JPH07305135A - 成形性、耐食性に優れた高強度アルミニウム合金およびその製造方法 - Google Patents

成形性、耐食性に優れた高強度アルミニウム合金およびその製造方法

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JPH07305135A
JPH07305135A JP12193794A JP12193794A JPH07305135A JP H07305135 A JPH07305135 A JP H07305135A JP 12193794 A JP12193794 A JP 12193794A JP 12193794 A JP12193794 A JP 12193794A JP H07305135 A JPH07305135 A JP H07305135A
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aluminum alloy
corrosion resistance
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alloy
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Hidetoshi Uchida
秀俊 内田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 重量%で、Si:0.5〜1.5 %、Mg:0.9〜1.
6 %、Cu:1.2〜2.5 %で、条件式、3 ≦Si%+Mg
%+Cu%≦4 、Mg%≦1.7 ×Si%、Cu%/2≦M
g%≦(Cu%/2) +0.6 を満足するSi、Mgおよび
Cuを含有し、残部Alと不可避的不純物からなる。必
要に応じて少量のMn、Cr、Zr、V、Znなどを点
することができる。 【効果】 強度、成形性、耐食性ともに優れたアルミニ
ウム合金が提供され、自動車など輸送機器の外板として
有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形性、耐食性に優れ
た高強度アルミニウム合金、とくに輸送機器の外板や構
造材として好適に使用される成形性、耐食性および強度
に優れたアルミニウム合金およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車その他の輸送機器の外板や構造材
に要求される性能としては、1)強度、2)耐食性、3)破壊
力学特性( 耐疲労亀裂伝播、破壊靭性など) 、4)プレス
成形性などが挙げられ、最近の材料の開発動向として
は、強度だけでなく、材料の製造から部材の組立、運用
も含めた総合的な評価が行われている。
【0003】高強度アルミニウム合金としては、従来か
らAl−Cu−Mg系(2000系) あるいはAl−Zn−
Mg−Cu系(7000系) のアルミニウム合金が知られて
いるが、これらの合金は強度面では優れているものの加
工性、耐食性が必ずしも十分ではなく、製造上の難点も
ある。一方、Al−Mg−Si系(6000系) のアルミニ
ウム合金は、一般的に、強度は上記高強度アルミニウム
合金に劣るが、耐食性や成形加工性の面で優れており、
また、2000系や7000系合金においては、O調質状態で成
形を行い、その後に溶体化処理、焼入れ、歪矯正する工
程をとらざるを得ないのに対し、6000系合金ではT4 調
質で成形を行うことができ、成形後に焼戻し処理を行う
だけで実用化できるため、製造コストの低減を図ること
が可能となるという利点もある。
【0004】このような状況の下で、6000系アルミニウ
ム合金の強度特性を改良する試みが行われており、従来
の6061合金より高強度が得られる6013合金、6056合金、
6082合金などが開発されている。強度と靭性をそなえた
アルミニウム合金として、Si:0.9〜1.8 %、Mg:0.8
〜1.4 %、Cu:0.4〜1.8 %を含有(但し、Si含有量
−Mg含有量/1.73≧0.3 %)すると共に、Mn:0.05
〜0.8 %、Cr:0.05〜0.35%、Zr:0.05 〜0.20%の
うち2種以上を含有し、残部アルミニウムおよび不可避
的不純物からなる合金も開発されている。(特開昭59-5
0147号公報)
【0005】また、成形性、焼付硬化性に優れ、自動車
部品などの用途に適した6000系アルミニウム合金とし
て、Cu:1.5〜2.5wt %、Mg:0.5〜1.0wt %、Si:
0.3〜1.0wt %、Ti:0.005〜0.05wt%、B:0.0005 〜
0.03wt%を含み、Mn、Cr、V、Zrを単独で0.04wt
%以下、2種以上を合計で0.09wt%以下およびFeを0.
