JP2006199978A - 溶接構造用アルミニウム合金熱延板の製造方法 - Google Patents

溶接構造用アルミニウム合金熱延板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 JIS 5083系のAl−Mg系合金からなる溶接構造用熱延板の製造方法として、従来の熱間圧延−焼なまし−引張矯正のプロセスで得られる熱延板と同程度以上の強度および平坦度を有する熱延板を確実かつ安定して得られるようにする。
【解決手段】 Mg4.0〜4.9%、Mn0.4〜1.0%、Cr0.05〜0.25%、Ti0.005〜0.15%、B0.0001〜0.05%を含有し、かつSi量が0.4%以下、Fe量が0.4%以下、Cu量が0.1%以下、Zn量が0.25%以下に規制され、残部が実質的にAlよりなるAl合金の鋳塊に、500〜550℃で1〜15時間の均質化処理を施し、450℃以上で熱間圧延を開始し、その熱間圧延を、最終パス圧延時の圧下率が10%以上、終了温度が340℃以上の条件で終了させ、直ちに35℃/hr以下の冷却速度で150℃以下まで冷却し、これにより平坦度が、いずれの方向でも長さ2000mm当り7mm以下の熱延板を得る。
【選択図】 なし

Description

この発明は、液化天然ガス(以下“LNG”と記す)の輸送用あるいは貯蔵用のタンク、その他各種車輌や船舶などの溶接構造物に使用されるAl−Mg系合金熱延板の製造方法に関し、特に省エネルギを図って低コストで強度と平坦度が優れたJIS 5083系合金熱延板を製造する方法に関するものである。
周知のようにAl−Mg系合金、特にJIS 5083系合金は、溶接性、耐食性、低温特性などが優れているため、熱間圧延上がりの板厚のままの熱延板(通常はいわゆる厚板)として、LNG輸送用のタンクや、LNG貯蔵用のタンク、その他各種車輌や船舶等の溶接構造物に、従来から広く使用されている。
このような溶接構造物用のJIS 5083系合金熱延板は、LNG輸送用タンク用材料の場合を例にとれば、補助部材としては10mm程度の板厚、球殻部材としては25〜70mm程度の板厚、赤道部材としては180mm程度の板厚のものが使用されるのが通常であるが、いずれの板厚の熱延板を製造するにあたっても、従来は、熱間圧延後に340℃程度の温度での焼なまし処理を施した後、平坦度の確保のために引張矯正を行ない、その後にソー切断して製品板としている。なおJIS H 0001の解説によれば、上記の熱間圧延後の焼なまし処理の温度としては、345℃が推奨され、焼なまし処理の保持時間および冷却速度は特に規定されていない。
上述のように従来のJIS 5083系合金の溶接構造用熱延板の製造にあたっては、熱間圧延後に焼なまし処理を行ない、さらにその後に引張矯正を行なうのが必須とされている。ここで、熱間圧延後の焼なまし処理は、従来一般には溶接構造物に必要な強度を得るために必要と考えられており、またその後の引張矯正は、焼なまし処理後の板として、常に安定して平坦度の良好な製品板を得るために必須と考えられていたのである。
しかしながら、焼なまし処理には多大な熱エネルギを要すると同時に、長い時間と大きな設備を必要とし、そのため焼なまし処理を行なうことによるコストを無視できず、また生産性向上に対する制約も大きかったのが実情である。また引張矯正も、熱エネルギこそ不要であるが、高価な設備を要すると同時に、処理に時間を要するため、これもコスト、生産性の点で問題がある。
ここで熱延板の製造方法としては、熱間圧延終了温度を、一般的にこの種の合金の熱延板に必要とされる標準的な焼なまし処理温度(前述のように340〜345℃程度;以下これを標準的な焼なまし処理温度と記す)以上の温度とすることにより、焼なまし処理を省略することも考えられる。
