化繊維基材。
  5. 縫合の形態が、かがり縫いであることを特長とする請求項4記載の強化繊維基材。
  6. 接続手段が、糸条を一方向性基材表面に接着したものによることを特長とする請求項1〜3いずれかに記載の強化繊維基材。
  7. 接続手段が、フィルム状物を一方向性基材表面に接着したものによることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の強化繊維基材。
  8. 請求項1〜7いずれかに記載の強化繊維基材が、ロール状の巻物を形成していることを特徴とする強化繊維基材巻物。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の強化繊維基材を少なくとも2層以上積層し、かつ、積層した基材の各層同士を少なくとも部分的に結合してなることを特徴とするプリフォーム。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の強化繊維基材または請求項9記載のプリフォームに、マトリックス樹脂が含浸されてなる複合材料。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の強化繊維基材または請求項9記載のプリフォームを、少なくとも雄型および雌型を含む2つからなる成形型、あるいは少なくとも雄型または雌型のいずれかとバッグ材とからなる成形型内に配置し、これに液状のマトリックス樹脂を含浸させて形成することを特徴とする複合材料の製造方法。
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JP2013091252A (ja) * 2011-10-26 2013-05-16 Bando Chemical Industries Ltd 炭素繊維強化樹脂成形品及びその製造方法
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