25wt%以下に規制し、かつSi/Mgの重量比が1.1 以
下である残部実質的にAlからなる合金であって、晶出
物の最長辺長さが13μm 以下であるアルミニウム合金も
提案されている。( 特公昭61-39391号公報)
【0006】例えば自動車など輸送機器の外板は、優れ
た強度特性を要求されることは勿論であるが、種々の条
件下でプレス成形を受けるものであるから良好な加工性
も必要とされ、さらに走行中、厳しい腐食環境に曝され
ることがあるため耐食性に優れ腐食環境下で疲労破壊な
どを生じないものでなければならない。外板用材料はこ
れらの特性をバランス良く具備していることが必要であ
る。技術の高度化により僅かの差異でも無視できない重
要性を持つ場合もあり、いずれかの特性が少しでも劣る
と材料としての総合的な評価が得られないということに
なる。このような観点から上記の6000系アルミニウム合
金をみた場合、とくに自動車用外板として適用する場
合、必ずしも満足すべき性能をそなえているとはいえな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、先に開発さ
れた上記6000系アルミニウム合金の特性をさらに改良す
るために、上記合金をベースとして含有成分の組み合わ
せ、組成範囲、成分相互の関係についてさらに検討を加
えた結果としてなされたものであり、その目的は、成形
加工性、耐食性に優れるとともに高い強度をそなえたア
ルミニウム合金およびその製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による成形性、耐食性に優れた高強度アルミ
ニウム合金は、重量%で、Si:0.5〜1.5 %、Mg:0.9
〜1.6 %、Cu:1.2〜2.5 %で、条件式、3 ≦Si%+
Mg%+Cu%≦4 、Mg%≦1.7 ×Si%、Cu%/2
≦Mg%≦(Cu%/2) +0.6 を満足するSi、Mgお
よびCuを含有し、残部Alと不可避的不純物からなる
こと、当該アルミニウム合金に選択成分としてMn:0.0
3 〜0.5 %、Cr:0.03 〜0.3 %、Zr:0.03 〜0.2
%、V:0.03 〜0.2 %、Zn:0.03 〜2.0 %の1種以上
を含有すること、および他の選択成分としてTi:0.005
〜0.1 %、B:1〜50ppm の1種または2種を含有するこ
と,さらに当該アルミニウム合金の組織中に直径0.01μm
以下、長さ0.3 μm 以下の析出物が2000本/ μm2以上
分布していることを構成上の特徴とする。
【0009】また、本発明による成形性、耐食性に優れ
た高強度アルミニウム合金の製造方法は、上記のアルミ
ニウム合金を造塊し、得られた鋳塊を500 ℃以上融点未
満の温度で均質化処理後、室温まで冷却することなく40
0 ℃以上の温度で熱間圧延を開始し、該熱間圧延を200
〜350 ℃の温度で終了し、中間焼鈍後または冷間圧延に
より所定厚さとして中間焼鈍した後、加工度60%以上で
最終冷間圧延し、5 ℃/s以上の昇温速度で500 〜580 ℃
の温度域に加熱して60分以下の時間保持する溶体化処理
後、10℃/s以上の冷却速度で100 ℃以下の温度まで冷却
する焼入れ処理を行い、成形加工を行いまたは行うこと
なしに170 〜200 ℃で2 〜24h の熱処理を施すことを特
徴とする。
【0010】本発明のアルミニウム合金における各成分
添加の意義および限定理由について説明すると、Siは
Mgと共存して微細な金属間化合物Mg2 Siを形成し
て合金の強度を高める。Siの含有量が0.5 %未満では
十分な強度が得られず、1.5%を越えて含有すると合金
の耐食性が低下する。従ってSiの含有範囲は0.5 〜1.
5 %が好ましい。より好ましくは0.7 〜1.0 %の範囲と
する。
【0011】MgはSiと共存してMg2 Siを析出さ
せ、またCuと共存して化合物CuMgAl2 を微細析
出させることにより合金の強度を向上させる。Mgの含
有量が0.9 %未満では十分な効果が得られず、1.6 %を
越えると耐食性が低下する。従ってMgの含有範囲は0.