しかしながら、製品の板厚、長さにもよるが、熱間圧延終了温度が標準的な焼なまし処理温度よりも高かったり、逆に低かったり、また熱間圧延終了時の熱延板の平坦度が良好であったり、逆に悪かったり、さらには熱間圧延終了後の冷却過程で平坦度が悪化したりすることなどから、熱間圧延を確実に標準的な焼なまし処理温度以上の温度で終了させて、焼なまし処理を施すことなく、平坦度が確実かつ安定して良好でしかも焼なまし処理を行なった場合と同等の強度を有する熱延板を得ることは、実操業上は困難と考えられており、そのため実際の量産的規模でのJIS 5083系合金溶接構造用熱延板の製造では、全て焼なまし処理とその後の引張矯正が必須とされていたのである。
なおAl−Mg系合金からなる熱延板(厚板)の製造方法として、熱間圧延後の焼なまし処理を省いた方法としては、特許文献1に記載される方法が既に提案されている。この特許文献1に示されるAl−Mg系合金厚板の製造方法のうち、請求項1に係る方法は、Mg2〜6wt%を含有するAl−Mg系合金を、厚さ6〜40mmの板材に加工する熱間圧延において、最終圧延時の材料温度が250〜350℃となるように、熱間圧延開始前と熱間圧延の途中のいずれか一方又は双方で強制的に冷却し、最終圧延時の圧下率を40%以下とすることを特徴としており、また請求項2に係る方法は、同じくMg2〜6wt%を含有するAl−Mg系合金を、厚さ6〜40mmの板材に加工する熱間圧延において、最終圧延時の材料温度を350〜450℃、圧下率を40%以下とし、最終圧延終了後30秒以内に350℃以下まで強制的に冷却することを特徴としている。
しかるにこのような特許文献1の請求項1に係る方法では、熱間圧延終了温度が250〜350℃であって、標準的な焼なまし処理温度より低めの温度領域がほとんどであるため、従来の通常の方法に従って熱間圧延後に焼なまし処理を施した場合よりも強度が低下してしまうおそれがあり、一方請求項2に係る方法では、熱間圧延終了温度が350〜450℃と標準的な焼なまし処理温度より高めであるため、従来の一般的な方法に従って熱間圧延後に焼なまし処理を行なった場合と同等の強度は得られるものの、強制冷却により平坦度が悪化するため、その後に引張矯正を施さざる得なかったのである。したがって結局特許文献1の方法でも、従来の一般的な方法に従って熱間圧延後に焼なまし処理を施した場合と同等の強度を得ると同時に平坦化のための引張矯正を不要とすることは、実際上は困難であったのである。
特開昭63−89648号公報
この発明は、Al−Mg系合金、特にJIS 5083系合金を用いた溶接構造用熱延板の製造方法として、前述のような従来の一般的な熱間圧延−焼なまし処理−引張矯正の工程による製造方法で得られる熱延板と同程度以上の強度および平坦度を有する熱延板を、焼なまし処理および引張矯正処理を省いた工程により確実かつ安定して得られるようにし、溶接構造用材料として優れた性能を有する熱延板を量産的規模で省エネルギ、低コストで製造し得るような方法を提供することを目的とするものである。
前述のような課題を解決すべく本発明者等が鋭意実験・検討を重ねた結果、Al−Mg系合金における成分組成を適切に選択するばかりでなく、熱間圧延条件、特に最終パス圧延時の圧下率および熱間圧延終了温度を適切に定めると同時に、熱間圧延後の冷却条件を適切に制御することによって、焼なまし処理および引張矯正を省略した工程で強度が従来の一般的な方法で得られた熱延板と同等以上であってかつ平坦度も優れた熱延板が得られることを見出し、この発明をなすに至ったのである。
具体的には、請求項1の発明の溶接構図用アルミニウム合金合金板の製造方法は、Mg4.0〜4.9%、Mn0.4〜1.0%、Cr0.05〜0.25%、Ti0.005〜0.15%、B0.0001〜0.05%を含有し、かつSi量が0.4%以下、Fe量が0.4%以下、Cu量が0.1%以下、Zn量が0.25%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金の鋳塊に、500〜550℃の範囲内の温度で1〜15時間の均質化処理を施し、次いで450℃以上の温度で熱間圧延を開始し、その熱間圧延を、最終パス圧延時の圧下率が10%以上、終了温度が340℃以上となるように終了させ、熱間圧延終了後直ちに35℃/hr以下の冷却速度で150℃以下に冷却し、これにより平坦度がいずれの方向でも長さ2000mm当り7mm以下の熱延板を得ることを特徴とするものである。
この発明の方法によれば、JIS 5083系のAl−Mg系合金からなる溶接構造用熱延板として、熱間圧延後の焼なまし処理および引張矯正を省いた省エネルギ・低コストの製造プロセスを適用しながらも、従来の一般的な熱間圧延−焼なまし処理−引張矯正を適用したプロセスによる場合と同等以上の強度と平坦度を有する熱延板を確実かつ安定して得ることができ、したがって溶接構造用材料の量産的規模での実際的な製造方法として、低コスト化と省エネルギを図ることが可能となる。
先ずこの発明の製造方法が適用されるアルミニウム合金の成分組成の限定理由を説明する。
Mg:
Mgはこの発明で対象とする系の合金における基本的に重要な元素であって、Alマトリックスに固溶して強度を向上させるために寄与する。Mg量が4.0%未満では充分な強度が得られず、一方Mg量が4.9%を越えれば、強度が高くなり過ぎて延性が低下する。したがってMg量は4.0〜4.9%の範囲内とした。
Mn:
Mnも強度向上に寄与し、また同時に耐食性低下防止に寄与する元素である。Mn量が0.4%未満ではこれらの効果が小さく、一方1.0%をを越えればAl−Fe−Mn系化合物が粗大化して延性を阻害する。したがってMn量は0.4〜1.0%の範囲内とした。
Cr:
CrはMnと同様に強度向上および耐食性低下防止に寄与する元素である。Cr量が0.05%未満ではその効果が小さく、一方0.25%を越えればCr系巨大化合物が生成して伸びが低下する。したがってCr量は0.05〜0.25%の範囲内とした。
Ti:
Tiは鋳塊の結晶粒組織の微細化に寄与する元素である。Ti量が0.005%未満ではその効果が期待できず、一方0.15%を越えれば初晶TiAl3が晶出して延性を阻害する。したがってTi量は0.005〜0.15%の範囲内とした。
B:
BはTiと同時に複合添加することにより、溶接継手部の溶接金属部内の結晶粒を微細化して継手強度向上に寄与する元素である。B量が0.0001%未満ではその効果が得られず、一方0.05%を越えればTiB2化合物が生成されて、圧延により線状欠陥が発生するおそれがある。したがってB量は0.0001〜0.05%の範囲内とした。
Si:
SiはAl地金やAl合金スクラップ等から不可避的に混入する不純物元素であり、Si量が多過ぎればMg2Si化合物が増加して延性が低下する。したがってSi量は0.4%以下に規制することとした。
Fe:
FeはSiと同様にAl地金やAl合金スクラップ等から不可避的に混入する不純物元素であり、Fe量が多過ぎればAl−Fe−Mn系化合物が粗大化して、強度や延性を阻害する。したがってFe量は0.4%以下に規制することとした。
Cu、Zn:
CuおよびZnはいずれもAl合金スクラップ等から混入する不純物元素であり、いずれも多量に存在すれば耐食性が低下する。そこでCu量は0.1%以下、Zn量は0.25%以下に規制することとした。
以上の各元素のほかは、基本的にはAlおよび上記のSi、Fe、Cu、Zn以外の不可避的不純物とすれば良い。
なお通常のAl−Mg系合金では、溶湯酸化の防止のためにBeを添加することがあるが、この発明においてもBeを添加することは許容される。その場合のBe量は、0.0001%未満では効果がなく、0.03%を越えれば効果が飽和して、それ以上添加することは無駄となる。したがってBeを添加する場合のBe量は0.0001〜0.03%の範囲内とすることが望ましい。