9 〜1.6 %が好ましい。より好ましくは1.0 〜1.2 %の
範囲とする。CuもSi、Mgと同様、合金の強度向上
に寄与する元素である。含有量が1.2 %未満では効果が
十分でなく、2.5 %を越えて含有すると合金の耐食性が
低下する。従ってCuの含有範囲は1.2 〜2.5 %が好ま
しい。より好ましくは1.5 〜2.0 %の範囲とする。
【0012】本発明は、上記のように、Si、Mg、C
uを必須成分として含有するものであるが、これらの成
分については、条件式、3 ≦Si%+Mg%+Cu%≦
4 、Mg%≦1.7 ×Si%、Cu%/2≦Mg%≦(Cu
%/2)+0.6 を満足することが必須の要件となり、この
条件で合金材料の耐食性を低下させることなく、合金に
強度、成形性を与える金属間化合物の好ましい分散状態
が得られる。Si、Mg、Cuの合計含有量が3 %未満
では化合物の好ましい分散が得難く、4 %を越えると合
金の耐食性を劣化させる。また、MgとSiの量的関係
をMg%≦1.7×Si%、MgとCuの量的関係をCu
%/2≦Mg≦(Cu%/2) +0.6 とすることによって、
金属間化合物の生成量、分布状態が制御され、合金にバ
ランスの良い強度特性、成形加工性、耐食性を与えるこ
とができる。
【0013】選択成分として添加させるMn、Cr、Z
r、VおよびZnは、金属間化合物を形成して、合金の
結晶粒度を微細にするとともに合金の強度を向上させ
る。好ましい添加量は、Mn:0.03 〜0.5 %、より好ま
しくは0.05〜0.3 %、Cr:0.03 〜0.3 %、Zr:0.03
〜0.2 %、V:0.03 〜0.2 %、Zn:0.03 〜2.0 %であ
る。これらの成分の添加量が下限未満ではその効果が小
さく、上限をこえて添加されると、粗大な金属間化合物
の生成が増加し、成形性、耐食性が劣化する。
【0014】他の選択成分として添加されるTi、B
は、成形性を向上させ、とくにTiは合金の耐食特性を
変えることなく成形性を高める。好ましい添加範囲は、
Ti:0.005〜0.1 %、B:1〜50ppm の範囲であり、添加
量が下限値未満では効果が小さく、上限を越えると粗大
な金属間化合物の生成が増加して成形性が低下する。
【0015】本発明では、必須合金成分としてSi、M
g、Cuを含有させ、選択成分としてMn、Cr、Z
r、V、ZnおよびTi、Bを添加することにより、合
金組織中に各成分間で形成される金属間化合物を微細に
析出させ、それらの析出量、分布状態を制御することに
よって、強度、成形性、耐食性ともに優れた材料を得る
ものであるが、好ましくは、直径0.01μm 以下、長さ0.
3 μm 以下の大きさの析出物を、析出量として2000本/
μm2以上分布させることにより合金材料に一層優れた性
状バランスを与えることができる。
【0016】本発明のアルミニウム合金は、板材のみで
なく、押出材、鍛造材などとしても供給し得るものであ
るが、板材の好ましい製造方法について説明すると、上
記組成のアルミニウム合金の溶湯を、例えば半連続鋳造
により造塊し、得られた鋳塊を500 ℃以上融点未満の温
度で均質化処理する。均質化処理温度が500 ℃未満で
は、鋳塊偏析の除去が十分でなく、強度に寄与するMg
2 SiやCuの固溶が不十分となり、強度低くなり、成
形性も低下し易い。ついで均質化処理温度から室温まで
冷却することなく、400 ℃以上の温度で熱間圧延を開始
し、熱間圧延を200 〜350 ℃の温度で終了する。室温ま
で冷却した場合には、Mg2 SiやCuの固溶が不十分
となり易く強度が低下する。熱間圧延の開始温度が400
℃未満では、熱間圧延時にMg2 Siが粗大に析出し易
く溶体化処理での固溶が困難となって強度低下の原因と
なる。熱間圧延の終了温度が200 ℃未満では熱間圧延に
おいて使用される水溶性圧延油のステンが残留し易く表
面品質が劣る。350 ℃を越えると圧延時に2次再結晶に
より組織が粗大化し異方性を大きくする。
【0017】熱間圧延したのち中間焼鈍を行い、または
熱間圧延材を冷間圧延して所定の厚さとした後中間焼鈍
し、最終的に加工度60%以上の冷間圧延を行う。最終冷
間圧延の加工度が60%未満では、結晶粒が粗大になり易
く、成形加工時に肌荒れが生じ易い。また、熱間圧延組
織の分解が不十分で成形性が劣る。最終冷間圧延後、5
℃/s以上の昇温速度で500 〜580 ℃の温度域に加熱して
60分以下保持する溶体化処理を行い、ついで10℃/s以上
の冷却速度で100 ℃以下の温度まで冷却する焼入れ処理
を行う。
【0018】溶体化処理における昇温速度が5 ℃/s未満
では結晶粒が粗大化し、成形加工時に肌荒れが生じ易
い。保持温度が500 ℃未満では、析出物の固溶が不十分
となり強度、成形性が劣る。580 ℃を越えると、局部的
な共晶融解により加工性を害する場合がある。また溶体
化処理における保持時間が60分を越えると達せられる性