次にこの発明の溶接構造用アルミニウム合金熱延板の製造方法について、工程順に説明する。
先ず前述のような成分組成のアルミニウム合金を常法によって溶製し、スラブに鋳造する。ここで、鋳造方法は特に限定されず、常法によって鋳造すれば良いが、一般にはDC鋳造法(半連続鋳造法)を適用することが望ましい。
得られた鋳塊に対しては均質化処理(鋳塊均熱処理)を施す。この均質化処理の加熱温度が500℃未満では充分な均質化効果が得られず、一方550℃を越えれば、共晶融解が発生するおそれがあるから、均質化処理温度は500〜550℃の範囲内とした。また均質化処理における加熱保持時間が1時間未満では均質化効果が充分に得られず、一方15時間を越える長時間の加熱は生産性を損なうだけであるから、1〜15時間の範囲内とした。
均質化処理後は熱間圧延を施して所要の製品板厚とする。この熱間圧延においては、450℃以上の温度で圧延を開始し、最終パス圧延時における圧下率が10%以上となるように圧延して、その熱間圧延を340℃以上、望ましくは350℃を越える温度で終了させ、熱間圧延終了後は直ちに35℃/hr以下の冷却速度で150℃以下の温度域まで冷却する必要がある。これらの熱間圧延の諸条件について次に項分けして説明する。
熱間圧延開始温度:
熱間圧延終了温度を標準的な焼なまし処理温度以上に制御するために、この発明の方法では熱間圧延開始温度を450℃以上とする。但し、熱間圧延終了板厚が薄い場合には熱間圧延開始温度を高めに、熱間圧延終了板厚が厚い場合には熱間圧延開始温度を低めに設定する等の配慮を行なうことが望ましい。また熱間圧延は、均質化処理後に鋳塊を再加熱することなく直ちに450℃以上で開始しても良く、あるいは均質化処理後に一旦室温まで冷却し、その後450℃以上に再加熱してから開始しても良い。さらに熱間圧延中の各パスのうち、最終パスの前までの各パスの圧下率は、それぞれ50%程度以下と一般的な圧延方法と同様であれば良いが、最終パス圧延時の圧下率は次に説明するように平坦度に関係するため、特に10%以上とする必要がある。
最終パス圧延時の圧下率:
最終圧延パスの圧下率が10%未満であれば、製品板に小波ひずみ等が発生しやすくなって平坦度が悪化する。熱間圧延終了時に良好な平坦度を有する熱延板を得るためには、最終パス圧延時の圧下率を10%以上とする必要がある。なお最終パス圧延時の圧下率の上限は特に規定しないが、通常は一般的な圧延方法と同様に50%以下とすることが望ましい。
熱間圧延終了温度:
熱間圧延終了温度を、標準的な焼なまし処理温度である340℃以上の温度とすることにより、焼なまし処理材と同等な機械的性質を有する熱間圧延上り板を得ることができ、そのため焼なまし処理を省略することが可能となる。ここで、熱間圧延後の焼なまし処理を省略したプロセスで特に良好な機械的性質を得るためには、350℃を越える温度で熱間圧延を終了させることが望ましい。
熱間圧延終了後の冷却速度:
熱間圧延終了直後の状態では良好な平坦度を有していても、その後の冷却速度が速ければ平坦度は悪化してしまう。本発明者等の詳細な実験によれば、熱間圧延上り板として、従来の一般的な焼なまし処理−引張矯正を施した板と同程度に良好な平坦度を得るためには、熱間圧延終了後に35℃/hr以下の冷却速度で150℃以下まで冷却する必要があることが判明した。ここで、LNG輸送船用タンク材やLNG貯蔵用タンク材については、幅方向・長さ方向ともに長さ2000mm当り7mm以下の厳しい平坦度が要求されているが、最終パス圧延時の圧下率を10%以上とし、かつその後の冷却速度を35℃/hr以下として150℃以下まで冷却することにより、引張矯正を省略しても、上述のような厳しい平坦度の要求を充分に満足し得るのである。