能が飽和するため、60分以上の保持は生産性を低下させ
ることになる。焼入れ処理時の冷却速度が10℃/s未満で
は、化合物が望ましくない分布状態に析出して延性が低
下し、耐食性、強度、成形性を害する。
【0019】本発明のアルミニウム合金材料は、焼入れ
後室温時効した状態(T4調質)でも優れた成形加工性
を有するから、必要に応じて焼入れ後に成形加工を行
い、170 〜200 ℃で2 〜24h の熱処理を施す。熱処理温
度が170 ℃未満では、所望の性能を得るために長時間の
熱処理が必要となるから工業生産上好ましくなく、200
℃を越える温度での熱処理は強度を低下させる。熱処理
時間が2h未満では十分な強度が得られず、24hを越える
と強度が低下し始める。以上の合金組成、製造条件の組
合わせにより、直径0.01μm 以下、長さ0.3 μm 以下の
析出物を2000本/μm2以上分布した組織を有し、強度、
成形性、耐食性ともに優れたアルミニウム合金材料が得
られる。
【0020】
【作用】本発明においては、特定量のSi、Mgおよび
Cuを必須成分として含有させ、Mn、Cr、Zr、V
およびZn,さらにTi、Bを選択的に添加し、Si、
Mg,Cu相互の含有範囲を所定の関係式により限定す
ることにより、マトリックスのAlおよび合金成分の間
で形成される金属間化合物の望ましい析出状態が得ら
れ、この成分と組織の組合わせによって優れた耐食性を
維持したまま強度、成形性が向上し、とくに直径0.01μ
m 以下、長さ0.3 μm 以下の析出物を1000本/ μm2以上
分布させた組織とすることにより、さらに優れた材料特
性が達成される。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。 実施例1 表1に示すアルミニウム合金を半連続鋳造で造塊し、鋳
塊の鋳肌部の表面切削後、520 ℃の温度で10h の均質化
処理を行い、ついでこの温度で熱間圧延を開始して厚さ
4mm とし、320 ℃で熱間圧延を終了した。熱間圧延後35
0 ℃で2hの中間焼鈍を行い、冷間圧延で最終板厚1.0mm
とした。引続いて520 ℃で60分の溶体化処理後、水冷に
より焼入れ処理を行った。
【0022】
【表1】 《表注》B 含有量はppm
【0023】焼入れ処理後、室温時効4週間後にT4調
質として引張試験および曲げ試験を行い、焼入れ処理
後、190 ℃で4hの焼戻し処理後にT6調質として引張試
験を行った。また、T6調質材について、ASTM G110 に
規定される粒界腐食試験を行った。試験結果を表2に示
す。表2にみられるように、本発明に従う合金材は、い
ずれも優れた引張特性、成形性、耐食性を示した。合金
材No.1、T6調質材の組織の電子顕微鏡写真を図1に示
す。この写真の解析結果によれば、直径0.01μm以下、
長さ0.3 μm/μm2以下の析出物の分布状態は、2800本/
μm2であった。
【0024】
【表2】
【0025】比較例1 実施例1と同一の工程で表3に示す組成のアルミニウム
合金の板材(板厚1.0mm)を製造し、実施例1と同様にし
て引張試験、曲げ試験および粒界腐食試験を行った。結
果を表4に示す。なお本発明の条件を外れるものには下
線を付した。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】表4にみられるように、本発明の合金組成
の限界を外れるものは、強度、成形性、耐食性のいずれ
かが劣っている。合金材No.7は、Siの含有量が多く、
Si、Mg、Cuの合計量が4 を越えるため、耐食性が
わるく、成形性にも劣る。合金材No.8はCu量が多く、
Si、Mg、Cuの合計量も4 を越えるため耐食性が劣
る。合金材No.9はMg量が多く、Si、Mg、Cuの合
計量が4 を越えるため耐食性がわるい。合金材No.10 〜
16は、選択成分の含有量が限界値を越えているため、い
ずれも成形性が劣る。合金材No.17 〜21は、6000系の改
良合金であるが、いずれも本発明のアルミニウム合金に
比べ強度が低い。これらの合金材について、T6調質材
の組織を電子顕微鏡で観察したところ、本発明の合金材
No.1〜4 と比較して表5に示すように、直径0.01μm 以
下、長さ0.3 μm 以下の析出物はいずれも2000本/ μm2
未満であった。合金材No.22 は、各成分は本発明の範囲
を満たしているが、Si、Mg、Cuの合計量が4 を越
えている合金であり、耐食性が劣っており、成形性も良
くない。
【0029】
【表5】
【0030】実施例2 合金材No.1の組成を有するアルミニウム合金鋳塊を、表
6に示す条件に従って圧延加工して厚さ1mm の板材と
し、表6に示す条件により溶体化処理、焼入れ処理後、
実施例1と同様、室温時効2週間後のT4調質として引
張試験および曲げ試験を行い、表6に示す条件による焼