表1の合金番号1〜10に示す各合金を、常法にしたがって溶製し、DC鋳造法(半連続鋳造法)により鋳造して、種々のサイズのスラブ鋳塊を得た。得られた各鋳塊について、表2の製造工程符号A〜Hに示す均質化処理−熱間圧延の各条件を組合せて適用し、表3に示す試料番号1A〜10Cの熱延板とした。
ここで各鋳塊のサイズは、表2の製造工程符号によって異なり、製造工程符号Aの場合の鋳塊サイズは、厚さ400mm×幅1100mm×長さ2940mm、製造工程符号Bの場合の鋳塊サイズは、厚さ400mm×幅1100mm×長さ3540mm、製造工程符号Cの場合の鋳塊サイズは、厚さ450mm×幅1400mm×長さ3540mm、製造工程符号Dの場合の鋳塊サイズは、厚さ550mm×幅1650mm×長さ3140mm、製造工程符号Eの場合の鋳塊サイズは、厚さ650mm×幅1200mm×長さ4000mm、製造工程符号F〜Hの場合の鋳塊サイズは、厚さ450mm×幅1400mm×長さ3540mmとし、それぞれの厚さ方向の両面を各々15mm面削してから均質化処理に供した。
また製造工程符号A〜DおよびF〜Hの場合は、鋳造時の幅方向を熱間圧延における圧延方向とし、製造工程符号Eの場合のみ、鋳造時の長さ方向を熱間圧延における圧延方向とした。
さらに製造工程符号Aの場合についてのみ、熱間圧延最終パス直前の板厚約20mmの段階で、板長さを2分割し、分割された2枚の板について、順次直ちに最終パス圧延を行なって2枚取りとした。このとき、最終パス圧延終了温度(すなわち熱間圧延終了温度)は、1枚目のものよりも2枚目の方が低くなったが、この実施例では最終パス圧延2枚目のものについての条件を製造工程符号Aとし、またその条件で得られた2枚目の熱延板について、後述する各試験・測定を行なった。
また熱間圧延終了後の冷却方法としては、製造工程符号A〜Gの場合は、熱間圧延直後の板を直ちに毛布状保温材(グラスウール)で包んで放冷し、製造工程符号Hの場合はそのまま自然放冷し、それぞれ120℃まで冷却した。
以上のように、表1の合金番号1〜10の各合金について、表2の製造工程符号A〜Hに示す各プロセス条件を組合せて適用することにより得られた各熱延板(表3の試料番号1A〜10C)について、次に述べるような種々の試験、測定を行なった。
すなわち、先ず各熱延板について、熱間圧延のままの熱間圧延材と、熱間圧延材に対しさらに340℃×3hrの焼なまし処理を施した焼なまし処理材とについて、それぞれ引張試験を実施したので、その結果(引張強さ、耐力、および伸び)を表3中に示す。またこれらの引張試験結果に基いて焼なまし処理による軟化の有無を調べ、軟化していた場合については表3中の「軟化」の欄に「有り」と示し、一方軟化していなかった場合については、同じく表3中の「軟化」の欄に「なし」と示した。
なお上記の引張試験は、JIS H 4000の7.2引張試験にしたがって行なった。
また熱間圧延のままの各熱間圧延材については、定盤上に置いて平坦度を測定した。ここで平坦度は、幅方向および長さ方向について、最大ひずみ高さ(長さ2000mmの範囲内での最大ひずみ高さ)を測定したが、この場合の最大ひずみ高さは、幅方向よりも長さ方向の方が大きく、そこで長さ方向の最大ひずみ高さを平坦度として表3中に示した。なおここで、平坦度が7mm以下の場合に引張矯正を不要とし得る程度に平坦度が良好であると判定することができる。
さらに引張強度との関連から、前述のような熱間圧延材と焼なまし処理材とについて、圧延方向に平行な断面の結晶粒組織を観察した。そして熱間圧延材の結晶粒と比べて焼なまし処理材の結晶粒が成長等により変化した場合については、表3中の「結晶粒の変化」の欄に「有り」と記載し、変化がなかった場合ついては、同じく表3中の「結晶粒の変化」の欄に「なし」と記載した。
ここで、引張試験に基づく「軟化」の評価が「なし」であってかつ結晶粒組織観察結果に基づく「結晶粒の変化」の評価が「なし」の場合は、熱間圧延材に焼なまし処理を施しても強度、組織がなんら変化していないこと、換言すれば熱間圧延上がりのままで熱間圧延後に焼なまし処理を施した焼なまし処理材と同等の性能が得られることを意味し、したがってその場合には熱間圧延後の焼なまし処理が不要となることを意味する。
Figure 2006199978
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表3において、試料番号1A、1B、1C、1D、1E、2C、3Cの熱間圧延のままの各熱間圧延材は、いずれも成分組成条件および製造工程条件の両者がこの発明で規定する範囲を満たす発明例であり、これらの熱間圧延材は、いずれも焼なまし処理材と比較して機械的性能(引張強さ、耐力、伸び)および結晶粒組織に遜色がなく、しかも平坦度に優れた材料であり、したがってこれらの場合は、熱間圧延後に、焼なまし処理および引張矯正を施す必要がないと判断される。
一方、試料番号1F、1G、1Hの熱間圧延材は、この発明で規定する成分組成条件を満たした合金を用いながらも、製造工程条件がこの発明で規定する範囲から外れた比較例である。そしてこれらのうち、試料番号1Fは、熱間圧延開始温度が低過ぎたため熱間圧延終了温度が低下してしまい、焼なまし処理材では熱間圧延材と比較して結晶粒が成長し軟化してしまった。したがってこの場合は焼なまし処理の省略は不可となる。一方試料番号1Gでは、熱間圧延の最終パス圧延率が不足したため、熱間圧延直後の平坦度が悪くなり、また試料番号1Hでは、熱間圧延終了後の冷却速度が速すぎたため、冷却中に平坦度が悪くなってしまった。したがってこれらの場合は引張矯正が不可欠となってしまう。
さらに試料番号4C〜10Cの熱間圧延材は、この発明で規定する製造工程条件は満たしているが、成分組成条件を満たさない比較例である。そしてこれらのうち試料番号4Cは、Mg量が多過ぎたため強度が向上し過ぎ、また試料番号6Cでは、Mn量が過剰であるためAl−Fe−Mn系化合物が粗大化し、また試料番号8Cでは、Cr量が過剰であるためCr系巨大化合物が生成され、さらに試料番号9Cでは、Ti量が過剰であるため初晶TiAl3が晶出し、それぞれ熱間圧延材の延性(伸び)が低下してしまった。また試料番号5CではMg量が、試料番号7CではMn量が、それぞれ少な過ぎたため熱間圧延材の強度(引張強さ、耐力)が低下してしまった。さらに試料番号10Cでは、B量が過剰であるためTiB2化合物が生成されて、熱間圧延により圧延板表面および内部に線状欠陥が発生してしまった。

Claims (1)

  1. Mg4.0〜4.9%(mass%、以下同じ)、Mn0.4〜1.0%、Cr0.05〜0.25%、Ti0.005〜0.15%、B0.0001〜0.05%を含有し、かつSi量が0.4%以下、Fe量が0.4%以下、Cu量が0.1%以下、Zn量が0.25%以下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金の鋳塊に、500〜550℃の範囲内の温度で1〜15時間の均質化処理を施し、次いで450℃以上の温度で熱間圧延を開始し、その熱間圧延を、最終パス圧延時の圧下率が10%以上、終了温度が340℃以上となるように終了させ、熱間圧延終了後直ちに35℃/hr以下の冷却速度で150℃以下に冷却し、これにより平坦度がいずれの方向でも長さ2000mm当り7mm以下の熱延板を得ることを特徴とする、強度と平坦度に優れた溶接構造用アルミニウム合金熱延板の製造方法。
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