戻処理後のT6調質として引張試験および粒界腐食試験
を行った。試験結果を表7に示す。表7にみられるよう
に、本発明に従って製造された試験材は、いずれも強
度、成形性、耐食性に優れている。
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】比較例2 合金材No.1の組成を有するアルミニウム合金鋳塊を、表
8に示す条件に従って圧延加工して厚さ1mm の板材と
し、表8に示す条件により溶体化処理、焼入れ処理後、
実施例1と同様、室温時効2週間後のT4調質として引
張試験および曲げ試験を行い、表8に示す条件による焼
戻し処理後のT6調質として引張試験および粒界腐食試
験を行った。試験結果を表9に示す。なお、表8におい
て本発明の条件を外れたものには下線を付した。
【0034】
【表8】
【0035】
【表9】
【0036】表9に示されるように、試験材No.Dは均質
化処理の温度が500 ℃未満であり、試験材No.Eは均質化
処理後室温まで冷却したために、Mg2 SiやCuの固
溶が不十分となり強度が低下している。試験材No.Fは熱
間圧延開始温度が低く熱間圧延中に粗大なMg2 Siが
形成されるため、強度が劣る。試験材No.Gは熱間圧延終
了温度が高く、試験材No.Hは最終冷間圧延率が低いた
め、組織が粗大化して成形性がわるい。試験材No.Iは溶
体化処理温度が低いため析出物の固溶が不十分となり、
強度、成形性が低下する。試験材No.Jは焼入れ速度が低
いため、化合物の析出が起こり、強度、成形性、耐食性
ともに低下する。試験材No.Kは焼戻し処理温度が高過ぎ
るため、T6調質材の強度が低くなっている。
【0037】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、強度、
成形性、耐食性ともに優れたアルミニウム合金材料が提
供され、自動車など輸送機器の外板として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルミニウム合金T6調質材の金属組
織を示す電子顕微鏡写真である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%(以下同じ)で、Si:0.5〜1.5
    %、Mg:0.9〜1.6%、Cu:1.2〜2.5 %で、条件式、3
    ≦Si%+Mg%+Cu%≦4 、Mg%≦1.7 ×Si
    %、Cu%/2≦Mg%≦(Cu%/2)+0.6 を満足する
    Si、MgおよびCuを含有し、残部アルミニウムと不
    可避的不純物からなる成形性、耐食性に優れた高強度ア
    ルミニウム合金。
  2. 【請求項2】 アルミニウム合金がMn:0.03 〜0.5
    %、Cr:0.03 〜0.3%、Zr:0.03 〜0.2 %、V:0.03
    〜0.2 %およびZn:0.03 〜2.0 %のうちの1種以上
    を含有することを特徴とする請求項1記載の成形性、耐
    食性に優れた高強度アルミニウム合金。
  3. 【請求項3】 アルミニウム合金がTi:0.005〜0.1
    %、B:1〜50ppm のうちの1種または2種を含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜2記載の成形性、耐食性に優
    れた高強度アルミニウム合金。
  4. 【請求項4】 アルミニウム合金の組織中に、直径0.01
    μm 以下、長さ0.3μm 以下の析出物が2000本/μm2
    上分布していることを特徴とする請求項1〜3記載の成
    形性、耐食性に優れた高強度アルミニウム合金。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3記載のアルミニウム合金を
    造塊し、得られた鋳塊を500 ℃以上融点未満の温度で均
    質化処理後、室温まで冷却することなく400℃以上の温
    度で熱間圧延を開始し、該熱間圧延を200 〜350 ℃の温
    度で終了し、中間焼鈍後または冷間圧延して所定厚さと
    して中間焼鈍した後、加工度60%以上で最終冷間圧延
    し、5 ℃/s 以上の昇温速度で500 〜580 ℃の温度域に
    加熱して60分以下の時間保持する溶体化処理後10℃/s
    の冷却速度で100 ℃以下の温度まで冷却する焼入れ処理
    を行い、成形加工を行いまたは行うことなしに170 〜20
    0℃で2 〜24h の熱処理を施すことを特徴とする成形
    性、耐食性に優れた高強度アルミニウム合金の製造方
    法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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